Microsoft Word - Ⅰ-4.用法用量(2013)

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減量・コース投与期間短縮の基準

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

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PowerPoint プレゼンテーション

総論 2 腎不全患者に特徴的な薬物動態の変化 薬効 薬物名 商品名 尿中排泄率 (%) 副作用 リバビリン レベトール 50 骨髄抑制, 意識障害 禁忌 アマンタジン シンメトレル 90 不穏, せん妄, 幻視 禁忌 抗ウイルス薬 オセルタミビル タミフル 70( 活性代謝物 99 悪心, 嘔吐,

DRAFT#9 2011

院外処方箋の検査値活用法につ??

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

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スライド 1

(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

BSA(m 2 )= 体重 (kg) 身長 (cm) =1.27m 2 となり 173.6mL/min/1.73m 2 を 1.27m 2 である患者個人の腎機能に換算 ( で補正を外すと ) すると 127.4mL/min になりますが これでも実測 CCr

DRAFT#9 2011

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44 11: 急性中耳炎 35~40Kg クラバモックス小児用配合ドライシロップ 636.5mg( 分包製剤 ) g 1: 内服 34:1 日 2 回朝夕食直前に 5 分包製剤にて 45 11: 急性中耳炎 40Kg~ クラバモックス小児用配合ドライシロップ 636.5mg( 分包製

H27ヒヤリ・ハット年報本文.indb

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

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モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

者における XO 阻害薬の効果に影響すると予測される 以上の議論を背景として 本研究では CKD にともなう FX および尿酸の薬物体内動態 ( PK ) 変化と高尿酸血症病態への影響を統合的に解析できる PK- 薬力学 (PD) モデルを構築し その妥当性を腎機能正常者および CKD 患者で報告さ

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④資料2ー2

TDM研究 Vol.26 No.2

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

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患者向医薬品ガイド フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg 2016 年 5 月作成 この薬は? 販売名 フィコンパ錠 2mg フィコンパ錠 4mg Fycompa Tablets 2mg Fycompa Tablets 4mg 一般名 ペランパネル水和物 Perampanel Hydrate

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学術委員会学術第 1 小委員会 慢性腎臓病(CKD) 患者への適正な薬物療法に関する調査 研究 ~ 腎機能低下患者への投与に関係する添付文書記載の問題点の調査 ~ 委員長東京薬科大学薬学部医療実務薬学教室竹内裕紀 Hironori TAKEUCHI 委員白鷺病院薬剤科和泉智 Satoshi IZUM

福岡大学薬学部薬学疾患管理学教授

腎機能を有効かつ安全な薬物療法に活かす

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審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

Cpk=36.5 μg/ml =0.99 meq/l Cav=27.9 μg/ml =0.75 meq/l Ctr=20.7 μg/ml = 0.56 meq/l 4) 躁病治療の有効血中濃度は 0.3~1.2mEq/L であるが この投与量で治療効果が得られるか? Li は 2 分子含まれているの

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薬物動態開発の経緯 特性製品概要臨床成績副作用 mgを空腹時に単回経口投与副作用また 日本人及び白人健康成人男性において アピキサバン 薬物動態薬物動態非臨床試験に関する事項非臨床試験に関する事項1. 血中濃度 (1) 単回投与 (CV185013) 11) 日本人健康成人男性

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すとき, モサプリドのピーク面積の相対標準偏差は 2.0% 以下である. * 表示量 溶出規格 規定時間 溶出率 10mg/g 45 分 70% 以上 * モサプリドクエン酸塩無水物として モサプリドクエン酸塩標準品 C 21 H 25 ClFN 3 O 3 C 6 H 8 O 7 :

選択した 薬剤から表示される処方内容 44 5: 気管支喘息 12 歳 ~ アドエア 50 エアゾール 120 吸入用 12.0g 瓶 3: 外用 4:1 日 2 回 1 1 回 2 吸入 45 5: 気管支喘息 9 歳アドエア 50 エアゾール 120 吸入用 12.0g 1.00

腎薬ニュース第 5 号 (2007 年 6 月 ;2012 年 1 月加筆修正 ) 熊本大学薬学部臨床薬理学分野平田純生 添付文書どおり腎機能に基づいた投与量にしても起こるアシクロビル中毒の原因は? 1. アシクロビル中毒の症状は? 慢性腎臓病 (CKD) 患者に頻発するアシクロビル バラシクロビル

Epilepsy2015

本書の読み方 使い方 ~ 各項目の基本構成 ~ * 本書は主に外来の日常診療で頻用される治療薬を取り上げています ❶ 特徴 01 HMG-CoA 代表的薬剤ピタバスタチン同種同効薬アトルバスタチン, ロスバスタチン HMG-CoA 還元酵素阻害薬は主に高 LDL コレステロール血症の治療目的で使 用

2 成分が同一の剤形変更 例 タケプロンOD 錠 15mg タケプロンカプセル 15mg ユリーフOD 錠 4mg ユリーフ錠 4mg コカールドライシロップ 40% カロナール細粒 20% ( 粉砕 ) レボフロキサシン錠 500mg レボフロキサシン細粒 10% 患者に説明 ( 価格 服用方法等

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Ⅰ One-compartmentmodel( 静脈内急速投与 ) [ シミュレーション実験上の全般的注意点 ] 実習書をよく読み 適切な器具 ( フラスコ, メスシリンダー ) を使用する の流速を 実際の実験状態に近い位置で 別々にしっかりと合わせる ( 最低 3 回 ) 精製水の補給用のチュー

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医療用医薬品最新品質情報集 ( ブルーブック ) 初版有効成分リトドリン塩酸塩 品目名 ( 製造販売業者 ) 後発医薬品 品目名 ( 製造販売業者 ) 先発医薬品 効能 効果用法 用量添加物 1) 解離定数 (25 ) 1) 溶解度 (37 ) 1 ウテロン錠 5mg サンド 2

TDMを活用した抗菌薬療法

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

P001~017 1-1.indd

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未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

STEP 1 検査値を使いこなすために 臨床検査の基礎知識 検査の目的は大きく 2 つ 基準範囲とは 95% ( 図 1) 図 1 基準範囲の考え方 2

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

調剤内規

3 病床数 施設 ~19 床 床 床以上 284 (3 施設で未回答 ) 4 放射線専門医数 ( 診断 治療を含む ) 施設 ~5 人 226 6~10 人 人

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

を用いる必要があります Du Bois の式を用いて体表面積を計算すると 3) BSA(m 2 )= 体重 (kg) 身長 (cm) =1.27m 2 となり 173.6mL/min/1.73m 2 を 1.27m 2 である患者個人の腎機能に換算 ( で補正

抗精神病薬の併用数 単剤化率 主として統合失調症の治療薬である抗精神病薬について 1 処方中の併用数を見たものです 当院の定義 計算方法調査期間内の全ての入院患者さんが服用した抗精神病薬処方について 各処方中における抗精神病薬の併用数を調査しました 調査期間内にある患者さんの処方が複数あった場合 そ

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医療用医薬品最新品質情報集 ( ブルーブック ) 初版 有効成分 ニカルジピン塩酸塩 品目名 ( 製造販売業者 ) 1 ニカルジピン塩酸塩徐放カプセル20mg 日医工 日医工 後発医薬品 2 ニカルジピン塩酸塩徐放カプセル40mg 日医工 日医工 品目名 ( 製造販売業者 )

スライド 1

分類

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

2006 PKDFCJ

から (3) までの具体的な予定については添付 2 の図のとおりですので申し添 えます

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

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1. 今回の変更に関する整理 効能 効果及び用法 用量 ( 添付文書より転載 ) 従来製剤 ( バイアル製剤 ) と製法変更製剤 ( シリンジ製剤 ) で変更はない 効能 効果 用法 容量 B 型肝炎の予防通常 0.5mL ずつ4 週間隔で2 回 更に 20~24 週を経過した後に1 回 0.5mL

審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

生理学 1章 生理学の基礎 1-1. 細胞の主要な構成成分はどれか 1 タンパク質 2 ビタミン 3 無機塩類 4 ATP 第5回 按マ指 (1279) 1-2. 細胞膜の構成成分はどれか 1 無機りん酸 2 リボ核酸 3 りん脂質 4 乳酸 第6回 鍼灸 (1734) E L 1-3. 細胞膜につ

Microsoft Word - 付表(使い方).doc

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

薬物動態開発の経緯 特性製品情報(3) 薬物動態に対する食事の影響 ( 外国人データ )(B66119)12) 品情報臨床成績臨床成績薬物動態薬物動態薬効薬理薬効薬理一般薬理 毒性一般薬理 毒性(2) 反復投与 (CV18546) 11) 日本人健康成人男性 6 例に アピキサバン 1 回 2.5

2017 年 9 月 画像診断部 中央放射線科 造影剤投与マニュアル ver 2.0 本マニュアルは ESUR 造影剤ガイドライン version 9.0(ESUR: 欧州泌尿生殖器放射線学会 ) などを参照し 前マニュアルを改訂して作成した ( 前マニュアル作成 2014 年 3 月 今回の改訂

グリコペプチド系 >50( 常用量 ) 10~50 <10 血液透析 (HD) 塩酸バンコマイシン散 0.5g バンコマイシン 1 日 0.5~2g MEEK 1 日 4 回 オキサゾリジノン系 ザイボックス錠 600mg リネゾリド 1 日 1200mg テトラサイクリン系 血小板減少の場合は投与

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

Microsoft Word - Ⅱ-1~4.調剤

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(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

2018 年 5 に 総論編 が発出

緒言

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

審査結果 平成 26 年 1 月 6 日 [ 販 売 名 ] ダラシン S 注射液 300mg 同注射液 600mg [ 一 般 名 ] クリンダマイシンリン酸エステル [ 申請者名 ] ファイザー株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 8 月 21 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 7

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3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

鑑-H リンゼス錠他 留意事項通知の一部改正等について

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

使用上の注意改訂のお知らせ スピーゲル

メディカルスタッフのための腎臓病学2版

本品約2g を精密に量り、試験液に水900mLを用い、溶出試験法第2法により、毎分50回転で試験を行う

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Ⅰ-4. 患者の特性 病態と用法 用量 (1) 医薬品の用法 用量および投与計画 (1)- 1 医療現場での医薬品の用法 用量決定の位置づけ薬剤の選択 1 回投与量投与間隔 (1 日に何回投与するか?) (1)- 2 医薬品の用法 用量の根拠 1) 製薬メーカーによる用法 用量の探索 2) 薬剤処方時の用法 用量の検討生理機能 ( 肝機能 腎機能 ) 身体的特性( 身長 体重 ) 年齢 ( 小児 高齢者 etc) 病態 疾患の重症度生活スタイル併用薬 サプリメントの摂取などなどのことを考慮 練習問題 問 1 内服薬と注射薬との長所と短所を述べなさい 問 2 1 日 3 回食後すぐ の飲み方の薬が多いのはなぜですか?

3) 用法 用量と関係する各薬物動態パラメータ バイオアベイラビリティー (F) クリアランス (CL) 消失半減期 (t 1/2 ) 消失速度定数 (ke) 分布容積 (Vd) 血清タンパク結合率など 4) 制限量医療用医薬品添付文書の 用法 用量 の項における投与量に関する制限的な記載 1 日量や1 回量での記載や 高齢者や小児に対する記載など 薬品ごとに異なる 1 日最高投与量は までとする ~ まで投与することができる 高齢者に対しては までとする ( 例 ) グリベンクラミド オイグルコン 通常 1 日量グリベンクラミドとして 1.25 mg~2.5 mg を経口投与し 必要に応じ適宜増量して維持量を決定する ただし 1 日最高投与量は 10 mg とする 投与方法は 原則として 1 回投与の場合は朝食前又は後 2 回投与の場合は朝夕それぞれ食前又は食後に経口投与する その他 トリアゾラム ハルシオン エチゾラム デパス 塩化カリウム静注用 リドカイン静注用などにも注意! 5) 添付文書における用法 用量の記載 各医薬品の用法 用量については 添付文書の 用法 用量 の項に記載されている 6) 用法 用量に特徴のある医薬品 A: 服用時間に指定がある薬剤 B. 決まった時間に服用されていることが推奨されている薬剤 C. 治療目的により 用量が異なる薬剤 7) 服用法相互作用や品質変化を避けるためにコップ一杯程度の水や白湯で飲むのが最適 ただし 口腔内崩壊錠は 水がなくとも唾液で服用することができる 例 ) ベイスン OD 錠ガスター D 錠タケプロン OD 錠 (2) 患者の特性に適した用法 用量 (2)- 1 年齢と名称の関係新生児 : 出生後 ~4 週間未満乳児 : 4 週間以上 ~1 歳未満幼児 : 1 歳以上 ~7 歳未満小児 : 7 歳以上 ~15 歳未満高齢者 : 65 歳以上

(2)- 2 新生児 幼児 小児 1) 吸収胃内 ph は高い (3 歳ぐらいまでには成人と同じ酸性度 ) 胃内容排泄速度は遅い ( 生後 6~8か月で成人の値になる ) 2) 分布 新生児 成人 体内水分量 / 体重 約 80% 約 60% 細胞外液量 / 体重 40% 以上 20% 以下 3) 肝代謝 肝重量 / 体重 : 新生児 > 成人 ( 約 2 倍 ) 薬物代謝酵素活性 / 肝重量 : 新生児 < 成人 ( 約 20%) 生後数週間で急速に上昇 乳児 幼児 成人 代謝クリアランス / 体重 : 新生児 < 成人 : 乳児 幼児 > 成人 4) 腎排泄糸球体ろ過速度 (GFR): 新生児 < 成人 (20~30%) 生後 3~5か月で成人の値腎血流量 : 新生児 < 成人 (20~30%) 生後 5~12 か月で成人の値になる (2)- 3 高齢者 1) 生理機能加齢とともに生理機能は低下 2) 吸収 胃酸分泌の低下 胃内 ph の上昇 胃内容排出速度の低下 3) 分布体脂肪の増加 総体液量 除脂肪体重の低下 脂溶性薬物 分布容積の増加水溶性薬物 分布容積の減少 4) 腎排泄腎ネフロン数の減少 糸球体ろ過速度 腎血流量の年齢依存的な減少 5) 肝代謝 肝血流量 肝重量 肝機能は低下する傾向がある 肝固有クリアランスは低下する可能性 があるが 腎機能ほど顕著ではない 6) 薬物に対する感受性の変化 ( 薬力学的変化 )

(3) 患者の特性に適した用量の計算 (3)- 1 小児用量 1) 用量の換算小児用量 = 成人用量 年齢 /( 年齢 +12) (Young の式 ) 小児用量 = 成人用量 ( 小児の体表面積 / 成人の体表面積 ) (Crawfordの式) 小児用量 = 成人用量 ( 年齢 4+20)/100 (Augsberger の式 ) 年齢 1~3 か月 6 カ月 1 歳 3 歳 7 歳 12 歳成人 用量比 1/6 1/5 1/4 1/3 1/2 2/3 1 (von Harnack の換算表 ) 体表面積の意義細胞外液量の変化に平行し 年齢とともに変化するさまざまな生理機能 ( 心拍出量 糸球体ろ過量 循環血液量 ) などともよく相関する (3)- 2 用量補正体重補正 ( 実体重 理想体重 (kg): IBW (Ideal body weight) = 22 身長 2 m) 体表面積補正 ( 特に 抗がん剤投与時には重要 ) 算出法 :DuBois の式 藤本の式 蔵澄の式 DuBois の式 : 体表面積 (mm 2 0.425 0.725 )= 体重 kg 身長 cm 7.18 10-3 (3)- 3 薬物排泄能に対する補正 腎機能の評価 クレアチニンクリアランス (Ccr) 値

1) Ccr の理論とその測定の意義薬物 体外から投与されるクレアチニン 筋肉成分のクレアチンの老廃物 ( 代謝産物 ) で 筋肉から持続的に血管内に流入する クレアチニンは 代謝されることなく糸球体ろ過されて尿中に排泄される尿細管からの分泌される割合も少ない Ccr は糸球体ろ過速度 ( 腎血流量 ) の指標 腎機能の指標 2) Ccr の測定または推定法 実測法 (24 時間蓄尿法 ) 血中クレアチニン濃度 Ccr = クレアチニンの尿中排泄量 = 尿量 尿中クレアチニン濃度 Ccr = 尿量 尿中クレアチニン濃度 / 血中クレアチニン濃度 尿量は24 時間蓄尿したものを用いることが多い ただし 単位に気をつけること! Cockcroft-Gault の式男性 : Ccr (ml/min) = (140- 年齢 ) 体重 (kg)/(72 血清クレアチニン濃度 mg/dl) 女性 : 男性の Ccr 値 0.85 日本腎臓学会の推奨式(eGFR) 男性 : Ccr (ml/min/1.73 m 2-0.287-1.094 ) = 194 年齢 ( 血清クレアチニン濃度 mg/dl) 女性 : 男性の Ccr 値 0.739 体表面積は 体重と身長から換算 (4) 病態に適した用量設定 (4)- 1 クリアランスクリアランスの概念を応用した維持用量の設定全身クリアランス = 腎クリアランス + 腎外クリアランス ( 腎外クリアランス 肝クリアランス ) 全身クリアランス 腎クリアランス + 肝クリアランス ( 腎クリアランス a Ccr) (a: 係数 ) 薬物の腎クリアランスは Ccr に比例する全身クリアランス a Ccr + 肝クリアランス (4)- 2 腎障害時の投与設計 Ccr 値に基づく投与設計 対象となる薬物の腎クリアランスが全身クリアランスに占める割合 ( 薬物の体内からの消失が 腎クリアランスにどの程度依存しているか 薬物が腎排泄型か肝代謝型か?) 対象患者の腎機能はどの程度か? (Ccr 値が健常者 (Ccr: 約 100 ml/min) と比較して どの程度低下しているか?)

(5) 調剤の実践 成分量から製剤量への換算 ( 調剤に必須 ) 製剤量から成分量への換算 ( 用量チェックに必要 ) 散薬 100 mg/g 散 10 % 散 10 mg/g 散 1 % 散 1 mg/g 散 0.1 % 散 水薬 100 mg/ml 液 10 % 液 10 mg/ml 液 1 % 液 1 mg/ml 液 0.1 % 液 フェノバルビタール (10 %) 散フェノバルビタール散 10 % 10 % フェノバルビタール散フェノバルビタール (100 mg/g) 散 これらは同じものです 例 : フェノバルビタール (100 mg/g) 散 1 回 0.2 g (1 日 0.6 g) ( 製剤量として ) 1 日 2 回朝夕食後 14 日分 ( 調剤 ) 0.6 g 14 日分 =8.4 g を秤量 必要に応じて賦形剤を加える 例 : フェノバルビタール (100 mg/g) 散 1 回 40 mg (1 日 80 mg) ( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 14 日分 ( 調剤 ) 1 日分の製剤量 :80 mg (100 mg/g)=0.8 g 0.8g 14 日分 =11.2 g を秤量 必要に応じて賦形剤を加える 例 : ペリアクチンシロップ (0.04 %) 塩酸シプロヘプタジン 1 回 2 mg (1 日 6 mg) ( 成分量として ) 1 日 3 回朝昼夕食後 3 日分 ( 調剤 ) 塩酸シプロヘプタジンシロップの成分含有量 :0.4 mg/ml 1 日分の製剤量 :6 mg (0.4 mg/ml)=15 ml 15 ml 3 日分 =45 ml を秤量 必要に応じて水などを加える

Q 次の処方に記載された薬剤および乳糖の秤取量を計算しなさい なお 1 日の服用薬用量が 0.5 g 未満の時には 1 日分あたり賦形剤として乳糖 0.5g を加えるものとする 処方 1 アレビアチン 10 % 散 フェニトイン 1 回 1.25 g (1 日 2.5 g) ( 製剤量として ) 1 日 2 回朝夕食後 7 日分 2.5g 7=17.5 g を秤量 処方 2 アレビアチン 10 % 散 フェニトイン 1 回 100 mg (1 日 200 mg) ( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 5 日分 0.2 g /0.1 5=10 g を秤量 処方 3 ジゴシン散 0.1 % ジゴキシン 1 回 0.09 mg (1 日 0.09 mg)( 成分量 ) 1 日 1 回朝食後 14 日分 0.09 mg /0.001 14=0.09 g 14 = 1.26 g を秤量 乳糖 (0.5g-0.09g) 14=0.41 g 14 = 5.74 g を別解 : 乳糖 0.5 g 14 日 1 回 - 1.26 g = 5.74 g 処方 4 テグレトール (500 mg/g) 細粒 カルバマゼピン 1 回 90 mg (1 日 180 mg)( 原薬量として ) 1 日 2 回朝夕食後 30 日分 処方 5 セレニカ R 顆粒 40 % バルプロ酸ナトリウム 1 回 220 mg (1 日 440 mg)( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 60 日分 30=0.36 g 30 = 10.8g を秤量 乳糖 0 乳糖 (0.5g-0.36g/2 回 ) 30 2 回 = 0.32 g 30 2 回 = 0.32 g 60 = 19.2g を秤量 別解 : 乳糖 0.5 g 30 日 2 回 10.8g = 19 処方 6 メジコン (100 mg/g) 散 臭化水素酸デキストロメトルファン 1 回 15 mg (1 日 45 mg) ( 成分量として ) 1% リンコデ散 リン酸コデイン 1 回 20 mg (1 日 60 mg) ( 成分量として ) 1 日 3 回朝昼夕食後 14 日分

処方 7 ラシックス細粒 4 % フロセミド 1 回 10 mg (1 日 20 mg) ( 成分量として ) アルダクトン A 細粒 10 % スピノロラクトン 1 回 7.5 mg (1 日 15 mg) ( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 14 日分 処方 8 ラシックス 4% 細粒 フロセミド 1 回 5 mg (1 日 10 mg) ( 成分量として ) アルダクトン A (100 mg/g) 細粒 スピノロラクトン 1 回 4 mg (1 日 8 mg) ( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 30 日分 処方 9 ランドセン細粒 0.1% クロナゼパム 1 回 0.4 mg (1 日 0.8 mg) ( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 90 日分 処方 10 カマグ 重質酸化マグネシウム 便秘時 10 回分 1 回 0.5 g 処方 11 ムコダイン細粒 (500 mg/g) 1 回 66.6 mg (1 日 200 mg) ( 成分量として ) ムコソルバンドライシロップ 1.5% 1 回 2 mg (1 日 6 mg) ( 成分量として ) 1 日 3 回朝昼夕食後 14 日分 処方 12 オノンドライシロップ (100 mg/g) 1 回 75 mg (1 日 150 mg) ( 成分量として ) テオドールドライシロップ 20% 1 回 100 mg (1 日 200 mg) ( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 14 日分

Q 次の処方に記載された薬剤の秤取量を計算しなさい 処方 1 ペリアクチンシロップ 0.04 % 塩酸シプロヘプタジン 1 回 1.33 ml(1 日 4 ml) ビソルボンシロップ 0.08 % 塩酸ブロムヘキシン 1 回 1 ml (1 日 3 ml) 1 日 3 回朝昼夕食後 7 日分 処方 2 ペリアクチンシロップ 0.04 % 塩酸シプロヘプタジン 1 回 0.6 mg (1 日 1.8 mg)( 成分量として ) ビソルボンシロップ 0.08 % 塩酸ブロムヘキシン 1 回 0.8 mg (1 日 2.4 mg)( 成分量として ) 1 日 3 回朝昼夕食後 7 日分 処方 3 ポララミンシロップ 0.04 % D -マイレン酸クロルフェニラミン 1 回 2 mg (1 日 6 mg)( 成分量として ) アスベリンシロップ 0.5 % ヒベンズ酸チペピジン 1 回 8 mg (1 日 24 mg)( 成分量として ) ムコダインシロップ 5 % L-カルボシステイン 1 回 100 mg (1 日 300 mg)( 成分量とて ) 1 日 3 回毎食後 3 日分 処方 4 ジゴシンエリキシル 0.005 % ジゴキシン 1 回 0.04 mg (1 日 0.08 mg)( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 2 日分 処方 5 リンデロンシロップ 0.01% ベタメタゾン 1 回 2 mg ( 成分量として ) 1 日 1 回朝食後 3 日分 処方 6 アルロイド G 5% 液 アルギン酸ナトリウム 1 回 20 ml 1 日 3 回朝昼夕食後 7 日分

処方 7 ブロチンシロップ 桜皮エキス製剤 1 回 2 ml (1 日 6 ml) 単シロップ 1 回 3 ml (1 日 9 ml) ムコダインシロップ 50 mg/ml L-カルボシステイン 1 回 100 mg (1 日 300 mg) ( 成分量として ) 1 日 3 回朝昼夕食後 3 日分 処方 8 デパケンシロップ 50 mg/ml バルプロ酸ナトリウム 1 日 3 回朝昼夕食後 7 日分 1 回 3 ml (1 日 9 ml) 処方 9 ジゴシンエリキシル 0.05 mg/ml ジゴキシン 1 回 0.04 mg (1 日 0.08 mg) ( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 10 日分 処方 10 リンデロンシロップ 0.1 mg/ml ベタメタゾン 1 回 3 mg ( 成分量として ) 1 日 1 回朝食後 5 日分 処方 11 フェノバールエリキシル 0.4% 1 回 20 mg (1 日 40 mg) ( 成分量として ) 1 日 2 回朝夕食後 4 日分 処方 12 ポンタールシロップ 32.5% 1 回 130 mg 6 回分疼痛時 1 日 2 回まで服用可 ( ただし 6 時間以上あけること )