柔軟で弾力的な給付設計について

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将来返上認可 過去返上認可 6 基金 解散認可 1 基金 一括納付による解散である 3 指定基金制度ア概要年金給付等に要する積立金の積立水準が著しく低い基金を 厚生労働大臣が指定します この指定された基金に対して 5 年間の財政健全化計画を作成させ これに基づき事業運営を行うよう重点的に指導すること

年 発 第     号

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日本再興戦略 改訂 2015 平成 27 年 6 月 30 日に閣議決定された 日本再興戦略 改訂 2015 においては 企業が確定給付企業年金を実施しやすい環境を整備するため 確定給付企業年金の制度改善について検討することとされている - 日本再興戦略 改訂 2015( 平成 27 年 6 月 3

厚生年金基金に関する要望.PDF

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上乗部分Q1. 基金制度のどの給付区分が分配金の対象となるのか A1 基金の給付区分は 国の厚生年金の一部を代行している 代行部分 と 基金独自の 上乗部分 から構成されています 代行部分は 解散により国に返還され 解散後は国から年金が支給されますので 分配金の対象となるのは基金独自の上乗部分となり

厚生年金基金から残余財産の交付を受けた DB の加入員期間の期間算入 解散した厚生年金基金の残余財産の交付を受けて DB を新設する際に 以下のように 解散日から DB の設立までの期間が数日空くケースが考えられる 法令上 このような取扱いはできない < 例 > 平成 27 年 9 月 28 日厚生

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「確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について」の一部改正について

1. 指定運用方法の規定整備 今般の改正により 商品選択の失念等により運用商品を選択しない者への対応として あらかじめ定められた指定運用方法 に係る規定が整備されます 指定運用方法とは 施行日(2018 年 5 月 1 日 ) 以降 新たに確定拠出年金制度に加入された方が 最初の掛金納付日から確定拠

国民年金法関連 国民年金保険料の追納 ( 改正法附則第 2 条 ) 施行日から 3 年以内の間 国民年金保険料の納付可能期間を延長 (2 年 10 年 ) し 本人の希望により保険料を納付することで その後の年金受給につなげることができるようにする ただし 2 年経過後の保険料は国債利率を基礎として

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新旧対照表(第2分冊:保険会社関係)1-14-14

Ⅰ. 厚生年金基金の取扱について 1. 残余財産の分配について (1) 分配の有無 Q1: 代行部分返納後に残余財産があれば 基金の上乗せ部分に係る 分配金 として 加入者 受給待期者 受給者に分配することになりますが 現時点および最終時点で残余財産はいくらになりますか? A1: 仮に平成 27 年

さくらグループ厚生年金基金制度の今後について 安定した年金給付を継続していくため 厚生年金基金制度の見直しを進めています はじめに はじめに さくらグループ厚生年金基金は 平成 9 年 4 月に設立され これまで退職された多くの加入員の皆様に一時金給付や年金給付を行ってきました また 基金制度は当社

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企業年金のポータビリティ制度 ホ ータヒ リティ制度を活用しない場合 定年後 : 企業年金なし A 社 :9 年 B 社 :9 年 C 社 :9 年 定年 ホ ータヒ リティ制度を活用する場合 ホ ータヒ リティ制度活用 ホ ータヒ リティ制度活用 定年後 :27 年分を通算した企業年金を受給 A

時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

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基金解散時の最低積立基準額の算定 最低保全給付 ( 控除前 ) 規約に定める最低保全給付の区分ごとに基準日における加入員 受給者等の区分に応じ計算する 各給付区分において 受給者又は受給待期脱退者でかつ加入員である者については 規約に定める残余財産の分配方法に準じて最低保全給付を計上する 将来期間に

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年 12 月 厚生年金基金制度を解散して後継制度に資産を持込む場合の手続き 本資料は 平成 26 年 12 月 11 日に発出された事務連絡 解散存続厚生年金基金の残余財産を他の制度へ交付又は移換する際の取扱いについて 及び関連する法令等に基づきその要点を纏めたものです 作成時点にお

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Taro-中期計画(別紙)

公開草案なお 重要性が乏しい場合には当該注記を省略できる 現行 適用時期等 平成 XX 年改正の本適用指針 ( 以下 平成 XX 年改正適用指針 という ) は 公表日以後適用する 適用時期等 結論の背景経緯 平成 24 年 1 月 31 日付で 厚生労働省通知 厚生年金基金

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年金制度のしくみ 3 階私的年金みらい企業年金基金 2 階 1 階 公的年金 厚生年金 国民年金 共済年金 自営業者など会社員の配偶者会社員公務員など 国民年金の加入者区分 第 1 号被保険者 第 33 号被保険者 第 2 号被保険者 3 階建ての年金制度 日本の公的年金制度は 国民年金 から全ての

監 事 監 査 規 程

年金1(問題)

( 当該数が零未満となる場合にあっては零とする ) を 15 で除して得た数を乗じて得た 額を控除するものとする ( 継続加入者に係る給付に関する経過措置 ) 第 6 条第 3 条第 1 項の規定によりその支給に関する義務を承継した旧基金の加入員であって 第 2 条の規定によりこの基金の加入者となっ

年金制度のポイント

これまでの経緯について すでにご案内のとおり 当基金では 平成 26 年 4 月に施行された厚生年金保険法等の一部を改正する法律に対応するため 検討委員会を立ち上げ検討を重ねてまいりました 検討委員会での議論をもとに 平成 27 年 2 月の第 98 回代議員会において平成 30 年 3 月末を目途

西日本電気工事企業年金基金_No3_2017_9_FIX.indd

当基金の今後の方向性について 当基金では 昨年 6 月に厚生年金基金制度の見直し法が成立したことから 今後の当厚生年金基金のあり方について検討を重ねてまいりました 改正法は 厚生年金基金に対しこれまでより高い積立水準を課し 達成できなければ短期間での不足の解消または解散を促すという大変に厳しいもので

1 2

制度変更の背景 厚生年金保険法の改正法は 国の厚生年金保険の一部を代行している部分について 厚生年金基金の資産が代行部分に不足することがないような仕組みづくりを趣旨としています 国の代行資産に企業年金の上乗せ部分の資産を加えた厚生年金基金は 大きな資産を保有し 運用環境の悪化時には一時的に大きな積立

「連合会通算年金に関する統計集」‐平成26年度‐.PDF

平成15年4月より、厚生年金制度において、賞与等を一般の保険料の賦課対象とするとともに、給付に反映される総報酬制が導入され、厚生年金基金においても同様に総報酬制が導入されます

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2007年度日本経団連規制改革要望

第 50 号 2016 年 10 月 4 日 企業年金業務室 短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大及び厚生年金の標準報酬月額の下限拡大に伴う厚生年金基金への影響について 平成 28 年 9 月 30 日付で厚生労働省年金局から発出された通知 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能

生保信託協会QA

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2006年度日本経団連規制改革要望

確定拠出年金制度に関する改善要望について

平成28年度政府税制改正大綱 確定給付企業年金の弾力的な運営等に係る税制上の所要の措置 所得税 法人税 等 1 大綱の概要 確定給付企業年金について ①事業主が将来の財政悪化を想定して計画的に拠出する掛金 ②事業主が拠出する掛金で給付増減調整により運用リスクを事業主と加入者で分担する企業年金に係るも

厚生労働省試案 厚生年金基金制度の見直しについて の概要 平成 2 4 年 1 1 月 第一生命保険株式会社 以下の内容は 11 月 2 日の 第 1 回厚生年金基金制度に関する専門委員会 をもとに 当社が要点等をまとめたものです 実際の資料については 厚生労働省のホームページを参照願います また

表紙 年金通信25-40企業年金制度改正説明会

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( 注 ) ( 注 ) リスク分担型企業年金では 標準掛金額に相当する額 特別掛金額に相当する額及びリスク対応掛金額に相当する額を合算した額が掛金として規約に定められるため 本実務対応報告では 規約に定められる掛金の内訳として 標準掛金相当額 特別掛金相当額 及び リスク対応掛金相当額 という用語を

問題 2A 1 一〇五 % 2 いずれにも該当しない 3 〇 九 4 一五〇 % 5 一〇五 % 6 解散計画等 以下の同意が必要である 交付の申出に係る残余財産を分配すべき解散基金加入員等が使用される設立事業所の 事業主の全部 当該設立事業所に使用される厚生年金基金の加入員の二分の一以上の者 (

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柔軟で弾力的な給付設計について

2 厚年基金付加支給利率を定める告示 解散する厚生年金基金から中退共へ資産を移換した場合 掛金納付月数へ通算するとともに 掛金納付月数へ通算されなかった残余の額については 予定運用利回り ( 年 1%) に厚生労働大臣が定める利率を加えた利率を乗じて得た額をとして支給することとしており 本告示で当該

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2006年度日本経団連規制改革要望

( 別添 2) ( 別添 2) 平成 14 年 9 月 27 日保発第 号の別添 2 組合管掌健康保険一括適用取扱要領 組合管掌健康保険一括適用取扱要領 ( 準則 ) 第 1 健康保険法 ( 以下 法 という ) 第 34 条第 1 項の規定による厚生労働大臣の承認 ( 以下 一括適

退職後の医療保険制度共済組合の年金制度退職後の健診/宿泊施設の利用済組合貸付金/私的年金退職手当/財形貯蓄/児童手当個人型確定拠出年金22 共イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けるこ

給付の支給時期 脱退一時金 加入者資格を喪失したとき ( 退職 65 歳到達等 ) 65 歳未満の年齢到達で資格喪失させることも可能 遺族一時金 1 加入中に死亡したとき 2 給付の繰下期間中に死亡したとき 3 年金受給中に死亡したとき 年金 < 退職による資格喪失の場合 > 1 50 歳未満で資格

図 1 60 歳 61 歳 62 歳 63 歳 64 歳 65 歳 生年月日 60 歳到達年度 特別支給の 男性 S24.4.2~S 平成 21~24 年度 女性 S29.4.2~S 平成 26~29 年度 男性 S28.4.2~S 女性 S33.4.2~S35.

年金通信No.25-51_1 表紙

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柔軟で弾力的な給付設計について

移行認定の申請書類目次

年管管発 0928 第 6 号平成 27 年 9 月 28 日 日本年金機構年金給付業務部門担当理事殿 厚生労働省年金局事業管理課長 ( 公印省略 ) 障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて 厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令 ( 平成 2

16 省令 15 納付計画の記載について 解散後の企業年金制度実施の意思の有無 及び実施の場合の概要を記載することになっているが これを記載することによって事業主に何らかのメリットがあるのか また 納付の猶予を受けようとする金額に係る設立事業所の事業主ごとの負担方法 とは 具体的にどのような内容か具

1 基金の概要と給付 日産連合企業年金基金とは日産連合企業年金基金は 厚生労働大臣の認可をうけて 確定給付企業年金 (DB) の基金型として設立した法人です 加入事業所 ( 会社 ) に納付していただいた掛金を管理 運用したものを年金資産 ( 原資 ) として 受給権者の方々に年金や一時金給付を行っ

Microsoft Word - 法令解釈通知(新旧)

DC 型制度では将来の給付は運用実績により決まります 運用のリスクを 将来の給付の変動という形で従業員がすべて負うことになります DC 型の制度の設計では 一定の運用利率を想定することがあります このような場合に 運用収益の変動を嫌って変動リスクの小さい資産だけに投資すると 想定された運用利率を得ら

2/5 ヘ ーシ Q1. 年金通算とは何ですか? A. これまで各企業や基金では 加入者の老後の安定の一助となるよう さまざまな年金制度をつくり運営してきました しかし 従来の終身雇用を前提とした制度では 現代のライフスタイルに対応することが難しくなってきています 転職など雇用の流動化に対応し これ

自動的に反映させないのは133 社 ( 支払原資を社内で準備している189 社の70.4%) で そのうち算定基礎は賃金改定とは連動しないのが123 社 (133 社の92.5%) となっている 製造業では 改定結果を算定基礎に自動的に反映させるのは26 社 ( 支払原資を社内で準備している103

平成 26 年度年金 1 2 (2) 日本アクチュアリー会および日本年金数理人会が作成した 退職給付会計に関する数理実務ガ イダンス における計算基礎に関する記述について空欄を埋めなさい 3.8 死亡率 死亡率は 国などを単位とした生命表を基にして設定する方法が一般的であり 合理性が高いと考えられる

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1. 改正法の内容 改正法の概要 厚生年金基金制度見直し法により 基金存続が困難に 1 平成 26 年 4 月 1 日 ( 施行日 ) 以降は厚生年金基金の新設は認められません 2 代行割れ ( 注 1) している基金は 施行日から 5 年以内に解散することになっています 3 施行日から 5 年時点

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基金からの支給に関する手続きのご案内

付加退職金の概要 退職金の額は あらかじめ額の確定している 基本退職金 と 実際の運用収入等に応じて支給される 付加退職金 の合計額として算定 付加退職金は 運用収入等の状況に応じて基本退職金に上乗せされるものであり 金利の変動に弾力的に対応することを目的として 平成 3 年度に導入 基本退職金 付

< 現行 > 対象者医療区分 Ⅰ(Ⅱ Ⅲ 以外の者 ) 1 * 医療の必要性の低い者医療区分 Ⅱ Ⅲ 1 2 * 医療の必要性の高い者 ( 指定難病患者を除く ) 3 指定難病患者 2 生活療養標準負担額のうちにかかる部分 1 日につき32 1 日につき 1 日につき < 見直し後 > 対象者医療区

企業年金体系の変貌と法制上の課題

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3 老齢厚生年金に係る年金額誤りの概要について 平成 16 年 8 月 6 日公表 概要 老齢厚生年金の受給権発生月に厚生年金保険の資格喪失及び同日付の資格取得があった場合でかつ当該日に賞与が支給された場合の年金額計算のプログラム誤り ( 社会保険業務センターの指示誤り ) のため 未払い 過払いが

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特例法による年金記録修正における想定問

Transcription:

確定給付企業年金法施行規則等の 一部を改正する省令案について

1 < 目次 > 1. 給付の現価相当額の計算の基礎となる予定利率の見直し 2 3. 受託保証型確定給付企業年金 ( 受託保証型 DB) を実施する場合の拠出方法の見直し 3 4.1 積立不足に伴い拠出する掛金の拠出時期の変更 4 2 積立不足に伴い拠出する掛金の額の算定方法の変更 5 5. 実施事業所減少時の掛金の一括拠出額の見直し 6 その他の改正事項 7 2. 障害給付金の請求に係る添付書類の見直し 6. 手続の整理 7. 存続連合会への事務委託 8. 個人情報の保護に関する規定の整備 項目の番号は 概要の項目番号と対応している 参考 DB 制度における積立基準 - 継続基準と非継続基準 - 8

1. 給付の現価相当額の計算の基礎となる予定利率の見直し 一時金の額は年金給付の現価相当額を基準として定められるが 現価相当額の基礎となる予定利率に規制があることから 加入者資格喪失時に受給する脱退一時金の額よりも 脱退一時金を繰り下げて老齢給付金として一時金を受給する方がその額が小さくなることがあるため 逆転が生じないよう予定利率の取り方を見直す 脱退一時金 期間 A の最も低い下限予定利率 (X) で計算した現価を超えない範囲で設定 年金受給権者になった場合に受けられる給付 繰下げ 期間 A ( 保証期間分 ) 期間 B 期間 C 計算基準日 資格喪失 計算基準日 老齢給付金 計算基準日 支給開始年齢 ( 例 :60 歳 ) 老齢給付金 ( 一時金 ) 下限予定利率 (X)< 下限予定利率 (Y) のとき 脱退一時金 > 老齢給付金 ( 一時金 ) となる場合がある 一時金の支給時 期間 B 期間 Cの最も低い下限予定利率 (Y) で計算した現価を超えない範囲で設定年金として支給した場合の給付 ( 保証期間分 ) 下限予定利率 とは 厚生労働大臣が定める掛金の計算に用いる予定利率の下限をいう また 計算基準日 は 直近の財政再計算の基準日をいう 脱退一時金 > 老齢給付金 ( 一時金 ) とならないように 期間 A 期間 B 期間 C の最も低い下限予定利率で計算した現価を基準として老齢給付金 ( 一時金 ) を定めるよう見直し また 受託保証型 DB において積立不足が生じないように 上記にかかわらず 現価を計算する予定利率を生命保険契約の契約者価額の算定に用いる利率に固定する改正を合わせて行う 2

3. 受託保証型確定給付企業年金 ( 受託保証型 DB) を実施する場合の拠出方法の見直し ( 2 障害給付金の請求に係る添付書類の見直し は 7 頁参照 ) 生命保険の一般勘定等で運用することにより 積立不足が生じないことが確実に見込まれる仕組みである 受託保証型 DB が平成 26 年度から実施できるようになったが 既存の DB から受託保証型 DB へ移行する場合 積立不足を有したままでは支障があることから 積立不足の一括拠出を可能とする 受託保証型 DB の仕組み 拠出 生保一般勘定等で運用 給付 生命保険の一般勘定等で運用することにより付利する仕組みのため 積立不足が生じない 通常の DB から受託保証型 DB へ移行する場合 通常の DB 移行時点 受託保証型 DB 生保一般勘定等で運用 受託保証型 DB への移行時に積立不足を解消しなければ 給付減額を行う等の措置が必要となるなどの支障が生じる 予定利率 積立不足 減額 拠出 運用実績 積立額 給付 受託保証型 DBへの移行時における積立不足の一括償却を可能とするよう見直す 3

4.1 積立不足に伴い拠出する掛金の拠出時期の変更 現行では ある年度の決算において 非継続基準に抵触した DB は 一定のルールに基づき算定した額を 掛金として当該決算年度の翌々事業年度に拠出することとされている 現時点で制度が終了した場合に最低限保全すべき給付を確保する という非継続基準の考え方に照らせば 非継続基準に対する積立不足は できる限り早期に償却することが望ましいと考えられることから 翌事業年度に拠出することも可能とする 拠出時期は予め規約に定め 原則として変更することはできないこととする 現行制度 非継続基準の財政検証に抵触 掛金額の算定 企業における予算措置等 この期間のうちの規約で定める時期に掛金を拠出 N 年度末 N+1 年度末 N+2 年度末 現行では 掛金額の算定や DB の母体企業における掛金拠出の予算措置等の手続のため N+2 年度において拠出を行うこととなっているが 非継続基準の考え方に照らせば 積立不足は 基準抵触の判明後できる限り早期に償却することが望ましい 見直し案 非継続基準の財政検証に抵触 この期間のうちの規約で定める時期に掛金を拠出 N 年度末 N+1 年度末 N+2 年度末 4

4.2 積立不足に伴い拠出する掛金の額の算定方法の変更 ある年度 (N 年度 ) の決算において 非継続基準に抵触した DB は 以下の算式で算定した額を 掛金として拠出する必要がある N 年度末における積立不足を償却するための額 + N+1 年度における債務の増加見込額 - N+1 年度における資産の増加見込額 現行では 上記算式の N+1 年度における資産の増加見込額 について 掛金収入による資産の増加しか見込まないこととなっているため 給付による資産の減少や 運用収益による資産の増加も含め 精緻に見込むこととする N+1 年度の資産の減少が見込まれる場合は 減少見込額を加算 非継続基準に抵触した場合に拠出する掛金の額の算定方法 現行制度 掛金収入による資産の増加のみを見込むこととなっている 見直し案 掛金収入による資産の増加に加え 給付による資産の減少や運用収益による資産の増加も見込む 拠出する掛金の額 N+1 年度における資産の増加見込額 N 年度末における積立不足を償却するための額 N+1 年度における債務の増加見込額 上記の措置に併せて 前頁の見直しにより N+1 年度に掛金を拠出することとする DB は そもそも N+1 年度の見込みを織り込まないこととする措置を講ずる 5

5. 実施事業所減少時の掛金の一括拠出額の見直し 事業所が DB から脱退しようとする場合には 他の事業所の掛金が増加しないように掛金を一括拠出することとなっているが 当該一括拠出額の算定について 以下の見直しを行う 現行制度 1 特別掛金収入現価 (A) と非継続基準の不足額 (B) を比較し 大きいほうの額を徴収 2 ただし 特別掛金収入現価 (A) の方が大きい場合は 繰越不足金等 (C) を加算して徴収できる 見直し案 特別掛金収入現価 (A)+ 繰越不足金等 (C) と非継続基準の不足額 (B) を比較し 大きいほうの額を徴収 ( 従来どおり A と B を比較して大きい方を拠出する方法も可能 ) 現行制度 見直し案 左記の例では A<B のため B を徴収 現行では 右図のような場合に 継続基準の不足額 (A+C) を拠出できない 左記の例では A+C>B のため 継続基準の不足額を全額拠出できるよう A+C を徴収可能とする 継続基準の不足額 A < B < A+C の場合 繰越不足金等 (C) 特別掛金収入現価 (A) 非継続基準の不足額 (B) 繰越不足金等とは 積立金の額が責任準備金の額を下回る額であり 減少時において特別掛金で措置されていない不足額等を表している 6

その他の改正事項 2. 障害給付金の請求に係る添付書類の見直し 障害給付金の請求の際に 障害の原因となった疾病等の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない時は 当該初診日を証するのに参考となる書類 ( 診察券 入院記録等 ) を添付すべきこととする 公的年金においても同様の措置がなされている 6. 手続の整理 確定給付企業年金法施行規則第 90 条から第 96 条までの規定に基づく承認又は認可申請に添付する書類について 現行で規定されている書類のほか 承認又は認可に当たって必要な書類を添付することとする 具体的な内容は 確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について ( 平成 14 年 03 月 29 日年企発第 0329003 号 年運発第 0329002 号 ) において規定 7. 存続連合会への事務委託 厚生年金基金の一部の設立事業所が DB に権利義務移転 ( 代行返上 ) を行う場合 代行部分の現価相当額は連合会が徴収することとされていたが 平成 26 年度から政府が徴収することとされた これに伴い 一部の設立事業所が代行返上するときの記録整理及び現価相当額の算定業務等について 政府が行うこととなったが これを連合会に事務委託を行うことができるよう 改正を行う 8. 個人情報の保護に関する規定の整備 企業年金の事業主及び基金 石炭鉱業年金基金 国民年金基金 国民年金基金連合会 存続厚生年金基金並びに存続連合会が適正に個人情報の取扱いを行う旨を規定する 7

( 参考 )DB 制度における積立基準 - 継続基準と非継続基準 - DB 制度においては 以下の2つの基準を満たすような積立が求められている 1( 継続基準 ) 今後とも年金制度を継続する場合に 現時点の資産額と今後の掛金で 既に発生した給付債務と今後発生する給付債務を賄うことができるかどうか 2( 非継続基準 ) 現時点で制度を終了した場合に 現時点までの加入期間に応じて加入者等に最低限保全すべき給付の原資が確保できているかどうか イメージ 1 継続基準の考え方 今後とも年金制度を継続することを前提とした考え方 今後入ってくると見込まれる掛金 今後発生すると見込まれる給付債務 現在保有している資産と 今後入ってくると見込まれる掛金で 既に発生した債務と 今後発生すると見込まれる債務が賄えるか 資産 既に発生した給付債務 2 非継続基準の考え方 現時点で年金制度が終了することを想定した考え方 現時点までの加入期間に応じて発生しているとみなされる 最低限保全すべき給付の原資を賄えるだけの資産を保有しているか 資産 現時点で終了した場合に最低限保全すべき給付の原資 8