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記者発表「大学生・大学院生の多様な採用に対するニーズ調査」(平成29年12月26日)|労働政策研究・研修機構(JILPT)

「学び直し」のための教育訓練給付制度の活用状況|第一生命経済研究所|的場康子

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調査実施の背景 わが国は今 人口構造の変化に伴う労働力の減少を補うため 女性の活躍を推進し経済成長を目指しています しかし 出産後も働き続ける女性は未だ多くないばかりでなく 職場において指導的な立場に就く女性も少ない状況が続いています 女性の活躍を促進させるためには 継続就業のための両立支援策ととも

調査実施の背景 わが国では今 女性活躍を推進し 誰もが仕事に対する意欲と能力を高めつつワークライフバランスのとれた働き方を実現するため 長時間労働を是正し 労働時間の上限規制や年次有給休暇の取得促進策など労働時間制度の改革が行なわれています 年次有給休暇の取得率 ( 付与日数に占める取得日数の割合

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調査実施の背景 2015 年 4 月から子ども 子育て支援新制度 以下 新制度 が施行され 保育事業の拡大が図られます そのため保育人材の確保が重要な課題となっており 保育士確保のための取組が強化されています しかし保育士のみでは必要量を満たせないことから 子育て分野で働くことに関心のある地域住民に

l. 職業以外の幅広い知識 教養を身につけたいから m. 転職したいから n. 国際的な研究をしたかったから o. その他 ( 具体的に : ) 6.( 修士課程の学生への設問 ) 修士課程進学を決めた時期はいつですか a. 大学入学前 b. 学部 1 年 c. 学部 2 年 d. 学部 3 年 e

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アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国の中学 3 年生までの子どもをもつ父親 母親およびその子どものうち小学 4 年生 ~ 中学 3 年生までの子 該当子が複数いる場合は最年長子のみ 2. サンプル数父親 母親 1,078 組子ども 567 名 3. 有効回収数 ( 率 ) 父親 927

1. 交際や結婚について 4 人に3 人は 恋人がいる または 恋人はいないが 欲しいと思っている と回答している 図表 1 恋人が欲しいと思わない理由は 自分の趣味に力を入れたい 恋愛が面倒 勉強や就職活動に力を入れたい の順に多い 図表 2 結婚について肯定的な考え方 ( 結婚はするべきだ 結婚

ダイヤモンド就活ナビ 就職モニターアンケート

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調査の概要 少子高齢化が進む中 わが国経済の持続的発展のために今 国をあげて女性の活躍推進の取組が行なわれています このまま女性正社員の継続就業が進むと 今後 男性同様 女性も長年勤めた会社で定年を迎える人が増えることが見込まれます 現状では 60 代前半の離職者のうち 定年 を理由として離職する男

調査実施の背景 近年 ライフスタイルの多様化が著しく進んでいます 生涯未婚率が上昇し 単身世帯 一人親世帯も増加するなど 世帯構成が大きく変化しました また 25 歳から 39 歳の就業率が上昇し 共働き世帯も増加しました においては 管理職の積極的な登用が推進される一方で非正規社員の占める割合は高

学校基本調査 ( 文部科学省 ) にほぼ近い分布となっている (2) 調査分析結果については 分析委員会で検討を行った 第 2 本アンケート調査の主な結果 1 学生 ( 大学生 大学院生 ) の就職に関する意識 (1) 卒業後の予定進路は 大学生 大学院生ともに8 割以上が 民間企業に就職 を希望し

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Q2 あなたの性別はどちらにあてはまりますか (SA) 全体

調査結果 転職決定者に聞く入社の決め手 ( 男 別 ) 入社の決め手 を男 別でみた際 性は男性に比べると 勤務時間 休日休暇 育児環境 服装 オフィス環境 職場の上司 同僚 の項目で 10 ポイント以上 かった ( 図 1) 特に 勤務時間 休日休暇 の項目は 20 ポイント以上 かった ( 図

調査結果概要 留学概要について 留学の種類 私費留学 が 4 割でもっとも高い 大学経由の留学 ( 交換留学 認定留学 派遣留学 の合計 ) も同様に 4 割を占める 留学先 アメリカ がもっとも高い 留学先の 4 位までが英語圏で 6 割以上を占める 留学した学年 大学 2 年 大学 3 年 がそ

3-1. 新学習指導要領実施後の変化 新学習指導要領の実施により で言語活動が増加 新学習指導要領の実施によるでの教育活動の変化についてたずねた 新学習指導要領で提唱されている活動の中でも 増えた ( かなり増えた + 少し増えた ) との回答が最も多かったのは 言語活動 の 64.8% であった

参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

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長く働き続けるための「学び直し」の実態と意識|第一生命経済研究所|的場康子

世の中の人は信頼できる と回答した子どもは約 4 割 社会には違う考え方の人がいるほうがよい の比率は どの学年でも 8 割台と高い 一方で 自分の都合 よりみんなの都合を優先させるべきだ は 中 1 生から高 3 生にかけて約 15 ポイント低下して 5 割台にな り 世の中の人は信頼できる も

中国帰国者以外 フィリピン アジア諸国 中米南米諸国 欧米系諸国 全体 就業の状態 (1) 現在の職業表 -2.5 は 国籍グループ別に有業者の現在の職業をみたものである

1 施設で生活する高校生の本音アンケート 3 2 調査項目 4 3 施設で生活する高校生の自己肯定感について...5 (1) 一般高校生との比較 5 4 施設で生活する高校生の進路について.7 (1) 希望職種の有無と希望進路 7 (2) 性別 学年による進路の違い 8 5 施設で生活する高校生のア

2. 学生の動向について エントリー 説明会等の参加時期 出所 : マイナビ 就職モニター調査 データより作成上のグラフは 3 月広報解禁後の 企業エントリー ( プレエン ) エントリーシート提出 合同企業説明会参加 個別企業セミナー参加 の活動時期について 18 卒と17 卒のデータを比較したグ

一般的な学生 & 企業の活動フロー 各選考ステップ例 エントリー 会社説明会 一次選考 筆記試験二次選考 ~ 最終選考内々定 約 30% 4% 2~3 名採用 合計 600~700 名 ( エントリー数目標 ) 約 200 名 ( 目標 ) 約 100 名 ( 目標 ) 約 30 名 ~50 名 (

報道関係各位 2012 年 1 月 25 日 株式会社ベネッセコーポレーション 代表取締役社長福島保 高校受験調査 ~ 高校 1 年生は自らの高校受験をどのように振り返っているのか ~ 高校受験を通じて やればできると自信がついた 71% 一方で もっと勉強しておけばよかった 65% 株式会社ベネッ


長く働き続けるための「学び直し」の実態と意識

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組合員対象 奨学金制度に関するアンケート の集計状況 1. はじめに調査概要とサンプル特性について < 調査概要 > 調査実施期間 2016 年 11 月 16 日 ~12 月 28 日 調査対象 全国の国公立および私立大学の学部学生 院生 回収数 1,745 有効回答数 文責 : 加藤

H31 入学時アンケート 全学科 専攻 平成 31 年度入学時アンケート報告用.xlsx 平成 31 年度入学時アンケート 全学科 専攻 実施日 : 平成 31 年 4 月 3 日 ( 水 )~5 日 ( 金 ) 調査方法 : 集合法 ( 学科 / クラス ) による 自記入式質問紙調査 調査対象

(4) 市からのお知らせについて 西宮市では 市民のみなさまに市政への理解と関心を深めていただき また市民サービスを円滑に利用していただくために 広報紙や放送 ホームページなどさまざまな媒体により 市政情報をお届けしています 市民のみなさまのご意見をいただき 利用しやすく わかりやすい情報提供となり

< 目次 > 調査結果報告書要旨 調査結果報告書要旨... 3 (1) 調査の概要... 3 (2) 本調査の主な結果... 4 調査結果報告書本文 1. 調査の概要 回答者属性 報告書構成等 (1) 調査の概要 (2) 回答者の基本属性 (3) ウエイトによる補

2008 年 1 月 11 日 株式会社エルゴ ブレインズ ポイントオン株式会社 自主学習時間は 1 日平均 4 時間以上 ~ 高校 3 年から塾 予備校に通い始めた追い込み組 ~ 株式会社エルゴ ブレインズ ( 本社 : 東京都港区 代表取締役最高経営責任者 CEO: 宮田徹 証 券コード :43

第一部では 横山講師より選考フェーズごとのポイントをお話いただきました 現在の学生の傾向やエントリーシートの読み方 面接における注意事項など長年人事に携わり 現在は大学のキャリアセンターにいらっしゃる横山講師ならではの講演です 講演内容の特に重要な点 ロールプレイングを行った上で説明した学生を見る視

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恋愛観調査2013

2

目次 調査概要調査サマリー 歩きスマホ は危ないと思うか?/ 歩きスマホ をしたことがあるか? 歩きスマホ をしてしまう理由は? 歩きスマホ をしている人に対して危ないと感じたことはあるか? 歩きスマホ が危ないと感じたのはどのようなシーンか? 歩きスマホ で最も危ないと感じたのはどのようなシーンか

最初に あなたの働く目的は何ですか? という質問をしたところ 20~50 代のすべての年代において 生活 家族のため と答えた人が最も多かった その割合は 20 代が 63.6% 30 代が 74.0% 40 代が 83.8% 50 代が 82.5% だった また 全年代共通で 第 2 位が 自由に

第1回「離婚したくなる亭主の仕事」調査

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

Ⅰ 調査目的 総合研究所では 新規開業企業の実態を把握するために 1991 年から毎年 新規開業実態調査 を実施し 開業時の年齢や開業費用など時系列で比較可能なデータを蓄積すると同時に 様々なテーマで分析を行ってきた 今年度は 高齢化が進展するなか開業の担い手として注目を集めているシニア起業家 (

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

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第4章妊娠期から育児期の父親の子育て 45

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1. 概要 目的 大学生におけるクレジットカードの所有の有無とクレジットカードに関する意識を調査するため 回答者 :709 名 1 日本大学商学部 特殊講義金融サービス ビジネス 受講生 (2~4 年生 ) 2 明治大学国際日本学部 金融サービス演習 受講生 (2 年生 ) 3 白鷗大学経営学部 銀

求人サイト利用についての自主調査 雇用形態や制度の変化が急激に進む中 求人産業が大きく成長し 求人サイトの利用が高まっています 正社員 派遣 アルバイトといった雇用形態によって 求人サイトの利用状況や サイトに期待される機能は異なっているのでしょうか また 求職者はモバイルサイトと PC サイトをど

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ニュースリリース 2015年度 九州・山口地区の新入社員意識調査アンケート結果

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広聴調査結果(ポイント)〔平成28年度〕

学生確保の見通し等を記載した書類2

ボランティア行動等実態調査【速報】

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< 総合調査結果 ( 人材採用 不動産業界 株価 病院の全ジャンル )> Q1. 企業や商品に関するネガティブな情報が WEB 上に表示されていたら どうしますか? ( 複数回答 ) % 41.79% 44.28% 48.42% % 22.39% 24.68% 2

2017 年 6 月 16 日 ( 金 ) プレ & インターンシップ 夏期インターンシップの活用とその後の採用スケジュールなどについて説明します 3 年生だけでなく インターンや就職活動に興味のある 1,2 年生も参加してください 2017 年 6 月 22 日 ( 木 ) 外国人留学生の活動対策

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3-2 学びの機会 グループワークやプレゼンテーション ディスカッションを取り入れた授業が 8 年間で大きく増加 この8 年間で グループワークなどの協同作業をする授業 ( よく+ある程度あった ) と回答した比率は18.1ポイント プレゼンテーションの機会を取り入れた授業 ( 同 ) は 16.0

婚活実態調査2016『婚活サービス』は、今や結婚に向けた有効な手段に!

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( ウ ) 年齢別 年齢が高くなるほど 十分に反映されている まあまあ反映されている の割合が高くなる傾向があり 2 0 歳代 では 十分に反映されている まあまあ反映されている の合計が17.3% ですが 70 歳以上 では40.6% となっています

採用活動に関する企業調査(2012年12月)

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三世代で暮らしている人の地域 親子関係 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室的場康子 < 減り続ける > 戦後 高度経済成長を迎えた我が国においては 産業構造の変化により都市化 工業化が進む中で 多くの人が地方から都市に移動し核家族化が進んだ 低成長経済に移行した後

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資料2 企業の求める人材及び学生就職の現状

大学生の就職プロセス調査 ( ) 17 年 3 月度 ( 卒業時点 ) 確報版 目次 調査概要 2 就職志望者から見た内定状況の構図 3 各率の算出方法 用語の定義 3 1) 就職活動実施状況および就職内定 ( 内々定 ) 状況 ( 卒業時点 ) 就職活動実施率 の詳細データ 就職内定( 内々定 )

「教育資金贈与信託」、資産の世代間移行を後押し

ITスキル標準に準拠した      大学カリキュラムの改善

調査の実施背景 介護保険制度が 2000 年に創設されてから 10 年余りが過ぎました 同制度は 家族介護をあてにせずに在宅介護ができる支援体制を整えることを目的として発足されたものですが 実際には 介護の担い手としての家族の負担 ( 経済的 身体的 精神的負担 ) は小さくありません 今後 ますま

第 2 節キャリア コンサルティングの理解 (4) キャリア コンサルタントの能力 Ⅰ キャリア コンサルティングの社会的意義に対する理解 1 社会 経済的動向とキャリア形成支援の必要性の認識 2 キャリア コンサルティングの役割の理解 3 キャリア コンサルティングを担う者の活動範囲と義務 ( 活

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2016年11月_第7回ビジネスパーソン1000人調査(仕事と感謝編)

派遣社員の評価に関する 派遣先担当者調査結果

1. 職場愛着度 現在働いている勤務先にどの程度愛着を感じているかについて とても愛着がある を 10 点 どちらでもない を 5 点 まったく愛着がない を 0 点とすると 何点くらいになるか尋ねた 回答の分布は 5 点 ( どちらでもない ) と回答した人が 26.9% で最も多かった 次いで

調査の背景 埼玉県では平成 29 年度から不妊に関する総合的な支援施策として ウェルカムベイビープロジェクト を開始しました 当プロジェクトの一環として 若い世代からの妊娠 出産 不妊に関する正しい知識の普及啓発のため 願うときに こうのとり は来ますか? を作成し 県内高校 2 年生 3 年生全員

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2008/3/4 調査票タイトル : ( 親に聞く ) 子どものダイエットについてのアンケート 調査手法 : インターネットリサーチ ( ネットマイル会員による回答 ) 調査票種別 : Easyリサーチ 実施期間 : 2008/2/22 14:28 ~ 2008/2/22 21:41 回答モニタ数

自主調査レポート

目次 目次 2 調査概要 3 調査サマリー 4 歩きスマホ は危ないと思うか? / 歩きスマホ をしたことがあるか? 5 歩きスマホ をしてしまう理由は? 6 歩きスマホ をしている人に対して危ないと感じたことはあるか? 7 歩きスマホ が危ないと感じたのはどのようなシーンか? 8 歩きスマホ によ

平成30年版高齢社会白書(全体版)

Transcription:

NOTES 大学 3 年生の就職に関する意識と情報収集の実態 研究開発室的場康子 - 要旨 - 1 就職活動本格開始直前の 2012 年 11 月下旬に大学 3 年生を対象に就職についてのアンケー 2 3 4 ト調査を実施した 多くの学生は働くことに前向きであり 就職先についての検討もすでに始めている 他方 卒業までに就職先が決まるか不安である が 8 割以上であるなど 就職に対する不安も多くの学生が感じている 企業や職業を選択する際に重視するポイントの上位 3 位は やりがいが感じられる仕事ができること (49.8%) 自分の能力や適性と合っていること (38.7%) 職場の雰囲気 人間関係がよいこと (33.1%) であった 多くの学生は その手軽さを理由にインターネットや大学の就職部を活用した情報収集をおこなっているが 職業選択の決め手となる仕事内容や職場の雰囲気がわかるためには OB OGなど志望企業で働いている人の意見やインターンシップなどの経験が重要であると認識している 調査結果から 多くの学生は働いている人との意見交換やインターンシップ経験に基づく情報を重視していることが明らかとなり 企業においても採用活動に際し こうした機会をできるだけ多く提供する工夫が求められている 1. はじめに (1) 問題意識 2014 年 3 月卒業の大学生の採用 就職活動が本格化している 一般社団法人日本経済団体連合会の 採用選考に関する企業の倫理憲章 によって 2013 年度入社の学生から 採用を目的とした企業の広報活動開始時期は大学 3 年 ( また修士 1 年 ) の 12 月 1 日以降 面接等実質的な選考活動については卒業 修了学年の4 月 1 日以降に開始することとされた これは 学生の学業への影響を考慮し 採用 就職活動の早期化の自粛を求めるものである 一方 広報活動の 12 月開始により これまでよりも選考までの期間が短縮化されたので 企業 学生双方にとって効率よく情報収集をすることが必要とされることとなった 最近 インターネットを活用した採用 就職活動が注目されているのも こうしたことが背景にあると思われる 採用 就職活動にあたっては時間との戦いの中で効率性を重視することも必要であ 28

るが 企業と学生との間で十分に情報交換を図ることも重要である そうすることで 企業にとっては人材の定着 学生にとっては職業生活へのスムーズな移行及び安定につながる 採用 就職活動では 情報収集 が重要な鍵を握るといえる こうした背景から当研究所では 学生の情報収集面に注目し 就職活動を目の前に控えた大学 3 年生を対象にアンケート調査を実施した この中から本稿では 就職に対する意識や情報収集の実態に関する結果を紹介し 就職活動における情報収集面での課題について考察する (2) アンケート調査の概要アンケート調査は株式会社クロス マーケティングに委託して インターネット調査により 2012 年 11 月 22 日 ~28 日に実施した アンケート調査の対象は株式会社クロス マーケティングのモニターから抽出した全国の大学 3 年生 953 人である 対象者の抽出にあたっては 文部科学省 平成 24 年度学校基本調査 を参考として 性別 居住地別に学生数の割付をおこなった 居住地別回答数は 首都圏 ( 東京都 神奈川県 千葉県 埼玉県 ) と近畿圏 ( 京都府 大阪府 兵庫県 ) の居住者が 552 人 ( の 55.9%) それ以外の都道府県居住者が 435 人 ( 同 44.1%) である ( 図表 1) また 大学の専攻学部を文系 理系別( 以下 文理別 ) にみると 文系は 666 人 ( の 67.5%) 理系は 321 人 ( 同 32.5%) という構成である ただし医学系 ( 医学 歯学 看護学 薬学等 ) の学生は本調査対象から除外した 図表 1 回答数 ( 性別 居住地別 文理別 ) 居住地別 文理別 ( 単位 : 人 ) 首都圏と近畿圏の在住者 左記以外の在住者 文系 理系 987 552 435 666 321 (100.0%) (55.9%) (44.1%) (67.5%) (32.5%) 538 294 244 305 233 (100.0%) (54.6%) (45.4%) (56.7%) (43.3%) 449 258 191 361 88 (100.0%) (57.5%) (42.5%) (80.4%) (19.6%) 2. 就職についての意識 (1) 進路選択についての意識これから就職活動を始めるにあたり 大学 3 年生はどのような意識を持っているのか まず 大学卒業後の希望進路をたずねた結果をみると 民間企業に就職したい が 70.8% を占め 最も多い ( 複数回答 図表省略 ) 次いで 公務員( 教員を除く ) 29

として就職したい が 27.7% 専門職( 法律家 会計士等 ) に就きたい が 9.5% 教員になりたい が 9.1% となっている 決まっていない は 12.0% である 大学 3 年生のほとんどが 11 月時点で進路を考えているようだ また 企業や職業を選択する際に重視するポイントは何かをたずねたところ やりがいが感じられる仕事ができること が最も多く 49.8% 自分の能力や適性と合っていること が 38.7% 職場の雰囲気 人間関係がよいこと が 33.1% の順で上位 3 位となっている ( 図表 2) 仕事内容や職場の雰囲気などを職業選択のポイントとして重視している人が多い 性 文理別でみると 専攻学部にかかわらず は雇用の安定や給与 将来性などを は自分の能力や適性に合っていることや職場の雰囲気などを重視する人が多いことがみてとれる 図表 2 企業や職業を選択する際に重視するポイント ( 性 文理別 )<3 つまでの回答 > n やりがいが自分の能感じられる力や適性仕事ができと合っていることること 職場の雰囲気 人間関係がよいこと 雇用が安定していること 人や社会の役に立つ仕事ができること 土日が休みであること 給料が高いこと 将来性があること 987 49.8 38.7 33.1 27.4 19.3 17.3 15.3 14.5 文系 305 46.9 33.4 27.2 30.5 16.1 19.7 16.7 14.1 理系 233 50.6 36.5 27.0 27.9 19.7 16.7 18.9 25.8 文系 361 51.5 42.1 41.3 24.9 21.3 13.6 12.7 8.0 理系 88 51.1 48.9 36.4 25.0 20.5 26.1 11.4 12.5 注 : 上位 8 項目までの選択肢 下線は 性 文理別にみた上位 3 位までの項目 (2) 働くことについての意識働くことについてどのように考えているかをみると 仕事を通して 自分自身を向上させたい に約 8 割 仕事を通して 社会に貢献できればよいと思う できるだけ早く親から独立をしたい 職業や就職先について いろいろ検討している に約 7 割の学生が あてはまる ( あてはまる と どちらかといえばあてはまる の合計 以下同様 ) と肯定的な回答をしている ( 図表 3) 性 文理別にみると 専攻学部にかかわらず 自分自身を向上させたい という意識はのほうが高く 親からの独立 意識についてはのほうが高い傾向がある 社会に貢献できればよいと思う 割合は性別にかかわらず理系のほうが高い 専攻学部や男女で若干の意識の差はあるが 多くの学生が働くことを前向きに考え 自分自身の成長や社会に貢献できることを期待している 30

n 図表 3 働くことに対する意識 ( 性 文理別 ) 仕事を通して 自分自身を向上させたい 仕事を通して 社会に貢献できれば良いと思う できるだけ早く親から独立をしたい 職業や就職先について いろいろ検討している 987 81.0 75.8 72.5 69.9 文系 305 78.3 74.1 73.8 68.6 理系 233 78.9 76.8 79.8 69.9 文系 361 84.2 75.1 66.5 70.4 理系 88 84.1 81.8 72.7 72.8 注 : あてはまる と どちらかといえばあてはまる の合計 (3) 就職活動に対する意識 1) 就職に対する不安感一方 就職活動を前にして不安を感じている学生も多い 卒業までに就職先が決まるか不安である に 80.5% 自分がどのような職業に適しているかわからない に 68.3% の学生が あてはまる と回答している ( 図表 4) 性 文理別でみると 専攻学部にかかわらずの方が高い回答割合を示している項目が多く よりも不安感を持っている人が多いことがうかがえる 前述のように多くの学生は職業について前向きに検討中のようであるが 他方 職業や企業を選択することの難しさや不安を感じているといえる n 図表 4 就職に対する不安感 ( 性 文理別 ) 卒業までに就職先が決まるか不安である 自分がどのような職業に適しているかわからない 自分はどのような自分ひとりで職業人生をおくるか を決める自信がまだ考えられないない 987 80.5 68.3 63.3 53.5 文系 305 76.7 63.0 61.4 48.5 理系 233 79.9 69.5 66.9 54.9 文系 361 82.8 70.1 62.9 54.0 理系 88 85.2 76.1 62.5 64.8 注 : 図表 3 に同じ 2) 情報収集面での意識就職活動における情報収集の側面に着目した意識をみると インターネットによる情報だけでは就職先を決められない 企業の採用基準がわからない に 8 割以上が あてはまる と回答している( 図表 5) また 働いている人に実際に会って話を聞く機会がほしい 世の中にどのような企業があるかわからない にも約 7 割が回答 31

している 性 文理別にみると 特に理系で 働いている人に実際に会って話を聞く機会がほしい の回答割合が また文系では 企業の採用基準 や 世の中にどのような企業があるか 就職活動の仕方 がわからないとの回答割合が高い傾向がある 学生の多くは インターネットによる情報のみに頼れないことを認識しており どのような企業があるか 企業の採用基準は何かなど 企業や職業選択のために必要な情報を収集する上での不安を感じていることがわかる 図表 5 就職活動にあたっての情報収集面での意識 ( 性 文理別 ) n インターネットによる情報だけでは就職先を決められない 企業の採用基準がわからない 働いている人に実際に会って話を聞く機会がほしい 世の中にどの就職活動の仕ような企業があ方がわからなるかわからないい 就職について 誰に相談していいかわからない 987 83.0 80.0 73.4 67.9 63.8 51.5 文系 305 77.7 78.7 71.1 64.6 59.6 53.4 理系 233 86.7 78.1 72.1 66.9 64.8 52.8 文系 361 83.4 83.1 73.7 71.8 66.4 49.0 理系 88 89.7 77.3 84.0 65.9 64.7 51.1 注 : 図表 3 に同じ 3. 就職活動のための情報収集 (1) 利用しているものそれでは 学生はどのように情報収集をおこなっているのであろうか 就職活動の情報収集のために利用しているもの ( 利用したものを含む ) をたずねた結果 採用情報のウェブサイト ( 民間企業が運営する就職情報サイト ) が 62.9% で最も高く 次いで 企業のホームページや企業のSNS(Social Networking Service) が 48.5% と続いている ( 図表 6) 12 月の解禁前に実施した調査であるため まだ本格的に情報収集を始めていない人もいると思われるが 11 月時点でも6 割以上が 採用情報のウェブサイト を利用している また 利用しているもののうち特に重視するものを選択してもらった結果をみても これら2 項目の回答割合が高い 就職活動にあたりインターネット上の情報を利用し かつ重視している人が多いことがうかがえる OB OGなど働いている人の意見 についてみると これを利用している人は 15.3% と少ないが すでに利用している人の中でこれを特に重視するとしている人の 32

割合は 51.0% と半数以上を占めている 図表 5で 働いている人に実際に会って話を聞く機会がほしい と思っている人が約 7 割を占めていたことと考え合わせてみると 就職活動をするにあたり OB OGなど働いている人の意見 を重視し これを求めている人が多いことがうかがえる 図表 6 就職活動の情報収集のために利用している ( した ) もの< 複数回答 > 0 20 40 60 80 0 20 40 60 80 インターネット まわりの人の意見 採用情報のウェブサイト 62.9 (%) (%) 35.5 65.9 大学の先輩の意見 37.1 企業のホームページや企 48.5 業のSNS 59.9 35.4 友人の意見 15.2 SNS 21.3 13.3 31.0 家族 親族の意見 25.5 就職情報を交換するクチ 18.4 コミ掲示板 30.8 30.5 大学の先生の意見 34.6 経験 大学 アルバイト インターンシップ ボランティア活動 大学主催の企業説明会 大学の就職部 キャリアセンター 17.4 18.0 12.5 18.7 41.2 39.3 44.0 49.8 39.4 46.3 OB OG など働いている人の意見 雑誌 書籍 一般の新聞や雑誌 書籍 就職活動のノウハウ本 民間情報会社が発行する就職情報誌 15.3 12.2 24.2 12.0 16.1 8.6 11.8 51.0 利用しているもの 利用している ( した ) もののうち特に重視するもの 注 : 利用しているもの は複数回答 特に重視するもの は 利用している ( した ) と回答したもののうち 職業選択にあたり特に重視するものとして 3 つまで選択して回答してもらった数値である (2) 就職活動の情報として利用する理由利用している情報ごとに 利用する主な理由をたずねた結果をみたものが図表 7である 採用情報のウェブサイト や 企業のホームページや企業のSNS などのインターネットによる情報を利用している理由の第 1 位は 手軽に情報収集ができる である 理由の第 2 位をみると 企業のホームページや企業のSNS は 信頼できる であるが 採用情報のウェブサイト SNS などは まわりの人が利用している となっている これに対して 大学主催の企業説明会 や 大学の就職部 キャリアセンター といった大学からの情報や 大学の先生の意見 や 大学の先輩の意見 などのまわりの人の意見 ( 友人の意見 を除く) は 信頼できる が利用する理由の第 1 位である ちなみに 回答数が少ないために参考として示すが 公的な就職支援機関 ( ハローワークなど ) などの求人紹介のサービスも 信頼できる が理由の第 1 位であり 大学からの情報などと回答項目の分布が似ている 33

図表 7 就職活動の情報として利用する主な理由 <2 つまでの複数回答 > n 信頼できる まわしりてのい人るが利用 手軽にで情き報る収集が 仕事の内る容がわか 職場等わのか雰る囲気が 本企的業なのれ情客る報観が的得 ら基 就情職報試が験得にら必れ要るな インターネット 採用情報のウェブサイト 621 27.5 41.7 52.2 8.2 1.3 17.2 9.2 企業のホームページや企業の SNS 479 37.4 17.7 40.5 20.0 5.2 18.4 9.6 SNS 210 11.9 34.3 60.0 6.7 4.3 8.6 6.7 就職情報を交換するクチコミ掲示板 182 9.9 29.1 56.6 4.9 8.8 18.1 14.8 大学 まわりの人の意見 大学主催の企業説明会 434 35.3 26.3 25.1 20.3 6.7 23.3 11.8 大学の就職部 キャリアセンター 389 47.8 27.8 29.6 8.2 2.6 15.4 15.7 大学の先輩の意見 350 45.1 12.0 31.4 10.3 11.7 13.4 18.0 友人の意見 349 25.8 13.2 51.0 4.3 4.6 8.9 6.0 家族 親族の意見 306 43.1 6.9 40.2 7.5 3.9 10.5 3.9 大学の先生の意見 301 49.5 10.3 27.2 7.6 4.7 15.3 11.6 OB OG など 志望企業で働いている人の意見 151 47.0 10.6 16.6 22.5 29.1 14.6 14.6 アルバイト 407 17.0 7.9 11.3 28.7 28.0 7.4 2.9 経験 インターンシップ 178 24.7 11.2 6.2 34.8 54.5 10.1 5.6 ボランティア活動 123 21.1 8.9 13.0 19.5 17.1 7.3 4.9 雑誌 書籍 人紹考)求介 一般の新聞や雑誌 書籍 120 30.8 13.3 40.8 8.3 3.3 36.7 20.0 就職活動のノウハウ本 118 22.0 22.0 35.6 14.4 1.7 17.8 33.1 民間情報会社が発行する就職情報誌 85 18.8 21.2 36.5 14.1 2.4 34.1 16.5 公的な就職支援機関 ( ハローワークなど ) 40 32.5 17.5 27.5 15.0 0.0 12.5 7.5 参民間の就職支援サービス ( 新卒者向け人 32 37.5 12.5 28.1 15.6 3.1 21.9 9.4(材紹介サービス ) 注 : 太字の数字は第 1 位の理由 下線の数字は第 2 位の理由 他方 アルバイト や インターンシップ ボランティア活動 といった自らの 経験 に基づく情報は 仕事の内容がわかる や 職場等の雰囲気がわかる への回答割合が上位となっている この結果から 多くの学生はインターネット情報をその手軽さのために利用しているが インターネット情報だけでは就職先を決められない と認識しているように 情報の信頼性という点ではまわりの人 ( 友人を除く ) の意見を また職場の雰囲気や仕事内容を知ることができる点ではインターンシップなどの経験に基づく情報の方を 34

評価していることが確認できた 4. まとめ 以上 大学 3 年生が本格的に就職活動を開始する直前の11 月時点における 就職に対する意識や情報収集の実態についてみてきた 性別を問わず多くの学生は働くことに前向きであり 就職先についての検討もすでに始めている 他方 卒業までに就職先が決まるか不安である が8 割以上であるなど 就職に対する不安も多くの学生が感じている また 企業の採用基準や就職活動の仕方がわからない等 情報収集面での不安を感じている学生も多く 就職活動を乗り切るには情報収集の仕方が重要であることを改めて確認できる結果であった 実際 11 月時点で多くの大学 3 年生がすでに就職活動のための情報収集を始めていた 多くの学生は その手軽さを理由にインターネットや大学の就職部を活用した情報収集をおこなっているが 職業選択の決め手となる仕事内容や職場の雰囲気がわかるためには OB OGなど志望企業で働いている人の意見やインターンシップなどの経験が重要であると認識しており 働いている人に実際に会って話を聞く機会がほしい と多くの学生が思っている 情報に対する信頼性も インターネットよりも 大学の先輩の意見 や OB OGなど 志望企業で働いている人の意見 等 まわりの人の意見のほうが高い このように 多くの学生は働いている人との意見交換やインターンシップ経験に基づく情報を重視していることが明らかとなったことから 企業においても採用活動に際し こうした機会をできるだけ多く提供する工夫が求められている こうして多くの学生が企業と個人レベルでの情報交換の場を有効に活用することができれば 就職先企業との情報ギャップが縮小され スムーズな職業生活への移行にも寄与するものと思われる ( 研究開発室上席主任研究員 ) 主な参考文献 苅谷剛彦 本田由紀,2010, 大卒就職の社会学-データからみる変化 東京大学出版会. 労働政策研究 研修機構,2006, 大学生の就職 募集採用活動等実態調査結果 Ⅱ 大学就職部/ キャリアセンター調査 及び 大学生のキャリア展望と就職活動に関する実態調査 ( 調査シリーズ No.17). 35