(1) 洪水調節サンルダムの建設される地点における計画高水流量 700m 3 /s のうち 610m 3 /s の洪水調節 を行う (2) 流水の正常な機能の維持下流の河川環境の保全や既得用水の補給等 流水の正常な機能の維持と増進を図る (3) 水道名寄市の水道用水として 名寄市真勲別地点において新

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スライド 1

の洪水調節計画は 河川整備基本方針レベルの洪水から決められており ダムによる洪水調節効果を発揮する 遊水地案 は 遊水地の洪水調節計画は大戸川の河川整備計画レベルの洪水から決めることを想定しており 遊水地による洪水調節効果が完全には発揮されないことがある 瀬田川新堰案 は 瀬田川新堰の洪水調節計画は

験を行い その対策の効果を確認しながら サクラマスの生息環境の推移を継続的にモニタリングして その結果に基づきさらに必要な対策を講ずることができる体制を整備して 取り組むべきである と述べています このような役割を担って魚類専門家会議がサクラマスその他の魚類の保全について審議しているさなかに さらに

ダムの運用改善の対応状況 資料 5-1 近畿地方整備局 平成 24 年度の取り組み 風屋ダム 池原ダム 電源開発 ( 株 ) は 学識者及び河川管理者からなる ダム操作に関する技術検討会 を設置し ダム運用の改善策を検討 平成 9 年に設定した目安水位 ( 自主運用 ) の低下を図り ダムの空き容量

現行計画 ( 淀川水系河川整備計画 ): 川上ダム案 治水計画の概要 事業中の川上ダムを完成させて 戦後最大の洪水を 中下流部では ( 大臣管理区間 ) 島ヶ原地点の流量 3,000m 3 /s に対して 川上ダムで 200m 3 /s を調節し 調節後の 2,800m 3 /s を上野遊水地や河道

目 次 桂川本川 桂川 ( 上 ) 雑水川 七谷川 犬飼川 法貴谷川 千々川 東所川 園部川 天神川 陣田川

図 -3.1 試験湛水実績図 平成 28 年度に既設堤体と新設堤体が接合された抱土ゾーンにおいて調査ボーリングを実施し 接合面の調査を行った 図 -2.2に示すように 調査ボーリングのコア観察結果からは 新旧堤体接合面における 材料の分離 は認められなかった また 境界面を含む透水試験結果により得ら

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水位の状況 8 月 4 日からの降雨により 上流域の全水位観測所 18 箇所の内 はん濫注意水位超過 1 箇所 水防団待機水位超過 2 箇所 合計 3 箇所の水位観測所において基準水位を上回る水位を記録した 天塩川上流域においても全水位観測所 12 箇所の内 はん濫危険水位超過 2 箇所 はん濫注意

4. 堆砂

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五名再評価委員会資料

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めに年間 1,426GWh の発電を行うことが期待されている この電気エネルギーは石油の輸入を節約することによって外貨を保護することが可能である Cirata 貯水池は西ジャワの北部地方の灌漑のための調整用水を供給する このことによりこの地域の灌漑量が増え 米生産量が増加した このダムは下流地域が洪

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資料 -5 第 5 回岩木川魚がすみやすい川づくり検討委員会現地説明資料 平成 28 年 12 月 2 日 東北地方整備局青森河川国道事務所

再開発事業の目的 目的横山ダムのある揖斐川上流域は 比較的脆弱な地質が多くみられることに加え 1 年間の降雨量が 3,mm を超える多雨地域のため 豪雨により大量の土砂が貯水池内に流れ込んでいる このため 平成 11 年時点で すでに計画堆砂量の 1.13 倍に達した 再開発事業は こうした湖内に貯

4. ダム再生事業の概要 38

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環境保全に関する協定書 ( 基準協定 ) 旭川市 ( 以下 甲 という ) と ( 以下 乙 という ) は, 乙が旭川市内で施工する事業 ( 以下 事業 という ) について, 次のとおり協定を締結する ( 法令等の厳守 ) 第 1 条 乙は, 事業実施に当り, 森林法, 北海道自然環境等保全条例

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琵琶湖周辺に対する効果再開発事業の背景と目的 1: 治水 琵琶湖周辺や宇治川では これまで浸水被害が度々発生しています 再開発事業により 洪水調節機能の強化を図ります 背景 ( 過去の洪水被害 ) 発生年月起因被害状況 昭和 28 年 9 月 台風 13 号 死者 ( 不明者含 )178 人 負傷者

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2. 保全の取り組み 表 -1 母樹の成長量 ( 平成 28 年 7 月 ~ 平成 29 年 10 月 ) (1) 育成間引き試験 a) 試験方法渚滑川右岸 KP3.0 において 平成 28 年 2 月に育成間引き試験を実施した 群落内のケショウヤナギを間引きすることで 高密度状態での成長阻害を防ぎ

米原市における開発に伴う雤水排水計画基準

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八ッ場ダム建設工事の現状と課題

長安口ダムの概要 2号号堤高 85.5m 1堤頂長 2.7m 654号号号3号ダム天端 EL 昭和 31 年建設時 平成 27 年 8 月現在 昭和 31 年徳島県が建設 平成 19 年国土交通省に移管 治水 利水 ( 農業 工業用水 ) 発電( 一般家庭約 5 万世帯分 ) 河川環境の

淀川水系流域委員会第 71 回委員会 (H20.1 審議参考資料 1-2 河川管理者提供資料

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8. 漁川ダム貯水池水質保全事業の概要 いざりがわ 8.1 漁川ダムの概要 いざりだけ漁川は 千歳川に流入する数ある支川のうち最大の支川であり その源は漁岳に発し 流路延長は46.8kmに及びます 漁川ダムはその上流に位置し 恵庭市街から約 15kmと比較的都市部の近い位置にロックフィルダムとして建

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学識経験者による評価の反映客観性を確保するために 学識経験者から学術的な観点からの評価をいただき これを反映する 評価は 中立性を確保するために日本学術会議に依頼した 詳細は別紙 -2 のとおり : 現時点の検証の進め方であり 検証作業が進む中で変更することがあり得る - 2 -

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Q3 現在の川幅で 源泉に影響を与えないように河床を掘削し さらに堤防を幅の小さいパラペット ( 胸壁 ) で嵩上げするなどの河道改修を行えないのですか? A3 河床掘削やパラペット ( 胸壁 ) による堤防嵩上げは技術的 制度的に困難です [ 河床掘削について ] 県では 温泉旅館の廃業補償を行っ

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( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6

資料4 検討対象水域の水質予測結果について

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新規ダム再生事業 石狩川水系雨竜川 ウツナイ川 ( 北海道雨竜郡幌加内町 ) うりゅうがわ ほろかない 雨竜川ダム再生事業 実施計画調査 かさ上げイメージ 雨竜第 2 ダム 吉野川水系吉野川 ( 高知県長岡郡本山町 土佐郡土佐町 ) さめうら もとやま 早明浦ダム再生事業 建設 矢作川水系矢作川 (

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一定規模以上の土地の形質変更時の手続きについて 改正土壌汚染対策法が平成 22 年 4 月 1 日から施行されたことにより 平成 22 年 5 月 1 日以降に 3,000 m2以上の面積の土地の形質変更をしようとする者は 工事に着手する日の 30 日前までに 法に基づき届出を行うことが義務付けられ

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最後の東北総体を終えて、悔しさがとても残る結果でした

3. 市街化調整区域における土地利用の調整に関し必要な事項 区域毎の面積 ( 単位 : m2 ) 区域名 市街化区域 市街化調整区域 合計 ( 別紙 ) 用途区分別面積は 市町村の農業振興地域整備計画で定められている用途区分別の面積を記入すること 土地利用調整区域毎に市街化区域と市街化調整区域それぞ

茨木市では 緑あふれる魅力あるまちづくりを進めるため 民有地での緑化について その費用の一部を補助しています 生垣を設置 壁面を緑化 道路に面して新たに生垣を設置する 道路にはみ出している生垣を改良する [ 生垣緑化 ] 道路 壁面 擁壁 フェンス 市街化区域で 道路から眺望できる建築物や擁壁の壁面

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実施前 変動幅大 ( 最高 ) ( 最低 ) 地下水位 実施後 未利用排水路の埋め戻し 未利用排水路周辺の地下水位の上昇 地下水位変動幅の低減 上昇 変動幅小 ( 最高 ) ( 最低 ) 地下水位 図 4-7(2) 未利用排水路埋め戻しのイメージ (B 区域 ) 30

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News Release 2014 年 3 月 24 日 伊丹市と新関西国際空港株式会社が 伊丹市域におけるまちづくりの推進 について合意 伊丹市と新関西国際空港株式会社は 伊丹市域の生活環境の改善 地域コミュニティの再生等を図るためのまちづくりを連携して推進するため 2014 年 3 月 24 日

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地区計画とは 地区計画とは 土地や建築物の所有者など地区の皆さんが合意を図りながら道路や公園などの配置 建築物の用途 容積率 高さ 色やデザイン等のルールをきめ細かく定め そのルールに基づいて建築行為等を行うことにより より良いまちづくりをすすめる手法のひとつです 地区の特性に応じて必要な項目を選択

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図 -3 ダム標準断面図 ( コンクリートダム部 ) 図 -4 ダム標準断面図 ( フィルダム部 ) 表 -2 忠別ダム防災操作一覧表 年度 回数 月 日 最大最大最高流入量放流量貯水位 1 6 月 9 日 月 1 日

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3.3 導入ポテンシャルの簡易シミュレーション シミュレーションの流れ導入ポテンシャルの簡易シミュレーションは 河川上の任意の水路 100m セグメント地点で取水し 導水管を任意の箇所に設定して 任意の放水地点に発電施設を設置して発電する場合の導入ポテンシャル値 ( 設備容量 ) 及び概

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第 5 章ソフト事業関係関係 指定地 指定地ほかほか 災害情報の収集 提供及び提供及び維持管理 第 1 節ソフト事業関係 1. 砂防基礎調査と土砂災害警戒区域等の指定 砂防事業においては 堰堤の計画または砂防全体計画の作成時に施設効果を見込んで特別警戒区域の見直しを行い 工事完了後所定の手続きを経て

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水 利和田川利賀川Chubu Region Institute for Social and Economic Research Chubu Project 2016 所在地富山県南砺市 利賀ダム建設事業 事業主体国土交通省 進捗状況検証中 問い合わせ先 国土交通省北陸地方整備局河川計画課 950-

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3. 検証対象ダムの概要 3.1 サンルダムの目的等 3.1.1 サンルダムの目的サンルダムは 天塩川水系サンル川の下流の北海道上川郡下川町において事業中の多目的ダムで 洪水調節 流水の正常な機能の維持 水道及び発電を目的としている 名寄川流域面積約 744km 2 名寄川流域 サンルダム地点流域面積約 182.5km 2 誉平 サンルダム 美深橋 名寄大橋 真勲別 凡例流域界河川 ( 国管理区間 ) 河川基準地点主要な地点既設ダム検証中ダム 図 3.1.1 サンルダム位置図 3-1

(1) 洪水調節サンルダムの建設される地点における計画高水流量 700m 3 /s のうち 610m 3 /s の洪水調節 を行う (2) 流水の正常な機能の維持下流の河川環境の保全や既得用水の補給等 流水の正常な機能の維持と増進を図る (3) 水道名寄市の水道用水として 名寄市真勲別地点において新たに最大 1,510m 3 / 日 下川町の水道用水として 下川町北町地点において新たに最大 130m 3 / 日の取水を可能とする (4) 発電ほくでんエコエナジー ( 株 ) が サンルダムの建設に伴って新設するサンル発電所において 最大出力 1,000kw の発電を行う サンルダムの洪水調節方式は自然調節方式を採用しています 3-2

3.1.2 名称及び位置 (1) 名称サンルダム (2) 位置天塩川水系名寄川支川サンル川右岸北海道上川郡下川町国有林下川事業区 8 林班左岸北海道上川郡下川町北町 1164 番地 3.1.3 規模及び形式 (1) 規模湛水面積 : 約 3.8km 2 ( サーチャージ水位 における貯水池の水面の面積 ) 集水面積 : 約 182.5km 2 堤高 ( 基礎地盤から堤頂までの高さ ): 46.0m 堤頂長 : 約 350.0m 堤頂標高 : 標高 184.0m サーチャージ水位 : 標高 179.3m 常時満水位 : 標高 167.4m 最低水位 : 標高 158.8m ( 貯水池運用計画上の最低の水位 ) 洪水時にダムが洪水調節をして貯留する際の最高水位 注 ) 標高は 旧基本水準点による 3-3

(2) 型式台形 CSGダム 図 3.1.2 ダム平面図 図 3.1.3 ダム堤体下流面図 図 3.1.4 ダム堤体下流面図 CSG とは コンクリート のように材料を指す用語で Cemented Sand and Gravel の頭文字で表し 直訳すると セメントで固めた砂礫 という意味になる 台形 CSG ダム とは この CSG を用いてつくる堤体形状が 台形 のダムを指す サンルダムでは 台形 CSG ダムを採用し 設計 材料 施工の合理化 を図ることとしている 3-4

3.1.4 貯留量総貯留量 : 57,200,000m 3 有効貯水量 : 50,200,000m 3 サーチャージ水位標高 179.3m 洪水調節容量 35,000,000m 3 有効貯水容量 50,200,000m 3 常時満水位標高 167.4m 利水容量 15,200,000m 3 流水の正常な機能の維持 15,000,000m 3 水道用水 200,000m 3 ( 発電 15,200,000m 3 ) 最低水位標高 158.8m 堆砂容量 7,000,000m 3 基礎岩盤標高 138.0m 総貯水容量 57,200,000m 3 図 3.1.5 貯水池容量配分図 3.1.5 取水量 (1) 水道名寄市の水道用水として 名寄市真勲別地点において新たに最大 1,510m 3 / 日 下川町の水道用水として 下川町北町地点において新たに最大 130m 3 / 日の取水を可能とする (2) 発電サンル発電所の取水量は 5.9m 3 /s 以内とする 3.1.6 建設に要する費用建設に要する費用の概算額は 約 528 億円である 3.1.7 工期工期は 昭和 63 年から平成 25 年までの予定である 3-5

3.2 サンルダム建設事業の経緯 3.2.1 実施計画調査着手サンルダムは 昭和 63 年度より実施計画調査に着手した 3.2.2 建設事業着手サンルダムは 平成 5 年度から建設事業に着手した 3.2.3 基本計画告示平成 7 年 8 月に サンルダムの建設に関する基本計画 を告示した また 表 3.2.1のとおり 平成 20 年 6 月に基本計画の変更がなされた 当初 表 3.2.1 基本計画告示告示番号 年月日変更内容建設省告示第 1513 号平成 7 年 8 月 17 日 第 1 回変更国土交通省告示第 754 号平成 20 年 6 月 18 日 規模 : 堤高 55.0m を 46.0m に 総貯留量 73,000 千 m 3 を 57,200 千 m 3 に変更 建設に要する費用の概算額 : 約 530 億円 を 約 528 億円 に変更 工期 : 昭和 63 年 ~ 平成 20 年 を 昭和 63 年 ~ 平成 25 年 に変更 実施計画調査の期間を含む 目的 : 下川町水道の最大取水量 530 m 3 / 日 を 130m 3 / 日 に 名寄市水道の最大取水量 3,700m 3 / 日 を 1,510m 3 / 日 に 発電最大出力 1,400kw を 1,000kw に変更 3.2.4 用地補償基準昭和 63 年 3 月にサンルダム地権者を対象とした サンルダム対策協議会 が発足し 具体的な補償の基準の提示に向けた話し合いが開始された その後 損失補償基準 ( 案 ) について協議が重ねられ 平成 10 年 4 月 27 日に同協議会と 天塩川サンルダム建設事業に伴う損失補償基準 の合意 調印がなされ 天塩川サンルダム建設事業に伴う一般補償に関する協定書 を締結し 家屋移転と民有地の補償については平成 20 年度に終了している 残りの国有地 ( 国有林野 ) と町有地 ( 町営サンル牧場 ) の補償については ダム湛水前に手続きを行うことを予定している 3-6

3.2.5 建設工事の着手サンルダム建設事業では 道道下川雄武線の一部区間が水没するために付替が必要となる このため 平成 11 年度に北海道と基本協定を締結して工事に着手し 平成 24 年度に全線供用開始の予定である 3.2.6 環境に関する手続きサンルダム建設事業は 建設省所管事業に係る環境影響評価実施要綱 ( 昭和 59 年閣議決定 ) に基づき 環境影響評価の手続きを平成 7 年 7 月に完了している 評価結果については サンルダム建設事業の実施により 湛水区域に含まれる動植物の生息 生育環境が消失する等の影響があるが 湛水区域周辺に分布している同様の生息 生育環境は現状どおり保全されるものと考えられること等から 環境要素への影響を努めて最小化する という環境保全目標を満足するとされている 3.2.7 これまでの環境保全への取り組み天塩川水系河川整備計画におけるサンルダム建設事業に係る河川環境の整備と保全に関する主な項目を 以下に示す (1) 魚類等の移動の連続性及び生息環境の保全サンル川流域においてサクラマスが遡上し 産卵床が広い範囲で確認されているため 天塩川水系河川整備計画において サンルダム建設にあたっては魚道を設置し ダム地点において遡上 降下の機能を確保することにより 魚類の生息環境への影響を最小限とするよう取組むこととしている これを受け 平成 19 年 11 月に 天塩川魚類生息環境保全に関する専門家会議 ( 以下 専門家会議 ) を設置し 専門家の意見を踏まえたサクラマス遡上 降下対策の調査 検討を進めている 専門家会議は平成 24 年 3 月までに計 14 回開催されており 調査用魚道を用いた遡上調査では サクラマス等が遡上することを確認している さらに魚類等の生息環境の保全 改善及び魚類の連続性確保に向けて 天塩川流域全体として現状よりも確実に改善するように努めている あわせて ダム建設前後のサクラマス資源量の影響を把握することを目的として サクラマスの産卵床や幼魚生息密度等の調査を継続して実施している また サクラマスを寄主とするカワシンジュガイへの二次的な影響も懸念されることから 周辺適地への移植等の対策についても検討を進めている 3-7

図 3.2.1 カワシンジュガイ 図 3.2.2 サクラマス (2) 湖岸緑化ダム事業の実施によりダム湖岸が創出されることになるが ダム湖周辺の放牧地や畑地等の跡地には 裸地化した区域が残ってしまうことから 平成 12 年度より自然環境や景観の保全 復元を目的とするダム湖岸の緑 注化を実施している 湖岸の緑化は 生態学的混播 混植法 ) による手法を採用することで在来種による郷土の森づくりをコンセプトとし 住民参加による植樹会を開催して進めている 平成 12 年 (2000 年 ) から現在までの 12 年間で 延べ 1,600 名が参加し 植樹本数 17,000 本 緑化面積は 5.6ha に及んでいる 注 ) 生態学的混播 混植法とは 風倒による根返り跡の更新を参考に開発された自然林の再生工法です 樹木が根返りを起こすと 根系の広がっていた範囲の地表が裸地化します この裸地化した場所 ( ギャップ ) は 樹林内では樹木の発芽床として機能し 自然の樹林内では周辺の樹木から多種 多量の種子が自然散布され 一斉に発芽 成長を始めます 侵入後当初は 成長の早い樹種 ( 先駆性樹種 ) が林冠層を形成しますが 時間経過とともに遷移し 極相性の樹種が林冠層を形成していきます この更新は根返り跡更新と呼ばれ 生態学的混播 混植法は この自然林の再生過程を再現しようとする緑化工法です ( 北海道工業大学都市環境学科自然再生研究室ホームページより抜粋 ) 図 3.2.3 湖岸緑化への取り組み 3-8

3.3 サンルダム建設事業の現在の進捗状況 3.3.1 予算執行状況サンルダム建設事業費のうち 平成 23 年度末は約 296 億円が実施済であり 平成 24 年度末における実施見込額は約 301 億円である 3.3.2 用地取得用地取得は 平成 23 年度末までに約 83%( 民有地は 100%) の進捗となっている 3.3.3 家屋移転家屋移転は 平成 23 年度末までに 100%(13 戸 ) が移転済みとなっている 3.3.4 付替道路整備平成 23 年度末までに 11.3km が完成しており 平成 24 年度末までに概成 供用開始見込みである 3.3.5 ダム本体関連工事ダム本体工事 ( 基礎掘削 本体コンクリート打設など ) は 未着手である 表 3.3.1 サンルダム建設事業の進捗状況 ( 平成 23 年度末時点 ) ( 平成 24 年 3 月末時点 ) 補償基準 用地取得 551ha H10.4 損失補償基準妥結調印 83%(457ha) ( 内 民地 257ha は 100% 取得済み ) 残 : 公共用地補償 家屋移転 13 戸 100%(13 戸 ) 付替道道 11.5km 98%(11.3km 内 約 5km 供用済み平成 20 年 4 月 1 日 ~) 残 : 終点部切替 ダム本体 平成 21 年度に発注準備をしていたダム本体工事は未着手 3-9