CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

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3 病床数 施設 ~19 床 床 床以上 284 (3 施設で未回答 ) 4 放射線専門医数 ( 診断 治療を含む ) 施設 ~5 人 226 6~10 人 人

3 章 透析まで行かせないためにどうする 2 CKD と高尿酸血症 尿酸をどうコントロールする 高尿酸血症の分類を以下に示します 平和伸仁 まとめ & ス アドバイ 尿酸産生過剰型 尿酸排泄低下型 上記 2 つの混合型 腎機能の低下とともに尿酸排泄が低下して高尿酸血症の頻度は高まる 腎機能が低下する

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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2004年 vol.16-2/1      目次・広告

第4章:施策と目標 2:生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(3)糖尿病(4)COPD

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1治療 かっていたか, 予想される基礎値よりも 1.5 倍以上の増加があった場合,3 尿量が 6 時間にわたって 0.5 ml/kg 体重 / 時未満に減少した場合のいずれかを満たすと,AKI と診断される. KDIGO 分類の重症度分類は,と類似し 3 ステージに分けられている ( 1). ステー

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1 疾患別医療費札幌市国保の総医療費に占める入院医療費では 悪性新生物が 21.2% 循環器疾患が 18.6% となっており 循環器疾患では 虚血性心疾患が 4.5% 脳梗塞が 2.8% を占めています 外来医療費では 糖尿病が 7.8% 高血圧症が 6.6% 脂質異常症が 4.3% となっています

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スイスイ検診ってなに?? 20 歳以上の方で ご自分の身体について ふと思う事はありませんか? たとえば 健康について気になるけど健康診断 人間ドックを受けていない! 病院で診察を受けるまでもないけど ちょっと気になる! 健康管理に気をつけているから大丈夫だと思うけど 検査の数値が気になる! 主人は

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

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健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

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抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

あなたの血圧目標値 はじめに / 冊子の作り方 mmhg ① 印刷した面を外側にして半分に折ります ② はじめに を一番上にして右側に折った側がくるように重ね 表紙で包むようにし 端をホチキスなどで綴じてください 氏 名 住 所 電 話 年 生年月日 半分に折る 表紙で包むようにする 月 日 綴じる

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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< 糖尿病療養指導体制の整備状況 > 療養指導士のいる医療機関の割合は増加しつつある 図 1 療養指導士のいる医療機関の割合の変化 平成 20 年度 8.9% 平成 28 年度 11.1% 本糖尿病療養指導士を配置しているところは 33 医療機関 (11.1%) で 平成 20 年に実施した同調査

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Transcription:

[web 版資料 1 患者意見 1] この度 高尿酸血症 痛風の治療ガイドライン の第 3 回の改訂を行うことになり 鋭意取り組んでおります 診療ガイドライン作成に患者 市民の立場からの参加 ( 関与 ) が重要であることが認識され 診療ガイドライン作成では 患者の価値観 希望の一般的傾向 患者間の多様性を反映させる必要があり 何らかの方法で患者 市民の参加 ( 関与 ) に努めるようになってきております そこで 本ガイドラインの改訂につきましても患者 市民の方の参加 ( 関与 ) をお願いすることとなりました 今回は 先般作成されたクリニカルクエスチョン (CQ) に関して皆さんの評価 ( ご意見 ) をいただきたいと思います よろしくご協力をお願いいたします クリニカルクエスチョン (CQ) とは? 高尿酸血症 痛風の治療の場面で行うべき治療に関して 未だその選択が決まっていない ( 担当医師の判断に任されているもの ) 場合に その治療を選ぶことを推奨するか否かを質問形式で提示して 文献を調べ ( エビデンスを調べるといいます ) 医師ならびに患者の合意の基にその治療選択の推奨の程度( 強く推奨するかどうか ) を考えて行きます 推奨に当たっては 治療がもたらす効果面 ( 益 ) と有害面 ( 害 ) を比較し益がより大きく 害がより小さいものが選択されます そこで以下の7つのクリニカルクエスチョン (CQ) についてそれぞれの益と害を決めております 患者の立場からご意見をお願いいたします

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の発作を起こしている患者にステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤です ) コルヒチンは無投薬に比較して投与が推奨されますか? この治療により 痛風性関節炎が改善し 検査値 ( 炎症に関わる ) が改善するという益と有害事象 ( 薬の副作用が出るなど ) が増えるという害のバランスを考えて推奨を決める というCQを作成しました たとえばこれ以外に患者側からの益と害などに関してご意見をいただきたいと思います 意見 : 痛風性関節炎の改善が有害事象より優先される理由 : 痛風の発作は激痛を伴うもので 患者側からすると少々の副作用があっても早急に痛みを取り除いてもらいたいと思っています ステロイドを投薬された経験はありませんが コルヒチン NSAIDs の副作用は問題になりません

CQ2: アロプリノール ( 尿酸生成を抑えて尿酸値を下げる薬剤 ) による高尿酸血症治療は腎障害を患っている患者の腎臓の保護に有用であるとされていますが 腎障害を伴う高尿酸血症 痛風患者にアロプリノールのような薬が腎臓の保護に有効かについてはまだ明らかでないために検討することが必要と考えられます そこで 腎障害を患っている高尿酸血症 痛風の患者に尿酸降下薬( アロプリノールのような薬 ) の投与は無投薬に比較して投与が推奨されますか? この治療により 腎機能低下の抑制と末期腎不全の抑制 ( 透析にならない ) という益と有害事象 ( 薬の副作用が出るなど ) が増えるという害のバランスを考えて推奨を決める というCQを作成しました たとえばこれ以外に患者側からの益と害などに関してご意見をいただきたいと思います 意見 : 腎機能低下の抑制と末期腎不全の抑制が有害事象より優先される 理由 : 無投薬により 腎不全の発作確率が高くなるのであれば 投薬を望みます 私の場合 ザイロリックを長期間服用していましたが この副作用で白血球が低下したのではないかと疑われたことがありましたが もしそのような可能性があるのであれば 事前に患者に説明する必要があると思います

CQ3: 高尿酸血症 痛風を患っている高血圧患者に痛風発作以外の臓器保護 ( 例えば心臓を守る ) の目的で尿酸降下薬を投与すべきかはまだ明らかではないために検討することが必要と考えられます そこで 高尿酸血症 痛風を患っている高血圧患者に尿酸降下薬の投与は無投薬に比較して推奨されるか? この治療により 心血管イベント発症 ( 例えば心筋梗塞など ) 抑制と心血管死亡の抑制という益と 有害事象 ( 薬の副作用が出るなど ) が増えるという害のバランスを考えて推奨を決める というCQを作成しました たとえばこれ以外に患者側からの益と害などに関してご意見をいただきたいと思います 意見 :CQ3 は経験がないので 回答できません

CQ4: 痛風結節 ( 尿酸が沈着して皮膚の下に塊ができる ) を有する痛風患者に対して薬物治療により血清尿酸値の目標値を具体的に 6mg/dl 以下にすることが結節を小さくするために推奨されるかは明らかではありません そこで痛風結節を有する患者に対して血清尿酸値を 6mg/dl 以下にすることが有効であるかを 目標値を設定しない場合と比較検討することが必要と考えられます そこで 痛風結節を有する患者の血清尿酸値を薬物治療により 6mg/dl 以下にすることは目標値を設定しないよりも推奨されるか? この治療により 痛風結節が改善し尿酸値が下がることで腎機能低下が抑制されるという益と痛風発作が増加する ( 尿酸値が下がりすぎることで発作が増える ) という害のバランスを考えて推奨を決める というCQを作成しました たとえばこれ以外に患者側からの益と害などに関してご意見をいただきたいと思います 意見 : 腎機能低下の抑制より痛風発作の増加が重要である 理由 : 痛風発作を提言するための設定値を設定してもらいたい

CQ5: 高尿酸血症 痛風を患っている心不全患者に尿酸コントロール薬を痛風発作の抑制以外の臓器保護の目的 ( 例えば心不全を良くする ) で投与すべきかはまだ明らかではないために 検討することが必要と考えられます そこで 高尿酸血症 痛風を患っている心不全患者に尿酸降下薬の投与は無投薬に比較して推奨されるか? この治療により 心血管死亡 ( 心臓や血管の病気による死亡 ) の減少と総死亡 ( 理由の如何に関わらず死亡 ) の減少という益と有害事象 ( 薬の副作用が出るなど ) が増えるという害のバランスを考えて推奨を決める というCQを作成しました たとえばこれ以外に患者側からの益と害などに関してご意見をいただきたいと思います 意見 : 心血管死亡と総死亡の減少が有害事象より重要である 理由 : 死亡が減少することが最優先

CQ6: 痛風患者に尿酸コントロール薬を投与するときに痛風発作を予防するためにコルヒチンカバー ( コルヒチンというお薬を1 錠 1か月程度服用してもらう ) が推奨されています しかしながらコルヒチンカバーの期間が短期間で良いか (1か月以内)? 長期間 (1か月以上 6か月まで ) が良いかについては明らかではありません これを検討することは必要と考えられます そこで 痛風発作が頻発する患者に長期間コルヒチンカバーを行うことは短期間コルヒチンカバーを行うよりも推奨されるか? この治療により 痛風性発作が予防されることと生活の質が改善する ( 仕事を発作で休まなくて良いなど ) という益と有害事象 ( 薬の副作用が出るなど ) が増えるという害のバランスを考えて推奨を決める というCQを作成しました たとえばこれ以外に患者側からの益と害などに関してご意見をいただきたいと思います 意見 : 長期間コルヒチンカバー < 有害事象と考えます 理由 : コルヒチンは発作の予防薬として使用したく 発作が予感されるときに 短期間使用することが望ましい

CQ7: わが国のガイドラインでは食生活の修正 ( 飲酒習慣を含める ) が高尿酸血症治療には優先すべきことが示されていますがその効果は明らかにされていません そこで食事療法が有効かを 食事指導をしない場合と比較検討することは必要と考えられます そこで 高尿酸血症 痛風の患者に対して食事療法を指導することはしないよりも推奨されるか? この治療により 尿酸値を低下させること痛風の抑制という益と新規痛風発症増加 ( 食事療法が逆に尿酸値の変動を生んでしまうなど ) という害のバランスを考えて推奨を決める というCQを作成しました たとえばこれ以外に患者側からの益と害などに関してご意見をいただきたいと思います 意見 : 食事療法は 自分の好きなものが抑制されるため ( 例 : ビール もつ鍋 納豆 ) 受け入れがたい心境であったけれども 年を取ってくると気にならないようになってきました 新規痛風発症増加という害があれば尚更のこと 過度の食事療法は良くないと考えます