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3 第 2 章フーリエ級数 23 フーリエ級数展開 これまで 関数 f(x) のフーリエ級数展開に関して 関数の定義区間やフーリエ級数の積分区間を断りなく [, ] に取ってきました これは フーリエ級数を構成する三角関数が基本周期 2 を持つためです すなわち フーリエ級数の各項 cos nx および sin nx (n =1, 2, 3, 4, ) の周期は それぞれ 2, 2 2, 2 3, 2 4, となり 図 21 のように 2 の幅の区間にそれぞれ 1 回転分,2 回転分,3 回転分, の波形を含みます したがって これらの総和 ( フーリエ級数 ) は周期 2 を持つことになり もし 関数 f(x) が周期 2 を持てば 区間 [, ] についてフーリエ級数展開するだけで全区間をフーリエ級数で表現したことになります cos nx sin nx n =1 n =2 n =3 n =4 f(x) 図 21: 周期 2 を持つ関数 f(x) のフーリエ級数

23 フーリエ級数展開 31 一般には 周期 2 を持つ関数 f(x) をフーリエ級数展開するには 積分区間を [a, a +2] にとって フーリエ係数 a n Z a+2 a を求めればよいことがわかります 4 f(x)cosnx dx および b n Z a+2 a f(x)sinnx dx 231 周期 2 を持つ関数のフーリエ級数展開 前述の考察より 周期 2 を持つ ( 周期 ) 関数 f(x) のフーリエ級数を以下のように改めましょう 定理 25 周期 2 を持つ関数 f(x) のフーリエ級数は である ただし をフーリエ係数とする f(x) ~ a (a n cos nx + b n sin nx) a b f(x)cosx dx ( =, 1, 2, ), f(x)sinx dx ( =1, 2, 3, ) 例として 周期 2 を持つ関数 ( x<), f(x) = x ( x<) をフーリエ級数展開して フーリエ級数を求めてみましょう 参考までに 関数 f(x) のグラフは下図のようになります なお このような波形を三角波またはのこぎり波と呼びます 4 書籍によっては積分区間を [, 2] とするものもありますが 本テキストでは断りのない限り [, ] を使用することにします

32 第 2 章フーリエ級数 フーリエ級数を求めるには フーリエ係数を求めればよいので 以下のように計算します a a x f(x) dx =( ) 1 f(x)cosx dx sin x 1 1 cos x xdx x2 = 2 2 x cos x dx ( =1, 2, 3, ) sin x dx ( sin =) = 1 2 ( cos ( 1)) = +1 ( 1) 2 = 1+( 1) 1 2 ( cos =( 1) ) b x f(x)sinx dx cos x 1 1 µ cos µ cos x sin x dx ( =1, 2, 3, ) cos x dx 1 sin x ( ) ( sin =) = ( 1) ( cos =( 1) ) = ( 1) 1 以上より 周期 2 を持つ関数 f(x) のフーリエ級数は f(x) ~ 4 + X µ 1+( 1)n 1 n 2 cos nx + ( 1)n 1 n sin nx となります ついでですから グラフを描くことで フーリエ級数の部分和 S (x) = X µ 4 + 1+( 1)n 1 n 2 cos nx + ( 1)n 1 sin nx n が関数 f(x) に収束していく様子を観察しておきましょう ( 図 22)

23 フーリエ級数展開 33 S (x) S 1 (x) S 2 (x) S 3 (x) S 1 (x) S 1 (x) 図 22: フーリエ級数が収束していく様子

34 第 2 章フーリエ級数 なお 図 22 の S 1 (x) の青丸 と赤丸 の部分を拡大すると図 23 のようになっており これはギブスの現象と呼ばれています この現象は極限をとることで消えて 関数 f(x) に収束します 図 23: ギブスの現象 また 三角関数によるフーリエ級数と同様に 指数関数によるフーリエ級数で求めることもできます 指数関数によるフーリエ係数を求めると c = 1 2 f(x) dx = 1 2 xdx= 1 2 x2 = 2 4, c = 1 f(x) e ix dx = 1 xe ix dx ( =1, 2, 3, ) 2 2 = 1 1 2 i xe ix 1 e ix dx 2 = 1 µ 1 2 i e i 1 1 2 i e ix = 1 µ 1 2 i e i 1 µ 1 µ 2 i e i 1 i 1 ³ = i ( 1) ( 1) +1 ( e i =( 1) ) 2 となり したがって 指数関数によるフーリエ級数は f(x) ~ 4 + + X n= (n6=) 1 i 2n (( 1) ( 1)n +1)e inx dx となります この章では 三角関数によるフーリエ級数を中心に扱いますが 指数関数によるフーリエ級数への対応や複素フーリエ係数の計算もできるようにしておいてください 以後 単にフーリエ級数 フーリエ係数 フーリエ級数展開と記述してある場合は 三角関数によるフーリエ級数 三角関数によるフーリエ係数 三角関数によるフーリエ級数展開を指すことにし 指数関数による場合は 複素を付加して表すことにします

23 フーリエ級数展開 35 ある関数のフーリエ級数展開を求めるには 大量の計算を必要とします そこで 1 つの方法として 関数 f(x) が偶関数 (f( x) =f(x)) の場合と奇関数 (f( x) = f(x)) の場合のフーリエ級数展開を考えましょう まず 偶関数 f(x) の場合のフーリエ級数を求めてみます 偶関数の条件 f( x) =f(x) を考慮して フーリエ係数 a を a Z f(x)cosx dx ( =, 1, 2, ) f(x)cosx dx + 1 f(x)cosx dx と変形します このとき 前項に対して x = t とおいて変数変換すると 1 Z f(x)cosx dx Z f( t)cos( t)( dt) f(t)cost dt となります したがって 改めて t を x と置き換えると フーリエ係数 a は a = 2 となります 同じく フーリエ係数 b を b Z f(x)cosx dx ( =, 1, 2, ) f(x)sinx dx ( =1, 2, 3, ) f(x)sinx dx + 1 f(x)sinx dx と変形します このとき 前項に対して x = t とおいて変数変換すると 1 Z f(x)sinx dx = 1 Z f( t)sin( t)( dt) f(t)sint dt となります したがって 改めて t を x と置き換えると フーリエ係数 b は b = ( =1, 2, 3, ) となります ゆえに 偶関数 f(x) のフーリエ級数は f(x) ~ a (a n cos nx + sin nx) = a a n cos nx となります なお このフーリエ級数はフーリエ余弦級数と呼ばれます 以上をまとめると 次の系を得ます

36 第 2 章フーリエ級数 系 26 周期 2 を持つ偶関数 f(x) のフーリエ余弦級数は である ただし をフーリエ係数とする a = 2 f(x) ~ a a n cos nx f(x)cosx dx ( =, 1, 2, ) 同様に 奇関数 f(x) の場合のフーリエ級数を求めましょう 奇関数の条件 f( x) = f(x) を考慮して フーリエ係数 a を a Z f(x)cosx dx ( =, 1, 2, ) f(x)cosx dx + 1 f(x)cosx dx と変形します このとき 前項に対して x = t とおいて変数変換すると Z 1 f(x)cosx dx = 1 Z f( t)cos( t)( dt) = 1 f(t)cost dt となります したがって 改めて t を x と置き換えると フーリエ係数 a は となります 同じく フーリエ係数 b を b Z a = ( =, 1, 2, ) f(x)sinx dx ( =1, 2, 3, ) f(x)sinx dx + 1 f(x)sinx dx と変形します このとき 前項に対して x = t とおいて変数変換すると Z 1 f(x)sinx dx = 1 Z f( t)sin( t)( dt) f(t)sint dt となります したがって 改めて t を x と置き換えると フーリエ係数 b は b = 2 f(x)sinx dx ( =1, 2, 3, )

23 フーリエ級数展開 37 となります ゆえに 奇関数 f(x) のフーリエ級数は f(x) ~ ( cos nx + b n sin nx) = X b n sin nx となります なお このフーリエ級数はフーリエ正弦級数と呼ばれます 以上をまとめると 次の系を得ます 系 27 周期 2 を持つ奇関数 f(x) のフーリエ正弦級数は f(x) ~ X b n sin nx である ただし b = 2 をフーリエ係数とする f(x)sinx dx ( =1, 2, 3, ) 定理 25 系 26 系 27 をまとめると 下表のようになります フーリエ級数 フーリエ係数 関数 f(x) ~ a (a n cos nx + b n sin nx) a b f(x)cosx dx, f(x)sinx dx 偶関数 f(x) ~ a a n cos nx a = 2 f(x)cosx dx 奇関数 f(x) ~ X b n sin nx b = 2 f(x)sinx dx 表 22: 周期 2 を持つ偶関数および奇関数のフーリエ級数

38 第 2 章フーリエ級数 例題 1 周期 2 を持つ偶関数 x f(x) = x ( x<), ( x<) のフーリエ級数を求めなさい 解答例 偶関数であることに注意すれば フーリエ係数は a = 2 f(x) dx = 2 xdx= 2 x2 =, 2 a = 2 f(x) cosx dx = 2 = 2 sin x x 2 1 =( ) 2 cos x x cos x dx ( =1, 2, 3, ) sin x dx ( sin =) = 2 2 ( cos ( 1)) = 2 ( 1) +1 2 = 2 1+( 1) 1 2 ( cos =( 1) ) となる したがって 周期 2 を持つ偶関数 f(x) のフーリエ余弦級数は となる f(x) ~ 2 + X 2 1+( 1)n 1 n 2 cos nx

23 フーリエ級数展開 39 例題 2 周期 2 を持つ奇関数 f(x) =x ( x<) のフーリエ級数を求めなさい 解答例 奇関数であることに注意すれば フーリエ係数は b = 2 = 2 = 2 = 2 x f(x) sinx dx = 2 cos x 2 1 µ cos µ cos x sin x dx ( =1, 2, 3, ) cos x dx 2 sin x ( ) ( sin =) =2 ( 1) ( cos =( 1) ) =2 ( 1) 1 となる したがって 周期 2 を持つ奇関数 f(x) のフーリエ正弦級数は f(x) ~ X 2 ( 1)n 1 n sin nx となる

4 第 2 章フーリエ級数 232 周期 2L を持つ関数のフーリエ級数展開 これまで 周期関数の中でも周期 2 を持つ特定の周期関数を扱ってきました この節では 周期 2 を持つ周期関数を拡張し 一般的な周期 2L を持つ周期関数のフーリエ級数を導きましょう 周期 2L を持つ関数 f(x) は 関係 を満たします ここで ( 比例 ) 関係 を使って変数変換をすると となり f f(x +2L) =f(x) t = L x x = L t (2L を 2 に伸縮 ) f µ µ L L (t +2) = f t µ L t は周期 2 を持つ周期関数となります したがって f となり フーリエ係数は f µ L t a b ~ a (a n cos nt dt + b n sin nt dt) µ L f t cos t dt ( =, 1, 2, ), µ L f t sin t dt ( =1, 2, 3, ) µ L t のフーリエ級数は となります 以上より t = L x および dt = L dx を使って x の式に戻すと 次の定理を得ます 定理 28 周期 2L を持つ関数 f(x) のフーリエ級数は である ただし をフーリエ係数とする f(x) ~ a ³ a n cos n L x + b n sin n x L a = 1 L b = 1 L Z L L Z L L f(x)cos xdx ( =, 1, 2, ), L f(x)sin xdx ( =1, 2, 3, ) L この定理のフーリエ級数を構成する各項の三角関数は 図 24 のように周期 2 の三角関数を L 倍 に伸縮したものとなっています そのため その総和であるフーリエ級数の周期も 2L µ= L 2 となります ( 図 25)

23 フーリエ級数展開 41 cos nx cos n L x n =1 n =2 n =3 n =4 * 上図は L =2 として cos 関数について比較したものです (sin 関数も同様 ) 図 24: 三角関数と L 倍に伸縮された三角関数の比較 周期 2 周期 2L (L =2) 図 25: 周期 2 のフーリエ級数と L 倍に伸縮されたフーリエ級数の比較

42 第 2 章フーリエ級数 周期 2 を持つ関数のフーリエ級数と同様に 関数が偶関数の場合と奇関数の場合のフーリエ級数を求めると 以下の系が得られます 系 29 周期 2L を持つ偶関数 f(x) のフーリエ余弦級数は である ただし をフーリエ係数とする a = 2 L f(x) ~ a a n cos n L x Z L f(x)cos xdx ( =, 1, 2, ) L 系 21 周期 2L を持つ奇関数 f(x) のフーリエ正弦級数は f(x) ~ X b n sin n L x である ただし b = 2 L をフーリエ係数とする Z L f(x)sin xdx ( =1, 2, 3, ) L 定理 28 系 29 系 21 をまとめると 下表のようになります 関数 フーリエ級数 f(x) ~ a ³ a n cos n L x + b n sin n x L フーリエ係数 a = 1 L b = 1 L Z L L Z L L f(x)cos L xdx, f(x)sin L xdx 偶関数 f(x) ~ a a n cos n L x a = 2 L Z L f(x)cos L xdx 奇関数 f(x) ~ X b n sin n L x b = 2 L Z L f(x)sin L xdx 表 23: 周期 2L を持つ偶関数および奇関数のフーリエ級数

23 フーリエ級数展開 43 例題 1 周期 2(L =1) を持つ関数 ( 1 x<), f(x) = 1 ( x<1) のフーリエ級数を求めなさい 解答例 フーリエ係数を求めると a = 1 1 a = 1 1 Z 1 1 Z 1 1 sin x = b = 1 1 Z 1 1 f(x) dx = Z 1 1 dx = x 1 =1, f(x) cos Z 1 1 xdx= cos xdx ( =1, 2, 3, ) 1 cos x = = =, f(x) sin Z 1 1 xdx= sin xdx ( =1, 2, 3, ) 1 = ( cos ( 1)) = 1 ( 1) ( cos =( 1) ) となる したがって 周期 2 を持つ関数 f(x) のフーリエ級数は となる f(x) ~ 1 1 ( 1) n sin nx n * 上図のような波形を方形波と呼びます

44 第 2 章フーリエ級数 例題 2 周期 2(L =1) を持つ偶関数 f(x) =1( 1 x<1) のフーリエ余弦級数を求めなさい 解答例 偶関数であることに注意すれば フーリエ係数は a = 2 1 Z 1 1 Z 1 f(x) dx =2 Z 1 1 dx =2 x 1 =2, a = 2 f(x) cos Z 1 1 1 1 xdx=2 cos xdx ( =1, 2, 3, ) sin x 1 =2 =2( ) = となる したがって 周期 2 を持つ偶関数 f(x) のフーリエ余弦級数は となる f(x) ~ 1 ( f(x) =1) * 例題 1 と例題 2 は cos 関数を必要としないフーリエ級数の特殊な例です 同様に sin 関数を必要としないフーリエ級数もあります

23 フーリエ級数展開 45 例題 3 周期 4(L =2) を持つ奇関数 2 ( 2 x<), f(x) = 2 ( x<2) のフーリエ級数を求めなさい 解答例 フーリエ係数を求めると b = 2 2 Z 2 2 =2 f(x) sin Z 2 2 xdx= 2sin xdx ( =1, 2, 3, ) 2 = 4(1 ( 1) ) µ cos 2 x 2 = 4 ( cos ( 1)) ( cos =( 1) ) となる したがって 周期 2 を持つ奇関数 f(x) のフーリエ正弦級数は f(x) ~ X 4(1 ( 1) n ) n sin n 2 x となる * 例題 3 のフーリエ級数は 例題 1 のフーリエ級数を 1 2 だけ下に平行移動し 振幅を 4 倍し 周期を 2 倍したフーリエ級数と同じになります