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1HLBとPLS-3ではHLBの方が1 弱程度回収率良好だが, マトリックスも多かった 2 回収率は通液 phに依存せず, 酸やアルカリでの洗浄が可能であった 35 アセトニトリルまでは保持され, 同溶媒による洗浄が可能であった これらの結果をもとに, 前処理法を決定した 3.1.4 前処理法の検討 ( マトリックス効果 ) 前処理法の検討を行った 各種の評価を実施し, 次のようなことがわかった 1HLBとPLS-3どちらにおいても,2 倍濃縮以上で負のマトリックス効果が見られた また, 移動相にバッファーがあった方が, マトリックス効果が抑えられた 2 酸やアルカリや有機溶媒で洗浄することにより, マトリックスは除去されているものの, マトリックス効果の程度に大きな違いは見られなかった 3 酢酸アンモニウムのバッファーの有無で, マトリックス効果が著しく異なる場合があった 4 汚水によっては, いくつかのモニターイオンで, 妨害 DGas 量 CGas 量 DTemp CapV CollV 図 2 質量分析条件の検討結果 ConeV 検量線 ( バッファーなし ) 検量線 ( 酢酸アンモニウム入り ) 移動相と相関係数 移動相による強度の違い 図 3 移動相溶媒の検討結果 岡山県環境保健センター年報 19

普通洗浄時の回収率しっかり洗浄時の回収率 ( 普通洗浄は水のみ, しっかり洗浄は酸やアルカリや有機溶媒で洗浄 ) HLB 使用時の通液 ph 依存性 PLS-3 使用時の通液 ph 依存性 HLB 使用時の積み上げ回収率 PLS-3 使用時の積み上げ回収率 HLB 酸洗浄時の積み上げ回収率 HLB アルカリ洗浄時の積み上げ回収率 2 岡山県環境保健センター年報

洗浄順序による回収率の違い 図 4 前処理法の検討結果 ( 固相カートリッジ ) HLB 使用時のマトリックス効果 PLS-3 使用時のマトリックス効果 ( 移動相にバッファーなし, 酸やアルカリや有機溶媒での洗浄なし ) HLB 使用時のマトリックス効果 PLS-3 使用時のマトリックス効果 ( 移動相にバッファーなし, 酸やアルカリや有機溶媒での洗浄あり ) HLB 使用時のマトリックス効果 PLS-3 使用時のマトリックス効果 ( 移動相にバッファーあり, 酸やアルカリや有機溶媒での洗浄なし ) 岡山県環境保健センター年報 21

HLB 使用時のマトリックス効果 PLS-3 使用時のマトリックス効果 ( 移動相にバッファーあり, 酸やアルカリや有機溶媒での洗浄あり ) HLB_MBCAM_BCAM_212622_ppb_in_CH3CN_1uL_MRM_FrontOfKanpoWaterMatrix_x1_Nousyuku_BL 212_269 1: MRM of 12 Channels ES+ 15.28 255.17 > 255.17 1.92e5 12.6 12.19 12.43 14.63 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_269 1: MRM Channels ES+ of 12 14.82 255.17 > 227.18 1 13.24 16.83 12.62 27 12.87 15.22 15.59 13.8 13.8 14.51 14.91 15.34 17.33 16.33 16.46 17.42 13.58 14.35 13.52 13.92 14.66 15.87 16.21 17.91 15.81 15.93 17.11 14.4 16.98 17.82 17.67 13.64 12.59 12.71 14.88 14.38 14.91 14.9715.22 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_269 1: MRM Channels ES+ of 12 15.7 255.17 > 195.12 15.22 15.56 1 14.35 13.7 16.83 35 12.53 12.65 13.3 13.39 14.7 14.97 12.93 16.15 12.31 16.67 17.2 13.5 13.8 13.86 14.29 14.54 14.76 15.9 16.46 17.98 12.9 17.8 17.73 17.2 17.85 15.65 16.21 17.42 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_269 1: MRM Channels ES+ of 12 14.63 255.17 > 145.7 1 12.99 414 15.1 12. 13.61 15. 12.19 12.4 14.14 14.45 14.72 15.44 16.12 17.2 15.19 17.48 16.74 17.54 17.76 13.39 15.59 16.21 15.81 16.61 13.11 13.76 13.92 14.54 15.9 16.46 16.95 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_269 1: MRM Channels ES+ of 12 255.17 > 119.9 14.66 12. 13.89 14.48 14.14 52 12.93 16.83 16.55 17.67 13.42 13.33 17.79 12.71 13.76 15.93 15.84 15.53 16.21 12.28 12.53 13.58 16.43 16.67 17.36 16.98 17.29 17.48 17.91 13.21 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_269 1: MRM Channels ES+ of 12 15.31 255.17 > 111.12 1.7e4 14.42 15.5 14.54 16.4 16.89 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_269 1: MRM Channels ES+ of 12 15.31 255.17 > 97.1 1.12e5 Time 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 汚水でのブランク検出例 MBCAM_BCAM_212619_1ppb_in_CH3CN_1uL_MRM_1 212_267 1: MRM of 12 Channels ES+ 255.17 > 255.17 7.91e5 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_267 1: MRM Channels of 12 ES+ 255.17 > 227.18 1.24e4 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_267 1: MRM Channels of 12 ES+ 255.17 > 195.12 4.49e4 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_267 1: MRM Channels of 12 ES+ 255.17 > 145.7 2.64e4 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_267 1: MRM Channels of 12 ES+ 255.17 > 119.9 1 6.32e4 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_267 1: MRM Channels of 12 ES+ 255.17 > 111.12 5.69e4 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 212_267 1: MRM Channels of 12 ES+ 255.17 > 97.1 4.35e5 Time 12. 12.5 13. 13.5 14. 14.5 15. 15.5 16. 16.5 17. 17.5 18. 標準液 (12のモニターイオンのうち,3 つにブランクが検出された例 図は 7イオンを抜粋 ) 図 5 前処理法の検討結果 ( マトリックス効果 ) 22 岡山県環境保健センター年報

標準溶液の保存性 標準溶液の保存性 ( 日を 1) 河川水 ( 汚水 ) での保存性 河川水での保存性 ( 対添加直後 ) 光照射前のクロマト光照射 (7 時間 ) 後のクロマト ( 上段はベンザルカンファー, 下段は4-メチルベンジリデンカンファー ) 各 ph 条件での 7 日光照射 各 ph 条件での 7 日光照射 ( 合算 ) 岡山県環境保健センター年報 23

V.C. 有無での 7 日光照射 V.C. 有無での 7 日光照射 ( 合算 ) 長期間光照射時の残存率 長期間光照射時の残存率 ( 合算 ) 短期間光照射時の残存率 短期間光照射時の残存率 ( 合算 ) 照射光と経過日数 濃度と異性化の程度 (CH 3CN 中 ) 24 岡山県環境保健センター年報

暗所 1 日経過の吸収スペクトル 明所 1 日経過の吸収スペクトル 暗所 6 日経過の吸収スペクトル明所 6 日経過の吸収スペクトル図 6 保存性と分解性 ( 光による構造異性体化 ) の検討結果 表 1 添加回収試験結果 物質名 4- メチルヘ ンシ リテ ンカンファー 試料名 河川水 海水 試料量 (ml) 添加量 (μg) 試験数 検出濃度 (μg/l) 回収率 () 変動係数 () サロケ ート回収率 () 1 無添加 1 ND - - 74.6 1 1. 5 9.23 92.3 6.8 81.7 1 無添加 1 ND - - 75.9 1 1. 5 9.31 93.1 7.3 81.3 表 2 分解性スクリーニング試験結果 物質名 ph 試験数 初期濃度 (μg/l) 1 時間後の残存率 () 7 日後の残存率 () *1 暗所 明所 4-メチルヘ ンシ リテ ンカンファー 4-メチルヘ ンシ リテ ンカンファー ( ヒ ーク合算 ) 5 2 1 97 1 51 7 2 1 9 11 52 9 2 1 99 93 49 5 2 1 (97) *2 (1) 18 7 2 1 (9) (11) 11 9 2 1 (99) (93) 12 *1 7 日後の残存率は,1 時間後の残存量を 1 とした値である *2 カッコは生成物のピークがなかったため, 合算しても変わらなかったもの 岡山県環境保健センター年報 25

表 3 保存性試験結果 物質名 試験対象 試料名 初期濃度残存率 () (ng/ml) 9 日後 15 日後 84 日後 河川水 5 99 - - 試料 河川水 (V.C. 有 ) 5 93 - - 海水 5 88 - - 4-メチルヘ ンシ リテ ン河川水 5-94 - カンファー粗抽出液海水 5-97 - 標準液 標準液 ( 低 ) 1 - - 98 標準液 ( 高 ) 1 - - 11 イオンが出ることがあった これらの結果をもとに, 前処理法を決定した 3.1.5 保存性と分解性 ( 光による構造異性体化 ) の検討保存性と分解性の検討を行ったところ次のようなことがわかった 1 暗所, 冷蔵の有機溶媒中で1 か月以上安定であった 2 暗所, 冷蔵の汚水中では1 週間以上安定に保存される 酸化防止剤 ( ビタミンC) の有無で, 著しい違いは見られなかった 3 光に対して分解性 ( 構造異性体化 ) があり, 数時間の光で異性体化する 異性体化はpHには依存しなかった 酸化防止剤 ( ビタミンC) の有無で, 異性体化に著しい違いは見られなかった 元化合物と異性体化生成物を足し合わせると, 元化合物の初期濃度とほぼ一致した 4 照射光の種類 ( 蛍光灯, 太陽光 ) では異性化の程度に著しい違いは見られなかった 5 十分に光を照射すると, 異性体化前と異性体化後の比は, 濃度に応じて一定の割合となった後に安定する 6UV 領域の3nm 付近に強い吸収があるが, 可視領域には吸収はほぼなかった 光で異性体化しても吸収極大波長や吸収スペクトルの形に大きな変化は生じないが, 異性化生成物はモル吸光係数が元の物質の2/3 程度であった 3.2 添加回収試験結果添加回収試験結果を表 1に示す 添加回収試験には河川水は旭川の乙井手堰, 海水は倉敷市水島沖の水質試料を使用した 河川水, 海水ともに良好な添加回収試験結果が得られた 3.3 分解性スクリーニング試験結果分解性スクリーニング試験結果を表 2に示す phに対しては安定性が高いが, 光で構造異性体化する 元の物質と生成物のピークを合算すると, ほぼ1 の残存率となった 3.4 保存性試験結果 保存性試験結果を表 3に示す 保存性は良好であった 河川水試料については, 酸化防止剤 ( ビタミンC) を1 g/l 添加したものを合わせて確認したが, 違いは見られなかった 3.5 環境試料の分析結果平成 24 年 1 月に採取した河川水 ( 旭川乙井手堰 ) 及び海水 ( 水島沖 ) からは, 対象物質は検出されなかった 定量下限は1.1μg/Lであった 4 まとめ 4-メチルベンジリデンカンファーの分析法を検討し, 次の結果を得た 1) 対象物質はESI Positiveモードでイオン化され,SRM (MS/MS) 法による測定が有効であった 12 種類のイオンを測定に用いることができ, 感度やブランクやバラつき等を考慮して, 最適なイオンを選択することができた 2) 移動相溶媒に酢酸アンモニウム / アセトニトリルを用いると, 良好な感度と装置安定性等を得ることができた 3) 固相抽出による前処理方法を検討し, アルカリ, 酸, 有機溶媒の順に洗浄することで, クリーンアップ効果を持たせつつ, 良好な回収率が得られた 4) マトリックス効果が大きく, また試料の汚れの程度によっては妨害イオンがあることから, 複数のイオンをモニターする等の注意が必要なことがわかった 5) 添加回収試験結果は, 河川水, 海水ともに良好であった 6) 分解性スクリーニング試験結果は,pH に対しては安定性が高いが, 光で構造異性体化し, また元の物質と生成物のピークを合算すると, ほぼ1 の残存率となることがわかった 7) 保存性試験結果は, 保存性は良好であった 8) 河川水 ( 旭川乙井手堰 ) 及び海水 ( 水島沖 ) からは, 対象物質は検出されなかった なお, 本研究は環境省委託の平成 24 年度化学物質分析法開発調査 ( 環境省環境安全課 ) と連携して実施した 26 岡山県環境保健センター年報

文献 1) 環境省総合環境政策局環境保全部環境安全課 : 化学物質環境汚染実態調査の手引き ( 平成 2 年度版 ), 平成 21 年 3 月,29 2) 宮本道子, 中村義昭, 横山敏郎, 伊藤弘一, 寺島潔, 鈴木淳子, 浜野朋子, 荻野周三 : 医薬部外品および化粧品中の紫外線吸収剤の分析に関する研究 ( 第 2 報 ) ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン, ホモサレートおよびメチルベンジリデンカンファを含む17 成分同時分析法, 東京都健康安全研究センター研究年報,6, 97-12, 29 3) 松本比佐志, 足立伸一, 鈴木定彦 : 紫外線吸収剤及びその関連化合物によるエストロゲン様作用, 薬学雑誌,125(8), 643-652, 25 4)Agilent technologies, Inc. Application Note:Agilent 129 Infinity LC with Agilent Poroshell columns for simultaneous determination of eight organic UV filters in under two minutes, Publication Number 599-6861EN, 21 December 1, 21 5) 横山敏郎, 森謙一郎, 中村義昭, 寺島潔, 大貫奈穂美, 宮本道子, 荻野周三, 斉藤和夫 : 医薬部外品及び化粧品中の紫外線吸収剤同時分析法についての改良, 東京都健康安全研究センター研究年報,57, 145-15, 26 岡山県環境保健センター年報 27