佐藤委員提出資料

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の手支援策の紹介事例の紹介1 ページに記載した法改正の趣旨や内容を十分に理解した上で 以下の手順で制度導入を進めましょう STEP 1 STEP 1 STEP 2 STEP 3 STEP 4 有期社員の就労実態を調べる社内の仕事を整理し 社員区分ごとに任せる仕事を考える適用する労働条件を検討し 就業

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - H29 結果概要

無機転換_0425_id8_入稿.indd

参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

厚生労働省発表

(2) 労働者人口の減少 一方労働人口は減少しつつあり 推計値では 2025 年には 6300 万人まで減少見込みとなっております 問題点 以下のような状況の中で今後どのように労働者を確保して 企業を活性化させるか? 条件 1 労働者人口が減少する 2 フルタイム労働者が減る 3 未熟練従業員が増え

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

3. 無期労働契約への転換後の労働条件無期労働契約に転換した後の職務 勤務地 賃金 労働時間等の労働条件は 労働協約 就業規則または個々の労働契約等に別段の定めがない限り 直前の有期労働契約と同一になるとされており 無期転換に当たって職務の内容などが変更されないにもかかわらず 無期転換後の労働条件を

Ⅲ コース等で区分した雇用管理を行うに当たって留意すべき事項 ( 指針 3) コース別雇用管理 とは?? 雇用する労働者について 労働者の職種 資格等に基づき複数のコースを設定し コースごとに異なる配置 昇進 教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます ( 例 ) 総合職や一般職等のコースを設定し

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「限定正社員制度」は安定的雇用拡大の決め手となりうるか

Microsoft Word - 4AFBAE70.doc

Microsoft Word - 様式第1号 キャリアアップ計画書 記入例

限定正社員に関する議論の整理-規制改革会議 雇用ワーキング・グループの提案を受けて

本日の内容 1. 短時間正社員の定義とそのタイプ 短時間正社員は多様化する正社員のうちの 1 つ 2. 短時間正社員の必要性 社会的要因 労働者側の要因 企業側の要因 3. 短時間正社員制度を機能させるための仕組み : 制度構築 雇用管理 4. 総括

職場環境 回答者数 654 人員構成タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % % 質問 1_ 採用 回答 /654 中途採用 % 新卒採用 % タ

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Microsoft Word - Notes1104(的場).doc

スライド 1


Microsoft PowerPoint

Microsoft Word - 改訂 H28 H27施行状況記者発表(リード文)

平成 27 年改正の概要 ( サマリー ) 一般労働者派遣事業 ( 許可制 ) 特定労働者派遣事業 ( 届出制 ) 26 業務 期間制限なし 26 業務以外 原則 1 年 意見聴取により最長 3 年まで 規定なし 規定なし 1. 許可制への統一 2. 派遣契約の期間制限について すべての労働者派遣事

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働

Microsoft PowerPoint - 2の(別紙2)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保【佐賀局版】

務が他の職種の職務と明確な差異がある場合には 解雇回避努力の内容として 配置転換や職務転換に限られず 退職金の上乗せ 再就職支援等をもって解雇回避努力を尽くしたとされる場合があり 他方 限定された職務が高度な専門性や高い職位を伴わない場合 あるいは当該職務が他の職種の職務と差異が小さい場合には 解雇

労働力調査(詳細集計)平成29年(2017年)平均(速報)結果の概要

スライド 0

働き方の現状と今後の課題

短時間 有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 について ( 同一労働同一賃金ガイドライン ) 厚生労働省雇用環境 均等局有期 短時間労働課職業安定局需給調整事業課

第22回規制改革会議 資料3

スライド 1

契約の終了 更新18 無期労働契約では 解雇は 客観的に合理的な理由を欠き 社会通念上相当であると認められない場合 は 権利濫用として無効である と定められています ( 労働契約法 16 条 ) 解雇権濫用法理 と呼ばれるものです (2) 解雇手続解雇をする場合には 少なくとも30 日前に解雇の予告

今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

1 なぜ 同一労働同一賃金 が導入されるのか? 総務省統計局労働力調査 ( 詳細集計 ) 平成 30 年 (2018 年 )7~9 月期平均 ( 速報 ) によると 非正規労働者数は 2,118 万人 ( 前年同期比 68 万人増加 ) 正規労働者数は 3,500 万人となっています 役員を除く雇用

「多様な正社員」と非正規雇用

第第第ライフスタイルに対する国民の意識と求められるすがた50 また 働いていないが 今後働きたい と回答した人の割合は 男性では 7.4% であるのに対し て 女性は19.1% である さらに 女性の中では 30 代の割合が高く ( 図表 2-1-2) その中でも 特に三大都市圏で高い割合となってい

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

Microsoft Word - 調査結果速報_

中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル

2019 年 3 月 経営 Q&A 回答者 Be Ambitious 社会保険労務士法人代表社員飯野正明 働き方改革のポイントと助成金の活用 ~ 働き方改革における助成金の活用 ~ Question 相談者: 製造業 A 社代表取締役 I 氏 当社における人事上の課題は 人手不足 です 最近は 予定

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

(参考)女性の活躍推進企業データベース記入要領

Microsoft PowerPoint - 【資料3-2】高年齢者の雇用・就業の現状と課題Ⅱ .pptx

4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます

①資料No.3の表紙

4 子育てしやすいようにするための制度の導入 仕事内容への配慮子育て中の社員のため以下のような配慮がありますか? 短時間勤務ができる フレックスタイムによる勤務ができる 勤務時間等 始業 終業時刻の繰上げ 繰下げによる勤務ができる 残業などの所定外労働を制限することができる 育児サービスを受けるため

日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

スライド 1

共通事項 1 キャリアアップ 管理者情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 奨励金対象労働者数 ( 全労働者数 ) 9 企業規模 ( 該当

従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

無期転換小冊子_0713.indd

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)  レベル診断チェックシート

あおもり働き方改革推進企業認証制度 Q&A 平成 29 年 12 月 14 日 Vol.1 目次 1 あおもり働き方改革推進企業認証制度全般関係 Q1 県外に本社がある場合はどのように申請できるのか P1 2 あおもり働き方改革宣言企業関係 Q2 次世代法に基づく一般事業主行動計画とはどういうものか

BLT0706特集1(4c).indd

が発生した場合 どのように対応していますか 本書を読んで対応策を検討してください また 第 2 部では 平成 26 年 4 月に改正され 27 年 4 月に施行されたパートタイム労働法に対応するための実務について述べています パート専用就業規則例を掲載し ポイント解説をしています さらに 第 3 部


採用者数の記載にあたっては 機械的に採用日の属する年度とするのではなく 一括 採用を行っている場合等において 次年度新規採用者を一定期間前倒しして雇い入れた 場合は 次年度の採用者数に含めることとしてください 5 新卒者等以外 (35 歳未満 ) の採用実績及び定着状況採用者数は認定申請日の直近の3

小-労働法ハンドブック-18.indd

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働 者

調査結果 1. 働き方改革 と聞いてイメージすること 男女とも 有休取得 残業減 が 2 トップに 次いで 育児と仕事の両立 女性活躍 生産性向上 が上位に 働き方改革 と聞いてイメージすることを聞いたところ 全体では 有給休暇が取りやすくなる (37.6%) が最も多く 次いで 残業が減る (36

平成 年 2 月 日総務省統計局 労働力調査 ( 詳細集計 ) 平成 24 年 10~12 月期平均 ( 速報 ) 結果の概要 1 Ⅰ 雇用者 ( 役員を除く ) 1 1 雇用形態 2 非正規の職員 従業員の内訳 Ⅱ 完全失業者 3 1 仕事につけない理由 2 失業期間 3 主な求職方法 4 前職の

この冊子を手に取っている皆さんへ

この冊子を手に取っている皆さんへ

目次. 独立行政法人労働政策研究 研修機構による調査 速報値 ページ : 企業調査 ページ : 労働者調査 ページ. 総務省行政評価局による調査 ページ

Microsoft PowerPoint - いしかわの「働き方改革」H30.4

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

無期契約職員就業規則

等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

18歳人口の分布図(推計)

スライド 1

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

Microsoft Word - 様式第1号 キャリアアップ計画書記入例(全国版)

調査結果のポイント 従業員採用状況について 平成 28 年度 (H28.4 ~ H29.3) は 計画どおり もしくは計画より多く採用した と回答した企業が69% 採用計画について 29 年度 (H29.4 ~ H30.3) は 28 年度実績と比較し 増やす と回答した企業と 減らす と回答した企

2015年 「働き方や仕事と育児の両立」に関する意識(働き方と企業福祉に関する

自動的に反映させないのは133 社 ( 支払原資を社内で準備している189 社の70.4%) で そのうち算定基礎は賃金改定とは連動しないのが123 社 (133 社の92.5%) となっている 製造業では 改定結果を算定基礎に自動的に反映させるのは26 社 ( 支払原資を社内で準備している103

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2018年度の雇用動向に関する道内企業の意識調査

平成22年度産業経済研究委託事業,多様な雇用形態と産業界への影響に関する実態調査報告書

今後 この政府のガイドライン案をもとに 法改正の立案作業を進め 本ガイドライン案については 関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて 最終的に確定する また 本ガイドライン案は 同一の企業 団体における 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正することを目的としているため

育児休業制度の概要

- 調査結果の概要 - 1. 改正高年齢者雇用安定法への対応について a. 定年を迎えた人材の雇用確保措置として 再雇用制度 導入企業は9 割超 定年を迎えた人材の雇用確保措置としては 再雇用制度 と回答した企業が90.3% となっています それに対し 勤務延長制度 と回答した企業は2.0% となっ

男女間の賃金格差問題に関する研究会報告

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9-1 退職のルール 職することは契約違反となります したがって 労働者は勝手に退職することはできません 就業規則に 契約期間途中であっても退職できる定めがある場合には それに従って退職できることになりますが 特段の定めがない場合には なるべく合意解約ができるように 十分話し合うことが大切です ただ

160 パネリスト講演 1 労働市場における男女格差の現状と政策課題 川口章 同志社大学の川口です どうぞよろしくお願いします 日本の男女平等ランキング世界経済フォーラムの 世界ジェンダー ギャップレポート によると, 経済分野における日本の男女平等度は, 世界 142 か国のうち 102 位です

1 非正規雇用者用 働き方 に関するアンケート あなた自身についてお答えください F1. 性別 ( ひとつだけ ) 1. 男性 2. 女性 F2. 生年月日 ( 西暦 )19 年月 ( 生まれ ) F3. 最終学歴 ( ひとつだけ ) 在学中の場合は在学中の学校を 中途退学の場合はその前の学歴を選ん


労働力調査(詳細集計)平成24年平均(速報)結果の要約

第41回雇用WG 資料

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 ( 事業所情報欄 ) 1 事業主名 ( - ) 2 事業所住所 3 電話番号 ( ) 5 雇用保険適用 - 事業所番号 4 事業所の 担当者 - 都道府県所掌管轄基幹番号枝番号 6 労働保険番号 - ( 代理人 社会保険労務士による提出代行者または事務代

4-1 育児関連 休業期間を有給にするか 無給にするかは 就業規則等の定めに従います また 雇用保険に加入している労働者には 国から給付金が支給されます (P106 参照 ) 産前産後休業期間中及び育児休業期間中は 労働者 使用者とも申請により社会保険料が免除になります 育児休業の対象者 ( 第 5

「組織マネジメントに関する調査」結果(概要)

目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

Microsoft PowerPoint - 020_改正高齢法リーフレット<240914_雇用指導・

必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲内で 3 回を上限として介護休業をすることができる ただし 有期契約従業員にあっては 申出時点において 次のいずれにも該当する者に限り 介護休業をすることができる 一入社 1 年以上であること二介護休業開始予定日から 93 日を経過する日から

Transcription:

資料 3 第 2 回成長のための人的資源 活用検討専門チーム 佐藤博樹 東京大学大学院情報学環 2013 年 3 月 4 日 1

目指すべき雇用社会の在り方 第 1 回の研究会報告の趣旨に賛成 安藤委員 : 普通の人がそれなりに暮らせる社会 山田委員 : ライフステージに応じた 働き方ポートフォリオ そのために必要な取り組みのいくつか 安藤委員 : 雇用形態を多様化することで 一社での長期雇用のみを目指すのでなく 結果として仕事や収入が途切れない環境へ 山田委員 : 日本的雇用システム自体でなく それを含む雇用システム全体の在り方が課題 正規 非正規の二重構造 の打破 2

企業の人的資源管理の視点から 2 つの課題に関して いわゆる正社員といわゆる非正社員の人材活用の多元化に伴う課題 不確実性が高まる市場環境下における企業の人材活用と働く人々のキャリア形成 継続との間の調整の課題 3

法改正が必要な課題は少ない 企業の選択と行動で変革が可能な部分が少なくない ただし 企業の人事セクションによる革新が期待できない状況にある 法順守と革新に不可欠なリスク テイクは両立可能であるが この点に関する理解がない 4

正社員と非正社員 の人材活用の相違 5

正社員の人材活用 労働契約期間が無期契約で 通常勤務の労働時間 ( 短時間でない ) で 就業する企業に直接雇用される者 ( 派遣でない ) さらに配置転換 ( 転勤 ) や残業などがある働き方 ( 勤務する事業所 職場 配置される業務などを限定せずに かつ 残業を命じることがある と規定された就業規則の下で雇用されるなど ) 正社員 = 無限定雇用 6

非正社員の人材活用 労働契約期間に定めが有り ( 有期契約 ) 配置転換 ( 転勤 ) などなく 事業所限定や職場限定で キャリアが限定的で 主に補助的業務に従事 労働時間は 通常勤務で残業無し 通常勤務で残業有り 短時間勤務など多様で 直接雇用だけでなく間接雇用 ( 派遣 ) も = 多様で異質 有期契約であるが これまでは契約更新型が多い 非正社員 = 限定雇用 7

正社員と非正社員の 人材活用の相違を踏まえると 有期契約の非正社員 ( 限定雇用 ) をそのまま無期転換することで 人材活用面で正社員 ( 無限定雇用 ) に転換できるわけではない 両者の人材活用の 違い の壁を超えることができないと 正社員 ( 無限定雇用 ) への転換は困難 たとえば 正社員登用制度における登用基準 ( 仕事の変化への対応 通常勤務 + 残業 新人の指導等 ) など 非正社員の相当部分は 無期雇用への転換を望んでも 無限定雇用への転換を望んでいない 他方で 労働政策の動向を見ると 非正社員の正社員転換が重要な政策課題とされる 8

雇用構造の 3 層化 1987 年 2007 年 常用雇用 87.2% A 正規雇用 80.3% 常用雇用 86.1% A 正規雇用 64.4% B C 常用 非正規雇用 6.9% 臨時 非正規雇用 12.6% 非正規雇用 19.5% B C 常用 非正規雇用 21.7% 臨時 非正規雇用 10.9% 非正規雇用 32.6% 雇用者の総数 ( 役員を除く ) 4,306 万人 雇用者の総数 ( 役員を除く ) 5,326 万人 注 1) 上記の数字は役員を除く雇用者に対する比率を表す 正規雇用とは 勤め先で正社員 ( 調査では 正規の職員 従業員 ) と呼ばれている者を指す 常用雇用とは 雇用契約期間に定めがないもしくは雇用契約期間が 1 年以上の者を指す 常用 非正規雇用は 雇用契約期間に定めがないもしくは雇用契約期間が 1 年以上の非正規雇用者 ( 正規の職員 従業員以外と回答した者 ) 臨時 非正規雇用は雇用契約期間が 1 年未満の非正規雇用者 ( 同上 雇用契約期間が 1 カ月未満の日雇を含む ) である 正規雇用と回答しかつ雇用契約期間が 1 年未満の 臨時 あるいは 日雇 と回答した者 (2007 年では 0.3%) は 正規雇用に含めている ( 注 2) 構造を把握しやすくするため 上記の図は 正規雇用 常用 非正規雇用 臨時 非正規雇用にまたがる派遣労働者 ( 調査では 労働者派遣事業所の派遣社員 ) を除いている 1987 年の派遣労働者は 9 万人 役員を除く雇用者 4,306 万人に対する割合は 0.2% 2007 年の派遣労働者は 161 万人 役員を除く雇用者 5,326 万人に対する割合は 3.0%( 常用の派遣労働者 1.9% 臨時の派遣労働者 1.1%) である 出所 : 総務省統計局 就業構造基本調査 9

正社員と非正社員の人材活用の変化 1 時間制約 のある正社員の増加 WLB 実現のための働き方改革 育児 介護休業法の改正 : 短時間勤務の措置義務化 正社員の人材活用の限定化の進展 非正社員活用の量的拡大が 非正社員の基幹労働力化を促進 非正社員の人材活用の無限定化の進展 改正労働契約法への対応が 無期契約 移行対象層 に対する無限定化を促進 10

正社員の多様化の現状 (1987 社の 3245 の雇用区分の類型 多様な雇用形態による正社員に関する研究会調査 2011 年 ) 11

区分 図表 1 定義 各雇用区分の定義 1. 就業規則や労働契約で 仕事の範囲を限定していないし 実際の範囲も限定さ れていない いわゆる正社員 2. 労働時間が 同一企業における他の雇用区分の労働時間と同じあるいは相対的 に長い 3. 就業規則や労働契約で所定外労働を行うこともある旨を定めている 4. 就業規則や労働契約で 勤務地を限定していない 上記 4 点を同時に満たす雇用区分 職種限定 就業規則や労働契約で仕事の範囲を限定していないが 実際の範囲は限定されてい る あるいは就業規則や労働契約で仕事の範囲を限定している 多様な正社員 複数該当の場合あり 労働時間限定 a 所定労働時間が 同一企業における他の雇用区分に比べ 相対的に短い 労働時間限定 b 就業規則や労働契約で 所定外労働を行うこともあると定めていない 勤務地限定 就業規則や労働契約で 勤務地を 転居を伴わない地域への異動 に限定している あるいは就業規則や労働契約で 勤務地を 採用時の勤務地のみ に限定している その他正社員 上記 多様な正社員 区分を決定する設問において限定項目に該当せず かつ その 他 と回答した項目があったため いわゆる正社員 と 多様な正社員 のいずれ にも該当しない雇用区分 一部無回答正社員 上記 多様な正社員 区分を決定する設問において限定項目に該当せず かつ無回答 の項目があったため いわゆる正社員 多様な正社員 その他限定正社員 の いずれにも該当しない雇用区分 12

正社員と非正社員の人材活用の変化 2 正社員と非正社員の現実の働き方 ( 企業の人材活用 ) は 二極化でなく重複化 多元化 正社員の限定雇用化非正社員の無限定雇用化 正社員と非正社員のキャリアの連結可能性が高まる 但し人事管理や労使関係においで整備すべき課題が生じる 13

人事管理上のいくつかの課題 正社員における労働時間限定の雇用区分なかでも短時間勤務の雇用区分の開発 いわゆる正社員と限定型の多様な正社員の雇用区分間の処遇の均衡 均等ルールの整備 ( 水準 + 処遇の決定方法 正社員の雇用区分設定と昇進上限の関係の整理 いわゆる正社員と限定型の多様な正社員の間の雇用保障の均衡 均等ルールの整備 正社員内および正社員 非正社員間の雇用区分間の転換ルールの整備 14

雇用保障の多元化の必要性 15

特約のついた期間の定めのない労働契約 特約とは 勤務地や職種等に対する合理的な限定が付されている場合において その勤務先や職種等での仕事の継続ができなくなった場合は 解雇できるとするもの 特約にもとづく解雇は 労働契約法第 16 条 ( 特に整理解雇の 4 要素 ) の適用において権利濫用にあたらないと法解釈 新たな正規社員モデル の定着化の条件 1 企業の就業規則において 勤務地限定社員 職種限定社員等の契約類型を明確に定める これらの社員の解雇事由には 一般の正規社員と異なり 限定された勤務地や職種等の仕事が消失した場合を解雇事由に加える 2 その契約類型にもとづく採用であることを労働契約条件として書面にして交わす 3 解雇の手続きとして 労働者側と十分な協議を行う ( 出所 ) 雇用のあり方に関する研究会 (2009) 正規 非正規 2 元論を超えて : 雇用問題の残された課題 リクルートワークス研究所 16

整理解雇に関する法理 解雇権濫用法理 : 解雇には正当な理由が必要 整理解雇に関する法理 : 経済的事情による解雇が有効と認められるための四要件 1 経営上の人員整理の必要性 2 解雇回避努力の実施 ( 時間外の削減 配置転換による雇用維持 非正規の雇い止めなど ) 3 合理的な被解雇者の選定基準 4 労使協議 17

市場環境変化と企業の人材活用 高齢者の雇用機会確保を中心 18

定年年齢までの雇用機会の提供が難しい市場環境に 定年年齢の引き上げ = 企業が社員に提供すべき雇用機会の長期化 市場環境や技術構造などの持続的 非連続的変化 変化に関する不確実性の増大 企業の存続確率の低下 企業が必要とする人材要件の持続的 非連続的変化 定年年齢の引き上げ = 社員に提供すべき雇用期間の拡大 長期継続雇用維持の難しさの増大 長期継続雇用を維持する前提として 職務遂行能力の柔軟性や転換能力を支える高い学習意欲 学習能力の持続が社員に求められる = 理論的知識 が重要に 特定企業での雇用継続に加えて 転職による雇用継続の重要性が高まる 19

キャリアのいくつかの節目での企業外を含めたキャリア選択機会の提供が重要に 30 歳代半ばや 50 歳前後など 企業が将来のキャリアや仕事像などの情報を可能な範囲で示して 社員が選択や自己投資の方向を決めることができるようにする 企業と社員の相互の選択によるキャリア形成へ キャリアカウンセラー 転職支援ビジネスなど転職市場の整備 異業種間 異職種間の転職環境の整備 20

定年制にカバーされていない 雇用者の増加 有期契約雇用者の増加 年齢を理由とする採用差別禁止が より重要となる 21

有期契約雇用者の比率 役員を除く 55 歳から 59 歳の雇用者に占める 非正規社員の比率 ( 主に有期契約雇用者 ) 計 男性 女性 (%) 1997 年 24.1 7.7 49.7 2007 年 34.2 14.3 60.0 ( 注 ) 就業構造基本調査 22