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山形医学 2012;30(2):41-49 神経膠腫のc-myc,CD133,MGMT 発現と予後 神経膠腫におけるc-myc,CD133,MGMTの発現と予後との関連についての検討 角田翔, 中村翔, 櫻田香 *, 松田憲一朗 *, 佐藤慎哉 * *,**, 嘉山孝正 山形大学医学部医学科 * 山形大学大学院医学系研究科脳神経外科 ** 国立がん研究センター 要 旨 背景 神経膠腫は成人脳腫瘍で最も頻度の高い疾患であるが その治療成績はいまだ極めて不良である 近年 DNA 修復酵素の1つO-6-methylguanine-DNAmethyltransf- erase(mgmt) の遺伝子プロモーター領域のメチル化が膠芽腫 (glioblastoma:gbm) の治療感受性 治療予後に相関があることが報告されている また神経幹細胞マーカー CD133 は腫瘍幹細胞マーカーとしても利用されており CD133 陽性腫瘍幹細胞では MGMTが高発現し化学療法の抵抗性に寄与していると報告されている さらに近年 代表的ながん遺伝子の一つであるc-myc が細胞増殖や腫瘍形成に深く関与するだけでなく幹細胞の幹細胞性維持にも重要な役割を担っているとの報告がなされている そこで今回我々は 神経膠腫の腫瘍幹細胞と治療抵抗性に関与すると考えられるc-myc CD133 および MGMTの 3 分子に注目し これらのタンパク質発現と予後との関連を検討した 対象 方法 山形大学脳神経外科にて摘出術を行った41 例 ( 男性 28 例 女性 13 例 平均年齢 54.3 歳 ) の神経膠腫を対象とした WHO 分類ではLow gradeglioma(lgg)8 例 Highgradeglioma(HGG)33 例である 腫瘍摘出標本から細胞溶解液を作成し Westernblot にて各タンパク質の発現を検討した 1)LGGと HGG における各タンパク質発現の比較 2)c-myc とCD133 間 CD133 とMGMT 間タンパク質発現の相関 3)c-myc,CD133,MGMTタンパク質の発現それぞれと全生存期間 (overalsurvival: OS) との関係を検討した 結果 1)HGG ではLGGに比べ3 種のタンパク質とも発現が高い傾向が見られたが統計学的有意差はみられなかった 2)CD133 とMGMTの発現の間には統計学的に有意な相関を認めた 3)CD133,MGMTの発現が高いほどOSが短くなる傾向は見られたが 統計学的に有意な相関は認められなかった 結論 今回 神経膠腫におけるc-myc,CD133,MGMTタンパク質の発現の関係とOSとの相関について検討した CD133 とMGMTの発現の間には統計学的に相関が認められたが その他の因子について相関は認められなかった キーワード : 神経膠腫 腫瘍幹細胞 c-myc,cd133,mgmt, 全生存期間 -41-

角田, 中村, 櫻田, 松田, 佐藤, 嘉山 Ⅰ. 緒言神経膠腫は全脳腫瘍の約 4 分の1を占める代表的な悪性脳腫瘍である 病理組織所見と臨床悪性度 ( 予後 ) の両者を併せた総合的な悪性度の分類としてWHO 分類が最も一般的に用いられており グレードⅠからⅣまでの4 段階に分けられている グレードⅠ Ⅱはlow grade glioma(lgg) グレードⅢ Ⅳはhighgrade glioma(hgg) と称される 最も悪性度の高い gradeⅣ の glioblastoma(gbm) の平均余命はわずか15 ヶ月足らずであり 5 年生存率は 10% に満たない極めて予後不良な疾患である GBM に対する現在の世界的標準治療は経口アルキル化剤テモゾロミドによる化学療法と局所放射線療法の併用である 2005 年 Stupp らによりテモゾロミド併用放射線療法による生存期間延長効果が報告され その付随研究として DNA 修復酵素 MGMT 遺伝子のプロモーター領域がメチル化されていることが予後良好因子であることが示された 1) 癌幹細胞仮説は がん細胞の中でもごく少数の癌細胞が自己複製能と多分化能といういわゆる幹細胞の性質をもち その性質を有する癌幹細胞を起源としてがんが発生するのではないか ( 造腫瘍能 ) という仮説である 近年 グリオーマにおいてもグリオーマ幹細胞の存在が証明され 再発や播種に重要な役割を果たしていると考えられている 様々ながん腫においてがん幹細胞の存在が証明され 新たな治療ターゲットとして注目されている 神経幹細胞マーカー CD133 はグリオーマ幹細胞マーカーとしても 2) 利用されており CD133 発現と予後や 3) CD133 発現と神経膠芽腫の播種との関連などに関する報告がなされている さらにCD133 陽性腫瘍幹細胞ではDNA 修復酵素の1つO-6- methylguanine-dna methyltransferase (MGMT) が高発現しており化学療法の抵抗性を示し 更に放射線に対する高い抵抗性を有す ることが示されている 4),6) 一方 c-myc は代表的ながん遺伝子の一つであるが 細胞増殖や悪性転化のみならず幹細胞の幹細胞性維持にも重要な役割を担っているとの報告がなされており グリオーマ幹細胞の幹細胞性維持にも関与している可能性も示されている 5) 今回我々は 再発 播種 及び放射線 化学療法の抵抗性に重要な役割を果たしていると考えられるグリオーマ幹細胞に着目し グリオーマ幹細胞に高発現していると考えられるc-myc, CD133,MGMTの 3 種のタンパク質発現とグリオーマ患者の予後との関連を検討した Ⅱ. 対象と方法 1. 研究材料 2006 年から2009 年の間に山形大学医学部附属病院脳神経外科にて神経膠腫と診断 治療された41 例 ( 男性 28 例 女性 13 例 平均年齢 54.3 歳 ) を対象とした WHO 分類ではLGG8 例 HGG33 例であった 患者の内訳を表 1に示す 摘出腫瘍は速やかに凍結保存の後 Laemmli samplebufer に溶解 超音波破砕後 細胞溶解液としてWesternblot に使用した 2.Westernblot と発現スコアの算出細胞溶解液を12% ポリアクリルアミドゲルに電気泳動し分離した後 PVDF 膜に転写した 3% ミルク入りTris-buferedsaline(TBS) にてブロッキングを行った後 一次抗体を反応させた 一次抗体は 抗 c-myc 抗体 (monoclonal, CelSignalingTechnology) 抗 CD133 抗体 (W6 B3C1,monoclonal,MiltenyiBiotec) 抗 MGMT 抗体 (MT3.1,monoclonal,Neomarker) 抗 β- actin 抗体 (monoclonal,sigma) を用いた 二次抗体反応後 ImmobilonWesternChemiluminescentHRPsubstrate(Milipore) を反応させ発光パターンをライトキャプチャー CSanalyzer(ATTO) を用いて検出し densitometry にてタンパク質の発現を解析した 手術中に腫 -42-

表 1. 対象患者の属性 (n=41) 神経膠腫の c-myc,cd133,mgmt 発現と予後 図 1. タンパク質発現スコア解析例 瘍検体に血液などが混入し吸光光度計を用いたタンパク質定量が困難であったため glioma 細胞株 U251 の細胞溶解液をタンパク質量のコントロールとして用いた タンパク質量を統一するためβ-actin との比を計算しそれぞれのスコアとした 3. 統計学的検討統計解析はStatisticalPackagefortheSocial Sciences(SPSS,ver.19,Chicago,IL,USA) を用いた LGGと HGG におけるタンパク質スコアの比較にはMann-Whitney 検定を行い p 値 0.05 未満を有意差ありとした 各タンパク質スコア間の相関と各スコアと生存期間 (Overalsurvival:OS) の相関についてSpearman 解析を行った -43-

表 2. タンパク質発現解析の結果 (n=41) 角田, 中村, 櫻田, 松田, 佐藤, 嘉山 Ⅲ. 結果 1)Low gradegliomaと highgradegliomaでのタンパク質発現の比較 LGGと HGG において 3つ分子の発現スコアに差があるのか比較検討した ( 図 2) LGGに比べ HGG では c-myc,cd133, MGMTにおいて発現が多い傾向が見られたが統計学的有意差は見られなかった 2)c-myc,CD133,MGMTの発現の相関の検討図 3のごとく CD133 とMGMTの発現の間には統計学的に有意な相関を認めた c-myc とCD133 の発現には相関は認められなかった 3)c-myc,CD133,MGMTの発現と予後 (OS) との相関の検討 図 4のごとくc-myc,CD133,MGMTの発現と予後に統計学的な相関は認められなかった Ⅳ. 考察近年 腫瘍幹細胞仮説が提唱され 新たながん治療ターゲットとして注目を集めている 癌幹細胞仮説は がん細胞の中でもごく少数の癌細胞が自己複製能と多分化能といういわゆる幹細胞の性質をもち その性質を有する癌幹細胞を起源としてがんが発生するのではないか ( 造腫瘍能 ) という仮説である 癌幹細胞は 自己複製能 多分化能 造腫瘍能を有する細胞とされ 腫瘍全体では数 % 程度の数しか存在しない特別な細胞と考えられている 腫瘍幹細胞は正常幹細胞と類似点があることが示されており -44-

神経膠腫の c-myc,cd133,mgmt 発現と予後 図 2. 脳腫瘍グレードとタンパク質発現の関連 図 3.c-myc と CD133,CD133 と MGMT 発現の関連 神経幹細胞マーカー CD133 は腫瘍幹細胞マーカーとして用いられている 幹細胞の細胞内分子機構の解明は再生医学分野において重要な課題であるが また同時に腫瘍幹細胞の細胞内分子機構を推測 理解するためにも非常に重要な課題となっている その研究の成果としてがん遺伝子 c-myc が細胞増殖や腫瘍形成に関与するだけでなく 幹細胞および腫瘍幹細胞の幹細胞 性維持にも重要な役割を担っていること 5) 神経幹細胞 腫瘍幹細胞においてCD133, MGMTが高発現していることが報告されており 化学療法抵抗性に寄与していることも報告されている またそこで我々はc-myc タンパク質の高発現が腫瘍幹細胞を増やすことで CD133 およびMGMTの発現も上昇させているのではないか 更にこのような腫瘍では予後不 -45-

角田, 中村, 櫻田, 松田, 佐藤, 嘉山 図 4.c-myc,CD133,MGMT タンパク質発現と予後の関連 図 5. 作業仮説良ではないかという作業仮説 ( 図 5) を立て検討を行った 最初にLGGと HGG にて3 種のタンパク質発現に差があるのかを検討した その結果 HGG では 3 種のタンパク質すべてにおいて HGG で発現が高い傾向が認められたが 統計学的には有意差は認められなかった 次に 3 つのタンパク質間の発現の相関について検討したが CD133 とMGMTの発現のみに統計学的に有意な相関が認められた 最後にこれらのタンパク質の発現と生存期間の相関について検討 したが 有意な相関は認められなかった このような結果となった理由としては まず実験系としてWesternblot は腫瘍以外の成分も含まれた検討になっている可能性があり Western blot 以外の解析方法も用いて検討を行うことが必要と考えている またさらに重要な点として 神経膠腫において年齢 摘出率 パフォーマンスステイタス (performancestatus) など臨床的な因子が予後因子となっていることが知られており これらの影響が重なり統計学的な有意差が認められなかった可能性がある 今後症例数を増やして臨床因子を含めた検討 重回帰分析などを行うことが重要と考えている 膠芽腫の治療反応性 治療予後予測に対する MGMT 遺伝子のプロモーター領域のメチル化の重要性は テモゾロミド+ 放射線治療が世界的標準治療であることを示したEORTC(Euro- peanorganisationforresearchandtreatment ofcancer) の報告と同時に発表された 1),7) MGMTプロモーターメチル化の状態が治療反応性や予後に関与する分子機構として プロモーターのメチル化によりMGMTタンパクの発現を減少し テモゾロミドなどのアルキル化剤のよるDNA 損傷が修復されずに抗腫瘍効果を発揮しやすくするものと推測されている Nagane らはWesternblot を用いて再発グリオーマのテモゾロミド反応性を検討したが -46-

神経膠腫の c-myc,cd133,mgmt 発現と予後 MGMTタンパク質の発現の少ない症例では 再発後のテモゾロミド治療に対する治療反応性がMGMT 発現を認める症例よりも良好であったと報告している 8) 今回我々もNagane らの方法に準じてタンパク質発現を解析し 治療予後との関係につき検討を行った MGMTの治療抵抗性 治療予後予測因子としての関与については広く認められており 現在最もよく用いられるのはメチル化特異的 PCR である しかしながら MGMTプロモーターメチル化のみがMGMTの働きを制御しているのではなく メチル化特異的 PCR(MethylationspecificPCR :MSP) 定量 PCR によるmRNA 検出 免疫染色 Westernblot などの様々な検査方法を用いて検討がなされている 9)-11) Westernblot や PCR では腫瘍以外の細胞成分も含まれてしまう可能性があることが弱点であり タンパク質発現局在が判定できる免疫染色が優れている しかし 免疫染色やRT-PCR では 陽性か否かのカットオフ値をどこにするのかで結果が異なってくる恐れもある 今後の臨床研究の結果を正確に評価するためにもMGMTの発現やプロモーターのメチル化の状態の判定方法の標準化が求められている 今回 グリオーマのc-myc,CD133,MGMT の3 種のタンパク質発現と予後との関連を検討した c-myc,cd133,mgmtさらにosとの関係を検討したものは我々が渉猟し得た限り本報が始めてである 今後は症例数を増やすとともにWesternblot 以外の解析方法も用いて検討を加えてゆく必要があると考えている 文献 1. HegiME,DiserensAC,GorliaT,HamouMF, detriboletn,welerm,etal.:mgmt gene silencing and benefitfrom temozolomide in glioblastoma.n EngJMed.2005;352:997-1003 2. ZhangM,SongT,YangL,ChenR,YangZ, FangJ:NestinandCD133:valuablestem celspecificmarkersfordeterminingclinicaloutcomeofgliomapatients.jexpclincancerres. 2008;24:85 3. SatoA,SakuradaK,KumabeT,SasajimaT, BeppuT,AsanoK,etal.:Associationofstem celmarkercd133expressionwithdisseminationofglioblastomas,neurosurgrev.2010;33: 175-183 4.BohlSR,PircherA,HilbeW:Cancerstem cels:characteristicsandtheirpotentialrolefor new therapeutic strategies.onkologie 2011; 34:269-274 5. WangJ,WangH,LiZ,LathiaJD,McLendon RE,etal.:c-Mycisrequiredformaintenanceog gliomastem cels.plosone2008;3:e3769 6. Liu G,Yuan X,Zeng Z,TuniciP,Ng H, Abdulkadir IR, et al.: Analysis of gene expression and chemoresistance ofcd133+ cancerstem celsinglioblastoma.molcancer 2006;5:67 7. StuppR,MasonWP,vandenventMJ,Weler M,FisherB,TaphoornMJ,etal.:Radiotherapy plusconcomitantandadjuvanttemozolomide forglioblastoma.n EngJMed.2005;352:987-996 8.Nagane M, Kobayashi K, Ohnishi A, ShimizuS,ShiokawaY:Prognosticsignificance ofo-6-methylguanine-dna methyltransferase protein expression in patientswith recurrent glioblastomateatedtemozolomide.jpnjclin Oncol.2007;37:897-906 9. SonodaY,Yokosawa M,SaitoR,Kanamori M,Yamashita Y,Kumabe T,et al.; O(6)- MethylguanineDNA methyltransferasedetermined by promoter hypermethylation and immunohistochemicalexpression iscorrelated withprogressionfreesurvivalinpatientswith glioblastoma.intjclinoncol.2010;15:352-358 10. Lotfi M, Afsharnezhad S, Razeiee HR, GhafarzadeganK,SharifS,ShamsaraJ,etal.: Immunohistchemical assessment of MGMT -47-

角田, 中村, 櫻田, 松田, 佐藤, 嘉山 expression andp53mutation in glioblastoma multiforme.tumori2011;97:104-108 11. CapperD,Mitelbronn M,Meyermann R, Schitenhelm J:Pitfalsin theassessmentof MGMT expressionandinitscorrelationwith survivalindifuseastrocytomas:proposalofa feasible immunohistchemicalapproach.acta Neuropathol,2008;115:249-259 -48-

YamagataMedJ2012;30(2):41-49 神経膠腫のc-myc,CD133,MGMT 発現と予後 Analysisofc-myc,CD133,and MGMT protein expression in glioma patients Sho Tsunoda,Sho Nakamura,KaoriSakurada *,Kenichiro Matsuda *, ShinyaSato *,TakamasaKayama *,** YamagataUniversityScoolofMedicine * DepartmentofNeurosurgery,YamagataUniversityFacultyofMedicine ** NationalCancerCenter ABSTRACT Thecancerstem cel(csc)modeloftumordevelopmentsuggeststhattheclinical behaviorofa tumorislargely determined by a subpopulation ofcelsthatare characterizedbytheirabilitytoinitiatethedevelopmentofnew tumors.expressionof CD133andMGMTishigherinCSCsthaninotherceltypes.Recently,c-mychasbeen reportedtoplayanimportantroleinthemaintenanceofstemness.westudiedthe proteinexpressionpaternsofc-myc,cd133andmgmtingliomapatients,andtheir correlationwithpatientsurvivaltime.proteinexpressionintumortissuesobtained from 41patientswithglioma(LGG 8,HGG 33)betweenJanuary2006andDecember 2009wasanalyzedbyWesternbloting.Therewasnosignificantdiferenceinthe expression ofthethreeproteinsbetween histologicalgrades.expression ofcd133 proteinshowedaclosecorrelationwiththeexpressionofmgmtprotein.buttherewas nocorrelationbetweentheexpressionsofanyofthethreeproteinswithpatientsurvival time. Keywords:glioma,cancerstem cel,c-myc,cd133,ngmt,survival -49-