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2 原子の構造人類は誕生以来 物質を構成する最小の要素について知恵を巡らせてきました 例えば 紀元前 5 世紀ごろの古代ギリシャの哲学者は 全ての物質は有限で分割不可能なアトムからできている と考えました 今日までに数多くの原子模型が提案されてきました 現在では 原子は電子と原子核からなり 原子核は

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基礎現代化学 ~ 第 10 回 ~ 分子間に働く力 通知 : 期末試験 (7 月 30 日 ( 水 )5 限 ) 通知 : レポート締切 (7 月 11 日 ( 金 )16:00 ) 教養学部統合自然科学科 小島憲道 2014.06.11

第 1 章原子 1 元素の誕生 2 原子の電子構造と周期性第 2 章分子の形成 1 化学結合と分子の形成 2 分子の形と異性体第 3 章光と分子 1 分子の中の電子 2 物質の色の起源 3 分子を測る第 4 章化学反応 1 気相の反応 液相の反応 2 分子を創る第 5 章分子の集団 1 分子間に働く力 2 分子集合体とその性質 Ⅰ 3 分子集合体とその性質 Ⅱ 参考書 現代物性化学の基礎 小川桂一郎 小島憲道共編 ( 講談社サイエンティフィク ) 原子 分子の現代化学 田中政志 佐野充著 ( 学術図書 )

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分子間力 1. 水素結合 2. ファンデルワールス力 δ + δ δ + r δ q q δ + 3. 電荷移動相互作用 δ + δ

分子の極性の尺度 : 双極子モーメント 共有結合 ( 等核 ) 共有結合 ( 異核 ) イオン結合 δ δ+ A ー A A ー B A B + 1 +1 結合の分極の増大 2.1 Li 1.0 Na 0.9 Be 1.5 Mg 1.2 Pauling の電気陰性度 B 2.0 Al 1.5 C 2.5 Si 1.8 N 3.0 P 2.1 3.5 S 2.5 F 4.0 Cl 3.0 e Ne Kr A μ q q+ 双極子モーメント μ = eql [C m] B e: 電気素量 q: 部分電荷 l : 結合距離 電気陰性度の異なる原子間の結合では 結合を形成する電子の分布に偏りが生じる 原子上に生じた正負の電荷の絶対値に 結合距離をかけたものを双極子モーメントと言う 双極子モーメントはベクトルで表され 電場をかけると偶力により回転する

- - - - (( + (( + 双極子モーメントの求め方 μ μ + + + + + - - - - + + + + + + + f(ε r ) (( (( (( (( (( (( (( (( (( (( 高温 2 f ( ) μ ε r T 傾きからμ が求まる温度の逆数 (1/T) 低温 ε r = C C 0 C 0 : 空のコンデンサ容量 C: 中身の入ったコンデンサの容量 気体や液体中にある分極した分子の双極子モーメントの向きは 熱運動によりばらばらの動きをしている これをコンデンサ中に入れ電場をかけると 熱運動に拮抗しながら電場の強さに比例して配向する 温度が下げると電場に配向する割合が増大し バラバラの度合いが減少するのでコンデンサの容量 (C) は大きくなる この性質を利用して 双極子モーメントの大きさが求めることができる

q 塩化水素 Cl の場合 μ = eql [C m] Cl μ 1.274 Å q+ 部分電荷 q の求め方 μ = 3.70 10-30 C m ( 実測値 ) e = 1.6022 10-19 C 二原子分子の電子分布の等高線 q q l q+ l 1 +1 30 3.70 10 C m 19 (1.6022 10 C) (1.274 10 = 10 m) = 実際の分子 (0 < q < 1) イオン結合 0.18 Li ー F ー F ー F

分子の形と双極子モーメント 水分子 : μ 様々な結合に対する双極子モーメント (μ [10-30 C m]) C 1.33 C C 0 C F 4.70 C=C 0 5.03 C N 0.73 C Cl 4.87 C C 0 N 2.91 C 2.47 C Br 4.60 C= 7.67 105 º μ total μ cos 双極子モーメントはベクトル量であり 各結合の双極子モーメントの和が分子の双極子モーメントとなる メタン : アニモニア : μ total = 2μ 105 2 = 6.07 10 30 C m C 極性なし μ = 0 C m N μ = 4.94 10-30 C m 極性あり ( 水に溶けない ) ( 水に溶ける )

異核二原子分子の結合にみられる電荷の偏り ( 分極 ) Z A e Z B e A + B A δ B δ+ caφ A c B φb ψ AB = c AφA + cbφb ( c > c ) B A 底の傾いだポテンシャル

斥力 引力

1) 水素結合とは : : : : 1s sp 3 混成軌道 価電子 6 個 孤立電子対 q q +q : : +q 電気陰性度 > q = 0.23 δ + δ δ + r δ q q 静電相互作用ポテンシャル δ + q q r

水素化合物の融点と沸点

氷の結晶構造 : 水素結合を含め 4 本の結合が存在する

水素結合性結晶 水素結合 安息香酸 m.p. 122 ºC 孤立電子対 ( 二個 ) sp 2 sp 2 混成軌道

結晶中の分子配列に及ぼす双極子モーメントの効果 : ベンゼン誘導体の結晶構造 N 2 ベンゼン ニトロベンゼン δ N 2 ベンゼンに極性基 ( ニトロ基 ) を導入すると分子の極性 ( 双極子モーメント ) が生じる 結晶中の配列が 双極子モーメント間の相互作用で決まる ( 逆平行 ) δ+ N 2 分子間力 : 双極子ー双極子相互作用

水素結合が作る分子アーキテクチャ ~ 尿素の結晶構造 ~ N C N プロトン供与部 プロトン受容部 水素結合 δ N δ + : : C δ δ + 静電的相互作用 sp 2 混成

尿素による包接化合物 N C N Cl C 2 C 2 C 2 C 2 Cl 尿素 1,4- ジクロロブタン 蜂の巣格子 (honeycomb structure)

水素結合が作る分子ふるい P 1 P 1 P 1 P 2 P 1 P 2 P 2 P 1 尿素 溶媒 P 2 P 2 P 2 P 2 ろ別 尿素と P 1 による包接結晶 P 2 P 2 P 2

2. ファンデルワールス力とは δ + δ δ + δ δ δ + δ δ + 双極子 - 双極子双極子 - 誘起双極子 μ 0 μ 0 μ = 0 δ δ+ δ δ + δ δ + δ 四極子 - 四極子 δ δ δ + 誘起双極子 - 誘起双極子 μ = 0 μ = 0

双極子 - 双極子相互作用 N 2 δ N 2 ニトロベンゼン m.p. 6.0 ºC δ + N 2 N C N N δ + C N δ 尿素 N C N

誘起双極子 - 誘起双極子相互作用 ( 分散力 ) の原因 電場中での無極性分子の電子分極により誘起双極子モーメントが生ずる δ + δ + δ δ + δ δ + δ δ + + + + 電場のない場合でも無極性分子間に誘起双極子モーメントによる引力的な相互作用が働く δ δ + δ δ + δ δ + 分散力 δ + δ δ + δ δ + δ δ δ + δ δ + δ δ +

ドナー アクセプター 3. 電荷移動相互作用とは 電子を与えやすい分子 ( ドナー :D) と受けやすい分子 ( アクセプター :A) を混ぜると ドナーからアクセプターへ電子が受け渡され錯形成する D A D δ+ A δ

ヒドロキノン 電荷移動によるキンヒドロンの生成 パラキノン ヒドロキノン パラキノン.. LUM...... M ΔE 1 ΔE 2 ΔE'.. 分子内の吸収.. E = hν = 分子間の吸収 hc λ.... 光の吸収 : ΔE' < ΔE 1, ΔE 2 速やかに錯形成し黒色金属光沢の分子に変化する 長波長の光を吸収

分子軌道からバンドへ 現代物性化学の基礎 小川桂一郎 小島憲道共編 ( 講談社サイエンティフィク )

π π* 遷移による光吸収 共役系が伸びるに従い 小さいエネルギーの光吸収で励起される hν = ΔE = E LUM E M を満たす光のみ吸収される LUM hν ΔE ΔE hν LUM M M エチレン M(ighest ccupied Molecular rbital): 最高被占軌道電子の入った軌道のうちで エネルギーのもっとも高いもの LUM(Lowest Unoccupied Molecular rbital): 最低空軌道空軌道のうちで エネルギーのもっとも低いもの ブタジエン

共役ポリエンの溶液の色 ε x 10-3 (n = 2,3,5,6) 180 160 140 120 100 (C=C) n n = 1 エチレン n = 2 ブタジエン n = 3 ヘキサトリエン n = 4 オクタテトラエン n = 5 デカペンタエン n = 6 ドデカヘキサエン n = 7 テトラデカヘプタエン n = 8 ヘキサデカオクタエン n = 10 エイコサデカエン 165 nm 217 nm 268 nm 304 nm 334 nm 364 nm 390 nm 420 nm 450 nm C C C C C C n = 3 相対強度 (n = 8,10) 0.8 0.6 80 ( オクタン中 ) 0.4 60 40 20 0 n = 10 n = 2 n = 3 n = 5 n = 6 n = 8 200 240 280 320 360 400 440 480 波長 / nm 0.2 0.0

ポリアセチレンと白川英樹博士のノーベル化学賞 ポリアセチレンの構造 http://www.google.co.jp/kagaku21.net 非常に共役数の長いポリエン化合物として 1958 年にジュリオ ナッタらがチーグラー ナッタ触媒で アセチレンを重合させ 黒色の不溶 不融な粉末としてポリアセチレンの合成に成功した その後 旗野らの研究によりこのポリアセチレンは長い共役 2 重結合を導電経路とした電気伝導が行われる典 型的な有機半導体の 1 つであることが明らかにされたが 不溶 不融の粉末であったため高分子の基 本的な性質である分子量を測定することができず また期待された特異な電気的 光学的な性質も 十分に測定できなかった しかし 1967 年 東京工業大学の池田 白川研究室に在籍していた学生が触媒の濃度を m の文字 に気づかず 1000 倍にするという失敗が元となり 従来より濃厚なチーグラー ナッタ触媒の界面にて アセチレン重合を行うことで薄膜状のポリアセチレンを得ることに成功し その構造と性質について詳細な研究を行った さらに 1977 年に白川博士らはポリアセチレンにヨウ素などの電子受容体 ( アクセ プター ) やアルカリ金属などの電子供与体 ( ドナー ) をドーピングすることで 10 2 S/cm と金属に匹敵す る電気伝導度を示すことを見出した これにより 導電性高分子の道が拓かれた http://www.google.co.jp

自由電子と金属結合 自由電子は 多数の陽イオンの間を自由に動き回りながら金属の陽イオンを結びつけている このように 金属の陽イオンが金属結合によって規則正しく配列した結晶を金属結晶という 3s 3s Na 2p 2s 1s 2p 2s 1s 3.73 Å Na Na Na Na Na 金属ナトリウムの電子構造 3s Na Na 2 Na 3s 空軌道 被占軌道 Na 2 の分子軌道 Na 3 Na 4 Na 5 Naの数が増すほど軌道間隔が狭くなる Na ( 金属ナトリウム )

アルカリ元素の単体が最密充填構造をとらない原因 :3p 軌道の寄与

単体の凝集エネルギーと周期律 Pd 遷移元素単体の凝集エネルギーが高いのは d 軌道のバンドが凝集エネルギーに寄与しているためである 岩波講座現代化学 5 周期表の化学 p. 96

非金属元素の同素体と周期律

多重極端条件で眺めた固体ヨウ素 : 圧力誘起分子解離 1 気圧,7.4 万気圧,15.3 万気圧における固体ヨウ素の電子分布 高圧下 X 線構造解析によ る固体ヨウ素の電子分布 の圧力変化 固体ヨウ素は21 万気圧を超えると分子内と分子間の化学結合が等価になり 金属になる 1 GPa = 1 万気圧 藤久裕司, 高圧力の科学と技術, 5, 160 (1996).

固体ヨウ素は極低温 超高圧下で超伝導体となる ダイヤモンドを用いた高圧発生装置 50 mm マイスナー効果 電気抵抗 天谷喜一, 石塚守, 清水克哉, 他, 固体物理,28, 435 (1993).

固体酸素は高圧下で超伝導になる 電気抵抗 電気抵抗 100 万気圧かけると酸素は金属となり 0.5 K で超伝導体となる 清水克哉, 高圧力の科学と技術,10, 194 (2000).

超伝導を示す元素 ( 単体 ) 小川桂一郎 小島憲道編 新版 物性化学の基礎 講談社 (2010)

地球の内部構造と圧力 現在では ダイヤモンドの先端で地球の中心部の圧力を発生させることができる http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/research_highlights/no_57/