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持続血糖測定 (CGM) による平均血糖 血糖変動と血糖コントロール指標の関連 自治医科大学内科学講座内分泌代謝学部門 准教授長坂昌一郎 ( 共同研究者 ) 自治医科大学内分泌代謝学部門 助教出口亜希子 自治医科大学内分泌代謝学部門 研究生槌田武史 筑波大学体育科学系 助教緒形 ( 大下 ) ひとみ 筑波大学体育科学系 教授徳山薫平 はじめに平均血糖の指標であるHbA1cの低下により 糖尿病細小血管合併症は抑制される しかし心血管合併症の抑制は不十分であり 血糖変動が関与する可能性が指摘されている 持続血糖測定 (CGM) を用いたADAG studyにおいて 平均血糖 (Average Glucose:AG) と HbA1cの強い関連が確認されている (AG=28.7 HbA1c-46.7, R 2 =0.84, P<0.0001) 1) 一方同研究において HbA1cはCGMから得られた血糖変動指標であるMAGEとの相関が弱いことも指摘されている (R=0.49) 2) 我が国で用いられている血糖指標であるグリコアルブミン (GA) 1,5-アンヒドログルシトール (1,5-AG) は HbA1cよりも血糖変動をより良く反映する可能性があるが CGMを用いた詳細な検討は十分になされていない 本研究では CGMによる平均血糖 血糖変動指標と 我が国で臨床に用いられている血糖指標であるHbA1c GA 1,5-AGとの関係を明らかにし 血糖コントロール指標の意義を明確にする 方法当院でCGMを施行した約 400 例のデータベースから 血糖コントロールがおおむね安定した状態でCGMを施行し 肝障害 腎障害など血糖指標に影響を与える因子が無 軽度の 159 症例を選択した 本研究は自治医科大学倫理委員会の承認を得ており すべてインフォームドコンセントを得た上で行った CGMの測定には メドトロニック社のCGMS-Goldまたは ipro2を用いた CGM 施行時にHbA1c GA 1,5-AGを測定した CGM 結果から得られた血糖変動指標はいずれも互いに相関した ( 表 1) 得られた血糖変動指標のなかから SD 血糖範囲 M 値 288 点 18

法について検討した CGM 装着中の 24 96 時間の平均血糖 血糖変動指標と 各血糖指標 (HbA1c GA 1,5-AG) との関連を検討した また GA/HbA1cと血糖変動との関連も検討した 1,5-AGとM 値 288 点法は正規分布しないため 対数変換した 各指標の関連は単回帰分析と ステップワイズ法を用いた重回帰分析により行った 血糖変動 SDの予測に ROC 解析を用いた データ解析には 統計解析用ソフトウェアDr.SPSSⅡ for Windowsを用いた 表 1 血糖変動指標の相互の関連相関係数を示す いずれもr = 0.6 0.9と強い相関を認めた 結果対象者の背景因子を表 2に示す 平均血糖と各血糖指標について単回帰解析を用いて検討したところ 平均血糖とHbA1c GA log1,5agは それぞれ有意な相関関係を認めた ( 図 1) 平均血糖を従属変数 年齢 BMI HbA1c GA 1,5-AGを独立変数としたステップワイズ重回帰分析の結果 HbA1cとGA が相関する因子として選択された ( 表 3) 血糖変動指標であるSD 血糖範囲 logm 値 (288 点法 ) と各血糖指標は 単回帰分析でそれぞれ有意な相関を認めた 血糖変動指標を従属変数 年齢 BMI HbA1c GA 1,5-AGを独立変数としたステップワイズ重回帰分析の結果 SDと血糖範囲は 年齢 インスリン治療の有無 GA log1,5-agとの相関を認め logm(288 点法 ) は インスリン治療の有無 GA log1,5-agとの相関を認めた ( 表 4) GAをGA/HbA1cに置き換えて検討したところ SD 19

血糖範囲では同様の結果が得られた GAとHbA1cを同時に投入したモデルでは GAが選択された 表 2 対象者の背景因子 1 型糖尿病 2 型糖尿病 境界型 その他 健常者 全体 N 70 66 6 17 159 性別 ( 男性 / 女性 ) 24/46 35/31 3/3 7/10 69/89 年齢 ( 歳 ) 46.4±14 62.3±9.2 58.0±14.0 31.6±11.5 51.9±15.7 BMI(Kg/ m2 ) 22. 2 ±3.6 23.0 ±3.4 22.0 ± 2.7 20.9 ±3.6 22.4±3.5 罹病期間 ( 年 ) 13.0±9.1 16.9±10.3 9.3±8.4 13.1±10.3 インスリン有 / 無 69/1 39/27 2/4 110/49 図 1 平均血糖と各血糖指標の相関 表 3 平均血糖と相関する因子 従属変数 平均血糖 B: 非標準化係数 B SEB p SEB: 回帰係数の標準誤差 独立変数 R 2 =0.651,ANOVA<0.01 HbA1c 13.71 2.844 <0.001 GA 2.65 0.641 <0.001 血糖変動指標 (SD 血糖範囲) と 各血糖指標との関連をHbA1c 中央値で二群に分けて解析を行った ( 中央値 HbA1c 7.2%) HbA1c 低値群 (n=79,hba1c 6.3±0.6%) では インスリン治療の有無 HbA1c GA/HbA1c log1,5-agが有意に関連した 一方 高値群 (n=80,hba1c 8.3 ± 0.8%) では インスリン治療の有無 GA/HbA1cが関連し log1,5-agは選択されなかった ( 表 5) 20

SD 高値を予測する値について GA 1,5-AG GA/HbA1c でそれぞれ ROC 解析を行ったところ カットオフ値は GA 19.3% 1,5-AG 7.9μg/ml GA/HbA1c 2.9 であった ( 図 2) 表 4 血糖変動指標と相関する因子 従属変数 SD 血糖範囲 logm 値 288 点法 独立変数 B SEB p B SEB p B SEB p 年齢 0.194 0.078 0.014 0.609 0.280 0.031 インスリン有無 12.659 3.171 <0.001 38.31 11.35 0.001 0. 223 0.68 0.001 GA 1.025 0.328 0.002 3.933 1.174 0.001 0.023 0.007 0.001 log1,5ag -15. 29 4.864 0.002-53. 2 17.42 0.003-0.307-0.102 0.003 R 2 =0.478 B: 非標準化係数 SEB: 回帰係数の標準誤差 R 2 =0.457 R 2 =0.434 表 5 HbA1c 低値 高値群別の血糖変動指標と相関する因子 HbA1c 低値群 HbA1c 高値群 従属変数 SD B SEB p B SEB p インスリン有無 10.097 3.446 0.005 14.132 6.119 0.024 HbA1c 7.614 3.050 0.015 GA/HbA1c 13.103 5.061 0.012 11.325 4.922 0.024 log1,5ag -10.770 6.821 0.119 R 2 =0.509. R 2 =0.478,ANOVA p=0.01 従属変数 血糖範囲 HbA1c 低値群 HbA1c 高値群 B SEB p B SEB P インスリン有無 28.984 13.575 0.036 45.447 19.927 0.025 HbA1c 29.930 12.014 0.015 GA/HbA1c 55. 206 19.934 0.007 46.344 16.029 0.005 log1,5ag -36.426 26.865 0.179 R 2 =0.462 B: 非標準化係数 SEB: 回帰係数の標準誤差 R 2 =0.198 21

図 2 SD 50mg/dlを予測する ROC 解析 SDとGA GA 19.3(%) 以上で感度 90%, 特異度 66% (AUC=0.8145) SD と log1,5-ag 1,5-AG 7.9(μg/ml) 以下で感度 62%, 特異度 85% (AUC=0.7719) SD と GA/HbA1c GA/HbA1c 2.9 以上で感度 72%, 特異度 70% (AUC=0.7524) 考察平均血糖はHbA1cとGAに強く反映され 1, 5-AGはやや劣る コントロール不良の際には 1,5-AGが一律に低値となるためと考えられた 22

血糖変動は GA( ないしGA/HbA1c) と1, 5-AGに強く反映されるが HbA1c 高値群と低値群にわけて解析したところ 高値群では 1,5-AGとの相関を認めなかったことから 1,5-AG の有用性はHbA1cが良好である場合に限定的であると考えられた 血糖変動 SD 50mg/dlは GA 19.3% 以上 1, 5-AG 7.9μg/ml 以下 GA/HbA1c 2.9 以上で ある程度推測可能である 血糖変動には GA 単独よりもGA/HbA1cがより強く相関するとの報告があるが 3) 本研究では 血糖変動指標と各血糖指標との相関を検討するステップワイズ重回帰分析において GAとGA/HbA1cを同時に投入したモデルではGAが選択された 本研究では健常者や境界型などより軽症の患者が含まれるためかもしれない 今後 さらに症例数を増やして 検討していく必要がある 要約今日の診療では 主に 平均血糖の指標であるHbA1cを指標に血糖管理を行っている しかし 糖尿病細小血管合併症抑制だけでなく 心血管合併症を抑制するためには 血糖変動を把握し治療へ反映させることが重要である 本研究では 血糖変動を反映する指標についての検討を行った 血糖変動指標として GA(GA/HbA1c) と1,5-AGが有用である可能性が示された ただし 1,5-AGの有用性は HbA1cが良好である群に限定的であった 血糖変動が大きい場合 (SD 50mg/dl) は GA 19.3% 以上 1, 5-AG 7.9 μg/ml 以下 GA/HbA1c 2.9 以上で ある程度推測可能と考えられ 日常診療に有用な情報が得られた 文献 1. David M. Nathan, Judith Kuenen, Rikke Borg, Hui Zheng, David Schoenfeld, Robert J. Heine for the A1c-Derived Average Glucose ADAG Study Group.Translating the A1C Assay Into Estimated Average Glucose Values. Diabetes Care 31,1473-1478,2008 2. Rikke Borg, Judith C. Kuenen, Bendix Carstensen, Hui Zheng, David M. Nathan, Robert J. Heine, Jorn Nerup, Knut Borch-Johnsen, Daniel R. Witte, and on behalf of the ADAG Study Group.Associations Between Features of Glucose Exposure and A1C: The A1C-Derived Average Glucose ADAG Study. Diabetes 59,1585-1590,2010 3. Akifumi Ogawa, Akinori Hyashi, Eriko Kishihara, Sonomi Yoshino, Akihiro Takeuchi, Masayoshi Shichiri. New Indices for Predicting Glycaemic Variavility.PLoS ONE 7,e46517,Epub 2012 23