平成23年度税制改正の主要項目

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改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

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1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

法人税 faq

平成20年2月

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

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所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

法人税制改正詳解 CONTENTS はしがき 第 1 章平成 23 年 12 月改正 第 1 節 法人税率の引下げ 2 1 改正の趣旨及び内容 2 2 税率引下げの必要性 5 3 実効税率の計算への改正の影響 7 4 適用関係 8 5 実効税率と復興特別法人税との関係 8 6 法

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

申告所得税関係 手続名 帳票名平成年分セルフメディケーション税制の明細書 ( 次葉 ) 特定証券投資信託に係る配当控除額の計算書 平成 年分給与所得の源泉徴収票 ( 平成 28 年以降用 ) 平成 年分特定口座年間取引報告書 ( 平成 28 年以降用 ) 平成 年分公的年金等の源泉徴収票 ( 平成

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

3 税目 3. 国税 ( 所得税 ) 土地建物等の分離課税の譲渡所得の見直し 土地建物等の譲渡損益の課税方式を累進税率による 所有期間を考慮した N 分 N 乗方式 とし 他の所得との損益通算及び譲渡損失の繰越控除を認めべきである 土地建物等の譲渡所得に対する課税は他の所得と分離して行われているが

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

Microsoft Word - メルマガQ&A(23.8.1問2)利益剰余金の資本組入(父確認中)

る 1 減価補償金を交付すべきこととなる被災市街地復興土地区画整理事業において 公共施設の整備改善事業の用に供するために土地等が地方公共団体等に買い取られる場合 2 第二種市街地再開発事業の用に供するために土地等が地方公共団体等に買い取られる場合 (3) 特定住宅被災市町村の区域内にある土地等が 国

平成 28 年度税制改正の概要 1. 復興特区関係 * (1) 機械等に係る特別償却等の特例措置の5 年延長及び要件の緩和 * 要件緩和 : 建築物整備事業 ( テナント建物 ) の構造要件について まちなか再生計画に位置付けられた場合には 非耐火構造でも対象となるよう緩和 (2) 被災雇用者等を雇

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

15 18 定率減税の縮減 (15% 控除 7.5% 控除 (2 万円上限 )) 資本金等の額 ( 税法に規定する資本金等の額又は連結個別資本金等の額 ) が 50 億円超 800,000 円 10 億円超 50 億円以下 540,000 円 1 億円超 10 億円以下 130,000 円 1 千万

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13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

法人税 faq

消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置

2019 年度版 2019 年度版 CPE カリキュラム一覧表 4. 税務 学習成果 税務に関連する理論及び諸規定を適用する 大分類 40 総論 必須 税務 小分類 ( 研修コード ) 01 租税法概論 ( 4001 ) 租税法入門 税法総論 1. 租税の意義 種類とその役割 2. 租税法の法体系及

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平成23年度税制改正大綱(閣議決定)における要望実現項目

ワコープラネット/標準テンプレート

平成10年8月

二法人税法施行規則第六十一条の三第一号ロ及びハ並びに第二号ロ及びハ並びに第六十一条の五第一号ハ及びヘ並びに第二号ハ及びヘに掲げる勘定科目内訳明細書ホ別表に掲げる明細書 ( 当該明細書に記載されている事項又は記載すべき事項の内訳に係る部分に限る ) 四省令第五条第二項の規定により同項に規定する添付書面

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Microsoft Word - 02手引(説明).doc

相続税の改正 -平成23年度税制改正大綱

今回の変更点 所得税H22.16(震災特例法対応)

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

法人税 結婚 子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設教育資金贈与の見直し非上場株式等に係る贈与税 相続税の納税猶予制度の見直し法人税率の引き下げについて 個人 (20 歳以上 50 歳未満の者に限る 以下 受贈者 という ) の結婚 子育て資金の支払に充てるためにその直系尊属 ( 以下

新・NPO法人申請マニュアル.pwd

平成19年度税制改正.xls

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

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PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint 寄附金控除制度概要.ppt

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税務上の措置 ( 手続 )FAQ 平成 30 年 7 月広島国税局 平成 30 年 7 月豪雨により被害を受けられた方の税制上の措置 ( 手続 ) 等につきまして 照会の 多い事例を取りまとめましたので 参考としてください 目次 Ⅰ 災害にあった場

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

40 総論 01 租税法概 租税制度総論 必須 税務 論 1. 公認会計士と税務業務 ( 4001 ) 2. 税理士制度 3. 税務官庁の組織 4. 不服申立て 税務訴訟 5. 税務調査と否認の処理 6. 処罰法 7. その他 02 税制の動 向 ( 4002 ) 税制改正一般改正税法の研究 将来税

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平成19年度分から

(0830時点)PR版

試験研究費 9,, 7,, Check7 14,, 14,, Check8 7,, 2,, 14,, 6,, 6,, 税務弘報

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

平成30年3月決算における税務上の留意事項

イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

【表紙】

上場株式等の配当等に対する課税

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

過納金とは 納付納入の時にはそれに対応する租税債務が存在していたが 結果的に不適法な納付納入となった場合における地方公共団体の徴収金のことであり 1 納付納入の時には一応適法であったものが その申告 更生 決定又は賦課決定が誤って過大にされていたため 後になって減額更正 減額の賦課決定又は賦課決定の

貸借対照表 平成 28 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資産の部 負債の部 流動資産 (63,628,517) 流動負債 (72,772,267) 現金及び預金 33,016,731 買掛金 379,893 売掛金 426,495 未払金 38,59

テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

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4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

に限る ) は その追徴すべき不足税額 ( 当該減額更正前に賦課した税額から当該減額更正に基因して変更した税額を控除した金額 ( 還付金の額に相当する税額を含む ) に達するまでの部分に相当する税額に限る 以下この項において同じ ) については 次に掲げる期間 ( 令第 4 8 条の9の9 第 4

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2 その他 H26 中間申告義務のない事業者が 届出 012 書を提出した場合には 自主的に中間申告 納付することができる旨を 検討したか ( 平成 26 年 4 月 1 日以 後開始課税期間より適用 ) 本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H26 課税期間の基準期間

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

議案用 12P

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第28期貸借対照表

9. 移転価格税制の見直し 10. 給与の源泉徴収票の電子交付 11. 特定口座年間取引報告書の電子交付 12. 特定口座に係るみなし廃止制度の見直し 13. 郵送等に係る書類の提出時期の見直し 14. 期限後申告書に係る無申告加算税の見直し 15. 不納付加算税の見直し 16. 無申告加算税の割合

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税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

このうち 申告納税額がある方 ( 納税人員 ) は640 万 8 千人で は41 兆 4,298 億円 申告納税額は3 兆 2,037 億円となっており 平成 28 年分と比較すると 人数 (+0.6%) (+ 3.4%) 及び申告納税額 (+4.6%) はいずれも増加しました 所得者区分別の状況イ

平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

4.住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合編

平成16年版 真島のわかる社労士

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平成 23 年度税制改正税制改正の主要項目 平成 23 年 11 月 30 日成立経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律について 及川会計事務所税理士及川小四郎

Ⅰ. 所得税関係 1. 給与所得控除 (1) 給与所得控除の上限の設定 平成 24 年度改正へ持ち越し (2) 役員給与等に係る給与所得控除の制限 削除 2. 特定役員退職手当等の退職所得控除退職所得控除の制限平成 24 年度改正へ持ち越し 3. 扶養控除の見直見直し削除 4. 減価償却制度の見直見直し Ⅱ. 法人税関係 2. を参照 5. 当初申告要件等の緩和 当初申告の確定申告書に適用金額を記載した場合等に限り適用を受ける ことができる制度について 次のとおり見直されます (1) 給与所得者の特定支出の控除制度 資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例制度 変動所得 臨時所得の平均課税制度について 確定申告書 修正申告書又は更正請求書に当該制度の適用を受ける旨の記載があり かつ 一定事項を記載した書類の添付がある場合について適用を受けることができることとされます 1 及川会計事務所

(2) 純損失の繰越控除 雑損失の繰越控除制度について 確定申告書を提 出し かつ その後において連続して確定申告書を提出している場合につい て適用を受けることができることとされます (3) 外国税額控除制度について 確定申告書 修正申告書又は更正請求書に適用金額を記載した書類の添付がある場合等に限り適用を受けることができることとされます また 適用を受けることができる金額は 当該書類に記載された金額を限度とされます 6. 復興特別所得税 東日本大震災からの復興を図ることを目的として集中的に実施する施策のために必要な財源を確保するための臨時的な税制措置 (1) 平成 25 年から平成 49 年までの間 (2) 復興特別所得税 = 基準所得税額 2.1% 2 及川会計事務所

Ⅱ. 法人税関係 1. 法人税率の引き下げ 平成 24 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から 基本税率 年 800 万円以下の部分 普通法人 25.5% - 中小法人 一般社団法人等 人格のない社団等 25.5% 15% 公益法人等 協同組合等 ( 単体 ) 特定の医療法人 ( 単体 ) 19% 15% 協同組合等 ( 連結 ) 特定の医療法人 ( 連結 ) 20% 16% 特定の協同組合等の特例税率 ( 年 10 億円超 ) 22% - ( 改正前 ) 基本税率 年 800 万円以下の部分 普通法人 30% - 中小法人 一般社団法人等 人格のない社団等 30% 18% 公益法人等 協同組合等 ( 単体 ) 特定の医療法人 ( 単体 ) 22% 18% 協同組合等 ( 連結 ) 特定の医療法人 ( 連結 ) 23% 19% 特定の協同組合等の特例税率 ( 年 10 億円超 ) 26% - 3 及川会計事務所

2. 減価償却制度の見直見直し 平成 24 年 4 月 1 日以後取得分から定率法の償却率を定額法の償却率 (1/ 耐用年数 ) を2.0 倍した率となります ( 現行は2.5 倍した率 ) これに伴い改訂償却率 保証率も見直されます 3. 欠損金の繰越控除制度繰越控除制度の見直見直し (1) 繰越控除額の制限平成 23 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から 次に掲げる法人 ( 以下 中小法人等 という ) を除き 青色欠損金の繰越控除制度 災害損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度における控除額は その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の 100 分の 80 相当額が限度となります 1 普通法人のうち 資本金の額若しくは出資金の額が 1 億円以下であるもの ( 資本金の額が5 億円以上の法人による完全支配関係がある法人等を除く ) 又は資本若しくは出資を有しないもの ( 相互会社を除く ) 2 公益法人等又は協同組合等 3 人格のない社団等 (2) 繰越期間の延長平成 20 年 4 月 1 日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について 青色欠損金の繰越期間 災害損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間が9 年 ( 現行 7 年 ) に延長となります これに伴い その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存を適用要件となり 9 年間 帳簿の保存が必要となります (3) 債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度適用を受ける場合の 4 及川会計事務所

制限会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度の適用を受ける場合には 青色欠損金額等のうち一定の金額をないものとされ ます 4. 貸倒引当金の制限 (1) 適用法人の制限平成 23 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から 貸倒引当金は 適用法人を次の法人に限定した上で 3の法人については その法人が有する金銭債権のうち特定の金銭債権以外のものを貸倒引当金の対象債権から除外することとされます 1 中小法人等 2 銀行 保険会社その他これらに準ずる法人 3 売買があったものとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する法人等 ( 上記 1 又は2に該当する法人を除く ) (2) 経過措置平成 23 年 4 月 1 日から平成 24 年 3 月 31 日までの間に開始する事業年度については現行の規定による繰入限度額の4 分の3 同年 4 月 1 日から平成 25 年 3 月 31 日までの間に開始する事業年度については現行の規定による繰入限度額の4 分の2 同年 4 月 1 日から平成 26 年 3 月 31 日までの間に開始する事業年度については現行の規定による繰入限度額の4 分の1までの繰入れができる等の経過措置が講ぜられます 5. 当初申告要件等の緩和 平成 23 年 4 月 1 日以後に提出期限が到来する確定申告書等から 当初申告 5 及川会計事務所

の確定申告書に適用金額を記載した場合等に限り適用を受けることができる 制度について 次のとおり見直されます (1) 受取配当等の益金不算入制度 外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度 国等に対する寄附金 指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入制度 所得税額控除制度並びに外国税額控除制度について 確定申告書 修正申告書又は更正請求書に適用金額を記載した書類の添付がある場合等に限り適用を受けることができることとされます また 適用を受けることができる金額は 当該書類に記載された金額を限度とされます (2) 会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度に ついて 確定申告書 修正申告書又は更正請求書に適用金額を記載した書類 等の添付がある場合に限り適用を受けることができることとされます (3) 協同組合等の事業分量配当等の損金算入制度について 当初申告にお ける損金算入に関する明細の記載要件を廃止されます 6. 復興特別法人税 (1) 平成 24 年 4 月 1 日から平成 27 年 3 月 31 日に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後 3 年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度 (2) 復興特別法人税 = 基準法人税額 10% 6 及川会計事務所

Ⅲ. 相続税 贈与税関係 1. 基礎控除額の縮減削除 2. 死亡保険金に係る非課税限度額非課税限度額の制限削除 3. 相続税の税率税率の見直見直し削除 4. 未成年者控除額の拡大削除 5. 障害者控除額の拡大削除 6. 暦年課税の贈与税贈与税の税率税率の見直見直し削除 7. 相続時精算課税の要件要件の緩和削除 8. 当初申告要件等の緩和平成 23 年 4 月 1 日以後に申告書の提出期限が到来する相続税又は贈与税から 当初申告の相続税又は贈与税の申告書に当該制度の適用を受ける旨の記載をした場合に限り適用を受けることができる次の制度について これらの申告書 修正申告書又は更正請求書に当該制度の適用を受ける旨その他の事項を記載した書類等の添付がある場合に限り適用を受けることができることとされます 7 及川会計事務所

(1) 配偶者に対する相続税額の軽減 (2) 贈与税の配偶者控除 9. 贈与税の更正更正の請求期間等請求期間等の延長 (1) 贈与税の更正の請求の延長 ( 改正前 )1 年 ( 改正後 )6 年 8 及川会計事務所

Ⅳ. 更正 更正更正の請求請求の期間 1. 更正の請求期間請求期間の延長平成 23 年 12 月 2 日以後に法定申告期限が到来する国税について 更正の請求ができる期間が法定申告期限から原則として 5 年に延長されました なお 平成 23 年 12 月 2 日より前に法定申告期限が到来する国税については 更正の請求の請求期限は従来どおり法定申告期限から 1 年です 更正の請求期間を過ぎた課税期間について平成 23 年 12 月 2 日より前に法定申告期限が到来する国税で 更正の請求の期限を過ぎた課税期間について 増額更正ができる期間内に 更正の申出書 の提出があれば 税務署が調査によりその内容の検討をして 減額の更正を行います 所得税 法定申告期限から 3 年以内法人税 法定申告期限から 5 年以内 ( 原則 ) 相続税 法定申告期限から 3 年以内贈与税 法定申告期限から 6 年以内消費税 法定申告期限から 3 年以内 2. 更正の請求請求の範囲範囲の拡大当初申告の際 申告書に適用金額を記載した場合に限り適用が可能とされていた措置のうち 一定の措置については 更正の請求 ( 又は修正申告書 ) の提出により事後的に適用を受けることができるようになりました また 控除等の金額が当初申告の際の申告書に記載された金額に限定される 控除額の制限 がある措置について 更正の請求 ( 又は修正申告書 ) の提出により 適正に計算された正当額まで当初申告時の控除等の金額を増額することができることとされました 3. 増額更正ができるができる期間期間の延長 9 及川会計事務所

平成 23 年 12 月 2 日以後に法定申告期限が到来する国税について 増額更 正をすることができる期間が 改正前は 3 年のものについて 5 年に延長され ました 10 及川会計事務所

Ⅴ. 個人の道府県民税及道府県民税及び市町村民税市町村民税の税率税率の特例 ( 復興増税 ) (1) 平成 26 年度から平成 35 年度 (2) 個人道府県民税均等割 +500 円 (3) 個人市町村民税均等割 +500 円 11 及川会計事務所

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