目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

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税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

改正 ( 事業年度の中途において中小企業者等に該当しなくなった場合等の適用 ) 42 の 6-1 法人が各事業年度の中途において措置法第 42 条の6 第 1 項に規定する中小企業者等 ( 以下 中小企業者等 という ) に該当しないこととなった場合においても その該当しないこととなった日前に取得又

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

二法人税法施行規則第六十一条の三第一号ロ及びハ並びに第二号ロ及びハ並びに第六十一条の五第一号ハ及びヘ並びに第二号ハ及びヘに掲げる勘定科目内訳明細書ホ別表に掲げる明細書 ( 当該明細書に記載されている事項又は記載すべき事項の内訳に係る部分に限る ) 四省令第五条第二項の規定により同項に規定する添付書面

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収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

試験研究費 9,, 7,, Check7 14,, 14,, Check8 7,, 2,, 14,, 6,, 6,, 税務弘報

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「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

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下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

松戸市市税条例等の一部を改正する条例 ( 松戸市市税条例の一部改正 ) 第 1 条松戸市市税条例 ( 平成 27 年松戸市条例第 12 号 ) の一部を次のように改正する 第 11 条中 及び第 2 号 を 第 2 号及び第 5 号 に それぞれ当該各号 を 第 1 号から第 4 号まで に改め 掲

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別表六 ( 一 ) 所得税額の控除に関する明細書 1 この明細書の用途この明細書は 法人が当期中に支払を受ける利子及び配当等並びに懸賞金等及び償還差益について課された所得税の額について 法第 68 条第 1 項 (( 所得税額の控除 ))( 復興財源確保法第 33 条第 2 項 (( 復興特別所得税

に限る ) は その追徴すべき不足税額 ( 当該減額更正前に賦課した税額から当該減額更正に基因して変更した税額を控除した金額 ( 還付金の額に相当する税額を含む ) に達するまでの部分に相当する税額に限る 以下この項において同じ ) については 次に掲げる期間 ( 令第 4 8 条の9の9 第 4

法人税制改正詳解 CONTENTS はしがき 第 1 章平成 23 年 12 月改正 第 1 節 法人税率の引下げ 2 1 改正の趣旨及び内容 2 2 税率引下げの必要性 5 3 実効税率の計算への改正の影響 7 4 適用関係 8 5 実効税率と復興特別法人税との関係 8 6 法

( 相続時精算課税適用者の死亡後に特定贈与者が死亡した場合 ) (6) 相続時精算課税適用者 ( 相続税法第 21 条の9 第 5 項に規定する 相続時精算課税適用者 をいう 以下 (6) において同じ ) の死亡後に当該相続時精算課税適用者に係る特定贈与者 ( 同条第 5 項に規定する 特定贈与者

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上場株式等の配当等に対する課税

平成20年2月

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

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平成23年度税制改正大綱(閣議決定)における要望実現項目

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法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

第一法基通改正7

1 納税義務者法人は 基準法人税額につき 復興特別法人税を納める義務があります ( 復興財源確保法 42) なお 人格のない社団等及び法人課税信託の受託者である個人についても 復興特別法人税を納めることとなる法人とみなすこととされています ( 復興財源確保法 411) ( 注 ) 法人税の納税義務の

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

平成19年12月○日

法人税 faq

●租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案

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議案用 12P

第68回税理士試験 消費税法 模範解答(理論)

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適用時期 法人の平成 26 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されます 改正措法附則案 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例 ( 法人が支出した使途秘匿金の額に 40% の割合を乗じて計算した金額をその納付すべき法人

9 試験研究費の額に係る法人税額の特別控除額 2 10 還付法人税額等の控除額 3 11 退職年金等積立金に係る法人税額 4 12 課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人税割額 の5の欄 ) リース特別控除取戻税額( 別表 1(2) の5の欄又は別表 1(3)

実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

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投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

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労働基準法が改正されます

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げる期間 ( 令第 48 条の9の9 第 4 項各号に掲げる市民税にあつては 第 1 号に掲げる期間に限る ) を延滞金の計算の基礎となる期間から控除する 第 40 条の各納期限の翌日から当該減額更正に基因して変更した税額に係る納税通知書が発せられた日までの期間当該減額更正に基因して変更した税額に係

た後に その賦課した税額が増加したときに限る ) は その追徴すべき不足税額 ( 当該減額更正前に賦課した税額から当該減額更正に基因して変更した税額を控除した金額 ( 還付金の額に相当する税額を含む ) に達するまでの部分に相当する税額に限る 以下この項において同じ ) については 次に掲げる期間

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用語の意義 この FAQ において使用している用語の意義は 次のとおりです 用語 意義 所得税法 ( 所法 ) 所得税法 ( 昭和 40 年法律第 33 号 ) をいいます 所得税法施行令 ( 所令 ) 所得税法施行令 ( 昭和 40 年政令第 96 号 ) をいいます 改正所令 所得税法施行令の一

【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 申請者がと年月日をもって売買契約を締結した指名金銭債権に伴う別紙記載の不動産の質権又は抵当権の移転の登記につき 租税特別措置法第 83 条の2 第 1 項の規定の適用を受けたいので 租税特別措

第 3 4 条の9 第 1 項中 第 3 3 条第 4 項の申告書 を 第 3 3 条第 4 項に規定する特定配当等申告書 に 同条第 6 項の申告書 を 同条第 6 項に規定する特定株式等譲渡所得金額申告書 に 法第 2 章第 1 節第 6 款 を 同節第 6 款 に改める 第 4 8 条第 1

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. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

( 復興特別法人税制度の具体的内容 ) 復興特別法人税制度の具体的な内容は 次のとおりです 1 納税義務者法人は 基準法人税額につき 復興特別法人税を納める義務があります ( 復興財源確保法 42) なお 人格のない社団等及び法人課税信託の受託者である個人は 法人とみなすこととされています ( 復興

第 6 号様式記載の手引 H この申告書の用途等 (1) この申告書は 仮決算に基づく中間申告 ( 連結法人以外の法人が行う中間申告に限ります ) 確定した決算に基づく確定申告及びこれらに係る修正申告をする場合に使用します なお 事業税及び地方法人特別税に係る仮決算に基づく中間

今回の変更点 所得税H22.16(震災特例法対応)

目 次 セットアップ前に 1 税制改正の概要 2 プログラムの変更内容 3 改正別表 7 別表一 ( 一 ) 平成 26 年 10 月 1 日以後開始事業年度分 9 別表一 ( 二 ) 平成 26 年 10 月 1 日以後開始事業年度分 21

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第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 1 節国税の還付 学習のポイント 1 国税の還付金等とはどのようなものか 2 充当とはどのようなものか 1 還付金等の種類国税の還付には 還付金の還付と過誤納金の還付の二種類があり 還付金と過誤納金を併せて還付金等という (

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

準用する政令第 6 条の 25 第 1 号に定める金額 11 市町村民税の 申告書 空欄は 次のように記載します (1) 法人税の中間申告書に係る申告の場合は 中間 (2) 法人税の確定申告書 ( 退職年金等積立金に係るものを除きます ) 又は連結確定申告書に係る申告の場合は 確定 (3) (1)

B 事例 1: 日本赤十字社と公益財団法人公益法人協会ともに 所得控除方式 を適用し ffff た場合に還付される税金について 前提 1 寄附先の名称等 ( 弊協会の他に 東日本大震災の義援金として日本赤十字社に寄附したものと仮定 ) 名称金額備考 日本赤十字社 ( 東日本大震災義援金 ) 30,0

記者発表ポイント(会社)  

第 20 号様式の記載について 1 この申告書の用途等 (1) この申告書は 仮決算に基づく中間申告 ( 連結法人以外の法人が行う中間申告に限ります ) 確定した決算に基づく確定申告及びこれらに係る修正申告をする場合に使用します (2) この申告書は 堺市長に 1 通 ( 提出用及び入力用 ) を提

法人税 faq

過納金とは 納付納入の時にはそれに対応する租税債務が存在していたが 結果的に不適法な納付納入となった場合における地方公共団体の徴収金のことであり 1 納付納入の時には一応適法であったものが その申告 更生 決定又は賦課決定が誤って過大にされていたため 後になって減額更正 減額の賦課決定又は賦課決定の

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

対応別表一覧表

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

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時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税され かつ その所得税は相続税の課税価格の計算上被相続人の債務として控除されていることにより 所得税と相続税の負担の調整は済んでいますので この特例の適用は受けられません 2 取得費に加算される金額平成 26 年度の改正前は 相続財産である土地等の一部を譲渡し

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追録8pt.mcd

11 市町村民税の申告書 空欄は 次のように記載します (1) 法人税の中間申告書に係る申告の場合は 中問 (2) 法人税の確定申告書 ( 退職年金等積立金に係るものを除きます ) 又は連結確定申告書に係る申告の場合は 確定 (3) (1) 又は (2) に係る修正申告の場合は 修正中間 又は 修正

⑵ 過誤納金還付金が各税法の定めに基づいて発生するのに対して 過誤納金は 法律上 国税として納付すべき原因がないのに納付された金額で 国の一種の不当利得に係る返還金である なお この過誤納金は 次の二つに分かれる イ過納金過納金は 納付時には納付すべき確定した国税があったが 減額更正や不服審査の裁決

〇本事例集は 平成 31 年 3 月を期限とした個人の確定申告について 国税通則法関連 ( 所得税 の納税地を含む ) の 誤りやすい事例 について取りまとめています 〇本事例集は 誤りやすい事例 を載せた後に 正しい解釈 処理方法を提示しています なお 無用 な文字数 ページ数の増加を避けるため

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富士見市都市計画税条例 ( 昭和 46 年条例第 40 号 ) 新旧対照表 ( 第 1 条による改正 )( 専決 ) 新 旧 附則 附則 ( 改修実演芸術公演施設に対する都市計画税の減額の規定の適用を受けようとする者がすべき申告 ) 6 法附則第 15 条の11 第 1 項の改修実演芸術公演施設につ

II. 課税標準の確定申告と納付 ( 地 税法第 103 条の23) 1. 申告期限 各事業年度の終了 が属する の末 から4ヶ 以内 ( 連結法 は5ヶ 以内 ) に納税地管轄の地 治 団体の に申告 納付しなければなりません 法 地 所得税の申告納付期限は下記のとおり 部変更されました 区分 従

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て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

Q1 法人事業税の負担変動の軽減措置とは どのような制度ですか? A. 平成 27 年度税制改正により導入された 外形標準課税の拡大 ( 所得割の税率引き下げ及び付加価値割 資本割の税率引き上げ ) によって生じる税負担の変動の影響を緩和する措置で 付加価値額が一定以下の法人を対象に税負担の増加につ

新・NPO法人申請マニュアル.pwd

別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書

海運関係事項

第20号様式記載要領

第 6 号様式記載の手引 1 この申告書の用途等 (1) この申告書は 仮決算に基づく中間申告 ( 連結法人以外の法人が行う中間申告に限ります ) 確定した決算に基づく確定申告及びこれらに係る修正申告をする場合に使用します なお 事業税及び地方法人特別税に係る仮決算に基づく中間申告は その税額が予定

所得税関係 ( 住宅ローン控除の特例 ) の改正 ⑵ 震災税特法の制度 ( 適用期間の特例 ) の概要東日本大震災によって被害を受けたことにより 住宅ローン税額控除の適用を受けていた家屋 ( 以下 従前家屋等 といいます ) を居住の用に供することができなくなった居住者については その居住の用に供す

第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

3 平成 25 年 4 月に給与の支給規程を改訂し 平成 24 年分 10 月にまでさかのぼって実施する こととなり 平成 25 年 4 月の給与支給日に支払うこととなった平成 24 年 10 月から平成 25 年 3 月までの給与改訂差額 A 3 1 給与所得の収入金額の収入すべき時期は 契約又は

MJS/ 第 79 回租税判例研究会 ( ) MJS 判例研究会 平成 30 年 8 月 9 日 報告者西野道之助 更正の請求/ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除 平成 28 年 7 月 8 日 東京地裁 ( 棄却 )( 控訴 ) 平成 29 年 1 月 26 日

イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

土地建物等の譲渡(マイホームの売却による譲渡損)編

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いわゆる当初申告要件及び適用額の制限の改正について 別紙

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6 問 5 租税特別措置法における当初申告要件 ( 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の例 ) 7 問 6 法人税額が増加した場合の適用額の制限 ( 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の例 ) 8 ( 注 ) この情報は 平成 23 年 12 月 2 日現在の法令 通達に基づいて作成しています なお この情報の設問においては 連結納税制度に係る説明は省略しています 略語 23 年 12 月改正法 経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等 の一部を改正する法律 ( 平成 23 年法律第 114 号 ) 23 年 12 月改正法令 法人税法施行令の一部を改正する政令 ( 平成 23 年政令第 379 号 ) 法 23 年 12 月改正法による改正後の法人税法 措法 23 年 12 月改正法による改正後の租税特別措置法 法令 23 年 12 月改正法令による改正後の法人税法施行令 旧法 23 年 12 月改正法による改正前の法人税法 旧措法 23 年 12 月改正法による改正前の租税特別措置法 措通 租税特別措置法関係通達 ( 法人税編 )

問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 問 23 年 12 月改正により 法人税法における当初申告要件や適用額の制限について 改正が行われたと聞いていますが どのような改正が行われたのですか 答ご質問についての主な改正内容は次のとおりです 1 改正前の制度の概要 ⑴ 法人税法における当初申告要件 法人税法. に. お. け. る. 受. 取配当等の益金不算入制度や所得税額控除制度などについては 確定申告書等 ( 確定申告書及び仮決算をした場合の中間申告書をいい ます 以下同じです ) に その適用を受けるべき金額など一定の事項を記載し た場合又は一定の書類を添付した場合に限り 適用することとされていました ( 以下これを 法人税法における当初申告要件 といいます )( 旧法 237 68 3 等 ) このため 確定申告書等において制度の適用を受けていない場合には 修正 申告や更正の請求によって新たに制度の適用を受けることはできないこととさ れていました ( 注 ) これらの制度の適用を受けるためには 一定の書類の保存が要件とされているものがあります ⑵ 法人税法における適用額の制限 法人税法における当初申告要件が課されている制度の中には その制度の適 用を受ける金額について 確定申告書等に記載された金額を限度とするものが ありました ( 以下これを 法人税法における適用額の制限 といいます )( 旧 法 237 683 等 ) このため 法人税法における適用額の制限があるものについては 修正申告 や更正の請求によって 確定申告書等に記載された金額を超えて適用を受ける 金額を増額させることはできませんでした 2 改正の内容 ⑴ 法人税法における当初申告要件の廃止 次表に掲げる制度について 23 年 12 月改正により 法人税法における当初 申告要件が廃止されました ( 法 237 683 等 ) このため 確定申告書等において制度の適用を受けていない場合であっても 修正申告書や更正請求書に適用を受けるべき金額など一定の事項を記載した書 類を添付することにより 修正申告や更正の請求によって新たに制度の適用を 受けることができることとなりました 法人税法における当初申告要件が廃止された制度 1 受取配当等の益金不算入 ( 法 237 ) 2 外国子会社から受ける配当等の益金不算入 ( 法 23 の 23 ) 3 国等に対する寄附金 指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入 ( 法 379 ) 4 会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入 ( 法 594 ) 5 協同組合等の事業分量配当等の損金算入 ( 法 60 の 2) ( 注 ) 確定申告書等における損金算入に関する明細の記載要件が廃止されました 6 所得税額控除 ( 法 683 ) 7 外国税額控除 ( 法 691011) - 1 -

8 公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の損金算入限度額の特例 ( 法令 73 の 22 ) 9 引継対象外未処理欠損金額の計算に係る特例 ( 法令 1132 6 ) 10 特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の制限の 5 倍要件の判定の特例 ( 法令 113 の 214) 11 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の対象外となる資産の特例 ( 法令 123 の 83 五 ) 12 特定資産に係る譲渡等損失額の計算の特例 ( 法令 123 の 928) ( 注 ) 上記 2 3 ( 特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入規定 ) 7 9 11 12 については その適用に当たり 修正申告書や更正請求書への書類の添付のほか 一定の書類の保存が要件とされています ⑵ 法人税法における適用額の制限の見直し 上記 ⑴ に掲げる制度のうち次表に掲げる制度については 法人税法における 適用額の制限も見直され これらの制度の適用を受ける金額については 確定 申告書等だけでなく 修正申告書又は更正請求書に添付された書類に適用を受 ける金額として記載された金額を限度とすることとされました ( 法 237 683 等 ) このため 修正申告や更正の請求によって 確定申告書等に添付された書類 に記載された適用を受ける金額を増額させることができることとなりました 法人税法における適用額の制限が見直された制度 1 受取配当等の益金不算入 ( 法 237 ) 2 外国子会社から受ける配当等の益金不算入 ( 法 23 の 23 ) 3 国等に対する寄附金 指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入 ( 法 379 ) 4 所得税額控除 ( 法 683 ) 5 外国税額控除 ( 法 6910 11 ) ( 注 ) 繰越控除限度額がある場合の外国税額控除の規定 ( 法 692 ) 又は繰越控除対象外国法人税額に係る外国税額控除の規定 ( 法 693 ) について 23 年 12 月改正法による改正前は 繰越控除限度額又は繰越控除対象外国法人税額に係る事業年度のうち最も古い事業年度以後の各事業年度の確定申告書等に 当該各事業年度の控除限度額及び当該各事業年度において納付することとなった控除対象外国法人税の額 ( 以下 控除限度額等 といいます ) として記載された金額を基礎として計算した金額が限度とされていましたが ( 旧法 6911 ) 改正後は 確定申告書等だけでなく 修正申告書や更正請求書に添付された書類に控除限度額等として記載された金額を基礎として計算した金額が限度とされました ( 法 6911 ) ⑶ 適用時期 参考 上記 ⑴ 及び ⑵ の改正は 平成 23 年 12 月 2 日以後に確定申告書等の提出期限 が到来する法人税について適用することとされています ( 23 年 12 月改正法附 則 11 等 ) 法人税法第 68 条 所得税額の控除 の新旧対照表 ( 抜粋 ) 改正後改正前 3 第 1 項の規定は 確定申告書 修正申告書又は更正請求書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り 適用する この場合において 同項の規定による控除をされるべき金額は 当該金額として記載された金額を限度とする 3 第 1 項の規定は 確定申告書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載がある場合に限り 適用する この場合において 同項の規定による控除をされるべき金額は 当該金額として記載された金額を限度とする - 2 -

問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 問 23 年 12 月改正により 租税特別措置法における当初申告要件や適用額の制限に ついて改正が行われたと聞いていますが どのような改正が行われたのですか 答ご質問についての主な改正内容は次のとおりです 1 改正前の制度の概要 ⑴ 租税特別措置法における当初申告要件 租税特別措置法における試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度や 中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度などについて...... は 確定申告書等にその控除を受ける金額の申告の記載があり かつ その控 除を受ける金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り 適用すること とされていました ( 以下これを 租税特別措置法における当初申告要件 とい います )( 旧措法 42 の 4 14 42 の 6 8 等 ) このため 確定申告書等において制度の適用を受けていない場合には 修正 申告や更正の請求によって新たに制度の適用を受けることはできないこととさ れていました ⑵ 租税特別措置法における適用額の制限租税特別措置法における当初申告要件が課されている制度の中には その控除を受ける金額について 確定申告書等にその控除を受けるべき金額 つまり 確定申告書等に記載された事項を基礎として計算する場合に控除を受けることができる正当額を限度とするものがありました ( 以下これを 租税特別措置法における適用額の制限 といいます )( 旧措法 42 の 414 42 の 6 8 措通 42 の 4 ⑶ - 4 42 の 6-11 等 ) 例えば 23 年 12 月改正法による改正前の試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度により控除される金額は 試験研究費の額や当期の所得に対する法人税の額など確定申告書等に記載された全ての事項を基礎として計算された税額控除額 ( 正当額 ) が適用限度額とされていました ( 旧措法 42 の 4 14 ) このため 確定申告書等に記載されたこれらの金額が変動する場合であっても 修正申告や更正の請求によって 確定申告書等に記載された金額を是正して適用を受ける金額を増額させることはできませんでした 2 改正の内容 ⑴ 租税特別措置法における当初申告要件の存続法人税額の特別控除制度についての租税特別措置法における当初申告要件は 確定申告書等に添付される書類に特定の事項 ( 試験研究費の額 資産の取得価額等 ) を記載する必要があることから 法人税における当初申告要件とは異なり 引き続き存続することとなります ( 措法 42 の 4 14 等 ) ⑵ 租税特別措置法における適用額の制限の見直し次表に掲げる制度について 23 年 12 月改正により 租税特別措置法における適用額の制限の見直しが行われ 控除を受けることができる正当額を計算するに当たって基礎とする事項が 確定申告書等に記載された全ての事項から 確定申告書等に添付された書類に記載された特定の事項 ( 試験研究費の額 資産の取得価額等 ) とされました ( 措法 42 の 4 14 42 の 6 8 等 ) このため 確定申告書等に記載された特定の事項以外の事項として記載され - 3 -

た金額に変動がある場合には 修正申告や更正の請求によってその金額を是正して適用を受ける金額を増額させることができることとなりました ( 措法 42 の 4 14 42 の 6 8 等 ) 例えば 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度により控除される金額は 確定申告書等に添付された書類に記載される特定の事項である試験研究費の額及び特別試験研究費の額を基礎として計算される税額控除額が限度とされるため 当期の所得に対する法人税の額に変動があった場合には 修正申告又は更正の請求により適用を受ける金額を増額させることができます ( 措法 42 の 4 14 ) また 法人税額の特別控除制度による税額控除をしてもなお控除しきれない金額 ( 以下 繰越税額控除限度超過額 といいます ) を有する場合には 法人税額から繰越税額控除限度超過額に相当する金額を控除できる制度があります この制度については 法人税額の特別控除制度の適用を受ける金額が修正申告や更正の請求により増額することに伴って繰越税額控除限度超過額が増額する場合があることから その場合には修正申告書や更正請求書に繰越税額控除限度超過額など一定の事項を記載した書類を添付することにより 修正申告や更正の請求によって繰越税額控除限度超過額に係る法人税額の繰越控除の適用を受ける金額を増額することができることとされています ( 措法 42 の 4 15 42 の 6 9 等 ) 租税特別措置法における適用額の制限が見直された制度 1 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除 ( 措法 42 の 41415) 2 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例 ( 措法 42 の 4 の 210 ) 3 エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の法人税額の特別控除 ( 措法 42 の 589) 4 中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除 ( 措法 42 の 689) 5 沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除 ( 措法 42 の 956) 6 沖縄の特定中小企業者が経営革新設備等を取得した場合の法人税額の特別控除 ( 措法 42 の 1089) 7 国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の法人税額の特別控除 ( 措法 42 の 1189) 8 雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除 ( 措法 42 の 124 ) 9 法人税の額から控除される特別控除額の特例 ( 措法 42 の 135 ) ⑶ 適用時期上記 ⑴ 及び ⑵ の改正は 平成 23 年 12 月 2 日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税について適用することとされています ( 23 年 12 月改正法附則 53 等 ) 参考 租税特別措置法 42 条の 4 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除 の新旧対照表 ( 抜粋 ) 改正後改正前 14 第 1 項及び第 2 項 第 6 項又は第 9 項の規定は 確定申告書等 修正申告書又は更正請求書に これらの規定による控除の対象となる試験研究費の額及び特別試験研究費の額 控除を受ける金額並びに当該金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り 適用する この場合において これらの規定により控除される金額は 当該確定申告書等に添付された書類に記載された試験研究費の額及び特別試験研究費の額を基礎として計算した金額に限るものとする - 4-14 第 1 項及び第 2 項 第 6 項又は第 9 項の規定は 確定申告書等に これらの規定による控除を受ける金額の申告の記載があり かつ 当該金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り 適用する この場合において これらの規定により控除される金額は 当該申告に係るその控除を受けるべき金額に限るものとする

問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 問当社 ( 年 1 回 10 月決算 ) は 平成 23 年 10 月期 ( 自平成 22 年 11 月 1 日至平成 23 年 10 月 31 日 ) の確定申告書を提出期限の平成 24 年 1 月 4 日に税務署に提出しました この確定申告書では 所得税額控除制度 ( 法 68) の適用を受けていません この場合 その後に更正請求書を提出して 平成 23 年 10 月期について新たに所得税額控除制度の適用を受けることはできますか 答ご質問のように確定申告書において所得税額控除の適用を受けていない場合であっても 控除を受けるべき金額及びその計算明細を記載した書類を添付した更正請求書を提出することにより 新たに所得税額控除制度の適用を受けることができます 解説 ⑴ 23 年 12 月改正により 所得税額控除制度における当初申告要件が廃止され た とえ確定申告書において所得税額控除の適用を受けていない場合であっても 修 正申告書や更正請求書に控除を受けるべき金額及びその計算明細を記載した書類 ( 具体的には 法人税申告書別表六 ( 一 )) を添付して提出することにより 修正 申告や更正の請求によって新たに控除を受けることができることになりました ( 法 683) ( 注 ) この改正は 平成 23 年 12 月 2 日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税について適用することとされています (23 年 12 月改正法附則 17) ⑵ 貴社の平成 23 年 10 月期 ( 申告期限 : 平成 24 年 1 月 4 日 ) は改正後の規定が適 用されますので 更正請求書に別表六 ( 一 ) を添付して提出することにより新た に所得税額控除の適用を受けることができます - 5 -

問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 問当社 ( 年 1 回 10 月決算 ) は 平成 23 年 10 月期 ( 自平成 22 年 11 月 1 日至平成 23 年 10 月 31 日 ) の確定申告書を提出期限の平成 24 年 1 月 4 日に税務署に提出しました この確定申告書では 所得税額控除制度 ( 法 68) の適用を受け 控除を受けるべき金額として記載した金額の全額を控除しています その後 申告書の内容を確認したところ 剰余金の配当に係る源泉所得税額の一部について 所得税額控除の適用漏れがあったことが判明しました この場合 更正請求書を提出して 平成 23 年 10 月期についてその適用を受けていなかった源泉所得税額につき追加で控除を受けることができますか 答ご質問の場合 適用漏れがあった金額を含めて控除を受けるべき金額及びその計 算明細を記載した書類を添付した更正請求書を提出することにより その適用を受 けていなかった源泉所得税額につき追加で控除を受けることができます 解説 ⑴ 23 年 12 月改正により 所得税額控除制度の限度額は 確定申告書だけでなく 修正申告書又は更正請求書に添付された書類に記載された金額とされましたので 修正申告や更正の請求によって 確定申告書に記載された金額を増額させて税額 控除の適用を受けることができることになりました ( 法 683) ( 注 ) この改正は 平成 23 年 12 月 2 日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税について適用することとされています (23 年 12 月改正法附則 17) ⑵ 貴社の平成 23 年 10 月期 ( 申告期限 : 平成 24 年 1 月 4 日 ) は改正後の規定が適用されますので 更正請求書に確定申告書で適用漏れとなっていた源泉所得税額を含めて記載した別表六 ( 一 ) を添付して提出することにより その適用を受けていなかった源泉所得税額につき 追加で控除を受けることができます - 6 -

問 5 租税特別措置法における当初申告要件 ( 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の例 ) 問当社 ( 年 1 回 10 月決算 ) は 平成 23 年 10 月期 ( 自平成 22 年 11 月 1 日至平成 23 年 10 月 31 日 ) の確定申告書を提出期限の平成 24 年 1 月 4 日に税務署に提出しました この確定申告書では 試験研究費の総額に係る法人税額の特別控除制度 ( 措法 42 の 4 1 ) の適用を受けていません この場合 その後に更正請求書を提出して 平成 23 年 10 月期について新たに特別控除制度の適用を受けることはできますか 答ご質問のように確定申告書において特別控除制度の適用を受けていない場合には その後に更正請求書を提出しても 新たに特別控除制度の適用を受けることはでき ません 解説 23 年 12 月改正により 試験研究費の総額に係る法人税額の特別控除制度により控除される金額は 確定申告書等に添付された書類 ( 具体的には 法人税申告書別表六 ( 六 )) に記載された試験研究費の額及び特別試験研究費の額を基礎として計算した金額に限ることとされました ( 措法 42 の 4 14 ) したがって 確定申告書で特別控除制度の適用を受けずに別表六 ( 六 ) が添付されていない場合には その後に更正請求書を提出しても控除される金額が算出されませんので 更正の請求により新たに特別控除制度の適用を受けることはできません - 7 -

問 6 法人税額が増加した場合の適用額の制限 ( 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の例 ) 問当社 ( 年 1 回 10 月決算 ) は 平成 23 年 10 月期 ( 自平成 22 年 11 月 1 日至平成 23 年 10 月 31 日 ) の確定申告書を提出期限の平成 24 年 1 月 4 日に税務署に提出しました この確定申告書では 試験研究費の総額に係る法人税額の特別控除制度 ( 措法 42 の 4 1 42 の 4 の 2 1 ) の適用を受け 税額控除限度額 10 のうち控除しきれない金額 ( 繰越税額控除限度超過額 ) 1 を翌期に繰り越しました その後 税務調査により平成 23 年 10 月期の経費の計上誤りが判明し 特別控除前の法人税額が 30 から 40 に増加することとなったため 修正申告書を提出することとしています この場合 修正申告により増加することとなる法人税額 40 を基礎として計算した金額 10 を特別控除額とすることはできますか イメージ図 確定申告 ( 調査前 ) 1 税額控除限度額 2 法人税額 (30) 30% 繰越税額 1 控除限度超過額 特別控除額 ( 1 と 2 のいずれか少ない金額 ) 10 9 9 修正申告 ( 調査後 ) 増加 1 税額控除限度額 2 法人税額 (40) 30% 特別控除額 ( 1 と 2 のいずれか少ない金額 ) 12 10 10 増加後の法人税額 ( 40) を基礎とすることができるか? 答ご質問の場合 修正申告により増加することとなる法人税額 40 を基礎として計算 した金額 10 を特別控除額とすることができます - 8 -

解説 ⑴ 平成 21 年 4 月 1 日から平成 24 年 3 月 31 日までの間に開始する各事業年度における試験研究費の総額に係る法人税額の特別控除制度による特別控除額は 試験研究費の額に一定割合を乗じて計算した税額控除限度額と法人税額の 30% 相当額とのいずれか少ない金額とされています ( 措法 42 の 4 1 42 の 4 の 2 1 ) ⑵ 23 年 12 月改正法による改正前の制度においては 控除される金額は 確定申..... 告書の別表六 ( 六 ) に記載された全ての事項を基礎として計算する場合に控除を受けることができる正当額に限ることとされていました ( 旧措法 42 の 4 14 措通 42 の 4 ⑶ - 4 ) したがって ご質問のように 税務調査により法人税額 ( 及びその 30% 相当額 ) が増加することとなっても 確定申告書の別表六 ( 六 ) に記載された法人税額の 30% 相当額を含む計算の基礎となる全ての事項を変動させることができませんから 修正申告により特別控除額を増加させることはできませんでした 改正前のイメージ図 1 税額控除限度額 2 確定申告時 ( 増加前 ) の法人税額 ( 30) 30% 特別控除額 ( 1 と 2 のいずれか少ない金額 ) 増加 10 12 9 9 増加後の法人税額 ( 40) を基礎とすることはできない ⑶ 23 年 12 月改正により 控除される金額は 確定申告書等の別表六 ( 六 ) に記載................ された試験研究費の額及び特別試験研究費の額を基礎として計算する場合に控除 を受けることができる正当額に限られます ( 措法 42 の 4 14 ) 具体的には 確定................ 申告書の別表六 ( 六 ) に記載された試験研究費の額及び特別試験研究費の額に仮に 記載漏れがあったとしても その記載された金額を変動させることはできません が それ以外の事項に変動があった場合には 変動後の金額を基礎として計算す る場合に控除を受けることができる正当額が控除される金額となります ( 注 ) この改正は 平成 23 年 12 月 2 日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税について適用することとされています (23 年 12 月改正法附則 53) ⑷ 貴社の平成 23 年 10 月期 ( 申告期限 : 平成 24 年 1 月 4 日 ) は改正後の規定が適用されます ご質問は 税務調査により特別控除前の法人税額が 30 から 40 に増加することになったとのことですから 控除される金額は 税額控除限度額 10 と増加することとなる法人税額 40 の 30% 相当額 12 とのいずれか少ない金額 10 が限度となります - 9 -

( 確定申告書及び修正申告書における別表六 ( 六 ) 抜粋 ) 確定申告書 修正申告書 記載漏れがあったとしても増額不可 法人税の額が増加すれば増額可能 - 10 -