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薬食審査発 0318 第 1 号薬食監麻発 0318 第 6 号平成 22 年 3 月 18 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課長 厚生労働省医薬食品局監視指導 麻薬対策課長 改正法施行に伴う経過措置等終了にあたっての対応について 薬事法及び採血及び供血あつせ

「GMP担当者研修・認定講座」の運用規定(案)

バリデーション基準 1. 医薬品 医薬部外品 GMP 省令に規定するバリデーションについては 品質リスクを考慮し 以下の バリデーション基準 に基づいて実施すること 2. バリデーション基準 (1) バリデーションの目的バリデーションは 製造所の構造設備並びに手順 工程その他の製造管理及び品質管理の

医薬品説明会資料 ジェネリック (後発医薬品)

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事務連絡 平成 28 年 3 月 29 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 薬務主管課御中 厚生労働省医薬 生活衛生局審査管理課 厚生労働省医薬 生活衛生局監視指導 麻薬対策課 医薬品等の製造業許可 外国製造業者認定等に関する質疑応答集 (Q&A) について 今般 標記 Q&A を別添のとおりとり

員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付するこ ととしていることを申し添えます 記 1. 基本要件基準第 13 条第 5 項及び第 6 項への適合性確認の基本的な考え方について (1)2023 年 ( 平成 35 年 )2 月 28 日 ( 以下 経過措置期間終了日 という )

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MDSAP の調査結果の 試行的受入れについて ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構 品質管理部 登録認証機関監督課 1

薬食審査発第 号

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資料編 に委託して製造をする場合を含み 他から委託を受けて製 造する場合を含まない ) をし 又は輸入した化粧品を製造 販売のために出荷することをいう 製造販売業者 とは 会社の経営陣 ( 取締役等 ) を指します 薬事法施行規則第 92 条 (4) ロット とは 一の製造期間内に一連の製造工程によ

改正薬事法の施行に伴う製造販売の承認を要しない医薬品等の取扱い等について

別添 治験副作用等症例の定期報告に関する質疑応答集 (Q&A) について < 半年ごとの定期報告の受け付け> Q1 平成 26 年 6 月 30 日までの間は 治験依頼者 ( 自ら治験を実施する者を除く ) が提出する副作用等症例の定期報告は なお従前の例によることができる とあるが 平成 26 年

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ICH Q4B Annex12

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管下関係業者に周知いただくとともに 適切な指導を行い その実施に遺漏な きようお願いいたします 記 第 1 体外診断用医薬品の製造販売業又は製造業を行う旨の届出等について 1. 届出対象者旧薬事法に基づき 体外診断用医薬品を取り扱う以下の者 (1) 旧薬事法第 12 条第 1 項の第二種医薬品製造販

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15 変更管理

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タスクフォース 1 ( TF1 ) 質疑応答その 1 ついでの変更 Q 1-01 Q 1-10 事前確認簡易相談 Q 2-01 Q 2-25 平成 30 年 3 TF1 質疑応答その 1

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3. 実施時期平成 29 年 4 月 3 日より本件改修後のQMS 調査申請書の作成及び機構受付が可能となります 4. その他 本改修により承認申請書とQMS 調査申請書の同時申請が可能となるのは 両申請書をDW APで作成した場合に限ります (FD 申請ソフトによる申請の場合は同時申請できません

薬食機発 0131 第 1 号平成 25 年 1 月 31 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長 薬事法に基づく登録認証機関の基準改正に伴う留意事項について ( その 2) 薬事法 ( 昭和 35 年法律第 145 号 以下 法 という )

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QbDを用いた新薬申請の審査とGMP適合性調査 -現状及び課題-

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Ⅲ-3 試用医薬品に関する基準 平成 10 年 1 月 20 日公正取引委員会届出改定平成 13 年 3 月 19 日公正取引委員会届出改定平成 16 年 5 月 25 日公正取引委員会届出改定平成 17 年 3 月 29 日公正取引委員会届出改定平成 26 年 6 月 16 日公正取引委員会 消費

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はじめて医療機器を製造販売または製造される方へ

医療機器プログラムの取扱いに関する Q&A について ( その 2) ( 別紙 ) 用いた略語 改正法 : 薬事法等の一部を改正する法律 ( 平成 25 年法律第 84 号 ) 法 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年法律第 145 号 ) 施行令

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

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本日の内容 1. 医薬品の再審査に係る関連法規 2. 医薬品の再審査申請資料の適合性調査 2.1. GPSP 実地調査における調査の視点 2.2. 適合性書面調査における調査の視点 2.3. ( 参考 ) 医薬品再審査適合性調査相談の現況 3. 適合性調査の効率化に向けて 3.1. 安全性情報管理シ

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ICH Q8, Q9, Q10ガイドライン 運用実務研修会 討論会の概略及び結果

事務連絡 平成 3 0 年 9 月 1 4 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 御中 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬品審査管理課 原薬の開発と製造 ( 化学薬品及びバイオテクノロジー応用医薬品 / 生物 起源由来医薬品 ) に関する質疑応答集 (Q&A) について 医薬品規制調和国際会議 ( 以下

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事務連絡 平成 30 年 1 月 17 日 各都道府県衛生主管部 ( 局 ) 御中 厚生労働省医薬 生活衛生局医薬安全対策課 厚生労働省医薬 生活衛生局監視指導 麻薬対策課 医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施についての Q&A 医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施について

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JCROA自主ガイドライン第4版案 GCP監査WG改訂案及び意見

奈良県手順書ガイドライン

写 薬生発 0131 第 1 号 平成 30 年 1 月 31 日 都道府県知事 殿 厚生労働省医薬 生活衛生局長 ( 公印省略 ) 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 関係手数料令の一部を改正する政令の公布について この度 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確

マネジメントシステム認証規則 目次 1 章総則 1.1 一般 2 章マネジメントシステムの登録 2.1 一般 2.2 登録簿 2.3 登録証書 2.4 登録マークの使用及び認証の引用 2.5 登録維持 2.6 登録継続 2.7 登録の拒否 消除 一時停止 一時停止後の復帰 並びに範囲の拡大及び縮小

3 治験実施計画書目的 当該治験について 治験実施計画書が手順書に従い適切に作成及び改訂されていることを確認する 次の事項を調べる (1) 治験実施計画書の記載項目 ( 再生医療等製品 GCP 省令第 7 条第 1 項に規定する項目 ) (2) 治験実施計画書の作成 改訂の手順と日付 (3) 治験計

GVPの基礎

医薬品添加剤 医薬品添加剤の供給者管理 一般社団法人日本医薬品添加剤協会専務理事木嶋敬二 第 17 改正日本薬局方製剤総則による医薬品添加剤 添加剤は 製剤に含まれる有効成分以外の物質で 有効成分及び製剤の有用性を高める 製剤化を容易にする 品質の安定化を図る または使用性を向上させるなどの目的で用

医薬品たるコンビネーション製品の不具合報告等に関する Q&A [ 用いた略語 ] 法 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年法律第 145 号 ) 施行規則 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 ( 昭和 36 年

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医薬品の基礎研究から承認審査 市販後までの主なプロセス 基礎研究 非臨床試験 動物試験等 品質の評価安全性の評価有効性の評価 候補物質の合成方法等を確立 最適な剤型の設計 一定の品質を確保するための規格及び試験方法などの確立 有効期間等の設定 ( 長期安定性試験など ) 医薬品候補物質のスクリーニン

Microsoft Word - ‡e‡c.doc

10 解説 p1 ⑵⑶ ⑷ 11

MF 登録申請書類申請前チェックリスト 1 ( 原薬等登録原簿登録申請書 ( 新規登録申請 ) の例 ) 2015/10/1 追記及び補 を った箇所については 字とした 様式 様式の別を す記号 : H01( 原薬等登録原簿登録申請書 ) 提出先 提出先の別 : 3( 総合機構 ) 提出年 申請書

PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

Welcome!

通知(一括更新手続き)

平成 14 年改正薬事法に係る医薬品等の承認 許可等の事務手続に関する説明会プログラム 東京会場 ( 渋谷 C.CLemon ホール ): 平成 19 年 1 月 26 日 ( 金 ) 大阪会場 ( 大阪国際会議場 ) : 平成 19 年 1 月 29 日 ( 月 ) 時間割説明内容講師 14:00

都道府県医師会医療安全担当理事殿 ( 法安 56) 平成 27 年 8 月 5 日 日本医師会常任理事今村定臣 酵素電極法を用いた血糖測定に使用する医療機器及び体外診断用医薬品に係る 使用上の注意 の改訂について グルコース分析装置 自己検査用グルコース測定器及び自動分析装置等並びに血液検査用グルコ

2. 検討 ~ 医療に関する事故の特殊性など (1) 医師等による医療行為における事故 医師等が患者に対してどのような医療行為を施すべきかという判断は 医師等の医学的な専門知識 技能に加え 医師等の経験 患者の体質 その時の患者の容態 使用可能な医療機器等の設備等に基づきなされるものである ( 個別

る として 平成 20 年 12 月に公表された 規制改革推進のための第 3 次答申 において 医療機器開発の円滑化の観点から 薬事法の適用範囲の明確化を図るためのガイドラインを作成すべきであると提言したところである 今般 薬事法の適用に関する判断の透明性 予見可能性の向上を図るため 臨床研究におい

医政経発第 号 平成 20 年 3 月 28 日 社団法人日本臨床検査薬協会会長 在日米国商工会議所 (ACCJ) 医療機器 IVD 小委員会委員長 殿 欧州ビジネス協会 ( E B C) 医療機器委員会委員長 厚生労働省医政局経済課長 医療機器等へのバーコード表示の実施について 医

PSP 省令 と それぞれ略称する 記 1. 改正施行規則について希少疾病用医療機器その他の医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器であり かつ 当該医療機器についての臨床試験の実施に特に長期間を要すると認められるものに係る承認申請をする場合においては 改正 GVP 省令第 9 条の3 第 1

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Taro-再製造単回使用医療機器基準

4.7.4 プロセスのインプットおよびアウトプット (1) プロセスへのインプット情報 インプット情報 作成者 承認者 備 考 1 開発に関するお客様から お客様 - の提示資料 2 開発に関する当社収集資 リーダ - 料 3 プロジェクト計画 完了報 リーダ マネージャ 告書 ( 暫定計画 ) 4

Microsoft PowerPoint - 3. 規格改正時の扱い R1_3

指導事項 < 品質保証責任者の業務 > 省 81 省 82 省 83 省 84 施第 2-6(3) 品質管理業務を統括すること 品質管理業務が適正かつ円滑に行われていることを確認すること 必要な場合 総括に文書により報告すること 品質管理業務の実施に当たり 必要に応じ ( 回収 製造販売の停止等 )

はじめに 監査には定型があるわけではない また, 監査を掘り下げる深さに限度があるわけではない それは,GMP システムの整備には 完璧 がないのと同じである もし監査の際, 完璧な GMP システムを有している と宣言する製造所があった場合には, 疑って監査に臨む必要がある 100% 完全に信頼で

Microsoft Word - 【発出版2】製造所取扱いに関するQ&A -

Basic Agreement for Marketing Certification Service under PMD Act / 医薬品医療機器法製造販売認証サービス基本合意書

法改正の目的 1 Ⅰ 医療機器等の特性を踏まえた規制の構築 1. 医療機器等の製造販売業及び製造業の章の新設 2. 体外診断用医薬品の製造販売業の新設 3. 医療機器等の製造業の登録制への移行 4. プログラムの位置付けの明確化 5. QMS 調査の見直し 6. 認証制度に関する見直し 7. 医療機

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Microsoft Word - 規則11.2版_FSSC22000Ver.4特例.doc

2 有効成分名 添付文書及び審査報告書に基づき記載する 3 品目名 ( 後発医薬品 ) 添付文書及び審査報告書のほか薬価基準収載品目リストにより記載する 複数の品目がある場合は 個別医薬品コード (YJ コード ) 順に番号を振り 記載する ( 複数規格があっても 全規格まとめて YJ コード順とす

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「いわゆる健康食品」の安全性評価ガイドライン(案)

薬事法における病院及び医師に対する主な規制について 特定生物由来製品に係る説明 ( 法第 68 条の 7 平成 14 年改正 ) 特定生物由来製品の特性を踏まえ 製剤のリスクとベネフィットについて患者に説明を行い 理解を得るように努めることを これを取り扱う医師等の医療関係者に義務づけたもの ( 特

2 規格 試験方法 規格 試験方法 承認申請書の規格及び試験方法欄は 以前より何の規格及び試験方法か分るように 錠の規格及び試験方法 とタイトルを付していたが この試験名は 標題 とすることで構わないか 更に 局方品のように 日本薬局方による と簡略記載した場合の試験名は 日局 とすることで構わない

医療機器への部材供給時の

2. 提出資料一覧表 落札予定者に求める提出資料は 要請書に示す調査区分 ( 基本調査または重点調査 ) に応じて下表に を付している内容とする なお 調査区分が 基本調査 の場合は 3 頁 ~4 頁に基づき作成すること 調査区分が 重点調査 の場合は 5 頁 ~7 頁に基づき作成すること 様式番号

2005年版GQP事例集最終

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版 知る前契約 計画 に関する FAQ 集 2015 年 9 月 16 日 有価証券の取引等の規制に関する内閣府令が改正され いわゆる 知る前契約 計画 に係るインサイダー取引規制の適用除外の範囲が拡大されています 日本取引所自主規制法人に寄せられる 知る前契約 計画 に関する主な

このモックアップに示した内容 ( 申請者情報 処方及び個々の数値等 ) は すべて架空のものです 共通ヘッダ等の記載例 様式 様式の別を示す記号 :E01( 医薬品製造販売承認申請書 ) 提出先 提出先の別 :2( 都道府県 ) 提出年月日 : ( 平成 30 年 12 月 01 日 )

Transcription:

はじめに マスターファイル 原薬製造の外注化 委受託 独立行政法人医薬品医療機器総合機構顧問 小嶋茂雄

マスターファイル (MF) 制度の概要 MF 制度説明の講演会 (2006 年 3 月 ) のスライドから

平成 17 年 4 月施行の改正薬事法 承認 許可制度が製造承認をベースとしたものから販売承認をベースとしたものに抜本的に改められた. 承認申請書への製造方法の詳細な記載の義務付けと軽微変更届出システムの導入 原薬等登録原簿 ( マスターファイル ) 制度の導入 医薬品製造の全面委託の解禁 変更管理 & 逸脱管理の義務付け ( 改正 GMP 規則 )

原薬等登録原簿 ( マスターファイル ) 制度 マスターファイル (MF) 制度 原薬 中間体 製剤原料 医薬品添加剤 包装材料等の製造業者が その製造方法 製造管理 品質管理に関するノウハウを含む情報を製剤の承認申請者に開示することなく 規制当局による審査に供するために登録する制度 ( ノウハウの保護 ) MF 制度の利用により 医薬品の原材料の製造に関するノウハウ部分を含めた品質保証のシステムを完全に記述することが可能となる. 原薬等登録原簿に登録するかどうかは 欧米の DMF 制度と同様に原薬等の製造業者の自主判断に任せられており 法的要件ではない. ( 任意登録 )

原薬等登録原簿 ( マスターファイル (MF)) 制度の概要 製品中で使用している原薬等の承認申請者以外のメーカーによる 品質 製造方法データの別途提出を認めるシステム ( 任意の提出 ) 米国 EU ともにマスターファイルを運用 - 国際整合性 登録されたデータは 複数の製剤メーカーが利用可能 ( 効率化 ) 対象は 医薬品原薬 中間体 製剤原料 添加剤 医療機器素材 容器 包装材 製造販売承認において 製造方法 を詳細に審査することとなるため 原薬データの開示を巡る製剤メーカー / 原薬メーカー等間のトラブルの回避 製剤メーカー ( 製造販売承認申請者 ) 有効性 安全性 品質 ( 一部 ) 承認申請書 申請書に添付する資料 MF 登録番号 審査当局 非開示情報 ( ただし 公衆衛生上の安全性に関する情報で特に求めのあった場合は除く ) 完全なデータとして審査 原薬メーカーなど ( 製造販売承認不要 ) 品質 製造方法データ 非開示情報 ( 製法など ) 品質 製造方法データを登録 MF 登録 他の製剤メーカーも使用可

MF 制度の施行通知,Q&A, 解説 MF 制度の施行通知 (MF 指針 ) 原薬等登録原簿の利用に関する指針について 平成 17 年 2 月 10 日付厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知 薬食審査発第 0210004 号 ) MF 制度に関する Q&A 1) 原薬等登録原簿に関する質疑応答集 (Q&A) について 平成 1 7 年 7 月 28 日付厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡 2) 原薬等登録原簿に関する質疑応答集 (Q&A) について ( その 2) 平成 17 年 12 月 20 日付厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡 MF 制度に関する解説 1) 小嶋茂雄 : 原薬等登録原簿制度 ( マスターファイル ) 制度について, ファームテクジャパン (2005 臨時増刊号 ), 21(4), 505-522 (2005). 2) ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構 ( 社 ) 東京医薬品工業協会 大阪医薬品協会 : 承認申請書記載要領 軽微変更等に関する説明会資料 P.85-104 平成 17 年 12 月 5 日 ( 大阪 ) 12 月 8 日 ( 東京 )

MF 制度のポイント (1) 原薬等製造業者のもつ知的財産 ( ノウハウ ) の保護を目的として導入された制度 MF の登録内容に含まれるノウハウについては慎重に取り扱い 漏洩が起こらないように取り扱いに注意する必要がある. ノウハウの漏洩があれば 損害賠償が求められるなど大きな問題となりうる. ノウハウの保護の趣旨に添わないようなものの MF 登録は好ましくない. ノウハウの記載のないもの MF 登録をお墨付きとして使おうとする意図からのもの (MF 制度は事前審査制度ではないので MF 登録しただけでは何のお墨付きにもならない )

MF 制度のポイント (2) MF の利用 / 不利用での整合性の担保 MF 制度は任意登録制度であり MFを利用する場合と利用しない場合が起こりうるが 両者の間で審査に供される情報の内容に差が生じないようにする必要がある. MF 利用 / 不利用の何れを選ぶかは原薬等製造業者の判断 MFを利用すれば 製剤の承認申請者にノウハウを開示しないでも 製造方法などに関する詳細な情報を審査側に提供することができる. したがって MF を利用しない場合には 原薬等製造業者は 製造方法などに関する詳細な情報を製剤の承認申請者に提供して 承認申請者がこれらの情報を承認申請書に記載できるようにする責務を負う.

マスターファイルと CTD 様式承認申請書添付資料記載事項承認を要する変更 MF 添付資料変更が品質に影響を与える可能性の程度大品質に係わる情報ロットデータ バリデーションデータなどロットデータ バリデーションデータなどある種の操作パラメータ等ある種の操作パラメータ等登録申請書軽微な変更届出対象一変申請対象軽微な登録事項軽微でない登録事項添付資料記載事項 CTD 様式

MF 制度のポイント (3) MF の記載の仕方 ならびに軽微な変更か 一部変更申請が必要な変更かの判断などは 第 0210001 号通知に基づいて行う. 登録申請の際には MF 登録者も第 0210001 号通知に基づいて製造方法等の各記載事項が製剤の品質に与え得る影響を予測し それに基づいて軽微変更届出の対象事項と一部変更申請の対象事項に分けて登録する必要がある. 登録事項の変更に当たっては 製剤への影響を MF 登録者 ( 原薬等の製造業者 ) だけで十分に評価するのは困難であるので MF 登録者と登録情報を利用する医薬品の承認申請者及び承認取得者の間で十分に協議を行って その変更が軽微な変更か一部変更申請を必要とする変更かを確認した上で 変更登録を行う必要がある.

MF 制度のポイント (4) 製剤の承認申請者と MF 登録者との間の契約が重要であること MF 利用の場合には 1つの医薬品の承認審査やその後の品質確保に 複数の当事者 ( 製剤の承認申請者 & 原薬等のMF 登録者 ) が絡むことになる. 医薬品の品質を確保するためには この両者がスムーズに連携できるように 両者間できちんと契約を結ぶ必要がある. ( 業者の自己責任 ) 開示パートの情報の詳細 承認審査の段階での登録内容に関する照会事項にどのように対処するか 承認後の登録内容の変更の際に 品質への影響をどのようにして軽微な変更か 一部変更申請を要する変更かを評価するか 両者の間での日常的な連絡 情報交換の体制 問題が起こったときの対処の体制 など

独立行政法人医薬品医療機器総合機構承 MF 利用時の承認審査対応フロー 1MF 登録 MF( 品質資料相当 (CTD-Q)) 登録 2 契約 原薬 MF 登録者 品質確保に必要な情報 ( 開示パートの情報 ) 4 申請の連絡 6 原薬照会事項と回答概要の報告 承認申請者 有効性 安全性資料製剤品質資料 (CTD-Q) 3 承認申請 ( 登録番号の引用 ) 5 照会事項 ( 原薬に関する照会を行っている事実も通知 ) 5 照会事項 7 回答 登録番号 承認申請 審査 7 回答 8 GMP 適合性調査 GMP 実施主体 10 承認連絡 9 承認連絡 認

MF の登録と審査 登録の際には 登録に必要な形式が整っているかどうかがチェックされるのみで 登録された内容の妥当性について審査が行われることはない. したがって MF 登録が受け付けられたからといって 登録の内容について審査当局の承認を得られたことにはならない. (MF 登録は 事前審査ではない ) MF に登録された内容の審査は 登録された原薬等を用いて製造された製剤の承認申請が行われて初めて その製剤の用途や機能性などと関連づけて行われる.

登録の対象 MF 登録の対象 1) ( 医療用医薬品及び新有効成分含有一般用医薬品の ) 原薬 中間体及び製剤原料 ( バルクのうち特殊な剤形等 ) 2) 添加剤 ( 新添加剤及びこれまでと配合割合が異なるプレミックス添加剤 ) 3) 医療機器原材料 4) 容器 包装材 一般用医薬品 ( 新有効成分含有一般用医薬品を除く ) に関しては 従来の規格及び試験方法においても 品質および安全性が確立されているものと考えられており 当面 MF を利用することは差し控えるべきものとされた. 医薬品添加剤については 日局や薬添規などの公定書に品質規格が収載されているものが多く こうした公定書収載の添加剤に関しては MF 登録の対象外とされた.

契約 医薬品の品質確保のためには MF 登録者と製剤の承認申請者がスムーズに連携できるように 両者間できちんと契約を結ぶ必要がある. ( 業者の自己責任 ) MF 登録者が製剤の承認申請者にどこまでの情報を開示するか 承認審査の段階での登録内容に関する照会事項にどのように対処するか 承認後の登録内容の変更の際に 品質への影響をどのようにして軽微な変更か 一部変更申請を要する変更かを評価するか 両者の間での日常的な連絡 情報交換の体制 問題が起こったときの対処の体制など

MF 登録者が医薬品の承認申請者に 開示すべき情報 MF 登録者と製剤の承認申請者との間で 原薬等の供給等に関する契約が結ばれる. これに伴って 原薬の化学構造 物理的化学的特性 不純物含量 安定性などの製剤の開発や品質確保に必要な情報 ( 開示パートの情報 ) が MF 登録者から製剤の承認申請者に提供される. 登録情報のうち MF 登録者が医薬品の承認申請者に開示すべき情報が定められている. 申請者 ( 開示 ) パートと制限パート MF 登録申請を行う際には 開示すべき情報であっても登録申請書に記載すること. (MF 指針 4 (3) 項 ) 当該 MF を利用する医薬品の承認申請者は MF 登録者から開示された情報を承認申請書に記載することができる. (MF 指針 4 (4) 項 )

申請者 ( 開示 ) パートと制限パートの例 3.2.S.1 一般情報 3.2.S.2 製造 3.2.S.2.1 製造業者 3.2.S.2.2 製造方法及びプロセスコントロール 3.2.S.2.3 原材料の管理 3.2.S.2.4 重要工程及び重要中間体の管理 3.2.S.2.5 プロセスバリデーション / プロセス評価 3.2.S.2.4 製造工程の開発の経緯 3.2.S.3 特性 3.2.S.3.1 構造及びその他の特性の解明 3.2.S.3.2 不純物 3.2.S.4 原薬の管理 3.2.S.4.1 規格及び試験方法 3.2.S.4.2 試験方法 ( 分析方法 ) 3.2.S.4.3 試験方法 ( 分析方法 ) のバリデーション 3.2.S.4.4 ロット分析 3.2.S.4.5 規格及び試験方法の妥当性 ( 設定根拠 ) 3.2.S.5 標準品又は標準物質 3.2.S.6 容器及び施栓系 3.2.S.7 安定性 申請者 ( 開示 ) パ-ト 制限パート

開示パートの情報の取り扱い MF を利用する製剤の製造販売承認申請に際し M F 登録業者から開示された情報を申請書に記載しなければならないか? MF-Q&A(2)/Q10 I. MF 指針の 4(3) 項には 開示パートの情報 (MF 登録業者から製剤の承認申請者に開示される情報 ) については 制限パートの情報 ( 製造上のノウハウを含むため 製剤の承認申請者には開示されない情報 ) とともに MF 登録申請書に記載することとされている. II. III. したがって MF 登録者から承認申請者に提供された開示パートの情報そのもの (CTD 第 3 部 ( 開示部分に相当する部分を含む.)) については 審査の際には MF 登録の内容を参照することとして 製剤の承認申請書に重複して記載する必要はない. しかしながら 製剤の承認申請者が 当該製剤に係る有効性 安全性 品質等に影響を及ぼす原薬の品質特性をどのようにとらえて製剤の開発を行い その有効性 安全性 品質等を担保しようとしているか ( どのように製剤開発を行ったか ) については 製剤の承認申請書の資料概要 (CT D 第 2 部 ) に 開示パートの情報を踏まえて記載する必要がある. 製剤開発に関する適切な情報の提供は ICH-Q8 において求められていることでもある.

独立行政法人医薬品医療機器総合機構承 MF 利用時の承認審査対応フロー ( 再掲 ) 1MF 登録 MF( 品質資料相当 (CTD-Q)) 登録 2 契約 原薬 MF 登録者 品質確保に必要な情報 ( 開示パートの情報 ) 4 申請の連絡 6 原薬照会事項と回答概要の報告 承認申請者 有効性 安全性資料製剤品質資料 (CTD-Q) 3 承認申請 ( 登録番号の引用 ) 5 照会事項 ( 原薬に関する照会を行っている事実も通知 ) 5 照会事項 7 回答 登録番号 承認申請 審査 7 回答 8 GMP 適合性調査 GMP 実施主体 10 承認連絡 9 承認連絡 認

MF 登録内容の審査 MF 登録内容の審査は 登録された原薬等を用いて製造された製剤の承認申請が行われて初めて その製剤の用途や機能性などと関連づけて行われる. MF 登録した原薬を用いた製剤が承認を得た後に その原薬を利用した同じ剤型 同じ用途の別の製剤の承認申請があったときには 当該 MF( 原薬 ) に関する審査は簡略化できると考えられる. なお MF 登録された原薬を既に承認されたのとは異なった剤型や異なった用途の製剤に利用する場合には その製剤の用途や機能性との関連において改めてその MF に登録された内容の妥当性が審査される. MF 登録された原薬を用いた製剤の承認審査が行われるようになり 制度を円滑に運用する上で改善すべき点があることが分かってきた.

MF 登録内容に関する照会事項 MF 登録内容 ( 原薬 ) に関する疑問や質問は 機構の審査担当部門から MF 登録者に直接照会される. 製剤の承認申請者に対しては 原薬に関する照会を MF 登録者に対して行っている旨が通知される. MF 登録者と製剤の承認申請者の間で 照会事項に対する回答概要の報告と協議が行われる. MF 登録者から 機構の審査担当部門に対して 照会事項に関する回答が提出される. GMP 適合性調査 承認審査と連携して 機構 ( 国内で製造される後発品の場合は都道府県 ) の GMP 適合性調査担当部門により 原薬製造所に対する GMP 適合性調査が行われ 製造設備等の妥当性が審査される.

登録事項の変更 MF の登録内容を変更する必要が出てきたときには MF 登録者は その変更が製剤の有効性 安全性 品質にあまり影響を与えない変更 ( 軽微な変更 ) か 影響を与える変更 ( 軽微でない変更 ) かを評価した上で それぞれに応じた形で登録事項の変更手続きを行う必要がある. しかしながら MF 登録内容の変更が製剤の有効性 安全性 品質に大きな影響を与えるかどうかを MF 登録者 ( 原薬等の製造業者 ) の側だけで十分に評価することは困難で 製剤の承認取得者の側での検討結果に依らざるを得ないと考えられる. このため 実際の変更に当たっては 登録時に設定された一部変更申請の対象事項と軽微変更届出の対象事項を杓子定規に当てはめるのではなく MF 指針の 4(5) 項にあるように MF 登録者とその MF を利用する医薬品の承認申請者及び承認取得者との間で十分に協議を行い その変更が軽微な変更か一部変更申請を必要とする変更かを確認する必要がある.

MF の変更登録フロー 変更前の連絡と事前協議 MF 登録者 1) 変更の概要 2) 品質同等性の確認方法 ( 案 ) 製剤申請者 品質影響の評価 事前相談結果の連絡 承認申請書記載事項に関する指針 ( 第 0210001 号通知 ) 品質影響の評価 軽微な変更 重大な変更 許容できる変更 品質影響の事前相談 確認 変更登録 変更登録 一部変更承認申請 承認 受理 受理 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 承認審査

軽微な変更 軽微変更届出対象の登録事項の変更 基本的には変更の影響が軽微であることを確認の上 登録事項の軽微変更届出を行う. 軽微変更届出によりなされた MF 登録内容の変更については 原則として届出時点ではその妥当性についての審査は行われない. 軽微変更届出が妥当であったかどうかは GMP 適合性調査の際や製剤の一部変更申請の審査の際にチェックされることになる. 軽微変更として扱うべきでない製造工程の変更等について 軽微変更届出を行ったことが GMP 適合性調査などで分かった場合 第 0210001 号通知では この場合 当該軽微変更届出は無効となり 違反を問われる可能性があるとされている. こうした事態は 改正された GMP 規則で定められた変更管理を日常的に行うようにするとともに 製剤の承認取得者との間で十分に協議することにより避けられるものと考えられる.

軽微でない変更 一部変更申請対象の登録事項の変更 登録事項の一部変更申請を行う. 軽微変更届出対象の登録事項も 製剤への影響について検討した結果 軽微でない変更と評価された場合には一部変更申請を行う. 製剤の承認取得者は その影響が製剤の承認内容から見て許容できる範囲にあるかどうかを判断した上で 一部変更申請の手続きを行う. 変更の影響が許容できる範囲にあるかどうかの判断 許容できる範囲内の影響と判断される場合 : MF 登録者は 機構に登録事項の一部変更申請書および登録事項の変更に係る添付資料を提出する. 許容できない影響を与えると判断される場合 : 製剤の承認取得者にとって登録内容の変更は受け入れ難いものであるため 変更の拒否 契約の打ち切り ( 原薬の入手先の変更 ) などの対応を迫られる. MF 登録者も 変更の撤回 MF に旧内容も残す ( 製剤の業者に応じて新旧いずれかの内容の原薬を供給 ) 契約の打ち切りなどの対応を取らざるを得なくなる. 変更内容により原薬等の本質が変わるおそれのある場合 変更登録はできないこととされている. この場合は 新規の原薬として MF 登録を行い 当該 MF を利用する製剤においては 新たに登録された MF を利用する一部変更申請を行う.

簡易登録の MF 平成 17 年 3 月 31 日までに承認を取得していた医療用医薬品及び新有効成分含有一般用医薬品に利用されていた原薬については 経過措置として 製造方法などが従来の簡略な記載のままで 暫定的に MF 登録することが認められた. 事前登録 ( 簡易登録 ) 事前登録 ( 簡易登録 ) したものを本来求められる MF 登録内容とするための変更登録申請はいつ行えばよいか? MF-Q&A(1)/ Q8 平成 22 年 3 月 31 日まで 業許可の更新が行われるとき 新たな承認申請に引用しようとするとき 簡易登録の MF をもつ原薬製造業者に提出期限とされた平成 22 年 3 月 31 日までにやればよいことであり 他の業者の動きを見ながら対応したいとの模様眺めの姿勢があることから 本来の登録内容への変更登録はまだあまり進んでいるとは言えない.

原薬製造の外注化と軽微変更 マスターファイル 薬事法の改正で医薬品製造の全面委託が解禁されたことにより 医薬品製造の外注化 委受託が急速に進んだ. 原薬製造の外注化には 1) 自社の原薬製造部門を分社化する. 2) 自社での製造を受託業者への委託製造に切り替える. 3) 原薬を他社からの購入に切り替える. などの形態があるが 原薬の品質確保の観点からは 1) 3) となるにしたがって 製剤製造販売業者が原薬の製造にコミットする度合いが希薄となるため その分きちっとした契約を結ぶことによりカバーする必要があると考えられる. 特に原薬を中国やインドなどの海外の製造業者から購入する場合には わが国における薬事規制のあり方について十分に理解してもらうことが必要である. しかしながら 改正薬事法により導入された軽微変更届出やマスターファイルの制度については 特に海外に対しては 言語の違いもあって説明不足の感は否めず まだ十分理解してもらえていないのが現状である.

問題提起 MF を巡っては種々の問題があるが 今回のシンポジウムでの論点として次の 3 つの問題を提起する.

問題提起その 1 製造販売業者と原薬製造業者 (MF 登録者 ) との間の連携の重要性 旧薬事法下での製造業者と行政当局の 2 者の関係が 改正薬事法下では 基本的に製造販売業者と原薬製造業者と行政当局の 3 者の関係に移行したと言うことができる. こうした状況の下で 製造販売業者が市場に供給される医薬品について最終責任を負えるようにするためには 製造販売業者と原薬製造業者が連携して市販される医薬品の有効性 安全性 品質を確保することが求められる. しかしながら 特に原薬を他社からの購入する場合については そうした連携が十分に行われているか 懸念がある.

問題提起その 2 簡易登録 ( 事前登録 ) した MF の扱い 1 2 簡易登録したもの原薬を用いた製剤の一変申請の審査を巡って 次のスライドに示すよう問題が生じている. 簡易登録したものを本来求められる MF 登録内容とするための期限である平成 22 年 3 月 31 日まであと 1 年あまりとなり それまでに対応が可能か懸念される.

簡易登録の MF を巡る問題点 本来の形の登録内容とする変更登録申請の提出を巡って 審査上に大きな問題が生じている. MF 登録業者基本的に平成 22 年 3 月 31 日までにすればよいと考えており 現時点で変更登録申請を急ぐ姿勢にはなく 製剤の承認取得者からの変更登録申請を急いで欲しいとの要請にはとまどいを感じている状況にある. 製剤の承認取得者製剤の一部変更申請を行う際には 製造に用いている原薬の MF 登録内容を本来の形のものに改めることを要求されるため 一変申請を考えている製剤に使われる原薬については 変更登録申請を急いで欲しいと考えており MF 登録業者が速やかに対応してくれないので困っている状況にある. 機構の審査担当者一変の承認申請書に MF 登録番号が記載されている場合に MF 登録業者に対して本来の形の MF 登録内容とするように指示してもなしのつぶてに近い状態で 審査が進められず 承認が延び延びとなって困っている状況にある.

問題提起その 3 海外の原薬製造業者への対応 海外の業者の MF に対する意見 製造方法は開示したくない. 欧米の DMF にすでに登録しており 日本の MF には登録したくない. 国内管理人にすべての情報を明らかにしなければならないことになっているが 法的に何の資格要件もない者に貴重なノウハウを含む情報を明らかにすることはできない. 国内管理人を立てることとされているが なぜ直接 MF 登録できないのか. 改正薬事法により導入された軽微変更届出やマスターファイルの制度については 特に海外に対しては 言語の違いもあって説明不足の感は否めず まだ十分理解してもらえていないのが現状である. 原薬を海外に依存する度合いが強まっている現在 海外の業者に日本の制度を理解してもらうとともに 海外との間で起きている問題を柔軟に解決するために努力する必要がある.