総合点 y = x R² = おり 現状では教員の評価が適正に行われているとは言い難い このことから高知工科大学生の授業評価システムへの関心を調査し どのような意識を持ってアンケート回答を行っているのかを明らかにするた

Similar documents
3-2 学びの機会 グループワークやプレゼンテーション ディスカッションを取り入れた授業が 8 年間で大きく増加 この8 年間で グループワークなどの協同作業をする授業 ( よく+ある程度あった ) と回答した比率は18.1ポイント プレゼンテーションの機会を取り入れた授業 ( 同 ) は 16.0

Uモニ  アンケート集計結果

平成 26 年度生徒アンケート 浦和北高校へ入学してよかったと感じている 1: 当てはまる 2: だいたい当てはまる 3: あまり当てはまらない 4: 当てはまらない 5: 分からない 私の進路や興味に応じた科目を選択でき

参考 調査員調査の対象者へのアンケート ( 平成 21 年 4 月実施 ) の概要 1 目的総務省統計局が調査対象者から直接 調査員調査の実施状況を把握し 平成 20 年度の委託業務の中で調査員調査の検証を行うとともに 今後の民間調査機関への指導についての参考資料を得る また 本アンケートでは 回答

eラーニング「事前学習」終了後受講者アンケート

untitled

大阪工業大学 授業アンケートシステム 教員側画面操作説明

表 回答科目数と回答数 前期 後期 通年 ( 合計 ) 科目数 回答数 科目数 回答数 科目数 回答数 外国語 ( 英語 ) 120 / 133 3,263 / 4, / 152 3,051 / 4, / 285 6,314 / 8,426 外国語 ( 英語以

l. 職業以外の幅広い知識 教養を身につけたいから m. 転職したいから n. 国際的な研究をしたかったから o. その他 ( 具体的に : ) 6.( 修士課程の学生への設問 ) 修士課程進学を決めた時期はいつですか a. 大学入学前 b. 学部 1 年 c. 学部 2 年 d. 学部 3 年 e

表 6.1 横浜市民の横浜ベイスターズに対する関心 (2011 年 ) % 特に何もしていない スポーツニュースで見る テレビで観戦する 新聞で結果を確認する 野球場に観戦に行く インターネットで結果を確認する 4.

2017 年 9 月 8 日 このリリースは文部科学記者会でも発表しています 報道関係各位 株式会社イーオンイーオン 中学 高校の英語教師を対象とした 中高における英語教育実態調査 2017 を実施 英会話教室を運営する株式会社イーオン ( 本社 : 東京都新宿区 代表取締役 : 三宅義和 以下 イ

目次 はじめに 1 Ⅰ. 調査の概要 1 Ⅱ. アンケート調査結果 ( 速報 ) 2 Ⅲ. 基礎集計 8 資料 アンケート調査票 11 アンケート依頼 15

睡眠調査(概要)

51066_hontai.indd

最初に あなたの働く目的は何ですか? という質問をしたところ 20~50 代のすべての年代において 生活 家族のため と答えた人が最も多かった その割合は 20 代が 63.6% 30 代が 74.0% 40 代が 83.8% 50 代が 82.5% だった また 全年代共通で 第 2 位が 自由に

西ブロック学校関係者評価委員会 Ⅰ 活動の記録 1 6 月 17 日 ( 火 ) 第 1 回学校関係者評価委員会 15:30~ 栗沢中学校 2 7 月 16 日 ( 水 ) 学校視察 上幌向中学校 授業参観日 非行防止教室 3 9 月 5 日 ( 金 ) 学校視察 豊中学校 学校祭 1 日目 4 9

ニュースリリース 平成 3 1 年 3 月 2 8 日 消費者動向調査 : 軽減税率 株式会社日本政策金融公庫 消費税の 軽減税率制度 消費者の受け止め方を調査 ~ 約 7 割の消費者が制度を認知認知 制度運用には わかりやすさ を求める ~ < 平成 31 年 1 月消費者動向調査 > 日本政策金

<4D F736F F D E93788EF68BC6955D89BF B836782CC CF68A4A F578C76955C88C88A4F816A2E646F6378>

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

< F C18D E93788EF38D7590B B CC8F578C76834F E786C73>

2章 学習スキル

PowerPoint プレゼンテーション

<835A E E A B83678F578C768C8B89CA E786C7378>

派遣社員の評価に関する 派遣先担当者調査結果

<4D F736F F D AAE90AC817A F96CA926B95FB964082C98AD682B782E988D38EAF92B28DB B28DB88A A2E646F63>

高合格率目標達成のためのノウハウを満載! 情報処理試験合格へのパスポートシリーズ ポイント 1 他社テキストにはない重要用語の穴埋め方式 流れ図の穴埋めを採用している他社テキストはあるが, シリーズとして重要用語の穴埋めの採 用 ( 問題集は除く ) はパスポートシリーズだけです なぜ, 重要用語の

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

スライド 1

<81798A6D92E8817A F925093C682C6834E838D83582E786C7378>

スライド 1

3-1. 新学習指導要領実施後の変化 新学習指導要領の実施により で言語活動が増加 新学習指導要領の実施によるでの教育活動の変化についてたずねた 新学習指導要領で提唱されている活動の中でも 増えた ( かなり増えた + 少し増えた ) との回答が最も多かったのは 言語活動 の 64.8% であった

調査概要 授業評価アンケート結果 ( 大学 ) 調査票

Water Sunshine

<4D F736F F F696E74202D2091E63289F18D828D5A94C B DC58F4995F18D90817A >

問 1-1 現在の成人のつどいの内容等についてどう思いますか?(1 つ選択 ) 11.4% 19.0% 69.6% 現在のままでよい 213 名 分からない 58 名 変更したほうがよい 35 名 問 1-2 成人のつどいに参加又はお子様等が参加したことがありますか?(1 つ選択 ) 45.1% あ

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

Microsoft PowerPoint - 第3章手続き編(2013年3月15日更新2) .pptx

<4D F736F F D B835C83694E6F2E BE0914B8AB48A6F82C692998BE082CC8EC091D E646F63>

スライド 1

manaba course 出席機能 操作マニュアル

第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

試験問題評価委員会報告書

武蔵野美術大学様 LiveCampus 教務システム ユーザーマニュアル ( 学生用 ) 株式会社 NTT データ九州

H24/08/00

参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

Microsoft Word - 報告書.doc

ごみ減量化 資源化に関する 市民アンケート結果 ( 項目別分析 ) 平成 27 年 (2015 年 )12 月 資源循環部

目次.Edu Track のログイン.Edu Track のポータル画面説明 3. 学修を始める ( 講義室に入る ) 4 4. テキスト履修科目 スクーリング ( ブレンディッド含む ) で使用する機能 5 学習する 5 お知らせ 6 掲示板 ( 公開 ) 6 課題 8 ディスカッション ( 公開

の手引き Chapter 1 manaba へようこそ Chapter 2 ログイン方法 マイページについて Chapter 3 リマインダ設定 Chapter 4 コース登録 ( 自己登録 ) Chapter 5 manaba の機能紹介 Chapter 6 respon アプリ Chapter

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

授業改善アンケート と 授業評価 の違いについて A. 授業改善アンケート システムとは? 授業改善アンケート システムは 受講生と担当教員のみの双方向コミュニケーションツールとしてその仕組みを提供しています 1) 担当教員により該当科目の開講学期期間中に随時アンケートを実施することができます また

ご主人へはチョコレート ( または贈り物 ) を贈りましたか? 93% (6,740) 7% (534) 贈った 贈らなかった (n=7,274 バレンタイン直後実施アンケート結果 ) 夫はホワイトデーに贈り物をしない? ご主人にバレンタインデーの贈り物をした人に ご主人からホワイトデーの贈り物はあ

Microsoft Word - 09後期まとめ_HP用_.doc

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

2018 年 9 月 3 日 このリリースは文部科学記者会でも発表しています 報道関係各位 株式会社イーオンイーオン 中学 高校の英語教師を対象とした 中高における英語教育実態調査 2018 を実施 英会話教室を運営する株式会社イーオン ( 本社 : 東京都新宿区 代表取締役 : 三宅義和 以下 イ

スライド 1

1.はじめに

家庭における教育

< 主な調査結果 > 最も夫ウケする髪型は 黒髪 ミディアム 妻にどんなヘアスタイルをしてほしいか夫に尋ねたところ カラーは ブラック (47.8%) スタイルは ミディアム (45.4%) がトップ回答となり 黒髪 ミディアム の髪型が夫からの人気が高いことがわかりました Q. あなたはパートナー

< DDD8A7790B E90B688C88A4F816A B83678F578C762E786C7378>

~学び事・習い事の実施率は? 実施しない理由は?~学び事・習い事の実施率に関する調査

平成30年度シラバス作成要領

UNIQLO の販売活動についての一考察 前田ひばり 高知工科大学マネジメント学部 1. 概要現在日本のほとんどの人がUNIQLOという日本企業のブランドを知っているだろう さらに UNIQL Oは着る人を選ばないインナーで圧倒的な知名度がある 日本だけではなく 世界でも多数の店舗を

「訪問診療において看護師が同席する意義とメリットについて」

LiveCampus 教務システムマニュアル 学生用機能 LiveCampus 学生ツール URL: *URL が http ではなく https であることに御注意ください ユーザ ID( アカウント ): 別紙に

(Microsoft PowerPoint - \201y\222\371\220\ \201z\220A\227\3215\222e\203\214\203|\201[\203g.ppt)

PRESS RELEASE < 報道関係各位 > 2019 年 7 月 18 日 株式会社ジェーシービー < キャッシュレス決済に関する調査 > 6 割の人が週に 1 回以上キャッシュレス決済を利用 2 人に 1 人は キャッシュレスが使えないと来店意欲が減少! 会計担当者の 8 割は少額でもキャッ


<4D F736F F F696E74202D208E9197BF322D B83678C8B89CA816995CA8DFB816A2E >

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

日本のプロ野球に対する関心を示した表 3.1 および図 3.1 をみると スポーツニュース で見る (52.9) に対する回答が最く テレビで観戦する (39.0) 新聞で結果を確 認する (32.8) がこれに続く また 特に何もしていない (30.8) も目立った 2) 性別とのクロス集計の結果

Microsoft Word 年度入学時調査報告.docx

授業改善アンケート と 授業評価 の違いについて A. 授業改善アンケート システムとは? 授業改善アンケート システムは 受講生と担当教員のみの双方向コミュニケーションツールとしてその仕組みを提供しています 1) 担当教員により該当科目の開講学期期間中に随時アンケートを実施することができます また

アンケート設問内容 Q この授業の学習に意欲的に取り組みましたか? Did you work hard on this course? Q あなたの授業への出席率はどの程度でしたか? What was your rate of attendance on this course? Q 回の授業に対し

年 9 月 24 日 / 浪宏友ビジネス縁起観塾 / 法華経の現代的実践シリーズ 部下を育てない 事例甲課乙係のF 係長が年次有給休暇を 三日間連続でとった F 係長が三日も連続で休暇をとるのは珍しいことであった この三日の間 乙係からN 課長のところへ 決裁文書はあがらなかった N

表紙案8

スライド 1

各質問項目の単純集計結果 設問 1. 性別 男性 女性 無回答 設問 2. 年齢 合計 ( 改 3) 代 代 代 代 代 1767

香川大学教育研究 3. 調査の概要 調査対象は 平成 25 年 10 月 15 日 ( 火 ) の2 校時に全学共通科目の学問基礎科目 主題科目を受講している学生である 担当教員の協力のもと授業時間内に調査票を配布し 回収を行った 有効回答者数は 819 名であった 次節で詳しく見ていくが アンケー

PowerPoint プレゼンテーション

1. 概要 目的 大学生におけるクレジットカードの所有の有無とクレジットカードに関する意識を調査するため 回答者 :709 名 1 日本大学商学部 特殊講義金融サービス ビジネス 受講生 (2~4 年生 ) 2 明治大学国際日本学部 金融サービス演習 受講生 (2 年生 ) 3 白鷗大学経営学部 銀

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

O-8修正版

5-1. 高大連携活動の実施状況 高校生のの通常授業の履修 聴講が入学後にの単位となる制度を 15% が実施 高大連携活動としてたずねた項目のうち 多く実施されているのは 高校への出張授業 93.5% 次いで オープンキャンパス以外の高校生向けの公開講座 授業 ( 高校での単位付与なし ) 69.0

2017 年 12 月 19 日 報道者各位 プレスリリース ~ 中学受験まであと 2 ヵ月 ~ 中高一貫校生の得意苦手科目 勉強時間 に関する調査得意科目 苦手科目ともに 数学 が 1 位 中だるみ中高一貫校生の成績を跳ね上げる 個別指導塾 WAYS を運営する株式会社メイツ ( 所在地 : 東京

Taro-time to spare.jtd

調査の目的この報告書は, 第 1 に,2011 年から 2012 年にかけての 4 回の調査の結果をもとに, サポーツ京田辺の生徒の皆さんの学習意欲の状態を複数の側面から把握した結果を報告することを目的としています また第 2 に, 生徒の皆さんの勉強の仕方に関する考え方や実際の勉強の仕方を知り,

(Microsoft PowerPoint _\221\3464\211\361\330\330\260\275\227p\216\221\227\277.ppt)

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

平成 29 年 12 月 19 日知床五湖の利用のあり方協議会 ( 第 37 回 ) 平成 29 年度春期利用適正化実証実験アンケート調査の結果について 参考資料 4 1. 調査概要と解析サンプル 表 1. 調査票の概要 ( 複 = 複数回答 単 = 単一回答 ) 実施期間対象手法配布数 / 回収数

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

Microsoft Word - 4. 画面説明_ver docx

Microsoft Word - 医療学科AP(0613修正マスタ).docx

「dカーシェア」、“カーシェア時代におけるクルマの使い方”意識調査を実施

平成18年度標準調査票

ニュースレター 報道関係各位 2018 年 10 月 26 日 株式会社ベネッセホールディングス広報 IR 部 小学生の読書に関する実態調査 研究 読書は学力が低い子どもたちに大きなプラス効果 自分で調べる 話題が増える 幅広いメリットが明らかに 株式会社ベネッセホールディングスの子会社 株式会社ベ

Web履修の利用環境

<4D F736F F D208AC888D B836A F C91808DEC837D836A B81698AC7979D8ED A E646F6

1. 調査の目的 物価モニター調査の概要 原油価格や為替レートなどの動向が生活関連物資等の価格に及ぼす影響 物価動向についての意識等を正確 迅速に把握し 消費者等へタイムリーな情報提供を行う ( 参考 )URL:

Transcription:

高知工科大学における授業評価システムの実状と改善案 1160421 近藤宇高知工科大学マネジメント学部 1. 概要在のアンケートの質問内容は平成 25 年度 3Qから採用され高知工科大学では教員の評価を学生が回答する授業評価をたものであり それ以前は問 7 問 8が講義の難易度ではな 基準に決定する授業評価システムが採用されている しかし このシステムに関する学生側の関心は低く 適切な評価が行われているとは断言できないというのが実状である 本研究では 高知工科大学生へのアンケートを行い 授業評価アンケートの問題点を洗い出し 改善案を提案する アンケートの結果 学生は授業評価アンケートの意義を感じておらず また意欲も低いことがわかった 教員の評価を適切に実施するためには授業評価システムの方式を変更し 具体的な学生 く 学生自身の講義への出席率を問うものとなっていた アンケート内容が変更された平成 25 年度 3Qから現時点で最新の平成 27 年度 3Qまで ( 夏季および冬期集中講義を除く ) の各クォーターのアンケート集計結果から 問 1~ 問 6の平均点である総合点と 問 7と問 8の平均をとった値を難易度点として 相関関係を調査した その結果 すべてのクォーターにおいて 難易度点が低い程 総合点は高いという負の相関の傾向が見られた ( 図 2-1 図 2-2 図 2-3) の意見をさらに収集できるようにアンケート内容を見直すなどの対策を行う必要がある 2. 背景高知工科大学では平成 9 年の開学以来 授業評価を学生が大学ポータルシステム内に掲示されるアンケートに回答することによって決定する授業評価システムを実施しており そのシステムは平成 20 年から開設されたマネジメント学部においても同様に行われている このシステムは 学生にとっ 総合点 4.00 3.50 3.00 2.50 y = -0.255x + 3.6678 R² = 0.0696 て より 魅力的な授業 わかる授業 を実現するためのものであり 学生の声を教員に届けることで その講義をより充実したものへと改善する ( 工科大 HP) ことを目的としている その一方でこの授業評価は教員の評価に直結し 給与 2.00 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 難易度点図 2-1 総合点と難易度点の相関 ( 平成 25 年度 3Q) や昇格の基準として用いるという重要な役割も担っている しかし 学生は自身が履修した講義についてのアンケートには全て回答しなければならないため 学生からは不評の声が多いという側面もある 現在の授業評価アンケートは 全 8 問で構成されている 質問にはそれぞれ0 点から4 点までの選択肢が設けられており 点数が高いほど高評価となる 問 1~ 問 6までの質問は授業に対する教員側の取り組み 学生側の取り組み 学生の 総合点 4.00 3.50 3.00 2.50 y = -0.512x + 4.1423 R² = 0.221 授業内容に対する感想を問うものとなっており これら6 問の点数の平均が総合点として教員の評価に反映される そして問 7 問 8の質問は学生が感じた科目の難易度を問う内容となっており 点数が高いほど難しいという結果となる し 2.00 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 難易度点図 2-2 総合点と難易度点の相関 ( 平成 26 年度 3Q) かしこれら 2 問の点数は教員の評価に反映されていない 現

総合点 4.00 3.50 3.00 2.50 y = -0.3383x + 3.74 R² = 0.1253 おり 現状では教員の評価が適正に行われているとは言い難い このことから高知工科大学生の授業評価システムへの関心を調査し どのような意識を持ってアンケート回答を行っているのかを明らかにするため 高知工科大学生 50 人にアンケートを実施した アンケートの質問内容は以下の6 問とした 1~4 問目までの質問では選択式とし 5 問目と6 問目は自由記述式とした 2.00 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 難易度点図 2-3 総合点と難易度点の相関 ( 平成 27 年度 3Q) 教員の評価を決定する問 1から問 6までの質問は 教員側と学生側の努力度と講義内容の充実さを問う質問であり また授業の難易度は科目によって様々である したがって 本来ならば科目の難易度との相関関係は無いはずである しかし実際は上記のような結果となっており 学生たちは教員の授業への取り組みではなく単純な授業の難易度で評価を決定している可能性がある このことから 現在の授業評価システムでは適切な教員評価が行えているとは言い切れない 質問内容や授業評価システム自体の方式を見直すことで より適切な教員評価を行えるような対策をとることが必要である 3. 目的本研究では 高知工科大学の学生へのアンケート調査を行い 現在の授業評価システムの問題点を洗い出すとともに より適切な教員評価を行えるためのシステムの改善案を提案する 4. 研究方法本研究では 高知工科大学の学生に対するアンケート調査を実施する アンケート内容は主に 授業評価アンケートに回答する際の基準 授業評価アンケートは必要だと思うか 大学の授業に求めているもの について問うものとし このアンケートから現在の高知工科大学生における授業評価アンケートや授業に対する意識を調査する 最後にこの調査から現在の授業評価システムの問題点を整理し より適切な教員評価を行えるシステムの運用方法を検討する 5. アンケート内容近年の授業評価アンケートの統計から 高知工科大学生が難易度の低い授業に高い点数を回答していることが判明して 1. 授業評価アンケートを回答していますか? 2. 授業評価アンケートに回答する際に基準としているも のは何ですか ( 複数回答可 ) 3. 授業評価アンケートは必要だと思いますか 4. 問 3 で 必要ない と答えた方へお聞きします な ぜ 必要ない と思いますか ( 複数回答可 ) 5. 授業評価アンケートがどのように改善されればいいと 思いますか 6. 大学の授業に何を求めていますか 自由に記入してく 6. 結果 ださい アンケートの結果は次のようになった 1. 授業評価アンケートを回答していますか 5 人 37 人 8 人 アンケートが公開されたらすぐに答えている 回答を促すメールが来たら答えている 答えていない 図 6-1 問 1 の質問に対する回答の割合 質問の選択肢は a. アンケートが公開されたらすぐに答え ている b. 回答を促すメールが来たら答えている c. 答 えていない の 3 つとした その結果 アンケートが公開さ れたらすぐに と回答した学生は 50 人中 8 人 (16%) 回 答を促すメールが来てから と回答した学生は 37 人 (7 4%) 答えていない と答えた学生は 5 人 (10%) であ った 回答を促すメールが来てから答える と 答えていな い と回答した学生が全体の 84% を占めていることから 学生の授業評価アンケートに対する意欲は低いと言える

2. 授業評価アンケートに回答する際に基準としているものは何ですか ( 複数回答可 ) a 23 人 ており また学生は内容が易しい 課題が少ないなどの総じ て自分にとって楽な授業に高い評価をつけていると言える 3. 授業評価アンケートは必要だと思いますか b-1 3 人 b-2 c-1 1 人 7 人 19 人 必要だと思う c-2 d 6 人 17 人 31 人 必要ないと思う e f 14 人 0 人 0 5 10 15 20 25 図 6-2 問 2の質問に対する回答 図 6-3 問 3 の質問に対する回答の割合 授業評価アンケートは必要だと思うかという質問では 5 0 人中 19 人 (38%) が 必要だと思う と回答し 31 選択肢は a. 質問の通りに考えて答えている b-1. 内容が難しい授業の評価を高くしている b-2. 内容が易しい授業の評価を高くしている c-1. 課題の多い授業の評価を高くしている c-2. 課題の少ない授業の評価を高くしている d. 好きな先生の授業の評価を高くしている e. 何も考えずに評価している f. その他 の 8つとした 結果は 質問の通りに考えて答えている が 23 人 内容が難しい授業 人 (62%) が 必要ないと思う と回答しており 授業評価アンケートに対して必要性を感じていない学生がそうでない学生を上回っていた 次の問 4では 必要ないと思う と回答した31 人の学生に対し その理由を質問する 4. 問 3で 必要ない と答えた方へお聞きします なぜ 必要ない と思いますか ( 複数回答可 ) の評価を高くしている が 3 人 内容が易しい授業の評価を 高くしている 7 人 課題の多い授業の評価を高くしている 面倒くさい 16 人 1 人 課題の少ない授業の評価を高くしている 6 人 好 改善されないと思う 22 人 きな先生の授業の評価を高くしている 17 人 何も考えず に評価している 14 人となり 最も少ない回答が その他 質問数が多い 0 人 の 0 人となった 最も多い回答は 質問の通りに考えている であったが その他 2 人 全体の半数に至っておらず こちらの結果からも問 1と同様 学生の授業評価アンケートに対する意欲の低さが見て取れる また 次に回答数が多かった選択肢は 好きな先生の評価を高くしている 何も考えずに評価している と続いており 約 3 割前後の学生が教員の好みや作業的な感覚で授業評価アンケートを行っているという状態となっている さらに b-1 b-2 と c-1 c-2 の選択肢では それぞれ 難易度が高い と 課題が多い より 難易度が低い と 課題が少ない の選択肢の方の授業の評価を高くしているという回答が多いという結果となっている これらの結果は 先述した難易度が低い授業程高い評価を得る傾向にあるという統計を裏付け 0 10 20 30 図 6-4 問 4の質問に対する回答問 4では前問で 必要ない と回答した学生に対して行った 選択肢は a. 面倒くさいと思うから b. 答えても先生や講義が改善されないと思うから c. 質問の数が多いから d. その他 とした その他 の選択肢には自由回答欄を設けた 結果は 面倒くさいから が16 人 改善されないと思うから が22 人 質問数が多いから が0 人 その他 が2 人となった このうち 面倒くさいから と 改善されないと思うから の両方を回答した学生が9 人いた

最も回答数が最も多かったのは 改善されないと思うから という答えであることから 学生たちは授業評価アンケートに対して意義を感じていないことがわかる また次に多かった回答が 面倒くさいから であることから これまでの質問と同様に学生のアンケートに対する意欲は低いと言える 回答の中には その他 を選んだ学生が2 人いたが その内容は どうせみんな適当に答えるから ただの票取りになっていると思うから というものであった これら2 件の回答からも 学生がアンケートに対して意義を感じていないことが考えられる 5. 授業評価アンケートがどのように改善されればいいと思いますか 問 5は自由記述式とした 無記入も含めて様々な回答が得られたが 重複する内容の回答も多々存在した それらは大きく分類すると アンケートの方法について 授業の改善について その他 の3つに分けられる それぞれの内容については以下の通りであった アンケートの方法について ポータルから答える方式が面倒 (16 人 ) アンケートを授業の最後に行うようにする (10 人 ) 質問数を減らす (3 人 ) 匿名性を高くして素直な意見を書けるようにする (2 人 ) ポータルシステムが重い ポータルシステムの不具合が多い 学生側にメリットを作る 質問の内容を授業によって変える 1 年間すべてのアンケートに答えると単位がもらえるようにする 改善点や意見を必ず全員回答するようにする 回答しなくても単位あった アンケートを無くす 授業の改善について 評価を教員にもっと目に見えるように反映させる (6 人 ) アンケートが教員評価につながると 学生のご機嫌を伺う簡単な授業しかしなくなる可能性があるので切り離すべきではないか (2 人 ) 評価の低い教員にペナルティを付ける 各教員がどこをどう改善したのかを掲示する その他 アンケート回答の催促メールの言い方が腹立つ (3 人 ) 無記名にして思っていることをそのまま書けるようにして欲しい 教員だけでなく学生も 相互にやる気が上昇するようにする 回答の内容を見ると 最も多かった回答がアンケート方法についての ポータルから答えるやり方が面倒という であるということ また次に多かった回答が アンケートを授業の最後に行うようにする という答えであったことから 大多数の学生が現在のポータルから回答する方式に否定的な意見を持っていることがわかった その理由としてはポータルシステムの動作が遅いという意見があるものと考えられる 授業の改善についての回答としては 教員の改善を目に見える形で示してほしいという趣旨の回答が目立った 学生の授業評価アンケートへの意欲が低い裏にはこういった意見が存在しているからであると考えられる またアンケート回答の催促メールの文面について 答えなければ単位を与えない という文面を嫌う回答が見られたが 一方で アンケートに答えなくても単位は貰えた という意見もあった 6. 大学の授業に何を求めていますか 自由に記入してください 問 6も自由記述式とした この質問も問 5と同じく様々な回答が得られた 内容としては主に単位や開講時間などの授業の楽さについての回答と 専門性やわかりやすさなどの授業内容についての回答の2つに分けられた 授業の楽さなどについて いかに楽に単位が取れるか (11 人 ) テスト( 資料持込みの有無など ) や課題の量 (2 人 ) 開講時間を遅くしてほしい 数学や英語などで担当教員を選べるようにしてほしい 授業内容について 社会に出て( 将来 ) 使えるものを学びたい (15 人 ) 面白さ (8 人 ) 専門性(8 人 ) わかりやすさ (6 人 ) 男女差などで評価を分けないでほしい (3 人 ) 工科大ならではの授業 (2 人 )

目標や進路に対してためになること (2 人 ) 先生と生徒の距離の近さ 授業の内容が将来本当に役立つのかを教えてほしい 自主性 広い視野が身につく 幅広い分野 思考力を使う 記憶に残る授業 などまた これらの意見とは別に 特に何も求めていない という回答をした学生が3 人いた この質問では回答が授業に楽さなどを求める非意欲的なものと 内容面での充実を求める意欲的なものに分かれた 回答の比率としては意欲的な意見が大きく上回っており 学生たちは授業に対する意欲は高いことが見て取れる この結果から 授業評価アンケートに対する意欲と授業に対する意欲には相関性は無いことが考えられる また これらの回答から難易度とは無関係にどういった授業であれば学生が高評価を与えるのかを明らかにすることができた 6-1. 考察今回のアンケート調査全体を通して言えることは 高知工科大学の学生は授業評価アンケートに対する意欲が低く 意義も感じていない傾向にあるということである アンケート回答のためにポータルシステムへアクセスする手間が掛かる点や回答を促すメールの文面 ( 回答しなければ単位を与えないなど ) への嫌悪感がある 学生側にメリットがないなどの意見が多数見られ このような授業評価アンケートに対する否定的な印象が 低意欲の原因となっていると考えられる 意欲が低いためにアンケートを作業的に回答したり 教員の好みや授業の楽さや難易度を基準に回答したりするようになり 結果として2 章で述べたような状態に陥っていると言える また意義を感じられない要因としては 教員の改善が見られないという意見が目立ったことから 授業内容や教員の改善を学生が実感できていないということが主であると考えられる しかしながら 学生が授業に求めているものは 将来 社会に出てから使えるもの や 専門性 などの内容面での充実を重視している回答が多いことから 授業に対する意欲は高いことがわかった このことから授業評価アンケートに対する意欲の低さは 授業への意欲とは関係なく 授業評価システムそのものに問題があると考えられる 授業評価システムによる適切な教員評価を行うためには この問題を改善する必要がある 7. 問題点と改善案今回のアンケート調査から見える現行の授業評価システムの問題点としては 主に授業評価アンケートの実施方法 学生への教員の改善結果の周知不足 アンケートの内容の3 点が挙げられる 授業評価アンケートの実施方法についての改善案今回の調査の結果 学生たちは授業評価アンケートの回答にポータルシステムにアクセスする必要があることに対して不満に感じていた このことから アンケートをポータルシステムから切り離す必要がある そこで 授業評価アンケートを紙面で行うこととし 各クォーターの授業の最終回や期末試験直前回で配布と回収を行うように変更する案が考えられる 授業時間内で行うことで 授業への出席率や回答率の向上が図れる効果も期待できる また現在のアンケートでも匿名性という形となっているが ポータルからの回答であるため学生側では匿名ではないと考えられている 無記名の紙面での回答方式に変更することで匿名性が増し 学生もそれを認識することで より素直な意見を得ることが出来るのではないだろうか 学生への教員の改善結果の周知徹底について学生たちが授業評価アンケートに意義を実感できていない要因としては 主にアンケート結果を受けた教員の改善内容が学生に知らされていないことにあった したがって教員の改善点などを学生の目に見える形で公開する必要がある どのような意見 要望があり それを満たすためにどのように変更したかなど 具体的な内容で公開することで 学生に対してしっかりと改善が行われていることをアピールすることが出来る そうなれば 学生がアンケートの意義を実感し さらに有用な意見を引き出せるのではないだろうか 公開の方法としては学内掲示板や 初回の授業内で発表を行うなど 自然と学生の耳に入る形が好ましいと言える アンケート内容について現在のアンケート内容では教員側と学生側の授業への取り組みと 学生が授業内容を役に立つと感じるかなどとなっている この内容の問題点としては 達成目標の明示の有無などの質問内容に関して 学生側が認識していない または記憶していないことが多いという点である そのため授業の難易度や楽さを回答の基準にしてしまっているのではないかと考えられる このことから アンケートの質問内容そのもの

を変更する必要がある アンケートを現在の問 5 問 6のように学生が判定しやすい質問に変更し 教員については授業の分かりやすさや進め方などではなく 教員の授業への姿勢や学生への親密さなどを問いつつ 改善点や要望などを自由記述で必ず答えるようにすることで より正確な評価を得ることができると考えられる 8. 今後の課題高知工科大学は 日本にない大学 を目指し 他大学に先駆けて授業評価システムを導入したことで知られ このシステムについては他大学も参考にしている しかし 今回の研究で学生たちの授業評価システムに対する意識を調査し 決して良好に機能しているとは断言できない現状にあることが判明した 学生に対して行う調査を教員評価の基準の一つとしている以上 学生たちのアンケートに対する関心をできるだけ高く保つことが課題であると言える 真に 日本にない大学 を目指すのであれば 常に問題の可視化と改善を繰り返し 他大学の先に立ち続ける努力を怠ってはいけないのではないだろうか 参考文献 [1] 高知工科大学 HP http://www.kochi-tech.ac.jp/kut/for_students/education_ and_research/class_evaluation.html [2] 高知工科大学における教員評価システムについて http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/hyouka/0412210 1/005.pdf [3] 学生による授業評価の結果と分析 : 初期データの考察 http://kutarr.lib.kochi-tech.ac.jp/dspace/bitstream/10173 /122/1/196-205.pdf [4] 大学における授業評価の問題 : 社会科学者の随想 http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/2782302.html