学校給食摂取基準の活用 学校給食摂取基準は全国平均を示したものであるから その考え方を踏まえた上で 各学校の実態に応じた摂取基準 ( 給与栄養目標量 ) 作成する必要がある EER 算出シートに数字を打ち込めば EER( 推定エネルギー必要量 ) は算出できるが 専門職 ( 管理栄養士 栄養士 )

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2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

平成19年度学校保健統計調査結果

平成19年度学校保健統計調査結果

(2) 体重 平成 25 年度の幼稚園 小学校 中学校及び高等学校における幼児 児童及び生徒の体重 ( 県平均値 以下同じ ) については次のとおりである 1 前年度との比較 ( 表 2) 男子の体重は 6 歳 11 歳 13~17 歳で 前年度の同年齢より.2~2. kg増加しており 最 も増加し

発育状態調査 身長 身長 ( 平均値 ) は 前年度と比較すると 男子は 12~15 歳で前年度を上回り 女子は 5,6,8,9,14,16 歳で前年度を上回っている (13 年齢区分中 男子は増加 4 減少 6 女子は増加 6 減少 5) との比較では 男子は全ての年齢で 女子は 5,9 歳を除い

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発育状態調査 身長 身長 ( 平均値 ) を前年度と比較すると 男子は 5~8,10,11,16 歳で 女子は 7~12,15,17 歳で前年度を上回っている (13 年齢区分中 男子は増加 7 減少 4 女子は増加 8 減少 3) 全国平均と比較すると 男子は全ての年齢で 女子は 9~11 歳を除

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2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

Taro-4

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1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て

学校給食摂取基準の策定について(報告)

Shokei College Investigation into the Physical Condition, Lifestyle and Dietary Habits of the Members of a Boy s Soccer Team and their Families (1) Ph

栄養表示に関する調査会参考資料①

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日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

学校給食実施基準施行通知

栄養成分等の分析方法等及び「誤差の許容範囲」の考え方について

Microsoft Word - H26_まとめ

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1


平成25~27年度間

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小学生のカルシウム摂取量に寄与する食品の検討 小学生のカルシウム摂取量に寄与する食品の検討 小川瑞己 1 佐藤文佳 1 村山伸子 1 * 目的 小学生のカルシウム摂取の実態を把握し 平日と休日のカルシウム摂取量に寄与する食品を検討する 方法 2013 年に新潟県内 3 小学校の小学 5 年生全数 3

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

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4 身体活動量カロリズム内に記憶されているデータを表計算ソフトに入力し, 身体活動量の分析を行った 身体活動量の測定結果から, 連続した 7 日間の平均, 学校に通っている平日平均, 学校が休みである土日平均について, 総エネルギー消費量, 活動エネルギー量, 歩数, エクササイズ量から分析を行った

2214kcal 410g 9.7g 1 Point Advice

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(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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4 給食従事者数 (11 月 1 日現在 ) 11/1 現在の給食に従事する職員 ( 育休等による代替職員の場合は 11/1 時点で勤務している者 ) について 施設側 委託先別に 職種ごと 常勤 / 非常勤の員数を記入してください 常勤とは 当該施設において他の正規職員と同様な勤務形態にある場合を

青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 目 次 1. 目的 1 2. 携帯食事手帳システムの概要 1 (1) システムの基礎データ 1 (2) 利用方法 1 (3) 確認できる情報 1 3. 携帯食事手帳利用の手引き 2 (1) 携帯食事手帳 (QRコード) 3 (2) 料理選択の仕方 4 (

(5) 食事指導食事指導は 高血圧の改善 耐糖能障害の改善 代謝異常の改善について 各自の栄養状況 意欲などに応じて目標をたて これを達成できるよう支援する形で行った 開始時点で 食事分析を行い 3ヶ月ごとに 2 回進捗状況を確認する面接を行った 1 年後に終了時点の食事分析を行った 各項目の値の増

平成 27 年度全国体力 運動能力 運動習慣等調査愛媛県の結果概要 ( 公立学校 ) 調査期間 : 調査対象 : 平成 27 年 4 月 ~7 月小学校第 5 学年 ( 悉皆 ) 中学校第 2 学年 ( 悉皆 ) 男子 5,909 人男子 5,922 人 女子 5,808 人女子 5,763 人 本

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平成 28 年度全国体力 運動能力 運動習慣等調査愛媛県の結果概要 ( 公立学校 ) 調査期間 : 調査対象 : ( 悉皆 ) 平成 28 年 4 月 ~7 月 小学校第 5 学年 中学校第 2 学年 男子 5,688 人 女子 5,493 人 男子 5,852 人 女子 5,531 人 本調査は

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平成 27 年度 全国体力 運動能力 運動習慣等調査の概要 平成 28 年 3 月 四條畷市教育委員会

24013 パインアップルすりおろし パインアップルすりおろし エネルギー (kcal) 68 ナトリウム (mg) 10 水分 (g) 83 カリウム (mg) 81 たんぱく質 (g) 0.4 ビタミンC(mg) 48 炭水化物 (g) 16.3 食塩相当量 (g) 0 エネルギー

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

1カップ 74gあたり エネルギー (kcal) 57 ビタミンE(mg) 14 ブイ クレスゼリーカップタイプりんご水分 (g) 59 ビタミンB1(mg) 2.1 たんぱく質 (g) 0.5 ビタミンB2(mg) 2.1 脂質 (g) 0 ナイアシン (mg) 10.5 炭水化物 (

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(3) 生活習慣を改善するために

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学校給食摂取基準の策定について(報告)

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平成 26 年度 全国体力 運動能力 運動習慣等調査の概要 平成 27 年 1 月 四條畷市教育委員会

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1カップ 74gあたり 6311 エネルギー (kcal) ブイ クレスゼリーカップタイプりんご水分 (g) たんぱく質 (g) 脂質 (g) ナイアシン (mg) 1.5 炭水化物 (g) ナトリウム (mg) 22 ビタミンB12(μg)

栄養管理報告書 ( 保育所 幼稚園等 ) 保健所長 殿 年 月分 施設名所在地管理者名電話番号 Ⅰ 施設種類 Ⅱ 食事区分別 1 日平均食数及び食材料費 Ⅲ 給食従事者数 1 幼稚園 2 保育所 ( 認可 ) 3 認定こども園 4 その他 ( 認証保育所等 ) 食数及び食材料費 施設側 ( 人 )

Ⅰ 調査の概要

CSR の 5 つの重要課題 食とスポーツで心と体の元気を応援 基本的な 考え 方 貢献するSDGs CSR の5 つの重要課題 の中心的対象となる SDGs の目標 食とスポーツを手掛ける企業として 食育活動 食文化の普及 スポーツの振興などを通して心と 体の健康づくりに貢献しています スポーツと

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結果の概要 1 栄養 食生活に関する状況 (1) 野菜の摂取状況 20 歳以上における 1 日の野菜摂取量の平均値は 288.1g 性別にみると男性 297.1g 女性 281.1g 年齢階級別にみると 男女ともに 40 歳代で最も少ない 図 1 野菜摂取量の平均値 (20 歳以上 性 年齢階級別

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2.調査結果の概要

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2.調査結果の概要

結果の概要

14栄養・食事アセスメント(2)

エネルギーの食事摂取基準 : 推定エネルギー必要量 (kcal/ 日 ) 男性 女性 年齢 身体活動レベル 身体活動レベル Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅰ Ⅱ Ⅲ 15~17 2,450 2,750 3,100 2,000 2,250 2,500 18~29 2,250 2,650 3,000 1,700 1,95


栄養管理報告書 ( 給食施設 ) 保健所長 殿 Ⅰ 施設種類 Ⅱ 食事区分別 1 日平均食数及び食材料費 Ⅲ 給食従事者数 1 学校 2 児童福祉施設 ( 保育所以外 ) 3 社会福祉施設 4 事業所 5 寄宿舎 6 矯正施設 7 自衛隊 8 一般給食センター 9 その他 ( ) 食数及び食材料費

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

17004 ジャネフだし割りしょうゆ 1 個 5mlあたり エネルギー (kcal) 3 ナトリウム (mg) 155 水分 (g) 4.4 カリウム (mg) 2 たんぱく質 (g) 0.1 カルシウム (mg) 0 炭水化物 (g) 0.6 鉄 (mg) 0 食物繊維 (g) 0 食塩相当量 (

SoftBank 301SI 取扱説明書

ちゃんと (450~650kcal 未満 ) 栄養バランスを考えて ちゃんと 食べたい女性や中高年男性の方向けしっかり (650~850kcal) 栄養バランスを考えて しっかり 食べたい男性や身体活動量の高い女性の方向け スマートミールの基準 1 エネルギー量 ( カロリー ) は 1 食あたり

< 先生方へ > 長崎県学力向上推進協議会では 子どもに確かな学力をつけていくためには 何 が大切か また 学力の向上を阻害している要因は何かなどについて 検討を重ね ています その中から次のようなことが指摘されました 1 家庭で毎日決まった時間に学習をする習慣をつけることが大切である 2 食事や睡

食育って, ご存知ですか? 食育とは 生きる上での基本であって, 知育, 徳育及び体育の基礎となるべきもの 様々な経験を通じて 食 に関する知識と 食 を選択する力を習得し, 食育の推進に取り組んでいます! 28 年 ( 平成 2 年 )3 月に 福山市食育推進計画,213 年 ( 平成 25 年

平成11年度学校保健統計調査結果(愛知県分)

都市部中学 3 年生女子の食事調査 井ノ口美香子 * 今野はつみ * 德村光昭 * 川合志緒子 * 田中祐子 * 康井洋介 * 糸川麻莉 * 近年, 中学生女子における行動上の問題として やせ志向, 一方, 栄養上の問題ではやせ, および肥満の両面が指摘されている 食生活のあり方は生涯の健康づくりに

コラム授業力の向上について食育では 生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性を育んでいきます そのためには 教師の授業力が一つの鍵になることはいうまでもありません そこで どのような授業を行えば 子どもたちに望ましい生活習慣等が定着するのか 小学校 中学校授業評価システムガイドライン ( 平成

3 12 西中学校給食予定献立表 冬野菜のオムレツ味噌ドレッシングサラダじゃこ豆ぶどうゼリー TEL: kcal トンテキほうれん草ゅうまい春雨とひじきの和え物レモンゼリー ニラ玉焼き枝豆とコーンのサラダフルーツヨーグルト 39.g 2.g キャベツのイタリアンサラダりんご缶 キャベ

2 11. 脂肪 蓄 必 12. 競技 引退 食事 気 使 13. 日 練習内容 食事内容 量 気 使 14. 競技 目標 達成 多少身体 無理 食事 仕方 15. 摂取 16. 以外 摂取 17. 自身 一日 摂取 量 把握 18. 一般男性 ( 性. 一日 必要 摂取 把握 19. 既往歴 図

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

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実践内容 (1) 視点 1 教育活動全体で推進できるよう 指導体制を整備し 食に関する指導の充実 を図る 1 食育全体計画の整備既存の食育全体計画を見直し 教科 学級活動における食に関する指導の時間を確保するとともに 栄養教諭とのティーム ティーティング ( 以下 TT) についても明記した また

医療レーザー脱毛の威力と限界

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次世代ヘルスケア産業協議会第 17 回健康投資 WG 資料 6 職場における食生活改善の質の向上に向けて 武見ゆかり第 6 期食育推進評価専門委員会委員 ( 女子栄養大学教授, 日本栄養改善学会理事長 )

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平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

Transcription:

EER 算出表活用にあたって ( 公社 ) 日本栄養士会学校健康教育事業部では 各地域 学校の実態に応じた学校給食摂取基準を算出し 児童生徒にとってより良い栄養管理が実現できるよう EER 算出表 を HP からダウンロードできるようにしました この計算表に児童生徒の生年月日 身長 体重を入力することによって その集団におけるエネルギーの摂取基準は一つの値が求められます また その数値を用いて その集団における摂取基準を算出することも可能です これによって より大きな集団の摂取基準を より短時間で算出することができる上に 文部科学省が示す全国平均である学校給食摂取基準の 別表 に掲載された数値のみを用いた その地域 学校の実態とかけ離れた栄養管理となるリスクを減らすことができます まずはこの算出表を用いて摂取基準を算出することを通して 国内の平均から算出されたものと自分が勤務する地域のものとを比較して その差を把握し その後の栄養管理や食育へと展開していただきたいと考えています また この計算表を用いることによって一つの値が決まりますが 対象となる子ども達は一年間で大きく成長する上に 身体活動量も様々であり 必要な栄養量を正確に把握することは大変難しいと考えます したがって これによって求められた一つの値に踊らされ 一喜一憂したり 右往左往したりすることなく 適切にアセスメントし 子ども達の健康のためにより良い栄養管理へとつながるよう 存分にご活用ください 今回 EER 算出表 を HP 上でダウンロード可能とするにあたって 元文部科学省学校給食調査官の田中延子先生に活用にあたっての注意点についてご監修いただくとともに 製作者である石川県宝達志水町立宝達中学校の北出宏予先生にもご協力いただきました 以下にあります 学校給食摂取基準の活用 をしっかりと読み 十分に理解をしていただいた上で 様々な取組を進めていただきたいと考えています ( 公社 ) 日本栄養士会学校健康教育事業部では この摂取基準を活用した取組を進める一方 その事例の収集 公開も行っていくよう考えております 各自が取り組まれた内容をまとめて 送っていただきますと これから取り組もうと考えている方々への手掛かりやモチベーションともなりますので こちらの方もご協力いただきますよう お願いいたします ( 公社 ) 日本栄養士会学校健康教育事業部

学校給食摂取基準の活用 学校給食摂取基準は全国平均を示したものであるから その考え方を踏まえた上で 各学校の実態に応じた摂取基準 ( 給与栄養目標量 ) 作成する必要がある EER 算出シートに数字を打ち込めば EER( 推定エネルギー必要量 ) は算出できるが 専門職 ( 管理栄養士 栄養士 ) である以上 算出方法をしっかりと理解しておく必要がある 1 摂取基準 ( 給与栄養目標量 ) の作成以下に 摂取基準 ( 給与栄養目標量 ) 作成の手順を示す < エネルギー及び栄養素の優先順位 > ❶エネルギー ➋たんぱく質 ➌ 脂質 ➍その他の栄養素 ( 推定平均必要量 推奨量または目安量が策定されている栄養素 ) ビタミン A B 1 B 2 C カルシウム 鉄 マグネシウム 亜鉛等 ➎その他の栄養素 ( 目標量が策定されている栄養素 ) 食物繊維 ナトリウム ( 食塩 ) 等 ❶ 推定エネルギー必要量の求め方用意するものは 児童生徒の性 年齢別の身長である 推定エネルギー必要量 (kcal/ 日 )= 基礎代謝量 (kcal/ 日 ) 身体活動レベル 1+エネルギー蓄積量(kcal/ 日 ) 表 1のA 基礎代謝量 (kcal/ 日 )= 基礎代謝基準値 (kcal/kg 体重 / 日 ) 表 1 のB 体重 (kg) 2 給与エネルギー目標量 = 推定エネルギー必要量 (kcal/ 日 ) 33% 3 1) 身体活動レベルは 調査の結果から低学年 1.65 中学年以上は 1.7 を使用している 2) 体重は 平均体重を用いると集団の肥満 痩身者の割合に左右される可能性があるため 性 年齢別の身長の中央値から表 2 を用いて身長別標準体重を算出し 使用する 3) 学校給食は 1 日 3 食のうちの 1 食であるため 給与率は 1 日の 33% とする < 例 > 小学校 3 年生 8 歳男子身長の中央値 128.5cm の場合 1,918kcal=40.8kcal( 基礎代謝基準値 ) 27.3kg( 標準体重 ) 1.7( 身体活動レベル )+25kcal( エネルギー蓄積量 ) 1,918kcal(8 歳男子の推定エネルギー必要量 ) 33%=633kcal(8 歳男子の学校給食の給与エネルギー量 ) 性 年齢別に推定エネルギー必要量を計算し 低学年 (6-7 歳男女 ) 中学年(8-9 歳男女 ) 高学年(10-11 歳男女 ) 中学生(12-14 歳男女 ) の年齢区分で平均する 男女差が大きい場合は男女の比率も考慮する 学校給食は 小学校は中学年 中学校は 2 学年の給与栄養目標量に基づき献立作成を行うため 主食 牛乳を除いたエネルギー量の率で案分し 副食材料の購入量及び配食量を決定する この倍率は 米飯やパンの量及び回数によって異なるので 各学校等の実態に合わせて計算する 副食の配食量 (kcal)=( 年齢区分での推定エネルギー必要量 )-( 主食のエネルギー + 牛乳のエネルギー ) 中学年を1とすると 低学年は 倍 高学年は 倍 中学校 2 年を1とすると1 年 倍 3 年 を目安とする ( 学校によって異なるが 倍の例示としては 低学年 0.85 倍 高学年 1.2 倍など ) ➋たんぱく質 ➌ 脂質給与栄養目標量の求め方推定エネルギー必要量から エネルギー比率でたんぱく質 脂質の給与量を定める PFC 比率 (P: たんぱく質 12~20% F: 脂質 25~30% C: 炭水化物 50~70%) < 例 > たんぱく質のエネルギー比率を 15% とするならば 中学年推定エネルギー必要量 640kcal として 640kcal 15%=96kcal たんぱく質 1g は 4kcal の熱量を出すので 96kcal 4kcal=24 g となる

脂質のエネルギー比率 27% とするならば 中学年推定エネルギー必要量 640kcal として 640 kcal 27%=172kcal 脂質 1g は 9kcal の熱量を出すので 172kcal 9=19g となる ➍その他の栄養素 ( ビタミン A B 1 B 2 C カルシウム 鉄 マグネシウム 亜鉛) ➎その他の栄養素 ( 食物繊維 ナトリウム ( 食塩相当量 ) の給与栄養目標量の求め方給与栄養目標量を定めるに当たっての留意事項 1) 児童生徒の栄養摂取状況を把握したうえで 家庭で不足する栄養素を学校給食で補うように努める必要がある 本稿では ( 独 ) 日本スポーツ振興センター 平成 22 年度児童生徒の食事状況等調査 を用いることとする 2) 推奨量は 98% の人が充足する値であることや加熱による損耗等を考慮して 図 1 のとおり 推奨量よりやや高めの値を目指すこととする 耐用上限量は 過剰摂取によって健康障害のリスクが高まる値であるから なるべく近づかない値とする 1 ナトリウム ( 食塩相当量 ) 図 1 表 3 のとおり ナトリウム ( 食塩相当量 ) の摂取は目標量を上回っているため さらに減塩に努める必要がある 学校給食摂取基準では 男女の目標量を平均し その 33% 未満を基準値としている なお 食事摂取基準 (2015 年版 ) ではさらに目標量が下がっている 2 カルシウム家庭での摂取量が著しく少ないので 学校給食で補てんするという観点から 1 日の推奨量の 50% を基準値としているが 可能な限り学校給食で補填するとともに 家庭に対しカルシウムの摂取増に向けた啓発が求められる 3 鉄鉄は摂取しづらい栄養素であり 家庭の不足分を学校給食で補うには限界があることから 男女の推奨量を平均し 約 33% を基準値としている 更に可能な限り家庭の不足分を補う必要がある 4 ビタミン A 推定平均必要量以下の者は 給食のある日は 20% 以下であるか 給食のない日は 50% 程度となっている このため幼児 小学校は 1 日の推奨量の 33% 中学校は中央値が推奨量を下回っているため中学校以上は 1 日の推奨量の 40% を基準値としている 更に可能な限り家庭の不足分を補う必要がある 5 ビタミン B 1 推定平均必要量以下の不足者が多い上にビタミン B 1 が日本人にとって欠乏しやすい栄養素であることを考慮し 1 日の推奨量の約 40% を基準値としている 6 ビタミン B 2 給食のある日は小 中学校及び男女共に中央値が推奨量以上であるが 給食のない日は推奨量を下回っていることから 1 日の推奨量の約 40% を基準値としている 7 ビタミン C 推定必要量以下の不足者は 小学校では 20% 以下 中学校は約 30% 中学校の給食のない日に若干の不足傾向が見られるものの 調査の中央値が推奨量に近いことから 1 日の推奨量の 33% を基準値とする しかし 熱による損耗を考慮し 推奨量より多い値を給与量としたい

8 食物繊維給食のある日で 6~7g 給食のない日は 5~6g の摂取に止まっており 摂取しづらい栄養素である 食事摂取基準 2015 年版においては 6 歳以上で食物繊維の目標量が示されたが ( 表 4) 学校給食摂取基準では その 33% を上回る基準値となっている 9 マグネシウム学校給食摂取基準では カルシウムの摂取とのバランスを考慮するとともに 摂取状況が推奨量より若干下回っていることから 家庭における摂取不足を補うため 1 日の推奨量の約 50% の摂取を求めている 10 亜鉛学校給食において推奨量の 33% 程度は摂取されているため 学校給食摂取基準では 1 日の推奨量の 33% の給与を求めている 更に可能な限り家庭の不足分を補う必要がある 2 各児童生徒に応じた配食の工夫 1で算出したEERはあくまでも 各学校等の平均値であり 学年 学級が同じでも, 児童生徒の性 体位 活動量は異なり 個々の児童生徒にとってエネルギーや栄養素の必要量は同一ではない このため EERによって児童生徒をグループ化し 主食の量で調節するなどの工夫が必要である ( 図 2) この際 たんぱく質 脂質はエネルギー比率で求めてあるため 範囲 ( たんぱく質 12~20% 脂質 25~30%) から外れる場合は主菜の量でも調節を行う必要がある ( 表 5) 表 5 エネルギーの増減によりエネルギー比率が増減する場合 図 2 米飯の盛り付け例 3 ハイリスク者に対する個別対応および指導身体測定の結果から 肥満 ( 肥満度 * 20% 以上 ) や痩身 ( 肥満度 * -20% 以下 ) または習慣的な給食の摂取状況から 食べ足りない や 食べ過ぎ の児童生徒を抽出し 成長曲線から大きく外れる児童生徒は個別指導の対象となる 児童生徒本人や保護者への改善指導および食育につなげ ハイリスク者の改善を図る必要がある ( 図 3) 学校保健安全法 9 条には児童生徒に 健康上の問題があると認めるときは 遅滞なく 当該児童に対して必要な指導を行うとともに 必要に応じ その保護者に対して必要な助言を行うものとする と示されている * 体重の評価 :18 歳以上は BMI で行うが,17 歳以下は肥満度で行う 肥満度 (%)= ( 実測体重 (kg)- 身長別標準体重 (kg)) 100(%) 身長別標準体重 (kg)

図 3 児童の肥満度分布例 表 1 基礎代謝基準値 エネルギー蓄積量 ( 年齢 性別 ) エネルギー蓄積量 A 基礎代謝基準値 B (kcal / 日 ) (kcal/kg 体重 / 日 ) 年齢 男性 女性 男性 女性 3~5 歳 10 10 54.8 52.2 6~7 歳 15 20 44.3 41.9 8~9 歳 25 30 40.8 38.3 10~11 歳 40 30 37.4 34.8 12~14 歳 20 25 31.0 29.6 15~17 歳 10 10 27.0 25.3 厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2015 年版 表 2 身長別標準体重を求める係数と計算式男子女子 年齢 係数 a b 係数 a b 年齢 5 0.386 23.699 5 0.377 22.750 6 0.461 32.382 6 0.458 32.079 7 0.513 38.878 7 0.508 38.367 8 0.592 48.804 8 0.561 45.006 9 0.687 61.390 9 0.652 56.992 10 0.752 70.461 10 0.730 68.091 11 0.782 75.106 11 0.803 78.846 12 0.783 75.642 12 0.796 76.934 13 0.815 81.348 13 0.655 54.234 14 0.832 83.695 14 0.594 43.264 15 0.766 70.989 15 0.560 37.002 16 0.656 51.822 16 0.578 39.057 17 0.672 53.642 17 0.598 42.339 * 身長別標準体重 (kg)=a 実測身長 (cm)-b 出典 : 文部科学省スポーツ 青少年局学校健康教育課監修 日本学校保健会編 児童生徒の健康診断マニュアル ( 平成 27 年度改訂版 )

表 3 ナトリウムの摂取量 ( 食塩相当量 g)(g/ 日 ) 目標量 (2015 年版 ) 給食のある日 給食のない日 性 男子 女子 男子 女子 男子 女子 10 歳 6.5 未満 7.0 未満 8.6 8.4 8.4 8.3 13 歳 8.0 未満 7.0 未満 9.0 8.8 9.0 8.2 表 4 食物繊維の食事摂取基準 (g/ 日 ) 性別 男性 女性 年齢 目標量 目標量 6-7 歳 11 以上 10 以上 8-9 歳 12 以上 12 以上 10-11 歳 13 以上 13 以上 12-14 歳 17 以上 16 以上 15-17 歳 19 以上 17 以上 日本人の食事摂取基準 (2015 年版 )