1 2016 年弾丸メールセミナー 33 雇用保険法高年齢再就職給付金 第 33 回は 雇用保険法の高年齢再就職給付金について 解説をしていきます 高年齢再就職給付金は 受給資格者が 基本手当を受給した後に安定した職業に再就職 した場合に支給されます ただし 基本手当の支給残日数が 100 日以上残っていることが前提になります 支給期間 1 年間又は 2 年間 算定基礎期間 5 年以上 基本手当受給 前職の賃金に比べて賃金が 75% 未満に 65 歳 失業中 60 歳以上で再就職 就職日の前日の時点で支給残日数が 100 日以上 上記のように流れで見ていくと 前の会社を離職 ( 算定基礎期間 5 年以上 ) 基本手当の支給を受けた後 ( 基本手当の支給残日数が 100 日以上残っていること ) 60 歳以上で再就職 前職の賃金に比べて賃金が 75% 未満になった場合に支給 例えば 算定基礎期間が 20 年以上の場合は 所定給付日数は 150 日受給できます 仮に 90 日分の基本手当を受けた後に再就職した場合 残りの所定給付日数 ( 支給残日数 )60 日では 支給残日数 100 日以上の要件に該当しないので高年齢再就職給付金は不支給ということになります
2 2016 年弾丸メールセミナー 33 雇用保険法高年齢再就職給付金 基本手当の支給残日数が残っていることが要件なので 考え方は就業促進手当 ( 就業手 当 再就職手当 常用就職支度手当 ) の支給残日数の要件と同じです 就業促進手当の支給残日数の要件 就業促進手当 支給残日数の要件 就業手当 所定給付日数の 3 分の 1 以上かつ 45 日以上残した場合 再就職手当 所定給付日数の 3 分の 1 以上ある残した場合 就業促進定着手当 支給残日数という考えはなし 常用就職支度手当 所定給付日数の 3 分の 1 未満残した場合 雇用継続給付 高年齢再就職給付金 支給残日数 100 日以上 支給残日数の要件 復習を兼ねて 所定給付日数 と 高年齢再就職給付金 の関係を見ていきます 1 特定受給資格者以外の受給資格者 ( 通常の場合 ) 算定基礎期間 10 年未満 10 年以上 20 年未満 20 年以上 全年齢 90 日 120 日 150 日 高年齢再就職給付金の支給残日数の要件をクリアーできる可能性が あるのは この 2 つになります この 2 つになります 2 就職が困難な場合算定基礎期間 1 年未満 1 年以上 45 歳以上 300 日 150 日 45 歳以上 65 歳未満 360 日 算定基礎期間が 1 年未満なので 要件に該当しない 算定基礎期間が 5 年以上であれば 支給残日数の要件に該当する可能性あり
3 2016 年弾丸メールセミナー 33 雇用保険法高年齢再就職給付金 3 特定受給資格者 (2の場合を除く) 算定基礎期間 1 年未満 1 年以上 5 年以上 10 年以上 20 年以上 5 年未満 10 年未満 20 年未満 30 歳未満 90 日 90 日 120 日 180 日 30 歳以上 180 日 210 日 240 日 35 歳未満 35 歳以上 240 日 270 日 45 歳未満 45 歳以上 180 日 240 日 270 日 330 日 60 歳未満 60 歳以上 65 歳未満 150 日 180 日 210 日 240 日 算定基礎期間が 5 年未満のため 要件に該当しない 算定基礎期間が 5 年以上あり 支給 残日数 100 日以上の可能性あり それでは 条文を確認していきます 法 61 条の 2 の 高年齢再就職給付金 条文 高年齢再就職給付金は 受給資格者 ( その受給資格に係る離職の日における算定基礎期間が 5 年以上あり かつ 当該受給資格に基づく基本手当の支給を受けたことがある者に限る ) が 60 歳に達した日以後安定した職業に就くことにより被保険者 ( 短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く ) となった場合において 当該被保険者に対し再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が 当該基本手当の日額の算定の基礎となった賃金日額に 30 を乗じて得た額の 100 分の 75 に相当する額を下るに至ったときに 当該再就職後の支給対象月について支給する ただし 次の各号のいずれかに該当するときは この限りでない 1 当該職業に就いた日の前日における支給残日数が 100 日未満であるとき 2 当該再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が 支給限度額 (341,015 円 ) 以上であるとき
4 2016 年弾丸メールセミナー 33 雇用保険法高年齢再就職給付金 次に 要件に該当した場合に 高年齢再就職給付金 の支給を受けることができる期間を確認します 就職日の前日の支給残日数再就職後の支給対象月 200 日以上の場合就職日の属する月から就職日の翌日から起算して 2 年を経過する日の属する月まで 100 日以上 200 日未満の場合就職日の属する月から就職日の翌日から起算して 1 年を経過する日の属する月まで 100 日未満の場合高年齢再就職給付金不支給 ただし 被保険者が 65 歳に達した場合は その期間にかかわらず 65 歳に達した月まで その他の確認事項 高年齢再就職給付金の支給額 高年齢雇用継続基本給付金 の支給額の算定方法と同じ 支給調整 高年齢再就職給付金を受ける者が同一の支給事由に基づく再就職手当の支給を受ける ことができる場合 どちらか一方を選択 高年齢再就職給付金 どちらか一方 再就職手当
5 2016 年弾丸メールセミナー 33 雇用保険法高年齢再就職給付金 高年齢雇用継続基本給付金 高年齢再就職給付金 共通 給付制限 ( 法 61 条の 3) 条文 偽りその他不正の行為により次の各号に掲げる失業等給付の支給を受け 又は受けようとした者には 当該給付の支給を受け 又は受けようとした日以後 当該各号に定める高年齢雇用継続給付を支給しない ただし やむを得ない理由がある場合には 当該高年齢雇用継続給付の全部又は一部を支給することができる 偽りその他不正の行為により受けた給付給付制限の対象高年齢雇用継続基本給付金高年齢雇用継続基本給付金高年齢再就職給付金又は当該給付金に係高年齢再就職給付金る受給資格に基づく求職者給付若しくは就職促進給付
6 2016 年弾丸メールセミナー 33 雇用保険法高年齢再就職給付金 最後に 高年齢雇用継続基本給付金 と 高年齢再就職給付金 のまとめです 高年齢雇用継続基本給付金 高年齢再就職給付金 支給要件 1 被保険者が 60 歳に達した日 ( 又は 60 歳に達した日後 ) に 算定基礎期間が 5 年以上あること 1 受給資格者が 60 歳に達した日以後安定した職業に就き 被保険者となったこと 2 当該受給資格に基づき基本手当の支給を受けたこと 2 支給対象月に支払われた賃金額 3 当該受給資格に係る離職の日におけ みなし賃金日額 30 の 100 分の 75 を下回り かつ 支給限度額 (341,015 円 ) 未満 る算定基礎期間が 5 年以上あること 4 再就職日の前日における支給残日数が 100 日以上あること 5 支給限度額 (341,015 円 ) 未満 支給額 1みなし賃金日額 30 2 支給対象月に支払われた賃金 ( ア ) 2が1の 61% 未満 2 15% ( イ ) 2が1の 61% 以上 75% 未満 2 厚生労働省令で定める率 ( ハ ) 2が1の 75% 以上 不支給 高年齢再就職給付金の場合は みなし賃金日額ではなく 賃金日額 支給期間 60 歳に達した日の属する月 ~ 65 歳に達する日の属する月まで 1 支給残日数が 200 日以上 就職日の属する月から 就職日の翌日から起算して 2 年を経過する日の属する月まで 賃金カットの場合手続申請書類 2 支給残日数が 100 日以上 200 日未満 就職日の属する月から 就職日の翌日から起算して 1 年を経過する日の属する月まで支給対象月に非行 疾病又は負傷 事業場の休業その他公共職業安定所長が定める理由により支払いを受けることができなかった賃金がある場合 その支払いを受けたものとみなして賃金額を算定最初の支給対象月の初日から起算して 4 カ月以内 高年齢雇用継続給付受給資格確認票 ( 初回 ) 高年齢雇用継続支給申請書 + 60 歳到達時等賃金証明書 高年齢再就職給付金 に関しては 60 歳到達時等賃金証明書 は不要です 基本手当を受給しているので ハローワークに賃金日額のデーターが既に存在しています 賃金額が増えるように配慮 しています
7 2016 年弾丸メールセミナー 33 雇用保険法高年齢再就職給付金 それでは 過去問を確認していきます 過去問 (H19 年 6E] 問題 60 歳に達する日より前に離職した被保険者については 当該受給資格に基づく基本手当の支給を受け 60 歳に達した後に所定の日数を残して再就職し 被保険者になったとしても 高年齢再就職給付金は支給されない 解答 誤り要件に該当したら高年齢再就職給付金が支給されるので誤り 60 歳に達した日以後 被保険者となったこと 基本手当の支給を受けていたこと 離職の日において算定基礎期間が 5 年以上あること 再就職の前日に 支給残日数が 100 日以上であること 過去問 (H17 年 6C) 問題 高年齢再就職給付金は 再就職の前日における基本手当の支給残日数が 200 日以上ある場合 当該再就職の就職日の属する月から 当該就職日の翌日から 2 年間を経過する日の属する月 ( その月が当該被保険者が 65 歳に達する日の属する月より後である場合には 65 歳に達する日の属する月 ) まで支給され得る 解答 正解 設問の通り正解です 過去問 (H19 年 6B) 問題 高年齢雇用継続基本給付金 高年齢再就職給付金のいずれについても 支給対象月に支払われた賃金が本人の非行又は傷病によって低下した場合には その支払いを受けたものとみなして賃金額の計算がなされるが 事業所の休業により賃金が低下した場合には そのような取扱いはなされない 解答 誤り 支給対象月において非行 疾病その他の省令で定める理由 ( 事業場の休業等 ) により支払いを受けることができなかった場合 その支払いを受けたものとして支給対象月の賃金の額を算定 ( 受給者に不利益にならないように配慮 )
8 2016 年弾丸メールセミナー 33 雇用保険法高年齢再就職給付金 過去問 (H22 年 6E) 問題 受給資格者が公共職業安定所の紹介によらずに再就職した場合であっても 所定の要件を満たせば 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる 解答 正解 公共職業安定所の紹介 による再就職が 支給要件ではないので正しい設問です 過去問 (H22 年 6B) 問題 高年齢再就職給付金は 基本手当の支給残日数のいかんにかかわらず 当該被保険者が 65 歳に達する日の属する月よりも後の月について支給されることはない 解答 正解 過去問 (H19 年 6C) 問題 高年齢再就職給付金は 本来の計算方法によって算定した支給対象月における支給額が 当該受給資格者に係る賃金日額の最低限度額の 100 分の 80 に相当する額に達しない場合には 当該 100 分の 80 に相当する額が支給される 解答 誤り 賃金日額に 30 を乗じて得た額の 100 分の 75 に相当する額を下るに至ったときに 当該再就職後の支給対象月について支給される ので誤りです 過去問 (H17 年 6D) 問題 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が 同一の就職について再就職手当の支給を受けた場合には 高年齢再就職給付金の支給を受けることはできない 解答 正解 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が 同一の就職につき再就職手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せず 高年齢再就職給付金の支給を受けたときは再就職手当をしません
9 2016 年弾丸メールセミナー 33 雇用保険法高年齢再就職給付金 過去問 (H19 年 6D) 問題 高年齢雇用継続基本給付金 高年齢再就職給付金のいずれについても 公共職業安定所に支給申請書を提出するに当たっては 雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書を添付することが必要である 解答 誤り 高年齢再就職給付金については 雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書 の添付は不要 過去問 (H22 年 6D) 問題 不正な行為により基本手当の支給を受けたとして 基本手当に係る支給停止処分を受けた受給資格者は やむを得ない理由がない限り 60 歳に達した日以後 当該受給資格に基づく基本手当の支給日数を 100 日以上残して安定した職業に就いたとしても 高年齢再就職給付金の支給を受けることはできない 解答 正解 偽りその他不正の行為により下記の失業等給付の支給を受け または受けようとした者には 原則 当該給付の支給を受け または受けようとした日以後 高年齢雇用継続給付は支給しない 第 33 回 ( 完 )