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( 様式甲 5) 氏 名 渡辺綾子 ( ふりがな ) ( わたなべあやこ ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲 第 号 学位審査年月日 平成 27 年 7 月 8 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 学位論文題名 Fibrates protect against vascular endothelial dysfunction induced by paclitaxel and carboplatin chemotherapy for cancer patients: a pilot study ( 婦人科悪性腫瘍患者に対するパクリタキセル カルボプラチン併用化学治療が及ぼす血管内皮障害への影響と フィブラートの予防効果について - 予備研究 ) 論文審査委員 ( 主 ) 教授樋口和秀 教授朝日通雄 教授内山和久 学位論文内容の要旨 目 的 婦人科悪性腫瘍に対する根治手術 抗癌剤治療などの治療の向上により癌患者の延命が図られるようになった 一方で 白金製剤を中心とする抗癌剤の後期副作用として心血管疾患罹患リスクとの関係を示唆する報告がある中 そのメカニズムは不明であった 我々は今までに 婦人科悪性腫瘍に対する Paclitaxel-Carboplatin 併用療法 (TC 療法 ) 後に血管内皮機能が急速に低下し TC 療法後の中性脂肪 (TG) の有意な上昇がそのメカニズムの一つである可能性を報告してきた 一般に TG は肝 筋 脂肪組織における脂質代謝経路の異常 特に核内受容体の1つ peroxisome proliferator- activated receptor (PPAR ) の障害で上昇する そこで今回 婦人科悪性腫瘍患者に対する TC 療法後の血管内皮障害が - 1 -

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群 ( 中央値 3.7%) Elevated TG 群 (2.3%) と比較して Fibrate 群 (5.1 %) で有意に高かった ペントラキシン 3 の上昇率を比較すると Stable TG 群は 12.1 倍 Elevated TG 群は 11.8 倍と有意に上昇したが Fibrate 群は 8.3 倍と 3 群間で最も有意に低値であった さらに TC 療法前後の %FMD の低下率とペントラキシン 3 の上昇率の関係を検討すると負の相関 (r=0.421, p<0.05) を認めた hscrp は有意な差は認められなかった (2) HUVECs に CDDP CBDCA PTX を添加すると NO 産生は有意に減少したが Fib の前添加により改善した PPAR 活性も同様に CDDP CBDCA の添加により有意に低下し Fib の前添加で改善したが PTX による PPAR 活性の低下は Fib で改善しなかった 考 察 本研究により TC 療法が及ぼす血管内皮機能障害について 抗癌剤の直接的な血管内皮細胞障害 血管内皮細胞の PPAR 障害 ( 代謝障害 ) TC 療法で生じた高 TG 血症による血管内皮細胞障害の 3 つのメカニズムが考えられた 以上より TC 療法で生じた血管内皮障害を Fib は直接的のみならず PPAR 活性の改善や脂質代謝改善を通して間接的に改善している可能性がある 本研究の限界として TC 療法後に TG が上昇した症例に対してのみしか Fib を投与しておらず ランダム化比較試験ではないことが挙げられる また Fib による血管内皮保護作用が将来の動脈硬化性疾患予防となるかどうかは 現時点では不明であり さらなる長期的観察が必要である - 3 -

( 様式甲 6) 論文審査結果の要旨婦人科悪性腫瘍に対する外科的根治手術 抗癌剤などの治療の向上により癌患者の延命が図られるようになった しかし白金製剤を中心とする抗癌剤の後期副作用として 心血管疾患罹患リスクとの関係を示唆する様々な臨床報告がある中 そのメカニズムは不明であった 本研究は婦人科悪性腫瘍に対する Paclitaxel-Carboplatin 併用療法 (TC 療法 ) 誘発性の血管内皮障害の原因究明と予防法について検討したものである 申請者らは婦人科悪性腫瘍患者 45 例を対象とし TC 療法中に高 TG 血症を来した Elevated TG 群 (2006~2009 年 19 例 ) TC 療法中に高 TG 血症を呈さなかった Stable TG 群 (2006~2012 年 15 例 ) TC 療法中に高 TG 血症を呈し治療期間中にベザフィブラート (Fib) を開始した Fibrate 群 (2009~2012 年 11 例 ) の 3 群に分け 動脈硬化リスク因子 %FMD ペントラキシン 3 について後方視的に比較検討した さらに基礎的検討としてヒト臍帯静脈内皮細胞株を用い 抗癌剤と Fib による NO 産生能への影響と PPARα 活性への影響について検討した TC 療法中に変化のあった脂質プロファイリングは TG のみであり 特に 67.9% の症例で高 TG 血症を認めた TC 療法後の %FMD は全群で有意に低下したが Fibrate 群は他の 2 群に比べ低下が有意に穏やかであった TC 療法前後の血清ペントラキシン 3 は全群で有意に上昇したが 上昇率は Fibrate 群が有意に低かった TC 療法前後の %FMD の低下率とペントラキシン 3 の上昇率の関係は負の相関を認めた 基礎的検討では TC 療法は血管内皮細胞局所での PPAR 抑制作用を有した Fib の前投与により Carboplatin Paclitaxel による NO 産生抑制と Carboplatin による PPAR 抑制が有意に改善した 本研究で TC 療法は血管内皮細胞への直接作用 PPAR 抑制を介した作用 TG 上昇を介した作用 以上 3 つのメカニズムにより内皮細胞障害を引き起こすことを示唆し Fib の内服はそれらを予防する可能性があることを初めて示した 今後のランダム化比較試験と 婦人科悪性腫瘍治療患者の長期的な動脈硬化性疾患の追跡報告が Fib による予防効果の評価のために期待される 以上により 本論文は本学大学院学則第 11 条第 1 項に定めるところの博士 ( 医学 ) の学位を授与するに値するものと認める - 4 -

( 主論文公表誌 ) International Journal of Clinical Oncology 2014 Dec 26. doi: 10.1007/s10147-014-0779-y <オンライン掲載 > In press - 5 -