本学食物栄養学科製菓専攻では, これまでに幼児や小学生を対象としたお菓子教室を過去に多く開催してきた. しかし, 他の年代においては, 対外的事業を開催したことはなかった. 今後は, 様々なライフステージ別対象者のニーズに合った効果的なお菓子教室や健康講座を企画していきたいと考えている. それには,

Similar documents
従って, 親の菓子に関する意識は子どもに大きな影響を与えると考えられる. そこで本研究は, 親自身は菓子に対してどのように考えているのか, また, 親はどのような意識で子どもの菓子選びをしているのかを明らかにすることを目的とした. 子どもと親の間食に関する意識調査はされているが 4)5), 子と母親

P013-2‘Í

2214kcal 410g 9.7g 1 Point Advice

11号02/百々瀬.indd

従 って, 親 の 菓 子 に 関 する 意 識 は 子 どもに 大 きな 影 響 を 与 えると 考 えられる.そこで 本 研 究 は, 親 自 身 は 菓 子 に 対 してどのように 考 えているのか,また, 親 はどのよう な 意 識 で 子 どもの 菓 子 選 びをしているのかを 明 らかに

私の食生活アセスメント

hyoushi

2 夜食 毎日夜食をとっている者は では 22.5%( 平成 23 年 23.9%) であり で % と割合が高い では 18.3%( 平成 23 年 25.2%) であり 40 歳代で割合が高い 図 夜食の喫食状況 (15 歳以上 性別 年齢階級別 )


2008/3/4 調査票タイトル : ( 親に聞く ) 子どものダイエットについてのアンケート 調査手法 : インターネットリサーチ ( ネットマイル会員による回答 ) 調査票種別 : Easyリサーチ 実施期間 : 2008/2/22 14:28 ~ 2008/2/22 21:41 回答モニタ数

ウ食事で摂る食材の種類別頻度野菜 きのこ 海藻 牛乳 乳製品 果物を摂る回数が大きく異なる 例えば 野菜を一週間に 14 回以上 (1 日に2 回以上 ) 摂る人の割合が 20 代で 32% 30 代で 31% 40 代で 38% であるのに対して 65 歳以上 75 歳未満では 60% 75 歳以

青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 目 次 1. 目的 1 2. 携帯食事手帳システムの概要 1 (1) システムの基礎データ 1 (2) 利用方法 1 (3) 確認できる情報 1 3. 携帯食事手帳利用の手引き 2 (1) 携帯食事手帳 (QRコード) 3 (2) 料理選択の仕方 4 (

The attitude survey on food labelings between the generations OHMORI Reiko

日常的な食事に関する調査アンケート回答集計結果 ( 学生 ) 回収率 平成 30 年 12 月 1 日現在 134 人 問 1 性別 1 2 男性女性合計 % 97.0% 100.0% 3.0% 男性 女性 97.0% 問 4 居住状況 家族と同居一人暮らし

...Q.....\1_4.ai

高校生の心と体~報告書.indd

表 6.1 横浜市民の横浜ベイスターズに対する関心 (2011 年 ) % 特に何もしていない スポーツニュースで見る テレビで観戦する 新聞で結果を確認する 野球場に観戦に行く インターネットで結果を確認する 4.

IPSJ SIG Technical Report Vol.2014-CE-123 No /2/8 Bebras 1,a) Bebras,,, Evaluation and Possibility of the Questions for Bebras Contest Abs


<4D F736F F D2091E63489F A904D97708DFB8E718DC58F49205F315F2E646F63>

小学生のカルシウム摂取量に寄与する食品の検討 小学生のカルシウム摂取量に寄与する食品の検討 小川瑞己 1 佐藤文佳 1 村山伸子 1 * 目的 小学生のカルシウム摂取の実態を把握し 平日と休日のカルシウム摂取量に寄与する食品を検討する 方法 2013 年に新潟県内 3 小学校の小学 5 年生全数 3

特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 報告書46~63ページ

H22-syokuiku.xls

Microsoft Word - ☆5章1栄養.doc

[ 原著論文 ] メタボリックシンドローム該当者の年齢別要因比較 5 年間の健康診断結果より A cross primary factors comparative study of metabolic syndrome among the age. from health checkup resu

Kyushu Communication Studies 第2号

結果の概要

Vol.No. 2. 方法 ( 1 ) 調査対象と時期 A B ( 2 ) 調査内容 1 ) 食事の摂取状況 2 ) 食品群別摂取頻度 3 ) 生活習慣状況 4 ) 健康意識 ( 3 ) 解析 Dplus 3. 結果と考察 ( 1 ) 性別と全調査項目 p p p ( 2 ) 食事の摂取状況 p

07-内田 fm

untitled

L1 What Can You Blood Type Tell Us? Part 1 Can you guess/ my blood type? Well,/ you re very serious person/ so/ I think/ your blood type is A. Wow!/ G

2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

<4D F736F F D C835894AD955C8E9197BF EE CC B83678E9E8E96816A8F4390B38CE32E646F63>


4 身体活動量カロリズム内に記憶されているデータを表計算ソフトに入力し, 身体活動量の分析を行った 身体活動量の測定結果から, 連続した 7 日間の平均, 学校に通っている平日平均, 学校が休みである土日平均について, 総エネルギー消費量, 活動エネルギー量, 歩数, エクササイズ量から分析を行った

....

実践女子短期大学紀要第 34 号 (2013) Ⅰ 緒言 BMI. BMI. Ⅱ 調査の方法 P.

<91E631388D D8689A191672E6D6364>

2 お好み焼は約半数が 家庭で作る派 お店派 は約 4 割 1 年以内に食べたことのあるお好み焼 についての問い ( 複数選択 ) において 家庭で作る関西お好み焼 を選んだ人が約半数の 55.5% 次いで多かったのが お好み焼店などの外食店で食べるお好み焼( 持ち帰り含む ) ( 以下 お店 )

スライド 1



man2

アンケート調査 報道関係者各位 平成 23 年 11 日 16 日 住信 SBI ネット銀行株式会社 ~ ダイエットに関するする意識調査 ~ ダイエットをしている人 % 体重体重が気になりだしたになりだした年齢年齢 男女平均 38 歳 住信 SBI ネット銀行株式会社 (URL:http

Microsoft Word - 00_1. 調査の概要0819

1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て


初めて親となった年齢別に見た 就労状況 ( 問 33 問 8) 図 97. 初めて親となった年齢別に見た 就労状況 10 代で出産する人では 正規群 の割合が低く 非正規群 無業 の割合が高く それぞれ 22.7% 5.7% であった 初めて親となった年齢別に見た 体や気持ちで気になること ( 問

10.Z I.v PDF.p

平成 29 年度食育活動の全国展開委託事業報告書 ( 食生活と農林漁業体験に関する調査 ) 平成 30 年 2 月

PowerPoint プレゼンテーション

第 3 部食生活の状況 1 食塩食塩摂取量については 成人男性では平均 11.6g 成人女性では平均 10.1gとなっており 全国と比較すると大きな差は見られない状況にあります 図 15 食塩摂取量 ( 成人 1 日当たり ) g 男性

スライド 1

:. SPSS

高校生の心と体~報告書.indd

スライド 1


女子高校生の生活習慣や健康に対する意識調査と発育状況 10 年前との比較検討 cm 160 a) 身長当校 全国平均 cm +1.5cm kg 54 b) 体重 当校 全国平均 kg -1.3kg 51

52-2.indb

奈良ウォーキングベスト1

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

②肥満 やせの状況 3 歳児における肥満児の割合は減少していました 成人男性の肥満は横ばいで 代女性の肥満は増加傾向がみられました 一方 20 代女性のやせは倍増しており 肥満だけでなく 子どもを産み育てる世代への支援が必要となります 20代 60代の肥満 BMI 25以上 の割合 肥満

項目 表 1 被験者背景 全体男性女性 人数 ( 人 ) 年齢 ( 歳 ) 40.0 ± ± ± 12.2 平均値 ± 標準偏差

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

Core Ethics Vol. QOL N N N N N N N K N N

WASEDA RILAS JOURNAL

食育に関する意識調査の結果について ( 速報 ) 基本目標 1 毎日きちんと朝ごはんを食べます 規則正しい生活を心がけ, 毎日朝ごはんをしっかり食べて充実した 1 日を過ごす 1 朝ごはんを毎日食べる人の割合 (1) 一般問 6 朝食を食べていますか ( は1つだけ) 0% 10% 20% 30%



教育実践上の諸問題

untitled

平成29年度英語力調査結果(中学3年生)の概要

私の場合 上記表より男性 年齢 51 歳の所を確認しました 活動量低い 普通以上を選択します 活動量は低いにあてはまります ( 座り仕事が中心 歩行 軽いスポーツ等は 5 時間未満 ) 表よりエネルギーは 2200±200 キロカロリーになり 1 日にとる 5 種類の分類のうち摂取量 ( つ (SV

2

平成 26 年度生徒アンケート 浦和北高校へ入学してよかったと感じている 1: 当てはまる 2: だいたい当てはまる 3: あまり当てはまらない 4: 当てはまらない 5: 分からない 私の進路や興味に応じた科目を選択でき

<4D F736F F D2094AD92428CA48B CB B4C92C789C1816A462E646F63>

お子さんの成長にあわせ お母さんの食生活を見直してみませんか? お子さんの成長にあわせて あなたの食生活をかえるチャンスがあります 3 か月 か月 か月

56

DOUSHISYA-sports_R12339(高解像度).pdf

第 5 章管理職における男女部下育成の違い - 管理職へのアンケート調査及び若手男女社員へのアンケート調査より - 管理職へのインタビュー調査 ( 第 4 章 ) では 管理職は 仕事 目標の与え方について基本は男女同じだとしながらも 仕事に関わる外的環境 ( 深夜残業 業界特性 結婚 出産 ) 若

( ウ ) 年齢別 年齢が高くなるほど 十分に反映されている まあまあ反映されている の割合が高くなる傾向があり 2 0 歳代 では 十分に反映されている まあまあ反映されている の合計が17.3% ですが 70 歳以上 では40.6% となっています

血糖値 60 歳女性 HbA1c : 6.5 従来のカロリー制限食 糖質制限食 糖質 ( 米など ) を制限しない食事では カロリーを制限しても血糖値は食後に急上昇するそれに対し 糖質制限食では血糖値上昇はわずか

16_.....E...._.I.v2006

★保健医療科学_第67巻第2号.indb

qx

<8E9197BF31817C32208E6292E892BC8BDF8EC090D1926C2E786C73>

Microsoft Word - 【付録4】アンケート②結果.docx

...

求人サイト利用についての自主調査 雇用形態や制度の変化が急激に進む中 求人産業が大きく成長し 求人サイトの利用が高まっています 正社員 派遣 アルバイトといった雇用形態によって 求人サイトの利用状況や サイトに期待される機能は異なっているのでしょうか また 求職者はモバイルサイトと PC サイトをど

Ⅰ. 緒言 Suzuki, et al., Ⅱ. 研究方法 1. 対象および方法 1 6 表 1 1, 調査票の内容 図

FA

<82E682B15F8FBC88E48D828BB42E696E6464>

126 学習院大学人文科学論集 ⅩⅩⅡ(2013) 1 2

第 4 章 地域における食育の推進 1 栄養バランスに優れた 日本型食生活 の実践 ごはんを中心に 魚 肉 牛乳 乳製品 野菜 海藻 豆類 果物 茶など多様な副食などを組み合わせて食べる 日本型食生活 は 健康的で栄養バランスにも優れている 農林水産省では 日本型食生活 の実践等を促進するため 消費

™…

高齢期における幸福感規定要因の男女差について―JGSS-2000/2001統合データに基づく検討―

..,,...,..,...,,.,....,,,.,.,,.,.,,,.,.,.,.,,.,,,.,,,,.,,, Becker., Becker,,,,,, Becker,.,,,,.,,.,.,,

牛乳および乳製品摂取量

\615L\625\761\621\745\615\750\617\743\623\6075\614\616\615\606.PS

国際社会文化研究所紀要 14号☆/目次

Transcription:

名古屋文理大学紀要第 15 号 (2014) とを対象とした菓子に関する意識調査 The Research on Consciousness of Sweets by Elderly Females and High School Girls 大西梨沙, 内田あや, 加藤恵子 Risa ONISHI,Aya UCHIDA,Keiko KATO との菓子に対する意識についてライフステージ別の特徴を明らかにすることを目的とした. (65 歳以上 ) の女性 28 名と, 女子 75 名を対象に, 菓子について質問紙法調査を行った. その結果, 菓子を食べる頻度では, ほぼ毎日食べる が (46.8%), (48.0%) と多かった. 好きな菓子については, は, 米菓 や まんじゅう を好む者が多かった. は チョコレート や スナック菓子 を好む者が多かった. 世代間で好きな菓子に違いがみられた. 菓子について日頃気にしていることでは, 両世代とも おいしさ が多かった. 他に, では 糖分, 脂肪分, 塩分, では 値段, カロリー を挙げていた. 菓子を食べることは体や心にとって大切と思うかでは, 思う が多く, その理由は, 両世代とも ストレス解消 気分転換 コミュニケーション だった. 世代間で好まれる菓子は異なっていても, 菓子には おいしさ を求め, 菓子を食べることは体や心にとって大切ととらえていた. 菓子は両世代において 気持ち の面で QOL の向上に寄与していることが推察された. We conducted a questionnaire on consciousness of sweets to elderly females and high school girls. As a result, as for the frequency of eating sweets, 46.8 % of the elderly and 48 % of the girls eat sweets almost every day, that each percentage is high. In Addition, as for their favorite sweets, the elderly like rice snacks and manju. On the other hand, the girls like chocolates and many kinds of snacks. There is a difference between the generations on their favorites. The elderly and the girls are concerned about deliciousness and the elderly are also concerned about sugar, fat, and salt, and the girls prices and calories.the elderly and the girls think having sweets is important for their mental and physical health because they can burn out their stress, refresh their feelings, and have communication. Although they have different favorites, they ask for good tastes of sweets and consider eating sweets is necessary for their body and mind. It is suggested that sweets lead to improve QOL of both generations in terms of their feelings. キーワード : 菓子, 女性, 女子 sweets,elderly Female, High School Girl はじめに 厚生労働省 農林水産省が策定した食事バランスガイド 1) において菓子 嗜好飲料は 楽しく適度に というメッセージとともに食生活にアクセントを加える役割として コマのヒモ として表されており, 食生活の中の楽しみととらえられ, 食事全体の中で適度にとる必要があるとみなされている. また, 特に健康な人の実際の食生活では, 菓子 嗜好飲料をできるだけ控え, 主食 主菜 副菜, 牛乳 乳製品, 果物だけで1 日の食事を構成することは現実的ではないことから, 菓子 嗜好飲料の 1 日の適量については 200kcal までが一つの目安として位置づけられている. 赤松 2) は中学生を対象とした間食選択に関する食態度の検討において, 菓子の選択の動機 については, 嗜好や便利性に関わるものや, 流行 販売促進, 健康やダイエットに関わるものなどがあることを指摘している. では, 年齢とともに食が細くなることが危惧されるが,1 日の栄養を3 食で賄うことができない場合, 間食時に菓子を取ることは有効な手段になってくると考えられる. また, においては, 小学生や中学生に比べて行動範囲も広くなり食物を自ら選択する機会が多くなる時期と考えられる. 国民栄養調査結果 3) によると, やせ願望による過度の減量行動や, 嗜好や簡便さを優先させるあまり望ましくない食生活 ( 菓子の摂取 ) をする人々がいることも指摘されている. -63-

本学食物栄養学科製菓専攻では, これまでに幼児や小学生を対象としたお菓子教室を過去に多く開催してきた. しかし, 他の年代においては, 対外的事業を開催したことはなかった. 今後は, 様々なライフステージ別対象者のニーズに合った効果的なお菓子教室や健康講座を企画していきたいと考えている. それには, ライフステージ別の 菓子 に対する意識を把握することは, 極めて有効な基礎資料となってくるであろう. ライフステージの異なる対象者の 菓子 に対する意識の実態を明らかにし, 様々なライフステージの対象者のニーズに合った効果的なお菓子教室や健康講座を今後企画していくための基礎資料にしたいと考えた. そこで本研究は, 本学主催の健康講座に参加したと, 名古屋市内の高校に通うに着目し, 菓子に対する意識の違いについて明らかにすることを目的に調査を行った. 方法 1. 調査対象者と調査時期調査対象者は本学主催の 健康講座 受講生の女性 28 名 ( 平均年齢 73.4±4.0 歳 ) と名古屋市内のS 高校に通う女子高生 75 名 ( 平均年齢 16.9±0.6 歳 ) である. 調査時期は 2013 年 9 月 ~10 月の期間に行った. 本研究は名古屋文理大学短期大学部倫理委員会の承認を得て実施された. 2. 調査方法と内容菓子についての自記式質問紙 ( 留め置き法 ) を用いて調査を行い, 集計を行った. 意識調査の内容については, 1. 菓子をどのくらいの頻度で食べるか,2. 好きな菓子は何か,3. 菓子について日頃気にしていることは何か,4. 菓子 を食べる理由について,5. 菓子を食べることは体や心にとって大切かどうか,6. 年齢 性別 身長 体重の 6 項目であった. 3. 統計処理統計解析は SPSS21.0 を用いて χ 2 検定を実施した. 統計的有意水準は危険率 5% 未満とした. 結果と考察 1. 菓子を食べる頻度について菓子を食べる頻度について ほぼ毎日食べる, 週に 4 ~5 回, 週に 1~3 回, ほとんど食べない の 4 つの選択肢から一つの回答を求めた. その結果を図 1 に示した., ともに ほぼ毎日食べる と回答した者がそれぞれ 46.4%,48.0% と多かった. 次に多い回答として, は 週に 1~3 回 (28.6%), は 週に 4~5 回 (25.3%) であった. ほとんど食べない と回答した者はそれぞれ %,2.7% と低かった. このことから, とのほとんどが週に 1 回以上菓子を食べるということがわかった. 2. 好きな菓子について好きな菓子を 3 つ自由記述で連記させ, 全国菓子工業組合連合会 4) のお菓子の分類表を基に, それぞれ分類分けをし, 集計を行った. その結果を表 1 に示した. は 米菓 や 和菓子 まんじゅう を好む者がそれぞれ 57.1%,53.6% と半数以上の回答が得られた. その中での具体的な回答として, せんべい, まんじゅう と回答した者が多かった. 和菓子には, 羊羹 わらび餅 と回答した者なども含まれている. その他はケーキ (28.6%), クッキー (25.0%), チョコレート (25.0%) であった. -64-

とを対象とした菓子に関する意識調査 それに対し, は米菓 (9.3%) や和菓子 まんじゅう (8.0%) を好む者が少なく, チョコレートを好む者が 68.0% と圧倒的に多かった. チョコレート と回答した者の中には, 市販のチョコレート菓子の商品名を回答した者も含まれている. 次に, ケーキ (33.3%), クッキー (33.3%) と続く結果であった. 江間ら 5) の女子学生を対象とした甘味嗜好とその摂取頻度の研究でも チョコレート, ケーキ, クッキー のこれら 3 種類は好まれる菓子の上位に入っており, 同じ結果となった. また, スナック菓子についてと比較すると, が 3.6% と低かったのに対し, では 28.0% と高い結果となった. 以上の結果から, 世代間で好まれる菓子は異なっていることが明らかとなった. 3. 菓子について日頃気にしていることについて宅見ら 6) の調査項目を基に, おいしさ, 食感( かたさや歯への付着 ), カロリー, 糖分, 塩分, 脂肪分, 値段, 1 袋の量, 目新しさ, なじみ深いこと, その他( 自由記述 ) の 11 項目から複数回答を求 めた. その結果を図 2 に示した., ともに おいしさ と回答する者がそれぞれ 64.3%,88.0% と多く, 特にはよりも気にしていた (p<0.01). 宅見ら 6) の研究結果からも, は おいしさ に対する関心が最も高い結果となっている. 次いでの回答が多い順から 糖分 (57.1%), 脂肪分 (46.4%), 塩分 (42.9%) を気にしており, この結果から体のことを気にしていることがうかがえた. それに対し, は行動範囲も広くなり食物を自ら選択する機会が多くなる時期になるためか, 菓子を購入する際の 値段 (61.3%), カロリー (54.7%), 1 袋の量 (29.3%) を気にする者が多いことがうかがえた. また, やせ願望によるものからか, カロリー と回答する者も多かった. おいしさ, 糖分, 脂肪分, 塩分, 値段, 1 袋の量 に関しては有意差がみられた (p<0.01). 食感 ( かたさや歯への付着 ) に関してはよりの方が気にしている割合が多かったが, 有意差はみられなかった. また, 目新しさ と なじみ深さ に関しては, 世代間で大きな差はみられなかった. その他の回答 ( 自由記述 ) では, で 見た目, 小分けになっているか, 添加物 といった回答が得られた. 4. 菓子を食べる理由について菓子を食べる理由を門間 7) の調査項目を基に おいしいから, お腹がすくから, 気分転換, 何となく口寂しいから, 落ち着くから, コミュニケーション( だんらん 交流 ), その他 ( 自由記述 ) の 7 項目から複数回答を求めた. その結果を図 3 に示した. (%) 100.0 80.0 88.0 60.0 64.3 57.1 54.7 61.3 40.0 46.4 42.9 39.3 39.3 29.3 20.0 0.0 12.0 2.7 17.9 14.3 6.7 おいしさ 糖分 脂肪分 塩分 食感 カロリー目新しさ 値段 なじみ 深い 図 2 菓子について日頃気にしていることについて 4.0 0.0 0.0 1 袋の量その他 *:p<0.05 :p<0.01-65-

はどの回答も 40% 以下で, おいしいから, 気分転換, 何となく口寂しいから の項目がどれも 35.7% とのなかで最も高い数値となった. それに対し, は おいしいから (78.7%) お腹がすくから (64.0%) という理由が多く, 門間の学生の菓子に対する意識の結果 7) と比較するとほぼ同じ結果となった. 世代間で比較をすると, コミュニケーション( だんらん 交流 ) がでは28.6% なのに対しは% と低く, 有意差があった (p<0.05). はコミュニケーションのある場で 菓子 を食べている傾向もみられた. その他の回答 ( 自由記述 ) として, では お供え物などの頂きものがあるから 食べたくなるから, では 家にあるから, 目の前にあるから, イライラするから といった回答が得られた. 5. 菓子を食べることは体や心にとって大切だと思うかこの質問に関しては, 思う, 思わない, どちらともいえない, わからない の 4 項目から一つの回答を求めた. 思う, 思わない, どちらともいえない と回答した者にはその理由を自由記述させた. その結果を 図 4 に示した., ともに 思う と回答した者がそれぞれ 57.3%,46.4% と多かった. とくには半数以上の人が 思う と回答した. その理由として, では 食べると幸せな気持ちになるから と回答した者が圧倒的に多かった. その他には, ストレス解消 や 落ち着くから 疲れが取れるから と回答する者も多くいた. 甘いものを食べると勉強に集中できる といったらしい回答もあった. 一方は 気分転換 と回答した者が多かった. また, コミュニケーション や だんらん という回答も挙げられた他, 血糖値 を気にしているも数人見受けられた. 以上の結果から, 両世代とも 思う と回答した者は, 菓子を食べることは 気持ち の面に関して良いものととらえている傾向であった. 次に多い回答として, は わからない (%) が多かったのに対し, は どちらともいえない (25.0%) が多かった. どちらともいえない の理由として 食べ過ぎると太ってしまうけど, 食べると幸せになる というような意見が多数挙げられた. (%) 100.0 80.0 78.7 64.0 60.0 40.0 35.7 35.7 35.7 30.7 30.7 32.1 28.6 * 20.0 21.4 8.0 6.7 0.0 おいしいから 気分転換 何となく 口寂しい お腹がすくから 図 3 菓子を食べる理由について コミュニケーション 落ち着くから *:p<0.05 :p<0.01 その他 57.3 5.3 14.7 1.3 46.4 7.1 25.0 17.9 3.6 0% 20% 40% 60% 80% 100% 思う思わないどちらともいえないわからない無回答 図 4 菓子を食べることは体や心にとって大切だと思うかについて (n.s.) -66-

とを対象とした菓子に関する意識調査 また, 両世代とも 思わない と回答した者は少なかった. 理由として カロリーが高く, 摂取した分主食を減らすことが必要 や 太るだけだし食べても食べなくても大丈夫だから, 体や心には関わらないと思う という回答が得られた. 以上, とを対象とした菓子に関する意識調査の結果を示した. 両世代とも週に 1 回以上菓子を食べている傾向があり, 菓子には おいしさ を求めていることが推察された. また, 世代間で好む菓子は異なっていた. 今回得られたこれらの結果は, 今後本学でお菓子教室や健康講座を開催するにあたって, 極めて重要な資料となるであろう. 世代間で明らかになった結果を考慮し, そのライフステージのニーズに合ったお菓子教室や健康講座を今後企画し, 開催していく必要があることが示唆された. まとめ との菓子に対する意識についてライフステージ別の特徴を明らかにすることを目的とし, 菓子についての意識調査を実施し分析を行った. その結果, 次のことが明らかになった. (1) 菓子を食べる頻度については, 両世代のほとんどが週に 1 回以上菓子を食べていることがわかった. (2) 好きな菓子については世代間で異なっていた. では 米菓 や 和菓子 まんじゅう を好む者が多かったが, は チョコレート や ケーキ, クッキー を好む者が多かった. (3) 菓子について日頃気にしていることは何かという項目から, 両世代とも おいしさ を求めていることがわかった. その他, は 糖分, 塩分, 脂肪分 を気にしており, は, 値段 や カロリー, 一袋の量 を気にする者が多かった. (4) 菓子を食べる理由について, はどの回答も低かったが, は おいしいから という理由が圧倒的に多かった. にとって菓子を食べることは気分転換になり, コミュニケーションやだんらんの場で菓子を食べている傾向がみられた. (5) 両世代とも菓子は体や心にとって大切だと思う者が多かった. その中でもは 食べると幸せになるから という回答が多かった. は 気分転換になる という回答が多かった. 全体的にみて, 菓子を食べると幸せな気持ちになるととらえている傾向がみられた. 以上の調査項目の結果から, 世代間で好まれる菓子は異なっていても, 両世代ともに菓子には おいしさ を求め, 菓子を食べることは心や体にとって大切ととらえていた. また, 菓子は両世代において 気持ち の面で QOL の向上に寄与していることが推察された. 参考文献 1) 農林水産省 : 食事バランスガイド について http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/ より検索 (2013 年 6 月 28 日 ) 2) 赤松利恵, 中学生の間食選択に関する食態度の検討 間食選択動機 調査票の作成, 日本公衛誌 Vol. 54 No. 2. 89-97(2007) 3) 厚生労働省 : 平成 14 年国民栄養調査結果の概要 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html より検索 (2013 年 7 月 5 日 ) 4) 全国菓子工業組合連合会 ( 全菓連 ): お菓子何でも情報館 http://www.zenkaren.net/_0300 より検索 (2013 年 7 月 5 日 ) 5) 江間三恵子, 野田艶子 : 女子学生の甘味嗜好とその摂取頻度, 相模女子大学紀要. B, 自然系 70, 31-38, (2006) 6) 宅見央子, 中村弘康, 白石浩荘, 米谷俊 : 用菓子類の食感に求められる要素, 榮養學雑誌 68(2), 131-140, (2010) 7) 門間敬子 : 学生の菓子に対する意識, 京都女子大学生活福祉学科紀要第 9 号平成 25 年 (2013) -67-