Medical3

Similar documents
Medical3

異文化言語教育評価論 ⅠA 第 4 章分散分析 (3 グループ以上の平均を比較する ) 平成 26 年 5 月 14 日 報告者 :D.M. K.S. 4-1 分散分析とは 検定の多重性 t 検定 2 群の平均値を比較する場合の手法分散分析 3 群以上の平均を比較する場合の手法 t 検定

ANOVA

JMP による 2 群間の比較 SAS Institute Japan 株式会社 JMP ジャパン事業部 2008 年 3 月 JMP で t 検定や Wilcoxon 検定はどのメニューで実行できるのか または検定を行う際の前提条件の評価 ( 正規性 等分散性 ) はどのメニューで実行できるのかと

Chapter カスタムテーブルの概要 カスタムテーブル Custom Tables は 複数の変数に基づいた多重クロス集計テーブルや スケール変数を用いた集計テーブルなど より複雑な集計表を自由に設計することができるIBM SPSS Statisticsのオプション製品です テーブ

(3) 検定統計量の有意確率にもとづく仮説の採否データから有意確率 (significant probability, p 値 ) を求め 有意水準と照合する 有意確率とは データの分析によって得られた統計値が偶然おこる確率のこと あらかじめ設定した有意確率より低い場合は 帰無仮説を棄却して対立仮説

経済統計分析1 イントロダクション

<4D F736F F D208EC08CB18C7689E68A E F AA957A82C682948C9F92E82E646F63>

Microsoft PowerPoint - e-stat(OLS).pptx

Microsoft Word - Stattext12.doc

<4D F736F F D2090B695A8939D8C768A E F AA957A82C682948C9F92E8>

統計的データ解析

EBNと疫学

PowerPoint プレゼンテーション

異文化言語教育評価論 ⅠA 教育 心理系研究のためのデータ分析入門 第 3 章 t 検定 (2 変数間の平均の差を分析 ) 平成 26 年 5 月 7 日 報告者 :M.S. I.N. 3-1 統計的検定 統計的検定 : 設定した仮説にもとづいて集めた標本を確率論の観点から分析し 仮説検証を行うこと

情報工学概論

Python-statistics5 Python で統計学を学ぶ (5) この内容は山田 杉澤 村井 (2008) R によるやさしい統計学 (

青焼 1章[15-52].indd

Microsoft PowerPoint - A1.ppt [互換モード]

スライド 1

ビジネス統計 統計基礎とエクセル分析 正誤表

基礎統計

Microsoft PowerPoint - statistics pptx

スライド 1

Microsoft Word - apstattext05.docx

<4D F736F F F696E74202D2088E38A77939D8C7695D78BAD89EF313591E63189F18AEE967B939D8C7697CA2E >

MedicalStatisticsForAll.indd

一元配置分散分析法 F 検定と Welch 検定 一元配置分散分析で一般的に使用される F 検定は すべてのグループが共通だが未知の標準偏差 (σ) を共有するという仮定に基づきます 実際には この仮定が当てはまることはまれで その結果 タイプ I 過誤率の制御が難しくなります タイプ I の誤りと

Microsoft Word - apstattext04.docx

RSS Higher Certificate in Statistics, Specimen A Module 3: Basic Statistical Methods Solutions Question 1 (i) 帰無仮説 : 200C と 250C において鉄鋼の破壊応力の母平均には違いはな

Microsoft Word - Stattext13.doc

. 測定方法 7 尺度化 ( 数値化 ) 8 絶対判断 評点法採点法カテゴリー尺度法 図示法 / 線分法 心理物理学的測定法 相対判断 分類法 格付け分類法 順位法 一対比較法 リッカート法 カテゴリー尺度法 / 評定尺度法 あなたは ですか? 9 SD(Semantic Differential)

第1回

目次 1 章 SPSS の基礎 基本 はじめに 基本操作方法 章データの編集 はじめに 値ラベルの利用 計算結果に基づく新変数の作成 値のグループ化 値の昇順

JUSE-StatWorks/V5 活用ガイドブック

Microsoft Word - mstattext01.docx

統計学 - 社会統計の基礎 - 正規分布 標準正規分布累積分布関数の逆関数 t 分布正規分布に従うサンプルの平均の信頼区間 担当 : 岸 康人 資料ページ :

PowerPoint プレゼンテーション

自動車感性評価学 1. 二項検定 内容 2 3. 質的データの解析方法 1 ( 名義尺度 ) 2.χ 2 検定 タイプ 1. 二項検定 官能検査における分類データの解析法 識別できるかを調べる 嗜好に差があるかを調べる 2 点比較法 2 点識別法 2 点嗜好法 3 点比較法 3 点識別法 3 点嗜好

差込パンフレットおもて

第7章

Microsoft PowerPoint - R-stat-intro_12.ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint - Statistics[B]

Microsoft PowerPoint - sc7.ppt [互換モード]

Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷

Probit , Mixed logit

<4D F736F F D204B208C5182CC94E497A682CC8DB782CC8C9F92E BD8F6494E48A722E646F6378>

統計学の基礎から学ぶ実験計画法ー1

Excelによる統計分析検定_知識編_小塚明_5_9章.indd

Microsoft Word - Stattext11.doc

Microsoft PowerPoint - stat-2014-[9] pptx

はじめに Excel における計算式の入力方法の基礎 Excel では計算式を入力することで様々な計算を行うことができる 例えば はセルに =SQRT((4^2)/3+3*5-2) と入力することで算出される ( 答え ) どのような数式が使えるかは 数式

講義「○○○○」

仮説検定を伴う方法では 検定の仮定が満たされ 検定に適切な検出力があり データの分析に使用される近似で有効な結果が得られることを確認することを推奨します カイ二乗検定の場合 仮定はデータ収集に固有であるためデータチェックでは対応しません Minitab は近似法の検出力と妥当性に焦点を絞っています

Microsoft PowerPoint - ch04j

Microsoft Word - 保健医療統計学112817完成版.docx

<4D F736F F D208EC08CB18C7689E68A E F1939D8C E82E646F63>

母平均 母分散 母標準偏差は, が連続的な場合も含めて, すべての個体の特性値 のすべての実現値 の平均 分散 標準偏差であると考えてよい 有限母集団で が離散的な場合, まさにその意味になるが, そうでない場合も, このように理解してよい 5 母数 母集団から定まる定数のこと 母平均, 母分散,

Microsoft PowerPoint - statistics pptx

Microsoft PowerPoint - statistics pptx

カイ二乗フィット検定、パラメータの誤差

数値計算法

不偏推定量

JMP によるオッズ比 リスク比 ( ハザード比 ) の算出方法と注意点 SAS Institute Japan 株式会社 JMP ジャパン事業部 2008 年 3 月改定 1. はじめに本文書は JMP でオッズ比 リスク比 それぞれに対する信頼区間を求める算出方法と注意点を述べたものです この後

: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

統計学 Ⅱ( 章 ( 区間推定のシミュレーション 母平均 μ の区間推定 X ~ N, のとき X T ~ 自由度 1の t分布 1 自由度 -1のt 分布の97.5% 点 :t.975 P t T t この式に T を代入する t.975 母集団

Microsoft PowerPoint - 医学統計のつぼ.ppt

§2-2 記述統計と推測統計

<4D F736F F D208D A778D5A8A778F4B8E7793B CC A7795D2816A2E646F6378>

Microsoft PowerPoint slide2forWeb.ppt [互換モード]

Microsoft Word - å“Ÿåłžå¸°173.docx

Microsoft Word - appendix_b

Microsoft PowerPoint - 測量学.ppt [互換モード]

第1回

2. 時系列分析 プラットフォームの使用法 JMP の 時系列分析 プラットフォームでは 一変量の時系列に対する分析を行うことができます この章では JMP のサンプルデ ータを用いて このプラットフォームの使用法をご説明します JMP のメニューバーより [ ヘルプ ] > [ サンプルデータ ]

講義ノート p.2 データの視覚化ヒストグラムの作成直感的な把握のために重要入力間違いがないか確認するデータの分布を把握する fig. ヒストグラムの作成 fig. ヒストグラムの出力例 度数分布表の作成 データの度数を把握する 入力間違いが無いかの確認にも便利 fig. 度数分布表の作成

日経平均株価の推移 ( 円 ) 5,, 15, 1, 5, ( データ ) 日経 NEEDS 3 日本株価の推移 (1 年 1 月 =1) 5 日経平均 TOPIX JASDAQ ( データ ) 日

PASW® Statistics Base 18

第 3 回講義の項目と概要 統計的手法入門 : 品質のばらつきを解析する 平均と標準偏差 (P30) a) データは平均を見ただけではわからない 平均が同じだからといって 同一視してはいけない b) データのばらつきを示す 標準偏差 にも注目しよう c) 平均

IBM Software Business Analytics IBM SPSS Missing Values IBM SPSS Missing Values 空白を埋める際の適切なモデルを構築 ハイライト データをさまざまな角度から容易に検証する 欠損データの問題を素早く診断する 欠損値を推定値に

<4D F736F F F696E74202D208EC0926E89758A7782CC82BD82DF82CC939D8C765F939693FA2E >

SPSS Advanced Models™ 15.0J

IBM SPSS Statistics Base 19

Microsoft Word - 計量研修テキスト_第5版).doc

untitled


データ科学2.pptx

日心TWS

総合薬学講座 生物統計の基礎

Rによる統計処理 (中島)      2010/04/30

Microsoft Word - 第1回基礎統計量.docx

計量経済学の第一歩 田中隆一 ( 著 ) gretl で例題と実証分析問題を 再現する方法 発行所株式会社有斐閣 2015 年 12 月 20 日初版第 1 刷発行 ISBN , Ryuichi Tanaka, Printed in Japan

<4D F736F F D208EC08CB18C7689E68A E F193F18D8095AA957A C C839395AA957A814590B38B4B95AA957A2E646F63>

3. 株式投資の リスクとリターン 経済統計分析 (2015 年度春学期 )

Microsoft Word - 計量研修テキスト_第5版).doc

Microsoft Word - 【付録4】アンケート②結果.docx

基礎統計

多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典

untitled

仮説検定の手順

Transcription:

Chapter 1 1.4.1 1 元配置分散分析と多重比較の実行 3つの治療法による測定値に有意な差が認められるかどうかを分散分析で調べます この例では 因子が1つだけ含まれるため1 元配置分散分析 one-way ANOVA の適用になります また 多重比較法 multiple comparison procedure を用いて 具体的のどの治療法の間に有意差が認められるかを検定します 1. 分析メニュー > 平均の比較 > 一元配置分散分析を選択します Figure1.4.1 一元配置分散分析メニュー この分析例での従属変数は測定値 因子 ( 要因 ) は治療法です 1-28 StatsGuild Inc.

1 元配置分散分析 2. 従属変数リストに測定値を移動します 3. 因子に治療法を移動します Figure1.4.2 一元配置分散分析の変数の指定 従属変数リストには 連続変数 ( スケール変数 ) を指定します リストとして複数の従属変数 を同時に指定することもできます 因子には離散変数 ( カテゴリ変数 ) を指定します 一元配置分散分析のメニューでは 因子は 1 つしか含めることができません TIPS 分析メニュー > 一般線型モデル > 1 変量メニューを利用すると 2 つ以上の因子を含めた分 析を実行することができます 4. オプションボタンをクリックします StatsGuild Inc. 1-29

Chapter 1 5. 記述統計量 等分散性の検定 Welch のチェックボックスを選択します Figure1.4.3 一元配置分散分析のオプションの設定 記述統計量を選択すると 各水準の平均値や標準偏差などの統計量を出力します 等分散性の検定は 各水準の散らばりが等しいかどうかを調べるレーベン検定 Levene test が実行されます Welchは 等分散を仮定しない平均値の差の検定です 等分散性を仮定できない場合は 一元配置分散分析ではなく ウェルチ検定を用います 分散分析は t 検定と同じように等分散性を仮定する統計手法です 等分散ではない場合は 分散分析ではなくウェルチ検定 Welch test のほうがより適切な手法です 6. 続行ボタンをクリックします 1-30 StatsGuild Inc.

1 元配置分散分析 7. その後の検定ボタンをクリックします 8.Tukey Games-Howell を選択します Figure1.4.4 多重比較法の指定をダイアログボックス その後の検定 post hoc は 個別の水準間の差を検定するための方法です 慣習的に 分散分析の後に実行されるためその後の検定と表示されています Tukeyは 正規性と等分散性を仮定する多重比較法で もっともよく利用される方法です Games-Howellは 正規性を仮定しますが等分散性を仮定しない多重比較法です この例では使用しませんが Bonferroni は 検定回数によって有意確率を調整する多重比較 法であらゆる検定で適用可能です また Dunnettは対照群を設定する場合の多重比較法として使用することができます 9. 続行ボタンをクリックします 10.OK ボタンをクリックします StatsGuild Inc. 1-31

Chapter 1 1.4.2 1 元配置分散分析の結果の解釈 1 元配置分散分析の結果を確認します Figure1.4.5 記述統計の表 記述統計テーブルは 各水準の要約情報が出力されます 出力されるのは 度数 平均値 標準偏差 標準誤差 信頼区間 最小値 最大値です これらの要約は 探索的分析で既に確 認したとおりです 標準偏差 standard deviation は SDと表記されることが多く 標本平均値に対して測定データがどの程度散らばっているかを示す記述統計量です 基本的に 収集したデータの特徴を解釈 説明する場合に用います 標準誤差 standard error of mean は SEまたはSEMと表記されることが多く 標本平均値に基づいて母平均を推定した場合の推定値のばらつきを表す統計量です 基本的に 母集団の真の値を推定した結果を解釈 説明する場合に用います 1-32 StatsGuild Inc.

1 元配置分散分析 Figure1.4.6 等分散性を評価するためのレーベンの検定表 等分散性の検定テーブルには 等分散性の検定としてレーベン検定 Levene test の結果が要約されています この検定の帰無仮説は 水準間の分散は等しい ( 等分散である ) です 有意確 率 P=0.990 であり 帰無仮説は棄却されません すなわち 水準間の分散は等しく等分散性を仮 定できると解釈されます 等分散性を仮定できる場合は分散分析を用い 等分散性を仮定できない場合はウェルチ検定 を用います レーベン検定 Levene test は 等分散性を検定するための手法です この検定は正規性の逸脱に頑健な性質を持ちますが 正規性の検定など他の検定手法と同じようにサンプルサイズの影響を受けるため使用には注意が必要です 等分散を仮定することができる場合は1 元配置分散分析 等分散を仮定することができない場合はウェルチ検定を用います ただし ウェルチ検定は等分散を仮定しない場合にも適用できるため 等分散かどうかを問わずにウェルチ検定を適用することができます TIPS 等分散性の検定は サンプルサイズが大きくなると帰無仮説が棄却されやすく 等分散では ないとの判定になりやすい性質を持ちます StatsGuild Inc. 1-33

Chapter 1 Figure1.4.7 分散分析表 分散分析テーブルには 分散分析の結果が出力されています この検定は グループ内 ( 水準 内 ) の変動に対するグループ間 ( 水準間 ) の変動の比に基づいて計算される F 値に基づいており 検定結果としては有意確率を参照します 分散分析の帰無仮説は すべての水準の平均値が等しい です 有意確率 P<0.001 であり 帰無仮説は棄却されます すなわち 治療法 A 治療法 B 治療法 Cの3つの治療法による測定値について 有意差が認められると解釈することができます ただし 分散分析では要因全体の差を調べることはできますが 具体的にどの水準間に有意な差が認められるかは分かりません そこで 水準間の差を調べるために多重比較の結果を参照します 分散分析の帰無仮説が棄却された場合は 要因について水準全体で有意な差があることが確 認できるのみです 等分散を仮定することができない場合は 分散分析の結果ではなく ウェルチ検定 ( 平均値 同等性の耐久性検定テーブルの有意確率 ) の結果に基づいて解釈します 1-34 StatsGuild Inc.

1 元配置分散分析 1.4.3 多重比較の結果の解釈 多重比較の結果を確認します Figure1.4.8 多重比較の結果 (Tukey の HSD) 多重比較テーブルに 水準間の差の検定結果が出力されています この例では 正規性と等分散性を仮定するテューキーによる多重比較の検定を使用しています 治療法 AとBの平均値の差は0.84226で 有意確率は0.000(P < 0.001) で有意差が認められます 同様に治療法 AとCの平均値の差は1.14530で 有意確率は0.000(P < 0.001) で有意差が認められます 一方 治療法 BとCの平均値の差は0.30304で 有意確率は0.110(P = 0.110) で有意な差は認められません 等分散を仮定することができない場合の多重比較法は Games-Howell または Bonferroni に基づいて解釈します StatsGuild Inc. 1-35