PowerPoint プレゼンテーション

Similar documents
標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

H26_大和証券_研究業績_C本文_p indd

-3- Ⅰ 市町村国保の状況 1 特定健康診査受診者の状況 平成 23 年度は 市町村国保 (41 保険者 )98,439 人の特定健康診査データの集計を行った 市町村国保の診者数は男性 女性ともに 歳の割合が多く 次いで 歳 歳の順となっている 男性 女性 総数

PowerPoint プレゼンテーション

宗像市国保医療課 御中

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF315F817582C782B182C582E0826C C B4C985E82C98AD682B782E98DEC8BC EF92868AD495F18D902E B8CDD8AB B83685D>

[] 1

H29_第40集_大和証券_研究業績_C本文_p indd

練馬区国保における糖尿病重症化 予防事業について 平成 29 年 3 月 6 日練馬区区民部国保年金課 1 東京都糖尿病医療連携協議会配布資料

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

BMI BMI


山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

データを正しく 活用していただくために 今回は 平成 23 年度に市町村国保で実施した特定健診結果のみ集計しています 今後 協会けんぽ沖縄支部の結果とあわせて 改めてデータ集を発行する予定です 1. 集計対象者 今回の集計対象者は 平成 23 年度に特定健康診査を受診した者 ( 市町村国保分のみ )

平成 27 年 10 月 6 日第 2 回健康増進 予防サービス プラットフォーム資料 協会けんぽ広島支部の取り組み ~ ヘルスケア通信簿について ~ 平成 27 年 10 月全国健康保険協会広島支部 協会けんぽ 支部長向井一誠

<4D F736F F F696E74202D202888F38DFC AB38ED28FEE95F182CC8BA4974C82C98AD682B782E B D B2E >

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

Microsoft Word - リリース文書.doc


PowerPoint プレゼンテーション

骨粗しょう症調査

,995,972 6,992,875 1,158 4,383,372 4,380,511 2,612,600 2,612, ,433,188 3,330, ,880,573 2,779, , ,

3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

こうすればうまくいく! 薬剤師による処方提案

データの取り扱いについて (原則)

[ 原著論文 ] メタボリックシンドローム該当者の年齢別要因比較 5 年間の健康診断結果より A cross primary factors comparative study of metabolic syndrome among the age. from health checkup resu

第 8 回ライフサイエンス シンポジウム 石川ひろの 13:45-14:30 講演 (2) 健康を決める力 としてのヘルスリテラシー 東京大学大学院医学系研究科准教授 石川ひろの

< 糖尿病療養指導体制の整備状況 > 療養指導士のいる医療機関の割合は増加しつつある 図 1 療養指導士のいる医療機関の割合の変化 平成 20 年度 8.9% 平成 28 年度 11.1% 本糖尿病療養指導士を配置しているところは 33 医療機関 (11.1%) で 平成 20 年に実施した同調査

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

1. 事業概要 事業番号04 目指せ職場の総健康 健康推進は一人ひとりから職場で共に 事業 参加人数 計画値 HbA1c6.5%以上 約100名 実績値 HbA1c6.5 以上 85名 HbA1c5.6%以上6.5%未満 39名 コンソーシアム名 健康な企業づくりコンソーシアム 代表団体 一般財団法

家庭血圧の測定 1 2 回目の差および 2 3 回目の差の検討 * 河邊博史 * 神田武志 広瀬 * 寛 * 齊藤郁夫 高血圧管理における家庭血圧の有用性に関してはすでに多くの報告がみられ 1)-6), わが国の一般臨床においてその利用頻度は着実に増している 一方, 家庭血圧の測定条件に関しては,

Microsoft PowerPoint - 100826上西説明PPT.ppt

死亡率 我が国における疾病構造 生活習慣病は死亡割合の約 6 割を占めている 我が国の疾病構造は感染症から生活習慣病へと変化 死因別死亡割合 ( 平成 24 年 ) 生活習

事象 :2 健診項目の中で特定健診必須項目に未受診の項目が存在する 返戻事由健診結果データ異常備考検査項目エラー返戻コード 03 特定健診で必須となっている健診項目に実施されていない項目が存在します 別表: 特定健診項目存在チェックシート を参考に健診結果を入力してください 事象 :3 生活機能評価

小松市医師会 糖尿病連携推進協議会 の取り組み 小松市医師会糖尿病連携推進協議会湯淺豊司

< F2D8E ED28CA48F C8E862E6A7464>

Microsoft Word _nakata_prev_med.doc

厚生労働省のメタボ政策について

PowerPoint プレゼンテーション

平成22年度インフルエンザ予防接種費用補助実施要綱

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

Microsoft Word - cjs63B9_ docx

為化比較試験の結果が出ています ただ この Disease management というのは その国の医療事情にかなり依存したプログラム構成をしなくてはいけないということから わが国でも独自の Disease management プログラムの開発が必要ではないかということで 今回開発を試みました

GJG160842_O.QXD

糖尿病の治験から CRC 業務を考える ~ 糖尿病治験を経験して ~ JASMO 第 11 回 CRC 継続研修会 2010 年 2 月 27 日 ノイエス株式会社 畑中かおる

函館市_絵で見てわかる

IPSJ SIG Technical Report Vol.2010-HCI-140 No.20 Vol.2010-UBI-28 No /10/30 ( 1, , Information and Communication Technology: ICT,

■● 糖尿病

このシートは 下記のから9のカテゴリーをチェック () することで 御社の健康づくりの現状と その先の取り組みを設定するための参考とすることができます 各カテゴリーの設問については できている 5 点 もう一歩 2 点 できていない 0 点で採点することで それぞれの項目における現状を点数で把握する

保険薬局の薬剤師による 在宅医療とは 急激に進む高齢化社会と相次ぐ医療 介護制度の改正により ご自宅や施設で医療を受ける患者様がますます増えてきています このような背景のもと 処方箋を受け付けた薬局の薬剤師が 調剤したお薬を持ってご自宅や施設に直接お伺いし お薬の服用方法を説明するものです この際に

untitled

複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

untitled


untitled

Q2 なぜ上記の疾患について服薬指導が大変だと思いますか インフル エンザ その場で吸入をしてもらったほうがいいけれど 時間がかかるのと 熱でぼーっ 一般内科門前薬局 としていると 理解が薄い 患者さんの状態が良くないことが多い上に 吸入薬を中心に 指導が煩雑である から 小児科門前薬局 吸入薬の手

MNT MNT CVD MNT 1) 2) 3) 4) MNT 1) 1 2 2) MNT MNT MNT MNT % HbA1C 2

JMP による 2 群間の比較 SAS Institute Japan 株式会社 JMP ジャパン事業部 2008 年 3 月 JMP で t 検定や Wilcoxon 検定はどのメニューで実行できるのか または検定を行う際の前提条件の評価 ( 正規性 等分散性 ) はどのメニューで実行できるのかと

血糖変動を読み解く vol.1

薬学生に対する実践型倫理教育の有効性の検証 Inspection of the validity of the practice type education of ethics to cy student

スライド 1

④資料2ー2

Microsoft PowerPoint ⑤静岡発表 [互換モード]

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

6 割近くが知らない わからない かかりつけ薬剤師 の存在 6 割近くの人は かかりつけ薬剤師 とは何かを 知らない / わからない (57.8%) と認知の低さがわかった 性年代別で 知らない / わからない が最も多いのは男性 40 代で 66.0% 一方 女性 50 代は半数以上の 55.0%

‡BUNITE_Studyƒv?ƒgƒR??−iFinal_Ver_−j _docx

別紙様式 (Ⅱ) 商品名 : 伝統にんにく卵黄 (31 粒入り 62 粒入り ) 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 安全性評価シート 喫食実績の有無 : あり なし ( あり の場合に実績に基づく安全性の評価を記載) 本製品 伝統にんにく卵黄 と同等の製品は 1993 年 11 月より日

目次 1. 目的 2 2. 人工透析患者の年齢等の分析 3 性別 被保険者 被扶養者 3. 人工透析患者の傷病等の分析 8 腎臓病 併存傷病 平成 23 年度新規導入患者 4. 人工透析 健診結果 医療費の地域分析 13 二次医療圏別 1


/ / A/ B 16/17 COPD 18mcg COPD COPD COPD 1

Microsoft Word _脂質異常症リリースドラフトv11_SHv2 final.docx

特定健康診査及び特定保健指導に係る自己負担額の医療費控除の取扱いの一部変更について(厚生労働省健康局長、保険局長:H )

Microsoft PowerPoint - 【参考資料4】安全性に関する論文Ver.6

<4D F736F F D208CA792CA926D814093C192E88C928D4E90668DB88B7982D193C192E895DB8C928E7793B1>

近年 笑いは初期の動脈硬化の指標でもある血管内皮機能の改善に有用であることも報告されている (Heart, 2006) したがって 笑いは循環器系疾患の予防にも有用である可能性がある 昨年度までの本研究により 笑いを利用した介入により糖尿病患者の HbA1c 値を低下させる可能性を明らかにした しか

近畿税理士国民健康保険組合 第二期特定健康診査等実施計画 ( 案 )

1. 背景ながはまコホート事業は 京都大学と滋賀県長浜市が共同して行っている 市民の健康づくりと最先端の医学研究を目的として実施されている事業です 5 年ごとに一般の特定健診項目に加えて 遺伝子解析を含む血液検査や睡眠検査などの様々な検査が行われています 私たちはこのコホート事業において 睡眠呼吸障

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

説明書

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

Microsoft Word - 44-第4編頭紙.doc

(5) 食事指導食事指導は 高血圧の改善 耐糖能障害の改善 代謝異常の改善について 各自の栄養状況 意欲などに応じて目標をたて これを達成できるよう支援する形で行った 開始時点で 食事分析を行い 3ヶ月ごとに 2 回進捗状況を確認する面接を行った 1 年後に終了時点の食事分析を行った 各項目の値の増

学位論文審査結果報告書

1. 趣旨 目的 香川県糖尿病性腎症等重症化予防プログラム 香川県医師会香川県糖尿病対策推進会議香川県国民健康保険団体連合会香川県 本県では 糖尿病患者の人口割合が全国上位にあり 糖尿病対策が喫緊 の課題となっている 糖尿病は放置すると網膜症や腎症 歯周病などの合 併症を引き起こし 患者の QOL

血糖値 (mg/dl) 血中インスリン濃度 (μu/ml) パラチノースガイドブック Ver.4. また 2 型糖尿病のボランティア 1 名を対象として 健康なボランティアの場合と同様の試験が行われています その結果 図 5 に示すように 摂取後 6 分までの血糖値および摂取後 9 分までのインスリ

ケア困難患者や家族への直接ケア 医療スタッフへのコンサルテーション 退院や倫理的問題を調整する調整 ケアの質を改善 向上させるための教育と研究を実践し CNS が関わることで患者の病状や日常生活機能と社会的機能が改善して 患者と家族の QOL が高まり 再入院が減少することが明らかとなってきておりま

さらに, そのプロセスの第 2 段階において分類方法が標準化されたことにより, 文書記録, 情報交換, そして栄養ケアの影響を調べる専門能力が大いに強化されたことが認められている 以上の結果から,ADA の標準言語委員会が, 専門職が用いる特別な栄養診断の用語の分類方法を作成するために結成された そ

ビジネスパーソン外飲み事情

2009年8月17日

愛媛県病院薬剤師会 プレアボイド講演会(安永)

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

<95DB8C9288E397C389C88A E696E6462>


平成27年度愛知県特定健診・保健指導研修会≪基礎編・技術編≫ 保健指導第2期の評価と 第3期に向けた動向

サマリー記載について

untitled

A1cCare Japan.ai

糖尿病薬の保険調剤 留意事項など

H26_大和証券_研究業績_C本文_p indd

Transcription:

2018 年 3 月 23 日大阪大学公衆衛生学教室セミナー 薬局薬剤師の可能性 : 慢性疾患患者への介入試験や薬局薬剤師の国際比較研究について COMPASS Project University of Alberta EPICORE Centre 京都大学医学研究科社会健康医学系健康情報学京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室岡田浩

本日のメニュー 1) 日本の薬局業務の現状 : かかりつけ薬局 薬剤師 2) 海外薬局での慢性疾患管理の研究と現状 3) 国内薬局での慢性疾患管理研究 :COMPASS 研究 4) 薬局業務国際比較 5) 日本 カナダ共同研究 RxING Registry Japan 2

薬局をめぐる制度の変遷 1974 年実質的な医薬分業のスタート 処方箋料 50 円 500 円へ (1998 年 30% 2016 年 70%) 2014 年検体測定室制度 (POCT) 2016 年かかりつけ薬局 薬剤師 2017 年健康サポート薬局 3

かかりつけ薬剤師 薬局制度 1) 服薬情報の一元的 継続的把握 : 毎回同じ薬剤師に対応し 薬剤師はお薬手帳や聞き取りをした情報をもとに 処方薬だけでなく市販薬や健康食品なども含め 複数の病院等から出されている薬についても飲み合わせや重複などをチェックする 2) 24 時間対応 在宅対応 : 薬局は患者の緊急時に 24 時間対応する体制を整え 緊急時に薬剤師が相談にも乗れるように 緊急連絡先の電話番号を知らせておく 薬局が 在宅ケアへの関わりも求める 3) 医療機関等との連携 : 1 人の かかりつけ薬剤師 が主治医等に得られた情報を返し 協力して治療を進める 4

健康サポート薬局 1. 地域における連携体制の構築 2. 薬剤師の資質確保 3. 薬局の設備 4. 薬局における表示 5. 要指示医薬品等の取扱い 6. 開局時間 7. 健康相談 健康サポート現在 788 件届出 (2018 年 2 月 28 日付 ) 5

カナダでの薬局業務 6

WHO FIP Statement: Developing Pharmacy Practice A Focus on Patient Care (2000 年 ) 薬剤師は カウンターの奥から出て くすりだけではなくケアを提供すべきである 調剤業務に未来はないやがてインターネット 機械 トレーニングをうけたテクニシャンにとって代わられる 7

7 つ星の薬剤師 the seven-star pharmacist 1. ケア提供者 (Caregiver) 2. 決定者 (Decision-maker) 3. コミュニケーター (Communicator) 4. マネージャー (Manager) 5. 生涯にわたる学習者 (Life-long-learner) 6. 教師 (Teacher) 7. リーダー (Leader) 8. 研究者 (Researcher) [2006 年追加 ] 8

薬局薬剤師による介入 : 糖尿病 (HbA1c) HbA1c 0.76% Improve Collins C. et al. Diabetes Research and Clinical Practice 2011

薬局薬剤師による介入 : 高血圧 ( 収縮期血圧 ) SBP -7.6mm Hg Improve Santschi V et al. J Am Heart Assoc. 2014.

薬局薬剤師による介入 : 総コレステロール TC -15.2mg/dl Improve Santschi V et al. Diabetes Care. 2012

3. 国内薬局での慢性疾患管理研究 1. COMPASS Project(2011 2012) 2. COMPASS-BP (2014 2015) 3. COMPASS-SMBG (2015) 12

1.COMPASS フ ロシ ェクト 2011-13 年 目的 薬局薬剤師支援による 2 型糖尿病患者の血糖値の改善効果を検証する 方法 対象 : 血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者 1 次アウトカム : 6 か月後の HbA1c の変化 2 次アウトカム : 療養行動 ( 食事 運動 ) の変化 BMI の変化 対象群 : 通常通りの服薬指導介入群 : 薬剤師による資料による情報提供 (3 分程度 ) 歩数計貸与 薬剤師は介入開始前に 薬局版動機づけ面接 1 日 5 時間の研修を受講 13

14

1.COMPASS フ ロシ ェクト 国内 80 薬局が参加 50 薬局が患者支援を実施 CONSORT フローチャート Okada H et al. Pharmacology & Pharmacy 2016, 7, 124-132 15

1.COMPASS フ ロシ ェクト結果 Okada H et al. Pharmacology & Pharmacy 2016, 7, 124-132 16

1.COMPASS フ ロシ ェクト結果 HbA1c(%) 8.8 6 か月後の両群間で HbA1c0.4% の差であった ベースラインから 6 か月後の HbA1c の変化 8.6 8.4 8.2 8 7.8 Δ=-0.4% P=0.021 (95%CI -0.74, 0.06) Baseline Control Intervention 6months Okada H et al. Pharmacology & Pharmacy 2016, 7, 124-132 17

2.COMPASS-BP 2014-15 年 目的 薬局薬剤師の生活習慣改善支援による高血圧患者の血圧改善効果を検証する 方法 1 次アウトカム : 3 か月後の起床時収縮期血圧の変化 2 次アウトカム : 療養行動 ( 食事 運動 ) の変化 BMI の変化 対象群 : 通常通りの服薬指導介入群 : 薬剤師による資料 (12 種類 ) による情報提供 (3 分程度 ) 歩数計貸与両群に歩数計 家庭血圧測定器を貸与 薬剤師は介入開始前に 薬局での血圧改善支援研修 1 日 5 時間の研修を受講 18

2.COMPASS-BP 56 薬局が支援実施高血圧患者 125 名が参加 CONSORTフローチャート Hiroshi Okada et al. Hypertension Canada 2017 19

結果 : 収縮期 拡張期血圧の変化 20

結果 : 収縮期 拡張期血圧 (MMRM 解析 ) 起床時収縮期血圧 (mmhg) AR(1) Estimate difference -4.5 95% CI P-Value -8.5 to -0.6 0.024 起床時拡張期血圧 (mmhg) AR(1) -1.8-4.4 to 0.8 0.169 21

mm Hg 138 2.COMPASS-BP 結果 両群の収縮期変化の差は 6.0 mm Hg であった ベースラインから 3 か月後の平均血圧の変化 136 Intervention 134 132 130 Control Baseline Δ=-6.0 mmhg P=0.026 (95%CI -11, -0.9) 3months Hiroshi Okada et al. Hypertension Canada 2017 22

COMPASS-SMBG 海外の薬局での糖尿病患者への介入研究では自己血糖測定 (SMBG) を入れていることが多い 情報提供だけの COMPASS で海外先行研究と同等の効果 (HbA1c-0.7%) が得られたので SMBG を入れることでより血糖改善効果が上乗せされるのではないかという仮説を検証するため 動機づけ +SMBG という薬剤師による介入で血糖値改善効果の検証を行った 23

3.COMPASS-SMBG (2015 年 ) 目的 薬局薬剤師による自己血糖測定器を用いた生活習慣改善支援による高血圧患者の血圧改善効果を検証する 方法 対象 : 2 型糖尿病患者 ( 非インスリン治療 ) 1 次アウトカム : 3 か月後の HbA1c の変化 2 次アウトカム : 療養行動 ( 食事 運動 ) の変化 BMI の変化 対象群 : 通常通りの服薬指導介入群 : 血糖測定器 歩数計を貸与生活習慣改善の情報提供 (3 分以内 資料配布 ) 薬剤師は 血糖測定器を使った血糖値改善支援 研修を受講 (1 日 5 時間 ) 24 Hiroshi Okada et al. Diabetes Canada 2017

3.COMPASS-SMBG 36 薬局が支援実施 2 型糖尿病患者 45 名が参加 CONSORT フローチャート 25 Hiroshi Okada et al. Diabetes Canada 2017

3.COMPASS-SMBG 結果 Intervention Group (IG) (Pharmacies n=6, 11 patients) Control Group (CG) (Pharmacies n=11, 23 patients) Baseline 3 months Change Baseline 3 months Change Difference in change 95%CI P-value HbA1c 7.8(1.0) 7.0(0.6) -0.8(1.2) 7.9(0.9) 7.9 (0.9) -0.1(0.7) -0.7-1.35, -0.25 0.042 BMI 24.5(3.9) 24.8(3.8) 0.3(1.3) 25.9(5.1) 25.8(5.1) -0.1(0.6) 0.4-0.29, 1.01 0.262 IPAQ 265(210) 219(171) -22.6(190) 306(293) 473(440) 200(327) -223-444, -1.49 0.049 Medication adherence 6.8(2.4) 7.2(1.5) 0.4(1.0) 6.6(1.6) 6.9(1.4) 0.5(1.5) -0.1-1.11, 0.94 0.864 HCCQ 18.8(3.4) 15.2 (4.5) -3.6(5.1) 17.8(4.9) 17.3 (4.6) -0.2(4.3) -3.5-7.10, 0.16 0.060 Importance Confidence 28.3(2.2) 24.5(6.4) 28.2(2.9) 25.4 4.3) -0.1(2.3) 0.8(3.7) 27.4(3.3) 22.4(4.7) 27.6(3.2) 22.9(4.4) -0.1(2.4) 0.3(4.3) 0.0 0.6-1.82, 1.85-2.60, 3.71 0.987 0.721 WHO-5 12.5(3.9) 11.8(2.8) -0.7(3.7) 14.9(4.0) 14.6(4.3) -0.6(6.7) -0.1-4.57, 4.36 0.961 DTR-QOL 106(11.9) 117(17.5) 13.6(14.0) 113(16.4) 115(17.5) 5.5(25.6) 8.1-9.09, 25.3 0.342 Knowledge 4.8(1.9) 5.5(1.8) 0.7(1.2) 4.9(1.8) 6.5(2.0) 1.4(1.6) -0.7-1.82, 0.43 0.217 26 Hiroshi Okada et al. Diabetes Canada 2017

3.COMPASS-SMBG 結果 3 か月後の両群間で HbA1c0.7% の差であった HbA1c(%) 8 ベースラインから 3 か月後の HbA1c 変化 Control 7.6 7.2 6.8 Δ=-0.7% P=0.024 (95%CI -1.35, -0.25) Baseline 3months Intervention 27 Hiroshi Okada et al. Diabetes Canada 2017

4. 国際共同研究 Strathclyde Alberta UCL 京都大 Duquesne Sydney 日豪加米英 京都大 京都医療センター Sydney University Alberta University Duquesne University University College of London 28 Strathclyde University

薬局の仕事に満足している Score (out of 10) N=159 8 7 6 * 5 カナダイギリスアメリカオーストラリア日本 Canada England USA Australia Japan ANOVA, Bonferroni *p<0.01 29

Score (30points) 25 自信を持って薬局の仕事をしている N=159 20 * 15 Canada England USA Australia Japan カナダイギリスアメリカオーストラリア日本 ANOVA, Bonferroni *p<0.01 30

住民 患者からの信頼を感じている Score (10points) N=159 10 9 8 7 6 * 5 カナダ Canada イギリス England アメリカ USA Australia オーストラリア Japan 日本 ANOVA, Bonferroni *p<0.01 31

4. 国際共同研究 1. 各国を訪問し 各国の薬局制度の違いを調査した ( 調査結果は書籍として出版 Community Pharmacy ) 2. 日本の薬剤師が仕事への満足度が他国より低く 自信が持てていない様子が明らかとなった 3. 薬局薬剤師の役割が拡大している英 加などでは 患者からの信頼を薬剤師が感じていることがうかがえた Community Pharmacy 岡田浩 ( 京都大学 ) Nova Science Press 2016 年 32

2. 研修 :3 ファーマシスト研修 2012 年 ~ COMPASS フ ロシ ェクト のために開発した 薬局版動機づけ面接 教育プログラムを 京都医療センターと開発 3 ファーマスト研修 と名付け 全国の薬局薬剤師向けに実施中 受講者 : 延べ 2500 名 認定 3 ファーマシスト :250 名 現在は 東京 大阪 ( 福岡 札幌 ) で年 10 回程度認定ファシリテーター 6 名が実施 3 ファーマシスト研修 Web サイト ( 京都医療センター予防医学研究室サイト内 ) http://www.yobouigaku-kyoto.jp/compass/pharmacist.html 書籍版 33

RxING Practice Tool /Registry-Japan

The R x ING Practice Tool R x ING プラクティスツールは薬剤師の専門的で臨床的な糖尿病ケアを提供 プラクティスツールの機能 文書作成 CV リスク計算 ( リスクファクタ値の変更が可能 ) 自動ケアプラン作成機能 (DAP format) 入力データに基づいて作成 ダッシュボード機能 患者ダッシュボード 薬局ダッシュボード

Objectives( 目的 ) 目的 : 薬剤師による糖尿病患者への CV リスク評価の効果の検証 2 次目的 : 薬剤師の支援による以下の項目へ与える効果の検証 血糖コントロール 血圧 LDL- コレステロール 喫煙

Methods( 方法 ) デザイン : プロスペクティブレジストリー研究 患者 : 文書によりデータ収集について同意を得た 1 型 2 型糖尿病 患者は少なくとも 1 つはコントロールされていないリスクファクターを持っている 血糖コントロール不良 血圧コントロール不良 LDL- コレステロールコントロール不良 喫煙者

RxING Registry/Practice Tool 薬剤師による糖尿病患者へのコンサルテーション業務の重要性が近年次第に増大してものの それを支援するプログラムは現在存在しない そこで 糖尿病患者のデータを Web 上のプログラムに登録しデータベースを作ると同時に 患者の CV リスクを計算して患者とのコンサルテーションを助けるプログラムをアルバータ大学 EPICORE センターが開発し その効果を調べることにした 本プログラムはカナダ薬剤師会は 将来的全カナダの薬局での採用を後押ししている 38

RxING Registry/ Practice Tool 薬局での糖尿病患者への介入研究 ( 前後比較観察研究 ) 1.Web システムに薬剤師がアクセスし 患者の CV リスクを評価 2. 患者データベース作成と患者支援が同時に行えるシステム 3. アルバータ州で 50 薬局が参加 RxING Practice Tool Web サイト https://www.epicore.ualberta.ca/home/rxing/ 39

RxING Registry/ Practice Tool システム画面例 RxING Practice Tool Web サイト https://www.epicore.ualberta.ca/home/rxing/ 40

患者背景 N=67 Characteristic Mean (SD) Gender, Male (%) 61 Age 57.6 (16.5) Ethnicity, Caucasian (%) 71.6 Type 2 diabetes (%) 100 Diabetes duration (years) 9.9 (7.6) HbA1c 8.5 (2.0) Systolic Blood Pressure 132.2 (15.6) Diastolic Blood Pressure 80.0 (9.1) Total Cholesterol 4.2 (1.6) LDL-Cholesterol 2.0 (1.0) HDL-Cholesterol 1.1 (0.3) Tobacco users (%) 12.7 CV risk 15.4 (19.0) Influenza vaccine (%) 52.8 Shingles (%) 17.0 Pneumococcal (%) 26.4

HbA1c (%) HbA1c の変化 8.6 8.5 8.2 7.8 7.6 7.4 7 Baseline 3 months

Est. CV Risk (%) CV リスク変化 27 25 23 24.7 21 20.0 19 17 15 Baseline 3 months

2 次アウトカム Risk factor Baseline, Mean (SD) 3 months, Mean (SD) 収縮期血圧 139.0 (23.5) 132.9 (11.3) 拡張期血圧 84.0 (9.4) 79.6 (8.9) LDL- コレステロール 1.9 (0.8) 1.5 (0.8) 喫煙 (%) 13 12 インフルエンザ予防接種 (%) 22 33 帯状疱疹予防接種 (%) 11 11 肺炎予防接種 (%) 33 33

薬剤師の介入 Intervention Percentage フォローアップ 87 生活習慣改善支援 情報提供 46 処方変更 44 治療と状態についての教育 35 検査値の評価 20 受診勧奨 7 アドヒアランス改善 2 初回面談時間 : 39 分 2 回名以降の面談時間 : 12 分

2. 薬局の国際共同研究ネットワークの構築 (SPIRITS 研究 2017-2018 年 ) 日本京都大学 参加国 ( 研究代表者 中山健夫 ) 日本 イギリス オーストラリア アメリカ カナダ スイス アイルランド ドイツ ニュージーランドスェーデン 46

健康サポート薬局 ( 科研費基盤 C 2016~2018 年 ) 研究課題 健康サポート薬局 における簡便で有効な健康支援プログラムの開発と効果の検証 研究課題 / 領域番号 16K08434 糖尿病 高血圧患者の薬局での療養支援のための教育プログラムについて海外を調査し 日本の現状に合った教育プログラムの開発を行う さらに パイロット研究によりその効果を検証する 47

まとめ 1.COMPASS,BP,SMBG と日本で 3 つの薬局での本格的な RCT が実施された 2. 日本でも COMPASS 研究を基に 薬局版動機づけ面接 : 3 ファーマシスト研修 が開発され薬局薬剤師に広っている 3. カナダでは薬局での糖尿病患者への支援ツールである RxING Practice Tool がアルバータ州の 50 薬局に導入されデータが蓄積されている 4. 京都大学健康情報学では 薬局の国際臨床研究ネットワークを構築し 国際的な薬局研究を推進している 48