トラックドライバー不足が東北地域の物流に及ぼす影響の検討 資料(案)

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数値目標 事業開始前 ( 現時点 ) 平成 28 年度 (1 年目 ) 平成 29 年度 (2 年目 ) 平成 30 年度 (3 年目 ) 港湾取扱貨物量 556 万トン 4 万トン 0 万トン 20 万トン 観光入込客数 2,899.4 万人回 -9.5 万人回 1.9 万人回 1.9 万人回 7

目次 1. 大阪港の概要 1 大阪港の概要 大阪港の位置 大阪港の取扱貨物量 外貿コンテナ貨物の取扱状況 大阪港の再編計画 2. 対象事業の概要 5 整備目的 事業の主な経緯 整備対象施設の概要 事後評価に至る経緯 3. 費用対効果分析 7 便益項目の抽出 需要の推計 便益計測 荷主の輸送コストの削

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平成20年度国家予算

FRI フォーラム 99 物流業における規制緩和と その効果 1999 年 11 月 26 日 富士通総研経済研究所 木村達也

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資料 2-2(1) 小樽港本港地区 臨港道路整備事業 再評価原案準備書説明資料 平成 21 年度北海道開発局

政府による緊急物資等の輸送実績 震災後 トラック 鉄道 海運 航空の各モードにより 緊急物資等の輸送を実施 食料品 トラック 鉄道 海運 航空 累計 累計 累計 累計 1,897.7 万食 コ 118 個 飲料水 万本 コ 114 個 毛布 45.8 万枚 コ 33 個 燃料油 177,

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内航海運の現状 内航海運は 国内貨物輸送全体の 44% 産業基礎物資輸送の約 8 割を担う我が国の国民生活や経済活動を支える基幹的輸送インフラである 一方 産業基礎物資輸送が輸送需要の大宗を占めることから 国内需要の縮小 国際競争の進展等により 内航貨物全体の輸送量はピーク時に比べ 27%( 輸送ト

日本海側拠点港の対象 < 対象港湾 > 日本海側に存在する国際拠点港湾及び重要港湾 26 港 < 対象機能 > 1. 輸送モード 国際海上コンテナ 国際フェリー 国際 RORO 船 外航クルーズ( 定点クルーズ 背後観光地クルーズ ) 国際定期旅客 2. 貨物 原木 その他の貨物 資料 : 国土交通

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1 日本再興戦略 2016 改革 2020 隊列走行の実現 隊列走行活用事業モデルの明確化ニーズの明確化 ( 実施場所 事業性等 ) 技術開発 実証 制度 事業環境検討プロジェクト工程表技高齢者等の移動手段の確保 ( ラストワンマイル自動走行 ) 事業モデルの明確化 ( 実施主体 場所 事業性等 )

状7号線東京区部南西部 川崎市域の状況 立川広域防災拠点 東京外かく環状道路 ( 関越 ~ 東名 ) 事業中 東京都環大橋 JCT 中央環状品川線 H 開通 基幹的広域防災拠点 N 東京外かく環状道路 ( 東名高速 ~ 湾岸道路間 ) 神奈川県 川崎市第三京浜道路1 15 大師 JCT

01-1_添書(日付入)

資料 6 平成 29 年度 荷主実態調査 報告書 ( 速報版 ) 平成 30 年 2 月 国土交通省東北運輸局

21m 車両の検証項目 ダブル連結トラック実験 高速道路 3 交通流への影響 4 道路構造への影響 合流部 : 本線 合流部 : ランプ 追越時 車線変更部 検証項目 分析視点 データ等 1 省人化 同一量輸送時のドライバー数 乗務記録表 環境負荷 同一量輸送時のCO2 排出量 2 走行 カーブ (

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目次 1. 事業概要 (1) 新潟港の概要 1 (2) 事業の目的 2 (3) 整備内容 3 2. 事業の効果の発現状況 (1) 便益の抽出 4 (2) 便益計測の考え方 5 (3) その他の効果 8 (4) 費用便益分析結果 9 3. 社会経済情勢の変化 事後評価結果 対応

で 四国南西部の 防災拠点港 に位置づけられており 災害時の復旧活動や復興活動において 海上輸送による十分な機能が発揮できるよう求められている 大島漁港においても 離島における基地港としての施設整備が必要不可欠である このような背景から地域再生計画においては 八幡浜港と大島漁港を安全 安心な港に整備

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道路建設事業の再評価項目調書 とのみ 事業名 一般国道 2 号 富海拡幅 事業 一般国道 事業 国土交通省 区分 主体 中国地方整備局 やまぐちしゆうなんへた 起終点自 : 山口県周南市戸田延長 3.6km 事業概要 やまぐちほうふとのみ 至 : 山口県防府市富海 おおさか きたきゅうしゅう 一般国

2003年5月2日

調査の目的 概要 1. 調査の目的 南海トラフ巨大地震の発生時にも円滑に支援物資輸送を行うため 中国 四国 九州地域における広域連携を通じ 鉄道 海運 ( 船舶 ) トラックなど多様な輸送モードの活用による支援物資物流システムの構築を目的として行ったもの 国 ( 中国 四国 九州の各運輸局 ) が主

大型建設機械の輸送に係る規制について

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資料3-4

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< 海外事情調査 > フィリピン国機動性向上のための RRTS 開発実行可能性調査を終えて 2006 年 8 月より 2007 年 11 月に至る 1 年 4 ヶ月の間 ( 独 ) 国際協力機構開発調査 フィリピン国機動性向上のための RRTS 開発実行可能性調査 ( 団長 : 岡田靖夫顧問 ) が


お客様各位 2018 年 6 月 14 日 井本商運株式会社代表取締役社長井本隆之 東京 / 横浜 - 神戸 - 門司 / 博多航路 増便 神戸 - 名古屋 / 四日市航路 新設のご案内 初夏の候 貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます 平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます さて こ

東南アジア航路 韓中航路 日韓航路等において スペース交換 航路の合理化 新航路の共同開設などについて加盟船社同士が協調することで 競争力の回復を図ることを目的としている KSP は 2017 年 11 月の第 1 弾では東南アジア航路で 3 隻 釜山 - 博多 門司航路で 4 隻の撤退 2018

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水素供給設備整備事業費補助金平成 28 年度概算要求額 62.0 億円 ( 新規 ) 省エネルギー 新エネルギー部燃料電池推進室 事業の内容 事業イメージ 事業目的 概要 燃料電池自動車 (FCV) は 水素を燃料とする自動車で 内外の自動車メーカーによって 開発競争が進め

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道路を賢く使う取組 IT を活用した 賢い物流管理 について ETC2.0 で物流効率化 WIM で過積載の取締強化 深刻なドライバー不足が進行 30~39 歳 22% 30 歳未満 9% 40~49 歳 32% 50 歳以上 37% 物流効率化 トラックドライバーの 約 4 割が 50 歳以上 一

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輸送量 (kg) 海上分担率 図 1 に 07~14 年の日本発米国向けトランジスタ輸送の海上 航空輸送量と海上分担 率の推移を示す 800, , , , , , , ,

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通話品質 KDDI(au) N 満足やや満足 ソフトバンクモバイル N 満足やや満足 全体 21, 全体 18, 全体 15, NTTドコモ

8. ピンポイント渋滞対策について 資料 8

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高速道路ネットワークの拡大 本四架橋の沿革 1945( 昭和 2) 年 11 月瀬戸内海汽船 第十東予丸 事故 1945( 昭和 2) 年 12 月播淡汽船 せきれい丸 事故 1955( 昭和 3) 年 5 月宇高連絡船 紫雲丸 事故 197( 昭和 45) 年 7 月本州四国連絡橋公団設立 ( 本

( 図表 1) 特別養護老人ホームの平米単価の推移 ( 平均 ) n=1,836 全国東北 3 県 注 1) 平米単価は建築工事請負金額および設計監

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別紙 1 ワイヤロープの今後の設置予定について H ワイヤロープの技術的検証結果 ( 第 3 回検討会 ) 土工区間については 技術的に実用化可能 中小橋については 試行設置箇所を拡大し 実用化に向けた取組みを進める 長大橋 トンネル区間については 公募選定技術の性能検証を引き続き進め


トラック運送事業の経営実態 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 2,188 社 ( 有効数 ) の平成 25 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 25 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の

30.3 福島労働局有効求職有効求人有効求人倍率職業別 ( 常用計 ) 計一般パート計一般パート計一般パート 職業計 29,424 21,042 8,382 39,498 28,229 11, A 管理的職業

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ヘッドライトに関するアンケート調査結果|2014年9月

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率 九州 ( 工 -エネルギー科学) 新潟 ( 工 - 力学 ) 神戸 ( 海事科学 ) 60.0 ( 工 - 化学材料 ) 岡山 ( 工 - 機械システム系 ) 北海道 ( 総合理系 - 化学重点 ) 57.5 名古屋工業 ( 工 - 電気 機械工 ) 首都大学東京

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パイロット事業の取組課題と取組内容 (1) 取組課題 1 集荷 配送の経路等の見直しによる全体の拘束時間の削減 取組内容 ストックポイントの設定 倉庫の集約 集荷 配送外部委託の活用など 発荷主側又は着荷主側での集荷 荷卸しの箇所数の削減 ( 山形 静岡 奈良 愛媛 福岡 熊本 ) 集荷と長距離輸送

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交通インフラのストロー効果と地域間格差

海洋教育プログラム 中学校学習指導案例 [1]-2 中学校地理的分野学習指導案 小単元 : 世界と日本の結び付き ( 配当 2 時間 ) 日本各地を結ぶ交通 通信 (2/2) 評価規準の例 * は学習指導要領との関連 指導目標社会的事象への関心 意欲 態度 * 世界的視野から日本と世界との交通 通信

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次世代環境型21mフルトレーラーの 導入によるCO2削減について

年齢 年齢 1. 柏 2. 名古屋 3. G 大阪 4. 仙台 5. 横浜 FM 6. 鹿島 -19 歳 0 0.0% 0 0.0% 2 2.7% 1 1.4% 3 4.0% 3 4.6% 歳 4 5.0% 5 6.7% 7 9.6% 2 2.7% 2 2.7% % 25-2

2) 豊予海峡ルートの必要性 意義こうした国土形成の視点から豊予海峡ルートの必要性 意義としては 新たな地域拠点の形成や広域防災 広域観光 産業連携 定住促進等の面で大きな波及効果が期待される 特に 九州と四国とを結ぶ国際的な特色のある観光軸の形成によるインバウンド観光客の増加等は ゼロサムではない

先ほどトラックの運転者の高齢化が進んでいるというお話がありましたが 高齢者のドライバーが退職した後には若いドライバーを確保しなければなりませんが それが十分にできていないという状況が続いているということです 輸送量と輸送力の需給バランスは輸送力の方が大きい時代が続いていましたが 直近では その需給バ

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圏央道の開通がもたらす沿線経済圏の成立と立地環境の変化

国土交通省中部地方整備局三重河川国道事務所地域の明日へ 地域とともに 平成 30 年 12 月 20 日 23 ちゅうせいどうろすずかつ国道 23 号中勢道路 ( 鈴鹿 津工区 ) 平成 31 年 2 月 17 日 ( 日 ) に開通します 1. 概要 すずかみそのちょうつかわげちょうみゆき 開通区

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MRIニュース | スマート・ロジスティクス研究会 企画提案書

重工業から農林漁業まで 幅広い産業を支えた動力機関発達の歩みを物語る近代化産業遺産群 *

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資料 -6 東北地域における物流環境変化への対応検討 トラックドライバー不足が東北地域の物流に及ぼす影響の検討 平成 29 年 3 月 27 日 1

1. トラックドライバー不足の検討に至る経緯 トラックドライバーの取り巻く情勢 トラック業界においては 平成 2 年の規制緩和により新規参入が増大 以降長年にわたる供給過多により競争が激化 安全 環境問題への規制強化とこれによる輸送料金の増加など 物流事業者の経営悪化 ( ドライバー賃金の低水準化 ) これによりトラックドライバーの担い手が不足することが産業界で懸念されるようになる 検討内容 ドライバー不足が東北地域の物流に どのような影響をもたらすかを検討する ちなみに既往調査などでは地域別の影響を考察したものは少ない 2

2. トラックドライバー数の推移と国内貨物輸送について ドライバー数 ( 全国 )( 万人 ) ドライバー数 ( 東北 )( 千人 ) トラックドライバー数の推移 平成 2 年の規制緩和により新規事業者が増えたため 平成 12 年まではトラックドライバー数が増加している 平成 12 年以降は 物流事業者などの収益性の低下および厳しい労働環境からトラックドライバー数が減少している 国内貨物輸送( トンキロ ) の推移 平成 12 年以降はトラックドライバー数が減少傾向にあるが 国内貨物輸送トンキロ ( 自動車 ) は平成 19 年度まで増加している 自動車輸送の大型化および長距離化が進展 平成 22 年度以降は復興需要などにより建設関連貨物の輸送量が増加した 建設関連貨物を輸送するダンプトラック ( 自動車 ) は輸送距離が短くトンキロベースで減少傾向となったが 輸送距離が長い海運ではトンキロベースが増加傾向を示した 長距離輸送における海上輸送の優位性発揮 120 100 80 70,749 84,434 98,650 100,630 90,329 82,560 120 100 80 ( 億トンキロ ) 4000 3500 3000 2500 2000 1500 1000 鉄道海運自動車航空 500 60 40 20 0 979,996 973,442 881,348 838,269 725,760 784,200 昭和 60 年 平成 2 年 平成 7 年 平成 12 年 平成 17 年 平成 22 年 全国 ( 左軸 ) 東北 ( 右軸 ) 図 1 東北地域におけるドライバー数の推移 60 40 20 0 0 S35 40 45 50 55 60 H3 8 10 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 (%) 国内貨物輸送機関分担率 ( トンキロベース ) ( 年度 ) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 図 2 国内貨物輸送トンキロの推移 S35 40 45 50 55 60 H3 8 10 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 ( 年度 ) 自動車鉄道航空海運 図 3 国内貨物輸送機関分担率 ( トンキロベース ) 3

3. ドライバー不足の現状把握 ( 運送事業者へのヒアリング ) 各県におけるトラック事業者へのヒアリング結果 対象者 東北 7 県のトラック運送事業者 (7 者 ) トラック事業者からの主な意見 荷主の輸送オファーをお断りせざるを得ない場面も発生しており 現状において飽和状態にあると言える 雇用延長しているベテラン世代は今後 5 年以内にほぼ退職してしまうため 若年ドライバーが確保できなければ 日帰り困難な 300km を超える長距離輸送において支障を来す 300km を超える長距離輸送において スピードの要求される貨物 ( 農産品 ) はトラック輸送から他モードへシフトさせにくく ドライバー不足の影響を最も受けやすい 復興工事関係の運賃収入が良いため 工事用ダンプトラックにドライバーが流れている ( 東北地域におけるドライバー不足の要因 ) ハローワークや求人誌などに求人情報を載せても問合せが殆どない状況である 運送会社の中で大型免許を持っている事務員を乗務させたり ベテランドライバーを 65 歳まで雇用延長するなどの事例あり 4

4. トラックドライバー需給の将来予測 トラックドライバー ( 大型自動車 ) の供給量は 2015 年から 2025 年までに 2 割ほど減少する予測となっている 全体に対する 50 歳以上のトラックドライバーの割合は 2015 年から 2025 年までに 17% 増加する予測となっている 需要量と供給量を比較すると 2020 年までに需要量に対して 1 割のドライバーの供給量が不足する予測となっている 労働力確保と輸送の効率化に向けた対策は喫緊の課題と推測する トラックドライバー ( 大型自動車 ) 供給量の将来予測 (2015 年 ) 合計人数 :367,897 :357,897 人 2% 2015 年 2025 年 65 歳以上 60~64 歳 55~59 歳 50~54 歳 45~49 歳 40~44 歳 35~39 歳 30~34 歳 25~29 歳 0% 2% 7% 10% 14% 15% 16% 16% 50 歳以上全体の 47% 18% 20~24 歳 ( 人 ) 0 20,000 40,000 60,000 80,000 65 歳以上 60~64 歳 55~59 歳 50~54 歳 45~49 歳 40~44 歳 35~39 歳 30~34 歳 25~29 歳 20~24 歳 トラックドライバー ( 大型自動車 ) 供給量の将来予測 2 割減 (2025 年 ) 合計人数 :287,396 人 2% 0% 1% 5% 10% 9% 11% 19% 18% 25% ( 人 ) 0 20,000 40,000 60,000 80,000 図 4 トラックドライバー ( 大型自動車 ) 供給量の将来予測 (2015 年 ) 図 5 トラックドライバー ( 大型自動車 ) 供給量の将来予測 (2025 年 ) 表 1 トラックドライバー数の過不足 2010 年度 2020 年度 2030 年度 需要量 993,765 人 1,030,413 人 958,443 人 供給量 964,647 人 924,202 人 872,497 人 過不足 29,118 人 (2.9%) 106,211 人 (10.3%) 85,946 人 (9.0%) 50 歳以上全体の 64% 出典 : 公益社団法人鉄道貨物協会 平成 25 年度本部委員会報告書 5

5. ドライバー不足における輸送の効率化への取組について トラックトライバー不足における輸送を効率化するための各機関の取組については以下の通り 分類内容 隊列走行主体 : 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 (NEDO) トラックを隊列走行することにより走行中の空気抵抗低減による車両の省エネ化と交通流改善による渋滞の低減を実現する ダブル連結トラック主体 : 国土交通省道路局 1 台で通常の大型トラック2 台分の輸送が可能な ダブル連結トラック の導入を目指す 陸上輸送 中継輸送実験主体 : 国土交通省道路局 高速道路のSA PAを活用した中継輸送実験 ( 群馬県 - 三重県への輸送の中継地である清水 PAでドライバーを交代 ) 中継輸送施設整備 輸送の効率化のために ターミナル機能や中継輸送のハブ機能を持った物流施設の整備 高速道路整備 東日本大震災からの復興のため 三陸道路などの高規格道路整備が進展 コンテナラウンドユース 輸入に用いた後の空コンテナを港湾に戻さず輸出に転用するもので 輸入者から輸出者に直接輸送したりすることで 空コンテナ輸送を削減する仕組み 海上輸送 新規航路開設 ( モーダルシフト ) 主体 : 川崎近海汽船株式会社 宮古- 室蘭航路の開設フェリー航路の開設 ( 予定 ) 大分- 清水航路開設 RORO 船航路の開設 コンテナヤード整備 計画 東北各港湾( 仙台塩釜港 小名浜港 酒田港 釜石港 ) のコンテナ取扱量が過去最高 仙台塩釜港 八戸港 酒田港などのコンテナヤードの拡張整備 計画 モーダルシフト RORO 船による農産品輸送実証実験 主体 : 青森県 鉄道輸送 モーダルシフト キリンビールとアサヒビールの製品共同輸送 キャノンとダイキン工業の共同輸送 ネスレ日本の鉄道輸送量を2 倍に増加 6

6. 輸送効率化に向けた東北での取組事例 ( 自動車輸送 ) 近物レックス 平成 28 年 12 月に東北エリアの拠点ターミナルとなる福島県本宮市に開設 ( 東北自動車道 本宮 IC から約 3km に位置し 国道 4 号線にも近接する好立地条件 ) 幹線輸送のためのターミナル機能と 首都圏への輸送のハブ機能を担う 日本梱包運輸倉庫 平成 28 年 3 月に岩手県北上市に北上営業所を開設 ( 東北自動車道 北上金ヶ崎 IC から約 3km に位置し 国道 4 号線にも近接する好立地条件 ) 自動車関連 農業機械などの保管 加工 輸送などを行い 全国配送の拠点となる 輸送効率化のために全国導入しているフルトレーラ ( 全長 21m) の拠点ターミナルとしても位置づけられる 北上 JCT 図 6 近物レックス ( 株 ) 出典 : 物流ニッポン 2016 年 7 月 11 日付 郡山 JCT 図 7 日本梱包運輸倉庫 ( 株 ) 出典 : 日本梱包運輸倉庫 ( 株 ) HP より 出典 :JAF HP より 7

7. 輸送効率化に向けた取組事例 ( 海上輸送 ) 新規内航航路開設 2016 年 10 月 川崎近海汽船 はトラックドライバー不足への対応等として 大分港と清水港を結ぶ新規の内航 RORO 船航路を就航させた 新規フェリー航路開設 ( 予定 ) 川崎近海汽船 は 2018 年 6 月を目途に室蘭港と宮古港を結ぶ新規のフェリー航路を就航させることを 2016 年 3 月に発表した 室蘭 北王丸 (RORO 船 ) 出典 : 川崎近海汽船 HP より 清水 宮古 シルバークイーン ( フェリー ) 出典 : シルバーフェリー HP より 大分 室蘭 - 宮古フェリー航路選定理由 1 整備が進められている三陸沿岸道路 宮古盛岡横断道路の早期開通により 宮古港から岩手県各地 仙台 首都圏等へのアクセスが向上 2 トラック事業者からドライバーがフェリー乗船中に充分な休息がとれるよう 10 時間で結ぶ新たな航路開設の要望あり 宮古港 ~ 室蘭港は航海時間が 10 時間 1 日 1 往復が可能な最適航路 3 宮古港 室蘭港とも近隣に国立公園など観光資源が非常に豊富で旅客需要が期待 図 8 九州 東京の場合の輸送ルート比較 出典 : 川崎近海汽船 HP より 8

8. 海上コンテナの陸上輸送における物流効率化の提案 コンテナ取扱量の増加が進展している東北港湾においては 港湾周辺道路における交通渋滞の発生が懸念される 交通渋滞によりトラックドライバーの拘束や物流の停滞などが引き起こされる 海上コンテナの陸上輸送の更なる効率化を進めるために 近年各地域で取り組まれているコンテナラウンドユース ( 以後 CRU) について 東北地域への展開の可能性を検討したい CRU とは輸入に用いた後の空コンテナを港に戻さず輸出に転用するもので 輸入者から輸出者に直接輸送したり 近隣のインランドコンテナデポ ( 以降 ICD) を活用したりすることによって 空コンテナ輸送を削減する仕組みのこと 通常の海上コンテナ輸送 実入りコンテナ 空コンテナ 輸入者 CRU 実施後の海上コンテナ輸送 ( 例 ) 実入りコンテナ 輸入者 CRU の先進事例 つくば ( 茨城県 ) における CRU 連絡先 : みなと運送 宇都宮 ( 栃木県 ) における CRU 連絡先 : 宇都宮国際貨物ターミナル 太田市に及びその周辺地域 ( 群馬県 ) における CRU 連絡先 : 太田国際貨物ターミナル 港 港 港 内陸間の空コンテナ輸送を削減 空コンテナ 伏見 ( 京都府 ) における CRU 連絡先 : 郵船港運 空コンテナ 実入りコンテナ 輸出者 実入りコンテナ 輸出者 白河 ( 福島県 ) における CRU 連絡先 : 日本通運郡山支店 野州 ( 滋賀県 ) における CRU 連絡先 : 日本通運大津支店 図 9 コンテナラウンドユース (CRU) のイメージ図出典 : コンテナラウンドユース推進の手引きより 出典 : コンテナラウンドユース推進の手引きより 9

参考 CRU 先進事例 太田国際貨物ターミナル (OICT) 宇都宮国際貨物ターミナル (UICT) 阪神インランドコンテナデポ滋賀みなくち (ICD) みなと運送株式会社つくば支店 出典 : コンテナラウンドユースの実態調査とモデル作成 の資料に基づき 最新情報を追加して作成 10