ディスク拡散法によるバンコマイシン耐性型の推定 Multiplex PCR 法によるバンコマイシン耐性遺伝子の検出 薬剤耐性緑膿菌 感染症法上の定義 多剤耐性緑膿菌の耐性メカニズムとその

Similar documents
耐性菌届出基準

2

「薬剤耐性菌判定基準」 改定内容



名称未設定

syoku10_10.indd

浜松地区における耐性菌調査の報告

スライド タイトルなし

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

2

2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

<4D F736F F F696E74202D F78BA65F838C C A E815B89EF8B6396F28DDC91CF90AB8BDB5F >

2015 年 9 月 30 日放送 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) はなぜ問題なのか 長崎大学大学院感染免疫学臨床感染症学分野教授泉川公一 CRE とはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 以下 CRE 感染症は 広域抗菌薬であるカルバペネム系薬に耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌などの いわゆる

地方衛生研究所におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌検査の現状 薬剤耐性研究センター 第 1 室 鈴木里和

R01

腸内細菌科細菌 Enterobacteriaceae Escherichia coli (大腸菌) Klebsiella sp. (K. pneumoniae 肺炎桿菌など) Enterobacter sp. (E. cloacaeなど) Serratia marcescens Citrobacte

スライド 1

技術論文 Daptomycin の Etest 法による MIC 測定における 精度管理の重要性および問題点 中島 英恵 1) 1) 長野市民病院臨床検査科 長野県長野市富竹 要 旨 ダプトマイシン DAP 非感性株を含む Staphylococcus aureus

Table 1. Antimicrobial drugs using for MIC

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

PowerPoint プレゼンテーション

日本化学療法学会雑誌第61巻第6号

公開情報 2016 年 1 月 ~12 月年報 ( 全集計対象医療機関 ) 院内感染対策サーベイランス検査部門 Citrobacter koseri Proteus mirabilis Proteus vulgaris Serratia marcescens Pseudomonas aerugino

目 次 1. はじめに 1 2. 組成および性状 2 3. 効能 効果 2 4. 特徴 2 5. 使用方法 2 6. 即時効果 持続効果および累積効果 3 7. 抗菌スペクトル 5 サラヤ株式会社スクラビイン S4% 液製品情報 2/ PDF

Microsoft PowerPoint - 茬囤æ—�告敧検æ�»çµ’果ㆮèª�ㆿ挹ㆨ活çfl¨æŒ¹æ³Łï¼‹JANISã…⁄ㅼㇿ説柔ä¼ıï¼› æ‘’å⁄ºçfl¨

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

R06_01

化学療法2005.ppt

日本化学療法学会雑誌第64巻第4号

【v4】○新旧(届出基準のみ)


TaKaRa PCR Human Papillomavirus Typing Set

公開情報 7 年 月 ~ 月年報 ( 集計対象医療機関 床未満 ) 院内感染対策サーベイランス全入院患者部門 解説. データ提出医療機関数病床規模が 床未満の 7 年年報 (7 年 月 ~ 月 ) 集計対象医療機関数は 7 医療機関であり 前年より 7 医療機関増加した これは国内 5,79 医療機

公開情報 年 月 ~ 月年報 ( 集計対象医療機関 床以上 ) 院内感染対策サーベイランス全入院患者部門 解説. データ提出医療機関数病床規模が 床以上の 年年報 ( 年 月 ~ 月 ) 集計対象医療機関数は 646 医療機関であった これは国内,649 医療機関の 4.4% を占めていた. 新規感

 

DNA/RNA調製法 実験ガイド

公開情報 27 年 月 ~2 月年報 ( 全集計対象医療機関 ) 院内感染対策サーベイランス全入院患者部門 解説. データ提出医療機関数 27 年年報 (27 年 月 ~2 月 ) の集計対象医療機関数は 863 医療機関であり 前年より 医療機関増加した これは国内 8,2 医療機関の.2% を占

VOL.48 NO.7 lase negative staphylococci, Escherichia coli, Klebsiella spp., Citrobacter freundii, Enterobacter spp., indole-positive Proteus, Serratia

14-124a(全)   感染症法一部改正

PowerPoint プレゼンテーション

274 コバス TaqMan48 を用いた液体培地からの抗酸菌検出 澤村卓宏 1) 森部龍一 2) 社会医療法人大雄会第二医科学研究所 1) 社会医療法人大雄会総合大雄会病院 2) [ 目的 ] 我々はコバス TaqMan48( ロシュ ダイアグノステックス ) を用いた液体培地からの抗酸菌検出に関

事務引継(結核感染症課 神ノ田 → 前田)

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

新しい敗血症診断用検査薬を用いた遺伝子関連検査Verigene®の実施指針

<4D F736F F D D8ACC8D6495CF8AB38ED282CC88E397C38AD698418AB490F58FC782C982A882A282C48D4C88E E B8

<4D F736F F D204E6F2E342D F28DDC91CF90AB8BDB82C982C282A282C482CC C668DDA94C5816A F315F372E646F63>

THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 65 2 Apr NTT NTT

1. 腸管出血性大腸菌 (EHEC) の系統解析 上村健人 1. はじめに近年 腸管出血性大腸菌 (EHEC) による食中毒事件が度々発生しており EHEC による食中毒はその症状の重篤さから大きな社会問題となっている EHEC による食中毒の主要な汚染源の一つとして指摘されているのが牛の糞便である

でも2016 年 4 月に閣僚会議において 薬剤耐性 (AMR) 対策アクションプラン が取りまとめられ, 薬剤耐性サーベイランスが目標の1つとなり, それを担う主要機関としての地 1) 方衛生研究所の役割についても言及されている. また, わが国における薬剤耐性菌の状況,1980 年代 グラム陽性

Microsoft Word - 届出基準

LA PCR™i n vitro Cloning Kit

(別添)安全性未審査の組換えDNA技術応用食品の検査方法_NIHS 最終版_YF

85 表 2 外来 入院における主な耐性菌の検出率 (2014 年度 ) 菌名 外 来 入 院 MRSA/S. aureus 19.8%(100/506) 33.6%(300/893) VRE/E. faecium 0%(0/8) 0.5%(1/187) ESBL 産生菌 /E. coli 10.9

H26_大和証券_研究業績_C本文_p indd

新技術説明会 様式例

豚丹毒 ( アジュバント加 ) 不活化ワクチン ( シード ) 平成 23 年 2 月 8 日 ( 告示第 358 号 ) 新規追加 1 定義シードロット規格に適合した豚丹毒菌の培養菌液を不活化し アルミニウムゲルアジュバントを添加したワクチンである 2 製法 2.1 製造用株 名称豚丹

2 経験から科学する老年医療 上記 12 カ月間に検出された病原細菌総計 56 株中 Escherichia coli は 24 株 うち ESBL 産生菌 14 株 それ以外のレボフロキサシン (LVFX) 耐性菌 2 株であった E. coli 以外の合計は 32 株で 内訳は Enteroco

2017 年 2 月 27 日 Myco Finder バリデーションデータ 日水製薬株式会社 研究部

<4D F736F F F696E74202D2096F28DDC8AB48EF390AB8E8E8CB196402E >

プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー「抗菌薬①」(2016年4月27日)

(案の2)

割合が10% 前後となっています 新生児期以降は 4-5ヶ月頃から頻度が増加します ( 図 1) 原因菌に関しては 本邦ではインフルエンザ菌が原因となる頻度がもっとも高く 50% 以上を占めています 次いで肺炎球菌が20~30% と多く インフルエンザ菌と肺炎球菌で 原因菌の80% 近くを占めていま

■リアルタイムPCR実践編

2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好


<4D F736F F D20819A93CD8F6F8AEE8F FC90B38CE B6816A E646F63>

2 2 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 69 1 Feb Neisseria gonorrhoeae ceftriaxone CTRX % 2010 CTRX 20 FQ staphylococci, E. faecium, N.

CHEMOTHERAPY

Chromatin Immunoprecipitation (ChIP)

日本化学療法学会雑誌第59巻第6号

2012 年 11 月 21 日放送 変貌する侵襲性溶血性レンサ球菌感染症 北里大学北里生命科学研究所特任教授生方公子はじめに b 溶血性レンサ球菌は 咽頭 / 扁桃炎や膿痂疹などの局所感染症から 髄膜炎や劇症型感染症などの全身性感染症まで 幅広い感染症を引き起こす細菌です わが国では 急速な少子

Microsoft Word -

2


untitled

検査実施料新設のお知らせ


302 Mod-Hodge Test および CarbaNP 法によるカルバペネマーゼ産生腸内細菌検出に関する検討 中村竜也 1) 大沼健一郎 1) 小林沙織 1) 小林泰菜 1) 楠木まり 1) 矢野美由紀 1) 中村正邦 1) 林伸英 1) 国立大学法人神戸大学医学部附属病院 1) 目的 カルバ

プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー「総論」(2017年4月12日開催)

公開情報 2016 年 1 月 ~12 月年報 院内感染対策サーベイランス集中治療室部門 3. 感染症発生率感染症発生件数の合計は 981 件であった 人工呼吸器関連肺炎の発生率が 1.5 件 / 1,000 患者 日 (499 件 ) と最も多く 次いでカテーテル関連血流感染症が 0.8 件 /

<4D F736F F F696E74202D2088E397C396F28A778FA797E38FDC8EF68FDC8D DC58F4994C5205B8CDD8AB B83685D>

<4D F736F F F696E74202D2091BD8DDC91CF90AB8BDB82C982E682E98AB490F58FC FC816A2E >

感染制御ベーシックレクチャーQ&A 薬剤耐性菌

感染症学雑誌第77巻第8号

表紙/151708H

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

東京都健康安全研究センター研究年報

埼玉県調査研究成績報告書 ( 家畜保健衛生業績発表集録 ) 第 55 報 ( 平成 25 年度 ) 11 牛呼吸器病由来 Mannheimia haemolytica 株の性状調査 および同定法に関する一考察 中央家畜保健衛生所 荒井理恵 Ⅰ はじめに Mannheimia haemolytica

スライド 1

Taro-H24.10.jtd

家畜における薬剤耐性菌の制御 薬剤耐性菌の実態把握 対象菌種 食中毒菌 耐性菌の特徴 出現の予防 79

平成 18 年 4 月 13 日食品安全委員会決定 ( 平成 26 年 3 月 31 日最終改正 ) 食品を介してヒトの健康に影響を及ぼす細菌に対する抗菌性物質の重要度のランク付けについて 食品安全委員会は 家畜等への抗菌性物質の使用により選択される薬剤耐性菌の食品健康影響に関する評価指針 (200

第 88 回日本感染症学会学術講演会第 62 回日本化学療法学会総会合同学会採択演題一覧 ( 一般演題ポスター ) 登録番号 発表形式 セッション名 日にち 時間 部屋名 NO. 発表順 一般演題 ( ポスター ) 尿路 骨盤 性器感染症 1 6 月 18 日 14:10-14:50 ア

TDMを活用した抗菌薬療法

CHEMOTHERAPY

57巻S‐A(総会号)/NKRP‐02(会長あいさつ)

DNA 抽出条件かき取った花粉 1~3 粒程度を 3 μl の抽出液 (10 mm Tris/HCl [ph8.0] 10 mm EDTA 0.01% SDS 0.2 mg/ml Proteinase K) に懸濁し 37 C 60 min そして 95 C 10 min の処理を行うことで DNA


Bacterial 16S rDNA PCR Kit

Transcription:

病原体検出マニュアル薬剤耐性菌 目次 1. 薬剤耐性菌の検査法の留意点... 3 1.1. 薬剤耐性菌検査を行う菌株の継代... 3 1.2. PCR 法に用いるテンプレート DNA の抽出方法... 3 2. 薬剤感受性試験... 3 3. 薬剤耐性菌別検査方法... 6 3.1. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌... 6 3.1.1. 感染症法上の定義... 6 3.1.2. メチシリン耐性機構と検査法... 8 3.1.3 ディスク拡散法による MRSA の同定... 8 3.1.4 PCR による meca の検出... 9 3.1.5 分子疫学解析... 10 3.2. ペニシリン耐性肺炎球菌... 11 3.2.1. 感染症法上の定義... 11 3.2.2. 耐性メカニズムと検査法... 11 3.3. バンコマイシン耐性腸球菌... 14 3.3.1. 感染症法上の定義... 14 3.3.2. 菌種とバンコマイシン耐性遺伝子... 14 3.3.3. 菌種の同定... 15 1

3.3.4. ディスク拡散法によるバンコマイシン耐性型の推定... 16 3.3.5. Multiplex PCR 法によるバンコマイシン耐性遺伝子の検出... 17 3.4. 薬剤耐性緑膿菌... 19 3.4.1. 感染症法上の定義... 19 3.4.2. 多剤耐性緑膿菌の耐性メカニズムとその検査法... 19 3.5. 薬剤耐性アシネトバクター... 23 3.5.1. 感染症法上の定義... 23 3.5.2. 菌種の同定について... 23 3.5.3. 薬剤耐性アシネトバクターの耐性メカニズムとその検査法... 24 3.5.4. パルスフィールド電気泳動法によるタイピング解析... 27 2

1. 薬剤耐性菌の検査法の留意点 1.1. 薬剤耐性菌検査を行う菌株の継代 薬剤耐性遺伝子の中には プラスミドにより媒介されているものがあり抗菌薬の含まれていない培地で長期間放置したり 何代にもわたり継代したりすると プラスミドが脱落し 薬剤耐性を喪失 ( 感性菌化 ) する事がある 一方で 抗菌薬を含む培地で継代を繰り返すと 変異などにより薬剤に対する耐性を獲得する事もある これらを防ぐため 薬剤耐性菌の検査を行う菌株を何代にもわたり継代することは避ける また 保存菌株を起こす場合には 薬剤耐性遺伝子を媒介するプラスミドの脱落を避けるため 必要に応じて抗菌薬を含む培地を使用するか 抗菌薬含有ディスクを置きディスクの周囲に発育した菌を検査に用いる 1.2. PCR 法に用いるテンプレート DNA の抽出方法 1. 滅菌水を入れたエッペンドルフチューブに McFarland 0.5 になるように被検菌を懸濁する 薬剤耐性遺伝子を媒介するプラスミドの脱落を避けるために抗菌薬含有ディスクを置いた場合は ディスクの周囲に発育した菌を使用する 2. 100 で 10 分間加熱する 3. 13,000rpm,4 で 5 分間遠心する. 4. 遠心後の上清を鋳型 DNA とし PCR を行う 2. 薬剤感受性試験 日常細菌検査における薬剤感受性測定には ディスク拡散法 Etest 微量液体希釈法が広く用いられている 本マニュアルではディスク拡散法と Etest を用いた測定法を例にあげる 薬剤感受性測定に使用する培地や培養条件などは菌種によって異なるので注意する必要がある 3

接種用菌液の調整増菌する場合 : 液体培地に被検菌を接種し McFarland 0.5 以上の濁度になるまで増菌する これを希釈して McFarland 0.5 に調整する 直接接種の場合 : 寒天培地に発育した菌を滅菌綿棒等でかきとり Mueller-Hinton broth もしくは生理食塩水に McFarland 0.5 になるように懸濁する 接種 : 滅菌綿棒を上記にて調整した菌液に浸す 試験管の管壁に圧し余分な水分を取り 除く その後 平板培地に均一に塗布する 薬剤の配置 : 抗菌薬含有ディスクや Etest ストリップを平板培地に配置する 培養 : 表を参照 判定 : 抗菌薬含有ディスクについては阻止円径を測定する Etest については阻止帯が 生じはじめた目盛りの部分を MIC 値として読み取る ( 下図 ) 抗菌薬含有ディスクを用いた測定例 Etest を用いた測定例 4

表. 抗菌薬含有ディスクおよび Etest を用いた薬剤感受性測定法 菌種菌液の調整推奨培地培養条件 Acinetobacter spp. 増菌または直接菌液調整 MHA 1) 増菌または Pseudomonas aeruginosa 直接菌液調整 MHA 増菌または Enterococcus spp. 直接菌液調整 MHA Staphylococcus aureus 直接菌液調整 MHA 好気性 35±2 20~24 時間好気性 35±2 16~18 時間好気性 35±2 16~18 時間バンコマイシンは 24 時間好気性 35±2 16~18 時間オキサシリン メチシリン バンコマイシンは 24 時間 Streptoccous pneumoniae 直接菌液調整 5% 羊血液 MHA 5%CO 2 35±2 20~24 時間 1) MHA, Mueller-Hinton agar 参考文献 Clinical and Laboratory Standards Institute. Performance Standards for Antimicrobial Disk Susceptibility Tests; Approved Standards - Tenth Edition, M02-A10. Clinical and Laboratory Standards Institute. Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing; Twenty-First Informational Supplement, M100-S21. 小栗豊子. 臨床微生物検査ハンドブック 第 2 版 検査依頼先 国立感染症研究所細菌第二部第一室メールアドレス :taiseikin@nih.go.jp 執筆者 国立感染症研究所細菌第二部第一室 ( 現名古屋大学大学院医学系研究科分子病原細菌学 耐性菌制御学 ) 和知野純一 5

3. 薬剤耐性菌別検査方法 3.1. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 3.1.1. 感染症法上の定義メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症は五類感染症に分類され 指定届出機関の管理者は患者発生時に届け出る必要がある 感染法上の定義及び届出基準は以下のとおりである (1) 定義メチシリンなどのペニシリン剤をはじめとして β-ラクタム剤 アミノ配糖体剤 マクロライド剤などの多くの薬剤に対し多剤耐性を示す黄色ブドウ球菌による感染症である (2) 臨床的特徴外科手術後の患者や免疫不全者 長期抗菌薬投与患者などに日和見感染し 腸炎 敗血症 肺炎などを来し 突然の高熱 血圧低下 腹部膨満 下痢 意識障害 白血球減少 血小板減少 腎機能障害 肝機能障害などの症状を示す (3) 届出基準ア患者 ( 確定例 ) 指定届出機関の管理者は 当該指定届出機関の医師が (2) の臨床的特徴を有する者を診察した結果 症状や所見からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症が疑われ かつ (4) の表の左欄に掲げる検査方法により メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症患者と診断した場合には 法第 14 条第 2 項の規定による届出を月単位で 翌月の初日に届け出なければならない この場合において 検査材料は 同欄に掲げる検査方法の区分ごとに それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること 6

イ 感染症死亡者の死体 指定届出機関の管理者は 当該指定届出機関の医師が (2) の臨床的特徴を有する死体を検案した結果 症状や所見から メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症が疑われ かつ (4) の表の左欄に掲げる検査方法により メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症により死亡したと判断した場合には 法第 14 条第 2 項の規定による届出を月単位で 翌月の初日に届け出なければならない この場合において 検査材料は 同欄に掲げる検査方法の区分ごとに それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること (4) 届出のために必要な検査所見 検査方法 検査材料 菌の分離による病原体の検出 ( 敗血症 心内膜炎 腹膜炎 胸膜炎 髄膜炎 骨髄炎 ) 及び以下の検査室での判断基準を満たすもの ( 検査室での判断基準は オキサシリンのMIC 4μ g/ml 又はオキサシリンの感受性ディスク(KB) の阻止円の直径 血液 腹水 胸水 髄液 通常は無菌的であるべき臨床検体 が 10mm 以下 ) 菌の分離による病原体の検出 かつ 感染症の起因菌と判定さ れた場合 ( 呼吸器感染症 肝 胆道系感染症 創傷感染症 腎 喀痰 膿 尿 便 無菌的では 盂腎炎 複雑性尿路感染症 扁桃炎 細菌性中耳炎 副鼻腔炎 ない検体皮膚 軟部組織感染症 ) 及び以下の検査室での判断基準を満たすもの ( 検査室での判断基準は オキサシリンのMIC 4μ g/ml 又はオキサシリンの感受性ディスク(KB) の阻止円の直径が10mm 以下 ) 7

3.1.2. メチシリン耐性機構と検査法黄色ブドウ球菌ゲノムに meca 遺伝子が組み込まれることで penicillin binding protein 2 (PBP2 または PBP2a) が産生される PBP2 はβ-ラクタム薬との親和性が低いため ほぼ全てのβ-ラクタム薬に対する耐性を獲得する meca 遺伝子は meca の発現調節遺伝子や recombinase を含む staphylococcal cassette chromosome mec (SCCmec) と呼ばれるカセットクロモゾームとして染色体に組み込まれる SCCmec はいくつかのタイプに分けられ 発見とともに種類が増えるため詳細は SCCmec の web サイト (http://www.sccmec.org/pages/scc_homeen.html) を参照されたい 医療関連感染に多く見られる MRSA は SCCmec type II を保有し 市中感染では SCCmec type IV または V を保有する株が多い MRSA の分離には MRSA 選択培地を使う Community associated MRSA (CA-MRSA) の中にはオキサシリンに低感受性を示す株が多く オキサシリンを選択剤として用いた培地では発育しないことがある オキサシリン低感受性株の発育に配慮した培地としてセフォキシチンを選択剤に用いたものが用いられることが多い セフォキシチンを選択剤に用いた選択培地としては MS-CFX 寒天培地 ( 日水製薬 ) ChromID MRSA ( シスメックス ビオメリュー ) BD MRSA 選択培地 ( ベクトン ディッキンソン ) OPAII Staphylococcus Agar( ベクトン ディッキンソン ) MDRS-K 寒天培地 ( 極東製薬 ) などがある またクロモアガー MRSA( 関東化学 ) もセファロスポリン系の選択剤を用いている MRSA 選択培地の多くは生培地として販売されている 培地上の性状は黄色ブドウ球菌に準ずる 3.1.3 ディスク拡散法による MRSA の同定オキサシリンディスクまたはセフォキシチンディスクを用いる オキサシリンディスクによる感受性試験においては 24 時間培養し 透過光でディスク周辺のわずかな発育を観察する CA-MRSA の中にはオキサシリン低感受性を示す株があるため オキサシリンディスクを用いた感受性判定には慎重を要する CLSI(M02-A10) ではセフォキシチンディスクを使う方が望ましいとしている 8

オキサシリンディスクによる感受性試験 Healthcare associated MRSA Community associated MRSA 3.1.4 PCR による meca の検出 PCR 法に用いるテンプレートの調整方法蒸留水に菌を懸濁して加熱したテンプレートの場合 DNA の溶出量が少なく PCR による増幅産物が少ないことがある Lysostaphyn を 1µg/100µl 濃度に溶かした TE バッファーに菌を懸濁し 37 で 10 分間インキュベートした後 100 で 10 分間加熱すると十分量の DNA が溶出する meca を検出するためのプライマーの例を以下に示す meca Primers 5 3 TGCTATCCACCCTCAAACAGG AACGTTGTAACCACCCCAAGA PCR 産物サイズ 286bp PCR 条件 94 1min 94 1min 50 30sec 30cycles 72 2min 9

3.1.5 分子疫学解析 MRSA の集団感染が疑われる場合は PFGE 解析を行う MRSA は Lysozyme ではほとんど消化されないので 菌をアガロースに包埋する際に Lysostaphyn を 5µg/100µl 濃度に混合する アガロースブロックは Lysostaphyn を 1µg/100µl 濃度に加えた 0.5M EDTA ph8.0 中で 37 4 時間インキュベートした後 proteinase K 処理する 制限酵素は SmaI を用いる 約 500kbp までのバンドおよそ 20 本程度からなる電気泳動パターンが得られる 電気泳動プログラムとしては 例えば CHEF Mapper (BioRAD) の組み込みプログラムは 6 V/cm パルス角度 120 度 5.3~34.9sec 20h である MRSA の PFGE パターンは比較的安定な傾向にあり 集団感染の場合バンドパターンは完全一致することが多い PFGE のかわりに Cica Geneus Staph POT kit( 関東化学 ) を用いても PFGE とほぼ同等の結果が得られる 参考文献 Okuma K, Iwakawa K, Turnidge JD, Grubb WB, Bell JM, O'Brien FG et al: Dissemination of new methicillin-resistant Staphylococcus aureus clones in the community. J. Clin. Microbiol. 40:4289-94. (2002) Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI). Performance standards for antimicrobial disk susceptibility tests; approved standard. 10th ed. CLSI document M02-A10. Wayne (PA): 2009. 検査依頼先 国立感染症研究所細菌第二部第一室メールアドレス :taiseikin@nih.go.jp 執筆者 愛知県衛生研究所生物学部細菌研究室鈴木匡弘 10

3.2. ペニシリン耐性肺炎球菌 3.2.1. 感染症法上の定義ペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP: penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae) とは ペニシリンGに対して耐性を示す肺炎球菌を指し 届出に必要な検査所見は下表の通りである 検査方法検査材料菌の分離による病原体の検出 ( 敗血症 心内膜炎 腹膜炎 胸膜炎 血液 腹水 胸水 髄膜炎 骨髄炎 ) 及び以下の検査室での判断基準を満たすもの ( 検髄液 その他の通査室での判断基準は ペニシリンの MIC 0.125μg/ml 又は オキ常は無菌的であサシリンの感受性ディスク (KB) の阻止円の直径が 19 mm 以下 ) るべき臨床検体菌の分離による病原体の検出 かつ 感染症の起因菌と判定された喀痰 膿 尿 便 場合 ( 呼吸器感染症 肝 胆道系感染症 創傷感染症 腎盂腎炎 無菌的ではない複雑性尿路感染症 扁桃炎 細菌性中耳炎 副鼻腔炎 皮膚 軟部検体組織感染症 ) 及び以下の検査室での判断基準を満たすもの ( 検査室での判断基準は ペニシリンの MIC 0.125μg/ml 又は オキサシリンの感受性ディスク (KB) の阻止円の直径が 19 mm 以下 ) 3.2.2. 耐性メカニズムと検査法 3.2.2.1. ペニシリン耐性機序 PRSP は 肺炎球菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンの生合成に関与するペニシリン結合蛋白 (PBP1A, PBP2B) の変異や PBP2X と命名された変種の PBP の獲得によるものである 1) 耐性度の高い菌株では 複数のペニシリン結合蛋白の変異に集積性が認められ MIC 値が 1μg/ml 以上の PRSP では ペニシリンの標的である 3 種類の PBP (PBP1A, PBP2B, PBP2X) の全てに何らかの変異が同時に見られる事が多い 2) 3.2.2.2. 検査法 3.2.2.2.1. 薬剤感受性測定 11

平板法 微量液体希釈法 ディスク法 Etest automated 法がある 製品を用いる測定法に関する QC は製造者によってなされている 製造者の示す手順を守ることが重要である 1) 平板法ミュラーヒントン寒天培地にウマ溶血血液を 5% 混合し 規定の薬剤を含む培地を作成する 平板培地作成の手順は煩雑である この方法は CLSI では認められていない 2) 微量液体希釈法フローズンプレートまたはドライプレート ( 栄研化学 ) を用い 測定を行う ミュラーヒントン培地に溶血ウマ血液を添加し 調製液体培地として使用する McFarland 0.5 濁度の菌液を調製し 指定菌量を液体培地に接種する 35±2 で 20-24 時間培養する 判定基準は 髄膜炎由来肺炎球菌は MIC が 0.12μg/mL の場合 PRSP と判定される 非髄膜炎由来肺炎球菌は MIC が 8μg/mL の場合 PRSP と判定され MIC が 2-4μg/mL の場合 PISP ( ペニシリン低感受性 ) と判定される ただし 感染症法に基づく報告においては 由来に関わらず MIC が 0.125μg/mL の場合 PRSP として報告することになる 3) KB ディスク 5% ヒツジ血液添加 MH 寒天培地を用い 1 µg のオキサシリンを含む KB ディスクを使用する 5% CO 2 35±2 環境下で 20-24 時間培養した後 KB ディスクの周囲に出現する発育阻止円の直径により ペニシリンGの耐性と 低感受性または感受性の判別を行う 発育阻止円の直径が 20 mm の場合はペニシリン感受性肺炎球菌 (PSSP) と判定される 直径が <20 mm の場合 PRSP もしくは PISP である PRSP や PISP を判定するには あらためて微量液体希釈法により MIC を測定し判定することが望ましい 4) Etest 製造者の指示に従い感受性測定および判定を行う あらかじめ薬剤ごとに微量液体希釈法との相関を見ておく必要がある 12

5) Automated very major error, major error, minor error の出現頻度は文献 3 と 4 を参照 3.2.2.2.2. PCR 法による変異 pbp 遺伝子の検出肺炎球菌の感受性を測定するではなく ペニシリン耐性をもたらしている pbp 遺伝子を増幅し その変異を見ることにより 耐性度を推定するキットが販売されている ( ペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP) 遺伝子検出試薬 [ 湧永製薬 ]) 参考文献 1. Penicillin-binding proteins and beta-lactam resistance. Zapun A, Contreras-Martel C, Vernet T. FEMS Microbiol Rev 2008, 32:361-8. 2. Antibiotic susceptibility in relation to penicillin-binding protein genes and serotype distribution of Streptococcus pneumoniae strains responsible for meningitis in Japan, 1999 to 2002. Ubukata K, Chiba N, Hasegawa K, Kobayashi R, Iwata S, Sunakawa K. Antimicrob Agents Chemother 2004, 48:1488-1494 3. Use of positive blood cultures for direct identification and susceptibility testing with the vitek 2 system. de Cueto M, Ceballos E, Martinez-Martinez L, Perea E.J, Pascual A. J Clin Microbiol 2004, 42:3734-3738 4. Rapid identification and antimicrobial susceptibility profiling of Gram-positive cocci in blood cultures with the Vitek 2 system. Lupetti A, Barnini S, Castagna B, Capria AL, Nibbering PH. Eur J Clin Microbiol Infect Dis 2010, 29:89-95 検査依頼先 国立感染症研究所細菌第一部第三室 執筆者 常彬 大西真 13

3.3. バンコマイシン耐性腸球菌 3.3.1. 感染症法上の定義バンコマイシン耐性腸球菌 (vancomycin-resistant enterococci;vre) とは バンコマイシン耐性遺伝子 (vana, vanb, vanc など ) を保有する腸球菌である 届出に必要な検査所見は下表の通りである 検査方法分離 同定による腸球菌の検出かつ 薬剤耐性の特性の確認 ( 分離菌のバンコマイシンの MIC 値が 16 μg/ml 以上 ) 分離 同定による腸球菌の検出かつ 分離菌からの vana vanb 又は vanc 遺伝子の検出 検査材料血液 腹水 胸水 髄液 その他の通常は無菌的であるべき臨床検体 3.3.2. 菌種とバンコマイシン耐性遺伝子腸球菌 (Enterococcus spp.) には約 22 種含まれているが 臨床検体からは E. faecalis, E. faecium のほか E. gallinarum E. casseliflavus E. avium が分離される事が多い 感染症法上は (1) の 分離菌のバンコマイシンの MIC 値が 16μg/ml 以上 を満たせば VRE と判定されるが 臨床上および 感染対策を実施するための疫学上は菌種の同定とバンコマイシン耐性遺伝子の確認を行うことが望ましい バンコマイシン耐性遺伝子の vana vanbは接合等で異なる菌種間に伝播しうるため 全ての菌種が獲得する可能性がある 一方 vanc は染色体上に存在しており vanc1 は E. gallinarum vanc2/3 は E. casseliflavus 特異的である ( 表 ) 臨床的 疫学的に問題となる VRE は多くの場合 vana vanbを獲得した E. faecalis, E. faecium である 一方でバンコマイシン耐性遺伝子のうち vanb を保有していても バンコマイシンの MIC が 16μg/ml 未満の事もある 14

菌種の同定とバンコマイシン耐性遺伝子 ( 表 ) 遺伝子型 VanA VanB VanC MIC VCM 64~>1000 VCM 4~>1000 VCM 2~32 (µg/ml) TEIC 16~512 TEIC <0.5~8 TEIC 0.5~1 耐性遺伝子 プラスミド 染色体 染色体 の存在部位 ( 染色体 ) ( プラスミド ) 伝達性 あり ( あり ) なし 分離菌種 E. faecium E. faecium E. gallinarum E. faecalis E. faecalis E. casseliflavus E. avium E. gallinarum E. casseliflavus 3.3.3. 菌種の同定医療機関の検査室などで実施されている生化学性状を用いた同定法で実施可能である ただし 自動検査機器による同定では種レベルの同定が不正確となる可能性がある VRE の検出上は臨床的 疫学的により重要な E. faecium E. faecalis をその他の菌種から区別することが有用であり 簡便な同定方法として EF 培地を用いるものおよび Multiplex PCR による ddl genes 検出によるものがある 3.3.3.1. EF 培地を用いた同定方法 EF 培地に被験菌を接種し 35 24 時間培養し コロニーの色調で判定する 注意 :1 培養時間が長くなると色調が変化し E. faeciumの黄色が褐色化することがある 2 E. faecalis の暗赤褐色の色調は比較的判定しやすいが その他の色調は鑑別に経験が必要となることがある コントロール株と同時に実施すること および他の同定方法とあわせて最終判定することが望ましい 15

コロニーの色調暗赤褐色黄色褐色 菌種 Enterococcus faecalis Enterococcus faecium その他の菌種 Enterococcus faecalis Enterococcus faecium Enterococcus gallinarum Multiplex PCR による ddl genes 検出 Primers 5-3 PCR 産物のサイズ ddl-e. faecalis-f ddl-e. faecalis-r ddl-e. faecium-f ddl-e. faecium-r ATCAAGTACAGTTAGTCT ACGATTCAAAGCTAACTG TAGAGACATTGAATATGCC CATC GTGTAAGCTAACTTC 941 bp 525 bp PCR 条件 95-20 sec. 55-120 sec. 35 cycles 74 で 5 min. インキュベーション 3.3.4. ディスク拡散法によるバンコマイシン耐性型の推定 VanA VanB, および VanC 型はそれぞれバンコマイシンとテイコプラニンに対する耐性パターンが異なるため ディスク拡散法により推定する事が可能である ミューラーヒントン培地 1 枚に被験菌を密に接種後 バンコマイシン (VCM) とテイコプラニン (TEIC) のディスクを置き 24-48 時間培養し 阻止円径を比較する 16

阻止円 判定 バンコマイシン テイコプラニン なし なし VanA なし あり VanB あり あり VanC VanA 型 VanB 型 VanC 型 3.3.5. Multiplex PCR 法によるバンコマイシン耐性遺伝子の検出 Primers 5-3 vana vana-f GGGAAAACGACAATTGC vana-r GTACAATGCGGCCGTTA vanb vanb-f ATGGGAAGCCGATAGTC vanb-r GATTTCGTTCCTCGACC vanc1 vanc-1-f GGTATCAAGGAAACCTC vanc-1-r CTTCCGCCATCATAGCT vanc2/3 vanc-2/c-3-f CTCCTACGATTCTCTTG vanc-2/c-3-r CGAGCAAGACCTTTAAG PCR 産物サイズ 732 bp 635 bp 822 bp 439 bp PCR 条件 95-20 sec 55-120 sec 35 cycles 74-5 min 17

注 : 近年 vana を保有している株で 表現型 ( ディスク拡散法による耐性パターン ) が VanB 型となる株 (VanB phenotype VanA) が報告されている 参考文献 1.Werner G, Coque TM, Hammerum AM, et al. Emergence and spread of vancomycin resistance among enterococci in Europe. Euro Surveill. 2008 Nov 20;13(47) 2. Kanchana MV, Deneer H, Blondeau Cost-effective algorithm for detection and identification of vancomycin-resistant enterococci in surveillance cultures. J. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2000 May;19(5):366-9. 3. Dutka-Malen S, Evers S, Courvalin P.Detection of glycopeptide resistance genotypes and identification to the species level of clinically relevant enterococci by PCR. J Clin Microbiol. 1995 Jan;33(1):24-7. 4. Park IJ, Lee WG, Shin JH, et al. VanB phenotype-vana genotype Enterococcus faecium with heterogeneous expression of teicoplanin resistance. J Clin Microbiol. 2008 Sep;46(9):3091-3. 検査依頼先 国立感染症研究所細菌第二部第一室メールアドレス :taiseikin@nih.go.jp 執筆者 国立感染症研究所細菌第二部第一室鈴木里和 18

3.4. 薬剤耐性緑膿菌 3.4.1. 感染症法上の定義広域 β-ラクタム剤 アミノ配糖体 フルオロキノロンの 3 系統の薬剤に対して耐性を示す緑膿菌である 届出に必要な検査所見は下記の通りである ア ) イミペネムのMIC 16μg/ml 又は イミペネムの感受性ディスクの阻止円の直径が13mm 以下イ ) アミカシンのMIC 32μg/ml 又は アミカシンの感受性ディスクの阻止円の直径が14mm 以下ウ ) シプロフロキサシンのMIC 4μg/ml 又は シプロフロキサシンの感受性ディスクの阻止円の直径が15mm 以下 ただし イミペネム以外のカルバペネム系薬剤により検査を実施した場合は その検査により耐性の結果が得られた場合も判断基準のアを満たすものとする イミペネムによる検査と その他のカルバペネム系薬剤による検査を実施した場合には いずれかの薬剤の検査で耐性の結果が得られた場合にも基準を満たすものとする また シプロフロキサシン以外のフルオロキノロン系薬剤により検査を実施した場合は その検査により耐性が得られた場合も判断基準のウを満たすものとする シプロフロキサシンによる検査と その他のフルオロキノロン系薬剤による検査を実施した場合には いずれかの薬剤の検査で耐性の結果が得られた場合にも基準を満たすものとする なお 我が国の臨床現場では カルバペネム アミノグリコシド フルオロキノロンの 3 系統の抗菌薬に対し耐性を示す緑膿菌を 薬剤耐性緑膿菌のほか 多剤耐性緑膿菌 (multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa, MDRP) と称することもある 本項では 多剤耐性緑膿菌 の語を用いる 3.4.2. 多剤耐性緑膿菌の耐性メカニズムとその検査法 3.4.2.1. カルバペネム耐性機構 19

メタロ -β- ラクタマーゼ :IMP-1 や VIM-2 といったメタロ -β- ラクタマーゼを産生する 場合 イミペネムなどのカルバペネム系抗菌薬に耐性を示す メタロ -β- ラクタマーゼ 産生株は SMA ディスク ( 栄研化学 ) を用いて識別することができる 3.4.2.1.1. SMA ディスクを用いたメタロ -β- ラクタマーゼ産生のスクリーニング検査 1. 被検菌をミューラーヒントン寒天培地等に塗布する 2. 下図のように濃厚に塗布した部分に CAZ( セフタジジム ) のディスクを置く ( 薬 剤耐性遺伝子に関連するプラスミドの脱落を防ぐ為 ) 3. 35,16 18 時間 ( あるいは over night) 培養する. 4. 培養後 CAZ ディスク周囲の菌を滅菌綿棒でかき採り 滅菌水を入れたエッペン ドルフチューブに McFarland 0.5 になるように懸濁する. 5. 4. で調整した菌液に滅菌綿棒を浸した後 ミューラーヒントン寒天培地全面に塗 布する. 6. SMA ディスク CAZ ディスク IPM ディスクを下図のように配置する. CAZ: セフタジジム IPM: イミペネム SMA ディスクの作用により 発育阻止帯の拡張 ( ) が認められた場合 メタロ -β- ラクタマーゼ産生株と判定する 20

3.4.2.1.2. PCR によるメタロ -β- ラクタマーゼ遺伝子の検出 以下に PCR プライマーセットと反応条件の例を示す 耐性遺伝子増幅サイズプライマー配列の種類 blaimp-1 5 -ACC GCA GCA GAG TCT TTG CC-3 587 bp 5 -ACA ACC AGT TTT GCC TTA CC-3 blaimp-2 5 -GTT TTA TGT GTA TGC TTC C-3 678 bp 5 -AGC CTG TTC CCA TGT AC-3 blavim-2 5 -ATG TTC AAA CTT TTG AGT 801 bp AAG-3 5 -CTA CTC AAC GAC TGA GCG-3 blandm-1 5 -TTG CCC AAT ATT ATG CAC CC-3 420 bp 5 -ATT GGC ATA AGT CGC AAT CC-3 3.4.2.2. アミカシン耐性機構アミノグリコシドアセチル化酵素 : アミカシン耐性には AAC(6')-Ib といったアミノグリコシドアセチル化酵素が関与している アミノグリコシドアセチル化酵素には亜型が多数存在するため 全てを PCR により検査するのは現実的には難しい 21

3.4.2.3. フルオロキノロン耐性機構 DNA ジャイレース トポイソメラーゼ IV の変異 : フルオロキノロンの標的部位である DNA ジャイレース トポイソメラーゼ IV の QRDR(Quinolone Resistance Determinant Region) 領域に変異が入ることで フルオロキノロン耐性が生じる したがって QRDR 領域を PCR で増幅し その増幅産物の配列を決定することで 耐性に関与する変異を検出することができる 詳細は文献を参照いただきたい 参考文献 1. PCR typing of genetic determinants for metallo-β-lactamase and integrases carried by gram-negative bacteria isolated in Japan, with focus on the class 3 integron. Shibata N, Doi Y, Yamane K, Yagi T, Kurokawa H, Shibayama K, Kato H, Kai K, Arakawa Y. J Clin Microbiol. 2003 Dec;41(12):5407-5413. 2. Convenient test for screening metallo-β-lactamase-producing gram-negative bacteria by using thiol compounds. Arakawa Y, Shibata N, Shibayama K, Kurokawa H, Yagi T, Fujiwara H, Goto M.J Clin Microbiol. 2000 Jan;38(1):40-43. 3. Type II topoisomerase mutations in fluoroquinolone-resistant clinical strains of Pseudomonas aeruginosa isolated in 1998 and 1999: role of target enzyme in mechanism of fluoroquinolone resistance.akasaka T, Tanaka M, Yamaguchi A, Sato K. Antimicrob Agents Chemother. 2001 Aug;45(8):2263-2268. 検査依頼先 国立感染症研究所細菌第二部第一室 メールアドレス :taiseikin@nih.go.jp 執筆者 国立感染症研究所細菌第二部第一室 ( 現名古屋大学大学院医学系研究科分子病原細菌学 耐性菌制御学 ) 和知野純一 22

3.5. 薬剤耐性アシネトバクター 3.5.1. 感染症法上の定義広域 β-ラクタム剤 アミノ配糖体 フルオロキノロンの3 系統の薬剤に対して耐性を示すアシネトバクター属菌である 届出に必要な検査所見は下記の通りである 耐性 (R) の判定基準抗菌薬微量液体希釈法ディスク拡散法イミペネム * 16µg/mL 阻止円直径 13mm アミカシン 32µg/mL 阻止円直径 14mm シプロフロキサシン ** 4µg/mL 阻止円直径 15mm * イミペネム以外のカルバペネム系薬剤により検査を実施した場合 耐性の結果が得られた場合も基準を満たすものとする イミペネムによる検査と その他のカルバペネム系薬剤による検査を実施した場合には いずれかの薬剤の検査で耐性の結果が得られた場合にも基準を満たすものとする ** シプロフロキサシン以外のフルオロキノロン系薬剤により検査を実施した場合 その検査により耐性が得られた場合も基準を満たすものとする シプロフロキサシンによる検査と その他のフルオロキノロン系薬剤による検査を実施した場合には いずれかの薬剤の検査で耐性の結果が得られた場合にも基準を満たすものとする 3.5.2. 菌種の同定についてアシネトバクター属のうち 医療現場では Acinetobacter baumannii Acinetobacter pittii ( 旧名称 ;Acinetobacter genomic species 3) Acinetobacter nosocomialis ( 旧名称 ;Acinetobacter genomic species 13TU) が主に分離される 上記 3 菌種に自然環境中から分離される Acinetobacter calcoaceticus を加えた 4 菌種は 生化学的性状による分類が困難であり A. calcoaceticus -A. baumannii complex とひとまとめにされることもある 生化学的性状をもとに菌種を同定するキットや自動検査機器等で A. baumannii と判定された菌種には 上記の 4 菌種が含まれるため タイピングなどの検査結果の解釈には注意が必要である 23

アシネトバクター属の菌種分類方法については 数多く提唱されているが 一部を参考 文献に示した 3.5.3. 薬剤耐性アシネトバクターの耐性メカニズムとその検査法 3.5.3.1. カルバペネム耐性主な耐性機構は メタロ-β-ラクタマーゼ (IMP-1 型 IMP-2 型 VIM-2 型等 ) あるいは OXA 型 β-ラクタマーゼ (OXA-51-like OXA-23-like OXA-40/24-like OXA-58-like) 産生による ただし OXA 型 β-ラクタマーゼ産生株であってもイミペネム等のカルバペネム系薬剤に対する MIC が比較的低い株 (1~8µg/mL) も報告されている 3.5.3.1.1. SMA disk を用いたメタロ-β-ラクタマーゼ産生のスクリーニング検査メタロ-β-ラクタマーゼ産生の有無を推定する方法のひとつに メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤であるメルカプト酢酸ナトリウム (SMA) を用いる方法がある 1. 滅菌水あるいは TE buffer にコロニーを懸濁し McFarland 0.5 程度の菌液を作製する 2. 調整した菌液を綿棒で MH 平板寒天培地の前面に塗布する (120 度ずつ角度を変えて塗布することを 4 回行う ) 3. KB ディスクを下図のように置き 35 で一晩 (16-18 時間 ) 培養後 判定する メタロ-β-ラクタマーゼ産生株メタロ-β-ラクタマーゼ非産生株 CAZ CAZ SMA IPM IPM CAZ; セフタジジム IPM; イミペネム メタロ-β-ラクタマーゼ産生株の場合は SMA の作用によりセフタジジム及びイミペネムの阻止円拡大が観察される ( 上図 ) 一方 OXA 型 β-ラクタマーゼの効果的な阻害剤は見出されておらず OXA 型 β-ラクタマーゼ産生株の推定は PCR 法での検出が必要である 24

3.5.3.1.2. PCR 法によるメタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子の検出わが国で分離されるアシネトバクター属の産生するメタロ-β-ラクタマーゼとして IMP-1 IMP-2 VIM-2 が報告されている PCR 検出用のプライマーセットを以下に示す 遺伝子型プライマー配列 (5 3 ) 増幅サイズ IMP-1 型 IMP-2 型 VIM-2 型 F; 5 -ACC GCA GCA GAG TCT TTG CC-3 R; 5 -ACA ACC AGT TTT GCC TTA CC-3 F; 5 -GTT TTA TGT GTA TGC TTC C-3 R; 5 -AGC CTG TTC CCA TGT AC-3 F; 5 -ATG TTC AAA CTT TTG AGT AAG-3 R; 5 -CTA CTC AAC GAC TGA GCG-3 587bp 678bp 801bp PCR 反応サイクル例 94 2 分 94 1 分 55 1 分 30 サイクル 72 1 分 30 秒 72 5 分 3.5.3.1.3. PCR 法による OXA 型 β-ラクタマーゼ遺伝子の検出アシネトバクター属の産生する OXA 型 β-ラクタマーゼとして OXA-51-like OXA-23-like OXA-40/24-like OXA-58-like の 4 種類がある アシネトバクター属のうち A. baumannii は 通常染色体上に OXA-51-like をコードする遺伝子を持つが 多くの場合は産生されておらず プロモーター配列を含む ISAba1 を上流に獲得した場合のみ OXA-51-like β-ラクタマーゼを産生する そのため OXA-51-like 産生株の推定は ISAba1 F プライマーと OXA-51-like R プライマーを組み合わせ 増幅するか否かを確認する 25

遺伝子型 プライマー配列 (5 3 ) 増幅サイズ F; 5 -TAA TGC TTT GAT CGG CCT TG-3 OXA-51-like R; 5 -TGG ATT GCA CTT CAT CTT GG-3 353bp F; 5 -GAT CGG ATT GGA GAA CCA GA-3 OXA-23-like R; 5 - ATT TCT GAC CGC ATT TCC AT-3 501bp F; 5 -GGT TAG TTG GCC CCC TTA AA-3 OXA-40/24-like R; 5 -AGT TGA GCG AAA AGG GGA TT-3 246bp F; 5 -AAG TAT TGG GGC TTG TGC TG-3 OXA-58-like R; 5 -CCC CTC TGC GCT CTA CAT AC-3 599bp F; 5 -CAC GAA TGC AGA AGT TG-3 ISAba1 R; 5 -CGA CGA ATA CTA TGA CAC-3 559bp* * ISAba1 F と OXA-51-like R プライマーを組み合わせた場合の増幅サイズ : 1,222bp PCR サイクル例 OXA 型 β-ラクタマーゼ ISAba1 F-OXA-51-like R 94 5 分 95 5 分 94 25 秒 95 45 秒 58 40 秒 30 サイクル 58 45 秒 35 サイクル 72 50 秒 72 3 分 72 6 分 72 5 分 3.5.3.2. アミノグリコシド耐性機構アミノグリコシド系薬剤に対する耐性は アミノグリコシド修飾酵素 (aacc1 aada1 aadb apha6 など ) や 16SrRNA メチラーゼ (arma) などが報告されている 種類も多く 通常の検査で全てを調べるのは困難なため ここでは省略する 3.5.3.3. フルオロキノロン耐性機構アシネトバクター属のキノロン耐性には キノロンの標的部位である DNA ジャイレース (GyrA) およびトポイソメラーゼ IV(ParC) の変異が主に関与する 変異によってキノロン耐性を付与する領域は QRDR(Quinolone Resistance Determinant 26

Region) と呼ばれる 変異の有無は QRDR 領域を PCR によって増幅し 増幅産物の シークエンス解析を行うことで検出可能である PCR およびシークエンス用のプライ マー等の詳細は文献を参考にしていただきたい 3.5.4. パルスフィールド電気泳動法によるタイピング解析 制限酵素 :SmaI あるいは ApaI 泳動条件 (CHEF Mapper (Bio-Rad) の場合 ) : スイッチングタイム 2.98s~21.79s 電圧 6V / 温度 14 / 泳動時間 27 時間 * プラグの作製は E. coli 等と同様の方法で行う 泳動パターンの例を以下に示す ( 菌株はいずれも Acinetobacter baumannii ) SmaI ApaI M 1 2 3 4 M 1 2 3 4 M (kbp) 242.5 lane 1: A. baumannii isolate_1 lane 2: A. baumannii isolate_2 145.5 lane 3: A. baumannii isolate_3 lane 4: A. baumannii isolate_4 M: CHEF DNA size standards 48.5 lambda ladder marker (Bio-Rad) 27

参考文献 菌種の同定 1. Dolzani L, Tonin E, Lagatolla C, Prandin L, Monti-Bragadin C. Identification of Acinetobacter isolates in the A. calcoaceticus- A. baumannii complex by restriction analysis of the 16S-23S rrna intergenic-spacer sequences. J Clin Microbiol. 1995, 33:1108-1113(16S-23SrRNA intergenic-spacer 領域 PCR 産物の制限酵素切断パターンで判断する方法 ) 2. Scola B, Gundi V, Khamis A, Raoult D. Sequencing of rpob gene flanking spacers for molecular identification of Acinetobacter species. J Clin Microbiol 2006, 44:827-832 (rpob 遺伝子シークエンスによって分類する方法 ) 耐性遺伝子の検出 1. Shibata N, Doi Y, Yamane K, Yagi H, Kurokawa H, Shibayama K, Kato H, Kai K, Arakawa Y. PCR typing of genetic determinants for metallo-beta-lactamases and integrases carried by gram-negative bacteria isolated in Japan, with focus on the class 3 integron. J Clin Microbiol. 2003, 41:5407-5413 2. Woodford N, Ellington MJ, Coelho JM, Turton JF, Ward ME, Brown S, Amyes SG, Livermore DM. Multiplex PCR for genes encoding prevalent OXA carbapenemases in Acinetobacter spp. Int J Antimicrob Agents 2006, 27:351-353 3. Turton JF, Ward ME, Woodford N, Kaufmann ME, Pike R, Livermore DM, Pitt TM. The role of ISAba1 in expression of OXA carbapenemase genes in Acinetobacter baumannii. FEMS Microbiol Lett. 2006, 258:72-77 4. Vila J, Ruiz J, Goni P, Marcos A, Jimenez de Anta T. Mutation in the gyra gene of quinolone-resistant clinical isolates of Acinetobacter baumannii. Antimicrobial Agents Chemother. 1995, 39:1201-1203 5. Vila J, Ruiz J, Goni P, Jimenez de Anta T. Quinolone-resistance mutations in the topoisomerase IV parc gene of Acinetobacter baumannii. 1997, 39:7557-762 検査依頼先 国立感染症研究所細菌第二部第一室メールアドレス :taiseikin@nih.go.jp 執筆者 国立感染症研究所細菌第二部第一室 松井真理 28