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症例提示 68 歳男性 主訴 下腿浮腫 現病歴 7 年前からアルコール性肝硬変を指摘されていたが 定期通院歴はなし 受診 1 カ月前からの下腿浮腫を主訴に内科外来を受診し 肝硬変に対する精査加療目的で入院加療となった 既往歴 アルコール性肝硬変 生活歴 日本酒を 1 日 500mL 以上飲む大酒 (CAGE2 点 )

症例提示 身体所見 血液検査から Child Pugh:C のアルコール性肝硬変と診断した 腹部 CT 検査で肝臓は辺縁不整で変形し 明らかな腹水貯留は認めなかった 食道静脈瘤評価目的に施行した上部消化管内視鏡検査では食道下部 (Li) に食道静脈瘤を認め 形態 F2, 色調 Cb,RC(+) の所見が得られた 静脈瘤に対して予防的治療介入の適応と考え β blocker 導入を検討した

症例の疑問 治療適応のある食道静脈瘤に対して β 遮断薬と EVL の併用療法は β 遮断薬単剤療法と比較し 食道静脈瘤破裂の予防に有効か?

EBM の 5STEP の前に 食道静脈瘤の診断と治療について復習

食道静脈瘤 代償期 LC の 30 40% 非代償期 LC の約 85% で胃食道静脈瘤があるとされる Gastrointest Endosc 2007; 65:82 88. AASLD PRACTICE GUIDANCEHEPATOLOGY,vol.65,No1,2017 内視鏡的に食道静脈瘤が見れる症例では少なくとも HVPG が 10 12 mmhg 以上とされ 高度門脈圧亢進状態となっている Gastroenterology 1980;79:1139 1144.

食道静脈瘤の治療 非選択性 β ブロッカー (NSBBs) で HPVG < 12 mmhg またはベースラインから 20% 以上低下させることは静脈瘤出血を予防することにつながる NSBBs と EVL は中 高度の大きさの静脈瘤を有する患者の初発静脈瘤出血を予防する効果があり 治療の選択は施設の資源やマンパワー, 患者の希望や性格, 禁忌や副作用等を踏まえて決定すべきとされている AASLD PRACTICE GUIDANCE HEPATOLOGY,vol.65,No1,2017

AASLD PRACTICE GUIDANCE:HEPATOLOGY,vol.65,No1,2017

EBM の実践 5 steps Step1 Step2 Step3 Step4 Step5 疑問の定式化 (PICO) 論文の検索論文の批判的吟味症例への適応 step1 4の見直し

Step1 疑問の定式化 (PICO) P: 食道静脈瘤を有する肝硬変患者 I:β 遮断薬とEVLの併用 C:β 遮断薬単剤 O: 食道静脈瘤破裂の予防治療 ( 予防 ) の論文を検索する

EBM の実践 5 steps Step1 Step2 Step3 Step4 Step5 疑問の定式化 (PICO) 論文の検索論文の批判的吟味症例への適応 step1 4の見直し

Step2 論文の検索 AASLD ガイドラインでは NSBBs+EVL と EVL 単独を比較した論文について言及 88) Sarin SK, et al. Am J Gastroenterol 2005;100:797-804

Step2 論文の検索 Up To Date key word: 食道静脈瘤

Step2 論文の検索 NSBBs+EVL と NSBBs 単剤を比較

論文の決定 PMID: 20578138 Hepatology 2010;52:230-237

論文の背景 食道静脈瘤を有する肝硬変患者の約 1/3 の症例例で出血が生じ 初回出血に関する死亡率は 50% に上るとされる 食道静脈瘤管理としては内視鏡的手法 (EVL,EIS) や薬物的手法 (NSBBs) が挙げられる 過去の control trial から 食道静脈瘤出血への一次予防としての EVL と NSBBs は少なくとも同等の効果があることが示されている Dʼ Amico G, et al. Hepatology 1995;22:332 354. Sarin SK, et al. N Engl J Med 1999;340:988 993. Schepke M, et al. Hepatology 2004;40:65 72. Lo GH, et al. Gastrointest Endosc 2004;59:333 338.

論文の背景 EVLの利点としては静脈瘤の消退を得ることが出来ることや副作用が少ないことが挙げられるが 門脈圧が下がることはない 一方でNSBBsは非侵襲的手法であり 門脈圧自体を下げることで静脈瘤の出血率を低下させることが示されている Dʼ Amico G, et al. Semin Liver Dis 1999;19:475 505. EVL と NSBBs の併用は静脈瘤出血の一次予防として有用な手法 かもしれない

論文の PICO P: 食道静脈瘤を有し 静脈瘤出血歴のない肝硬変患者 I:EVLとナドロールを併用 C: ナドロール単剤 O: 食道静脈瘤出血の減少

Study design Randomised Control Trial ランダム化は不透明な封筒に入れられたランダムな数字の表に準じて行われた

患者背景 食道静脈瘤を有する肝硬変患者肝硬変の診断は臨床所見 生化学検査 画像検査 ± 肝生検の結果に基づいてされている 肝硬変の重症度はChild Pugh 分類 静脈瘤の重症度はBeppu 分類に沿って行われた

Beppu 分類

Inclusion & Exclusion criteria Inclusion 1 門脈圧亢進の原因が肝硬変 Exclusion 1 年齢 >75 歳 または年齢 <20 歳 2 食道静脈瘤の程度が F2( 中等度 ) 以上であり Red color sign 陽性 2 悪性腫瘍や尿毒症といった生命予後に関わる重大な疾患がある 3 難治性腹水 肝性脳症 (>Ⅱ 度 ) 高度黄疸 ( 血清 Bil 値 >10mg/dL) の存在 3 食道静脈瘤 または他の上部消化管からの出血歴がない 4 シャント手術 TIPS EVL/EIS の既往 5 喘息 心不全 徐脈 血圧低値 妊娠等により β ブロッカーが禁忌 4 直近の β ブロッカーでの治療歴がない 6 試験へ共同できない - 7 試験への参加自体に拒否

Intervention & Comparison1 EVLはブスコパン20mg 筋注の前投与により施行内視鏡 (Olympus XQ 230) にSaeed Four Shooter (Wilson Cook Medical,Winston Salem,NC) を使用 EVLは2 人の経験を有した内視鏡医により施行された いづれの静脈瘤も1 2 個のゴム製バンドで結紮された

Intervention & Comparison2 どちらの群もナドロール (Edward.Robinson. Squibb 社 ) を最初から導入された ナドロールは試験の最後まで または死亡するまで継続された 併用群では最初のEVLが行われる2 週間前に先行投与される ナドロール初期投与量は40mg 1 日 1 回とし 脈拍がベースの25% 以上低下または55 回 / 分となるように用量調整した 両群共に腹部超音波 血清 α フェトプロテイン 血液生化学検査を3ヶ月毎に受けるように推奨された

Outcome Primary end Point 食道静脈瘤出血 Secondary end point 全ての治療関連有害事象全ての死亡

Statistical Analysis 量的データはフォローアップ期間を除き平均値 ± 標準偏差で集計された フォローアップ期間に関しては中央値を使用した 量的変数は t 検定 質的変数は χ 2 検定を使用した Kaplan-Meier 曲線は静脈瘤初回出血と死亡の統計に使用した 全ての仮説検定は両側対立仮説に対して結論されている 両群共に typeⅠerror=5% type Ⅱ error=20% と設定している 統計は ITT 解析に基づいて行われ SPSS10.0.5(Chicago,IL) が用いられている

倫理的配慮 インフォームドコンセント : 全患者に対してあり Kaohsiung Veterans General Hospital の倫理委員会で承認されている 27

Intention to treat analysis 選出された 461 名のうち 321 名が除外されている 各々がランダムに 2 群に割り付けられている Lost to follow up は両群で 0 名 介入の中断は併用群で 2 名 単剤群で 1 名となっている

Baseline characteristics 両群で門脈圧亢進の成因 Child-Pugh 分類 静脈瘤のサイズ RC サインの有無は同等であった その他の項目に関しても有意な違いは見られなかった 経過フォロー中央値は併用群で 26.0 ヶ月 単剤群で 26.4 ヶ月だった

Results for the primary end point 併用群では EVL により 50 名 (71%) で静脈瘤の消退を認めた ナドロールの平均投与量は 52±16 vs 56±19 mg/day 静脈瘤出血は併用群で 10 名 (14%) 単剤群で 9 名 (13%) に見られた (P=0.60)

Results for the primary end point 併用群で 18 名 (26%) 単剤群で 13 名 (18%) に上部消化管出血が見られた (P=0.42) 両群で上部消化管出血の見られなかった患者は有意な差は見られなかった

Results for the primary end point 両群で食道静脈瘤出血の見られなかった患者は有意な差が見られなかった 併用群では 7 名が静脈瘤の消退前 3 名が消退後に出血を生じていた

食道静脈瘤出血と Child-Pugh の関係 Child-A Child-B Child-C combined 5/39(14%) 2/20(9%) 3/11(25%) Nadolol 4/36(12%) 3/22(14%) 2/12(16%) 両群で食道静脈瘤出血と Child 分類の明らかな関連は示されなかった

食道静脈瘤出血に対するリスク因子 単変量解析において血清 Bil 値と肝性脳症の存在のみが静脈瘤出血の予測因子であった

the secondary end point 両群で主な死因は肝不全 次いで敗血症であった 食道静脈瘤による出血は併用群で 1 人 単剤群で 2 人であった 単変量解析によりアルブミン ビリルビン PT 時間 腹水 脳症が死亡の予測因子であるとされ 多変量解析により腹水と脳症が死亡の予測因子と判明した

the secondary end point 両群で生存率に有意な差はなかった

両群における有害事象 Combined( 人 ) Nadolol( 人 ) 胸痛 (4) 徐脈 (7) 咽頭痛 (8) めまい (4) 一過性嚥下障害 (8) 低血圧 (4) 徐脈 (3) 倦怠感 (4) めまい (4) 息切れ (5) 低血圧 (1) 悪寒 (1) 処置関連出血 (2) 頭痛 (1) 倦怠感 (1) 発熱 (2) blurred vision(1) 悪寒 (2) 併用群 vs 単剤群で 48 人 vs 28 人 (P=0.06) 有害事象に関しては併用群で多い傾向があった

EBM の実践 5 steps Step1 Step2 Step3 Step4 Step5 疑問の定式化 (PICO) 論文の検索論文の批判的吟味症例への適応 step1 4の見直し

Step3 論文の批判的吟味 1 2 3 結果は妥当か 結果は何か 患者のケアに適応できるか

1 結果は妥当か 1) 介入群と対照群は同じ予後で開始されたか 患者はランダム化割付されていたか ランダム化割付は隠蔽化されていたか Baseline characteristicsは同等か 2) 研究の進行と共に予後のバランスは維持されたか 研究はどの程度盲検化されていたか 3) 研究終了時点で両群は予後のバランスが取れていたか 追跡は完了しているか 患者はintention to treat 解析されたか 試験は早期中止されたか

1) 介入群と対照群は同じ予後で開始されていたか? 患者はランダム化割り付けされていたか? されていたランダム化割り付けは隠蔽化されていたか? 完全な隠蔽化は難しい Baseline characteristicsは同等か? 有意な差は見られなかった (Table 1)

2) 研究の進行と共に予後のバランスは維持されたか? 研究はどの程度度盲検化されていたか 記載なし ( 現実的には盲検化は不可能 )

3) 研究終了時点で両群は予後のバランスがとれていたか 追跡は完了しているか? 脱落者は両群ともにわずか (2 vs 1) 患者はintention to treat 解析されていたか? 140 人がITT 解析されている試験は早期中止されたか? されていない

2 結果は何か

結果を言葉にする 肝硬変患者の食道静脈瘤出血の一次予防に β 遮断薬と EVL の併用は出血率低下に寄与しなかった

Limitation EVL は技術を要する処置であり 全対象患者に画一的な処置を施すことは困難と考えられる Baseline characteristics に心疾患や高血圧といった門脈圧に影響を及ぼしうる並存症の情報が入っていないことの影響の有無については疑問が残る 試験期間中の肝硬変とその他合併症のコントロールの程度がどれ程 outcome に影響するかは不明

EBM の実践 5 steps Step1 Step2 Step3 Step4 Step5 疑問の定式化 (PICO) 論文の検索論文の批判的吟味症例への適応 step1 4の見直し

Step4 症例への適応 本症例は inclusion criteria を満たし exclusion criteria を満たしてはいない Baseline characteristics の患者群と比較して大きな相違はない primary/secondary outcome 共に患者にとって重要な治療効果判定因子となる

症例への適応 NSBBs としてプロプラノロールを 30mg/ 日で導入した 導入後の脈拍は 60 回 / 分前後 収縮期血圧は 130mmHg 前後で管理できていた EVL を追加で行う意義は乏しいと判断した

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Step5 step 1~4 の見直し 問題の定式化は出来ていたか? 適切に出来ていたと考える 論文にたどりつくまでに多大な時間は使っていないか? 二次資料も活用し 比較的短時間で検索できた 適切な論文を選択することは出来たか? 患者に適応できる論文を選択できた 自分の価値観を押し付けすぎてはいないか? 患者も治療に対して意欲的であった

まとめ 肝硬変患者の治療適応がある食道静脈瘤に対して 一次予防として β ブロッカーと EVL が選択肢として挙がる 予防法の選択は患者の希望や性格 禁忌や副作用等を踏まえて決定する必要がある 一次予防での β ブロッカーと EVL の併用は食道静脈瘤出血の予防効果増大に寄与しなく むしろ有害事象が増えてしまう