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研究組織 研究代表者西山哲成 日本体育大学身体動作学研究室 共同研究者野村一路 日本体育大学レクリエーション学研究室 菅伸江 日本体育大学レクリエーション学研究室 佐藤孝之 日本体育大学身体動作学研究室 大石健二 日本体育大学大学院後期博士課程院生

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TDM研究 Vol.26 No.2

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol 12, No 1, pp 49 59, 2008 資料 看護師におけるメンタリングとキャリア結果の関連 Relationship between M

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(2) 体重 平成 25 年度の幼稚園 小学校 中学校及び高等学校における幼児 児童及び生徒の体重 ( 県平均値 以下同じ ) については次のとおりである 1 前年度との比較 ( 表 2) 男子の体重は 6 歳 11 歳 13~17 歳で 前年度の同年齢より.2~2. kg増加しており 最 も増加し

高齢者の筋肉内への脂肪蓄積はサルコペニアと運動機能低下に関係する ポイント 高齢者の筋肉内に霜降り状に蓄積する脂肪 ( 筋内脂肪 ) を超音波画像を使って計測し, 高齢者の運動機能や体組成などの因子と関係するのかについて検討しました 高齢男性の筋内脂肪は,1) 筋肉の量,2) 脚の筋力指標となる椅子

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学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 長谷川智之 論文審査担当者 主査丸光惠副査星治 齋藤やよい 論文題目 Relationship between weight of rescuer and quality of chest compression during cardiopulmonary r

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

平成 27 年度全国体力 運動能力 運動習慣等調査愛媛県の結果概要 ( 公立学校 ) 調査期間 : 調査対象 : 平成 27 年 4 月 ~7 月小学校第 5 学年 ( 悉皆 ) 中学校第 2 学年 ( 悉皆 ) 男子 5,909 人男子 5,922 人 女子 5,808 人女子 5,763 人 本

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用


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過去の習慣が現在の習慣に与える影響 インターネットの利用習慣の持ち越し 松岡大暉 ( 東北大学教育学部 ) 1 問題関心本研究の目的は, インターネットの利用の習慣について, 過去のインターネットの利用習慣が現在のインターネットの利用の習慣に影響を与えるかを検証することである. まず, 本研究の中心

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< 運動指導 その他 > SPS の検査結果に基いて 運動指導および栄養指導を行いました 運動指導は エアロビック ダンス ウォーキング 筋力トレーニング ストレッチ体操を中心に行いました 教室期間中はトレーニングルームとプールが無料で使用でき 各個人に合ったメニューを作成し指導を行いました また

13章 回帰分析

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高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

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心房細動1章[ ].indd

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2001 Received November 28, 2014 Current status and long-term changes of the physique and physical fitness of female university students Shiho Hiraku Y

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多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典

4 身体活動量カロリズム内に記憶されているデータを表計算ソフトに入力し, 身体活動量の分析を行った 身体活動量の測定結果から, 連続した 7 日間の平均, 学校に通っている平日平均, 学校が休みである土日平均について, 総エネルギー消費量, 活動エネルギー量, 歩数, エクササイズ量から分析を行った

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最高球速における投球動作の意識の違いについて 学籍番号 11A456 学生氏名佐藤滉治黒木貴良竹田竣太朗 Ⅰ. 目的野球は日本においてメジャーなスポーツであり 特に投手は野手以上に勝敗が成績に関わるポジションである そこで投手に着目し 投球速度が速い投手に共通した意識の部位やポイントがあるのではない

健康保険・船員保険          被保険者実態調査報告


(別紙様式1)

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

で は, 前面において約 50%, 側面では約 20~30% 程度多い傾向にあった この傾向は,


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秋植え花壇の楽しみ方


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参考1中酪(H23.11)

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを


女性23名(平均年齢50

表 3 TABLE 3 線量係数 DOSE COEFFICIENTS (msv/bq) (a) 年齢グループ Age Group 放射性核種 3ヶ月 1 歳 5 歳 10 歳 15 歳 成人 Radionuclide 3 month 1 year 5 year 10 years 15 years A

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

70-4/表1~表4.pwd

(1) (2) (3) (4) (5) 2.1 ( ) 2

切片 ( 定数項 ) ダミー 以下の単回帰モデルを考えよう これは賃金と就業年数の関係を分析している : ( 賃金関数 ) ここで Y i = α + β X i + u i, i =1,, n, u i ~ i.i.d. N(0, σ 2 ) Y i : 賃金の対数値, X i : 就業年数. (

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

,995,972 6,992,875 1,158 4,383,372 4,380,511 2,612,600 2,612, ,433,188 3,330, ,880,573 2,779, , ,

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2 31名 男子17名女子14名 の合計92名であった 図1は握力の発達をみたものであるが男女と 以下第1期生とする 第1期生の身長および体 もにほとんどのプロットは埼玉県標準値範囲内に 重の平均値を学年別男女別に表1に示した 存在していた 握力に関しては身長に相応した 表1 レベルであり特別な特徴

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0. ポイント低いが, 宮城県では 歳代における出生率の低さが, 京都府では0 歳代の低さが影響しており, その要因が異なる. 次に, 平均出生年齢と合計特殊出生率との関係をみたものが図 である. 概して, 平均出生年齢と合計特殊出生率との間には負の相関関係がみられる. ただし, 各都道府県が直線上

2 累計 収入階級別 各都市とも 概ね収入額が高いほども高い 特別区は 世帯収入階級別に見ると 他都市に比べてが特に高いとは言えない 階級では 大阪市が最もが高くなっている については 各都市とも世帯収入階級別の傾向は類似しているが 特別区と大阪市が 若干 多摩地域や横浜市よりも高い 東京都特別区

発育状態調査 身長 身長 ( 平均値 ) は 前年度と比較すると 男子は 12~15 歳で前年度を上回り 女子は 5,6,8,9,14,16 歳で前年度を上回っている (13 年齢区分中 男子は増加 4 減少 6 女子は増加 6 減少 5) との比較では 男子は全ての年齢で 女子は 5,9 歳を除い

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2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

図表 II-39 都市別 世帯主年齢階級別 固定資産税等額 所得税 社会保険料等額 消 費支出額 居住コスト 年間貯蓄額 ( 住宅ローン無し世帯 ) 単位 :% 東京都特別区 (n=68) 30 代以下 (n=100) 40 代

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小学生のカルシウム摂取量に寄与する食品の検討 小学生のカルシウム摂取量に寄与する食品の検討 小川瑞己 1 佐藤文佳 1 村山伸子 1 * 目的 小学生のカルシウム摂取の実態を把握し 平日と休日のカルシウム摂取量に寄与する食品を検討する 方法 2013 年に新潟県内 3 小学校の小学 5 年生全数 3

表 5-1 機器 設備 説明変数のカテゴリースコア, 偏相関係数, 判別的中率 属性 カテゴリー カテゴリースコア レンジ 偏相関係数 性別 女性 男性 ~20 歳台 歳台 年齢 40 歳台

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項目 表 1 被験者背景 全体男性女性 人数 ( 人 ) 年齢 ( 歳 ) 40.0 ± ± ± 12.2 平均値 ± 標準偏差

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ヘルスプロモーションのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率の日本成人評価基準値 171 ヘルスプロモーションのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率の日本成人評価基準値 StandardsofJapaneseAdultsforEvaluating SlopeofRelative HeartRateonWorkRate(Δ%HR/ΔWR) ascardiorespiratory EnduranceIndexforHealthPromotion TakayukiYOSHIOKA,EikoCHIKAMORI YoshiakiGOWA,TatsuoSHIRAISHI 要旨 ヘルスプロモーションのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率 (Δ%HR/ΔWR) 及びその体重補 正値 (Δ%HR/Δ(WR/BM)) について 日本人成人の性別 年齢別の 5 段階評価基準値を明らかにするとともに 加齢に伴う変化率及び性差についても検討した まず 20~64 歳までの健康な男女 2430 名 ( 男性 :814 名 女性 : 1616 名 ) を対象に 性別に 5 歳刻みで年齢を区分し 各年齢区分の Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) の 平均値 (m) 及び標準偏差 (SD) に基づき 5 段階評価基準の境界値として m-1.5sd m-0.5sd m+0.5sd 及び m+1.5sd を求めた 各境界値と年齢の関係が 男女とも 20~65 歳の範囲で いずれもほぼ直線関係とみなし得たこ とから Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) の 5 段階評価の各境界値と年齢の回帰式を男女ごとに求めた こ れらの回帰式に年齢を代入することにより その年齢における Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) の 5 段階 評価基準値を求めることができる また これらの基準値が日本人の標準的な基準値として妥当であるかを検討す るために 同対象について 年齢区分ごとに 握力 上体おこし 長座位体前屈及び全身反応時間の平均値及び標 準偏差をそれぞれ求め 既存の日本人の評価基準値と比較し 検討した その結果 同対象者の握力 上体おこし 長座位体前屈及び全身反応時間の体力レベルが 概ね男女とも各年齢区分において日本人の標準的なレベルである と考えられたことから 今回作成した Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) の 5 段階評価基準値は 日本人成 人の評価基準値として妥当性があると考えられた Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) における平均値と年 齢の回帰直線に基づく加齢による変化率は 男女とも 10 年間に 7~8% の割合で 加齢に伴い高く ( 心肺持久性と しては低く ) なり また 性差については Δ%HR/ΔWR において女性は男性よりも概ね 53~49% 高い ( 心肺持久 性としては低い ) 値を示し Δ%HR/Δ(WR/BM) において女性は男性よりも概ね 19~25% 高い ( 心肺持久性とし 毅ては低い ) 値を示していた このような加齢に伴う変化及び性差は 最大酸素摂取量 (VO2 max) 及びその体重補 毅正値 (VO2 max/bm) と概ね同様の傾向であると考えられた キーワード :( 心肺持久性 )( 相対心拍数 )( 日本人基準値 )( ヘルスプロモーション ) (CardiorespiratoryEndurance)(RelativeHeartRate)(JapaneseStandard)(HealthPromotion)

172 Ⅰ. はじめに 著者らは ヘルスプロモーションを目的として行われる一般的な健康 体力測定において 従来のような最大酸 毅素摂取量 ( 以下 VO2 max) の推定ではなく 健康づくりの現場で比較的普及している自転車エルゴメータを用い て 漸増負荷運動中の仕事率 ( 以下 WR) に対する相対心拍数 ( 以下 %HR) の増加率 ( 相対心拍数増加率 : 以 下 Δ%HR/ΔWR) そのものを指標とする評価法を考案した これまで この Δ%HR/ΔWR について 心肺持久 性評価指標としての妥当性 1,2,3) 推定値の精度 4,5) 再現性 6) 実用的意義 7) トレーニングによる影響 8) 健康 関連因子との相互関係 9) 及び性 年齢との関連 10) について検討を行ってきた Δ%HR/ΔWR 及びその体重補正値の Δ%HR/Δ(WR/BM) と性 年齢との関連について 先行研究 10) では性差 がみられ また 男女とも 20~60 歳の間において緩やかに増加する ( 心肺持久性としては低下する ) ことが推察さ 毅れた これらのことから Δ%HR/ΔWR 及びΔ%HR/Δ(WR/BM) についてもVO2 max 及びその体重補正値であ 毅るVO2 max/bm と同様に 性別 年齢別の評価基準値を検討することは意義あることと考えられる そこで本研 究では 日本人の成人男女 2430 名を対象に Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) を測定し 性別に 各年齢 区分の平均値及び標準偏差 ( 以下 SD) に基づき 5 段階評価区分の基準値を設定した また それらの基準値が 日本人における評価基準値として妥当であるかを検討するために 同対象において同時に測定した他の体力項目の 平均値及び SD をそれぞれ求め 既存の最近の日本人の評価基準値と比較検討した さらに Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) における平均値と年齢の回帰直線に基づき 加齢に伴う変化率及び性差についても検討した Ⅱ. 方法 1. 対象兵庫県内のK 健康増進施設のトレーニングジムを利用した者で K 施設規定の健康 体力測定を受けた20~64 歳の健康な日本人成人 2430 名 ( 男性 814 名 女性 1616 名 ) を対象とした 2. 健康 体力測定体力測定項目は 握力 上体おこし 長座位体前屈 全身反応時間及び心肺持久性として最大下の負荷テストによるΔ%HR/ΔWR 及びΔ%HR/Δ(WR/BM) であった また 体力測定に先立って 身長 体重及び体脂肪率 (Impedance 法 ) の測定が行われた なお 握力 上体おこし 長座位体前屈及び全身反応時間の測定は THP 11) 健康測定における運動機能検査 の方法に基づき行われた また 心肺持久性としての Δ%HR/ΔWR 及びΔ%HR/ Δ(WR/BM) の測定は 次の負荷テストに基づき吉岡ら 7) と同様の方法で行われた 負荷テスト :Δ%HR/ΔWRを測定するための負荷テストは 健康 体力測定の一環として 他の体力測定に先だって 10 分間以上の座位安静の後 電磁抵抗式の自転車エルゴメータ (Combi232CXL Japan) を用いて行われた 自転車の駆動は 1 分間に50 回転を保ち 1 分ごとに10W 15W または20W のランプ負荷で 対象者の %HR 12) が60% に達するまで続けられ その後クールダウンが行われた なお この場合の60% の %HR は Karvonen 法により求められた また ランプ負荷の割合の選択は ランプ負荷運動の時間が6~12 分になるように 主に性 年齢及び自己申告による心肺持久性の優劣に基づき行われた 13) 負荷テスト中の心拍数( 以下 HR) は連続測定され HR 及び WRは30 秒ごとの平均値として記録された なお 安静時の HR は負荷テスト前の座位安静時の平均 HR が用いられた 3. 体力測定値の検討今回の対象の体力レベルが日本人の標準として妥当であるかを検討するために 性別に5 歳刻みで年齢を区分し

ヘルスプロモーションのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率の日本成人評価基準値 173 年齢区分ごとに 握力 上体おこし 長座位体前屈及び全身反応時間の平均値及び SD をそれぞれ求め 既存の日本人の基準値 ( 文献値 A14) 文献値 B15)) と比較した Δ%HR/ΔWRの 5 段階評価区分の設定 : まず 性別に5 歳刻みで年齢を区分し 年齢区分ごとにΔ%HR/ΔWR 及びΔ%HR/Δ(WR/BM) の平均値 (m) 及び SD を基に 5 段階評価区分の境界値として m-1.5sd m-0.5sd m+0.5sd 及び m+1.5sd をそれぞれ求めた 次に 5 段階評価区分の各境界値と年齢の回帰式を男女別にそれぞれ求めた これらの回帰式に年齢を代入することにより その年齢の5 段階評価区分の基準値を求めることができる すなわち m+1.5sd 以上を verypoor( 非常に劣る ) m+0.5sd 以上 m+1.5sd 未満を poor( 劣る ) m-0.5sd 以上 m+0.5sd 未満を average( 平均的 ) m-1.5sd 以上 m-0.5sd 未満を good( 優る ) 及び m-1.5sd 未満を very good( 非常に優る ) の5 段階の体力評価区分を設定することができる 4. 統計回帰直線を求める際には最小二乗法を用いた 5. 倫理的配慮本研究は 心肺持久性評価指標としてΔ%HR/ΔWRを採用しているK 施設の協力を得て行ったもので 対象の資料 ( 健康 体力測定値等 ) は 匿名化されたものをK 施設の許可を得て取得し分析に用いた Ⅲ. 結果 Table1 には男女別に対象者の年齢区分別の人数及び平均年齢を示した また Table2 には各年齢区分における身長 体重及び体脂肪率の平均値 (SD) を男女別に示した Fig.1 には握力について Fig.2 には上体おこしについて Fig.3 には長座位体前屈について及びFig.4 には全身反応時間について 各年齢区分における今回の対象者の平均値 (SD) 文献値 A 14) 及び文献値 B 15) の平均値 (SD) をそれぞれ男女別に示した 今回の握力について 男性はいずれの年齢においても文献値 Aとほぼ同じ値を示し 文献値 Bよりやや高い値を示していた 女性はいずれの年齢においてもほぼ文献値 Aと文献値 Bの間の値を示していた 今回の上体おこしについて 男性はいずれの年齢においても文献値 A 及び文献値 Bよりやや高い値を示していた 女性は40 歳までは文献値 A 及び文献値 Bとほぼ同じ値を示していたが 50 歳以降では文献値 A 及び文献値 B よりやや低い値を示していた 今回の長座位体前屈については 男性では55~59 歳の年齢区分において極端に低い値を示していたが それ以外はほぼ文献値 Aと文献値 Bの間の値を示していた 女性では40~45 歳及び55~64 歳の年齢区分において極端に高い値を示していたが それ以外は文献値 Bとほぼ同じ値を示していた 今回の全身反応時間については 男女とも20~30 歳にかけては文献値 A 及び文献値 Bとほぼ同じ値を示していたが 40 歳以降は文献値 A 及び文献値 Bよりも低い値を示していた

174 Table1.Numberofsubjectsandmeanageineachagegroup Age group Meanage Number Mean age Number [years] [years] of subjects [years] of subjects 20-24 22.3 126 22.4 310 25-29 27.0 185 26.9 332 30-34 31.8 112 31.8 230 35-39 37.1 89 36.9 151 40-44 42.2 89 41.9 146 45-49 47.0 87 47.2 170 50-54 51.9 61 51.7 127 55-59 56.6 41 56.5 88 60-64 61.9 24 61.7 62 Table2.Meanvaluesofheight,bodymassand% fatineachagegroup Age group Height Body mass %Fat [years] [cm] [kg] [%] 20 24 172.2 (5.9) 66.8 (9.9) 19.4 (5.2) 25 29 172.0 (5.3) 67.6(9.5) 19.5(4.9) 30 34 171.8 (5.9) 69.6 (10.4) 21.1 (5.2) 35 39 170.0 (6.0) 69.7 (10.4) 20.7 (5.2) 40 44 170.3 (5.6) 69.6 (9.0) 20.0 (4.0) 45 49 168.7 (5.4) 69.0 (9.7) 20.9 (5.1) 50 54 166.8 (4.8) 67.1 (8.8) 20.0 (5.0) 55 59 168.7 (5.9) 68.5 (8.1) 19.7 (5.5) 60 64 163.4 (5.7) 64.7 (7.9) 19.9 (3.9) 20 24 159.7 (6.1) 53.9 (7.8) 25.5 (5.3) 25 29 159.6 (5.5) 52.7 (7.0) 24.5 (5.2) 30 34 159.2 (5.5) 54.4 (7.5) 25.6 (6.0) 35 39 157.9 (5.0) 55.0 (7.8) 26.4 (6.2) 40 44 158.1 (5.2) 57.3 (9.0) 27.2 (5.8) 45 49 156.8 (5.0) 56.7 (7.7) 27.5 (5.9) 50 54 154.5 (4.6) 56.0 (7.2) 28.2 (6.0) 55 59 152.5 (4.8) 54.8 (7.1) 28.1 (5.2) 60 64 153.0 (4.8) 55.3 (8.3) 28.4 (5.9) 60 Grip strength (kg) 40 20 Present study: Reference A: Reference B: Present study: Reference A: Reference B: 0 Fig.1.Comparisoninmeanvaluesofgripstrengthbetweenpresentstudy andreferences(a andb)regardingsexandage.

ヘルスプロモーションのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率の日本成人評価基準値 175 30 Sit-up (times) 20 10 Present study: Reference A: Reference B: Present study: Reference A: Reference B: 0 Fig.2.Comparisoninmeanvaluesofsit-upbetweenpresentstudyand references(a andb)regardingsexandage. Sitting trunk flexion (cm) 20 16 12 8 4 0 Present study: Reference A: Reference B: Present study: Reference A: Reference B: Fig.3.Comparisoninmeanvaluesofsitingtrunkflexionbetween presentstudyandreferences(a andb)regardingsexandage. Jumping reaction time (msec) 600 500 400 300 200 100 Present study: Reference A: Reference B: Present study: Reference A: Reference B: 0 Fig.4.Comparisoninmeanvaluesofjumpingreactiontimebetween presentstudyandreferences(a andb)regardingsexandage.

176 Table3 にはΔ%HR/ΔWRについて Table4 にはΔ%HR/Δ(WR/BM) について 各年齢区分における平均値 (SD) 及び 5 段階評価区分の境界値として m-1.5sd m-0.5sd m+0.5sd 及び m+1.5sd をそれぞれ男女別に示した Fig.5 には男性のΔ%HR/ΔWRについて Fig.6 には女性のΔ%HR/ΔWRについて Table3 の値に基づき 平均値及び5 段階評価区分の各境界値と年齢の関係を示した 20~65 歳の範囲ではいずれもほぼ直線関係とみなし得ると考え それぞれの回帰直線を求めた また Fig.7 には男性のΔ%HR/Δ(WR/BM) について Fig.8 には女性のΔ%HR/Δ(WR/BM) について Table4 の値に基づき 平均値及び5 段階評価区分の各境界値と年齢の関係を示した Δ%HR/ΔWRと同様に 20~65 歳の範囲ではいずれもほぼ直線関係とみなし得ると考え それぞれの回帰直線を求めた Fig.5 及び Fig.6 に示した回帰式に年齢を代入することにより その年齢におけるΔ%HR/Δ WRの 5 段階評価区分の基準値を求めることができるが Table5 には それぞれの基準値を求めるための年齢との回帰式及び回帰式から求めた20 歳 30 歳 40 歳 50 歳 60 歳における5 段階評価区分の基準値を示した 同様に Table6 には 体重補正値であるΔ%HR/Δ(WR/BM) の5 段階評価区分の基準値を求めるための年齢との回帰式及び回帰式から求めた20 歳 30 歳 40 歳 50 歳 60 歳における5 段階評価区分の基準値を示した Table3.Meanvalue(SD),mean-1.5SD,-0.5SD,+0.5SDand+1.5SDof Δ%HR/ΔWRineachagegroup Age group Mean (SD) m- m- m+ m+ 1.5SD 0.5SD 0.5SD 1.5SD [years] [%/W] [%/W] [%/W] [%/W] [%/W] 20 24 0.411 (0.070) 0.306 0.376 0.446 0.517 25 29 0.426 (0.065) 0.329 0.394 0.458 0.523 30 34 0.431 (0.071) 0.324 0.396 0.467 0.538 35 39 0.425 (0.071) 0.318 0.390 0.461 0.532 40 44 0.445 (0.073) 0.334 0.408 0.481 0.555 45 49 0.475 (0.087) 0.346 0.432 0.519 0.605 50 54 0.490 (0.089) 0.357 0.446 0.534 0.623 55 59 0.494 (0.078) 0.376 0.455 0.533 0.612 60 64 0.539 (0.113) 0.370 0.483 0.596 0.709 20 24 0.622 (0.096) 0.477 0.573 0.670 0.766 25 29 0.650 (0.091) 0.513 0.604 0.696 0.787 30 34 0.655 (0.109) 0.492 0.601 0.710 0.819 35 39 0.676 (0.120) 0.497 0.616 0.736 0.855 40 44 0.651 (0.100) 0.500 0.600 0.701 0.801 45 49 0.695 (0.112) 0.527 0.639 0.751 0.863 50 54 0.726 (0.117) 0.551 0.668 0.784 0.901 55 59 0.772 (0.130) 0.577 0.707 0.837 0.967 60 64 0.795 (0.158) 0.558 0.716 0.874 1.032

ヘルスプロモーションのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率の日本成人評価基準値 177 Table4.Meanvalue(SD),mean-1.5SD,-0.5SD,+0.5SDand+1.5SDof Δ%HR/Δ(WR/BM)ineachagegroup Age group Mean (SD) m- m- m+ m+ 1.5SD 0.5SD 0.5SD 1.5SD [years] [%/(W/kg)] [%/(W/kg)] [%/(W/kg)] [%/(W/kg)] [%/(W/kg)] 20 24 27.3 (5.3) 19.4 24.6 29.9 35.2 25 29 28.5 (4.3) 22.0 26.3 30.6 34.9 30 34 29.8 (5.7) 21.3 27.0 32.6 38.3 35 39 29.3 (4.8) 22.1 26.9 31.7 36.5 40 44 30.7 (4.9) 23.3 28.2 33.1 38.0 45 49 32.4 (5.5) 24.2 29.7 35.2 40.7 50 54 32.6 (5.7) 24.0 29.7 35.4 41.1 55 59 33.7 (5.7) 25.2 30.8 36.5 42.2 60 64 34.7 (7.2) 23.8 31.1 38.3 45.6 20 24 33.2 (5.3) 25.2 30.5 35.9 41.2 25 29 34.0 (4.9) 26.7 31.6 36.5 41.3 30 34 35.4 (6.2) 26.1 32.3 38.5 44.7 35 39 36.7 (6.0) 27.8 33.7 39.7 45.7 40 44 37.0 (6.5) 27.2 33.7 40.2 46.7 45 49 39.0 (6.1) 29.9 36.0 42.1 48.2 50 54 40.4 (6.4) 30.7 37.1 43.6 50.0 55 59 42.0 (7.5) 30.8 38.3 45.8 53.2 60 64 43.3 (7.8) 31.6 39.4 47.2 55.0 %HR/ WR (%/W) 1.000 0.800 0.600 0.400 0.200 m+1.5sd y = 0.0043x + 0.3986 m+0.5sd y = 0.0034x + 0.3562 m y = 0.0030x + 0.3350 m-0.5sd y = 0.0025x + 0.3137 m-1.5sd y = 0.0016x + 0.2713 0.000 Fig.5.RelationshipofagetoΔ%HR/ΔWRforassessmentstandardsinmen. Linespresentedinthisfigureareregressionlinesofagetomeanvalue(m), m+1.5sd,m+0.5sd,m-0.5sdandm-1.5sdofδ%hr/δwr.

178 %HR/ WR (%/W) 1.200 1.000 0.800 0.600 0.400 0.200 0.000 m+1.5sd y = 0.0060x + 0.6153 m+0.5sd y = 0.0047x + 0.5529 m y = 0.0041x + 0.5216 m-0.5sd y = 0.0035x + 0.4904 m-1.5sd y = 0.0022x + 0.4280 Fig.6.RelationshipofagetoΔ%HR/ΔWRforassessmentstandardsinwomen. Linespresentedinthisfigureareregressionlinesofagetomeanvalue(m), m+1.5sd,m+0.5sd,m-0.5sdandm-1.5sdofδ%hr/δwr. (%/(W/kg)) %HR/ (WR/BM) 60 50 40 30 20 10 m+1.5sd y = 0.245x + 28.87 m+0.5sd y = 0.203x + 25.21 m y = 0.181x + 23.38 m-0.5sd y = 0.160x + 21.55 m-1.5sd y = 0.117x + 17.89 0 Fig.7.RelationshipofagetoΔ%HR/Δ(WR/BM)forassessmentstandardsinmen. Linespresentedinthisfigureareregressionlinesofagetomeanvalue(m), m+1.5sd,m+0.5sd,m-0.5sdandm-1.5sdofδ%hr/δ(wr/bm).

ヘルスプロモーションのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率の日本成人評価基準値 179 (%/(W/kg)) 60 50 40 m+1.5sd y = 0.351x + 32.67 m+0.5sd y = 0.289x + 28.94 %HR/ (WR/BM) 30 20 10 0 m y = 0.258x + 27.07 m-0.5sd y = 0.228x + 25.21 m-1.5sd y = 0.166x + 21.47 Fig.8.RelationshipofagetoΔ%HR/Δ(WR/BM)forassessmentstandardsinwomen. Linespresentedinthisfigureareregressionlinesofagetomeanvalue(m), m+1.5sd,m+0.5sd,m-0.5sdandm-1.5sdofδ%hr/δ(wr/bm). Table5.RegressionequationsofagetoΔ%HR/ΔWRforassessmentstandardsand assessmentstandardsat20,30,40,50and60yearsinmenandwomen Mean 0.0030 Age + 0.3350 0.0041 Age + 0.5216 Mean +1.5SD 0.0042 Age + 0.3986 0.0060 Age + 0.6153 Mean +0.5SD 0.0034 Age + 0.3562 0.0047 Age + 0.5529 Mean - 0.5SD 0.0025 Age + 0.3137 0.0035 Age + 0.4904 Mean - 1.5SD 0.0016 Age + 0.2713 0.0022 Age + 0.4280 20years 30years 40years 50years 60years Mean value 0.395 0.425 0.455 0.485 0.515 Very poor (Above) 0.483 0.525 0.567 0.609 0.651 Poor (Above) 0.424 0.458 0.492 0.526 0.560 Average (Above) 0.364 0.389 0.414 0.439 0.464 Good (Above) 0.303 0.319 0.335 0.351 0.367 Very good (Below) 0.303 0.319 0.335 0.351 0.367 Mean value 0.604 0.645 0.686 0.727 0.768 Very poor (Above) 0.735 0.795 0.855 0.915 0.975 Poor (Above) 0.647 0.694 0.741 0.788 0.835 Average (Above) 0.560 0.595 0.630 0.665 0.700 Good (Above) 0.472 0.494 0.516 0.538 0.560 Very good (Below) 0.472 0.494 0.516 0.538 0.560 Unit of values: [%/W]

180 Table6.RegressionequationsofagetoΔ%HR/Δ(WR/BM)forassessmentstandards andassessmentstandardsat20,30,40,50and60yearsinmenandwomen Mean 0.181 Age + 23.38 0.258 Age + 27.07 Mean +1.5SD 0.245 Age + 28.87 0.351 Age + 32.67 Mean +0.5SD 0.203 Age + 25.21 0.289 Age + 28.94 Mean - 0.5SD 0.160 Age + 21.55 0.228 Age + 25.21 Mean - 1.5SD 0.117 Age + 17.89 0.166 Age + 21.47 20years 30years 40years 50years 60years Mean value 27.0 28.8 30.6 32.4 34.2 Very poor (Above) 33.8 36.2 38.7 41.1 43.6 Poor (Above) 29.3 31.3 33.3 35.4 37.4 Average (Above) 24.8 26.4 28.0 29.6 31.2 Good (Above) 20.2 21.4 22.6 23.7 24.9 Very good (Below) 20.2 21.4 22.6 23.7 24.9 Mean value 32.2 34.8 37.4 40.0 42.6 Very poor (Above) 39.7 43.2 46.7 50.2 53.7 Poor (Above) 34.7 37.6 40.5 43.4 46.3 Average (Above) 29.8 32.1 34.3 36.6 38.9 Good (Above) 24.8 26.5 28.1 29.8 31.4 Very good (Below) 24.8 26.5 28.1 29.8 31.4 Unit of values: [%/(W/kg)] Ⅳ. 考察 今回の対象の体力レベルが日本人の標準として妥当であるかを検討するために まず対象の握力 上体おこし 長座位体前屈及び全身反応時間を既存の日本人の基準値 ( 文献値 A 及び文献値 B) と比較した その結果 今回の 対象は 文献値 A 14) 及び文献値 B 15) と比較して 部分的には年齢によって若干体力水準が高い傾向を示した体力項 目もあったが 全体的に男女とも各年齢層で特に目立った体力水準の優劣はみられなかった これらの結果から 今 回の対象は 男女とも各年齢区分において日本人の標準的な体力レベルであると考えられ Table5 及び Table6 に示した Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) の 5 段階評価基準は 日本人成人男女の基準値として妥当性が あると考えられる 本研究の結果において 男女とも 20~64 歳の間で Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) の平均値と年齢の間 には概ね直線関係がみられた この平均値と年齢の回帰直線に基づき Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) における加齢に伴う変化率及び性差について 以下に考察する まず 加齢に伴う変化率について Δ%HR/ΔWR は 男性では 10 年間に 7.6% の割合で 女性では 10 年間に 6.8% の割合で緩やかに増加していた ( 心肺持久性としては低下していた ) また体重補正値である Δ%HR/Δ(WR/B 毅 M) は 男性では10 年間に6.7% の割合で 女性では10 年間に8.1% の割合で緩やかに増加していた VO2 max 及び 毅 VO2 max/bm の加齢による低下率は 概ね10 年間で3~13% と報告されている 16,17,18,19,20,21,22,23) これらのことか 毅毅ら Δ%HR/ΔWR 及びΔ%HR/Δ(WR/BM) の加齢に伴う変化率は VO2 max 及び VO2 max/bm とほぼ同様の 傾向を示すと考えられる 次に性差について Δ%HR/ΔWR は 20~64 歳の間において女性は男性よりも概ね 53~49% 高い ( 心肺持久性とし ては低い ) 値を示していた また Δ%HR/Δ(WR/BM) は 20~64 歳の間において女性は男性よりも概ね 19~25% 毅毅高い ( 心肺持久性としては低い ) 値を示していた VO2 max の性差は 思春期以降 概ね25~30% VO2 max /BM の性差は 概ね 15~25% であることが報告されている 17) これらのことから 20 歳以降の性差について 体重

ヘルスプロモーションのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率の日本成人評価基準値 181 毅補正値であるΔ%HR/Δ(WR/BM) は 同じく体重補正値であるVO2 max/bm とほぼ同様の傾向を示すと考えら 毅れるが Δ%HR/ΔWRは VO2 max に比べてかなり性差が大きいと考えられる このことは Δ%HR/ΔWRの 毅絶対値は VO2 max の絶対値に比べて体重による影響を受けやすいことを示唆している 最後に Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) の個人差について 本研究の結果では 変動係数 (SD/ 平均 毅値 ) は男女とも20~64 歳の間で概ね14~19% で 加齢とともに個人差はやや大きくなる傾向であった VO2 max の変動係数は男女ともいずれの年齢においても概ね 10~15% であることが報告されていることから 17) 個人差につ 毅いても Δ%HR/ΔWR 及びΔ%HR/Δ(WR/BM) は VO2 max とほぼ同様の傾向を示すと考えられる また 先 述したように Δ%HR/ΔWR 及び Δ%HR/Δ(WR/BM) における 加齢による変化率は 男女とも 10 年間に 7~ 8% であったことから考えて 加齢による変化に比べて個人差が大きく たとえ高齢者でも若者の平均以上の値を 示す者が多くいることも考えられ 個人差には特に留意する必要がある 謝辞本稿を終えるにあたり 本研究に際し 終始 貴重なご指導を賜りました大阪市立大学名誉教授 ( 相愛大学人間発達学部教授 ) の藤本繁夫先生に深甚なる謝意を表します また 対象の情報提供等でご協力いただいた兵庫県内のK 健康増進施設の施設長をはじめスタッフの皆様に厚くお礼申し上げます 文献 1)YoshiokaT andshiraishit:slopeofrelativeheartrateonworkrate:new assessmentofcardiorespiratory endurance,healthpromotionandeducation:bringinghealthtolife,proceedingsofthexvthconference oftheinternationalunionforhealthpromotionandeducation,pp255-258,hoken-dohjinsha,inc,tokyo, 1996 2) 吉岡隆之, 白石龍生, 藤田弘子 :5 分漸増負荷法に基づく相対心拍数 / 仕事率係数による心肺持久力の評価, 神戸市看護大学紀要,1,27-32,1997 3) 白石龍生, 吉岡隆之 : 相対心拍数 / 仕事率係数のヘルスプロモーションへの応用, 大阪教育大学紀要第 Ⅲ 部門, 47,171-177,1998 4) 吉岡隆之, 藤本繁夫 :Δ%HR/ΔWRの推定値と実測値の相関, 関西臨床スポーツ医 科学研究会誌,8,15-17, 1998 5)YoshiokaT andfujimotos:predictivevalidityofslopeofmodifiedrelativeheartrateonworkrate(δ %HR/ΔWR)forcardiorespiratoryenduranceindexinnon-athletes,JpnBHealthFitNutr,7,3-10,2000 6) 吉岡隆之 近森栄子 白石龍生 : 健康づくりのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率の再現性, 奈良学園大学紀要,9,169-174,2018 7) 吉岡隆之, 近森栄子, 白石龍生 : 健康づくりのための心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率の実用的意義, 奈良学園大学紀要,3,143-151,2015 8) 吉岡隆之, 藤本繁夫, 後和美朝, 白石龍生 : 継続的な身体トレーニングが心肺持久性指標としての相対心拍数増加率に及ぼす影響 : 競技者と非競技者の比較, 神戸市看護大学紀要,8,1-8,2004 9) 吉岡隆之, 近森栄子, 白石龍生 : 心肺持久性評価指標としての相対心拍数増加率と健康関連因子の相互関係, 大阪教育大学紀要第 Ⅲ 部門,64(2),7-13,2016

182 10)YoshiokaT,ShiraishiT,ChikamoriE,KasamatsuT,FujimotoS:Age-relateddeclineincardiorespiratory enduranceassessed by slopeofmodified relativeheartrateon work rate(δ%hr/δwr)in men and women,jpnbhealthfitnutr,6,21-27,1999 11) 中央労働災害防止協会編 : ヘルスケア トレーナー養成研修テキスト (Ⅱ) 心とからだの健康づくり (THP), pp157-221,1990 12)KarvonenMJ,KentalaE,MustalaO:Theefectsoftrainingonheartrate:A longitudinalstudy,annmed ExperBiolFenn,35,307-315,1957 13)WassermanK,HansenJE,SueDY,WhippBJ:Principlesofexercisetestingandinterpretation,pp58-71, LeaandFebiger,Philadelphia,1987 14) 東京都立大学身体適正学研究室 : 日本人の体力標準値 ( 第四版 ), 不昧堂, 東京,1990 15) 中央労働災害防止協会健康測定データ分析研究委員会 : 健康測定結果のデータ分析に関する研究報告書 : 健康 測定受診者の性 年齢別運動機能検査値の実態と評価基準について,1995 16)AsmussenE,FruensgaardK,NøgaardS:A folow-uplongitudinalstudyofselectedphysiologicalfunctions informerphysicaleducationstudents:afterfortyyears,jam GeriatrSoc,23,442-450,1975 17)Åstrand I,Åstrand PO,Halbäck I,Kilbom Å:Reduction in maximaloxygen uptakewith age,jappl Physiol,35,649-654,1973 18)CemplaJ,SzopaJ:Decreaseofmaximum oxygenconsumptioninmenandwomenduringthefourthto sixthdecadesoflife:inthelightofcross-sectionalstudiesofcracow population,biolsport,2,45-59,1985 毅 19)FlegJLLakataEG:Roleofmusclelossintheage-associatedreductioninV O2 max,japplphysiol,65, 1147-1151,1988 20)HossackKF,BruceRA:Maximalcardiacfunctioninsedentarynormalmenandwomen:Comparisonofagerelatedchanges,JApplPhysiol,53,799-804,1982 21)Plowman SA,DrinkwaterBL,Horvath SM:Age and aerobic powerin women:longitudinalstudy,j Gerontol,34,512-520,1975 毅 22)RogersMA HagbergJM Martin IWH EhsaniAA HoloszyJO:DeclineinV O2 maxwithaginginmaster athletesandsedentarymen,japplphysiol,68,2195-2199,1990 23)TothMJ,GardnerAW,AdesPA,PoehlmanET:Contributionofbodycompositionandphysicalactivityto 毅 age-relateddeclineinpeakv O2 maxinmenandwomen,japplphysiol,77,647-652,1994