日本医薬品安全性学会 COI 開示 筆頭発表者 : 加藤祐太 演題発表に関連し 開示すべき COI 関連の企業などはありません

Similar documents
デベルザ錠20mg 適正使用のお願い

2010年4月16日、高血圧治療薬の「ユニシア配合錠」が製造承認を取得した

スライド 1

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

<4D F736F F D B A814089FC92F982CC82A8926D82E782B95F E31328C8E5F5F E646F63>

p 13

菌種 報告年 株数 MIC(μg/mL) Range MIC50 MIC > ( 幾何平均 ) C.tropicalis >

1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

市販直後調査の実施状況 デベルザ 錠 アプルウェイ 錠 一般的名称 イプラグリフロジン L- プロリン ダパグリフロジンプロピレン グリコール水和物 ルセオグリフロジン水和物 トホグリフロジン水和物 調査実施期間 製造承認 2014/04/30 製造承認 2014/08/22 製造承認 2014/0

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

<4D F736F F D2082A8926D82E782B995B68F E834E838D838A E3132>

レクタブル 2 mg 注腸フォーム 14 回に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 レクタブル 2 mg 注腸フ 有効成分 ブデソニド ォーム14 回 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 29 年 10 月 1.1. 安全性検討事項 重要な特

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

食欲不振 全身倦怠感 皮膚や白目が黄色くなる [ 肝機能障害 黄疸 ] 尿量減少 全身のむくみ 倦怠感 [ 急性腎不全 ] 激しい上腹部の痛み 腰背部の痛み 吐き気 [ 急性膵炎 ] 発熱 から咳 呼吸困難 [ 間質性肺炎 ] 排便の停止 腹痛 腹部膨満感 [ 腸閉塞 ] 手足の筋肉の痛み こわばり

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

Microsoft Word - sa_niflec_ doc

Microsoft Word - LIA RMP_概要ver2.docx

ヒアルロン酸ナトリウム架橋体製剤 特定使用成績調査

レキサルティに係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 ( 別紙様式 ) レキサルティ錠 1mg 販売名有効成分ブレクスピプラゾールレキサルティ錠 2mg 製造販売業者大塚製薬株式会社薬効分類 安全性検討事項 提出年月 重要な特定されたリスク 平成 30 年 5 月 錐

デベルザ錠20mg 発売4ヶ月間の副作用発現状況

第1 総 括 的 事 項

副作用収集状況 市販直後調査期間中 (2011 年 4 月 11 日 ~2011 年 10 月 31 日 ) に収集された副作用は 200 例 258 件でした そのうち 重篤な副作用は 8 例 14 件でした 副作用の内訳を表 1 に示します 重篤な副作用は 高カルシウム血症 3 件 意識変容状態

医薬品の添付文書等を調べる場合 最後に 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 特定の文書 ( 添付文書以外の文書 ) の記載内容から調べる場合 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 最後に 調べたい医薬品の名称を入力 ( 名称の一部のみの入力でも検索可能

相互作用DB

改訂後改訂前 << 効能 効果に関連する使用上の注意 >> 関節リウマチ 1. 過去の治療において 少なくとも1 剤の抗リウマチ薬 ( 生物製剤を除く ) 等による適切な治療を行っても 疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること 2. 本剤とアバタセプト ( 遺伝子組換え ) の併用は行わな

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

Microsoft Word - 茬çfl�宛玺0618第1å‘·_æŠ¥èŒ¬é•£å®łã†¦é•ıç�¥ï¼‹ã…¡ã…‹ã…łã…«ã…�ㅳ;.doc

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

改訂の理由及び調査の結果直近 3 年度の国内副作用症例の集積状況 転帰死亡症例 国内症例が集積したことから専門委員の意見も踏まえた調査の結果 改訂することが適切と判断した 低カルニチン血症関連症例 16 例 死亡 0 例


アビガン錠 200mg に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 アビガン錠 200mg 有効成分 ファビピラビル 製造販売業者 富士フイルム富山化学株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全性検討事項 重要な特定されたリスク 頁 重要な潜在

診療科 17 診療科 病床数 494 床 (ICU3 床 HCU5 床 無菌病室 1 床含む ) 病棟数 9 病棟 ( 一般病棟入院基本料 7:1) 外来患者数 1302 人 / 日 入院患者 437 人 / 日 地域がん診療連携拠点病院 病院機能評価認定病院 (Ver5.0) 平成 22 年度実績

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

Microsoft Word - 入稿用_JAD_9回目報告_ docx

Microsoft Word - オーソ_201302_Final.docx

タルグレチンカプセル75mg‗副作用報告状況

フォシーガ錠5mg_患者向医薬品ガイド

Microsoft Word - 入稿用_JAD_10回目報告_ docx

PowerPoint プレゼンテーション

ジャディアンス錠 EPPV報告書_160523_2.pdf

保険薬局の登録 ~ クロザリルは CPMS に登録された保険薬局で調剤され 通院患者に渡されることにな っています CPMS 登録にあたり薬局には下記要件が求められます < 要件 1> 1) インターネットが使えること (ecpms(web site) にアクセス可能であること ) 2) 処方元の医

<4D F736F F D C534689FC92F9817A82A8926D82E782B995B68F915F8D5A90B39286>

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL・2g/10mL・4g/20mL

エビリファイに係る ( 別紙様式 ) 販売名 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 1 エビリファイ錠 1 mg /3 mg /6 mg /12 mg 2 エビリファイ散 1% 3 エビリファイ内用液 0.1% 4 エビリファイ OD 錠 3 mg /6 mg /12 mg /24 mg 5

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

Untitled

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

スライド 1

<4D F736F F D208BA38D DA81458BA38D878AE98BC6838A E646F6378>

④資料2ー2

改訂後 ⑴ 依存性連用により薬物依存を生じることがあるので 観察を十分に行い 用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること また 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により 痙攣発作 せん妄 振戦 不眠 不安 幻覚 妄想等の離脱症状があらわれることがあるので 投与を中止する場合には 徐々に

Microsoft Word - 日薬連宛抗インフル薬通知(写).doc

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類


審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

2 抗インフルエンザウイルス薬と異常行動の議論と今後の予定 平成 21 年に取りまとめられた報告書以降の知見を改めて報告書にまとめ 以下の議論がなされた 平成 21 年以降の非臨床研究及び 10 年に及ぶ疫学研究の科学的な知見を総括し 以下の事実から タミフル服用のみに異常行動と明確な因果関係がある

RA に対する長期投与試験 [RLN3] 13/26 投与群 WHO ART 器官別大分類基本語 有害事象の発現率 ( 安全性解析対象例 )(2) 全症例 YM mg BID 投与時 YM mg BID 以上増量時 自律神経系障害 8(5.1%)[8] 2(

減量・コース投与期間短縮の基準

目 次 1. 市販直後調査実施状況 1 2. 副作用収集状況 収集状況の概要 重篤な副作用の収集状況 5

JAPhMed th Annual Meeting 一般財団法人日本製薬医学会 COI 開示発表者名 : 堀明子 演題発表に関連し 開示すべき COI 関係にある企業などはありません

Microsoft Word - ①【修正】B型肝炎 ワクチンにおける副反応の報告基準について

用法 用量 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制 mg mg mg mg kg 30kg 40kg 20kg 30kg 10kg 20kg 5kg 10kg 1900mg mg mg mg

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

障害程度等級表 級別じん臓機能障害 1 級 じん臓の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの 2 級 3 級 じん臓の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの 4 級 じん臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

スライド 1

資料3_OTCset

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

( 別添 ) 御意見 該当箇所 一般用医薬品のリスク区分 ( 案 ) のうち イブプロフェン ( 高用量 )(No.4) について 意見内容 <イブプロフェン ( 高用量 )> 本剤は 低用量製剤 ( 最大 400mg/ 日 ) と比べても製造販売後調査では重篤な副作用の報告等はない 一方で 今まで

<4D F736F F D DB782B58AB782A6817A5F32342E342E31365F96F28DDC8E7482CC F8BC696B182CC906982DF95FB5F E312E305F2E646F63>

本日の内容 添付文書の改訂医薬品の添付文書がどのように作成され 改訂されるかを知る リスクコミュニケーション医療現場 行政 企業とのリスクコミュニケーションツールとその活用方法を知る 2

患者向医薬品ガイド

Microsoft Word - (別添1)ソブリアードについて(確定)

鑑-H リンゼス錠他 留意事項通知の一部改正等について

薬生安発 0302 第 1 号 平成 30 年 3 月 2 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬安全対策課長 ( 公印省略 ) 医薬品リスク管理計画の実施に基づく再審査期間終了後の評価報告について の一部改正について 再審査期間中の新医薬品以外の医薬品の医薬品リ

別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 商品名 : イチョウ葉脳内 α( アルファ ) 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) 弊社では当該製品 イチョウ葉脳内 α( アルファ ) と同一処方の製品を 200

重篤な副作用は 自然流産の 1 例 1 件であった 本症例は 本剤服用後も性交があり どの時点での妊娠か判断できず 本剤と自然流産との関連は評価できないと考えた 非重篤な副作用のうち 使用上の注意から予測できない副作用は 腹部膨満及び月経困難症各 2 件 腹部不快感 口内炎 ざ瘡 尿臭異常 月経障害

301128_課_薬生薬審発1128第1号_ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドラインの一部改正について

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

h29c04

医薬品リスク管理計画書(本文)

過去の医薬品等の健康被害から学ぶもの

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

様式 2 の (1) 記載要領 血球系障害 * (1) 患者の氏名 測定日 H27 年 9 月 17 日 身長 160 cm 体重 48 kg (3) 現住所 (4) 副作用によるものとみられる疾病の名称又は症状 ( 注 ) - ) 身長 体重は (6) の医薬品を使用した時点の直近の値を記入してく

オプジーボ 胃癌 副作用発現状況(集計期間:2017/09/22~2018/11/30)

(1)使用成績調査に関する資料

過去の医薬品等の健康被害から学ぶもの

ケブザラ皮下注 150mg/200mg シリンジ ケブザラ皮下注 150mg/200mg オートインジェクターに係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 製造販売業者 1 ケブザラ皮下注 150mg シリンジ 2 ケブザラ皮下注 200mg シリンジ 3 ケブザラ皮下注 150mg オ

「             」  説明および同意書

別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 本資料の作成日 :2016 年 10 月 12 日商品名 : ビフィズス菌 BB( ビービー ) 12 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) による食経験の評価ビフィズス菌 BB-12

14栄養・食事アセスメント(2)


保険薬局におけるハイリスク薬取り扱い時の注意点

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

添付 書の記載 それってどういう意味? ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構佐藤淳

Microsoft Word (発出版)適正使用通知案(冷凍アブレーション)

Transcription:

医薬品副作用データベース (JADER) を用いた市販後の副作用発現状況の検討 加藤祐太 1)2) 岸達生 3) 高松昭司 2) 白石正 4) 1) 山形大学医学部医薬品医療機器評価学講座 2) 医薬品医療機器総合機構安全第二部 3) 医薬品医療機器総合機構信頼性保証部 4) 山形大学医学部附属病院薬剤部

日本医薬品安全性学会 COI 開示 筆頭発表者 : 加藤祐太 演題発表に関連し 開示すべき COI 関連の企業などはありません

背景 近年 病棟薬剤業務実施加算が設けられ 薬剤師における病棟での服薬管理の徹底が益々求められている 患者が使用している薬剤について 添付文書に記載している副作用の 重篤性 と 頻度 を確認しながら状態をモニタリングする 重篤性 1 稀にしか起こらないが 起きた場合死に至るような重篤な副作用 重大な副作用 高 2 比較的多く見られるが 1 に比較して重篤性が低い副作用 その他の副作用 低 高 頻度 低

目的 新規薬剤の副作用に関して 添付文書に記載のある臨床試験での発現副作用や発生頻度だけでは市販後での幅広い年齢層や併用薬 合併症等の条件を踏まえた情報として不足している 市販後に追記した副作用は 投与した患者の母数が不明のため頻度情報がない ( 頻度不明 と記載される ) 新規薬剤における市販後の副作用発現状況を解析することで 臨床での副作用モニタリングのツールとすべく検討した (+ 現行の添付文書と比較 )

対象薬剤 ナトリウム グルコース共役輸送担体 2(SGLT2) 阻害薬 成分名商品名販売開始年月 1 イプラグリフロジン L- プロリン 2 ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物 スーグラ錠 25mg 同錠 5mg フォシーガ錠 5mg 同錠 1mg 平成 26 年 4 月 平成 26 年 5 月 3 トホグリフロジン水和物アプルウェイ錠 2mg 平成 26 年 5 月 効能 効果 :2 型糖尿病 4 トホグリフロジン水和物デベルザ錠 2mg 平成 26 年 5 月 5 ルセオグリフロジン水和物ルセフィ錠 2.5mg 同錠 5mg 平成 26 年 5 月 6 カナグリフロジン水和物カナグル錠 1mg 平成 26 年 9 月 7 エンパグリフロジン ジャディアンス錠 1mg 同錠 25mg 平成 27 年 2 月

方法 医薬品副作用データベース (JADER) を用いて ナトリウム グルコース共役輸送担体 2(SGLT2) 阻害薬を被擬薬とした全副作用報告を検索し 各薬剤における副作用報告件数を調査した 調査期間 214 年 4 月 ~215 年 12 月 (216 年 4 月 15 日時点 )

結果 ( 副作用発現症例数 ) ( 例 ) 5 45 4 35 3 25 2 15 1 5 457 42 92 44 55 27 35 5 17 31 25 1 9 214 年 215 年 N=1245 アプルウェイカナグルジャディアンススーグラデベルザフォシーガルセフィ

16 144 137 結果 ( 報告副作用 TOP1) N=1642 14 12 1 8 6 53 52 47 43 39 3 27 25 4 2

16 14 144 137 結果 ( 報告副作用 TOP1) 脱水 / 血栓 塞栓症関連は全副作用報告の約 25%! N=1642 12 1 8 6 53 52 47 43 39 3 27 25 4 2

35 3 25 2 15 1 5 結果 ( 器官別大分類別集積状況 ) N=1642

現行記載状況 1 216 年 6 月時点 〇 : 副作用の項に関連記載あり アプルウェイカナグルジャディアンススーグラデベルザフォシーガルセフィ 脳梗塞 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり : 頻度不明 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり :.1% 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり :.1% 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり : 頻度不明 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり : 頻度不明 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり : 頻度不明 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり :.1% 脱水〇頻度不明〇.1% 〇.1% 〇頻度不明〇頻度不明〇頻度不明〇.1% 全身性皮疹 発疹の記載あり :1% 未満 湿疹 発疹の記載あり :.1 ~1% 未満 発疹の記載あり :.1~5% 未満 湿疹 発疹の記載あり : 1% 未満 発疹の記載あり :1% 未満 発疹の記載あり :1~5% 未満 湿疹 発疹の記載あり :1% 未満 薬疹〇 1% 未満〇.1~1% 未満〇.1~5% 未満〇 1% 未満〇 1% 未満〇 1~5% 未満〇 1% 未満 低血糖 〇 臨床成績の 項に頻度情 報あり 〇臨床成績の項に頻度情報あり 〇 臨床成績の項に頻度情報あり 〇 臨床成績の項に頻度情報あり 〇 臨床成績の項に頻度情報あり 〇 臨床成績の項に頻度情報あり 〇 臨床成績の項に頻度情報あり

現行記載状況 2 216 年 6 月時点 アプルウェイカナグルジャディアンススーグラデベルザフォシーガルセフィ 腎盂腎炎〇頻度不明〇.1% 〇頻度不明〇.1% 〇頻度不明〇頻度不明〇.1% 急性心筋梗塞 糖尿病性ケトアシドーシス 腎機能障害 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり : 頻度不明 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり :.1% 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり :.1% 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり : 頻度不明 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり : 頻度不明 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり : 頻度不明 脱水の項に血栓 塞栓症の記載あり :.1% 〇頻度不明〇頻度不明〇頻度不明〇頻度不明〇頻度不明〇頻度不明〇頻度不明 重要な基本的注意の項に血清クレアチニン上昇eGFR 低下の記載あり : 頻度不明 尿路感染 〇 1~5% 未満 ( 重要な基本的注意の項に記載あり ) 重要な基本的注意の項に血清クレアチニン上昇eGFR 低下の記載あり : 頻度不明 〇.1~1% 未満 ( 重要な基本的注意の項に記載あり ) 〇 〇 : 副作用の項に関連記載あり : 副作用の項以外に関連記載あり 重要な基本的注意の項に血清クレアチニン上昇 egfr 低下の記載あり : 頻度不明.1~5% 未満 ( 重要な基本的注意の項に記載あり ) 重要な基本的注意の項に血清クレアチニン上昇 egfr 低下の記載あり : 頻度不明 重要な基本的注意の項に記載あり : 頻度不明 〇 重要な基本的注意の項に血清クレアチニン上昇eGFR 低下の記載あり : 頻度不明 1~5% 未満 ( 重要な基本的注意の項に記載あり ) 〇 1% 未満 ( 重要な基本的注意の項に血清クレアチニン上昇eGFR 低下の記載あり ) 〇 1~5% 未満 ( 重要な基本的注意の項に記載あり ) 重要な基本的注意の項に血清クレアチニン上昇 egfr 低下の記載あり : 頻度不明 〇 1% 未満 ( 重要な基本的注意の項に記載あり )

1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 結果 ( 転帰死亡の主な副作用 ) 脱水 / 血栓 塞栓症関連は転帰死亡報告の約 3%! N=75

死亡 死亡 12 報告副作用別 結果 ( 副作用件数と死亡件数の相関 ) 報告 2 件以上又は死亡 3 件以上の副作用 器官別大分類別 3 全報告副作用 1 死亡 25 心臓障害 8 2 6 4 2 突然死急性心筋梗塞心筋梗塞急性心不全 脱水 15 1 5 一般 全身障害および投与部位の状態 皮膚および皮下組織障害 神経系障害 全身性皮疹 脳梗塞 代謝および栄養障害 5 1 15 2 副作用報告数 1 2 3 4 副作用報告数

死亡 死亡 12 報告副作用別 結果 ( 副作用件数と死亡件数の相関 ) 報告 2 件以上又は死亡 3 件以上の副作用 器官別大分類別 3 全報告副作用 1 死亡 25 心臓障害 8 2 6 4 2 突然死急性心筋梗塞心筋梗塞急性心不全 脱水 15 1 5 一般 全身障害および投与部位の状態 皮膚および皮下組織障害 神経系障害 全身性皮疹 脳梗塞 代謝および栄養障害 5 1 15 2 副作用報告数 1 2 3 4 副作用報告数

考察 重篤性 及び 発現状況 を考慮した場合 SGLT2 阻害薬を使用する際は 脱水 ( 血栓症 ) の発現に特に注意しながらモニタリングし 適度な水分補給をするように服薬指導を行う必要性が非常に高い 同じ薬効群でも注意喚起の記載場所や頻度情報が異なるものがあることや副作用情報 ( 使用経験 ) が多いもの 少ないものがあることから 薬効群で纏めて解析することで SGLT2 阻害薬全体のリスク情報を得ることができた JADER のデータは毎月更新されることから 比較的最近までの副作用発現状況を把握し 服薬管理に活かすことができる 全ての薬剤について同様の方法で重篤性及び発現状況を考慮した解析が可能

死亡 死亡 シメプレビルナトリウム ( ソブリアード ) 6 5 報告副作用別 報告 1 件以上又は死亡 2 件以上の副作用 多臓器機能不全症候群 12 1 器官別大分類別 感染症および寄生虫症 全報告副作用 4 DIC 8 肝胆道系障害 3 敗血症 6 一般 全身障害および投与部位の状態 2 1 肝不全 腎不全等 血中ビリルビン増加 貧血 白血球数減少 血小板数減少 4 2 血液およびリンパ系障害 臨床検査 1 2 3 4 副作用報告数 2 4 6 8 1 12 副作用報告数

死亡 死亡 シメプレビルナトリウム ( ソブリアード ) 6 5 報告副作用別 報告 1 件以上又は死亡 2 件以上の副作用 多臓器機能不全症候群 頻度不明が多数! 12 1 器官別大分類別 感染症および寄生虫症 全報告副作用 4 DIC 8 肝胆道系障害 3 2 1 敗血症 肝不全 腎不全等 血中ビリルビン増加 貧血.2% 白血球数減少 血小板数減少 6 4 2 一般 全身障害および投与部位の状態 血液およびリンパ系障害 臨床検査 1% 以上 1 2 3 4 副作用報告数 2 4 6 8 1 12 副作用報告数

まとめ 新規薬剤における市販後の副作用報告を解析 市販後の調査 ( 使用成績調査等 ) 結果を待たずとも幅広い条件を踏まえた副作用情報を得ることができ 臨床試験での副作用情報を補足することが可能 重篤性 発現状況 ( 報告状況 ) を考慮した副作用モニタリングのツールとして有用