日本内科学会雑誌第98巻第12号

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2018 年 10 月 4 日放送 第 47 回日本皮膚アレルギー 接触皮膚炎学会 / 第 41 回皮膚脈管 膠原病研究会シンポジウム2-6 蕁麻疹の病態と新規治療法 ~ 抗 IgE 抗体療法 ~ 島根大学皮膚科 講師 千貫祐子 はじめに蕁麻疹は膨疹 つまり紅斑を伴う一過性 限局性の浮腫が病的に出没

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喘息治療の目標 あなたは喘息のない人と同じような生活ができますか? 薬の副作用を恐れて必要な治療をせず 悪い状態で我慢してしまうこ とは 炎症の悪化 気道の強い傷害 気道の不十分な修復による不可 逆的な変化を来し 治療薬の効果を悪くし 喘息を重症化します!! 1

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はじめに 目 次 佐野虎ノ門クリニック院長東京アレルギー 喘息研究所所長 佐野靖之 患者指導のポイント 喘息とはどのような病気ですか? 1 3 気管支喘息に用いられる吸入薬の特徴は 薬剤が気道に直接到達すること 喘息ではどのような治療をするのですか? 4 で 気道の炎症や狭窄 ( 狭くなること )

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

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1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

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名前男 女平成年月日生 ( 歳 ) 学校年組提出日平成年月日学病型 治療学校生活上の留意点 A. 運動 ( 体育 部活動等 ) 3. 強い運動は不可 B. 動物との接触やホコリ等の舞う環境での活動 3. 動物へのアレルギーが強いため不可動物名 ( ) C. 宿泊を伴う校外活動 D. その他の配慮 管

アレルギー性鼻炎とは アレルギー性鼻炎は鼻粘膜の Ⅰ 型アレルギー性疾患で 原則的には発作性反復性のくしゃみ ( 水様性 ) 鼻漏 鼻閉を 3 主徴とする 病名として 鼻過敏症 鼻アレルギー アレルギー性鼻炎 さらに花粉症などが用いられている 通年性アレルギー性鼻炎 ( 室内塵 ダニなど ) 季節性

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

通常の単純化学物質による薬剤の約 2 倍の分子量をもちます. 当初, 移植時の拒絶反応抑制薬として認可され, 後にアトピー性皮膚炎, 重症筋無力症, 関節リウマチ, ループス腎炎へも適用が拡大しました. タクロリムスの効果機序は, 当初,T 細胞のサイトカイン産生を抑制するということで説明されました

汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

コントロール不良の中等症から重症の喘息を有する成人および思春期患者の維持療法に追加する治療薬としてのデュピクセント は 現在米国 日本 欧州連合 (EU) などの各国で審査中で その安全性および有効性に関する各国の規制当局の評価は完了しておりません 米国での審査期日は 2018 年 10 月 20

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

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2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

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要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

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では 気道炎症はどのように惹起されるのであろうか 喘息の患者にアレルギーの検査をすると 約 70% で室内塵 ( ハウスダスト ) の主成分であるチリダニに対して陽性の結果が得られる すなわちチリダニに対する免疫グロブリン E (IgE) 抗体が陽性で チリダニによりアレルギー反応が誘導される状態に

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本研究成果は 2015 年 7 月 21 日正午 ( 米国東部時間 ) 米国科学雑誌 Immunity で 公開されます 4. 発表内容 : < 研究の背景 > 現在世界で 3 億人以上いるとされる気管支喘息患者は年々増加の一途を辿っています ステロイドやβ-アドレナリン受容体選択的刺激薬の吸入によ

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2015 年 3 月 26 日放送 第 29 回日本乾癬学会 2 乾癬本音トーク乾癬治療とメトトレキサート 名古屋市立大学大学院加齢 環境皮膚科教授森田明理 はじめに乾癬は 鱗屑を伴う紅色局面を特徴とする炎症性角化症です 全身のどこにでも皮疹は生じますが 肘や膝などの力がかかりやすい場所や体幹 腰部

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アトピー性皮膚炎の治療目標 アトピー性皮膚炎の治療では 以下のような状態になることを目指します 1 症状がない状態 あるいはあっても日常生活に支障がなく 薬物療法もあまり必要としない状態 2 軽い症状はあっても 急に悪化することはなく 悪化してもそれが続かない状態 2 3

により IgG 抗体も産生されⅠ 型アレルギーだけでなくⅢ 型 IV 型アレルギー反応も来す疾患とされている 1) 喘息患者に特有の粘稠な喀疾と閉塞した気道中に Af が定着増殖し 患者がアトピー素因を有するため Af 特異的 IgE 抗体が産生されⅠ 型アレルギー機序により喘息が増悪する また I

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Case 1 著患のない 62 歳男性 Never smoker. 受診 10 日前 軽い咽頭痛と咳そうがあったが 無理を押して中国旅行に出かけた. 旅行中盤以降から徐々に咳漱 喀痰が増え 労作時息切れも出現した. 帰国後も症状続くため 救急外来を受診した. 診察中も湿性咳漱があり 苦しそうであった

とが多いのが他の蕁麻疹との相違点です 難治例ではこの刺激感のために日常生活に支障が生じ 重篤な随伴症状としてはまれに血管性浮腫 気管支喘息 めまい 腹痛 嘔気 アナフィラキシーを伴うことがあります 通常は暑い夏に悪化しますが 一部の症例では冬期の運動 入浴で皮疹が悪化することがあり 温度差や日常の運

2019 年 3 月 28 日放送 第 67 回日本アレルギー学会 6 シンポジウム 17-3 かゆみのメカニズムと最近のかゆみ研究の進歩 九州大学大学院皮膚科 診療講師中原真希子 はじめにかゆみは かきたいとの衝動を起こす不快な感覚と定義されます 皮膚疾患の多くはかゆみを伴い アトピー性皮膚炎にお

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抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

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1 第 章 JPGL2017 の作成方法 CQ

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薬生薬審発 0326 第 7 号平成 31 年 3 月 26 日 都道府県各保健所設置市衛生主管部 ( 局 ) 長殿特別区 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬品審査管理課長 ( 公印省略 ) デュピルマブ ( 遺伝子組換え ) 製剤の 最適使用推進ガイドライン ( 気管支喘息 ) について 経済財政運営

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問


My DIARY ベンリスタをご使用の患者さんへ

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2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

日産婦誌58巻9号研修コーナー

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

用法 用量 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制 mg mg mg mg kg 30kg 40kg 20kg 30kg 10kg 20kg 5kg 10kg 1900mg mg mg mg

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

認識できない外来性の抗原 ( 食物 薬剤 吸入性抗原 ) の体内への持続的侵入によるもの 2 生体内に何らかの異常があるにもかかわらず蕁麻疹との因果関係を認識し得ないもの ( 病巣感染 消化管障害 抗 IgE レセプター抗体の出現など ) 3 全身性疾患の部分症として蕁麻疹が出現している場合 (SL

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

患者向医薬品ガイド 2019 年 5 月改訂 デュピクセント皮下注 300mg シリンジ この薬は? 販売名一般名含有量 (1 製剤中 ) デュピクセント皮下注 300mg シリンジ Dupixent 300mg Syringe for S.C. Injection デュピルマブ ( 遺伝子組換え

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

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患者向医薬品ガイド フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg 2016 年 5 月作成 この薬は? 販売名 フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg Fycompa Tablets 2mg Fycompa Tablets 4mg 一般名 ペランパネル水和物 Perampanel Hydrate

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

第 68 巻第 2 号, o ee 2 歳以下 rw 3~6 歳 ev 7~12 歳 13~15 歳層 16 歳

なる危険因子について検討した と月 1 にピークを認めた 図 このピークは冬型 下気道感染症による入院数のピークと一致していた 図3 方 法 入院児では 流行期におけるRSウィルスおよびインフルエ 対象は 平成1 年1月1日から 平成 年1 ンザウィルス抗陽性例は認めなかった RSウィルス抗 月31

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

Transcription:

表 1. 喘息の長期管理における重症度対応段階的薬物療法 重症度 長期管理薬 : 連用 : 考慮 発作時 ステップ 1 軽症間欠型 喘息症状がやや多い時 ( 例えば 1 月に 1 ~2 回 ), 血中 喀痰中に好酸球増加のある時は下記のいずれか 1 つの投与を考慮 吸入ステロイド薬 ( 最低用量 ) テオフィリン徐放製剤 ロイコトリエン拮抗薬 抗アレルギー薬 短時間作用性吸入 β2 刺激薬または短時間作用性経口 β2 刺激薬, 短時間作用性テオフィリン薬 ステップ 2 軽症持続型 吸入ステロイド薬 ( 低用量 ) 連用 あるいは下記のいずれか連用, もしくは併用する テオフィリン徐放製剤 ロイコトリエン拮抗薬 DSCG 夜間症状, 持続する気道閉塞に吸入ステロイド薬と併用して 長時間作用性 β2 刺激薬 ( 吸入 / 貼付 / 経口 ) アトピー型喘息を主な対象として上記薬剤のいずれかと併用して 抗アレルギー薬 短時間作用性吸入 β2 刺激薬, その他 ステップ 3 中等症持続型 吸入ステロイド薬 ( 中用量 ) 連用下記のいずれか, あるいは複数を吸入ステロイド薬と併用する テオフィリン徐放製剤 長時間作用性 β2 刺激薬 ( 吸入 / 貼付 / 経口 ) ロイコトリエン拮抗薬 Th2 サイトカイン阻害薬併用考慮 JGL1998 & 2006 ステップ 4 吸入ステロイド薬 ( 高用量 ) 連用下記の複数を吸入ステロイド薬と併用する テオフィリン徐放製剤 長時間作用性 β2 刺激薬 ( 吸入 / 貼付 / 経口 ) ロイコトリエン拮抗薬 Th2 サイトカイン阻害薬併用考慮 上記でコントロール不良の場合 経口ステロイド薬を追加 短時間作用性吸入 β2 刺激薬, 短時間作用性吸入 β2 刺激薬, その他 その他 μ

表 2. 現在の治療を考慮した喘息重症度の分類 ( 成人 ) JGL2006 現在の治療ステップ 現在の治療における患者の症状 ステップ 1 ステップ 2 ステップ 3 ステップ 4 ステップ 1: 軽症間欠型相当 症状が週 1 回未満 症状は軽度で短い 夜間症状は月に 1~ 2 回 軽症間欠型 軽症持続型 中等症持続型 ステップ 2: 軽症持続型相当 症状は週 1 回以上, しかし毎日ではない 月 1 回以上日常生活や睡眠が妨げられる 夜間症状が月 2 回以上 ステップ 3: 中等症持続型相当 症状が毎日ある 短時間作用性吸入 β2 刺激薬がほとんど毎日必要 週 1 回以上日常生活や睡眠が妨げられる 夜間症状が週 1 回以上 ステップ 4: 相当 治療下でもしばしば増悪 症状が毎日 日常生活に制限 しばしば夜間症状 軽症持続型 中等症持続型 中等症持続型 最 ステロイド依存性難治性喘息 表 3. 米国胸部疾患学会 (ATS) の難治性喘息 (Refrac toryasthma) の基準 (2000) 1. 半年以上, 持続的な経口ステロイド薬 2. 高容量の吸入ステロイド薬が必要の大項目のいずれか or 両者を満たし, 1 テオフィリンや LTs 拮抗薬の併用が必要 2 β ー刺激薬吸入が毎日必要 3 持続的気道閉塞 (% FEV1< 80%,PEF 日内変動 > 20% ) 4 年間 1 回以上の救急受診 5 年間 3 回以上の短期経口ステロイドの bursts 使用 6 Nearfatalasthma の既往 7 経口 or 吸入ステロイドの 25% 以下の減量で悪化の小項目 2 つ以上を満たす.(Step2~ 3 を維持 ) FP: プロピオン酸フルチカゾン BUD: ブデソニド BDP: プロピオン酸ベクロメタゾン %FEV1:1 秒率 PEF: ピークフロー FP 880 μg BUD 1,200 BDP 1,260

表 4. コントロールレベルを基準にした喘息治療の管理 Dificult-to-treatasthma ステップ 1 ステップ 2 ステップ 3 ステップ 4 喘息治療に関する教育, 環境のコントロール GINA 2006 ステップ 5 SABA の頓用 SABA,( 抗コリン薬, 一部の LABA, 短時間作用性テオフィリン薬 ) の頓用 長期管理薬の選択 1 つを選択 低用量の ICS LTRA 1 つを選択 低用量の ICS +LABA 中 / 高用量 ICS 低用量 ICS +LTRA 低用量 ICS + テオフィリン徐放製剤 1 つ以上を追加 中 / 高用量 ICS +LABA LTRA テオフィリン徐放製剤 SABA: 短時間作用性 β2 刺激薬,LABA: 長時間作用性 β2 刺激薬, LTRA: ロイコトリエン受容体拮抗薬 1 つか両方を追加 経口ステロイド薬 ( 必要最低量 ) 抗 IgE 治療 表 5. 難治性喘息の規定要因の相違点 ステロイド 症状 判定 対象患者 重症度の概念 St: ステロイド JGL1998 St. 依存性難治 経口 PSL 10 mg/ 日 ( 日常生活が可能 ) 容易 限定 (St. 量が最多 ) 喘息の病態 ( 最重度 ) JGL2006 最重症 BDP 800 μg 症状 Step4 複雑 ( 多項目 & 要重症度変更 ) 限定 (Step4 のみ ) 現治療での管理状況 ATS 2000 RefractoryA. BDP 1,260 μgor 経口 PSL を半年以上 拡張薬が必要 PEF 症状 Step2~ 3 日常管理が不安定 複雑 ( 多項目 ) 広範囲 現治療での管理状況 GINA 2006 Dificult-totreatasthma 必要最低量の経口ステロイド 症状をコントロールできない Step5 容易 比較的限定 現治療での管理状態

1.6% 4.6% 8.2% 図 1. 重症難治性喘息の頻度

図 2. ステロイド依存性喘息の臨床像ー発症からステロイド依存に至る期間

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 表 6. 重症度別における各症例毎の気道炎症指標と器質化指標の関与 軽 中等症群 ( ステップ 1~ 2) 炎症指標器質化指標年齢 ( 発症年齢 ) 中枢末梢 IgE 系 Eos. 肺胞気道気道 48(30) 68(42) 70(48) 60(53) 65(57) 45(40) 58(56) 57(34) 56(50) 67(57) 58(41) 56(18) 50(35) 60(54) 69(58) 67(61) 66(57) 66(42) 44(44) 72(58) 70(55) 72(59) 62(50) 57(55) 副腎機能低下 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 重症 難治群 ( ステップ 4) 炎症指標器質化指標年齢 ( 発症年齢 ) 中枢末梢 IgE 系 Eos. 肺胞気道気道 60(40) 82(42) 75(40) 81(60) 88(74) 61(34) 49(30) 75(65) 59(44) 55(35) 56(24) 70(45) 69(53) 57(23) 41(29) 58(36) 42(30) 64(26) 副腎機能低下 症例 1~ 11( 重症群 ):5 PSL< 10 mg 症例 12~ 18( 難治群 ):10 mg PSL Eos: 好酸球

Under Treatment 図 3. 喘息重症化のメカニズム

Δ Δ 図 4. 重症喘息増悪 * に及ぼす IgE 抗体療法 omalizumab の抑制効果 α α

α 図 5. TNF を介するアレルギー性炎症 ( 重症喘息 ) の抑制機序 α αα α α β β