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1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

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インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

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日当直者向け? 血算データの見方 ~ 赤血球減少症 ( 貧血 )~ 船橋市立医療センター福田幸広

貧血とは 末梢血の赤血球成分が不足した状態をさす 判定は 単位血液あたりの赤血球数 ヘモグロビン濃度 ヘマトクリットの3つの指標で行う 酸素運搬能という機能を鑑みれば となる

ヘモグロビン濃度による貧血の基準 (WHO による ) 11 12 13 乳幼児 妊婦 高齢者 学童 成人女性 新生児 成人男性

貧血の基本ルール MCV を 見る RET ( 網赤血球数 ) を見る 生化学検査値を見る <80 81~100 101< 小球性正球性大球性 産生の低下 破壊亢進または喪失 鉄 +TIBC フェリチン etc LDH ハプトグロビン ビタミン B12

MCV を見る 小球性 <80 鉄欠乏性貧血 二次性貧血悪性腫瘍 感染症 慢性炎症 サラセミア 鉄芽球性貧血 正球性 81~100 出血性貧血 溶血性貧血 骨髄低形成再生不良性貧血 赤芽球癆 腎性貧血 二次性貧血 白血病 MDS 大球性 101< 巨赤芽球性貧血 VB12 欠乏 葉酸欠乏 肝疾患 甲状腺機能低下症 網赤血球増加 白血病 MDS

貧血の基本ルール MCV を 見る RET ( 網赤血球数 ) を見る 生化学検査値を見る <80 81~100 101< 小球性正球性大球性 産生の低下 破壊亢進または喪失 鉄 +TIBC フェリチン etc LDH ハプトグロビン ビタミン B12

RET( 網赤血球数 ) を見る 増加 減少 急性出血 溶血 貧血の回復期 骨髄低形成再生不良性貧血 赤芽球癆 鉄 VB12 葉酸の欠乏 腎不全 甲状腺機能低下症 慢性炎症性疾患

貧血の基本ルール MCV を 見る RET ( 網赤血球数 ) を見る 生化学検査値を見る <80 81~100 101< 小球性正球性大球性 産生の低下 破壊亢進または喪失 鉄 +TIBC フェリチン etc LDH ハプトグロビン ビタミン B12

生化学検査値を見る 鉄欠乏性貧血 鉄 TIBC フェリチン 二次性貧血 鉄 TIBC フェリチン 巨赤芽球性貧血 ビタミンB 12 葉酸 溶血 LDH 間接 BIL ハプトグロビン 鉄欠乏性貧血診断基準 ( 日本鉄バイオサイエンス学会治療指針 ) Hb <12 g/dl TIBC 360 µg/dl 血清フェリチン <12 ng/ml トランスフェリン飽和度 [( 血清鉄 /TIBC) 100(%)] 貧血の無い鉄欠乏でも (TSAT) ( 20%)

生化学検査値を見る うちの検査室ではフェリチンは測定していない 網赤血球ヘモグロビン等量 (Ret-He) 網赤血球 1 個あたりのヘモグロビン量 フェリチンよりも鉄欠乏の鋭敏な指標と考えられている 32.2pg 未満では鉄欠乏を疑う

症例 1 48 歳女性 WBC 45 10 2 /µl RBC 449 10 4 /µl Hb 9.9 g/dl HCT 32.2 % MCV 72 fl MCH 22.0 pg MCHC 30.7 g/dl PLT 23.6 10 4 /µl 48 歳女性 2 年前 慢性好酸球性肺炎 プレドニンにて改善し外来フォロー中

症例 1 WBC 45 10 2 /µl Ret 7.0 RBC 449 10 4 /µl Fe 23 µg/dl Hb 9.9 g/dl TIBC 408 µg/dl HCT 32.2 % (TSAT 5.6 %) MCV 72 fl RET-Hb 26.1 pg MCH 22.0 pg MCHC 30.7 g/dl PLT 23.6 10 4 /µl TSAT 20% は鉄欠乏でしたね

最終判断 鉄欠乏性貧血です 閉経前の女性で小球性低色素性貧血をみたら まずは鉄欠を考える 本症例は Fe 低値 TIBC 高値で鉄欠に矛盾しない 余談ですが 鉄欠乏性貧血では 異食症がしばしば見られるそうです 異食症とは 栄養価の無いものを無性に食べたくなる症候で 鉄欠では氷食症 土食症が多いそうです

症例 2 80 歳女性 WBC 54 10 2 /µl RBC 312 10 4 /µl Hb 8.0 g/dl HCT 24.9 % MCV 80 fl MCH 25.6 pg MCHC 32.1 g/dl PLT 71.0 10 4 /µl 80 歳女性 高血圧 高脂血症 胃癌 直腸がん 慢性気管支炎の既往あり 5 年前幽門側胃切除術 1 週間前から食欲低下著明 昨日から咳 痰 息苦しさ出現 夕方 38.8 の発熱あり救急外来受診 肺膿瘍の診断にて入院

症例 2 WBC 54 10 2 /µl RET 25.0 RBC 312 10 4 /µl Fe 43 µg/dl Hb 8.0 g/dl TIBC 150 µg/dl HCT 24.9 % (TSAT 28.7 %) MCV 80 fl MCH 25.6 pg MCHC 32.1 g/dl CRP 6.69 mg/dl PLT 71.0 10 4 /µl

取っ掛かりは? 小球性低色素性貧血だが Fe に対して TIBC であり 鉄欠は否定的

症例 2 WBC 54 10 2 /µl RET 25.0 RBC 312 10 4 /µl Fe 43 µg/dl Hb 8.0 g/dl TIBC 150 µg/dl HCT 24.9 % (TSAT 28.7 %) MCV 80 fl MCH 25.6 pg MCHC 32.1 g/dl CRP 6.69 mg/dl PLT 71.0 10 4 /µl

最終判断 二次性貧血です Fe で TIBC であり CRP が 6.69(mg/dL) と高値ですので 肺膿瘍の慢 性炎症による二次性貧血を考えます

生化学検査値を見る 鉄欠乏性貧血 鉄 TIBC フェリチン 二次性貧血 鉄 TIBC フェリチン 巨赤芽球性貧血 ビタミンB12 葉酸 溶血 LDH 間接 BIL ハプトグロビン 鉄欠乏貧血診断基準 ( 日本鉄バイオサイエンス学会治療指針 ) Hb <12 g/dl TIBC 360 µg/dl 血清フェリチン <12 ng/ml トランスフェリン飽和度 [( 血清鉄 /TIBC) 100(%)] 貧血の無い鉄欠乏でも (TSAT) ( 20%)

肝臓 慢性炎症 脾臓 IL-6 の増加 増加 吸収を抑制 再利用を抑制 再利用を抑制 赤血球の破壊 ヘプシジン 鉄 赤血球 血液プール

生化学検査値を見る 鉄欠乏性貧血 鉄 TIBC フェリチン 二次性貧血 鉄 TIBC フェリチン 巨赤芽球性貧血 ビタミンB12 葉酸 溶血 LDH 間接 BIL ハプトグロビン 鉄欠乏貧血診断基準 ( 日本鉄バイオサイエンス学会治療指針 ) Hb <12 g/dl TIBC 360 µg/dl 血清フェリチン <12 ng/ml トランスフェリン飽和度 [( 血清鉄 /TIBC) 100(%)] 貧血の無い鉄欠乏でも (TSAT) ( 20%)

症例 3 88 歳男性 88 歳男性 高血圧症 前立腺がんの既往あり WBC 71 10 2 /µl RBC 270 10 4 /µl 当院外来フォロー中の患者 Hb 8.6 g/dl HCT 25.6 % MCV 95 fl 正球性の貧血 MCH 31.9 pg MCHC 33.6 g/dl PLT 24.1 10 4 /µl

症例 3 6 月 3 日 4 月 1 日 WBC 71 68 10 2 /µl RBC 270 296 10 4 /µl Hb 8.6 9.4 g/dl HCT 25.6 28.0 % MCV 95 95 fl MCH 31.9 31.8 pg MCHC 33.6 33.6 g/dl PLT 24.1 24.4 10 4 /µl RET 7.4

取っ掛かりは? 1 正球性貧血で 貧血は進行しているが RET の上昇が無い 出血や溶血は否定的? 壊れたり 失くしたりじゃない 2 赤血球系以外は正常値 赤血球系の骨髄低形成? 作ってない?

次に行う検査は? 赤血球系低形成の貧血としては 赤芽球癆 腎性貧血などが考えられる 骨髄穿刺? エリスロポエチン? とりあえず生化学を見てみよう!!

生化学データ AST 17 IU/L ALT 11 IU/L LDH 231 IU/L ALP 167 IU/L UN 66 mg/dl CREA 4.46 mg/dl TP 6.7 g/dl ALB 3.8 g/dl T-CHO 234 mg/dl TG 125 mg/dl 腎機能異常がありました

最終判断 腎性貧血を考えます 正球性貧血で RETの上昇がなく WBC PLTに異常は見られない 更に 患者は腎不全のフォロー中であり UN CREA 値より腎性貧血を疑います ただ 確定診断にはエリスロポエチン値の測定が必要になってくると思います

症例 4 80 歳男性 WBC 56 10 2 /µl RBC 184 10 4 /µl Hb 7.6 g/dl HCT 21.3 % MCV 116 fl MCH 41.3 pg MCHC 35.7 g/dl PLT 13.9 10 4 /µl 大球性貧血 80 歳男性 5 年前多発胃癌 胃全摘術 術後の外来経過観察中だが 先月あたりから食欲低下 内視鏡では縫合部問題なし

取っ掛かりは? 大球性貧血を見たら まず考えるのは巨赤芽球性貧血 また この患者は胃癌により胃を全摘出しているので 胃全摘による巨赤 芽球性貧血の可能性が高い

診断のための追加検査は? ビタミン B 12 および葉酸 鉄 TIBC の測定です ( 胃全摘術後は鉄欠乏性貧血にもなりやすい ) この患者さんは ビタミンB 12 <50 pg/ml (180~914) 葉酸 5.1 ng/ml (4.0 以上 ) 鉄 123 µg/dl TIBC 226 µg/dl 鉄欠乏性貧血の合併なし

最終判断 胃全摘による巨赤芽球性貧血 ( ビタミン B 12 欠乏性貧血 ) です

細胞の巨大化 核と細胞質の成熟乖離 味覚障害 食欲不振 体重減少

症例 5 WBC 47 10 2 /µl RBC 597 10 4 /µl Hb 12.2 g/dl HCT 39.4 % MCV 66 fl MCH 20.4 pg MCHC 31.0 g/dl PLT 33.0 10 4 /µl 詳細情報なし かなりの小球性

症例 5 WBC 47 10 2 /µl Fe 90 µg/dl RBC 597 10 4 /µl TIBC 270 µg/dl Hb 12.2 g/dl フェリチン 117 ng/ml HCT 39.4 % MCV 66 fl MCH 20.4 pg MCHC 31.0 g/dl PLT 33.0 10 4 /µl RET 13

取っ掛かりは? 1 小球性貧血の代表格といえば鉄欠乏性貧血ですが ここまで MCV が低くなることは稀 2 鉄欠乏性貧血では RBC 正常なことも多いが 本症例は RBC 高値 3 小球性の軽度貧血を認めるが Fe TIBC フェリチンは異常なし

症例 5 標的赤血球ですね 平成 26 年度日臨技サーベイ写真より抜粋

最終判断 サラセミアです サラセミア INDEX=MCV/RBC (<13) 本症例は 11 ただし 確定診断には ヘモグロビン電気泳動や場合によっては 遺伝子検査が必要 実臨床では他の疾患の除外が大切!!

症例 6 WBC 95 10 2 /µl RBC 158 10 4 /µl Hb 5.2 g/dl HCT 15.2 % MCV 96 fl MCH 32.9 pg MCHC 34.2 g/dl PLT 5.0 10 4 /µl 84 歳女性 上部消化管出血のため救急搬送 入院加療中 貧血と発熱 出血傾向を認めたため血液内科紹介となった 正球性貧血 + 血小板減少

症例 6 WBC 95 10 2 /µl RET 45.2 RBC 158 10 4 /µl Hb 5.2 g/dl HCT 15.2 % MCV 96 fl MCH 32.9 pg MCHC 34.2 g/dl PLT 5.0 10 4 /µl

取っ掛かりは? 正球性貧血で 網赤血球が高値では 出血や溶血を考えるんでしたね この患者さんは 消化管出血で来られた方でした 出血による貧血 網赤血球高値の可能性が高いですが 血小板減少の 原因検索も含め血液像を確認します

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なんか変な細胞が出てますよね? 済生会習志野病院提供 メイ ギムザ染色 1000

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破砕赤血球の基本型 (1990. 厚生省特定疾患特発性造血障害調査研究班 ) 三角形 三日月型 つの型 不規則変形型 ヘルメット型 いがぐり型 小球状型 赤血球ゴースト ゴースト以外はいずれも小型で濃染する

破砕赤血球が出る疾患? DIC( 播種性血管内凝固症候群 ) TTP( 血栓性血小板減少性紫斑 病 ) HUS( 溶血性尿毒症症候群 ) など 微小血管で血栓ができる疾 患や 人工弁などの機械的な障害がある場合に見られる 凝固系のチェック (PT APTT Fib FDP DD) 溶血の有無 ( ハプトグロビン LDH 間接ビリルビン ) TTP であれば (ADAMTS13 活性 ADAMTS13 インヒビター )

症例 6 PT 12.1 sec UN 42.2 mg/dl APTT 34.9 sec CREA 1.3 mg/dl Fib 312 mg/dl FDP 7.9 µg/ml DD 3.4 µg/ml ハプトグロビン <10 mg/dl 間接クームス (-) AST 21 U/L ADAMTS13 活性 49 %(70~120) ALT 7 U/L LDH 464 U/L T-Bil 0.8 mg/dl

症例 6 凝固系は DD 若干高値ですが DIC は診断基準的にも ( 厚労省 3 点 ) 否定的 Bil 正常値ですが ハプトグロビン から溶血の存在が考えられる 溶血 + 血小板減少 + 腎機能障害 + 破砕赤血球とくれば TTP or HUS 本症例では ADAMTS13 活性の低下が見られるので

最終判断 TTP( 血栓性血小板減少性紫斑病 ) です TTP 治療の基本は血漿交換療法 血小板減少があるからといって 誤って血小板輸血を行うと かえって症状を増悪させるので 正確な診断が必要!! 血小板入れちゃ ダメよ ~ ダメダメ!!

ADAMTS13 って 国立循環器病センター研究所 HP より

以上 6 症例の赤血球減少症について解説しました 今後の業務に何かお役に立てば幸いです!

御静聴有難うございました! 先日の実技講習会の模様