平 成 21 年 度 戦 略 的 基 盤 技 術 高 度 化 支 援 事 業 人 と 機 械 が 協 調 した 精 密 加 工 支 援 ロボットの 開 発 研 究 開 発 成 果 等 報 告 書 平 成 22 年 3 月 委 託 者 中 部 経 済 産 業 局 委 託 先 財 団 法 人 岐 阜 県 研 究 開 発 財 団 1
第 1 章 研 究 開 発 の 概 要 1-1 研 究 開 発 の 背 景 研 究 目 的 及 び 目 標 部 品 製 造 では 製 造 途 中 にできる 不 要 なバリなどを 取 り 除 く 仕 上 げ 加 工 の 工 程 が 必 須 である 大 量 生 産 部 品 の 場 合 には 形 状 条 件 を 設 定 しプログラ ムすれば 自 動 的 に 仕 上 げ 加 工 ができ 製 品 が 完 成 す る 一 方 多 品 種 少 量 部 品 の 場 合 には このような 作 業 は 却 って 効 率 が 悪 く 一 般 に 仕 上 げ 加 工 は 作 業 者 により 一 品 一 品 行 われている しかしながら これら の 作 業 は 大 変 集 中 力 の 必 要 な 作 業 であり 加 工 プロセ スにおける 工 具 の 回 転 やバリ 等 から 加 わる 力 の 変 動 の 結 果 部 分 的 な 削 り 過 ぎなどの 一 瞬 の 加 工 ミスによって 部 品 が 使 用 不 能 になるなど 部 材 の 無 駄 や 作 業 の 無 駄 が 多 く 発 生 している 例 えば 加 工 によって 生 じるバリ 等 の 不 要 部 分 を 手 加 工 によって 50μm オーダーの 精 度 で 仕 上 げる 場 合 100φ 35 のリング 状 部 品 では 加 工 に 10 分 バリ 取 り 等 の 仕 上 げ 加 工 には 熟 練 技 術 者 の 手 で 5 分 を 要 しているほか 歩 留 まりは 95%に 留 まっており 仕 上 げの 短 時 間 化 及 び 未 熟 練 者 であっても 精 度 の 高 い 仕 上 げ 加 工 が 切 望 されている このような 背 景 から 多 品 種 少 量 生 産 の 現 場 では バリ 取 り 加 工 に 対 するニーズが 非 常 に 高 く 平 成 18 年 度 に 独 立 行 政 法 人 新 エネルギー 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 が 岡 山 県 産 業 振 興 財 団 に 委 託 した 円 弧 補 完 制 御 機 能 を 利 用 した 産 業 用 ロボットの 事 業 可 能 性 調 査 の 報 告 書 で も アルミダイキャスト 銑 鉄 鋳 物 自 動 車 業 界 で バリ 取 りのニーズは 非 常 に 高 い とい う 結 果 が 得 られている さらに 多 品 種 少 量 部 品 の 加 工 企 業 約 二 十 社 を 独 自 にリサーチした 結 果 そのほとんどの 企 業 でこのような 多 品 種 少 量 部 品 の 精 密 加 工 支 援 ロボットの 要 望 があった 一 例 としてプレス 加 工 業 者 は 金 型 製 作 時 における 内 部 の 細 溝 部 や 穴 及 び 凹 凸 部 のバリ 除 去 に 熟 練 技 術 と 時 間 を 要 し 独 自 の 切 削 刃 物 を 製 作 するなど 対 応 に 苦 慮 している また プレス 製 品 のバリ 除 去 に ついても 形 状 的 に 機 械 化 が 難 しい 部 分 ( 薄 板 や 曲 線 部 などの 複 雑 な 形 状 部 )の 処 理 や 航 空 機 部 品 加 工 会 社 における 難 削 材 の 複 雑 な 形 状 の 加 工 に 多 くの 時 間 を 費 やしている このよう に 従 来 の 少 品 種 大 量 生 産 型 のバリ 除 去 装 置 では 対 応 不 可 能 な 現 場 が 多 く 存 在 しており バリ 取 り 作 業 の 効 率 化 の 要 望 は 非 常 に 高 く 高 い 市 場 性 が 期 待 できる 2
本 研 究 では 仕 上 げ 加 工 の 精 度 向 上 と 効 率 向 上 を 目 指 し 次 のような 目 標 を 設 定 する 1. 加 工 精 度 を 50μm 以 下 に 向 上 小 物 加 工 部 品 のバリ 取 り 等 の 際 現 状 では 熟 練 技 術 者 の 手 による 加 工 精 度 は 50μm オーダーで 十 分 とされていることから 本 装 置 による 加 工 精 度 の 目 標 は 未 熟 練 者 においても 50μm 以 下 とする 2. 仕 上 げ 加 工 時 間 を 従 来 の 80% 以 下 に 短 縮 例 えば 100φ 35 のリング 状 部 品 の 仕 上 げ 加 工 では 従 来 5 分 かかっていたも のを 未 熟 練 者 でも 開 発 する 精 密 加 工 支 援 ロボットを 利 用 することによって 同 様 の 作 業 を1 分 以 上 短 縮 できるようにする 3. 歩 留 りを 95%から 99%に 上 げる 現 在 の 歩 留 まり 率 が 約 95%であるが これを 99%まで 向 上 させる 4. 従 来 のバリ 取 り 専 用 機 では 困 難 であった 多 品 種 少 量 部 品 の 加 工 に 対 応 本 提 案 のロボットでは 特 別 なプログラムの 設 定 を 必 要 とせず 人 が 直 感 的 に 操 作 することによりバリ 取 り 他 の 精 密 加 工 仕 上 げをすることができるものであり 全 く 異 なる 発 想 のものである 1-2 研 究 体 制 1) 研 究 組 織 ( 全 体 ) 財 団 法 人 岐 阜 県 研 究 開 発 財 団 再 委 託 株 式 会 社 岩 田 製 作 所 再 委 託 国 立 大 学 法 人 岐 阜 大 学 総 括 研 究 代 表 者 (PL) 株 式 会 社 岩 田 製 作 所 取 締 役 開 発 部 長 岩 田 光 一 副 総 括 研 究 代 表 者 (SL) 国 立 大 学 法 人 岐 阜 大 学 准 教 授 矢 野 賢 一 3
2) 管 理 体 制 1 事 業 管 理 者 財 団 法 人 岐 阜 県 研 究 開 発 財 団 理 事 長 副 理 事 長 兼 専 務 理 事 事 務 局 長 技 術 振 興 部 総 務 課 プロジェク ト 推 進 課 総 務 係 再 委 託 株 式 会 社 岩 田 製 作 所 国 立 大 学 法 人 岐 阜 大 学 2( 再 委 託 先 ) 株 式 会 社 岩 田 製 作 所 代 表 取 締 役 社 長 総 務 部 技 術 部 開 発 部 国 立 大 学 法 人 岐 阜 大 学 学 長 工 学 部 長 工 学 部 人 間 情 報 システム 工 学 科 矢 野 賢 一 研 究 室 工 学 部 会 計 係 4
(2) 管 理 員 及 び 研 究 員 氏 名 事 業 管 理 者 財 団 法 人 岐 阜 県 研 究 開 発 財 団 1 管 理 員 氏 名 所 属 役 職 実 施 内 容 ( 番 号 ) 堀 部 哲 曽 賀 野 健 一 技 術 振 興 部 長 兼 技 術 振 興 課 長 プロジェクト 推 進 課 技 術 主 査 5 5 再 委 託 先 2 研 究 員 株 式 会 社 岩 田 製 作 所 氏 名 所 属 役 職 実 施 内 容 ( 番 号 ) 岩 田 光 一 佐 々 木 利 春 安 藤 幸 二 開 発 部 部 長 技 術 部 係 長 技 術 部 係 長 2 3 4 2 3 4 2 3 4 国 立 大 学 法 人 岐 阜 大 学 氏 名 所 属 役 職 実 施 内 容 ( 番 号 ) 矢 野 賢 一 工 学 部 人 間 情 報 システム 工 学 科 准 教 授 1 3 1-3 成 果 概 要 本 研 究 では 作 業 者 の 加 工 仕 上 げ 精 度 検 知 能 力 の 高 度 化 を 目 的 とした 高 精 度 力 (ちから) フィードバック 制 御 技 術 を 開 発 し 加 工 面 の 状 況 をリアルタイムで 高 精 度 に 感 じながら ミスな く 高 品 質 な 加 工 が 行 える 加 工 支 援 ロボットを 実 現 する 具 体 的 には 1 工 具 の 回 転 やバリ 等 の 外 乱 による 力 の 影 響 を 除 去 し 加 工 状 況 を 繊 細 に 感 じ 取 ることを 可 能 にするデジタル 適 応 フィルタ リング 技 術 2 作 業 者 の 加 工 仕 上 げ 精 度 検 知 能 力 を 高 度 化 する 高 精 度 力 フィードバック 制 御 技 術 3 精 密 加 工 中 の 外 乱 を 抑 制 しながら 微 細 な 力 加 減 をアシストする 微 細 加 工 を 実 現 する 最 適 制 御 技 術 4ロボットの 手 先 と 作 業 対 象 物 が 不 用 意 に 接 触 しないよう 制 御 を 行 う 衝 突 回 避 制 御 技 術 5ロボットに 容 易 に 装 着 可 能 な 電 動 工 具 及 びドリル 回 転 速 度 を 制 御 可 能 な 制 御 ドライバの 開 発 を 行 い 加 工 部 品 の 精 密 仕 上 げをする 際 の 加 工 ミスを 低 減 すると 同 時 に 短 時 間 で 高 精 度 均 一 な 5
仕 上 げを 実 現 する 人 と 機 械 が 協 調 した 精 密 加 工 支 援 ロボットを 開 発 し 製 品 化 することを 目 的 と する 平 成 21 年 度 に 得 られた 研 究 成 果 の 概 要 を 以 下 に 示 す 1デジタル 適 応 フィルタリング 技 術 の 開 発 図 1 に 示 すような 手 先 に 力 覚 センサを 持 つ 多 自 由 度 マニピュレータを 用 いた 加 工 支 援 ロ ボットを 開 発 し 多 品 種 少 量 生 産 でもミスなく 仕 上 げ 加 工 を 行 うことができる 加 工 支 援 シス テムを 実 現 することを 目 的 とした 具 体 的 には 力 覚 センサで 計 測 される 信 号 に 混 在 する 作 業 者 の 操 作 力 と 工 具 からの 接 触 力 および 回 転 摩 擦 力 を 本 研 究 で 新 たに 提 案 する 片 持 ち 梁 モ デルに 基 づく 適 応 モデリング 法 によりそれぞれ 分 離 することにより 回 転 工 具 による 加 工 外 乱 の 影 響 を 取 り 除 き 作 業 者 がミスをしない 加 工 外 乱 抑 制 制 御 を 行 った 結 果 として 力 覚 センサが 一 つという 制 約 下 で 人 の 操 作 力 と 接 触 力 の 分 離 を 実 現 するとともに 工 具 回 転 の 影 響 を 受 けて 加 工 面 からはじかれる 現 象 を 抑 制 した 加 工 支 援 ロボットによる 加 工 2 高 精 度 力 フィードバック 制 御 技 術 の 開 発 シリアルリンク 構 造 で 直 動 XYZ 構 造 と3 軸 の 自 由 関 節 を 持 つ6 自 由 度 マニピュレータ の 仕 上 げ 加 工 支 援 ロボットを 製 作 した 結 果 加 工 精 度 の 向 上 は 確 認 されたが シリアルリン ク 構 造 の 欠 点 である 装 置 の 大 型 化 や 先 端 加 工 部 分 の 撓 みによる 制 御 への 悪 影 響 が 観 察 され たことにより 本 研 究 の 目 標 である 加 工 精 度 50μm 以 下 で 本 体 重 量 50kg 以 下 を 達 成 す ることは 困 難 である そこで 本 研 究 では, 先 端 撓 みが20μm 以 下 で 小 型 軽 量 になる 構 造 と して パラレルリンク 構 造 の 採 用 を 検 討 した 岐 阜 大 学 矢 野 研 究 室 のハプティックスディバイス デルタ の 動 作 特 性 構 造 を 参 考 にして その 特 性 や 問 題 点 を 把 握 するために 試 作 パラレルリンクロボットを1 台 製 作 した 設 計 に 6
おいては 先 端 に100Nの 荷 重 がかかった 場 合 先 端 撓 みが20μm 以 下 であることを 条 件 に 3DCADにて 応 力 解 析 を 行 いリンク 部 の 太 さを 選 定 した 左 写 真 は 試 作 完 成 したパラレルリンクロボットであるが リンク 部 および 先 端 プレート 重 量 が 剛 性 を 意 識 するあまり 当 初 計 画 より 重 くなってしまい10Nm 以 上 のトルク 能 力 を 持 つ サーボモーターが 必 要 となり 当 初 計 画 のモーター( 許 容 トルク4Nm)は 使 用 できないこ とが 判 明 した 全 体 重 量 を 下 げるためにリンクの 軽 減 化 の 検 討 を 実 施 して 剛 性 を 保 ちなが らリンクを 軽 減 するH 型 構 造 に 軽 減 孔 を 開 ける 設 計 を 実 施 し 3DCADで 応 力 解 析 を 行 い 撓 みの 確 認 を 行 った 先 端 に100Nの 荷 重 がかかった 状 態 で20μm 以 内 であることを 確 認 した リンク 軽 減 軽 減 効 果 は 全 体 で 1000gとなったが モーターの 小 型 化 には 至 らなかった またパラレル リンクロボットを 設 置 するベース 部 分 の 剛 性 を 要 求 されるため アルミフレーム 構 造 で 設 計 し 応 力 解 析 を 行 い 撓 みが 最 大 で20μ 以 内 であることを 確 認 した パラレルリンクロボッ トにドリルを 装 着 するためのブラケットも 同 時 に 設 計 して 応 力 解 析 をして 撓 みの 確 認 を 行 っ た またロボット 先 端 部 は 加 工 ドリル 取 り 付 け 用 のブラケット 装 着 できる 機 構 とした 先 端 部 サーボモーター 装 着 仕 様 XYZ+ 回 転 の4 自 由 度 タイプ 試 作 パラレルリンクロボットを 岐 阜 大 学 工 学 部 矢 野 研 究 室 に 持 ち 込 み 動 作 確 認 を 行 った 結 果 動 作 上 の 問 題 はないことが 確 認 された 3 精 密 加 工 支 援 ロボット( 試 作 機 )の 開 発 精 密 加 工 支 援 ロボット( 試 作 機 )のハード 開 発 精 密 加 工 支 援 ロボットの 機 構 的 には 現 在 のパラレルリンクロボット 構 造 で 問 題 がないこ とより 軽 量 化 とよりコンパクト 化 を 重 点 に 再 検 討 を 実 施 した 材 料 がアルミ 構 造 の 場 合 そ の 材 料 強 度 の 問 題 より 軽 量 化 に 限 度 があると 考 えられることより リンク 素 材 として 比 重 が 低 く 高 強 度 な 素 材 であるカーボンファイバーの 採 用 を 検 討 した カーボンファイバーは 軽 量 で 強 度 弾 性 率 が 極 めて 高 い( 比 強 度 [ 引 っ 張 り 強 度 / 比 重 ]は 7
鉄 の10 倍 ) リンク 部 先 端 プレート 部 をカーボンファイバーにて 設 計 し 応 力 解 析 を 実 施 した 応 力 解 析 の 結 果 撓 みは 問 題 がなかった 重 量 検 討 結 果 リンク 部 先 端 プレート 部 でさらに1kgの 軽 量 化 が 可 能 になったことによりサーボモー ターの 小 型 化 が 可 能 になった 結 果 として パ ラ レ ル リ ン ク ロ ボ ッ ト 本 体 重 量 は 10.95kg となり 約 13kgの 軽 量 化 ほぼ 当 初 目 標 を 満 足 できるものと 考 えられる 精 密 加 工 支 援 ロボット( 試 作 機 )のソフト 開 発 本 研 究 では 仕 上 げ 加 工 支 援 を 対 象 としたバイラテラル 制 御 系 の 提 案 と 構 築 を 行 った そし て 次 に 構 築 したバイラテラル 制 御 系 に 対 して 切 削 加 工 条 件 を 切 削 力 回 転 数 移 動 速 度 単 位 時 間 当 たりの 切 削 量 および 切 削 率 から 構 成 されるものとし それぞれの 入 力 値 を 相 互 的 に 更 新 することで 切 削 量 を 一 定 とする 手 法 を 提 案 した この 手 法 では 作 業 者 あるいはロボットが 直 接 制 御 可 能 な 切 削 力 回 転 数 移 動 速 度 の 三 要 素 を 制 御 する この 手 法 を 用 いることで 工 具 移 動 速 度 や 切 削 力 の 変 動 に 対 して その 他 の 要 素 がこれを 補 うように 更 新 され 切 削 量 が 一 定 となるよう 制 御 される これによって ハプティクスやバイラテラル 制 御 を 仕 上 げ 加 工 に 応 用 した 際 に 発 生 する 急 激 な 速 度 変 化 や 切 削 力 の 安 定 化 の 限 界 等 の 問 題 を 解 決 した 2 台 製 作 完 了 し 岐 阜 大 学 矢 野 研 究 室 での 制 御 ソフト 開 発 と 岩 田 製 作 所 現 場 での 耐 久 性 検 証 を 実 施 中 である ロボット 本 体 の 今 後 の 課 題 カーボンファイバーのコストダウン 検 討 ( 事 業 化 に 向 けて) カーボンファイバーとアルミリンク 接 合 部 ( 接 着 )の 耐 久 性 検 証 と 温 度 変 化 検 証 先 端 機 構 の 優 位 性 の 検 討 4 電 動 工 具 及 び 制 御 ドライバの 開 発 ロボット 装 着 電 動 工 具 の 開 発 条 件 ロボットが 把 持 しやすい 形 状 : 円 筒 形 小 型 : 全 長 150 以 下 直 径 φ30 以 下 軽 量 :500g 以 下 8
最 高 回 転 数 50,000rpm ツール 撓 み:5μm 以 下 目 標 に 設 計 を 実 施 性 能 としては 回 転 数 60,000rpm スピンドル 精 度 1μm 以 内 最 大 トルク 8.82N cm 重 量 400g でありほぼ 目 標 値 を 満 足 できるものになった 今 後 はさらに 軽 量 小 型 化 を 推 進 していく ロボットの 力 制 御 と 連 動 してそれぞれの 材 料 に 対 応 した 最 適 な 工 具 回 転 数 や 工 具 回 転 の 影 響 によるビビり 外 乱 を 制 御 するドライバーの 開 発 に 関 しては 現 在 開 発 中 である 次 年 度 以 降 も 課 題 として 開 発 を 継 続 していく 予 定 である 5プロジェクトの 管 理 運 営 ( 財 団 法 人 岐 阜 県 研 究 開 発 財 団 ) 本 プロジェクトの 事 業 管 理 者 として 研 究 を3 機 関 に 委 託 し その 管 理 を 行 い 本 研 究 事 業 の 今 年 度 の 報 告 書 を 作 成 した また 委 員 会 を2 回 開 催 し 意 見 交 換 による 研 究 事 業 の 推 進 を 図 った 1-4 当 該 研 究 開 発 の 連 絡 窓 口 1 事 業 管 理 者 財 団 法 人 岐 阜 県 研 究 開 発 財 団 プロジェクト 推 進 課 曽 賀 野 健 一 509-0109 岐 阜 県 各 務 原 市 テクノプラザ 一 丁 目 1 番 地 ( 最 寄 り 駅 : 東 海 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 高 山 本 線 蘇 原 駅 ) TEL:058-379-2212 FAX:058-379-2215 E-mail:sogano@gikenzai.or.jp 2 研 究 実 施 場 所 株 式 会 社 岩 田 製 作 所 開 発 部 岩 田 光 一 501-3264 岐 阜 県 関 市 池 尻 923-1 ( 最 寄 り 駅 : 長 良 川 鉄 道 株 式 会 社 越 美 南 線 関 駅 ) TEL:0575-23-6161 FAX:0575-23-6161 E-mail:koichi_iwata@shalwin.co.jp 9
国 立 大 学 法 人 岐 阜 大 学 工 学 部 人 間 情 報 システム 工 学 科 准 教 授 矢 野 賢 一 501-1193 岐 阜 県 岐 阜 市 柳 戸 1 番 1 ( 最 寄 り 駅 : 東 海 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 岐 阜 駅 ) TEL:058-293-2507 FAX:058-293-2507 E-mail:yano-k@gifu-u.ac.jp 第 2 章 本 論 -(1) 部 品 製 造 では 製 造 途 中 にできる 不 要 なバリなどを 取 り 除 く 仕 上 げ 加 工 の 工 程 が 必 須 である 大 量 生 産 部 品 の 場 合 には プログラムによって 自 動 的 に 仕 上 げ 加 工 ができ 製 品 が 完 成 するが 多 品 種 少 量 部 品 の 仕 上 げ 加 工 は 作 業 者 により 一 品 一 品 行 われている こうした 作 業 では 加 工 プ ロセスにおける 工 具 の 回 転 やバリ 等 から 加 わる 力 の 変 動 の 結 果 部 分 的 な 削 り 過 ぎなどの 一 瞬 の 加 工 ミスによって 部 品 が 使 用 不 能 になるなど 部 材 や 作 業 の 無 駄 が 多 く 発 生 している 本 研 究 では 作 業 者 の 加 工 仕 上 げ 精 度 検 知 能 力 の 高 度 化 を 目 的 とした 高 精 度 力 (ちから) フィードバック 制 御 技 術 を 開 発 し 加 工 面 の 状 況 をリアルタイムで 高 精 度 に 感 じながら ミスな く 高 品 質 な 加 工 が 行 える 加 工 支 援 ロボットを 実 現 する 具 体 的 には 1 工 具 の 回 転 やバリ 等 の 外 乱 による 力 の 影 響 を 除 去 し 加 工 状 況 を 繊 細 に 感 じ 取 ることを 可 能 にするデジタル 適 応 フィルタ リング 技 術 2 作 業 者 の 加 工 仕 上 げ 精 度 検 知 能 力 を 高 度 化 する 高 精 度 力 フィードバック 制 御 技 術 3 精 密 加 工 中 の 外 乱 を 抑 制 しながら 微 細 な 力 加 減 をアシストする 微 細 加 工 を 実 現 する 最 適 制 御 技 術 4ロボットの 手 先 と 作 業 対 象 物 が 不 用 意 に 接 触 しないよう 制 御 を 行 う 衝 突 回 避 制 御 技 術 5ロボットに 容 易 に 装 着 可 能 な 電 動 工 具 及 びドリル 回 転 速 度 を 制 御 可 能 な 制 御 ドライバの 開 発 を 行 い 加 工 部 品 の 精 密 仕 上 げをする 際 の 加 工 ミスを 低 減 すると 同 時 に 短 時 間 で 高 精 度 均 一 な 仕 上 げを 実 現 する 人 と 機 械 が 協 調 した 精 密 加 工 支 援 ロボットを 開 発 し 製 品 化 することを 目 的 と する 平 成 21 年 度 に 得 られた 研 究 成 果 の 概 要 を 以 下 に 示 す 2-1 デジタル 適 応 フィルタリング 技 術 の 開 発 大 量 生 産 の 部 品 加 工 と 異 なり 多 品 種 少 量 部 品 の 加 工 やバリ 取 り 等 の 仕 上 げ 作 業 は 作 業 者 により 一 品 一 品 行 われている しかしながら これら 作 業 は 大 変 集 中 力 の 必 要 な 作 業 であ り 加 工 プロセスにおける 工 具 の 回 転 による 外 乱 や 部 分 的 な 削 りすぎなどの 一 瞬 の 加 工 ミス によって 部 品 が 使 用 不 可 能 になるなど 部 材 や 作 業 の 無 駄 が 多 く 発 生 している 大 量 生 産 を 目 的 とした 仕 上 げ 加 工 プロセスの 自 動 化 に 関 しては これまで 非 常 に 多 くの 研 10
究 が 行 われてきた しかしながら 従 来 までの 研 究 は すべて 仕 上 げ 加 工 を 自 動 化 するため の 研 究 であり 被 加 工 物 の 位 置 や 形 状 の 情 報 が 事 前 に 必 要 となる 多 品 種 少 量 部 品 の 仕 上 げ 加 工 を 対 象 とした 場 合 特 注 品 にも 迅 速 に 対 応 可 能 なシステムが 要 求 されるのに 対 し これ では 作 業 開 始 までの 段 取 りに 時 間 をとられてしまう さらには 自 動 化 されたシステムの 問 題 点 として 被 加 工 物 位 置 のずれや 形 状 の 歪 みに 対 する 加 工 不 良 の 問 題 が 課 題 として 残 って いる そこで 本 プロジェクトでは 図 1 に 示 すような 手 先 に 力 覚 センサを 持 つ 多 自 由 度 マニ ピュレータを 用 いた 加 工 支 援 ロボットを 開 発 し 多 品 種 少 量 生 産 でもミスなく 仕 上 げ 加 工 を 行 うことができる 加 工 支 援 システムを 実 現 することを 目 的 とした 具 体 的 には 力 覚 センサ で 計 測 される 信 号 に 混 在 する 作 業 者 の 操 作 力 と 工 具 からの 接 触 力 および 回 転 摩 擦 力 を 本 研 究 で 新 たに 提 案 する 片 持 ち 梁 モデルに 基 づく 適 応 モデリング 法 によりそれぞれ 分 離 すること により 回 転 工 具 による 加 工 外 乱 の 影 響 を 取 り 除 き 作 業 者 がミスをしない 加 工 外 乱 抑 制 制 御 を 行 った Machining support robot 結 果 として 力 覚 センサが 一 つという 制 約 下 で 人 の 操 作 力 と 接 触 力 の 分 離 を 実 現 するとと もに 下 図 に 示 すように 回 転 工 具 による 影 響 の 補 正 を 行 わない 場 合 と 比 較 して 工 具 回 転 の 影 響 を 受 けて 加 工 面 からはじかれる 現 象 を 抑 制 した 本 システムが 導 入 される 事 により 多 品 種 少 量 生 産 現 場 での 仕 上 げ 加 工 の 製 品 不 良 防 止 に 加 え 人 と 機 械 の 協 調 による 複 雑 形 状 の 精 密 加 工 や 加 工 時 間 の 短 縮 につなげることが 可 能 となる 11
Experimental results 2-2 高 精 度 力 フィードバック 制 御 技 術 の 開 発 1ロボット 構 造 の 検 討 シリアルリンク 構 造 で 直 動 XYZ 構 造 と3 軸 の 自 由 関 節 を 持 つ6 自 由 度 マニピュレータの 仕 上 げ 加 工 支 援 ロボットによる 実 験 の 結 果 未 経 験 者 による 加 工 精 度 の 向 上 は 確 認 されたが シリアルリンク 構 造 の 構 造 的 欠 点 である 問 題 点 が 多 く 確 認 された 1. 中 間 関 節 部 にモーター 等 を 装 着 するため 先 端 部 分 が 重 くなり それを 支 える 付 け 根 部 分 の 剛 性 が 要 求 される 事 となり 装 置 が 大 型 化 し 重 量 が 重 くなる 2.リンクを 直 線 的 につなぐ 構 造 のためリンク 部 の 撓 みが 相 乗 的 に 累 積 され 制 御 上 の 大 きな 制 約 になる 3.ノイズ 等 による 暴 走 時 の 安 全 対 策 が 困 難 である 以 上 の 点 より 本 研 究 においては 根 本 的 な 構 造 の 変 更 を 検 討 した 検 討 の 結 果, 小 型 軽 量 化 が 期 待 できる 構 造 として パラレ ルリンク 構 造 の 採 用 を 検 討 する パラレルリンク 構 造 は 右 図 に 示 すように リンクが 並 列 に 並 び 先 端 部 にかかる 荷 重 を リンク 同 士 が 支 えあう 構 造 であることから シリアルリンク 構 造 に 比 較 して 剛 性 があり 小 型 軽 量 化 が 期 待 できる さらに シリアルリンク 構 造 のように 関 節 部 にモーターをつける 構 造 に 比 較 すると 構 造 が 単 純 であり 自 重 を 支 える 必 要 もない 12
ためモーターの 小 型 化 が 可 能 であり その 結 果 として 製 作 コストの 削 減 が 期 待 できる 岐 阜 大 学 矢 野 研 究 室 のハプティッ クスディバイス デルタ の 動 作 特 性 構 造 剛 性 などを 観 察 し パラ レルリンクロボットの 特 性 や 問 題 点 を 把 握 するために 試 作 パラレルリ ンクロボットを1 台 製 作 した 設 計 に おいては 先 端 に100Nの 荷 重 ( 先 端 ドリル+ 力 覚 センサ+ 加 工 負 荷 の 想 定 値 )がかかった 場 合 先 端 撓 みが20μm 以 下 であることを 条 件 に3DCADにて 応 力 解 析 を 行 い リンク 部 の 太 さを 設 計 した 右 写 真 は 試 作 完 成 したパラレルリンクロボットであるが リンク 部 および 先 端 プレート 重 量 が 剛 性 を 意 識 するあま り 当 初 計 画 より 重 くなってしまい(12,449g)1 0Nm 以 上 のトルク 能 力 を 持 つサーボモーターが 必 要 と なり 当 初 計 画 のモーター( 許 容 トルク4Nm)は 使 用 できないことが 判 明 した 全 体 重 量 を 下 げるためにリン クの 軽 減 化 の 検 討 を 実 施 して 剛 性 を 保 ちながらリンク を 軽 減 するH 型 構 造 に 軽 減 孔 を 開 ける 設 計 を 実 施 し 3 DCADで 応 力 解 析 を 行 い 撓 みの 確 認 を 行 った 軽 量 化 前 24,027.7gに 対 し 軽 量 化 後 22,879.3gとなった 1148.4gの 軽 量 化 効 果 がえられた リンク 軽 減 は 全 体 で1148.9gとなったが モーターの 小 型 化 には 至 らな 13
かった 先 端 に100Nの 荷 重 がかかった 状 態 で20μm 以 内 であることを 確 認 した 解 析 結 果 は 軽 量 化 前 後 での 撓 み 量 はほとんど 変 化 がなかったのでリンクアーム 軽 量 化 加 工 を 実 施 した パラレルリンクロボットを 設 置 するベース 部 分 の 剛 性 を 要 求 されるため アルミフレーム 構 造 で 設 計 し 応 力 解 析 を 行 い 撓 みが 最 大 で20 μ 以 内 であることを 確 認 した 電 動 工 具 取 り 付 けブラケットの 設 計 と 応 力 解 析 パラレルリンクロボットにドリルを 装 着 するため のブラケットも 同 時 に 設 計 して 応 力 解 析 をして 撓 みの 確 認 を 行 い 全 く 問 題 がなかった ドリル 把 持 部 ブラケット 試 作 ロボットはパラレルリンクロボット 本 体 部 で 重 量 23.99kgとなり 研 究 目 標 のロ ボット 総 重 量 50kg 以 内 とするには 使 用 素 材 や 機 構 の 根 本 的 な 再 検 討 する 課 題 が 残 った またロボット 先 端 部 は 加 工 ドリル 取 り 付 け 用 のブラケット 装 着 できるような 機 構 とした 先 端 部 サーボモーター 装 着 仕 様 XYZ+ 回 転 の4 自 由 度 タイプ 実 験 装 置 のモデルの 検 証 を 行 い 検 証 実 験 と して 各 軸 方 向 にサイン 波 の 重 ね 合 わせにより 位 置 指 令 を 与 えた 図 の 青 線 が 指 令 値 赤 線 が 実 験 値 となる この 図 より 目 標 軌 道 に 追 従 してい ることがわかる これにより 動 作 の 妥 当 性 が 実 証 された その 結 果 動 作 上 の 機 構 的 な 問 題 が 無 いことが 確 認 さ れた 2 残 された 課 題 1.ロボット 重 量 が 約 22.9kgとなるため 更 なる 小 型 軽 量 化 構 造 の 研 究 2.パラレルリンク 構 造 による 作 業 者 へのリンクの 干 渉 の 検 証 3. 作 業 者 の 作 業 性 の 検 証 改 良 4.ロボットの 大 きさに 比 べ 動 作 範 囲 がせまい (リミットスイッチ 位 置 ベースプレート 等 の 問 題 ) 14
5.ロボット 本 体 重 量 22.9kg 制 御 機 器 重 量 ベース 部 重 量 6kg 91kg 総 重 量 119.9kgで 目 標 50kgを 大 きく 上 回 った 以 上 の 課 題 を 今 後 研 究 して 実 用 化 事 業 化 をめざす 2-3 精 密 加 工 支 援 ロボット( 試 作 機 )の 開 発 2-3-1 精 密 加 工 支 援 ロボットハードウエアーの 開 発 岐 阜 大 学 矢 野 研 究 室 のパラレルリンクロボット デルタ の 動 作 確 認 および 構 造 解 析 のデ ータやサブテーマ2-2で 試 作 したパラレルリンクロボットのデータより 動 作 的 な 問 題 はない と 判 断 できる そこで 以 下 の 課 題 に 重 点 を 置 き 精 密 加 工 支 援 ロボットの 開 発 を 実 施 した 1.ロボットの 徹 底 した 小 型 軽 量 化 2.ロボットの 動 作 範 囲 の 拡 大 課 題 1に 関 して 材 料 がアルミ 構 造 の 場 合 その 材 料 強 度 の 問 題 より 軽 量 化 に 限 度 があると 考 えられることより リンク 素 材 として 比 重 が 低 く 高 強 度 な 素 材 であるカーボンファイバーの 採 用 を 検 討 した カーボンファイバー 比 重 1.8 アルミ(A6063) 比 重 2.7 カーボンファイバー 比 強 度 : 鉄 の 約 10 倍 * 比 強 度 = 引 張 強 さ/ 比 重 比 弾 性 率 : 鉄 の 約 7 倍 比 弾 性 率 = 弾 性 率 / 比 重 材 質 比 重 引 張 強 さ(MPa) 比 強 度 通 常 カーボンファイバー 1.8 約 1260 約 700 アルミ(A6063) 2.7 310 114 鉄 (S45C) 7.8 570 73 採 用 検 討 カーボンファイバーHR40 1.65 2920 1770 上 表 より 剛 性 が 必 要 で 且 つ 軽 量 化 が 求 められる 本 研 究 パラレルリンクロボットの 材 料 として は 理 想 的 な 素 材 といえる 採 用 検 討 カーボンファイバーは さらに 比 強 度 が 高 い 材 料 であり 比 強 度 は 通 常 材 の2.5 倍 で 鉄 の24 倍 あり 本 材 料 の 採 用 を 決 定 する 1カーボンファイバー 材 リンクアームの 設 計 と 応 力 解 析 本 研 究 においてのカーボンファイバー 材 は リンクのアーム 部 と 先 端 プレート 部 に 使 用 を 試 み る 中 間 ジョイント 部 は 構 造 が 複 雑 になるためコストが 非 常 に 高 価 になるのでアルミ 材 で 製 作 し アーム 部 をカーボンファイバー 材 のパイプを 製 作 してアルミジョイント 部 と 接 着 剤 で 固 定 15
する 方 法 を 採 用 する 1 次 リンクは 3 本 で1 次 リンクより 先 の 荷 重 を 支 えることより 1 本 あたり50Nの 荷 重 に 対 応 できればよいと 推 測 されるので 片 持 ち 梁 で50Nの 荷 重 条 件 で20μm 以 内 の 撓 みにな る 寸 法 を 解 析 する また2 次 リンクは6 本 で 先 端 部 を 支 えることより 片 持 ち 梁 20Nの 荷 重 条 件 にて 解 析 1 次 リンク パイプアーム 内 径 φ14.5 外 径 φ32 長 さ130.5mmで 撓 み 量 0.00754mm 2 次 リンク 内 径 φ12 外 形 φ25 長 さ130.5mmで 撓 み 量 0.01876mm リンクアーム 部 と 先 端 プレートをカーボンファイバーにすることによりサーボモーターの 小 型 化 が 可 能 になった 全 体 重 量 は 約 13kgの 軽 量 化 することができたことにより 当 初 の 目 標 である50kg 以 内 を 達 成 できる 先 端 プレート 取 り 付 けプレート 形 状 変 更 とリミットスイッチの 位 置 変 更 により 可 動 域 が 前 後 に42.1mm 上 下 左 右 に72.0mm 拡 大 して 前 後 241.8mm 上 下 左 右 238.2mmとなり 本 研 究 のロボット 稼 働 域 として 十 分 なものになった 2 精 密 加 工 支 援 ロボット 設 計 以 上 の 解 析 結 果 をもとに 精 密 加 工 支 援 ロボットの 設 計 を 実 施,さらにロボットベース 部 も 設 計 するが 基 本 的 には 同 一 構 造 とした 同 様 に 応 力 検 証 実 施 した ベース 部 は 前 回 91kgとなったため 軽 量 化 のため 外 装 カバーをステンレスよりアルミに 変 更 した これにより24kg 軽 量 化 できた パラレルリンクロボット 重 量 10.95 95kg ベース 部 重 量 67kg 制 御 部 重 量 6.00 00kg 精 密 加 工 支 援 ロボット 総 重 量 83.95 95kg kgで 目 標 値 50kg kgより より33 33.95 95k 上 回 った 以 上 のことにより 精 密 加 工 支 援 ロボットを2 台 製 作 し 岐 阜 大 学 矢 野 研 究 室 での 制 御 ソフト 開 発 と 岩 田 製 作 所 現 場 での 耐 久 性 検 証 を 実 施 中 である 検 証 期 間 が 短 期 間 でありそのデータ も 僅 かであることより 本 報 告 書 での 検 証 結 果 は 提 示 できない 3ロボット 本 体 の 今 後 の 課 題 カーボンファイバーのコストダウン 検 討 ( 事 業 化 に 向 けて) 16
カーボンファイバーとアルミリンク 接 合 部 ( 接 着 )の 耐 久 性 検 証 と 温 度 変 化 検 証 先 端 機 構 の 検 討 パラレルリンク 構 造 による 作 業 者 へのリンクの 干 渉 の 検 証 作 業 者 の 作 業 性 の 検 証 改 良 ベース 部 の 軽 量 化 対 策 (30kg 以 内 目 標 ) 以 上 の 課 題 を 次 年 度 以 降 研 究 し 完 成 度 を 高 め 事 業 化 準 備 の 予 定 である 2-3-2 精 密 加 工 支 援 ロボット 制 御 ソフトウェアの 開 発 ( 削 状 況 の 変 化 に 対 応 した 仕 上 げ 加 工 の 実 現 ) 現 在 加 工 現 場 における 製 品 加 工 は 多 くの 製 品 に 対 して 産 業 用 ロボット 等 を 用 いること で 自 動 化 が 行 われている このような 生 産 方 法 は 少 品 種 大 量 生 産 を 目 的 とした 場 合 には 有 効 で ある しかし 多 品 種 少 量 生 産 を 目 的 とした 製 品 のバリ 取 り 等 の 仕 上 げ 加 工 では ティーチン グ 作 業 や 被 加 工 物 の 位 置 や 形 状 に 関 する 情 報 をCADデータとして 事 前 に 用 意 する 必 要 があるな どの 時 間 的 要 因 や 製 品 の 固 定 位 置 のずれや 形 状 の 歪 みによって 加 工 不 良 が 発 生 するなどの 精 度 的 要 因 によりその 自 動 化 が 難 しい 結 果 として このような 作 業 は 人 の 手 によって 行 われる 必 要 がある 作 業 である しかし このような 作 業 では 微 細 な 力 制 御 を 要 求 されることに 加 えて 工 具 回 転 の 影 響 やびびり 振 動 などの 外 乱 の 影 響 を 受 ける もし 作 業 者 の 作 業 に 対 する 熟 練 度 17
が 不 足 していると それらの 影 響 により 加 工 ミスを 起 こしやすい さらに 悪 環 境 下 での 作 業 や 長 時 間 の 作 業 によって 作 業 者 への 負 担 が 増 加 することによって 加 工 ミスの 発 生 や 製 品 品 質 の 低 下 が 発 生 するといった 問 題 が 挙 げられる このような 問 題 を 解 決 する 手 法 の 一 つとして ハプティクス 技 術 によって 加 工 ロボットを 制 御 し 作 業 を 行 うといった 仕 上 げ 加 工 への 適 用 に 関 する 研 究 がされているが これらの 研 究 は 少 品 種 大 量 生 産 向 けのシステムにおいて 被 加 工 物 の 位 置 情 報 を 人 が 与 えているに 過 ぎない こ れらの 研 究 に 代 表 されるようなハプティックデバイスやバイラテラル 制 御 により 仕 上 げ 加 工 を 行 う 場 合 作 業 者 の 工 具 の 押 し 付 け 力 や 移 動 速 度 は 自 動 制 御 と 比 べて 均 一 にならず 製 品 の 精 度 は 作 業 者 の 熟 練 度 に 大 きく 依 存 する そのため 従 来 の 制 御 手 法 では 加 工 面 高 さを 一 定 にする あるいは 押 し 付 け 力 を 一 定 とした 力 制 御 と 位 置 制 御 のハイブリッド 制 御 が 用 いられることが 多 く その 有 効 性 が 示 されている しかし 作 業 者 の 操 作 によって 工 具 の 送 り 速 度 が 不 規 則 に 変 化 した 場 合 や バリの 状 況 によって 切 削 量 を 一 定 にすることができない 場 合 が 発 生 する そ の 結 果 切 削 深 さが 増 減 し 過 研 削 や 切 削 量 不 足 といった 問 題 が 発 生 する そのため 切 削 を 行 う 際 のパラメータの 制 御 には 速 度 変 化 等 に 対 して よりロバストな 制 御 方 法 が 必 要 とされる そこで まず 仕 上 げ 加 工 支 援 を 対 象 としたバイラテラル 制 御 系 の 提 案 と 構 築 を 行 った そし て 次 に 構 築 したバイラテラル 制 御 系 に 対 して 切 削 加 工 条 件 を 切 削 力 回 転 数 移 動 速 度 単 位 時 間 当 たりの 切 削 量 および 切 削 率 から 構 成 されるものとし それぞれの 入 力 値 を 相 互 的 に 更 新 することで 切 削 量 を 一 定 とする 手 法 を 提 案 した この 手 法 では 作 業 者 あるいはロボット が 直 接 制 御 可 能 な 切 削 力 回 転 数 移 動 速 度 の 三 要 素 を 制 御 する この 手 法 を 用 いることで 工 具 移 動 速 度 や 切 削 力 の 変 動 に 対 して その 他 の 要 素 がこれを 補 うように 更 新 され 切 削 量 が 一 定 となるよう 制 御 される バイラテラル 制 御 系 を 用 いて 位 置 決 め 制 御 のみによる 仕 上 げ 加 工 作 業 を 行 った 結 果 を 示 す 押 し 付 け 力 を 一 定 とするようにスレーブ 側 ロボットの 押 し 付 け 方 向 を 変 化 させ 工 具 の 送 り 速 度 に 関 しては 制 御 をしない 状 態 とした 本 システムへの 熟 練 度 が 低 い 試 験 者 に 作 業 を 行 っても らう 加 工 表 面 の 測 定 結 果 を 下 図 に 示 す この 実 験 では 過 研 削 によってスレーブ 側 ロボットが 加 工 物 に 潜 り 込 んでしまい 工 具 に 過 負 荷 がかかって 停 止 してしまうなど 切 削 が 困 難 な 結 果 となった また 工 具 の 送 り 速 度 に 対 して 切 り 込 み 深 さが 不 安 定 化 しており 結 果 として 切 削 がうまくいっていないことが 分 かる 18
Figure of machining surface machined without any assignments それに 対 し 提 案 手 法 を 用 いた 加 工 実 験 を 行 った 加 工 実 験 は 被 加 工 物 に 対 して 共 通 部 分 に 複 数 回 の 切 削 を 行 うことで 切 削 力 工 具 移 動 速 度 工 具 回 転 量 切 削 量 を 測 定 している 加 工 表 面 の 測 定 結 果 を 下 図 に 示 す Figure of machining surface machined with proposed method 結 果 として 工 具 送 り 速 度 は 先 ほどと 同 様 に 不 規 則 に 変 化 している これに 対 して 切 削 面 を 見 てみると 切 削 力 を 一 定 とした 制 御 方 法 による 結 果 と 比 較 して 過 研 削 や 切 削 量 不 足 によ る 切 削 面 の 不 安 定 化 が 防 がれ 良 好 な 切 削 面 が 得 られていることが 確 認 できる 2-4 電 動 工 具 及 び 制 御 ドライバの 開 発 電 動 工 具 の 開 発 電 動 工 具 の 開 発 に 関 してロボット 先 端 に 装 着 することより ロボットがブラケットを 介 し て 把 持 しやすく 且 つ 人 の 力 が 均 一 にかかる 円 筒 型 であることが 望 ましい さらに 小 型 軽 量 であることを 望 まれる 要 求 性 能 として ロボットが 把 持 しやすい 形 状 : 円 筒 形 小 型 : 全 長 150 以 下 直 径 φ30 以 下 19
軽 量 :500g 以 下 最 高 回 転 数 50,000rpm ツール 撓 み:5μm 以 下 を 条 件 に 右 写 真 の 物 を 設 計 製 作 した 外 乱 を 制 御 するドライバーの 開 発 に 関 しては 現 在 開 発 中 で ある 次 年 度 以 降 も 題 として 開 発 を 継 続 していく 予 定 である 最 終 章 全 体 総 括 1デジタル 適 応 フィルタリング 技 術 の 開 発 ハプティック 制 御 デバイスシステムを 用 いて 加 工 試 験 を 行 うことにより 加 工 プロセスに おける 加 工 振 動 や 作 業 者 の 操 作 感 覚 の 特 徴 抽 出 とその 解 析 を 行 い デジタル 適 応 フィルタリ ング 技 術 を 開 発 することを 目 的 とした 結 果 として,ハプティック 制 御 デバイスシステムのパラレルリンク 機 構 部 分 にドリル 6 軸 力 覚 センサ, 加 工 対 象 ワークを 組 み 込 んだシステムを 使 用 して, 加 工 中 の 工 具 の 回 転 やバ リ 等 の 外 乱 による 力 工 具 の 回 転 方 向 操 作 力 の 影 響 をオンラインで 推 定 し 加 工 作 業 中 の 不 要 な 要 因 を 特 定 し 除 去 することのできるデジタル 適 応 フィルタリング 技 術 を 開 発 した その 際, 人 が 直 接 操 作 する 際 には, 人 が 実 際 に 加 工 を 行 う 場 合 と 同 様 のミスを 取 り 除 く 必 要 があり, 本 研 究 では 加 工 中 の 回 転 工 具 摩 擦 トルクへの 影 響 に 注 目 し, 装 置 への 操 作 力 に 影 響 を 与 えないように 補 正 を 適 応 モデリングによって,その 影 響 力 を 推 定 し 取 り 除 く 制 御 系 を 構 築 した また, 力 覚 センサが 一 つという 制 約 下 で 人 の 操 作 力 と 接 触 力 の 分 離 を 実 現 するデ ジタル 適 応 フィルタリング 技 術 を 開 発 した 本 研 究 の 有 効 性 は 加 工 実 験 により 示 され, 回 転 工 具 による 影 響 の 補 正 を 行 わない 場 合 と 比 較 して 工 具 回 転 の 影 響 を 受 けて 加 工 面 からはじかれる 現 象 を 抑 制 した 本 システムが 導 入 さ れる 事 により, 多 品 種 少 量 生 産 現 場 での 仕 上 げ 加 工 の 製 品 不 良 防 止 に 加 え, 人 と 機 械 の 協 調 による 複 雑 形 状 の 精 密 加 工 や 加 工 時 間 の 短 縮 につなげることが 可 能 となる 20
2 高 精 度 力 フィードバック 制 御 技 術 の 開 発 本 開 発 に 適 したロボットの 構 造 としてパラレルリンク 構 造 が 有 効 であることが 確 認 できた 構 造 上 並 列 したリンクで 先 端 部 を 支 えあうことより 先 端 の 撓 みが 目 標 値 の20μm 以 下 に なることが 応 力 解 析 や 試 作 を 通 して 確 認 できた しかしながら, 高 精 度 力 フィードバック 制 御 に 対 応 し 且 つ 本 研 究 の 当 初 の 目 標 であるロボット 重 量 50kg 以 下 を 達 成 するという 相 反 する 条 件 を 満 たすためには 構 造 材 をアルミニュウムにして 軽 量 化 をしても 限 界 がある ことが 確 認 された そこでロボットの 根 本 的 な 軽 量 小 型 化 設 計 と 構 造 材 を 検 討 する 課 題 を 精 密 加 工 支 援 ロボットの 開 発 で 検 討 することとした 構 造 的 な 動 作 確 認 を 岐 阜 大 学 矢 野 研 究 室 で 検 証 として 各 軸 方 向 にサイン 波 の 重 ね 合 わせに より 位 置 指 令 を 与 えたところ 目 標 軌 道 に 追 従 していることが 検 証 されたことより 動 作 上 の 妥 当 性 が 確 認 された この 結 果 構 造 上 の 問 題 が 無 いと 検 証 できた 3 精 密 加 工 支 援 ロボット( 試 作 機 )の 開 発 1および2の 成 果 を 基 に 課 題 として 残 った 軽 量 で 高 強 度 な 構 造 材 としてカーボンファイ バーを 使 用 してロボットを 設 計 し 応 力 解 析 や 重 量 積 算 を 実 施 した その 結 果 先 端 の 撓 みも 目 標 値 以 内 になり リンクや 先 端 プレートをカーボンファイバーにすることにより 駆 動 サー ボモーターの 小 型 化 が 可 能 になりロボット 本 体 重 量 を50% 以 上 軽 量 化 することができた その 後 微 細 な 力 加 減 をアシストするための 精 密 加 工 支 援 ロボット( 試 作 機 )を 開 発 し デジ タル 適 応 フィルタリング 技 術 の 実 機 試 験 を 行 った また 精 密 加 工 支 援 ロボットで 加 工 中 の 外 乱 を 抑 制 しながら 微 細 な 力 加 減 をアシストするための 最 適 制 御 技 術 の 開 発 を ハプ ティック 制 御 デバイスシステムを 用 いて 開 始 した 具 体 的 には, 切 削 作 業 中 に 切 削 面 押 し 付 け 方 向 に 対 して,スレーブ 側 ロボットの 動 作 を 独 立 したコンプライアンス 制 御 によって 制 御 す ることで, 仕 上 げ 加 工 作 業 に 対 応 したバイラテラル 制 御 系 の 構 築 を 行 った また, 切 削 力, 工 具 送 り 速 度, 工 具 回 転 数 等 からなる 加 工 条 件 式 を 基 に,これらの 値 を 相 互 に 更 新 することで, 切 削 量 を 均 一 化 する 手 法 を 提 案 した これによりハプティック 制 御 及 びバイラテラル 制 御 を, バリ 取 り 等 の 仕 上 げ 加 工 に 用 いた 場 合 に 問 題 となる 作 業 者 の 意 思 を 尊 重 することで 工 具 の 動 作 が 不 安 定 となり 発 生 する 切 削 量 の 不 均 一 化 を 抑 制 できる 制 御 方 法 の 提 案 と 有 効 性 の 証 明 を 行 っ た これによって, 作 業 者 の 意 図 する 位 置 の 仕 上 げ 加 工 を, 作 業 者 の 熟 練 度 に 左 右 されること なく 切 削 が 可 能 な 仕 上 げ 加 工 支 援 を 実 現 した 来 年 度 以 降 には, 新 たに 開 発 した 精 密 加 工 支 援 ロボットに 実 装 し, 本 提 案 手 法 の 有 効 性 を 示 す 21
次 年 度 以 降 の 課 題 カーボンファイバーのコストダウン 検 討 ( 事 業 化 に 向 けて) カーボンファイバーとアルミリンク 接 合 部 ( 接 着 )の 耐 久 性 検 証 と 温 度 変 化 検 証 先 端 機 構 の 検 討 パラレルリンク 構 造 による 作 業 者 へのリンクの 干 渉 の 検 証 作 業 者 の 作 業 性 の 検 証 改 良 ベース 部 の 軽 量 化 対 策 (30kg 以 内 目 標 ) ロボット 製 作 原 価 の 低 減 検 討 以 上 の 課 題 を 今 後 の 研 究 課 題 として 平 成 25 年 度 完 成 を 目 標 とする 事 業 化 計 画 として 以 下 のように 考 えている 平 成 25 年 度 ~26 年 度 : 展 示 会 (バリトリテクノフェアー6 月 東 京 10 月 大 阪 )に 出 品 関 市 周 辺 の 企 業 にPRしてサンプル 出 荷 平 成 27 年 度 ~28 年 度 : 展 示 会 データをもとに 東 海 地 区 での 営 業 展 開 ( 販 売 代 理 店 の 開 拓 ) メンテナンス 会 社 の 整 備 量 産 準 備 平 成 29 年 度 ~30 年 度 : 量 産 開 始 全 国 営 業 展 開 4 電 動 工 具 用 制 御 ドライバの 開 発 ロ ボ ッ ト 装 着 用 の 電 動 工 具 の 開 発 設 計 製 作 を 実 施 し た 開 発 条 件 ロボットが 把 持 しやすい 形 状 : 円 筒 形 小 型 : 全 長 150 以 下 直 径 φ30 以 下 軽 量 :500g 以 下 最 高 回 転 数 50,000rpm ツール 撓 み:5μm 以 下 上 記 条 件 に 沿 っ た も の を 設 計 製 作 し た ロボットの 力 制 御 と 連 動 してそれぞれの 材 料 に 対 応 した 最 適 な 工 具 回 転 数 や 工 具 回 転 の 影 響 によるビビり 外 乱 を 制 御 するドライバーの 開 発 に 関 しては 現 在 開 発 中 である 次 年 度 以 降 も 課 題 として 開 発 を 継 続 していく 予 定 である 22