変化 ( 進歩 )! 乳腺領域画像診断のこつ超音波とマンモグラフィを中心に 神奈川県がん検診担当医師 技師講習会平成 27 年 8 月 14 日 湘南記念病院 乳がんセンター土井卓子 日本の乳がん事情の変化! 学会の変化! マンモグラフィの変化! 超音波の変化! 薬剤の変化! 治療方法の変化! 1 2 資料 : 人口動態統計 国立がんセンターがん情報サービス 3 4 学会の変化! 昔 : 乳癌研究会 演題数 :42 今 : 第 23 回日本乳癌学会 演題数 :1915 日本乳癌学会地方会開催 乳腺専門医の制定 乳癌検診学会が設立 オンコプラステイック学会設立 診断と画像の変化! 5 6 1
診断方法 視触診の変化 視触診 マンモグラフィ 超音波 細胞診 針生検 CT MRI その他 外科医の経験と指先感覚は すべてに勝る 触診はマンモグラフィのブラインドエリアの確認程度の認識に変化 触るよりエコーで見た方が確実と思っている おざなりな触診になり 鈍くなってしまった 7 8 MMG ブラインドエリア MLO 写りにくいブラインドエリア CC なぜ触診 自己触診が難しいか? 乳房は丸い 垂れる 動く 乳房は月経と連動して変化する 何を探してよいかわからない 肌が脂っぽい 触ることに抵抗感がある 9 10 乳がんの自己検診法 乳房の形はどうか? 1: 視診 乳頭陥没皮膚の隆起 観桜発赤 潰瘍 乳頭びらん Ⅰ. 鏡の前に立ち 両腕の力をぬいて自然に下げたまま次のことを調べます イ ) 左右の乳房の形や大きさに変化がないか ロ ) 乳首のどこかに皮膚のへこみや引き連れはないか Ⅱ. 両腕を上げた状態で Ⅰ のイ ) ロ ) ハ ) と同じことを調べます ( しこりがあ るとそこにへこみができたり ひきつ れができたりすることがあります ハ ) 乳首がへこんだり ただれができていないか 11 12 2
触診のこつ乳房は丸くて垂れる 動く 2: 触診 乳房は丸い 垂れる 動く 乳房を薄く広げる : 上肢拳上 臥位で枕留置 乳房を固定する : 腕を両脇頭の後ろへ固定 つままない : 指の腹で押して触れる ( 裏面の肋骨を指標にする ) くまなく触れる : 左右 上下方向性を決めて触れてゆく 13 14 乳がんの自己検診法 乳房にしこりはないか? Ⅲ. 仰向けに寝て あまり高くない枕 あるいはタオルを折っ入れます 左手を上に上げ 頭の下に入れるようにします 右手のゆびをそろえてのばし まず左乳房の内側を調べます Ⅳ. 右手を左乳房の内側 ( 乳首よりも内側 ) にのせ 指の腹を胸の中央部に向かって 柔らかく しかもしっかり滑らせるようにし まんべんなく しこりの有無を調べます 触診のこつ乳房は月経と連動して変化する 月経前は乳腺が張って硬い 圧痛も強い 診察は月経開始数日後あたりが最適 初めて医師が触れてもこの連動まではわからないことを伝え 自己触診の大切さを強調 毎月の自分の乳房の変動を知るように指導 Ⅴ. 同じ姿勢のまま左腕を自然な位置に下 げ 今度は乳房の外側 ( 乳首より外側 ) の部分を外から内に向かって 柔らか く しっかりと指を滑らせて調べます Ⅵ. 右乳房も同様です 15 16 触診のこつ何を探してよいかわからない 自己触診はどんなものを探しているか教える 芯があり 表面凹凸のある可動性の悪いもの 硬い物が皮膚 脂肪 乳腺組織の下にないかどうか探すのが触診だと教えてください 皮膚と肋骨の間に指が探す 鎖骨を触れてみる 肋骨を触れてみる そこから乳腺のある部分へと移ってゆく 乳頭分泌物について 両側 複数の管から出る分泌物は生理的 授乳後長期間経過してもミルクのような分泌物の圧出はよくみられる 授乳中の出血 ( 鮮血 ) は生理的 乳頭からの暗赤色分泌は要精査 (8 割乳管内乳頭腫 2 割 DCIS) 17 18 3
乳頭分泌の精査 分泌物の細胞診 CEA 含量測定 ( マンモテック ) 超音波検査 乳管内視鏡 MRI PEM 3: マンモグラフィ 装置の変化読影の変化技量の変化 19 20 読影の変化 腫瘤の診断フローチャート 腫瘤の候補 乳房の構成を考えて読影する 用語の統一 所見の統一 カテゴリー分類にする 医師 技師の能力の標準化 マンモグラフィ読影講習会 マンモグラフィ技術講習会 21 局所的非対称性陰影 カテゴリー 1 カテゴリー 2 内部に粗大石灰化を有する場合 あるいは明らかに脂肪を含む場合はカテゴリー 2 とする 別表参照 明瞭平滑 乳腺実質の少ない乳房において高濃度の場合はカテゴリー 4 とする 腫瘤 境界 辺縁の所見 微細分葉状境界不明瞭 スピキュラを伴う カテゴリー 4 形状 濃度や背景乳腺などに応じて または 5 とする スピキュラが明瞭でない場合や 中心濃度が低いまたは小さい場合はカテゴリー 4 とする 22 石灰化のカテゴリー分類 石灰化のとらえ方の変化 びまん性領域性 微小円形淡く不明瞭多形性カテゴリー 2 カテゴリー 2 微細線状分枝状 カテゴリー表よりも より良性寄り より悪性寄りに判定する読影を作った 領域性に見えても 片側のみの場合は広い区域性も想定して要精査にする 角張りがなくても濃淡 大小不同があれば多形成に分類 など変化あり 集簇性 カテゴリー 4 線状区域性 カテゴリー 3 4 カテゴリー 4 23 24 4
未来へ : マンモグラフィの進化 造影マンモグラフィ トモシンセシス CAD の普及 所見をいれれば自動でカテゴリー表示 所見を入れておけば 自動で集計という機能 4: 超音波検査 装置の変化使用方法の変化 ( インターベンショナル ) 25 26 5:MRI 広がりの確認 ( 安全な温存可能 ) 病変存在の確認高リスク者の検診今後は MRI ガイド下生検へ 6 未来へ :PEM positron emission mammograpy 月経周期と無関係 Dence breast にも診断能力高い 感度 91% 特異度 93% 陰性適中率 88% 正診率 92% 27 28 7: 組織診断 細胞診から組織診へ進行度からサブタイプへ 遺伝子解析によるサブタイプ 臨床的簡単な考え方 HER2 - HER2 + ER+ Luminal A ホルモン剤 ER- Triple Negative 化学療法 Luminal B 化療 + 坑 HER2 剤 + ホルモン HER2 type 化療 + 坑 HER2 剤 29 30 5
今後の検診エコーを導入しての総合判定へ マンモグラフィで悪性所見がなく (C1 2) 超音波検査単独の所見があった場合 マンモグラフィ上乳腺実質の多い部位であれば超音波所見を優先する その部位が脂肪性である場合は超音波判定を行う場合 マンモグラフィでは悪性所見がないということを参考にして 拾い上げすぎないようにする 31 32 マンモグラフィで 以上の所見があった場合 (MMG で要精査 ) MMG の所見が腫瘤で 以上の場合 境界明瞭平滑な腫瘤や評価困難な場合は 超音波所見を優先する たとえば 嚢胞や典型的線維腺腫であった場合には 超音波所見はカテゴリー 2 となる この超音波所見を優先する ただし 対応するものが確認できない場合 要精査 微細分葉 境界不明瞭 スピキュラを有する場合には MMG 所見を優先する 診断能力が高くなって何が変わったのか? 術前に癌の組織型 サブタイプ Ki-67 が分かるので 適応症例は術前化学療法へ 広がりが確実にわかるので 温存に向かない症例は方針変更へ 無駄な経過観察で悪化させない 判断がつかない不安が解消 33 34 生命の危険とは 治療の変化!! 遠隔転移によりはじめて生命危険の可能性が出現する 乳癌は他部位のがんとは違う! なぜ変わったのでしょうか? 何が変わったのでしょうか? どう変わったのでしょうか? 肺 肝臓 骨 脳などへの転移 局所の切除術式 再発の有無とは無関係 35 36 6
乳癌治療の内容 全身療法 : 生命を守るために行う治療ホルモン療法化学療法分子標的治療薬 局所療法 : 病巣をコントロールするための治療手術療法放射線療法 37 ホルモン剤 ゾラデックス リュープリン 3.75 フェソロデックス 乳癌治療薬の増加 ノルバデックス ヒスロン H フェアストン アリミデックスアロマシン フェマーラ 年代 1960 1970 1980 1990 2010 2000 5-FU 注 アドリアシン注 5-FU 錠 UFT カプセルフルツロン cap ファルモルビシンエンドキサンメソトレキセートタキソテールタキソール カペシタビンナベルビン TS-1 ジェムザールアブラキサンハラヴェン 化学療法剤分子標的治療薬 ハーセプチン ランマーク 38 治療の組み立ては変わった! 手術が主 再発したら抗がん剤 手術は治療の一部 再発予防の薬物療法主 再発したらホルモン剤が有効なら ホルモン剤だけ 効かなくなるまでホルモン剤でずっと 骨転移はビスフォスフォネートが出てから飛躍的に QOL 改善 最適な治療には 適切な画像診断 MMG 読影のこつ ぐるっと全周を追う ( ひきつれの有無 ) 離れて左右差を確認 ( 濃度上昇の有無 ) 近寄って拡大して観察 ( 石灰化の有無 ) 区域性石灰化は背景乳腺濃度上昇を疑う 乳腺下方 後隙の濃度上昇を確認 US との総合判定にはコツが必要 新しくなる読影の概念を勉強しましょう 39 40 7