平成 28 年 5 月 3 級 FP 技能検定 / 実技試験 < 保険顧客資産相談業務 > 解答と解説 第 1 問 番号 問 1 問 2 問 3 正解 3 3 2 配点 3 点 3 点 4 点 < 問 1> 正解 3 3) が正しい Aさん ( 厚生年金保険の被保険者 = 国民年金の第 2 号被保険者 ) が現時点で死亡した場合 妻 B さんには遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給される このうち 遺族基礎年金は 末子 ( 二男 D さん ) が 18 歳に到達する年度の末日 (3 月 31 日 ) まで支給される 遺族基礎年金の年金額は 基本額 ( 老齢基礎年金の満額と同額の 780,100 円 )+ 子の加算 で 子の加算は第 1 子 第 2 子は各 224,500 円 第 3 子以降は各 74,800 円である 設例の場合 長男 Cさんは 19 歳なので 子の加算は 1 人分である したがって 遺族基礎年金の年金額は 次のようになる 780,100 円 +224,500 円 =1,004,600 円 < 参考 > 遺族基礎年金額 ( 平成 28 年度価額 ) 遺族が配偶者と子の場合遺族が子の場合子 1 人 780,100 円 +224,500 円 =1,004,600 円子 1 人 780,100 円子 2 人 780,100 円 +224,500 円 2 人 =1,229,100 円子 2 人 1,004,600 円 3 人目以降は子 1 人につき 74,800 円を加算 < 問 2> 正解 3 1) 不適切 遺族厚生年金の額は 原則として 厚生年金保険の被保険者期間を基礎として 計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の 4 分の 3 に相当する額になる なお A さ んの場合は 被保険者期間が 325 月であるが もし被保険者期間が 300 月に満たないと きは 300 月とみなして年金額が計算されるという点も覚えておきたい 2) 不適切 遺族厚生年金を受給している妻が再婚した場合 妻の受給権は消滅する 3) 適切 次の 1 か 2 のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金には 40 歳から 65 歳 になるまでの間 中高齢寡婦加算額 585,100 円 ( 平成 28 年度価額 ) が加算される 1
1 夫が亡くなったとき 40 歳以上 65 歳未満で 生計を同じくしている子がいない妻 2 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻 (40 歳に達した当時 子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る ) が 子が 18 歳到達年度の末日に達したため 遺族基礎年金を受給できなくなったとき 設例の場合 二男 Dさんの 18 歳到達年度の末日が終了すると 妻 Bさんの有する遺族基礎年金の受給権は消滅するが その後 妻 Bさんが 65 歳に達するまでの間 妻 Bさんに支給される遺族厚生年金の額に中高齢寡婦加算が加算される < 問 3> 正解 2 1) 不適切 Aさんに係る医療費の一部負担金の割合は 入院 外来を問わず 原則として 3 割である 2) 適切 同一月に 同一医療機関等の窓口で支払った医療費の一部負担金等の額が自己負担限度額を超える場合は 超えた額が高額療養費として支給される 3) 不適切 傷病手当金は 休業 4 日目から 1 年 6 ヵ月を限度として支給される 第 2 問 番号 問 4 問 5 問 6 正解 3 2 2 配点 3 点 4 点 3 点 < 問 4> 正解 3 1) 適切 子どもの教育費総額は進路によって異なる 文部科学省の学習費調査など 各種データを目安にし 早期に準備を始めるのが大切である 2) 適切 なお 日本政策金融公庫の教育一般貸付は 修業年限が原則 6 ヵ月以上で 中学校卒業以上の子を対象とする教育施設が対象となる 原則として 融資限度額は子 1 人につき 350 万円 ( 海外留学の場合は 450 万円 ) 返済期間 15 年以内である 3) 不適切 独立行政法人日本学生支援機構の取り扱う第一種奨学金も第二種奨学金も返済義務があり 第一種奨学金は無利息である < 問 5> 正解 2 1) 適切 基準保険金額 50 万円と高額割引適用の 70 万円の受取率を比較し さらに学資 ( こども ) 保険以外の貯蓄商品に関しても選択肢として比較検討するとよい 学資 ( こども ) 保険単独ではなく 貯蓄商品と組み合わせて準備することも検討する 2) 不適切 保険料を短い期間で支払ってしまうことにより割引が利き 払込保険料総額は小さくなるため受取率が高くなる 2
3) 適切 学資 ( こども ) 保険は 契約者が死亡 高度障害状態となった場合 以後の保険料払込が免除されるため 契約者となる A さんの保障でもある 契約時には告知義務を履行し 過去の傷病歴や現在の健康状態などについて 事実をありのままに告知しなくてはならない < 問 6> 正解 2 1) 不適切 学資 ( こども ) 保険の保険料は個人年金保険料控除の対象とはならず 生命保険料控除の対象である 2) 適切 A さんが保険料払込期間中に死亡した場合 承継契約者である妻 B さんが生命保険契約を相続する その際 生命保険契約に関する権利の価額に対して相続税の課税対象となるが 相続開始時の解約返戻金相当額で評価される 3) 不適切 学資年金は A さんの雑所得として所得税および住民税の課税対象となる 学資年金について保険会社所定の据置きを選択し 実際に年金額を受け取らない場合でも 学資年金支払期日の属する年度の所得として課税される 雑所得の計算は以下のとおりである 雑所得 = 総収入額 - 必要経費 = 年金年額 -( 保険料総額 年金年額 学資年金総額 ) =50 万円 -(187 万 9,200 円 50 万円 200 万円 ) =50 万円 -46 万 9,800 円 =3 万 200 円 第 3 問 番号 問 7 問 8 問 9 正解 1 3 1 配点 3 点 3 点 4 点 < 問 7> 正解 1 退職所得の金額は ( 収入金額 - 退職所得控除額 ) 1/2 ( 勤続年数が 5 年以下の役員等に対して支払う退職手当等については 1/2 課税の適用はない ) で計算されるが 退職所得控除額は勤続年数に応じて 次のように計算する 勤続年数退職所得控除額 20 年以下 40 万円 勤続年数 20 年超 800 万円 +70 万円 ( 勤続年数 -20 年 ) ( 注 ) 勤続年数は 1 年未満の端数がある場合 切り上げて 1 年とする 3
A さんの役員退職金は 5,000 万円で 役員在任期間 ( 勤続期間 ) が 22 年なので 退職所 得の金額は次のようになる [5,000 万円 -{800 万円 +70 万円 (22 年 -20 年 )}] 1/2=2,030 万円 < 問 8> 正解 3 A さんが提案を受けている無配当逓増定期保険は 参考 の1に該当する 保険期間満了時の被保険者の年齢 72 歳 加入時の被保険者の年齢 + 保険期間 2=94 したがって 支払保険料の 2 分の 1 を前払保険料として資産計上し 残りを定期保険料として損金算入する 1) 不適切 支払保険料全額を定期保険料として処理している 2) 不適切 支払保険料全額を前払保険料として処理している 3) 適切 < 問 9> 正解 1 1) 不適切 逓増定期保険の保険金額は 逓増率変更年度以降増加していくが 保険料は一定である 2) 適切 逓増定期保険の解約返戻金の額は 保険期間の経過により徐々に増加してピークを付け その後は減少し 保険期間満了時には 0( ゼロ ) となる 3) 適切 逓増定期保険加入後 契約から 5 年経過時に解約した場合 それまで前払保険料として資産計上していた金額を取り崩し 解約返戻金額との差額を雑収入もしくは雑損失として計上する 第 4 問 番号 問 10 問 11 問 12 正解 1 3 1 配点 3 点 3 点 4 点 < 問 10> 正解 2 2) の語句の組み合わせが適切 ⅰ) 地震保険料控除の控除額は 年間の支払い保険料が 5 万円以下の場合は支払い保険料 5 万円超の場合は 5 万円である したがって 設例の場合 控除額は 25,000 円 である ⅱ) 配偶者控除は 配偶者の合計所得金額が 38 万円以下の場合に適用を受けられる 妻 B さんは パート収入 ( 給与収入 ) が 80 万円なので 給与所得の金額は 80 万円 -65 4
万円 ( 給与所得控除額 )=15 万円となり 合計所得金額が 38 万円 を超えていないため Aさんは配偶者控除の適用を受けることができる ⅲ) 扶養控除の対象となるのは 1 納税者と生計を一にしている親族 ( 配偶者を除く ) 2 16 歳以上 3 合計所得金額が 38 万円以下などの要件を満たした場合で 控除額は年齢等に応じて 次のようになっている 区分控除額一般の控除対象扶養親族 (16 歳以上 19 歳未満 23 歳以上 70 歳未満 ) 38 万円特定扶養親族 (19 歳以上 23 歳未満 ) 63 万円老人扶養親族 (70 歳以上 ) 同居老親等以外の者 48 万円同居老親等 ( 注 ) 58 万円 ( 注 ) 同居老親等とは 老人扶養親族のうち 納税者又はその配偶者の直系の尊属 ( 父母 祖父母など ) で 納税者又はその配偶者と常に同居している人をいう 設例の場合 長男 Cさんは 16 歳なので一般の控除対象扶養親族に該当し 二男 Dさんは 14 歳なので控除対象扶養親族に該当しない したがって 控除額は 38 万円 である < 問 11> 正解 3 1) 不適切 給与所得者の場合 住宅借入金等特別控除の適用を受ける最初の年は確定申告が必要であるが 2 年目からは年末調整で適用を受けることができる 2) 不適切 青色申告をすることができるのは 不動産所得 事業所得 山林所得 ( ふ じ さん などと覚えるとよい ) を有する場合で 給与所得者は青色申告をすることができない 3) 適切 確定申告書の提出先は 原則として 納税者の住所地を管轄する税務署長である < 問 12> 正解 1 給与所得の金額給与所得控除額 900 万円 -(900 万円 10%+120 万円 )=690 万円 一時所得の金額一時払変額個人年金保険の解約返戻金は 一時所得となる 一時所得の金額は 総収入金額 - 収入を得るために支出した費用 - 特別控除 ( 最高 50 万円 ) で計算される 満期保険金一時払保険料特別控除 600 万円 - 500 万円 - 50 万円 =50 円 総所得金額: 一時所得の金額は その 2 分の 1 の額が総所得金額に算入される 690 万円 +50 万円 1/2=715 万円 5
第 5 問 番号 問 13 問 14 問 15 正解 2 2 1 配点 3 点 4 点 3 点 < 問 13> 正解 2 2) の語句の組み合わせが適切 ⅰ)Aさんの相続に係る法定相続人は 妻 Bさん 長男 Cさん 長女 Dさん 孫 Fさん Gさん ( 二女 Eさんの代襲相続人 ) の 5 人 である ⅱ) 相続税の基礎控除額は 3,000 万円 +600 万円 法定相続人の数 で算出される A さんの相続における法定相続人は 5 人であるので 基礎控除額は 3,000 万円 +600 万円 5 人 =6,000 万円 である ⅲ) 妻 Bさんが受け取った死亡保険金 (3,000 万円 ) は 相続税の課税対象となり 死亡保険金の非課税の適用がある 死亡保険金の非課税限度額は 500 万円 法定相続人の数 で算出される 法定相続人の数は 5 人なので 非課税限度額は 500 万円 5 人 = 2,500 万円となり 相続税の課税価格に算入される金額は 3,000 万円 -2,500 万円 = 500 万円 である < 問 14> 正解 2 相続税の計算において 相続税の総額 までは 誰がどのように相続するかにかかわらず 法定相続分通りに相続したものとみなして次の順序で計算する 1 課税価格の合計額本問では 金額を明らかにしていないが 課税遺産総額 ( 課税価格の合計額 - 基礎控除額 )9,600 万円が明記されており 基礎控除額から逆算すると 1 億 5,600 万円となる 2 遺産に係る基礎控除額基礎控除額は 6,000 万円 ( 問 13 参照 ) である 3 課税遺産総額 1 億 5,600 万円 -6,000 万円 =9,600 万円 ( この金額が設問上の前提条件として記載されている ) 4 相続税の総額 妻 Bさんの相続税の総額の基となる税額 9,600 万円 1/2=4,800 万円 4,800 万円 20%-200 万円 =760 万円 長男 Cさん 長女 Dさんそれぞれの相続税の総額の基となる税額 9,600 万円 1/2 1/3=1,600 万円 6
1,600 万円 15%-50 万円 =190 万円 孫 Fさん Gさんそれぞれの相続税の総額の基となる税額 9,600 万円 1/2 1/3 1/2=800 万円 800 万円 10%=80 万円 相続税の総額 760 万円 +190 万円 2 人 +80 万円 2 人 =1,300 万円 < 問 15> 正解 1 * 配偶者に対する相続税額の軽減の規定とは 配偶者が相続等で取得した正味の遺産額が 1 億 6 千万円か配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという規定である 1) 不適切 本規定の適用要件として 婚姻期間は問わない なお 贈与税の配偶者控除の場合は 婚姻期間が 20 年以上という要件がある 2) 適切 3) 適切 なお 本規定は 配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されるので 原則として 相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象にならない しかし 遺産の全部についての分割が終わっていなくても 分割の確定したものがあれば その確定した財産については税額軽減の措置を受けることができる また 所定の申請を行い申告期限から 3 年以内に分割したときは 税額軽減の対象になる さらに 相続税の申告期限から 3 年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり 税務署長の承認を受けた場合で その事情がなくなった日の翌日から 4 ヵ月以内に分割されたときも 税額軽減の対象になる 7