建築物等震災対策事業について

Similar documents
PowerPoint プレゼンテーション

第 7 章鹿児島県と連携した耐震改修促進法による指導及び助言等 国の基本方針では 所管行政庁はすべての特定建築物の所有者に対して法に基づく指導 助言を実施するよう努めるとともに 指導に従わない者に対しては必要な指示を行い その指示に従わなかったときは 公表すべきであるとしている なお 指示 公表や建

基本方針

北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

Microsoft Word - 男鹿市耐震改修促進計画.doc

Microsoft Word - 耐震改修促進計画【概要版】(第2期計画)(H28.3)施行

- 1 - 参照条文建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令案建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令(平成七年政令第四百二十九号)(抄) (通行障害建築物の要件)第四条法第五条第三項第二号の政令で定める建築物は そのいずれかの部分の高さが 当該部分から前面道路の境界線までの水平

第 1 章はじめに (1) 計画の目的西東京市耐震改修促進計画 ( 以下 本計画 という ) は 西東京市内の住宅 建築物の耐震診断及び耐震改修を計画的かつ総合的に促進することにより 西東京市民の生命と財産を保護し 災害に強いまちづくりを実現することを目的とする (2) 計画の位置づけ本計画は 建築

Microsoft Word - (概要版)永平寺町耐震改修促進計画.doc

中央区耐震改修促進計画(資料編)

三鷹市耐震改修促進計画(改定素案)

<4D F736F F D F92C EC92AC91CF906B89FC8F4391A390698C7689E62E646F63>

<4D F736F F D E492AC91CF906B89FC8F4391A390698C7689E65F95D28F F E646F63>

病院等における耐震診断 耐震整備の補助事業 (1) 医療施設運営費等 ( 医療施設耐震化促進事業平成 30 年度予算 13,067 千円 ) 医療施設耐震化促進事業 ( 平成 18 年度 ~) 医療施設の耐震化を促進するため 救命救急センター 病院群輪番制病院 小児救急医療拠点病院等の救急医療等を担

<4D F736F F D C888DD9817A CE899E95FB906A955C81698CF6955C A>

Taro-地震防災マップQ&A集.jtd

北上市住宅・建築物耐震化促進計画

目 次 1. 計画の概要 (1) 計画策定の趣旨... 2 (2) 計画の位置づけ... 3 (3) 計画期間 神戸市で今後発生が想定される地震規模 被害の状況 建築物の耐震化の現況と目標 3-1 住宅の耐震化 (1) 住宅全般の現況と目標... 7 (2) 市営住宅


<4D F736F F F696E74202D F8AF991B B8A EA8EAE816A816990E096BE89EF8E5189C18ED C5816A>

資料 1 用語の定義 本計画で使用している用語の定義は下記の通りです 耐震診断耐震改修耐震改修等耐震化旧耐震基準新耐震基準耐震性を満たす 地震に対する安全性を評価すること 地震に対する安全性の向上を目的として 増築 改築 修繕若しくは模様替又は敷地の整備をすること 耐震改修 除却 建替えにより地震に

第 1 章基本方針 1 背景と目的 1 2 位置づけ 2 3 計画期間 3 4 耐震改修促進法の改正について 3 第 2 章建築物の耐震化の目標等 1 地震被害の想定及び減災効果 4 2 住宅 建築物の耐震化の現状及び課題 7 第 3 章建築物の耐震改修の促進を図るための施策 1 基本的考え 10

新 市 用

●空家等対策の推進に関する特別措置法案

目次 第 1 章はじめに 1 計画の目的 1 2 熊谷市の被害想定及び地域防災計画等との関連性 2 第 2 章建築物の耐震化の現状と今後の目標 1 熊谷市のこれまでの取組による耐震化の現状 4 2 本計画における耐震化の目標 10 第 3 章建築物の耐震化の促進に関する支援 施策 1 耐震化の促進に

< F2D89EF8B638E9197BF81458E9197BF82528CBB8FF382C689DB91E8>

Microsoft Word - 下野市概要版.doc

茂原市耐震改修促進計画 目次第 1 章はじめに 1. 茂原市耐震改修促進計画の位置付け 2. 茂原市耐震改修促進計画の目的 3. 対象区域及び対象建築物 4. 計画期間 第 2 章想定される地震の規模 被害の状況 1. 茂原市における想定地震と建物の被害想定 4 第 3 章建築物の耐

Microsoft Word - ★資料編(H29改定)

( 県の責務 ) 第三条県は 地震防災に関する総合的な施策を策定し 及びこれを実施する責務を有する 2 県は 市町村 自主防災組織その他防災関係機関等と連携して 地震防災対策を推進しなければならない 3 県は 地震に関する調査及び研究を行い その成果を県民 事業者及び市町村に公表するとともに 地震防

見出しタイトル

第 1 章要緊急安全確認大規模建築物の耐震診断結果の報告 1 要緊急安全確認大規模建築物について平成 25 年 11 月 25 日の耐震改修促進法の改正により 不特定多数の者が利用する建築物及び避難弱者が利用する建築物のうち大規模なもの等が要緊急安全確認大規模建築物として規定され 平成 27 年 1

スライド 1



<4D F736F F D20967B95B681698DC58F498D D8E968C888DD A2E646F63>

目次H 訂正版【確定版】会議用資料【案】H30公表資料

目次 1 建築物の耐震診断及び耐震改修の実施に関する目標の設定 1 (1) 想定される東海地震の規模 想定される被害の状況 2 (2) 耐震化の現状と目標設定 2 (3) 市が所有する公共建築物の耐震化の目標設定 5 2 建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策 6 (1) 耐震診断及び耐

Microsoft Word - (完成版)H28福知山市建築物耐震改修促進計画[1]

マンション建替え時における コンテキスト効果について

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

5

報告書_表紙.indd

Microsoft Word - 掛川版.doc


(2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており かつ 区域外の相当規模の道路と接続していること (3) 区域内の排水路その他の排水施設が その区域内の下水を有効に排出するとともに その排出によって区域及びそ

Microsoft Word - 01表紙目次.docx

既存の高越ガス設備の耐震性向上対策について

3 市長は 第 1 項の規定により指定した土地の区域を変更し 又は廃止しようとするときは あらかじめ久喜市都市計画審議会 ( 以下 審議会 という ) の意見を聴くものとする 4 第 1 項及び第 2 項の規定は 第 1 項の規定により指定した土地の区域の変更又は廃止について準用する ( 環境の保全

鹿角市耐震改修促進計画 平成 21 年 11 月 鹿角市

1 検査の背景及び実施状況 (1) 参議院からの検査要請の内容 参議院からの検査要請の内容は 公共建築物 ( 官庁施設 教育施設 医療施設等 ) における耐震化対策等に関する次の各事項である 耐震診断の状況 耐震改修の状況 東日本大震災に伴う被災等の状況 (2) 公共建築物における耐震化

<4D F736F F D FF095B6817A BF389C CE8DF482CC C98AD682B782E993C195CA915B A594D48D8692C789C D97528DED8F9C816A>

富士見市都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例

練馬区空き家等対策に関する基本的な方針

高浜町建築物耐震改修促進計画

及びその周辺の地域における自然的条件 建築物の建築その他の土地利用の状況等を勘案し 集落の一体性を確保するために特に必要と認められるときは この限りでない (2) 区域内の主要な道路が 環境の保全上 災害の防止上 通行の安全上又は事業活動の効率上支障がないような規模及び構造で適当に配置されており か

第 5 章建築物の耐震化に係る普及 啓発の方法...18 第 6 章計画の推進に向けて 推進体制...19 (1) 県と市町村との連携...19 (2) 関係部局との連携 法に基づく指導 助言等...20 (1) 耐震改修促進法による指導 助言の実施...20 (2)

その他の法令等 消防法京都市火災予防条例道路法廃棄物の処理及び清掃に関する法律 対象 状況屋外における火災予防上危険なもの ( 火災の危険が迫っている場合のみに限定 ) 空き家, 空き地で火災予防上危険なもの認定区域内に生じている道路の交通に支障を及ぼすおそれのある行為自己所有地でごみ ( 一般廃棄

<4D F736F F D2091CF906B89FC8F4391A390698C7689E68DF492E88BC696B12095F18D908F E9197BF96B382B5816A2E646F63>

能代市耐震改修計画 目次能代市耐震改修計画 1 第 1 能代市で想定される地震の規模及び被害の状況 3 1 能代市で想定される地震 2 被害想定対象地区 3 被害想定結果 第 2 住宅 公共建築物の耐震診断及び耐震改修の実施に関する目標 4 1 住宅の耐震化の現状と目標設定 2 市所有特定建築物の耐

Microsoft Word - 所有者周知用(全体).doc

はじめに


密集市街地対策推進チーム会議 を開催都市整備推進センターによる新たな支援を開始 9 月 : 地元市への専門家派遣を開始 ( 寝屋川市 ) 門真市 都整センター NPO で ローラー作戦実施に向けた協定締結 10 月 : 空家 空地実態調査を委託契約 住宅 建築物の耐震化の促進 < 今年度何をするか

1 計画の目的等 (1) 計画の目的 1 (2) 新発田市耐震改修促進計画の位置づけ 1 (3) 計画期間 2 (4) 計画の対象 2 2 新発田市における地震の危険性 (1) 市内で発生した地震 ( 寛文以降 ) 3 (2) 市内の活断層 4 (3) 市内で想定される地震の規模 想定される被害の状

ア建築物の部材等が落下し 飛散するおそれのある状態イ建築物の老朽化又は台風等の自然災害により 倒壊又は損傷するおそれのある状態ウ建築物の外壁 窓等が剥落し 建築物の外部から内部が見通せる状態エ竹木その他の土地の定着物が 道路との境界線を越え通行の妨げになっている状態オ物が大量に堆積されている状態カね

法第 14 条第 1 号に規定する 多数の者が利用する建築物 ( 旧耐震基準建築物 ) 体育館 ( 一般公共の用に供されるもの ) 幼稚園 保育所 学校 小学校 中学校 中等教育学校の前期課程若しくは特別支援学校 上記以外の学校 用途 老人ホーム 老人短期入所施設 福祉ホーム その他これらに類するも

<4D F736F F F696E74202D E9197BF C A8B9091E5926E906B82D682CC91CE899E82CC95FB8CFC90AB2E B8CDD8AB B83685D>

耐震等級 ( 構造躯体の倒壊等防止 ) について 改正の方向性を検討する 現在の評価方法基準では 1 仕様規定 2 構造計算 3 耐震診断のいずれの基準にも適合することを要件としていること また現況や図書による仕様確認が難しいことから 評価が難しい場合が多い なお 評価方法基準には上記のほか 耐震等

計画の概要

1(確定)箱根町耐震改修促進計画(表紙-インデックス)

<4D F736F F D E338FBC8CCB8E7391CF906B89FC8F4391A390698C7689E6>

静岡市耐震改修促進計画

0720_最終_耐震性能検証法チラシ案3種サンプル

第1章  はじめに

調査結果

<4D F736F F D2088C092868E7391CF906B89FC8F4391A390698C7689E62E646F63>

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

<8A C581698A6D92E8816A2E786477>

群馬県耐震改修促進計画( )

目次 第 1 章はじめに 1 耐震改修促進計画の目的と位置づけ 1 2 対象区域及び対象建築物 2 3 計画期間及び検証年次 2 第 2 章基本方針 1 想定する地震の規模 被害の状況 2 2 耐震化の現状及び目標 4 住宅については 4 防災上重要な公共建築物については 4 その他の公共建築物につ


名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

土砂災害防止法よくある質問と回答 土砂災害防止法 ( 正式名称 : 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関 する法律 ) について よくいただく質問をまとめたものです Ⅰ. 土砂災害防止法について Q1. 土砂災害は年間どれくらい発生しているのですか? A. 全国では 年間約 1,00

耐震診断を応援します

名古屋市建築物耐震改修促進計画(案)本編

<4D F736F F D CB48E7391CF906B89FC8F4391A390698C7689E62E646F63>

<4D F736F F D208E528CFB8CA791CF906B89FC8F4391A390698C7689E6>

第 5 章 建 築 物 の 地 震 に 対 する 安 全 性 の 向 上 に 関 する 啓 発 及 び 知 識 の 普 及 テレビ 放 送 等 様 々なメディアを 活 用 して 情 報 提 供 の 充 実 を 図 ります (3)リフォームにあわせた 耐 震 改 修 の 誘 導 平 成 15 年 度

四国中央市住宅マスタープラン 概要版 平成 30 年 3 月四国中央市 Since

< F2D92F18CBE967B95B62E6A7464>

PowerPoint プレゼンテーション

目 次 第 1 章耐震改修促進計画の基本方針 1 第 2 章建築物の耐震診断及び耐震改修の実施に関する目標 5 第 3 章建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策 13 第 4 章建築物の地震に対する安全性の向上に関する啓発及び知識の普及 23 第 5 章その他耐震診断及び耐震改修の促進に

目 次 第 1 章計画の目的等 計画策定の背景 近年の大震災と地震被害の想定 2 (1) 阪神 淡路大震災 熊本地震 東日本大震災の被害 2 (2) 南海トラフ巨大地震の被害想定 計画の目的等 4 (1) 計画の目的 4 (2) 計画の位置づけ 国 愛

した 気象庁は その報告を受け 今後は余震確率の公表方法を改めることとしたという 2. 被害状況 被害要因等の分析 (1) 調査方針本委員会は 以下の調査方針で 被害調査と要因分析を行っている 1 極めて大きな地震動が作用し 多数かつ甚大な建築物被害が生じた益城町及びその周辺地域に着目して検討を進め

目 次 1 はじめに 1 2 本市の取り組みと学校施設の現状 1 3 耐震化の方針 2 4 今後の対策 3 参考資料学校施設の耐震診断結果 4

防災情報のページ

東京都耐震改修促進計画(平成28年3月改定) 本文

1 整備目標 方針 地区名大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目地区位置東京都品川区大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目の全域地区の現況 課題 現状 当地区は 品川区の南に位置しており 北側に滝王子通り 東側に補助 28 号線 ( 池上通り ) 西側にJR 東海道新幹線及びJR 横須賀線 南側に大田区

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

Transcription:

茨城県耐震改修促進計画 概要版 平成 2 8 年 3 月 茨城県

はじめに 1. 本計画の位置づけ (1) 計画の位置づけこの計画は, 建築物の耐震改修の促進に関する法律( 平成 7 年 10 月 27 日法律第 123 号 ) ( 以下, 耐震改修促進法 という ) に基づいて茨城県が策定する計画であり, 大規模地震による人的被害及び経済的被害の削減を目的として建築物の耐震化を促進するため, 茨城県, 市町村, 県民, 民間事業者等の役割と取組方針等を定めるものです (2) 計画の対象期間本計画の対象期間は, 平成 28 年度から平成 32 年度までとします なお, 今後の社会情勢の変化や事業の進捗状況に応じ, 定期的に計画内容を検証するとともに, 適宜, 目標や計画内容を見直すこととします 2. 茨城県の状況茨城県では, 平成 4 年に国の中央防災会議から示された 南関東地域直下の地震対策に関する大綱 において, 直下の地震の発生により著しい被害を生じるおそれのある ( 震度 6 相当以上 ) 地域として県南西部 30 市町村 ( 当時 市町村合併により平成 18 年度では 19 市町村が該当 ) が指定されたため, この地域を中心に震災対策を進めてきました その後, 平成 7 年の阪神 淡路大震災を経て, 平成 10 年には先の大綱が改定され ( 平成 17 年 9 月に廃止 ), さらに平成 17 年 7 月に, 中央防災会議の 首都直下地震対策専門調査会報告 において茨城県南部地域におけるマグニチュード 7 級の地震が発生した場合に著しい被害を生じるおそれ ( 震度 6 弱以上 ) のある地域として, 南部の利根町からひたちなか市に及ぶ 32 市町村が挙げられています また, 平成 18 年 1 月に改正耐震改修促進法が施行され, 平成 19 年 3 月に 茨城県耐震改修促進計画 を作成し, 建築物の耐震化を促進する計画でしたが, 建築物の耐震化は順調には進まず, 民間 公共建築物ともに耐震性の不足している建物が多く残されている状況にありました このようななか, 平成 23 年 3 月 11 日の東日本大震災により, 本県では最大震度 6 強を記録し, 死者 行方不明者が 25 名, 一部損壊を含めた家屋の被害は 21 万戸を超えるなど, 県内広範囲の地域で甚大な被害を受けました 一方, 国では, 東日本大震災を踏まえ, 今後予想される南海トラフの巨大地震や首都直下地震における被害軽減を図るため, 平成 25 年 11 月に耐震改修促進法の改正を施行し, 耐震化促進のための規制強化を行っております 1

第 1 章建築物の耐震診断及び耐震改修の実施に関する目標 想定される地震 本計画の対象とする地震として, 県南部を震源とするマグニチュード 7.3 クラスの地震 ( 内閣府中央防災会議 首都直下地震対策専門委員会 の調査報告 ( 平成 17 年 7 月 ) における 茨城県南部地震 ) を想定します 県内で観測される最大震度は, 土浦市やつくば市などの 32 市町村で震度 6 弱以上と予測されています 最も大きな地震が発生した場合の被害は, 全壊する建物が約 3 万棟, 死者数約 300 人, 負傷者数約 8 千人などと予測されています 建物耐震化の現状 県内に約 100 万戸存在する住宅の耐震化率は, 平成 25 年土地統計調査を基にした平成 27 年における推計値で 81.8% となっています 私立学校, 病院, ホテル, 店舗等の多くの人が集まる民間建築物 ( 特定建築物等 * ) の耐震化率は, 平成 27 年度末の推計値で 82.9% となっています 公立学校, 病院, 公共住宅, 庁舎, 図書館, 体育館等の公共建築物の耐震化率は, 市町村建築物 ( 特定建築物等 ) が 91.9%, 県有建築物が 100% となっています 目標の設定 平成 32 年度までの建築物の耐震化の目標を, 国の基本方針に基づき, 住宅, 民間の特定建築物等, 市町村有特定建築物等については 95% とします 建築物の種類 耐震化の目標のまとめ 全施設 ( 戸 ) 数 現状の耐震化率 ( 平成 27 年度末 ) 耐震化率の目標 ( 平成 32 年度末 ) 住宅 1,076,100 81.8% 95% 民間の特定建築物等 ** 4,988 82.9% 95% 市町村の特定建築物等 2,086 91.9% 95% 学校等 1,201 93.6% 95% 病院 診療所等 7 57.1% 85% 社会福祉施設等 50 94.0% 95% 賃貸共同住宅等 465 98.9% 100% 事務所等 94 67.0% 95% その他 269 81.0% 95% 県有対象建築物 1,439 100% - * ** 特定建築物とは, 耐震改修促進法施行令 ( 平成七年十二月二十二日政令第四百二十九号, 最終改正年月日 : 平成二十五年十月九日政令第二百九十四号 ) に定められる特定既存耐震不適格建築物を指します 耐震化率を求めるため, 特定建築物と同じ用途, 規模である新耐震基準の建築物も含めたものを 特定建築物等 と呼ぶこととします 民間の特定建築物等の数は, 旧耐震基準に基づいて建てられた建築物数の実数に対して, 国が示している新耐震基準の建物数の比率を用いて全施設数を推計しています 2

第 2 章建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策について 基本的な取組方針 建築物に関わる防災対策は, その所有者が自らの責任においてその安全性を確保することを原則とします 県及び市町村は, 建築物の所有者に対し, 耐震性の確保に必要な技術的 財政的支援や情報提供を行います 具体的促進支援策 耐震化に対する助成を行います 建築物 ( 住宅 ) の耐震化にかかる人材育成のための事業を実施します 安心して耐震改修を行 えるような環境整備 木造住宅耐震診断補助事業を推進します 耐震診断士のリストを公開しています 相談窓口の設置 情報提供 環境づくり等により, 建物の所有者を支援します 建物所有者に対するセミナー等を開催します パンフレットの作成 配布, ホームページ等を利用し情報を提供します 建築物の総合的な安 全対策 ブロック塀の倒壊防止対策, 窓ガラス等の落下防止対策, 天井脱落対策, エ レベーターの安全対策等について, 耐震化を促進します 地震時に通行を確保 すべき道路 耐震改修促進法第 5 条第 3 項第 3 号に基づき, 建築物の倒壊によって緊急車両の通行や住民の避難の妨げになる恐れのある道路として, 茨城県地域防災計画 で定められた 第一次及び第二次緊急輸送道路 を指定します 地震に伴う崖崩れ等 による建築物の被害 の軽減対策 地震に伴う崖崩れ等による建築物の被害を軽減するため, 急傾斜地崩壊防 止施設等の整備を進めます 3

第 3 章建築物の耐震安全性の向上に関する啓発及び知識普及について 相談への対応や情報 提供の充実 建築物の所有者が, 耐震改修等に関連する疑問や質問を気軽に問い合わせできるよう, 県の出先事務所や市町村の建築関係部署において相談窓口を開設します 県民が, 地震の危険性や建物の耐震性について関心を持ち, 自ら適切な判断を行えるように, 正確な知識や情報の提供を行います セミナー 講習会の開 催やパンフレットの作 成 配布 より多くの県民に, 地震の危険性や建物の耐震性についての正確な知識や情報が提供できるよう, 県民を対象としたセミナー等を開催します 県の出先事務所, 市町村の建築関係部署, 防災関係のイベント場所等で配布するパンフレットを作成します リフォームにあわせた 耐震改修の促進 建物設備のリフォーム, バリアフリーリフォーム等が耐震改修の絶好の機会 であることから, そのメリット等について建物所有者を啓発するための取組を 進めます 町内会等との連携 地域における地震時の危険箇所の点検等を通じて, 地震防災対策の啓発 普及を行うことが効果的であることから, 町内会や NPO 等と連携しながら, 耐震化を進めます 4

第 4 章耐震化を促進するための指導や命令等について 耐震改修促進法に よる指導等 県及び所管行政庁である市は, 特定建築物が耐震診断 改修を実施することが必要と認められる場合は, 耐震改修促進法に基づき, その所有者に対して, 必要な指導 助言を行います 一定規模以上の特定建築物については, 地震に対する安全性の向上を図るために必要な耐震診断 改修が実施されていないと認めるときは, 耐震改修促進法に基づき, その所有者に対し必要な指示を行います さらに, 指示を受けた特定建築物の所有者が, 正当な理由無くその指示に従わない場合は, 耐震改修促進法に基づき, その旨を公表します 建築基準法による指 導等 公表を行ったにもかかわらず, 当該建築物の所有者が耐震改修等を行わない場合は, 建築基準法に基づき, 当該建築物の除却, 改築, 修繕等を行うよう命令を行います また, 損傷, 腐食その他の劣化が進み, そのまま放置すれば著しく保安上危険となるおそれがあると認められる建築物については, 建築基準法に基づき, 当該建築物の除却, 改築, 修繕等を行うよう勧告や命令を行います 第 5 章その他の事項 1. 市町村が定める耐震改修促進計画について茨城県内の所管行政庁の市においては, 平成 29 年度中に市耐震改修促進計画を策定します その他の市町村においても, 市町村に対し, 計画を策定するよう, 県から助言等を行います 市町村耐震改修促進計画においては, 建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針 ( 平成 25 年 10 月 29 日, 国土交通省告示第 1055 号 ) や茨城県耐震改修促進計画の内容を勘案しつつ, それぞれの市町村の状況を踏まえ, 優先的に耐震化に着手すべき建築物や重点的に耐震化すべき区域の設定, 地域住民等との連携による啓発活動等について, より地域固有の状況に配慮して作成します 2. 関係団体による協議会の設置等について茨城県建築防災推進連絡協議会等の組織を通じ, 市町村耐震改修促進計画の策定, 耐震診断補助等に関する助言や支援を行います 5