学会名 : 日本小児腎臓病学会 アンケート 1 1. アンケート 2 で回答する疾患名 (1) ネフローゼ症候群 (2) 慢性糸球体腎炎 (IgA 腎症 ) (3) 先天性腎尿路奇形 (4) 慢性腎不全 2. 移行期医療に取り組むしくみ あり : 移行支援 WG を学会内に有する 成人腎臓内科と厚労

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アンケート 2 疾患名 :1 型糖尿病 1. 日本における有病率 成人期以降の患者数 ( 推計 ) 小児期 : 人成人以降の患者数 : 小児期発症 1 型糖尿病 3 万人程度 ( 但し 成人発症 1 型糖尿病については不明 ) 2. 小児期の主な臨床症状 治療と生活上の障害 生命維

小児におけるCKD活動

からコントロールが不良の年長児では 前述の精神神経障害により生活面でトラブル となる場合もある 3. 成人期の主な臨床症状 治療と生活上の障害コントロール良好例では 通常の進学 就労や結婚が可能であり 生活上問題となるほどの明確な精神神経症状はない その他の問題としては 骨粗鬆症をきたしやすい 酸化

アンケート 2 疾患名 : 直腸肛門奇形 ( 総排泄腔奇形 ) 1. 日本における有病率 成人期以降の患者数 ( 推計 ) 直腸肛門奇形有病率 : 日本小児外科学会新生児アンケート 2013 年直腸肛門奇形登録症例数 / 人口動態調査による出生数 ()=314/1,029,816=1/3280 総排

1治療 かっていたか, 予想される基礎値よりも 1.5 倍以上の増加があった場合,3 尿量が 6 時間にわたって 0.5 ml/kg 体重 / 時未満に減少した場合のいずれかを満たすと,AKI と診断される. KDIGO 分類の重症度分類は,と類似し 3 ステージに分けられている ( 1). ステー

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

アンケート 2 疾患名 : フェニルケトン尿症 (PKU) 1. 日本における有病率 成人期以降の患者数 ( 推計 ) 昭和 52 年に開始された新生児マススクリーニング検査により平成 25 年度までに発見された患者数は 635 人 発見率はおよそ 7 万人に 1 人である ( 厚生労働省 母子保健

透析無しでの死亡が 5 例で 先行的腎移植が 46 例でなされていた. 発生数の年齢別の経年変化では 2002 年から 歳群に減少傾向が伺われ, 特に男児に強く見られた ( 図 1). 100 万人当たりの発生頻度は米国では 0-14 歳で 10 例 4), 欧州 オーストラリアは約 7

尿試験紙を用いたアルブミン・クレアチニン検査の有用性



透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン 2013 CQ とステートメント 推奨グレードのまとめ 1 CKD の診断と意義 CQ 1 CKD は末期腎不全の危険因子か? GFR の低下 (40~69 歳で 50 ml/ 分 /1.73 m 2 未満,70~79 歳で 40 ml/ 分 /1.73

障害程度等級表 級別じん臓機能障害 1 級 じん臓の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの 2 級 3 級 じん臓の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの 4 級 じん臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

糖尿病性腎症に合併したネフローゼ症候群の治療

第1 総 括 的 事 項

目次 1. 目的 2 2. 人工透析患者の年齢等の分析 3 性別 被保険者 被扶養者 3. 人工透析患者の傷病等の分析 8 腎臓病 併存傷病 平成 23 年度新規導入患者 4. 人工透析 健診結果 医療費の地域分析 13 二次医療圏別 1

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資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

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行対象症例の選択方針が内外で異なるためと考えられており ヨーロッパ諸国の中でも腎生検を比較的活 発に行っている地域では本症の発現頻度が高いこととともに 無症候性蛋白尿 血尿の比率が高くなってい る 5. 合併症 高血圧 ネフローゼ症候群を呈する場合は脂質異常症 慢性腎不全に進行した場合は 腎性貧血

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15 検査 尿検査 画像診断などの腎障害マーカーの異常が3ヶ月以上持続する状態を指すこととしている その病期分類方法は成人と小児では若干異なり 成人では糖尿病性腎障害が多い事からこれによる CKD 患者ではアルブミン尿を用い その他の疾患では蛋白尿を用いてそのリスク分類をしている これに対し小児では

医研修制度が始まる前から内科系を中心にできるだけ多くの科をローテーションすることを勧めてきました 今後もそのスタンスを維持していきますので 腎臓内科もやりたいけど 他の科とも迷っている 将来は一般内科をやりたい などの希望を持っている人にも適しています 5. 考える腎臓内科医を育てます 腎臓内科は手

< 糖尿病療養指導体制の整備状況 > 療養指導士のいる医療機関の割合は増加しつつある 図 1 療養指導士のいる医療機関の割合の変化 平成 20 年度 8.9% 平成 28 年度 11.1% 本糖尿病療養指導士を配置しているところは 33 医療機関 (11.1%) で 平成 20 年に実施した同調査

206 年実施卒後教育プログラム ( 日泌総会 ) 領域等タイトル日時単位 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 8 日泌総会卒後 9 日泌総会卒後 0 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 5 日泌総会卒後 6

2 CKD 1. 不適当な食事 2. 感染症 : 尿路感染, 肺炎, 敗血症など 3. 急激な循環状態の変動 : 高血圧, 低血圧 4. 水 電解質異常 : 脱水, 溢水, アシドーシス 5. 尿路疾患 : 尿路結石 狭窄 感染 6. 腎毒性薬剤 : 造影剤, 抗生物質,NSAIDs 7. 手術およ

2009年8月17日

3 病床数 施設 ~19 床 床 床以上 284 (3 施設で未回答 ) 4 放射線専門医数 ( 診断 治療を含む ) 施設 ~5 人 226 6~10 人 人

耐性菌届出基準

14栄養・食事アセスメント(2)

2014 年 10 月 30 日放送 第 30 回日本臨床皮膚科医会② My favorite signs 9 ざらざらの皮膚 全身性溶血連鎖球菌感染症の皮膚症状 たじり皮膚科医院 院長 田尻 明彦 はじめに 全身性溶血連鎖球菌感染症は A 群β溶連菌が口蓋扁桃や皮膚に感染することにより 全 身にい

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

第15回日本臨床腫瘍学会 記録集

複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

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学校検尿システムの現状と問題点

脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

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10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

CKD 平成 25 年度厚生労働科学研究費補助金による難治性疾患克服研究事業の成果として, 小児慢性腎臓病 ( 小児 CKD) 診断時の腎機能評価の手引き が完成したことをこころからお慶び申し上げます.CKD という概念ははじめ欧米からわが国の成人の腎臓学に持ち込まれた概念で, 日本腎臓学会にて深化

認定看護師教育基準カリキュラム

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

1 疾患別医療費札幌市国保の総医療費に占める入院医療費では 悪性新生物が 21.2% 循環器疾患が 18.6% となっており 循環器疾患では 虚血性心疾患が 4.5% 脳梗塞が 2.8% を占めています 外来医療費では 糖尿病が 7.8% 高血圧症が 6.6% 脂質異常症が 4.3% となっています

日本内科学会雑誌第99巻第9号

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わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

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■● 糖尿病

(目的)

インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

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背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

医療連携ガイドライン改

4 移植手術について原則として右下腹部を切開し 腎移植をします 血管は腎動静脈を足に行く血管に吻合し 尿管は膀胱に吻合します 通常は 輸血はしませんが 必要であれば輸血をすることもあります 術後は 2 日間のベッド上安静を要しその後は歩行も可能となります 通常 4~6 日目に膀胱のチューブを その翌

16 小児 CKD の診断 本章の対象は乳幼児を含めた 18 歳未満の発育過程にある小児である. 小児 CKD の診断にあたっては, 患児の年齢や体格, さらに成人 CKD への移行 の可能性を考慮し, 成人 CKD のガイドラインを適用する時期について常に念頭におく必要がある. 5

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緒言

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27 年度調査結果 ( 入院部門 ) 表 1 入院されている診療科についてお教えください 度数パーセント有効パーセント累積パーセント 有効 内科 循環器内科 神経内科 緩和ケア内科

適応病名とレセプト病名とのリンクDB

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

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(別紙様式1)

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第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

を増床しました 地域包括ケア病棟とは? 急性期後の受入れをはじめとする 地域包括ケアシステム を支える病棟です 急性期治療の後すぐの在宅や施設等での療養に不安があったり, もう少しの入院治療で社会復帰ができる患者さんのために退院支援を行います 当院では5 階全床を 地域包括ケア病棟 (60 床 )

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

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1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

慢性腎臓病 chronic kidney disease

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

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ここが知りたい かかりつけ医のための心不全の診かた

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当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸

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TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他

検査項目情報 6475 ヒト TARC 一次サンプル採取マニュアル 5. 免疫学的検査 >> 5J. サイトカイン >> 5J228. ヒトTARC Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital Ver.6 thymus a

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肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

甲状腺機能が亢進して体内に甲状腺ホルモンが増えた状態になります TSH レセプター抗体は胎盤を通過して胎児の甲状腺にも影響します 母体の TSH レセプター抗体の量が多いと胎児に甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性が高まります その場合 胎児の心拍数が上昇しひどい時には胎児が心不全となったり 胎児の成

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4-1 データベース検索結果 タイトル CQ データベース 日付 検索者 腎臓リハビリテーション 糸球体腎炎患者に運動制限は推奨されるか? PubMed (Medline) 2017 年 4 月 11 日 MK 検索式 (("nephritis"[mesh Terms] OR "nephritis"

10050 WS2-3 ワークショップ P-129 一般演題ポスター症例 ( 感染症 ) P-050 一般演題ポスター症例 ( 合併症 )9 11 月 28 日 ( 土 ) 18:40~19:10 6 分ポスター会場 2F 桜 P-251 一般演題ポスター療

SoftBank 301SI 取扱説明書

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学会名 : 日本小児腎臓病学会 アンケート 1 1. アンケート 2 で回答する疾患名 (1) ネフローゼ症候群 (2) 慢性糸球体腎炎 (IgA 腎症 ) (3) 先天性腎尿路奇形 (4) 慢性腎不全 2. 移行期医療に取り組むしくみ あり : 移行支援 WG を学会内に有する 成人腎臓内科と厚労科研で連携 3. 成人期医療を扱う学会との間の協力体制 カウンターパートの学会名 : 日本腎臓学会 協力の内容 : 提言及びガイドラインの作成 ( 厚労科研 ) 4. 参考資料 文献 小児慢性腎臓病患者における移行医療についての提言- 思春期 若年成人に適切な医療を提供するために- 現在両学会への学会誌 ホームページに掲載本田雅敬. 小児 CKD 患者の移行医療. 日本小児腎不全学会雑誌.2013;33: 5-9. 上村治. 小児慢性腎臓病患者のトランジション ( 移行 ). 腎と透析.2014;76 増刊 : 469-473 Honda M, Iijima K, Ishikura K, Kaneko K: The problem of transition from pediatric to adult healthcare in patients with steroid-sensitive nephrotic syndrome (SSNS): a survey of the experts. Clin Exp Nephrol, 2014: 18: 939-943 Hattori M, et al: Transition of adolescent and young adult patients with childhood-onset chronic kidney disease from pediatric to adult renal services: a nationwide survey in Japan. Clin Exp Nephrol 2016 DOI 10.1007/s10157-016- 1231-6 久保田亘, 本田雅敬. 小児腎疾患患者におけるトランジションの現状と課題. 外来小児科. 2015; 18(3): p313-317 83

アンケート 2 疾患名 : ネフローゼ症候群 1. 日本における有病率 成人期以降の患者数 ( 推計 ) 日本における有病率は, 小児人口 10 万人あたり 6.5 人成人期以降の患者数は, 約 16,000 人 ( 小児難治性腎疾患治療研究会の調査より ) 2. 小児期の主な臨床症状 治療と生活上の障害尿蛋白, 低アルブミン血症に起因する浮腫, 体重増加, 高度の場合には胸水や腹水, 腎機能障害, 脂質異常症, 凝固線溶系異常に伴う血栓症, 免疫異常症に伴う感染症などがある. ステロイド抵抗性の場合には末期腎不全に至る場合がある. ステロイド感受性の場合でも再発を繰り返すことが特徴である. 3. 成人期の主な臨床症状 治療と生活上の障害 2. に同じ. 4. 経過と予後小児ネフローゼ症候群は, 一般的には予後が良好と考えられているが, 成人期になっても再発を繰り返すなどで何らかの免疫抑制薬を使用して管理するような状態で成人期に移行するケースも多い. ステロイド薬をはじめ種々の免疫抑制薬に治療抵抗性の場合, 高度蛋白尿が持続することにより末期腎不全に進行するリスクが高い. 5. 成人期の診療にかかわる ( べき ) 診療科 腎臓内科 6. 成人期に達した患者の診療の理想 7. 成人期に達した患者の診療の現実 84

c. 小児科で診療を続けながら医師 患者の関係を変えてゆくコメント一般的には 20 24 歳で内科に移行することが多いが, 約 3 分の 1 が小児科で長期にみている.Honda M et al. Clin Exp Nephrol, 2014: 18: 939-943 就職, 転居, 結婚, 妊娠などの生活 ( 環境 ) 変化で移行することが多い. 8. 理想 (6) と現実 (7) の乖離の理由 d. その他コメント治療方法の違いによって, 移行しにくい. 病気の活動性がある状況では, 移行しにくい. 9. 成人期に達しても移行が進まない場合の問題妊娠や出産, 成人病やがんなど成人特有の症状や疾患に対応が困難となる. 小児病棟に入院できない. 成人になって小児科外来に通う心理的問題 患者の精神的自立を妨げる可能性もある. 10. 解決のためにすべき努力 a. 成人診療科の医療者を対象に疾患についての教育 啓発 ( 診療科名 学会名 : 日本小児腎臓病学会 日本腎臓学会 ) b. 患者 家族を対象に自立に向けた働きかけ f. 患者団体の強化コメント移行プログラムの確立が必要である. 11. 本疾患の移行に関するガイドブック等について b. 編纂作業中 ( 主体 : 日本腎臓学会, 日本小児腎臓病学会 完成予定時期 :2017 年 ) コメント小児慢性腎臓病患者における移行医療についての提言が, 平成 27 年 3 月に発表された. 小児慢性腎臓病患者における移行医療についての提言- 思春期 若年成人に適切な医療を提供するために- 現在両学会への学会誌 ホームページに掲載 85

本田雅敬. 小児 CKD 患者の移行医療. 日本小児腎不全学会雑誌.2013;33: 5-9. 上村治. 小児慢性腎臓病患者のトランジション ( 移行 ). 腎と透析.2014;76 増刊 : 469-473 86

疾患名 : 慢性糸球体腎炎 ( 主に IgA 腎症 ) 1. 日本における有病率 成人期以降の患者数 ( 推計 ) 日本における有病率は,3.9 4.5 人 /10 万人 全国で腎生検にて確定診断された有病患者数は 33,000 人と推計されている. 2. 小児期の主な臨床症状 治療と生活上の障害臨床症状 :70 80% が学校検尿で気付かれるが,15 20% の症例は感染を契機とした肉眼的血尿を呈する.10% の症例では高血圧 腎機能低下を伴う急性腎炎症候群や高度蛋白尿とその結果起こる浮腫にて急性発症する. 治療 : 蛋白尿の程度と腎組織障害の程度により軽症と重症に分け, 軽症ではアンギオテンシン変換酵素阻害薬あるいは柴苓湯を 2 年間, 重症では副腎ステロイド薬, 免疫抑制療法, 抗凝固薬, 抗血小板薬を用いた 2 年間の多剤併用療法が推奨されている. 生活上の障害 : 思春期発症患児においては, 成長障害, 易感染性, 肥満, 高血圧, 骨粗鬆症, 白内障や緑内障などのステロイド薬の副作用が生活上の障害となる可能性がある. また, 通院や病状の悪化による学校の早退や病休の増加なども問題となることがある. 3. 成人期の主な臨床症状 治療と生活上の障害臨床症状 :70% が健康診断の際の偶然蛋白尿や偶然血尿で発見される. 高血圧や血液検査の際の尿素窒素や血清クレアチニン高値などの異常値の精査が発見の契機になる. また, 感染症罹患時の肉眼的血尿発作や浮腫を認める場合もある. 治療 :RA 系阻害薬, ステロイド薬, 口蓋扁桃摘出術やステロイドパルスとの併用療法, 免疫抑制薬, 抗血小板薬などを組み合わせ治療している. 生活上の障害 : 成人患者において, 前述したステロイド薬の副作用や免疫抑制薬による易感染性が障害となることがある. また, 通院や病状の悪化による職場の早退や病休の増加などが挙げられる. 腎機能が低下した場合, 塩分制限などの食事管理や運動制限などが必要になり, 透析治療が開始された場合と腎不全患者と同様な生活制限が必要になる. 4. 経過と予後 小児発症の本症では, 発症後 15 年目までに約 75% の患児において尿所見が正常化する. 10 15% では持続性腎炎がみられ,2 10% 前後は腎不全に進行する. 87

成人期発症の場合は,10 年生存率は 80 85% と推察されている. 1990 年以降に診断された症例の方が予後良好というエビデンスがある. Komatsu らは, 腎生検時血清クレアチニン値が 2.0 mg/dl 以下の患者において,2006 年を境にして 10 年生存率が 75.2% から 95.7% に改善したと報告している. 5. 成人期の診療にかかわる ( べき ) 診療科 腎臓内科 6. 成人期に達した患者の診療の理想 7. 成人期に達した患者の診療の現実 c. 小児科で診療を続けながら医師 患者の関係を変えてゆくコメント内科への転科は 5 年間で 31%(735 例が転科,1631 例が小児科のまま ) であり, 転科年齢は 20 24 歳がピークであるが 35% は 25 歳以上だった (Hattori ら Clin Exp Nephrol 2016 DOI 10.1007/s10157-016-1231-6) 8. 理想 (6) と現実 (7) の乖離の理由 a. 成人診療科側の受入れの不備 不十分 b. 小児科側が患者を手放さない 手放せないコメント治療方法の違いによって, 転科しにくい事がある. 9. 成人期に達しても移行が進まない場合の問題妊娠や出産, 成人病やがんなど成人特有の症状や疾患に対応が困難となる. 小児病棟に入院できない. 成人になって小児科外来に通う心理的問題 患者の精神的自立を妨げる可能性もある. 10. 解決のためにすべき努力 a. 成人診療科の医療者を対象に疾患についての教育 啓発 ( 診療科名 学会名 : 日本小児腎臓病学会 日本腎臓学会 ) 88

b. 患者 家族を対象に自立に向けた働きかけ f. 患者団体の強化コメント移行プログラムの確立 啓発が必要 11. 本疾患の移行に関するガイドブック等について b. 編纂作業中 ( 主体 : 日本腎臓学会, 日本小児腎臓病学会 完成予定時期 :2017 年 ) f. その他コメント 小児慢性腎臓病患者における移行医療についての提言- 思春期 若年成人に適切な医療を提供するために- 現在両学会への学会誌 ホームページに掲載 89

疾患名 : 先天性腎尿路奇形 (CAKUT) 1. 日本における有病率 成人期以降の患者数 ( 推計 ) 日本における有病率は,CKD3 以上の保存期で約 2 人 /10 万人, 末期腎不全で 1.8 人 /10 万人といわれている. 成人期以降の患者数は,10-20 人 /10 万人と見積もられている. 軽度の CAKUT を含めると, 実際の患者数については明確ではない. ( 文献 :1Ishikura K et al. Nephrol Dial Transplant 29:878-84, 2014, 2 服部新三郎. わが国における慢性腎不全の疫学. 小児科臨床 71: 281-285, 2008) 2. 小児期の主な臨床症状 治療と生活上の障害尿路感染症, 昼間尿失禁や夜尿, 腎機能障害, 高血圧などがある. 小児の CAKUT は多尿の場合が多く, 脱水になりやすい. 腎機能障害に関しては, 進行すれば慢性腎不全と同様の症状, 生活管理が必要となる. 膀胱機能障害があれば自己導尿を要したり, 便秘の頻度も多く排便コントロールが必要な事も多い. 合併する他の奇形の有無 種類により, 合併症が異なる. 3. 成人期の主な臨床症状 治療と生活上の障害 2. に同じ 4. 経過と予後成人になって末期腎不全に進行することが多い. 末期腎不全の中央値は 35 歳程度と報告されている. 合併症によって経過や予後が異なる. 5. 成人期の診療にかかわる ( べき ) 診療科 主には腎臓内科 合併する奇形の種類によって異なる ( 循環器科, 泌尿器科, 外科など ) 6. 成人期に達した患者の診療の理想 b. 小児科と成人診療科の併診 90

c. 小児科で診療を続けながら医師 患者の関係を変えてゆく コメント 知的障害が強い, 他科で診療が必要など合併症の種類によって検討する必要がある. 7. 成人期に達した患者の診療の現実 b. 小児科と成人診療科の併診 c. 小児科で診療を続けながら医師 患者の関係を変えてゆくコメント内科への転科は 5 年間で 31%(735 例が転科,1631 例が小児科のまま ) であり, 転科年齢は 20 24 歳がピークであるが 35% は 25 歳以上だった (Hattori M. et al. Clin Exp Nephrol 19: 933-938, 2015) 精神運動発達遅滞がある場合, 内科側の受け皿の問題がある. 多科が関連している場合にも診療形態は検討が必要である. 8. 理想 (6) と現実 (7) の乖離の理由 a. 成人診療科側の受入れの不備 不十分 b. 小児科側が患者を手放さない 手放せないコメント合併症の種類によって違いがある. 9. 成人期に達しても移行が進まない場合の問題妊娠や出産, 成人病やがんなど成人特有の症状や疾患に対応が困難となる. 小児病棟に入院できない. 成人になって小児科外来に通う心理的問題 患者の精神的自立を妨げる可能性もある. 10. 解決のためにすべき努力 a. 成人診療科の医療者を対象に疾患についての教育 啓発 b. 患者 家族を対象に自立に向けた働きかけ f. 患者団体の強化コメント移行プログラムの確立 啓発 91

11. 移行に関するガイドブック等 b. 編纂作業中 ( 主体 : 日本腎臓学会, 日本小児腎臓病学会 完成予定時期 :2017 年 ) コメント 小児慢性腎臓病患者における移行医療についての提言- 思春期 若年成人に適切な医療を提供するために- 現在両学会への学会誌 ホームページに掲載 92

疾患名 : 慢性腎不全 1. 日本における有病率 成人期以降の患者数 ( 推計 ) 日本における有病率は,3.5/10 万人 (20 歳未満 ) ( 文献 : 服部新三郎. わが国における慢性腎不全の疫学. 小児科臨床.71: 281-285, 2008) CKD3 以上 3 人 /10 万人 (15 歳未満 ) 成人期以降では,2517.3/100 万といわれる (2014 年日本透析医学会 ) (http://docs.jsdt.or.jp/overview/index.html) 2. 小児期の主な臨床症状 治療と生活上の障害透析 ( 腹膜透析 血液透析 ): 臨床症状 : 腎性貧血, 電解質体液異常, 腎性骨異栄養症, 成長障害, 循環器系合併症 ( 心血管障害 ), 被嚢性腹膜硬化症 ( 腹膜透析 ) 治療 : 腹膜透析 : 連日の腹膜透析, 日中の持続的な透析または夜間 8 10 時間の透析機器による透析. 血液透析 :3 回 / 週,4 時間 / 回, 透析施設における透析. 薬剤 ( 上記症状に対する ): 貧血, 高尿酸血症, 高リン血症, 二次性副甲状腺機能亢進症生活上の障害 : 上記のごとく時間的な制約がある. 食事 水分制限, 運動制限, 腹膜透析は腹部を打撲, 不潔にするようなスポーツ ( 例 : 鉄棒 プール ) ができない. 血液透析はシャント部位を障害するスポーツができない ( 例 : バレーボール ). 腎移植 : 成長障害, 満月様顔房 中心性肥満 多毛など薬を飲むことによる症状, 移植腎機能が悪くなった場合は上記透析と同症状. 治療 : 腎移植術, 免疫抑制剤その他上記透析に準ずる. 生活上の障害 : 移植腎機能が良い間は, 腹部を圧迫 打撲するスポーツの制限程度で比較的制限の少ない生活が送ることができる. 3. 成人期の主な臨床症状 治療と生活上の障害 上記 ( 設問 2) 以外に透析が長くなることによる臨床症状 アミロイドーシス, 掻痒感, 易感染症等 93

4. 経過と予後一つの方法では難しく, 腹膜透析, 血液透析, 腎移植といった腎代替療法を入れ替えながら一生をすごす. 腹膜透析の可能な継続期間 5 8 年, 血液透析 30 年程度腎移植平均 15 20 年健常者と比べると予後は悪い小児腹膜透析 5 年生存率 92.4% ( 臨床透析 24: 175-180, 2008) 小児腎移植患者 5 年生存率 96 98%( 移植 49: 209-214,2014) 成人血液透析患者粗死亡率 9.6% 5. 成人期の診療にかかわる ( べき ) 診療科 腎臓内科, 移植外科, 泌尿器科 6. 成人期に達した患者の診療の理想 a. 成人診療科 ( 診療科名 : 腎臓内科 移植外科 ( 内科 ) 泌尿器科) に全面的に移行 b. 小児科と成人診療科 ( 診療科名 : 腎臓内科 移植外科 ( 内科 ) 泌尿器科) の併診 ( 発達障害がある場合 ) c. 小児科で診療を続けながら医師 患者の関係を変えてゆくコメント精神運動発達遅延がある患者については移行が難しく, 小児科医が併診するなど, なんらかの関わりを持つ必要がある. 7. 成人期に達した患者の診療の現実 b. 小児科と成人診療科の併診 c. 小児科で診療を続けながら医師 患者の関係を変えてゆくコメント内科への転科は 5 年間で 31%(735 例が転科,1631 例が小児科のまま ) であり, 転科年齢は 20-24 歳がピークであるが35% は 25 歳以上だった (Hattori M et al.clin Exp Nephrol 19: 933-938, 2015) 8. 理想 (6) と現実 (7) の乖離の理由 94

a. 成人診療科側の受入れの不備 不十分 b. 小児科側が患者を手放さない 手放せない c. 患者 ( 家族) が自立しないコメント転科できない理由として, 患者および家族の拒否が一番多く, 次に転科について考えていなかったり, 決定できない, 適当な腎臓内科がない, 共存疾患と続いた (Hattori M et al. Clin Exp Nephrol 19: 933-938, 2015) 9. 成人期に達しても移行が進まない場合の問題妊娠や出産, 成人病やがんなど成人特有の症状や疾患に対応が困難となる. 小児病棟に入院できない. 成人になって小児科外来に通う心理的問題 患者の精神的自立を妨げる可能性もある. 10. 解決のためにすべき努力 a. 成人診療科の医療者を対象に疾患についての教育 啓発 ( 診療科名 学会名 : 腎臓内科 移植外科 ( 内科 ) 泌尿器科: 日本透析医学会 日本腎臓学会 日本泌尿器科学会 移植学会等 ) b. 患者 家族を対象に自立に向けた働きかけ c. 小児科の医師を対象に成人期に入った患者の治療 管理に関する知識 技術の普及 f. 患者団体の強化 11. 移行に関するガイドブック等 b. 編纂作業中 ( 主体 : 日本腎臓学会, 日本小児腎臓病学会, 完成予定時期 :2017 年 ) コメント 小児慢性腎臓病患者における移行医療についての提言- 思春期 若年成人に適切な医療を提供するために- 現在両学会への学会誌 ホームページに掲載 95