Microsoft Word - 参考資料5(手法編)v1c.doc

Similar documents
D 液 日団協技術資料 D 液 地上設置式横型バルク貯槽等の発生能力 1. 制定目的 バルク貯槽又はバルク容器 ( 以下 バルク貯槽等という ) を設置し 自然気化によってLP ガスを消費しようとする場合 需要家の消費量に対して十分な量のLPガスを供給すること

D 液 日団協技術資料 D 液 地下埋設式バルク貯槽の発生能力 1. 制定目的 バルク貯槽を地下埋設し自然気化によってLPガスを消費しようとする場合 需要家の消費量に対して十分な量のLPガスを供給することのできる大きさのバルク貯槽を設置しなければならないが バ

<4D F736F F D2091E6328FCD208DD08A5182CC94AD90B681458A6791E A834982CC93578A4A2E646F63>

1

CERT化学2013前期_問題

2 図微小要素の流体の流入出 方向の断面の流体の流入出の収支断面 Ⅰ から微小要素に流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅰ は 以下のように定式化できる Q 断面 Ⅰ 流量 密度 流速 断面 Ⅰ の面積 微小要素の断面 Ⅰ から だけ移動した断面 Ⅱ を流入出する流体の流量 Q 断面 Ⅱ は以下のように

Xamテスト作成用テンプレート

Microsoft PowerPoint - 流体力学の基礎02(OpenFOAM 勉強会 for geginner).pptx

第 3 章二相流の圧力損失

2

第 1 章 L P ガスはクリーンエネルギー LP ガスとは LP ガス (LPG) とは Liquefied Petroleum Gas( 液化石油ガス ) の略称で プロパン (C3H8) やブタン (C4 H10) を主成分とするガス体エネルギーです 特に主成分がプロパンの場合は プロパンガス

伝熱学課題

パソコンシミュレータの現状

伝熱学課題

1 熱, 蒸気及びボイラーの概要 問 10 伝熱についての記述として, 誤っているものは次のうちどれか (1) 金属棒の一端を熱したとき, 熱が棒内を通り他端に伝わる現象を熱伝導という (2) 液体又は気体が固体壁に接触して流れ, 固体壁との間で熱が移動する現象を熱伝達又は対流熱伝達という (3)

<8D5C91A28C768E5A8F91836C C768E5A8F A2E786C73>

Microsoft PowerPoint - 熱力学Ⅱ2FreeEnergy2012HP.ppt [互換モード]

<4D F736F F D20824F B CC92E8979D814696CA90CF95AA82C691CC90CF95AA2E646F63>

30ACEZ.smd

19年度一次基礎科目計算問題略解

< F2D31398D6289BB89F0939A97E12E6A7464>

環境に貢献するガスタービン燃焼器技術,三菱重工技報 Vol.46 No.2(2009)

第1章 単 位

PowerPoint プレゼンテーション

AMOLEA yd

<4D F736F F F696E74202D20836F CC8A C58B858B4F93B982A882E682D1978E89BA814091B28BC68CA48B E >

木村の理論化学小ネタ 理想気体と実在気体 A. 標準状態における気体 1mol の体積 標準状態における気体 1mol の体積は気体の種類に関係なく 22.4L のはずである しかし, 実際には, その体積が 22.4L より明らかに小さい

Microsoft PowerPoint - 1章 [互換モード]

Microsoft Word - 中村工大連携教材(最終 ).doc

大阪市立大学における 液体ヘリウムの汲み出し状況

(Microsoft PowerPoint _4_25.ppt [\214\335\212\267\203\202\201[\203h])

ニュートン重力理論.pptx

PowerPoint プレゼンテーション

ポリトロープ、対流と輻射、時間尺度

20年度一次基礎略解

番号文書項目現行改定案 ( 仮 ) 1 モニタリン 別表 : 各種係 グ 算定規程 ( 排出削 数 ( 単位発熱量 排出係数 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 -

例題 1 表は, 分圧 Pa, 温度 0 および 20 において, 水 1.00L に溶解する二酸化炭素と 窒素の物質量を表している 二酸化炭素窒素 mol mol mol mol 温度, 圧力, 体積を変えられる容器を用意し,

また単分子層吸着量は S をすべて加えればよく N m = S (1.5) となる ここで計算を簡単にするために次のような仮定をする 2 層目以上に吸着した分子の吸着エネルギーは潜熱に等しい したがって Q = Q L ( 2) (1.6) また 2 層目以上では吸着に与える表面固体の影響は小さく

線積分.indd

PowerPoint プレゼンテーション

Math-Aquarium 例題 図形と計量 図形と計量 1 直角三角形と三角比 P 木の先端を P, 根元を Q とする A 地点の目の位置 A' から 木の先端への仰角が 30,A から 7m 離れた AQB=90 と なる B 地点の目の位置 B' から木の先端への仰角が 45 であ るとき,

国土技術政策総合研究所 研究資料

Microsoft PowerPoint - H20応用電力変換工学6回目.ppt

<4D F736F F D208E9197BF A082C68E7B8D A815B82CC8D5C91A28AEE8F C4816A2E646F63>

例題1 転がり摩擦

() 実験 Ⅱ. 太陽の寿命を計算する 秒あたりに太陽が放出している全エネルギー量を計測データをもとに求める 太陽の放出エネルギーの起源は, 水素の原子核 4 個が核融合しヘリウムになるときのエネルギーと仮定し, 質量とエネルギーの等価性から 回の核融合で放出される全放射エネルギーを求める 3.から

( 全体 ) 年 1 月 8 日,2017/1/8 戸田昭彦 ( 参考 1G) 温度計の種類 1 次温度計 : 熱力学温度そのものの測定が可能な温度計 どれも熱エネルギー k B T を

スライド 1

Hanako-公式集力学熱編.jhd

Microsoft PowerPoint - zairiki_3

微分方程式による現象記述と解きかた

OCW-iダランベールの原理

領域シンポ発表

参 考 1. 工事請負契約書 2. 建設分野で使われるおもな単位 3.SI 単位換算率表

木村の理論化学小ネタ 液体と液体の混合物 ( 二成分系 ) の気液平衡 はじめに 純物質 A( 液体 ) と純物質 B( 液体 ) が存在し, 分子 A の間に働く力 分子 B の間に働く力 分子 A と分子 B の間に働く力 のとき, A

基準19 ハロゲン化物消火設備の設置及び維持に関する基準

B. モル濃度 速度定数と化学反応の速さ 1.1 段階反応 ( 単純反応 ): + I HI を例に H ヨウ化水素 HI が生成する速さ は,H と I のモル濃度をそれぞれ [ ], [ I ] [ H ] [ I ] に比例することが, 実験により, わかっている したがって, 比例定数を k

耐雪型歩道柵 (P 種 )H=1.1m ランク 3 ( 基礎ブロック ) 平成年月日

研究成果報告書

diode_revise

7 章問題解答 7-1 予習 1. 長方形断面であるため, 断面積 A と潤辺 S は, 水深 h, 水路幅 B を用い以下で表される A = Bh, S = B + 2h 径深 R の算定式に代入すると以下のようになる A Bh h R = = = S B + 2 h 1+ 2( h B) 分母の

数値計算で学ぶ物理学 4 放物運動と惑星運動 地上のように下向きに重力がはたらいているような場においては 物体を投げると放物運動をする 一方 中心星のまわりの重力場中では 惑星は 円 だ円 放物線または双曲線を描きながら運動する ここでは 放物運動と惑星運動を 運動方程式を導出したうえで 数値シミュ

道路橋の耐震設計における鉄筋コンクリート橋脚の水平力 - 水平変位関係の計算例 (H24 版対応 ) ( 社 ) 日本道路協会 橋梁委員会 耐震設計小委員会 平成 24 年 5 月

土の段階載荷による圧密試験

Microsoft PowerPoint - 夏の学校(CFD).pptx

構造力学Ⅰ第12回

(Microsoft Word - \216\221\227\277\201i\220\333\223\256\201jv2.doc)

Microsoft Word - 木材の塩素濃度報告110510_2.docx

ベクトル公式.rtf

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - 第7章(自然対流熱伝達 )_H27.ppt [互換モード]

宇宙機工学 演習問題

物性物理学 I( 平山 ) 補足資料 No.6 ( 量子ポイントコンタクト ) 右図のように 2つ物質が非常に小さな接点を介して接触している状況を考えましょう 物質中の電子の平均自由行程に比べて 接点のサイズが非常に小さな場合 この接点を量子ポイントコンタクトと呼ぶことがあります この系で左右の2つ

応用数学Ⅱ 偏微分方程式(2) 波動方程式(12/13)

<4D F736F F D D F944D8CF08AB78AED82CC E682E889C AB834B A682A DC58F4994C

テンソル ( その ) テンソル ( その ) スカラー ( 階のテンソル ) スカラー ( 階のテンソル ) 階数 ベクトル ( 階のテンソル ) ベクトル ( 階のテンソル ) 行列表現 シンボリック表現 [ ]

杭の事前打ち込み解析

水理学Ⅱ及び同演習

A Precise Calculation Method of the Gradient Operator in Numerical Computation with the MPS Tsunakiyo IRIBE and Eizo NAKAZA A highly precise numerical

Q = va = kia (1.2) 1.2 ( ) 2 ( 1.2) 1.2(a) (1.2) k = Q/iA = Q L/h A (1.3) 1.2(b) t 1 t 2 h 1 h 2 a

資料 7-1 既存ボーリング調査結果 [ 本編 p.380,410 参照 ] 事業予定地内における既存のボーリング調査の調査地点は図 -1 に 調査結果は図 -2 に示すとおりであり 各調査地点の孔内水位は表 -1 のとおり GL-1.8~-1.0m 程度であ る 表 -1 事業予定地の地下水位 調

7 渦度方程式 総観規模あるいは全球規模の大気の運動を考える このような大きな空間スケールでの大気の運動においては 鉛直方向の運動よりも水平方向の運動のほうがずっと大きい しかも 水平方向の運動の中でも 収束 発散成分は相対的に小さく 低気圧や高気圧などで見られるような渦 つまり回転成分のほうが卓越

第1章 様々な運動

Microsoft Word - 資料9 水理計算参考

伝熱学課題

PowerPoint Presentation

Techniques for Nuclear and Particle Physics Experiments Energy Loss by Radiation : Bremsstrahlung 制動放射によるエネルギー損失は σ r 2 e = (e 2 mc 2 ) 2 で表される為

PowerPoint プレゼンテーション

砂防堰堤設計計算 透過型砂防堰堤

湿度計算の計算式集 湿度計算を分かりやすく理解するために B210973JA-F

Microsoft PowerPoint - 発表II-3原稿r02.ppt [互換モード]

スライド 1

8 300 mm 2.50 m/s L/s ( ) 1.13 kg/m MPa 240 C 5.00mm 120 kpa ( ) kg/s c p = 1.02kJ/kgK, R = 287J/kgK kPa, 17.0 C 118 C 870m 3 R = 287J

既存の高越ガス設備の耐震性向上対策について

<4D F736F F F696E74202D E94D58B9393AE82F AC82B782E982BD82DF82CC8AEE E707074>

資料 2-3 平成 28 年 11 月 21 日火力部会資料 相馬港天然ガス発電所 ( 仮称 ) 設置計画 環境影響評価準備書 補足説明資料 平成 28 年 11 月 福島ガス発電株式会社 1

3. 重力波と沿岸 赤道ケルビン波 2014 年 9 月 30 日 16:35 見延庄士郎 ( 海洋気候物理学研究室 ) 予習課題 : 以下の you tube のビデオを見ておくこと. 個々のビデオは全部は見ずに, 雰囲気がつかめる程度見ればいい.

講義「○○○○」

座標軸以外の直線のまわりの回転体の体積 ( バウムクーヘン分割公式 ) の問題の解答 立体の体積の求め方 図 1 の立体の体積 V を求める方法を考えてみる 図 1 図 1 のように 軸の から までの長さを 等分する そして とおく とすると となる 図 1 のように のときの 軸に垂直な平面 に

ÿþŸb8bn0irt

Transcription:

参考資料 5 災害事象の影響度の評価手法

1. 火災による放射熱 1.1 タンク火災の放射熱タンク火災 ( 全面火災 ) の場合には 円筒形の火炎を想定した以下のモデルを基に 火災による輻射熱の計算を行う 火炎の半径はタンク半径と同じとし 火炎高さはタンク半径の3 倍を想定する E =φrf tan n m m ( A n) tan n 1 n AB A( n 1) 1 tan B( n 1) n 1 1 1 1 ( n 1) ( n 1) ただし m=h/r n=l/r A=(1+n) +m B=(1-n) +m E : 輻射熱 [kcal/m hr] R f : 燃料の放射発散度 [kcal/m hr] φ : 形態係数 [-]( 火炎の形状と火炎との相対位置によって決る ) R : 火炎の半径 [m] H : 火炎の高さ [m]( 経験的に通常 R の3 倍と仮定する ) L : 火炎の中心と受熱面との距離 [m] R 3R 図 1-1 火炎モデルのイメージ 資 -1

表 1-1 可燃性液体カフジ原油ガソリン ナフサ灯油軽油重油ベンゼン n-ヘキサンメタノールエタノール LNG( メタン ) エチレンプロパンプロピレン n-ブタン 主な可燃性液体の放射発散度放射発散度 41 1 3 (35 1 3 ) 58 1 3 (5 1 3 ) 5 1 3 (43 1 3 ) 4 1 3 (36 1 3 ) 3 1 3 ( 1 3 ) 6 1 3 (53 1 3 ) 85 1 3 (73 1 3 ) 9.8 1 3 (8.4 1 3 ) 1 1 3 (1 1 3 ) 76 1 3 (65 1 3 ) 134 1 3 (115 1 3 ) 74 1 3 (64 1 3 ) 73 1 3 (53 1 3 ) 83 1 3 (71 1 3 ) 注 ) 単位は J/m s 括弧内は kcal/m h 出典 : 石油コンビナートの防災アセスメント指針 ( 消防庁特殊災害室 ) 資 -

図 1- 放射発散度と容器 ( 火災面 ) 直径の関係 図 1-3 容器 ( 火災面 ) と放射発散度の低減率 出典 : 石油コンビナートの防災アセスメント指針 ( 消防庁特殊災害室 ) 資 -3

1. 流出火災の放射熱 (1) 流出速度の計算 a. 容器からの流出図 6-1 に示すような状況を想定して ベルヌーイの定理により液体の流出速度を計算する ただし 開口部の面積 aは容器の断面積に比べて非常に小さく 流出している間液面の高さhは変化しないと仮定する 図のような流線の液面と破断面にベルヌーイの定理を適用すると gh p v p したがって 流出速度 v [m/s] は v gh ( p p ) p a : 開口部面積 [m ] h : 液面高さ [m] ρ ρ : 液密度 [kg/m 3 ] p : 液面にかかる圧力 [Pa] h p v : 大気圧 [Pa] : 流出速度 [m/s] a g : 重力加速度 [9.8m/s ] p v 図 1-4 容器からの流出の概念図 資 -4

単位時間の流出量 q [ m3 /s] は これに開口部面積 a を掛けて次のようになる q=a gh ( p-p) ( 式 1-1) 実際には これに縮流の影響などを含んだ流出係数 c を掛けて q=ca gh ( p-p) ( 式 1-) となる ( 通常は c=.5 として計算される ) 常圧貯蔵のタンクのように p=p の ときには この式は次のようになる q=ca gh ( 式 1-3) b. パイプラインからの流出パイプラインの中の一様な流れの速度をu[m/s] 圧力をp [Pa] とする パイプラインの途中に開口部ができた場合 図 1-5 に示すような流線にベルヌーイの定理を適用する 管内の高さの差を無視すると u p v = p ( 式 1-4) したがって 流出速度 v[m/s] は v u ( p ) p ( 式 1-5) u, p ρ v, p a a : 開口部面積 [m ] ρ : 液密度 [kg/m 3 ] u : 管内の流速 [m/s] p : 管内の圧力 [Pa] p v : 大気圧 [Pa] : 流出速度 [m/s] g : 重力加速度 [9.8m/s ] 図 1-5 パイプラインからの流出の概念図 資 -5

開口部面積を a 容器からの流出の場合と同様に流出係数を c とすると 単位時間 の流出量 q [ m3 /s] は qca u ( p ) p ( 式 1-6) となり p p とすると v u となり 次のようになる q cau ( 式 1-7) () 火災面積の計算 流出した可燃性液体が拡がって直後に着火した場合の火災面積は S [m ] は 次式 で表される S=q/V ( 式 1-8) ただし q は ( 式 1-) や ( 式 1-6) などにより計算される液体の単位時間の流出 量 [ m3 /s] である また V は可燃性液体の燃焼速度 ( 液面降下速度 ) [m/s] であり 液体によって固有の値をとる 主な可燃性液体の値を表 1- に示す 表 1- 主要な可燃性液体の燃焼速度 ( 液面下降速度 m/s) 可燃性液体燃焼速度可燃性液体燃焼速度 カフジ原油.5 1-4 メタノール.8 1-4 ガソリン ナフサ.8 1-4 エタノール.33 1-4 灯油.78 1-4 LNG( メタン ) 1.7 1-4 軽油.55 1-4 エチレン.1 1-4 重油.8 1-4 プロパン 1.4 1-4 ベンゼン 1. 1-4 プロピレン 1.3 1-4 n- ヘキサン 1. 1-4 n- ブタン 1.5 1-4 資 -6

(3) 放射熱の計算流出火災の場合 底面がこの火災面積 S と等しい円となるような円筒形の火災 ( 高さは底面半径の 3 倍 ) を想定して 放射熱の影響範囲を推定する また 石油タンクにおいて流出油が仕切提全域に拡がった後に着火して全面火災となるような場合を想定して放射熱を計算するときには 仕切提の面積と等しい面積の円を底面とした円筒形の火災 あるいは仕切提 ( 長方形として ) を底面とした直方体の火災を想定するのが一般的である 資 -7

. 可燃性ガスの火災 爆発 (1) 液化ガスの蒸発沸点以上の温度で圧力をかけて液化したガスが漏洩して瞬間的に気化する現象をフラッシュと呼び 気化する液量と漏洩した液量の比をフラッシュ率と呼ぶ フラッシュ率は 液化ガスの種類と流出前の温度により決まり 流出前の温度が高くなるほど大きくなる いくつかの種類の液化ガスについてフラッシュ率を表 -1 に示す なお 少量の漏洩の場合は全量気化すると考えてよい 表 -1 液化ガスのフラッシュ率 液化ガス種類貯蔵 取扱温度フラッシュ率 プロパンプロピレンブタンエチレンアンモニア 1 1 1-3 1.364.346.14.38.183 資 -8

() 爆発による爆風圧 高圧ガス保安法のコンビナート等保安規則で規定されている TNT 等価法では 爆 風圧の大きさをタンク中心からの距離の関数として表現している R = λ 3 (WTNT ) 1/3 ( 式 -1) WTNT = (WG f ) (QG / Q γ ) φ γ ( 式 -) R : 爆心からの距離 [m] λ : 換算距離 [m/kg 1/3 ] WTNT : 爆発の爆風実被害と同等の被害を与えるTNT 等価重量 [kg] WG QG QT : 可燃性ガスの流出量 [kg] : 可燃性ガスの燃焼熱 [J/kg] :TNTの燃焼熱(=4.184 1 6 )[J/kg] f : 可燃性ガスの気化率 ( フラッシュ率 ) φ : 爆発係数 γ :TNT 収率 (TNTの爆発への放出率)(=.64) 1 高圧ガス保安法 コンビナート等保安規則では f (QG / Q γ ) φ γ を K 値 と して表すため 評価式は以下のように表すことができる R =.4 λ(k WG ) 1/3 ( 式 -3) また 同法では既存施設に対しては λ=1.( 爆風圧 11,76Pa,.1kgf/cm ) 新 設施設に対しては λ=14.4( 爆風圧 9,8Pa,.1kgf/cm ) を限界強度として保安距離 を確保することとなっている R =.48(K WG ) 1/3 ( 既存施設 ) ( 式 -4) R =.576(K WG ) 1/3 ( 新設施設 ) ( 式 -5) 1 TNT 収率は 通常の爆発で.3~1% 激しい爆発で 4~1% である 石油コンビナートの防災アセスメント指針のデータ ( 表 A.5) を参考とする 資 -9

図 -1 TNT の爆風のピーク圧とスケール化距離の関係 出典 : 安全工学協会編 安全工学講座 爆発 海文堂出版 資 -1

(3) 拡散による可燃性ガス濃度可燃性ガスが漏洩し大気中に拡散した場合の着火 燃焼範囲を推定するためには 任意の地点の拡散濃度を計算する必要がある 拡散濃度を計算するためのモデルはいくつか提案されているが 現在我国での災害想定や防災アセスメントなどで最もよく使われている坂上の拡散式を用いることにする この式は3 次元の任意の地点のガス濃度を計算することができるが ガスの種類 ( 密度等 ) は考慮されていない 坂上の式には ガスの発生源が点状のものと面状のものがあり ガスの発生時間も連続的なものと瞬間的なものなどがある 点源の式は小さな開口部からガスが漏洩するような場合に適用され 面源の式は液化ガスが防液提に溜まって蒸発するような場合に適用される 実際には 小さな開口部から漏洩するような場合を想定し連続点源の式を用いることが多い 防液提に溜まって蒸発するような場合でも 防液提から遠いところでは点源の式を用いても差し支えない 連続点源の拡散式は 次のように表される C xyz A q Q u A x+e Bq x+e B B A B e e I A B A - - hx - - AX B X hz B -1-1 ( 式 -6) C xyz Q u h : 任意の地点 (x,y,z) におけるガス濃度 ( 体積比率 ) ただし x は水平 風下方向 y は水平風横方向 z は鉛直方向にとった座標である : 拡散ガス量 [ m3 /S] : 風速 [m/s] : ガス発生源の高さ [m] で (,,h) が発生源 ( 点源 ) の座標となる q A, q B, ψ A, ψ B I である ( 表 -) : 気象条件 発生源の高さにより決まる拡散パラメータ : 次の虚数単位第 1 種ベッセル関数 液化ガスが小さな開口部から漏洩したような場合には ( 式 1-) や ( 式 1-6) で 計算された量のガス q [ m3 /s] が常温 大気圧において全量気化するとして次式によ り拡散ガス量 Q [ m3 /s] を計算し これを ( 式 -6) に代入してガス濃度を計算する 資 -11

R qt Q Mp ( 式 -7) R : 気体定数 [8.314J/mol K] ρ : ガス液密度 [ kg / m3 ] M : ガス 1mol の重量 [ kg ] T p : 気温 [K] : 大気圧 [Pa] 表 - 拡散パラメータの値 大気安定度 h [m] ψa qa ψb qb 安定.5 1 3 4.78 1-4.78 1-4.78 1-4.78 1-4.6 4.6 4.6 4.6 4. 1-4.6 1-4.71 1-4.77 1-3.5 1-1.93 1-1.86 1-1.83 1-1 中立.5 1 3 1.48 1-1.9 1-1.1 1 -.97 1-1.56 1 1.18 1 1.37 1 1.48 1 1 1.1 1 -.46 1-3. 1-3.9 1-5.3 1. 7. 1-1 5.65 1-1 やや不安定.5 1 3 4.5 1-3.1 1-3 1.8 1-3 1.61 1-3 7.59 1 1 1.59 1 1.88 1.9 1 4.5 1-3 1.48 1-1.98 1 -.34 1-3.48 1 1.87 1.61 1.14 不安定.5 1 3 1.1 1-3.5 1-4 1.78 1-4 1.44 1-4.77 1 1.4 1 3 1.73 1 3.14 1 3 1.3 1-3 7. 1-3 1.1 1-1.4 1-3.73 1 1.18 1 1 5.19 3.1 *) 加圧により液化されているガス容器の液相部が破損した場合 急減圧により液体 気体の 相流となって 流出するのが一般的である しかし 開口部の大きさなどの不確定要素が大きく 液相で流出した後に気化するとして流出量を計算する 同じ大きさの開口部を想定した場合 相流出よりも液相流出の方が流出量は多くなり 安全サイドの評価といえる 資 -1

可燃性ガスが気体で取り扱われている場合には 流出量は流速に応じて次式により 計算する < 流速が音速以下の場合 > w=548 C a p M Z T p -1 p r p - p r r ( 式 -8) < 流速が音速を超える場合 > w=387 C a p M Z T 1 r 1 r-1 ( 式 -9) w : 流出量 [ kg /h] c : 流出係数 a : 開口部面積 [cm ] p : 処理圧力 [kgf/cm ] p : 大気圧 [kgf/cm ] T : 処理温度 [K] M : ガスの分子量 Z : ガスの圧縮係数 γ : ガスの比熱比 流速は 圧力比 P/P が次式の限界圧力比以下になると音速となる p = p γ1 r r-1 ( 式 -1) ガスが気体で流出するとき 拡散濃度を推定するための別の方法として V.D.Long の式に噴出ガスの圧力を考慮した次式を用いることもある 概念図は図 - に示すと おりである 資 -13

半径方向への距離噴出方向距離 x 加圧容器C C xr dm =5.1 x M x 1 p p 1 br exp- x ( 式 -11) C xr : 噴出口から噴出方向距離 x 半径方向距離 rの点でのガス濃度 C : ガスの初濃度 ( 通常は 1.) d : 噴出口の直径 M x :(x ) 点でのガスと空気の混合気の平均分子量 M p p b : 噴出ガスの分子量 : 処理圧力 : 大気圧 : 噴出流の濃度の広がり幅を表す係数 (=9.3) 破口 噴出流 x r r 図 - ガスの気体噴出の概念図 資 -14

3. 毒性ガスの拡散 毒性ガスが漏洩した場合 大気中に拡散して人体に影響を与える恐れがある 毒性 ガスの拡散濃度については 可燃性ガスの場合と全く同様に計算することができる 4. 毒劇物液体の蒸発 拡散 ここで毒劇物液体とは 常温 常圧で液体の毒性物質をいう 常温の揮発性液体が 流出してプール状に溜まったときの蒸発速度は次式で与えられる w=.33(p/p )ρuml(υum). ( 式 9-1) w : 蒸発速度 [g/s] p : 液面の温度に相当する飽和蒸気圧 [mmhg] p : 大気圧 [mmhg] ρ : ガスの蒸気密度 [g/cm 3 ] u : 風速 [cm/s] m : 風方向の容器 ( プール ) の長さ [cm] l : 風に直角方向の容器 ( プール ) の長さ [cm] υ : 空気の粘性抵抗 [.154 cm ] 拡散したしきの濃度は坂下の面源の式により計算することができる 発生源から遠 いところでは点源の ( 式 -6) を用いてもよい 資 -15