の実現は この分野の最大の課題となってい (a) た ゲージ中の 酸素イオンを 電子で置換 筆 者 ら の 研 究 グ ル ー プ は 23 年 に 12CaO 7Al2O3 結 晶 以 下 C12A7 を用 い て 安定なエレクトライド C12A7: を実現3) Al3+ O2 Cage wall O2 In cage その電子状態や物性を解明してきた4) 図 1 のように C12A7 の結晶構造は 正の電荷を帯 Electron びたサブナノメートルサイズのケージが 3 次元 に連結して構成されている その正電荷を補 償するために 通常は酸素イオン O2 が (b) 真空準位 というイオン結晶と見なせる この酸素イオンを 仕事関数 =2.4 e 電子で置き換えることで エレクトライド化が達 エネルギー e ケージの中に存在するので [ケージ]2 (O2) 成された エレクトライド中のアニオン電子は 特定の原子の軌道に属さず隙間を占有すると いう特徴から予想されるように その仕事関数 は 金 属 カリウ ム に 匹 敵 す る ほ ど 小 さい 6 4 水素と反応し ヒドリドイオン に転化する C12A7: はアニオン電子がサブナノサイズの ケージ中に存在するので 次元のエレクトラ イドと見なすことができる その後 アニオン電 トンネル効果 O2p ゲージ中の酸素 Cf. C6の場合 ケージの酸素から 構成される 価電子帯 Ζ ΑΜ Γ Ζ Ρ Ξ Γ k 図1 O2 つながったケージが つくる伝導帯 O2と交換された電子が 占有するバンド 2 手でも触ることができる また このアニオン電 子は 3 以上の水素雰囲気下では容易に ケージの壁が構成 する伝導帯 2.4 e しかし 化学的に不活性であり素 Al3+ 電子 12CaO 7Al2O3(C12A7)とそのエレクトライド B C12A7 から C12A7 エレクトラ イドの合 成 ケージ 中に緩く束 縛されている O2 を還 元 処 理で電 子と置き換える C C12A7: のバンド構造 ケージ同士は 1 原子層を介してつながっているので そこに導入さ れた電子は 隣の空のケージにトンネル効果で移動できる このため C12A7: は金属的伝 導を示す フェルミ準位はこのケージがつくるバンド内にあるので 仕事関数が小さい 子が閉じ込められる空間の次元性を拡張し 1 次元5) と 2 次元のエレクトライド物質6) を見い D 1D Al3+ だした 図 2 特に アニオン電子が層間に O2 Cage wall Sr2+ 2D P3 N3 存在する 2 次元エレクトライドは 異種半導体 の界面に形成される 2 次元電子ガスのバルク 結晶に相当する また この範 疇 の物質は フェルミ準位付近でバンド反転が生じやすいの で トポロジカルエレクトライドのプラットフォー C12A7 ムとなりうる7) これらのエレクトライド物質も小 さな仕事関数を有し 水素雰囲気下ではアニ 図2 Sr5P3: Ca2N 3 種の異なるタイプのエレクトライド アニオン電子が主に分布する空間の次元で分類 オン電子は イオンに置き換わるという共通の 性質がある 必要と理解し C12A7: をアンモニア合成触媒として検討し 3. イオン性結晶のエレクトライドによる触媒 アンモニア合成触媒への応用を最初に検討したのは 272 てみようと考えた そのままでは窒素分子の吸着能や水素分子の解離能が低 C12A7: である C12A7: は仕事関数がアルカリ金属と同程 いので ルテニウム Ru のナノ粒子を担持した Ru は窒素 度と低いにもかかわらず 熱的にも化学的にも安定である こ との結合が遷移金属の中では強すぎず 弱すぎず 中庸な のユニークな性質を生かす応用の一環として N2 などの不活 ので古くからアンモニアの低温合成用触媒として研究されてき 性分子の活性化に取り組んだ 窒素分子は 3 重結合で結ば ている8,9) その結果 目論見どおり これまで報告された高 れているので容易には解離しない しかしながら アルカリ金 活 性 な 触 媒 よりの 活 性 化 エ ネ ル ギ ー は 半 分 程 度 属のような仕事関数の小さな物質とは反応し N N 結合が ( 5 kj mol1)まで低下し 活性サイト当たりの触媒活性は 解離して窒化物を生成する しかしながら 生成した窒化物 1 桁増大した さらに想定していなかったのだが 水素分圧を が安定なので 触媒としては機能しない すなわち 仕事関 1 気圧程度まで上げても活性は単調に増加し Ru 触媒に共 数が小さく かつ化学的 熱的に安定という相反する性質が 通の欠点であった水素被毒 2 が生じないことがわかった1) 応用物理 第 88 巻 第 4 号 219
= =
La Sc Si 図4 Energy (e) Energy (e) Energy (e) Ζ Ν Γ XP LaScSi.5 Ζ Ν Γ XP LaScSi.5 Ζ Ν Γ XP LaScSi.5 LaScSi の結晶構造とバンド構造 エネルギーの原点はフェルミ準位 アニオン電子が存在するボイド は 2 種類 水素雰 構造は上述の LaScSi と同じで いず れもエレクトライドと見なされる物質だ ここでは LaRuSi について結果17) を 紹介する アニオン電子のバンドはフェ ルミ面を主に構成し 水素とアニオン電 子との可逆的交換もアンモニア反応条 生成速度 μmol g1 h1 囲気下では アニオン電子は水素原子を取り込んで に転化するので そのバンドはフェルミ準位から大きく離れる に触媒活性を検討した結果を図 5 に示 がアニオン電子が存在しない CaRuSi 図5 Ru/CaO 4.1 MPa BaRu/Ac 16 CsRu/MgO 12 LaRuSi CaRuSi LaRu2Si2 8 4 件で生じる この物質に何も担持せず す 参考のため 同じ結晶構造をもつ 2 Ru/LaScSi Ru/Y5Si3 Ru/C12A7: Nonelectride Electride LaRuSi 15 3 45 6 反応時間 h 75 3 6 9 12 活性化エネルギー kj mol1 金属間化合物の触媒活性 エレクトライドではない物質ではほとんど活性がない エレクトライド 触媒の活性化エネルギーは通常の触媒よりかなり小さい AC 活性炭 と Si に対して 2 倍の Ru を含むがア ニオン電子が存在しない LaRu2Si2 の結 果も示す LaRuSi は単独でも Ru を担持したエレクトライドと 同等の活性を示し 水素被毒も生じなかった 一方 CaRuSi 2 や LaRu2Si2 はほとんど活性を示さない これらの結果から N2 N3 フェルミ準位を占有する仕事関数の低いアニオン電子の存在 が 高いアンモニア触媒活性発現のキーとなっていることが明 Ru らかである 図 6 には LaRuSi 触媒の反応機構をまとめる La LaCoSi では興味深い結果が得られた18) N2 の表面への Si 吸着エネルギーがかなり大きいにもかかわらず 反応の活性 化エネルギーは これまでのエレクトライド触媒の場合よりもさ らに低下( 4 kj mol1)したのである 第一原理分子動力 ( ) 学計算から N2 の脱着の際に放出されるエネルギーが N N 結合の解離に転換されるという hot atom mechanism が 示唆される 274 図6 2 Nad LaRuSi 触媒の反応機構 模式図 Nad は N2 が解離して生じた N 原子 はボイド 応用物理 第 88 巻 第 4 号 219