(2) 試薬 器具 試薬 ( 注 1) 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼン標準品 : 新日本石油株式会社より提供フェナントレン-d 1 標準品 : 和光純薬工業社製ジクロロメタン メタノール アセトン ヘキサン : 残留農薬試験用精製水 : 超純水製造システム (Milli-Q

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財団法人化学物質評価研究機構 1,4- ジメチル -2-(1- フェニルエチル ) ベンゼン 1,4-dimethyl-2-(1-phenylethyl)benzene 対象物質の構造 CH 3 CH 3 C H CH 3 CAS 番号 :6165-51-1 物理化学的性状 分子量 沸点 ( ) 蒸気圧 (hpa) 水溶解度 (mg/l) log P ow 21.31 35.9(113 hpa) ( 計算値 ) 2.1 1-4 (25 ).96 (25 ) 5.39 ( 実測値 ) 出典 SIDS Initial Assessment Report(OECD, 23) 毒性 用途 毒性 : 急性毒性 経口 LD 5 ラット 2 mg/kg 用途 : PCB の代替物質として使用 感圧紙用染料の溶媒 コンデンサーオイル 1 分析法の概要 (1) 分析法概要 水質試料については 2% アセトン水溶液とした後 固相抽出 5% メタノール水溶液で洗浄 脱水 ジクロロメタンで溶出を行い GC/MS によって定量する 底質試料についてはアセトンで抽出 2% アセトン水溶液とした後 水質試料と同様に固相抽出 5% メタノール水溶液で洗浄 脱水 ジクロロメタンで溶出を行い GC/MS によって定量する

(2) 試薬 器具 試薬 ( 注 1) 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼン標準品 : 新日本石油株式会社より提供フェナントレン-d 1 標準品 : 和光純薬工業社製ジクロロメタン メタノール アセトン ヘキサン : 残留農薬試験用精製水 : 超純水製造システム (Milli-Q Gradient-A1) 日本ミリポア社製固相抽出カラム :Strata SDB-L 5mg/6mL Phenomenex 社製活性炭カートリッジ :Sep-pak Plus AC-2 Waters 社製シリカゲルカートリッジ :Sep-pak Plus Silica Waters 社製 器具 マイクロシリンジ 固相抽出装置 25 ml 共栓付きメスシリンダー 1 ml 目盛り付き試験管 5 ml 共栓付き遠沈管 窒素ガス濃縮装置 パスツールピペット 駒込ピペット (3) 分析法 試料の採取及び保存 環境省 化学物質環境調査における試料採取にあたっての留意事項 に従う 試料の前処理及び試料液の調製 ( 注 2) 水質 試料 1 ml を採取した後アセトン 25 ml を加え 混合する 固相抽出装置に固相抽出カートリッジ (SDB) を装着し ジクロロメタン 2 ml アセトン 1 ml 2% アセトン水溶液 2 ml で洗浄した後 ( 注 3) 1 ml/min で試料を通水する 通水終了後 2% アセトン水溶液 6 ml で洗浄し 5% メタノール水溶液 6 ml でカートリッジの洗浄を行い 3 rpm で 5 分間水分を遠心分離除去した後 活性炭カートリッジ AC-2 を通じた窒素を 15 分通して水分を完全に除去する ( 注 4) その後 ジクロロメタン 6 ml で目的物質を溶出させる 溶出液は活性炭カートリッジ AC-2 を通した窒素気流下で 1 ml 以下まで濃縮した後 ( 注 4) 測定用内標準液(1 µg/ml) を 5 µl( 添加量 5 ng) 加え ジクロロメタンで 1 ml とする 底質 乾泥換算で 1 g となるよう湿試料を 5 ml 共栓付き遠沈管にとる 試料にアセトン 2 ml を加え 1 分間振とう 更に 1 分間の超音波処理により抽出を行う 3 rpm で 5 分間遠心分離を行った後 アセトン抽出液を回収する 再度アセトン

2 ml を加え 同様の操作を繰り返す 回収したアセトン抽出液 4 ml を 25 ml 共栓付きメスシリンダーに入れ アセトン濃度が 2 % となるように 2 ml まで精製水を加えて混合する 固相抽出装置に固相抽出カートリッジ (SDB)( 注 5) を装着し ジクロロメタン 2 ml アセトン 1 ml 2 % アセトン水溶液 2 ml で洗浄した後 ( 注 3) 1 ml/min で試料を通水する 通水終了後 2 % アセトン水溶液 25 ml でメスシリンダーを洗い込みながらカートリッジに通水させ さらに 2 % アセトン水溶液 5 ml 5% メタノール水溶液 6 ml でカートリッジの洗浄を行い 3 rpm で 5 分間水分を遠心分離除去した後 活性炭カートリッジ AC-2 を通じた窒素を 15 分通して水分を完全に除去する ( 注 4) その後 ジクロロメタン 6 ml で目的物質を溶出させる 溶出液は活性炭カートリッジ AC-2 を通した窒素気流下で 1 ml 以下まで濃縮した後 ( 注 4) 測定用内標準液(1 µg/ml) を 5 µl( 添加量 5 ng) 加え ジクロロメタンで 1 ml とする なお 測定時に特に妨害が見られる場合は以下のシリカゲルクリーンアップを行う また 確認操作を行う場合は 確認イオンとして 165 18 のイオンを追加する シリカゲルクリーンアップ 底質前処理における SDB カートリッジからのジクロロメタン溶出液を窒素気流下で 1 ml 以下まで濃縮した後 ヘキサンを 5 ml 加え混合する この溶液を再度 窒素気流下で 1 ml まで濃縮した後 あらかじめヘキサン 1 ml でコンディショニングを行ったシリカゲルカートリッジに負荷 溶出する 続いてヘキサン 1 ml で溶出し 溶出液を窒素気流下で 1 ml まで濃縮した後 測定用内標準液を 5 µl 加え ジクロロメタンで 1 ml とする 空試験液の調製 試料を用いずに 試料の前処理及び試料液の調製 の項に従って操作し 得られた試料液を空試験液 ( 操作ブランク ) とする 標準溶液の調製 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼンは 1 mg を容量 1 ml 全量フラスコにそれぞれ正確に秤り取り アセトン少量に溶解させた後 ヘキサンを加えて全量を 1 ml とし 1 µg/ml 標準原液を調製する 測定用内標準液 ( フェナントレン-d 1 ) は 1 mg を容量 1 ml 全量フラスコに正確に秤り取り ヘキサンを加えて全量を 1 ml とし 1 µg/ml 標準原液を調製する 検量線用標準液 (.2~5 ng/ml 内標準物質濃度:5 ng/ml) はジクロロメタンを用い

て希釈する 測定用内標準液 (1 µg/ml) はアセトンを用いて希釈する 測定 GC/MS 条件 装 置 689 Series Plus (Agilent Technologies 製 ) 5973 (Agilent Technologies 社製 ) カ ラ ム CP-Sil 8CB MS(Chrompack 製 ) 長さ 3 m 内径.25 mm 膜厚.25 µm カラム温度 7 (3 min) - (25 /min) - 18 - (8 /min) - 22 - (4 /min) - 28 (5 min) 注 入 法 スプリットレス法 注 入 量 1 µl 注入口温度 25 トランスファーライン温度 28 流量制御法 定流量モード 1.2 ml/min イオン源温度 23 イオン化法 電子衝撃イオン化法 (EI) イオン化電圧 7 ev 測定モード Selected Ion Monitoring(SIM) 対象物質 :1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル) ベンゼン m/z 195 21(RT 1.1) 内標準物質 : フェナントレン-d 1 m/z 188 189 (RT 11.44) 検量線 検量線用標準溶液 1 µl を GC/MS に注入し 得られた対象物質と内標準物質のピーク面 積比を縦軸に 対象物質と内標準物質の濃度比を横軸にとり検量線 ( 最小二乗法 重み付 けなし ) を作成する 定量 試料溶液 1 µl を GC/MS に注入し 対象物質と内標準物質のピーク面積比を求める ピーク面積比と検量線から試料溶液中の対象物質と内標準物質の濃度比を求め 濃度の算出 に示した式を用いて試料中の濃度を算出する 濃度の算出 水質試料中の濃度 (µg/l) = 内標準添加量 (ng) 検量線から求めた濃度比 試料量 (ml)

本分析法に従った場合 以下の数値を使用する 内標準添加量 :5 ng(1 µg/ml フェナントレン-d 1 :5. µl 添加 ) 試料量 :1 ml 底質試料中の濃度 (µg/kg-dry) = 内標準添加量 (ng) 検量線から求めた濃度比 試料量 (g-dry) 本分析法に従った場合 以下の数値を使用する 内標準添加量 :5 ng(1 µg/ml フェナントレン-d 1 :5. µl 添加 ) 試料量 :1 g-dry 装置検出下限(IDL) 本分析に用いた GC/MS の IDL を以下に示す ( 注 6) 対象物質 1,4-シ メチル-2-(1-フェニルエチル ) ヘ ンセ ン ( 水質 ) 1,4-シ メチル-2-(1-フェニルエチル ) ヘ ンセ ン ( 底質 ) IDL (pg).4 試料量 最終液量 (ml) IDL 試料換算濃度 1 ml 1.4 µg/l 1 g-dry 1.4 µg/kg-dry 測定方法の検出下限(MDL) 定量下限(MQL) 本分析法における検出下限及び定量下限を以下に示す ( 注 7) 対象物質 試料量 最終液量 (ml) 1,4-シ メチル-2-(1-フェニルエチル ) ヘ ンセ ン ( 水 ) 1 ml 1 1,4-シ メチル-2-(1-フェニルエチル ) ヘ ンセ ン ( 底質 ) 1 g-dry 1 検出下限.14 µg/l.12 µg/kg-dry 定量下限.38 µg/l.31 µg/kg-dry ( 注 1) ここで示す製品は実際に使用した商品を掲げたが これらを推奨するわけではなく これらと同等以上の品質 性能のものを用いても問題ない ( 注 2) 器具 ピペット類は予めアセトンで洗浄して用いる ( 注 3) 固相抽出カートリッジより対象物質が溶出するので 十分コンディショニングを行う

( 注 4) 活性炭を通した窒素気流を用いることにより ブランク値が低減する ( 注 5) 試料マトリックスが多く カートリッジの破過が懸念される時には 充填量が多いカートリッジ ( 例 Strata SDB-L 1 g/6 ml) を使用してもよい ただし カートリッジの洗浄条件 溶出条件などを確認する ( 注 6) 装置検出下限 (IDL) は 化学物質環境実態調査実施の手引き ( 平成 18 年 3) に従って 表 1 のとおり算出した 表 1 装置検出下限 (IDL) の算出 対象物質 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼン水質底質 試料量 1 ml 1 g-dry 最終液量 (ml) 1. 1. 注入液濃度 (ng/ml).2.2 装置注入量 (µl) 1. 結果 1.215 結果 2.216 結果 3.223 結果 4 (pg).235 結果 5.233 結果 6.218 結果 7.241 平均値 (pg).2259 標準偏差 (pg).1 IDL (pg).4 IDL 試料換算値.4 µg/l.4 µg/kg-dry S/N (.2 ng/ml) 8 CV (%) 4.5 IDL=t(n-1,.5) σ n-1 2

イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 7B5293.D\data.ms 18 16 14 1,4-Dimethyl-2-(1-phenylethyl)benzene.2 ng/ml (m/z 195) 12 1 8 6 1.95 4 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 7B5293.D\data.ms 18 16 14 1,4-Dimethyl-2-(1-phenylethyl)benzene.2 ng/ml (m/z 21) 12 1 8 6 1.11 4 イオン 188. (187.7 ~ 188.7): 7B5293.D\data.ms 9 8 7 6 5 4 3 2 1 Phenanthrene-d 1 5 ng/ml (m/z 188) 11.443 1.9 11. 11.1 11.2 11.3 11.4 11.5 11.6 11.7 11.8 イオン 189. (188.7 ~ 189.7): 7B5293.D\data.ms 9 8 7 6 Phenanthrene-d 1 5 ng/ml (m/z 189) 5 4 3 2 1 11.444 1.9 11. 11.1 11.2 11.3 11.4 11.5 11.6 11.7 11.8 図 1 標準物質 (IDL) の SIM クロマトグラム

( 注 7) 測定方法の検出下限 (MDL) 及び定量下限 (MQL) は 化学物質環境実態調査実施の手引き ( 平成 17 年 3 月 ) に従って 表 2 のとおり算出した 試料は水質には河川水を 底質には河川の底質 ( 泥状 水分 4.7% 強熱減量 8.7%) を使用した 表 2 測定方法の検出下限 (MDL) 及び定量下限 (MQL) の算出 物質名 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼン水質底質 試料量 1mL 1g-dry 標準添加量 (ng) 無添加 無添加 試料換算濃度 (µg/l) - - 最終液量 (ml) 1. 1. 注入液濃度 (ng/ml) - - 装置注入量 (µl) 1. 1. 操作ブランク平均 (µg/l 又は µg/kg).179.28 結果 1.38.33 結果 2.339.349 結果 3.245.342 結果 4 (µg/l 又は µg/kg).235.32 結果 5.255.281 結果 6.297.365 結果 7.263.294 平均値 (µg/l 又は µg/kg).2774.322 標準偏差 (µg/l 又は µg/kg).38.31 MDL (µg/l 又は µg/kg).14.12 MQL (µg/l 又は µg/kg).38.31 CV (%) 13.8 9.7 MDL=t(n-1,.5) σ n-1 2 MQL=σ n-1 1 操作ブランク平均 : 試料マトリクスのみがない状態で他は同様の操作を行い測定した値の平均値

分析法 フローチャート 分析のフローチャートを図 2 に示す 2 解説 水質 水質試料 1mL アセトン25mL 添加 固相抽出 洗浄 脱水 溶出 濃縮 IS 5ng 添加 SDBカートリッジ 5% メタノール水溶液 6mL シ クロロメタン6mL 窒素カ ス吹付 1mL 遠心分離 フェナントレン-d 1 窒素カ ス吹付 15 分 GC/MS 底質 2 回繰り返し 底質試料 1g-dry 抽出遠心分離固相抽出洗浄 脱水溶出アセトン2mL 3rpm 5 分精製水 16mL 添加 2% アセトン水溶液 3mL シ クロロメタン6mL 振とう 超音波各 1 分 SDBカートリッジ 5% メタノール水溶液 6mL 図 2 分析のフローチャート 濃縮 IS 5ng 添加窒素カ ス吹付 1mL フェナントレン -d 1 GC/MS 検量線及びマススペクトル 検量線及びマススペクトル図等を次に示す.7 面積比 ( 対象物質 / 内標準物質 ).6.5.4.3 y =.6498 x -.25.2 R 2 =.9995.1...2.4.6.8 1. 1.2 濃度比 ( 対象物質 / 内標準物質 ) 図 3 検量線 図 3 検量線 ( 対象物質濃度範囲.2~5 ng/ml 内標準物質 5 ng/ml)

Abundance 55 5 45 4 35 Scan2225(16.559min): 7B3131.D 195 m/z-> 3 25 2 15 1 5 21 165 18 28 89 77 13 115 128 152 18 39 51 65 141 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2 21 図 4 1,4- ジメチル -2-(1- フェニルエチル ) ベンゼンの MS スペクトル 35 8.822 ~ 8.835 min の平均 : 7B1164.D\data.ms (-) 188 3 25 2 15 1 m/z--> 5 8 94 16 55 66 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 18 19 図 5 フェナントレン -d 1 の MS スペクトル

添加回収実験結果 環境試料への標準物質添加回収実験結果を表 3 に示す 試料は水質には河川水を 底質には河川の底質 ( 泥状 水分 4.7% 強熱減量 8.7%) を使用した 表 3 添加回収実験結果 1,4- ジメチル -2-(1- フェニルエチル ) ベンゼン 物質名 水質 ( 河川水 ) 底質 試料量 1mL 1g-dry 標準添加量 (ng) 5. 5. 試料換算濃度 (µg/l 又は µg/kg).5.5 最終液量 (ml) 1. 1. 注入液濃度 (ng/ml) 5. 5. 装置注入量 (µl) 1. 1. 操作ブランク平均 (µg/l 又は µg/kg).263.215 無添加平均 (µg/l 又は µg/kg).375.242 結果 1.478.461 結果 2.481.449 結果 3.58.449 (µg/l 又は µg/kg) 結果 4.465.436 結果 5.482.436 結果 6.488.44 平均値 (µg/l 又は µg/kg).4837.4452 標準偏差 (µg/l 又は µg/kg).14.1 CV (%) 2.9 2.2 回収率 (%) 87.1 88.5 操作ブランク平均 : 試料マトリクスのみがない状態で他は同様の操作を行い測定した値の平均値 無添加平均 : MDL 算出用試料に標準を添加していない状態で含まれる濃度の平均値

分析の検討事項 1. 固相抽出カートリッジと溶出溶媒の検討アセトンと精製水でコンディショニングした 5 種類のカートリッジ (Strata SDB-L: Phenomenex 社製 MEGA BE-C18:VARIAN 社製 InertSep RP-1:GL Sciences 社製 ENVIRELUT-PAH:VARIAN 社製 Aqusis PLS-3:GL Sciences 社製 ) に精製水を 6 ml 入れ 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼン 1 ng を添加 通水させ 精製水 12 ml を流した後 遠心分離と活性炭を通した窒素で各カートリッジを乾燥させ 各溶媒 6 ml で溶出した 溶出液を 5 ml に濃縮後 測定用内部標準 25 ng を添加し 1,4-ジメチル-2-(1- フェニルエチル ) ベンゼンの回収率を求めた 結果 いずれのカートリッジもジクロロメタン溶出で比較的高い回収率が得られたが 7% 弱にとどまった SDB カートリッジでは他のカートリッジに比べて メタノールでの溶出が少ないという特徴が見られた Aqusis PLS-3 カートリッジも各溶媒で比較的高い回収率が得られたが コンディショニング後でも多量の目的物質と重なるピークが確認されたため 採用しなかった また 追加試験として同様の操作を行い SDB カートリッジをアセトン / ヘキサン (1/1)6 ml で溶出させたが ジクロロメタン溶出の方が高い回収率を示した これらの結果より SDB カートリッジ ジクロロメタン溶出で回収率を上げる検討を行った 回収率 (%) (%) 8 7 6 5 4 3 67 66 66 61 53 54 49 43 29 61 32 SDB C18 RP-1 PAH 2 16 1 シ クロロメタンアセトンメタノール 図 6 固相抽出カートリッジと溶出溶媒による回収率

8 7 67 64 SDB 6 回収率 (%) (%) 5 4 3 2 1 シ クロロメタン アセトン / ヘキサン 図 7 SDB カートリッジでの溶出溶媒の比較 2. 器具への吸着の確認 SDB カートリッジで高濃度 (3 ng) の添加回収試験を行い 固相抽出操作において使用した後の器具をアセトンで洗浄し 器具への吸着の有無を確認した 低い回収率を説明する大きな吸着は確認されなかった 8 7 6 67.7 添加回収試料 操作ブランク 回収率 (%) (%) 5 4 3 2 1 図 8 定容後回収率.1.7..1. 通水チューフ メスシリンタ ー 固相抽出操作による器具への吸着の有無

3. カートリッジ破過の確認精製水 1 ml に 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼン 3 ng を添加し SDB カートリッジを 2 段付け 回収試験を行い カートリッジの破過を確認した 破過はみられなかった 8 7 64.4 6 回収率 (%) (%) 5 4 3 2 1 SDB 上段.1 SDB 下段 図 9 SDB カートリッジ破過の確認 4. 通水条件 ( 溶媒濃度 ) の検討精製水にメタノールとアセトンを加え それぞれ種々の濃度で調製した溶液に 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼン 3 ng を添加し コンディショニングした SDB カートリッジに通水させ 乾燥後ジクロロメタンで溶出し 回収率の変化を調べた 結果 2% アセトン水溶液と 6% メタノール水溶液で最も高い回収率を示した 使用する溶剤量を考慮し 2% アセトン水溶液で通水することとした 1 8 アセトン メタノール 回収率 (%) (%) 6 4 2 1 2 3 4 5 6 7 精製水中の溶媒濃度 (%) 図 1 通水させる溶媒濃度による回収率の変化

5. カートリッジのコンディショニング条件の検討使用する SDB カートリッジのコンディショニングの条件を検討するために SDB カートリッジにジクロロメタンで 6 ml ずつ溶出させ 活性炭をつけた窒素気流下で 1 ml に濃縮後 分析を行いブランクを調べた 結果 第 2 フラクションまで 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼンが IDL 以上検出されたので 安全を見てコンディショニングはジクロロメタン 2 ml とした 4. 3.43 検出濃度 (ng/ml) 3. 2. 1.. シ クロロメタン 1F 6mL.51.28.1 シ クロロメタン 2F 6mL シ クロロメタン 3F 6mL シ クロロメタン 4F 6mL IDL.4 図 11 SDB カートリッジのブランクの確認 6. カートリッジの洗浄条件の検討カートリッジの洗浄条件を確認するために コンディショニングした SDB カートリッジに精製水を入れ 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼン 1 ng を添加 通水させ メタノール濃度を変えた洗浄液でカートリッジを 6 ml ずつ洗浄し 流出した洗浄液をヘキサン 5 ml で抽出 測定用内部標準を 5 ng 添加し 対象物質の溶出の有無を調べた 1% メタノール液では若干のピークが認められたため 洗浄条件は安全をみて 5% メタノール水溶液 6 ml とした 溶出率 (%) (%) 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 洗浄液のメタノール濃度 (%) 14DMPEB 図 12 メタノール濃度の変化による対象物質溶出の有無

7. 窒素気流によるブランク値の改善当初 操作ブランクより対象物質のピークが認められた 窒素気流によるカートリッジの乾燥操作において AC-2 カートリッジを通した窒素と通していない窒素で操作ブランクを比較ところ AC-2 カートリッジを通した窒素でブランクの低減が見られた 1..75 濃度 (ng/ml).5.15. AC-2あり AC-2なし図 13 AC-2 カートリッジによるブランク値の変化 8. 窒素気流下での濃縮操作による損失の確認窒素気流下での濃縮操作によるロスを確認するために ジクロロメタンに 1,4-ジメチル -2-(1-フェニルエチル) ベンゼン 5 ng を添加し 窒素気流下で 1 ml まで濃縮 測定用内部標準を 5 ng 添加し 回収率を求めた 窒素気流下での損失は見られなかった 表 4 窒素気流下の濃縮操作における回収率 対象物質 回収率 (%) 1,4-シ メチル-2-(1-フェニルエチル ) ヘ ンセ ン 1 9. シリカゲルクリーンアップの検討 SDB カートリッジからジクロロメタンで溶出し 1 ml まで濃縮した液をシリカゲルクリーンアップすることを想定し 検討を行った ジクロロメタン 1 ml とヘキサン 4.5 ml 1 ng/ml の 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼンヘキサン溶液.5 ml を混合した これを窒素気流下で 1 ml まで濃縮し 5% アセトン含有ヘキサン 1 ml で洗浄しヘキサン 1 ml でコンディショニングしたシリカゲルカートリッジ (Waters 社製 Sep-Pak Plus Silica Cartridge) に負荷した 溶離液はヘキサンとし 負荷 ~ 初回ヘキサン 3 ml の溶出液を F1 その後ヘキサン 3 ml で 3 回溶出し順に F2 F3 F4 とした これらをそれぞれ窒素気流下で 1 ml まで濃縮し GC/MS で測定した

なお 濃縮操作における損失は見られなかった ( 回収率 1~12%) シリカゲルカートリッジからの溶出パターンは図 14 に示すとおりであり ヘキサン 6 ml で 89~91% 回収できた 1 回収率 (%) % 8 6 4 2 n1 n2 n3 F1 F2 F3 F4 図 14 シリカゲルカートリッジからの溶出パターン 次に 東京湾の底質を用いてクリーンアップの効果を検証した 底質の分析法に従ってアセトン抽出 SDB カートリッジを用いた固相抽出を行い 得られた溶出液を窒素気流下で 1 ml まで濃縮した これにヘキサン 5 ml を加え混合し 窒素気流下で 1 ml まで濃縮した この液を 5% アセトン含有ヘキサン 1 ml で洗浄しヘキサン 1 ml でコンディショニングしたシリカゲルカートリッジ (Waters 社製 Sep-Pak Plus Silica Cartridge) に負荷し ヘキサン 1 ml で溶出した 得られた溶出液を窒素気流下で 1 ml まで濃縮し GC/MS で測定した その結果 溶出液はほぼ無色となったものの 本試料についてはクロマトグラムにおいて当該物質の保持時間近傍のピーク形状に差がほとんど見られず シリカゲルではクリーンアップ効果は得られなかった 分解性スクリーニング試験結果 分解性スクリーニング試験結果を表に示す 表 5. 分解性スクリーニング試験結果 ph 初期濃度 1 時間後の残存率 5 日後の残存率 (µg/l) (%) 暗所 (%) 明所 (%) 5 1 89 88-7 1 92 92 88 9 1 95 9 -

クロマトグラム イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 7B52817.D\data.ms 18 16 14 12 1 8 1.99 6 4 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 7B52817.D\data.ms 18 16 14 12 1 8 6 1.14 4 図 15 操作ブランク ( 水質 ) のクロマトグラム イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 7B52811.D\data.ms 18 16 14 12 1.98 1 8 6 4 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 7B52811.D\data.ms 18 16 14 12 1 8 1.98 6 4 図 16 河川水無添加 (MDL) のクロマトグラム

イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 7B5318.D\data.ms 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1.97 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 7B5318.D\data.ms 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1.98 図 17 河川水添加 (5 ng) のクロマトグラム イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 7B52116.D\data.ms 18 16 14 12 1 1.96 8 6 4 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 7B52116.D\data.ms 18 16 14 12 1 8 1.97 6 4 図 18 操作ブランク ( 底質 ) のクロマトグラム

イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 7B52112.D\data.ms 18 16 14 1.97 12 1 8 6 4 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 7B52112.D\data.ms 18 16 14 12 1 8 1.97 6 4 図 19 底質無添加 (MDL, 添加回収用 ) のクロマトグラム イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 7B5257.D\data.ms 14 13 12 11 1.98 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 7B5257.D\data.ms 14 13 12 11 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1.99 図 2 底質添加 ( 添加回収 5 ng) のクロマトグラム

28 26 24 22 2 18 16 14 12 1 8 6 4 2 イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 8D2267.D\data.ms 1.154 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 8D2267.D\data.ms 28 26 24 22 2 18 16 14 12 1 8 6 4 2 1.155 図 21 底質 ( 東京湾 ) のクロマトグラム クリーンアップ無 28 26 24 22 2 18 16 14 12 1 8 6 4 2 イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 8D2265.D\data.ms 1.153 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 8D2265.D\data.ms 28 26 24 22 2 18 16 14 12 1 8 6 4 2 1.154 図 22 底質 ( 東京湾 ) のクロマトグラム クリーンアップ有

イオン 195. (194.7 ~ 195.7): 8D2266.D\data.ms 28 26 24 22 2 1.153 18 16 14 12 1 8 6 4 2 イオン 21. (29.7 ~ 21.7): 8D2266.D\data.ms 28 26 24 22 2 18 16 14 12 1 8 6 4 2 1.154 図 23 底質 ( 東京湾 ) のクロマトグラム クリーンアップ有 添加 1ng 評価 本法により 水中に.1 µg/l 底質中に.1 µg/kg-dry レベルで存在する 1,4-ジメチル-2-(1-フェニルエチル ) ベンゼンの定量が可能である 担当者氏名 連絡先 担当財団法人化学物質評価研究機構住所 345-43 埼玉県北葛飾郡杉戸町下高野 16 番地 TEL:48-37-261 FAX:48-37-2521 担当者柴田和江 岡田洋人 川勝健伸 田嶋晴彦

1,4-Dimethyl-2-(1-phenylethyl)benzene This method provides procedures for the determination of 1,4-dimethyl-2-(1-phenylethyl) benzene in water and sediment by gas chromatography/mass spectrometry with selected-ion monitoring (GC/MS-SIM). Water sample Twenty five milliliters of acetone is added to 1 ml of water sample, and the water sample is passed through a preconditioned SDB solid phase extraction cartridge. The cartridge is washed with 6 ml of 5% methanol/water solution, and dehydrated by centrifugation at 3 rpm for 5 min and nitrogen stream for 15 min. 1,4-dimethyl-2-(1-phenylethyl)benzene is eluted with 6 ml of dichloromethane. The eluate is concentrated to 1 ml and spiked with phenanthrene-d 1 (5 ng) as the internal standard. The analyte is determined by GC/MS-SIM (m/z 195, 21). The instrument detection limit (IDL) and the method detection limit (MDL) are.4 microg/l and.14 microg/l, respectively. The recovery from 5 ng 1,4-dimethyl-2-(1-phenylethyl) benzene added water is 87.1% and the relative standard deviation (RSD) is 2.9%. Sediment sample Ten grams of sediment sample is extracted with 2 ml of acetone by shaking for 1 min, ultrasonication for 1 min and centrifugation at 3 rpm for 5 min. The extract is collected and this extraction procedure is repeated once. Then 16 ml of pure water is added into the extract. The solution is passed through a preconditioned SDB solid phase extraction cartridge. The cartridge is washed with 3 ml of 2% acetone/water solution and then 6 ml of 5% methanol/water solution. Washed cartridge is dehydrated by centrifugation at 3 rpm for 5 min and nitrogen stream for 15 min. 1,4-dimethyl-2-(1-phenylethyl)benzene is eluted with 6 ml of dichloromethane. The eluate is concentrated to 1 ml, spiked with Phenanthrene-d 1 (5 ng) as the internal standard, and determined by GC/MS-SIM (m/z 195, 21). The instrument detection limit (IDL) and the method detection limit (MDL) are.4 microg/kg-dry and.12 microg/kg-dry, respectively. The recovery from 5 ng 1,4-dimethyl-2-(1-phenylethyl) benzene added sediment is 88.5% and the relative standard deviation (RSD) is 2.2%.

Water sample Water sample 1 ml acetone 25 ml Solid phase extraction dehydration & clean up Elution SDB 5% methanol solution 6 ml Dichloromethane 6 ml Centrifugation Nitrogen purge 15 min Concentration to 1 ml Phenanthrene-d 1 5 ng GC/MS-SIM Sediment sample Sediment sample 1 g-dry Repeated once Extraction Centrifugation pure water added Acetone 2 ml 3 rpm for 5 min 16 ml Shake (1 min) Ultrasonication (1 min) Solid phase extraction dehydration & clean up Elution SDB 2% acetone solution 3 ml Dichloromethane 6 ml 5% methanol solution 6 ml Concentration to 1 ml Phenanthrene-d 1 5 ng GC/MS-SIM

物質名分析法フローチャート備考 1,4- ジメチル -2-(1- フェニルエチル ) ベンゼン 水質 水質試料 1mL アセトン 25mL 添加 固相抽出 洗浄 脱水 SDB 5% メタノール水溶液 6mL 遠心分離窒素カ ス吹付 15 分 GC/MS-SIM カラム CP-Sil 8CB MS (Chrompack 製 ) (3 m.25 mm.25 µm) 底質 溶出 濃縮 IS 5ng 添加 シ クロロメタン6mL 窒素カ ス吹付 1mL フェナントレン-d1 2 回繰り返し GC/MS 検出下限 (MDL).14 µg/l( 水質 ).12 µg/kg( 底質 ) 底質試料 1g-dry 抽出 遠心分離 アセトン2mL 3rpm 5 分振とう 超音波各 1 分 固相抽出 洗浄 脱水 溶出 精製水 16mL 添加 SDB 2% アセトン水溶液 3mL シ クロロメタン6mL 5% メタノール水溶液 6mL 濃縮 IS 5ng 添加窒素カ ス吹付 1mL フェナントレン -d 1 GC/MS