本日の内容 1. 短時間正社員の定義とそのタイプ 短時間正社員は多様化する正社員のうちの 1 つ 2. 短時間正社員の必要性 社会的要因 労働者側の要因 企業側の要因 3. 短時間正社員制度を機能させるための仕組み : 制度構築 雇用管理 4. 総括

Similar documents
<4D F736F F F696E74202D C668DDA A8DB293A190E690B62E B8CDD8AB B83685D>

Microsoft Word - 4AFBAE70.doc

< B83678E DD96E28D8096DA2E786C7378>

Microsoft Word - H29 結果概要

職場環境 回答者数 654 人員構成タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % % 質問 1_ 採用 回答 /654 中途採用 % 新卒採用 % タ

中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル

佐藤委員提出資料

- 調査結果の概要 - 1. 改正高年齢者雇用安定法への対応について a. 定年を迎えた人材の雇用確保措置として 再雇用制度 導入企業は9 割超 定年を迎えた人材の雇用確保措置としては 再雇用制度 と回答した企業が90.3% となっています それに対し 勤務延長制度 と回答した企業は2.0% となっ

Microsoft Word - Notes1104(的場).doc


日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

自動的に反映させないのは133 社 ( 支払原資を社内で準備している189 社の70.4%) で そのうち算定基礎は賃金改定とは連動しないのが123 社 (133 社の92.5%) となっている 製造業では 改定結果を算定基礎に自動的に反映させるのは26 社 ( 支払原資を社内で準備している103

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

<4D F736F F F696E74202D208AC888D B F90AC89CA E707074>

4 子育てしやすいようにするための制度の導入 仕事内容への配慮子育て中の社員のため以下のような配慮がありますか? 短時間勤務ができる フレックスタイムによる勤務ができる 勤務時間等 始業 終業時刻の繰上げ 繰下げによる勤務ができる 残業などの所定外労働を制限することができる 育児サービスを受けるため

スライド 1

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

の手支援策の紹介事例の紹介1 ページに記載した法改正の趣旨や内容を十分に理解した上で 以下の手順で制度導入を進めましょう STEP 1 STEP 1 STEP 2 STEP 3 STEP 4 有期社員の就労実態を調べる社内の仕事を整理し 社員区分ごとに任せる仕事を考える適用する労働条件を検討し 就業

Microsoft PowerPoint - 【資料3-2】高年齢者の雇用・就業の現状と課題Ⅱ .pptx

均衡待遇・正社員化推進奨励金 支給申請の手引き

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

Microsoft Word - 様式第1号 キャリアアップ計画書 記入例

<4D F736F F D DE97C78CA78F418BC B28DB895F18D908F DC58F49817A2E646F63>

Microsoft PowerPoint

目次. 独立行政法人労働政策研究 研修機構による調査 速報値 ページ : 企業調査 ページ : 労働者調査 ページ. 総務省行政評価局による調査 ページ

平成 27 年改正の概要 ( サマリー ) 一般労働者派遣事業 ( 許可制 ) 特定労働者派遣事業 ( 届出制 ) 26 業務 期間制限なし 26 業務以外 原則 1 年 意見聴取により最長 3 年まで 規定なし 規定なし 1. 許可制への統一 2. 派遣契約の期間制限について すべての労働者派遣事

<4D F736F F D2088EA94CA8E968BC68EE58D7393AE8C7689E E646F6378>

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)  レベル診断チェックシート

厚生労働省発表

Microsoft PowerPoint - 2の(別紙2)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保【佐賀局版】

参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

共通事項 1 キャリアアップ 管理者情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 奨励金対象労働者数 ( 全労働者数 ) 9 企業規模 ( 該当

スライド 1

Ⅲ コース等で区分した雇用管理を行うに当たって留意すべき事項 ( 指針 3) コース別雇用管理 とは?? 雇用する労働者について 労働者の職種 資格等に基づき複数のコースを設定し コースごとに異なる配置 昇進 教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます ( 例 ) 総合職や一般職等のコースを設定し

スライド 1

第第第ライフスタイルに対する国民の意識と求められるすがた50 また 働いていないが 今後働きたい と回答した人の割合は 男性では 7.4% であるのに対し て 女性は19.1% である さらに 女性の中では 30 代の割合が高く ( 図表 2-1-2) その中でも 特に三大都市圏で高い割合となってい

(2) 労働者人口の減少 一方労働人口は減少しつつあり 推計値では 2025 年には 6300 万人まで減少見込みとなっております 問題点 以下のような状況の中で今後どのように労働者を確保して 企業を活性化させるか? 条件 1 労働者人口が減少する 2 フルタイム労働者が減る 3 未熟練従業員が増え

労働法制の動向

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働

必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲内で 3 回を上限として介護休業をすることができる ただし 有期契約従業員にあっては 申出時点において 次のいずれにも該当する者に限り 介護休業をすることができる 一入社 1 年以上であること二介護休業開始予定日から 93 日を経過する日から

2019 年 3 月 経営 Q&A 回答者 Be Ambitious 社会保険労務士法人代表社員飯野正明 働き方改革のポイントと助成金の活用 ~ 働き方改革における助成金の活用 ~ Question 相談者: 製造業 A 社代表取締役 I 氏 当社における人事上の課題は 人手不足 です 最近は 予定

従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

Microsoft PowerPoint - 【セット版】140804保育キャンペーン資料

短時間 有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 について ( 同一労働同一賃金ガイドライン ) 厚生労働省雇用環境 均等局有期 短時間労働課職業安定局需給調整事業課

( イ ) 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり 1 歳 6か月以降育児に当たる予定であった者が死亡 負傷 疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合 6 育児休業をすることを希望する従業員は 原則として 育児休業を開始しようとする日の1か月前 (4 及び5に基づく1 歳

厚生労働省発表

3. 無期労働契約への転換後の労働条件無期労働契約に転換した後の職務 勤務地 賃金 労働時間等の労働条件は 労働協約 就業規則または個々の労働契約等に別段の定めがない限り 直前の有期労働契約と同一になるとされており 無期転換に当たって職務の内容などが変更されないにもかかわらず 無期転換後の労働条件を

申出が遅れた場合は 会社は育児 介護休業法に基づき 休業開始日の指定ができる 第 2 条 ( 介護休業 ) 1 要介護状態にある対象家族を介護する従業員 ( 日雇従業員を除く ) 及び法定要件を全て満たした有期契約従業員は 申出により 介護を必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲で

少子高齢化班後期総括

2018年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果

(参考)女性の活躍推進企業データベース記入要領

短時間.indd

第 Ⅰ 部本調査研究の背景と目的 第 1 節雇用確保措置の義務化と定着 1. 雇用確保措置の義務化 1990 年代後半になると 少子高齢化などを背景として 希望者全員が その意欲 能力に応じて65 歳まで働くことができる制度を普及することが 政策目標として掲げられた 高年齢者雇用安定法もこの動きを受

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

採用者数の記載にあたっては 機械的に採用日の属する年度とするのではなく 一括 採用を行っている場合等において 次年度新規採用者を一定期間前倒しして雇い入れた 場合は 次年度の採用者数に含めることとしてください 5 新卒者等以外 (35 歳未満 ) の採用実績及び定着状況採用者数は認定申請日の直近の3

第41回雇用WG 資料

H30年度 シンポジウム宮城・基調講演(藤波先生)

23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

「限定正社員制度」は安定的雇用拡大の決め手となりうるか

Microsoft Word - 修正rp1110_的場_.doc

働き方の現状と今後の課題

「多様な正社員」と非正規雇用

<4D F736F F D20819C906C8E96984A96B1835A837E B C8E3693FA816A8E518D6C8E9197BF E646F63>

短時間労働者への厚生年金 国民年金の適用について 1 日又は 1 週間の所定労働時間 1 カ月の所定労働日数がそれぞれ当該事業所 において同種の業務に従事する通常の就労者のおおむね 4 分の 3 以上であるか 4 分の 3 以上である 4 分の 3 未満である 被用者年金制度の被保険者の 配偶者であ

BLT0706特集1(4c).indd

ただし 日雇従業員 期間契約従業員 ( 法に定める一定の範囲の期間契約従業員を除く ) 労使協定で除外された次のいずれかに該当する従業員についてはこの限りではない (2) 週の所定労働日数が2 日以下の従業員 (3) 申出の日から93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 2 要介護状態に

基本情報 () 非常勤職員の総数 調査対象に該当する非常勤職員の総数は 期間業務職員が 30,429 人 (54%) 期間業務職員以外の非常勤職員が 25,590 人 (46%) 合計で 56,09 人 ( うち女性 42,456 人 76%) だった (2) 非常勤職員が所属する機関 非常勤職員が

平成25年版 大阪における労働時間等の現状 ー仕事と生活の調和の実現に向けてー

4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます

スライド 1

無機転換_0425_id8_入稿.indd

あおもり働き方改革推進企業認証制度 Q&A 平成 29 年 12 月 14 日 Vol.1 目次 1 あおもり働き方改革推進企業認証制度全般関係 Q1 県外に本社がある場合はどのように申請できるのか P1 2 あおもり働き方改革宣言企業関係 Q2 次世代法に基づく一般事業主行動計画とはどういうものか

07体制届留意事項(就労継続支援A型)

Microsoft PowerPoint - いしかわの「働き方改革」H30.4

CONTENTS Ⅰ. 短時間正社員制度の導入背景 (1) 短時間正社員とは? (2) 短時間正社員制度導入のメリット (3) 短時間正社員制度が解決する人材活用上の課題 Ⅱ. 短時間正社員制度の導入手順 (1) 短時間正社員制度導入の目的を明確化する (2) 短時間正社員に期待す

男女共同参画に関する意識調査

Microsoft Word - 21教育訓練の考え方について(更新)_

Microsoft Word - notes①1210(的場).docx

調査結果 転職決定者に聞く入社の決め手 ( 男 別 ) 入社の決め手 を男 別でみた際 性は男性に比べると 勤務時間 休日休暇 育児環境 服装 オフィス環境 職場の上司 同僚 の項目で 10 ポイント以上 かった ( 図 1) 特に 勤務時間 休日休暇 の項目は 20 ポイント以上 かった ( 図

制度名 No. 1 ( 働 1) フレックスタイム制度 対象者: 営業職の正社員 労働時間の清算期間: 毎月 1 日から末日までの1か月 1 日の所定労働時間は 8 時間 清算期間内の総労働時間: 1 日あたり8 時間として 清算期間中の労働日数を乗じて得られた時間数 ただし 清算期間内を平均し1

PowerPoint プレゼンテーション

Ⅱ.1 ワーク ライフ バランス施策の定義と類型 (1) ワーク ライフ バランス施策とは work-life balance 1 (2) ワーク ライフ バランス施策の類型

社内様式 2 育児 介護 休業取扱通知書 あなたが平成年月日にされた 育児 介護 休業の申出について 育児 介護休業等に関する規則 第 3 条 第 7 条 に基づき その取扱いを下のとおり通知します ( ただし 期間の変更の申出があった場合には下の事項の若干の変更があり得ます ) 1 休業の期間等

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働 者

今後 この政府のガイドライン案をもとに 法改正の立案作業を進め 本ガイドライン案については 関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて 最終的に確定する また 本ガイドライン案は 同一の企業 団体における 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正することを目的としているため

4-1 育児関連 休業期間を有給にするか 無給にするかは 就業規則等の定めに従います また 雇用保険に加入している労働者には 国から給付金が支給されます (P106 参照 ) 産前産後休業期間中及び育児休業期間中は 労働者 使用者とも申請により社会保険料が免除になります 育児休業の対象者 ( 第 5

Microsoft Word - 様式第1号 キャリアアップ計画書記入例(全国版)

PowerPoint プレゼンテーション

育児 介護休業規程 第 1 章 目的 第 1 条 ( 目的 ) 本規程は社員の育児 介護休業 育児 介護のための時間外労働および深夜業の制限並びに育児 介護短 時間勤務等に関する取り扱いについて定めるものである 第 2 章 育児休業制度 第 2 条 ( 育児休業の対象者 ) 1. 育児のために休業す

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - ★非正規社員アンケート 集計結果.doc

調査結果のポイント 従業員採用状況について 平成 28 年度 (H28.4 ~ H29.3) は 計画どおり もしくは計画より多く採用した と回答した企業が69% 採用計画について 29 年度 (H29.4 ~ H30.3) は 28 年度実績と比較し 増やす と回答した企業と 減らす と回答した企

正社員登用 ( 正社員へ ) 正社員登用 ( 多様な正社員 ) 職務勤務地勤務時間限定限定限定 処遇改善人材育成キャリアアップ助成金 事例 09 株式会社りそな銀行 正社員 非正社員の区別なく公平に処遇するため 共通の職務等級制 度を適用 オープンな正社員登用 職種間転換制度も実施 業種本社所在地正

小-労働法ハンドブック-18.indd

結果概要 Ⅰ 働き方改革に係る各制度改正について 時間外労働の上限規制等について. 新たな時間外労働の上限規制が導入された場合の影響について 社 % 直近 年を振り返って新たな時間外労働の上限規制に抵触する労働者がいる 0. 直近 年を振り返って新たな時間外労働の上限規制に抵触する労働者はいない,0

Microsoft Word - 改訂 H28 H27施行状況記者発表(リード文)

多様な働き方 時代の賃金設計 図表 1: ランク型賃金表を用いた勤務地限定社員の取り扱い ( 例 ) 基本給表 役割責任 号数ランク月額 Ⅰ 等級 Ⅱ 等級 Ⅲ 等級 Ⅳ 等級 Ⅴ 等級 14 S=14 点 13 S=13 点 A=13 点 12 S=12 点 A=12 点 B=12 点 11 S=

ソーシャルセクター組織実態調査 2017 特定非営利活動法人新公益連盟 2017 年 12 月 6 日 Copyright 2017 Japan Association of New Public All Rights Reserved,

男女共同参画に関する意識調査

地域包括支援センターにおける運営形態による労働職場ストレス度等の調査 2015年6月

Transcription:

短時間正社員制度導入 定着を目指して 短時間正社員とは? なぜ今 短時間正社員が注目されるのか? 2011 年 11 月 2 日 東京大学社会科学研究所特任研究員松原光代

本日の内容 1. 短時間正社員の定義とそのタイプ 短時間正社員は多様化する正社員のうちの 1 つ 2. 短時間正社員の必要性 社会的要因 労働者側の要因 企業側の要因 3. 短時間正社員制度を機能させるための仕組み : 制度構築 雇用管理 4. 総括

本日の話のポイント 1. 短時間正社員制度は 社会的要因 労働者側の要因 企業側の要因の 3 点から不可欠な取組み 2. 短時間正社員制度を利用ながら労働生産性を向上させるには 目標管理制度 を合わせて活用することがポイント 目標管理の方法に関する詳細の調査は今後の課題であるが 一定期間の業務量 役割の達成度を明確化し評価 = 時間当たりの生産性を評価をすることは重要 3. 短時間正社員制度を利用した人材の活用の在り方 ( 人事戦略 ) を検討する必要 : 制度の適用範囲 期間などに基づき いかに人事管理をしていくか 4. 正規 非正規 の区分をなくし 多様なルートからいい人材を確保 活用できる基盤 ( キャリア管理 雇用管理 ) の構築が必要 特に 継続就労意識が高い社員 キャリア意識の高い社員 5. 職場における仕事配分 人員のやりくりを適切に行い 短時間正社員の労働生産性も維持するためには 職場マネジメントが鍵 制度を利用できる職場づくり まずは 所定労働時間内で業務をやり繰りする工夫 : 多能工化 コミュニケーションの円滑化など 適正な労働時間で業務をやり繰りできるようになれば 短時間正社員がいても職場の仕事配分 人員確保の課題が軽減する

1. 短時間正社員の定義とそのタイプ

短時間正社員とは? 短時間正社員とは? 参考参考 フルタイムフルタイム正社員正社員 パートタイマーパートタイマー等のイメージイメージ 短時間正社員とは 他の正規型のフルタイムの労働者と比較し その所定労働時間 ( 所定労働日数 ) が短い正規型の労働者であって 次のいずれにも該当する者 1 期間の定めのない労働契約を締結している者 2 時間当たりの基本給及び賞与 退職金等の算定方法等が同一事業所に雇用される同種のフルタイムの正規型の労働者と同等である者 企業内において このような働き方を就業規則等に制度化することを指して 短時間正社員制度 と呼んでいる < 短時間正社員の働き方の例 > 一日の所定労働時間が短い ( 例 :1 日 6 時間週 5 日勤務 ) 一週間の所定労働日数が短い ( 例 :1 日 8 時間週 4 日勤務 ) フルタイム正社員 労働契約の期間 : 無期契約 給与 : 月給 労働時間 :1 日 8 時間週 5 日勤務 年次有給休暇 : 労働基準法の規定による比例付与 短時間正社員 労働契約の期間 : 無期契約 給与 : フルタイム正社員の月給を時間比例で支給あるいはフルタイム正社員の時間当たりの基本給と同等の水準の時間給を支給 労働時間 : 短時間勤務 短日勤務のいずれも可 年次有給休暇 : 労働基準法の規定による比例付与 短時間正社員とはならない短時間労働者 ( パート ) 労働契約の期間 : 有期契約 給与 : フルタイム正社員の時間当たりの基本給とは異なる水準の時間給 労働時間 : 短時間勤務 短日勤務のいずれも可 年次有給休暇労働基準法の規定による比例付与

短時間正社員のタイプ 短時間正社員は その なり方 等によって3つのタイプに分類されるタイプを決定する基準 一時的な制度利用 か 恒常的な制度利用 か 社内からの転換 か 社外からの入職 か 一時的な短時間正社員制度 ( 一時的な短時間正社員制度 ( タイプ Ⅰ) 正社員が一時的に短時間勤務をするタイプ 恒常的な短時間正社員制度 ( タイプ Ⅱ) 正社員が恒常的 または期間を定めずに短時間勤務するタイプ入社の時点から フルタイム正社員ではなく短時間勤務として採用されるタイプ パートタイマー短時間正社員制度 ( タイプ Ⅲ) パートタイマーなどが 短時間勤務のまま正社員になるタイプ

短時間正社員と従来の育児 介護短時間 勤務制度の違い 従来の育児 介護短時間勤務制度 育児または介護に対処する必要がある場合にのみ 一時的に ( 一定期間 ) 短時間 ( 短日 ) 勤務をすることができる 短時間正社員 育児 介護に限定せず それ以外の事由 (ex.( 自己啓発 健康障害または希望があれば何でも ) でも必要があれば一時的または恒常的に短時間 ( または短日 ) 勤務をすることができる 正社員だけでなく パートタイマーなどのキャリアアップ策の一つとして位置づけられる 育児または介護の短時間勤務制度 短時間正社員制度

( ところで ) 正社員 とは何か 1 2 3 特に明確な定義はないが 一般的には以下の点をもって 正社員 としている 雇用契約が無期である 幅広い職務に対応できるよう職務ローテーション制度によって知的熟練度を高めながら組織の コア人材 として育成していくことが期待されている ( 一定のキャリアの展望 ) 組織が求める働く時間 場所 仕事に柔軟に対応することが期待されている 1 のみ 各社共通 正社員 に対する期待 役割は各社の規模 職種によって異なっている

短時間正社員制度の導入状況 全体的には 一時的な短時間正社員 の導入企業 ( 運用も含む ) が2 割強 恒常的な短時間正社員制度 や パートタイマー短時間正社員制度 の導入企業は少ない n=2811 一時的な短時間正社員 恒常的な短時間正社員 パートタイマー短時間正社員 1 制度あり 2 制度はないが運用している 3 制度導入を検討中 4 制度なし 5 無回答 合計 1+2 制度があるまたは運用している % 17.5 2.7 2.7 73.4 3.7 100.0 20.2 n 491 76 77 2062 105 2811 567 % 4.0 3.0 2.6 85.7 4.7 100.0 7.0 n 113 83 73 2410 132 2811 196 % 1.1 0.9 2.4 89.6 6.0 100.0 2.0 n 30 25 67 2519 170 2811 55 9 アイデム (2008) 短時間正社員と人事管理等に関する調査 データを元に筆者が再分析したもの

参考 すでに多様化している正社員 勤務地限定社員 転居を伴う異動をしない ( 特定のエリア内のみの異動しか生じない ) 正社員 職務限定社員 特定の業務しか行わない正社員 短時間正社員 所定労働時間 ( 所定労働日数 ) が短い正社員 特定の仕事内容に限定して活用する正社員の雇用 ( 職種限定社員 ) そうした雇用形態がある そうした雇用契約がある そうした雇用慣行がある いずれもない 全体 (n=869) 28.0 9.2 13.3 55.9 9 人以下 (n=13) 7.7 0.0 0.0 92.3 10~29 人 (n=70) 15.7 7.1 18.6 58.6 30~49 人 (n=79) 22.8 11.4 12.7 64.6 50~99 人 (n=126) 24.6 7.1 11.9 60.3 100~299 人 (n=317) 28.1 8.8 15.1 53.6 勤務地限定の正社員の雇用 ( 勤務地限定社員 ) 300~999 人 (n=210) 33.3 11.4 11.9 52.9 1000 人以上 (n=28) 42.9 7.1 10.7 46.4 全体 (n=871) 18.7 7.1 13.3 64.5 9 人以下 (n=13) 7.7 0.0 0.0 92.3 10~29 人 (n=70) 8.6 4.3 24.3 64.3 30~49 人 (n=80) 17.5 5.0 10.0 71.2 50~99 人 (n=126) 16.7 7.9 7.1 72.2 100~299 人 (n=318) 17.9 6.3 14.5 64.5 300~999 人 (n=210) 21.4 10.0 12.4 61.0 1000 人以上 (n=28) 35.7 10.7 21.4 39.3 出所 ) 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング (2011) 多様な雇用形態と産業界への影響に関する実態調査

2. 短時間正社員の必要性

短時間正社員の必要性 1. 社会的要因 1 法改正 育児 介護休業法 高齢者雇用安定法 2 労働力人口の減少 2. 労働者側の要因 1 正社員のニーズ 価値観の変化 2 正社員以外の社員のニーズ 価値観の変化 3. 企業側の要因 1 組織内で働く社員社員の変化 正社員正社員 の雇用管理雇用管理への変化 正社員以外正社員以外の社員社員 の雇用の実態実態と管理管理へのへの変化 2 グローバル化に伴う人材競争力向上の必要性

社会的要因 1. 育児 介護休業法改正への対応 短時間勤務制度の措置義務化 (2010 年 6 月 ~) 子が 3 歳まで 1 日の所定労働時間 6 時間を原則とする 2. 高齢者雇用安定法改正への対応 継続雇用制度や定年の引き上げ 廃止といった高年齢者雇用確保措置を講じる必要性 趣旨を踏まえたものであれば 常用雇用のみならず 短時間勤務や隔日勤務なども含めた対応策可

労働者側 ( 正社員 ) の要因 : ライフステージ 別短時間正社員へのニーズ いろいろなライフステージの場面で 短時間勤務を必要とする社員の増加 子どもが未就学時 時に女性で6 割強 家族の介護 時に男性で約 3 割 女性で約 5 割 60 歳代前半 や 学習活動時 で男女ともに3 割程度 夫婦の就業の組み合わせが 夫婦ともに正社員 の場合 子どもが未就学時 と 家族の介護 時でニーズが高い 入社からから退職退職までまで フルタイムフルタイム勤務勤務 だけでだけで働き続けることができるけることができる社員社員の減少 単位 :% 希望しない どちらかといえば希望しない どちらかといえば希望する 希望する 無回答 どちらかといえば希望する + 希 子どもが未就学児男性 41.3 14.5 24.6 17.2 2.5 41.8 女性 10.5 6.1 18.9 61.4 3.1 80.3 子どもが小 中学生男性 46.8 21.0 20.6 8.7 2.8 29.3 女性 8.8 9.2 41.7 36.4 3.9 78.1 子どもが高校 大学男性 60.2 22.5 10.0 4.2 3.0 14.2 女性 30.7 27.2 24.6 14.0 3.5 38.6 子どもが経済的に自立男性 59.2 17.8 13.8 6.1 3.0 19.9 女性 50.4 16.7 14.0 15.8 3.1 29.8 家族の介護男性 15.4 10.5 41.1 29.9 3.1 71.0 女性 11.4 7.9 26.8 50.4 3.5 77.2 60 歳代前半層男性 13.3 11.5 41.2 31.3 2.7 72.5 女性 13.6 14.5 31.3 36.8 3.9 68.1 学習活動時男性 12.6 12.5 44.2 27.9 2.7 72.1 女性 7.9 14.9 40.8 33.3 3.1 74.1 社会活動時男性 15.2 15.4 44.3 22.1 2.9 66.4 女性 10.5 18.4 39.5 27.6 3.9 67.1 ( 出所 ) 武石恵美子 (2006) 雇用システムと女性のキャリア

< 参考 > 共働き世帯数の推移 出所 ) 男女共同参画白書 (H21)

参考 育児に関する短時間 短日勤務の 希望 男性は 1 歳になるまで が37.9% と最も多いが 3 歳 ~ 小学校にあがる前まで の希望も27.2% ある女性は 3 歳 ~ 小学校にあがる前まで が32.4% で最も多いが それ以上の期間に対する希望も35.5% ある 16 ( 出所 ) 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング (2009) 両立支援に係る諸問題に関する総合的調査研究アンケート調査

参考 50 歳代以降の社員における介護と仕 事の両立の可能性 75 歳以上の高齢者の約 3 割は要介護状態にある 親が 75 歳以上の子の年齢は 50 代であることを想定すると 仕事と介護を両立する社員が増加 65 歳以上 75 歳未満 15,127,061 75 歳以上 13,875,462 第 1 号被保険者要介護 ( 要支援 ) 総数認定者総数 653,871 (4.3%) 4,138,596 (29.8%) ( 資料 ) 厚生労働省 介護保険事業状況報告 ( 平成 22 年 7 月暫定版 ) : 17カッコ内の数値は 第 1 号被保険者総数に占める要介護 ( 要支援 ) 認定者総数の比率 ( 単位 : 人 ) 要支援 1 要支援 2 要介護 1 要介護 2 要介護 3 要介護 4 要介護 5 90,757 98,491 111,534 121,075 89,633 73,159 69,222 526,265 538,446 737,856 712,244 596,229 543,544 484,012

労働者側 ( 正社員以外の社員 ) の要因 (1) 職務が正社員とほとんど同じパート等労働者がいる 事業所が半数以上 職務が正社員とほとんど同じパートの割合が 8 割以上である事業所が 1/4 以上 正社員とパート等労働者の 両方を雇用している事業所 職務が正社員とほとんど同じパート等労働者がいる 職務が正社員と同じ者の パート 全体に占める割合または その他 全体に占める割合 1 割未満 1 割以上 3 割未満 3 割以上 55 割以上 8 8 割以上割未満割未満 職務が正社員と同じパート等労働者はいない 不明 事業所規模計 57.9 51.9 32.2 18.6 14.1 8.4 26.7 47.1 1.0 1000 人以上 66.7 50.1 46.7 11.4 9.4 15.9 16.7 49.5 0.4 300~999 人 75.3 58.1 41.1 14.4 11.7 11.3 21.5 41.0 0.9 100~299 人 77.1 62.0 32.8 18.8 12.5 12.6 23.3 36.8 1.2 30~99 人 73.1 58.5 40.0 23.0 10.9 8.0 18.1 40.5 1.0 5~29 人 55.1 50.2 30.4 17.6 15.0 8.2 28.8 48.7 1.0 出所 ) 平成 18 年パートタイム労働者総合実態調査

労働者側 ( 正社員以外の社員 ) の要因 (2) 正社員になりたい ニーズ 18.4% で多いとはいえない 労働時間の長さや転居を伴う転勤が阻害要因の一つ 残業や転勤がほとんどない 働き方へのニーズは高い モチベーションの高いパートタイマーを活用する一施策としての必要性 長時間働くことができない 負担 責任が重くなることへの抵抗感 全体 ( 男女計 )(n=599) 65.4% 46.7% 女性 (n=525) 65.3% 48.8% 働く夫を持つ女性 (n=417) 71.7% 46.5% 残業も転勤もフルタイム正社員と同様の短時間正社員 残業や転勤がほとんどない短時間正社員 利用したい 利用したくない わからない 無回答 17.1% 43.1% 33.2% 6.7% 46.2% 12.0% 36.0% 5.8% 出所 ) 平成 18 年パートタイム労働者総合実態調査 出所 )21 世紀職業財団 2001 多様な就業形態のあり方に関する調査

企業側の要因 (1) 1. ( 前述の ) 労働者側の価値観の変化に応じた人材マネジメントの必要性 人的資本論の基本的概念 : 企業組織の目標達成 と 個人の欲求充足 との同時実現 個人の欲求充足 の範囲の変化 : 職業生活の中の自己実現 職業生活人 家庭生活人 社会生活人 自分生活人 の 4 つの生活の並立 充実 ( 京都文教大学教授渡辺峻 ) 4 つの生活の並立 充実 を通じて個人の勤労意欲を刺激し 組織貢献を獲得する人材マネジメントの必要性 正社員の中には従来通りの働き方を受容することが困難な層も» 夫婦共働き世帯の増加 : 夫婦で子育て お互いの親を各々が介護

企業側の要因 (2) 2. 経済のグローバル化に伴う 人材競争力向上の必要性 社員一人一人のスキルや知識を高め かつモチベーションも高める必要性 従来 : 長期での人材育成 人材が流出しても 新たな人材を確保し育成すればよい 近年 : 人材育成の短期化 即戦力化 あらゆる人材の能力を十分に引き出し活用する必要 新たな人材の確保が困難 ( 労働力人口の減少による ) 多様な人材の活用が不可欠にも関わらず 日本の働き方は画一的

参考 日本と英国の従業員の働き方の違い 現在の就業形態 ( 個人調査 複数回答 ) 出所 ) 武石恵美子 (2010) ワークワーク ライフライフ バランスバランス実現実現へのへの課題 - 国際比較調査からのからの示唆示唆 経済産業研究所ディスカッションペーパー

まとめ : 短時間正社員の必要性 企業とのとの拘束度 高 これまでの企業の指示に従って 柔軟に働くことができる正社員の減少 多様な人材 = 何らかの事情を持つ社員を活用しなければならない時代の到来は不可避 短時間正社員は多様な人材活用の一つの在り方 正社員以外の社員の活用も加味することが重要 労働者側の要因 正社員 就業意識や価値観の変化 生活と調和する働き方のニーズの拡大 全ての労働者の継続就労の拡大 正社員 企業側の要因 正社員 社員の価値観の多様化等に対応した人材マネジメントの必要性 グローバル化に伴う 高い専門性や創造性を有する従業員の育成と活用の必要性 柔軟な働き方に対応できる人 柔軟な働き方に対応できる人材活用と管理材活用と管理 労働者の求める自己実現像に 労働者の求める自己実現像に適した人事管理適した人事管理 短時間正社員 多様な働き方を求める人材マネジメントの強化多様な働き方を求める人材マネジメントの強化 正社員以外の社員 正社員と同じ職務内容 責任を担うパートの増加 パートタイマーなど正社員以外の従業員 正社員以外の社員 正社員以外の従業員の積極的活用 低 賃金 雇用保障 高

3. 短時間正社員制度を機能させるための仕組み : 制度構築 雇用管理

短時間正社員制度を機能させるため に考えるべき点 1. 制度利用の目的範囲をどこまでにするか 企業として支援すべき範囲はどこか 支援することによるメリットを仕事の特徴等から考える 2. 適用期間をどの程度にするか 延長化する傾向 期間の設定は雇用管理と関連 3. 雇用管理 ( キャリア管理や評価の仕組み ) をどうするか 現在は 一時的な制度利用 を前提に フルタイム正社員 の雇用管理を基準 適用期間の長期化に伴い 雇用管理が フルタイム正社員 と変わってくる傾向

制度利用の目的範囲 一時的な短時間正社員 は育児 介護の必要がある社員への適用が主流 恒常的な短時間正社員 は育児 介護のほか 定年延長した社員 短時間正社員としての採用を希望する社員 元正社員の再雇用など多様な人材活用を目的 短時間正社員の活用の仕方に応じて適用理由の範囲を設定する 人材活用の戦略が必要 : 女性の活用なのか 優秀な人材確保のためのチャネルの多様化なのか 1 育児や介護をする必 要があるが それら と仕事を両立させたい 2 自己啓発などの学習活動に参加したい 3ボランティ 4 定年延長アなど社会した高齢者貢献活動が短時間 へ参加したい での勤務を希望 5 健康を損なったため 働き方を変えたい 6 離婚などで家庭状況が変わったため 働き方を変えたい 7 退職した元正社員が短時間正社員で復職したい 8 短時間正社員で採用されたい 9 能力 意欲が高く 本人が希望 10 一定の基準以上の評価を有し 本人が希望 11 上司からの推薦を有し かつ本人が希望 12 その他 13 希望者全員を対象とする 一時的な短時間正社員 (n=545) 恒常的な短時間正社員 (n=196) パートタイマー短時間正社員 (n=50) 26 93.4% 4.8% 2.6% 6.1% 11.2% 3.7% 2.4% 2.2% 5.7% 4.8% 3.9% 2.9% 5.1% 38.9% 9.7% 6.5% 48.1% 21.1% 13.5% 19.5% 23.2% 16.8% 17.3% 11.4% 4.9% 10.3% 64.0% 10.0% 8.0% 20.0% 8.0% 16.0% 12.0% 32.0% 28.0% 28.0% 24.0% 8.0% 6.0% アイデム (2008) 短時間正社員と人事管理等に関する調査 データを元に筆者が再分析

制度の適用期間 3 歳に達するまで が 57.5%(H20 年度 ) で最も多いが 適用期間が 6 年以上である事業所が 35.6% 10 年前後の制度適用を認めている事業所が 8% 程度 子どもが複数人いると仮定した場合 従業員一人が制度を利用する期間は 10 年以上 一時的な短時間正社員 の 恒常的な短時間正社員 化 介護の場合はケースバイケースであるが 長期化する可能性高 出所 ) 厚生労働省 平成 20 年度雇用均等基本調査

参考 その他の調査より 短時間正社員調査 2008 :14 社へのへのヒアリング 小学校就学前まで ( 適用期間 : 約 6 年 ):4 社 小学校低学年まで ( 適用期間 : 約 9 年 ):2 社 小学校 4 年生まで ( 適用期間 : 約 10 年 ):4 社 中学校入学まで ( 適用期間 : 約 12 年 ) :1 社 適用事由および適用期間の制限なし :3 社 ニッセイ基礎研究所基礎研究所 2008 今後今後の仕事仕事と家庭家庭の両立支援両立支援に関するする調査調査 1 歳まで 1 歳半まで 3 歳まで 小学校就 学前まで 小学校 3 年生まで 小学校卒業まで 中学生以上 上限なし 20.0 6.4 36.9 24.6 6.6 2.6 0.0 1.1 28 無回答 :1.8% 6 年以上 : 約 35% 10 年前後 ~: 約 10%

短時間正社員の雇用管理 一時的一時的な短時間正社員短時間正社員 と 恒常的恒常的な短時間正社員短時間正社員 で大きくきく異なるなる項目 退職金 ( 前者 - 後者の差 :40.6 40.6) 昇進 :38.3 恒常的恒常的な短時間正社員短時間正社員 はフルタイムフルタイム正社員正社員とはとは異なるなる雇用区分? 転居のないのない事業所間異動 :22.6 同じ正社員正社員ルートルートの短時間正社員短時間正社員でもでも適用期間適用期間が長期化長期化すること 事業所間異動 :20.8 により キャリアキャリア管理管理が異なるなる可能性 教育訓練 :16.7 一時的一時的な短時間正社員短時間正社員 と 恒常的恒常的な短時間正社員短時間正社員 で差が小さいさい項目 福利厚生 :3.7 残業 休日出勤 :-3.3 3.3( 恒常的な短時間正社員短時間正社員の方が適用多 ) 職務に関連関連したした手当 :12.4 フルタイムフルタイム勤務勤務 であることがであることが 仕事内容仕事内容の違い キャリアの積み重ねのねの違いにいに影響影響を及ぼしているぼしている可能性 1 退職金 2 職務に関連した手当 3 その他手当 4 福利厚生 5 残業 休日出勤 6 転居のある異動 7 転居のない 8 事業所内異事業所間異動動 9 昇進 10 教育訓練 一時的な短時間正社員恒常的な短時間正社員 パートタイマー短時間正社員 81.0% 86.4% 85.8% 97.3% 70.7% 47.2% 80.6% 89.5% 80.7% 94.9% 40.4% 74.0% 73.4% 93.6% 74.0% 31.5% 58.0% 68.7% 42.4% 78.2% 55.3% 68.4% 71.1% 95.1% 75.7% 26.7% 48.5% 66.7% 50.0% 88.9% アイデム (2008) 短時間正社員と人事管理等に関する調査 データを元に筆者が再分析

短時間正社員制度の効果 ~ 制度の適用期間が長期化するほど目標管理は重要 ~ 主な説明変数 短時間正社員のタイプ 売上高 経常利益 女性正社員の勤続年数 正社員全体の勤続年数 労働生産性 制度の有無 一時的 - - - 正 (10% 水準 ) - 恒常的 - - - - - 利用実績 ( 実績有 =1) 賃金の決定方法 ( 別建 =1) 賃金の水準 ( フルタイム正社員と同程度同程度でない =1) 目標管理 ( 適用 =1) 仕事内容 ( 変更 =1) 一時的 正 (10% 水準 ) 正 (10% 水準 ) - 恒常的 正 (5% 水準 ) - - 一時的 - - - 恒常的 - 正 (10% 水準 ) - 一時的 - - - 恒常的 - - - 一時的 - - - 恒常的 - - 正 (10% % 水準 ) 一時的 負 (10% 水準 ) 負 (5% 水準 ) - 恒常的 - - - 30 アイデム (2008) 短時間正社員と人事管理等に関する調査 データを元に筆者が再分析

短時間正社員制度が機能している企業の 雇用管理 アイデム (2008) 短時間正社員と人事管理等に関する調査 におけるヒアリング調査結果に基づく考察 正社員と正社員以外の社員との区別なく 仕事内容や役割を基準に社員を再区分している企業が約半数 (6/14) パートタイマー 短時間正社員 フルタイム正社員 へ円滑にキャリアが移行していくように雇用管理を再構築する傾向 職能等級と職務等級を併用して社員を格付けする傾向 (ex.) 後ほど講演のあるモロゾフ株式会社など パートタイマー短時間正社員 短時間正社員登用後の業務の難易度や責任を高める傾向 将来的には 組織のコア人材 ( フルタイム正社員と同じ役割 ) として活躍してもらうことを期待 短時間正社員として働く期間が実質的なフルタイム正社員への適正を確認する機能

短時間正社員の課題 : 仕事の進め方 職場の仕事仕事のやり繰りがりが課題 32 アイデム (2008) 短時間正社員と人事管理等に関する調査 データを元に筆者が再分析

短時間正社員の課題 : 処遇 従来の人材活用人材活用を基準基準としたとした制度制度の限界? アイデム (2008) 短時間正社員と人事管理等に関する調査 データを元に筆者が博士論文で再分析したものより

短時間正社員制度を機能させる仕組み 各社の社員構造や短時間正社員へのニーズ 仕事の特性を加味したうえで 人材活用の方向性を定め制度設計 ( 適用事由 適用期間 ) をおこなう 目標管理を短時間正社員に適用し 一定期間の目標 ビジョンを持たせながら能力発揮させることが肝要 正社員だけでなく正社員以外の社員も含めた活用を視野にいれた雇用管理を再構築する必要 多様な人材の活用に向けた雇用管理への移行 職場マネジメント者による職場の仕事のやり繰りが課題 管理職のマネジメントを支援する取組がカギ

ご清聴ありがとうございました