化学 Ⅰ- 表紙 平成 31 年度神戸大学大学院理学研究科化学専攻入学試験 化学 Ⅰ 試験時間 10:30-11:30(60 分 ) 表紙を除いて 7 ページあります 問題 [Ⅰ]~ 問題 [Ⅵ] の中から 4 題を選択して 解答しなさい 各ページ下端にある 選択する 選択しない のうち 該当する方を丸で囲みなさい 各ページに ( 用紙上端 ) と ( 用紙下端 ) を記入しなさい を誤って記入すると採点の対象とならないことがあります この表紙の裏面を下書き用紙として使いなさい
化学 Ⅰ-1 この線より下にを書いてはいけません [Ⅰ] 以下の問いに答えなさい 問 1. 下表は, 元素 X,Y,Z について, 原子番号, 周期, 族, ブロックをまとめたものである (1) 空欄を埋めなさい 元素 原子番号 周期 族 ブロック X 3 14 Y 20 Z 24 (2) 例にならって,X,Y,Z の基底状態の電子配置を書きなさい 例 : 1s 2 2s 2 2p 6 3s 2 3p 4 ( 注 : 左から右に軌道のエネルギーが高くなるように ) X の電子配置 : Y の電子配置 : Z の電子配置 : 問 2.3s 軌道,3px 軌道,3dx 2 y 2 軌道の xy 平面での断面を描きなさい 波動関数の位相の正負が区 別できるように描くこと 3s 3px 3dx 2 y 2 y y y x x x 問 3. 次のイオン化過程に伴って結合距離は長くなるか, 短くなるか, 分子軌道の観点から説明しな さい (1) N 2 N 2 + + e (2) O 2 + e O 2 化学 Ⅰ-1 選択する 選択しない
化学 I-2 この線より下にを書いてはいけません [Ⅱ] 以下の問いに答えなさい 問 1. 断熱材で囲まれた容積 V A の容器を仕切りで V B と V A V B の容積に分割し, 容積 V B の方にのみ温度 T の理想気体を n mol だけ入れ, 他方は真空にしておく 以下の (1) および (2) について答えなさい 解答だけでなく, 求める過程も説明しなさい 必要なら気体定数を R として用いなさい (1) 仕切りを取り除いた後の状態変化による内部エネルギー変化がゼロであることを示しなさい (2) 仕切りを取り除いた後の状態変化によるエントロピー変化を V A および V B を用いて式で表しなさ い 問 2. 温度 298 K におけるアンモニア NH 3 ( 気体 ) の標準生成ギブズエネルギーを有効数字 3 桁 で求めなさい 必要に応じて 298 K における以下の値を用いなさい N 2 ( 気体 ) の標準エントロピー H 2 ( 気体 ) の標準エントロピー NH 3 ( 気体 ) の標準エントロピー NH 3 ( 気体 ) の標準生成エンタルピー 191.61 J K 1 mol 1 130.68 J K 1 mol 1 192.45 J K 1 mol 1 46.11 kj mol 1 化学 I-2 選択する 選択しない
化学 Ⅰ-3 この線より下にを書いてはいけません [III] 以下の問いに答えなさい 問 1.1,2- ジクロロエタン (ClCH2CH2Cl) の回転角とエネルギーの関係図における (1) (4) 点は, a d のいずれの配座に相当するか, 記号で答えなさい (1) (2) (3) (4) 問 2.(1) および (2) の化合物群について, それぞれ指定された結合の結合距離を比較する 結合距離 が長い順になるよう化合物を並べなさい 解答は記号で記入すること (1) > > (2) > 問 3 は次のページに続く 化学 Ⅰ-3 選択する 選択しない
化学 Ⅰ-4 この線より下にを書いてはいけません 問 3. 次の (1) と (2) の反応における生成物とそれぞれの反応機構を示しなさい 化学 Ⅰ-4
化学 Ⅰ-5 この線より下にを書いてはいけません [IV] 以下の文章を読んで, 問 1 4 に答えなさい ただし, すべての溶質の活量係数は 1 とし, 濃度を用いて計算してよい ph 指示薬のフェノールレッド (PR) の吸収スペクトルの ph 変化を右図に示す 480 nm 付近に,pH を変化させても 吸光度が変化しない a が観察された このこと は, 計測した ph 領域において b で あることを示唆している ここで,PR が酸型 HX の酸解離平衡 (HX X + H + ) を示すと考えると, ある波長での吸光度 A は c の 法則により次式で与えられる A = d ただし,ε!" および ε!! はそれぞれ HX と X のモル吸光係 数 ( 単位 :M 1 cm 1 ), HX および X! はモル濃度を示す なお, 光路長は 1 cm とした さらに,c = HX + X!,HX の分率を α = HX /c とすると,A は次式で与えられる A = e この式が示すように,pH が変化して α が変わっても,ε!" = ε!! が成り立つ a の 波長では吸光度は ph によらず一定値となる 問 1. 空欄 a および c に当てはまる語句を答えなさい a c 問 2. 空欄 b に当てはまる文言を答えなさい 問 3. 空欄 d および e に当てはまる数式を答えなさい d e 問 4. 波長 550 nm において,pH 13 と ph 3 での吸光度は, それぞれ 1.0 と 0.0 であった この結果と ph 8.0 での吸光度 (A = 0.60) を用いて,PR の酸解離指数 (pk a ) の値を求めなさい ただし,pH 13 で PR は完全解離とみなしてよい 化学 Ⅰ-5 選択する 選択しない
化学 Ⅰ-6 この線より下にを書いてはいけません [Ⅴ] 以下の問いに答えなさい 問 1. 質量 m の粒子が右図に示す2 次元の長方形 ( 辺の長さの比が 2:1) の井戸に閉じ込められている 点線はエネルギー固有状態の節を表す 状態 (a)~(f) をエネルギーの低い順に解答欄に並べなさい 複数の状態が同じエネルギーを持つ場合はその旨を記すこと 解答欄低い ( エネルギー ) 高い 問 2. 以下の (1)~(9) の各記述の中で, 下線部に誤っている記述があったら例にならって訂正し, 下線部に誤りが無い場合は 無し と解答欄に記入しなさい ( 例 ) ナフタレン分子は炭素原子 10 個と水素原子 10 個からなる 答 ) 炭素原子 10 個と水素原子 8 個 (1) ポテンシャルの無い1 次元の自由粒子のエネルギー準位 ( ただし, エネルギー >0) は縮退している (2)1 次元のポテンシャルの井戸に閉じ込められた粒子の準位のエネルギーは 量子数に比例して増加する (3)1 次元のポテンシャルの井戸に閉じ込められた粒子の零点エネルギーは, 井戸の幅に比例して高くなる (4) 調和ポテンシャルに閉じ込められた粒子の零点エネルギーはバネ定数に比例して増加する (5) 半径 R の円周上に閉じ込められた粒子 ( 質量 m ) の零点エネルギーは零である (6) 水素分子イオン ( 気相 ) の内部エネルギーは電子の運動のみで決まる (7) メチル基の CH 伸縮振動と CH 変角振動を比較すると, 変角振動の方が振動周波数が高い (8) 水分子同士の分子間振動と水分子の分子内振動を比較すると, 分子間振動の方が振動周波数が高い (9)1,1- ジクロロエチレン分子の基準振動の数は 13 である 化学 Ⅰ-6 選択する 選択しない
化学 Ⅰ-7 この線より下にを書いてはいけません [Ⅵ] 以下の問いに答えなさい 問 1. 以下の (1) ~ (6) の各記述の中で, 下線部に誤りがあれば解答欄に訂正し, 誤りがない場合は なし と記入しなさい (1) 核酸は, ヌクレオチドがつながったポリマーであり,pH 7 において多価陽イオンとなる (2) ph 7 において負電荷の側鎖をもつアミノ酸は, ヒスチジンとグルタミン酸である (3) タンパク質のアミノ酸配列は, 一次構造と呼ばれる (4) 開環形の D- グルコースは, 含まれる炭素原子のうち 3 つがキラル中心である (5) グリセロリン脂質は, グリセロール 3- リン酸の C1 位と C2 位に脂肪酸がエーテル結合した基礎 構造を持つ (6) 解糖系において, グルコース 1 分子がピルビン酸に変化するまでに正味生成するアデノシン三リ ン酸は 4 分子である 問 2. 以下の語句について説明しなさい (1) 酵素 (2) セントラルドグマ 化学 Ⅰ-7 選択する 選択しない