RCSSディスカッションペーパーシリーズ



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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

文化政策情報システムの運用等

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セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可


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Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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Microsoft Word - 目次.doc

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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学校安全の推進に関する計画の取組事例

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

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●幼児教育振興法案

公表表紙

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

岡山県警察用航空機の運用等に関する訓令

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

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東京事務所BCP【実施要領】溶け込み版


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Microsoft Word - 交野市産業振興基本計画 doc

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

m07 北見工業大学 様式①

18 国立高等専門学校機構

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Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

主要生活道路について

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

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1 書 誌 作 成 機 能 (NACSIS-CAT)の 軽 量 化 合 理 化 電 子 情 報 資 源 への 適 切 な 対 応 のための 資 源 ( 人 的 資 源,システム 資 源, 経 費 を 含 む) の 確 保 のために, 書 誌 作 成 と 書 誌 管 理 作 業 の 軽 量 化 を 図

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

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目 次 1. 社 会 保 障 分 野 でできること 1 1 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 制 度 の 改 善 2 保 険 証 機 能 の 一 元 化 3 自 己 診 療 情 報 の 活 用 4 給 付 可 能 サービスの 行 政 側 からの 通 知 2. 年 金 分 野 でできること 5

2 導 入 に 係 る 各 課 の 役 割 部 署 名 危 機 管 理 室 主 な 事 務 番 号 法 に 規 定 さ れ た 事 務 へ の 個 人 番 号 の 導 入 に 関 す る こ と 制 度 導 入 に 向 け た 事 務 の 総 括 に 関 す る こ と 個 人 番 号 の 独 自

1 はじめに 計 画 の 目 的 国 は 平 成 18 年 度 に 住 生 活 基 本 法 を 制 定 し 住 まいに 関 する 基 本 的 な 計 画 となる 住 生 活 基 本 計 画 ( 全 国 計 画 )を 策 定 し 住 宅 セーフティネットの 確 保 や 住 生 活 の 質 の 向 上

16 日本学生支援機構


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2 1.ヒアリング 対 象 (1) 対 象 範 囲 分 類 年 金 医 療 保 険 雇 用 保 険 税 備 考 厚 生 年 金 の 資 格 喪 失 国 民 年 金 の 加 入 老 齢 給 付 裁 定 請 求 など 健 康 保 険 の 資 格 喪 失 国 民 健 康 保 険 の 加 入 健 康 保 険

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

平成27年度大学改革推進等補助金(大学改革推進事業)交付申請書等作成・提出要領

定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

新 行 財 政 改 革 推 進 大 綱 実 施 計 画 個 票 取 組 施 策 国 や 研 究 機 関 への 派 遣 研 修 による 資 質 向 上 の 推 進 鳥 インフルエンザ 等 新 たな 感 染 症 等 に 対 する 検 査 技 術 の 習 得 など 職 員 の 専 門

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の 権 限 と 責 任 を 明 確 に 定 め,これを 学 内 外 に 公 表 し, 関 係 者 に 周 知 するものとする ( 不 正 防 止 計 画 ) 第 6 条 最 高 管 理 責 任 者 は, 公 的 研 究 費 の 不 正 使 用 の 防 止 計 画 ( 以 下 不 正 防 止 計 画

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

(3) 調 査 の 進 め 方 2 月 28 日 2 月 28 日 ~6 月 30 日 平 成 25 年 9 月 サウンディング 型 市 場 調 査 について 公 表 松 戸 市 から 基 本 的 な 土 地 情 報 サウンディングの 実 施 活 用 意 向 アイデアのある 民 間 事 業 者 と

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

Microsoft Word 第1章 定款.doc

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

自衛官俸給表の1等陸佐、1等海佐及び1等空佐の(一)欄又は(二)欄に定める額の俸給の支給を受ける職員の占める官職を定める訓令

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

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財団法人○○会における最初の評議員の選任方法(案)

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

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している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

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職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

別紙3

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

佐渡市都市計画区域の見直し

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RCSS ディスカッションペーパーシリーズ 第 66 号 2008 年 6 月 Discussion Paper Series No.66 June, 2008 ISSN-1347-636X 金 融 機 関 における 事 業 継 続 計 画 策 定 に 関 する 一 考 察 - 地 震 発 生 時 における BCP と BCM および 課 題 - 竹 村 敏 彦 長 岡 壽 男 RCSS 文 部 科 学 省 私 立 大 学 学 術 フロンティア 推 進 拠 点 関 西 大 学 ソシオネットワーク 戦 略 研 究 センター Research Center of Socionetwork Strategies, The Institute of Economic and Political Studies, Kansai University Suita, Osaka, 564-8680 Japan URL: http://www.rcss.kansai-u.ac.jp http://www.socionetwork.jp e-mail: keiseiken@jm.kansai-u.ac.jp tel: 06-6368-1228 fax. 06-6330-3304

金 融 機 関 における 事 業 継 続 計 画 策 定 に 関 する 一 考 察 地 震 発 生 時 における BCP と BCM および 課 題 竹 村 敏 彦 長 岡 壽 男 関 西 大 学 ソシオネットワーク 戦 略 研 究 センター 2008 年 6 月 概 要 本 研 究 は 重 要 インフラの 1 つを 担 っている 金 融 機 関 を 対 象 にして 事 業 継 続 マネジメントについて 議 論 を 行 い そこからさまざまなインプリケーションを 導 くことを 目 的 としている 特 に 事 業 継 続 性 に 影 響 を 与 える 事 故 や 事 件 は 多 々ある 中 で 昨 今 日 本 で 多 発 しており また 近 い 将 来 に 関 東 地 域 や 東 南 海 地 域 で 起 こるとされている 地 震 への 対 策 を 議 論 の 中 心 として 金 融 機 関 における 具 体 的 かつ 実 行 可 能 性 をもつ 事 業 継 続 計 画 策 定 の 在 り 方 を 本 研 究 では 提 示 する 急 速 に 進 展 した ICT 化 により 従 来 からあるコンティンジェンシープランで はカバーできないものも 多 数 出 てきている 本 研 究 ではその 点 について 考 慮 した 事 業 継 続 計 画 について 議 論 を 行 う 議 論 に 際 しては 過 去 に 起 こった 事 例 ( 阪 神 淡 路 大 震 災 や 中 越 沖 地 震 など)を 取 り 上 げて そこから 得 られる 教 訓 等 を 提 示 す るとともに 実 際 に 金 融 機 関 がとるべき 施 策 についてまとめる また 同 時 に 銀 行 業 の 経 済 における 役 割 を 鑑 みて 政 府 が 取 るべき 施 策 についても 考 える Keyword: Business Continuity Plan, Business Continuity Management, Financial Institution 関 西 大 学 ポストドクトラル フェロー E-mail: takemura@rcss.kansai-u.ac.jp 関 西 大 学 RCSS 委 嘱 研 究 員 E-mail: nagaoka@rcss.kansai-u.ac.jp 564-8680 大 阪 府 吹 田 市 山 手 町 3-3-35 関 西 大 学 経 済 政 治 研 究 所 ソシオネットワーク 戦 略 研 究 セ ンター 1

Cogitation on Making Business Continuity Plan in the Financial Institutions Toshihiko Takemura E-mail: takemura@rcss.kansai-u.ac.jp Research Center of Socionetwork Strategies, Kansai University, 3-3-35 Yamate, Suita, Osaka, 564-8680, JAPAN, Hisao Nagaoka E-mail: nagaoka@rcss.kansai-u.ac.jp Research Center of Socionetwork Strategies, Kansai University, 3-3-35 Yamate, Suita, Osaka, 564-8680, JAPAN. June, 2008 Abstract In the paper, it has aimed to discuss the business continuity management (BCM), and to lead various implications. The object is a financial institution that bears one of the critical infrastructures. Especially, the accident and the event that influences the business continuance happen frequently recently in Japan. Mainly discussing countermeasure against earthquakesassumedtohappeninkantoandtonankairegionsinthe near future, and we suggest what BCP with concrete and practicability in financial institution should be like. Keyword: Business Continuity Plan, Business Continuity Management, Financial Institution 2

1 はじめに 近 年 の 日 本 を 見 てみると 地 震 や 台 風 をはじめとする 自 然 災 害 や 人 的 ミスによる 停 電 や 各 種 システムトラブルが 相 次 いで 起 こっている これらは 事 業 継 続 に 大 きな 影 響 を 与 える 要 因 である 1 従 来 は これらに 対 しては 多 くの 企 業 がコンティンジェンシープラ ンを 策 定 していたが 2001 年 の 米 国 同 時 多 発 テロや 欧 米 における 事 業 継 続 計 画 (BCP; Business Contingency Plan) 策 定 の 動 向 を 受 けて 日 本 でも BCP 策 定 への 動 きがみ られるとともに その 必 要 性 についても 議 論 されるようになってきた 特 に 経 済 や 社 会 における 役 割 を 考 えると 重 要 インフラを 担 っている 金 融 機 関 の 対 応 は 徹 底 され ている 必 要 がある それは 自 然 災 害 などが 起 こった 時 に 金 融 機 関 が 事 業 を 継 続 で きなければその 影 響 はかなり 広 範 囲 に 広 がることが 容 易 に 想 像 できるからである 日 本 銀 行 (2007) におけるアンケート 調 査 によれば 金 融 機 関 の 80% 弱 が 業 務 継 続 体 制 を 整 備 済 みであると 回 答 しており 2004 年 の 同 様 の 調 査 と 比 べると その 割 合 は 約 10% 増 加 している これは 高 い 水 準 にあると 見 ることもできるが 逆 に 約 20%の 金 融 機 関 で 体 制 がまだ 整 備 されていないことを 意 味 している また 各 種 マニュアルの 整 備 や 訓 練 に 関 しては 十 分 な 対 策 が 必 ずしもなされていないことも 明 らかにされている 上 述 したように 重 要 インフラを 担 う 金 融 機 関 は 一 般 企 業 などと 比 較 しても 徹 底 された 対 策 が 必 要 とされるが それはまだ 十 分 なものとなっていない その 理 由 の 1 つ として 各 種 ガイドラインなどで 公 表 されている 一 般 的 な BCP 策 定 に 盛 り 込 む 内 容 項 目 が 抽 象 的 であることが 多 いために BCP 策 定 が 進 まないことが 考 えられる 実 際 に BCP 策 定 に 関 するガイドラインも 内 閣 府 経 済 産 業 省 などの 各 省 庁 日 本 銀 行 金 融 情 報 システムセンターなどと 様 々な 機 関 から 公 表 されている 本 稿 では こうした ガイドライン( 特 に 金 融 情 報 システムセンター 2001; 日 本 銀 行 2003)を 踏 まえて 金 融 機 関 の BCP 策 定 の 在 り 方 について 議 論 を 行 う 本 稿 の 構 成 は 以 下 の 通 りである まず 次 節 で 金 融 機 関 の BCP について 求 められる 課 題 について 整 理 する 次 に 第 3 節 では 地 震 を 1 つの 例 として BCP 策 定 で 考 慮 す べきアイデアをいくつか 提 示 する そして 最 後 の 節 にて 本 稿 のまとめを 簡 単 に 与 えるとともに 今 後 の 課 題 について 議 論 を 行 う 2 金 融 機 関 における BCP の 課 題 富 永 (2006) は BCP を 災 害 などで 業 務 中 断 が 発 生 した 場 合 に 目 標 時 間 内 で 業 務 を 継 続 するための 計 画 また BCM(Business Continuity Management) は 業 務 中 断 のリスクを 分 析 し 継 続 計 画 を 策 定 して 訓 練 し 見 直 しを 行 う 管 理 体 制 と 定 義 して いる 特 に BCP は システムリスクの 領 域 について 事 前 の 対 策 を 整 備 する 安 全 対 策 と 事 故 の 発 生 直 後 から 復 旧 に 至 る 対 応 を 一 定 の 時 間 内 に 行 うコンティンジェンシープラ ンの 両 面 を 備 えた 計 画 と 考 えられる BCP とコンティンジェンシープランの 大 きな 違 1 前 者 に 起 因 するリスクはコントローすることがほぼ 不 可 能 であるものの 後 者 に 起 因 するリスクはあ る 程 度 コントロールすることが 可 能 である ただし それは 効 率 的 なマネジメントを 行 わなければ 膨 大 なコストがかかる 3

いは 復 旧 時 間 の 概 念 が 入 っているか 否 かにある 2 また BCP では 災 害 や 事 故 で 被 害 を 受 けても 取 引 先 などの 利 害 関 係 者 から 重 要 業 務 が 中 断 しないことや 中 断 しても 可 能 な 限 り 短 い 期 間 で 再 開 することが 望 まれている 言 い 換 えるとこれは BCP の 策 定 や BCM が 顧 客 の 流 出 マーケットシェアの 低 下 企 業 価 値 の 低 下 などを 防 止 する 経 営 戦 略 につながることを 暗 に 意 味 している また BCP 策 定 は 企 業 の 社 会 的 責 任 (CSR; Corporate Social Responsibility)の 側 面 からみても 必 要 なものである 3 地 震 発 生 時 における BCP と BCM および 課 題 3.1 BCP と BCM の 本 質 本 稿 では 全 てのリスクに 対 応 した BCP の 在 り 方 について 議 論 するのではなく 地 震 を 一 例 として 取 り 上 げて 実 効 性 のある BCP 策 定 に 関 するアイデアを 提 示 して 議 論 を 行 う 地 震 を 取 り 上 げる 理 由 としては 武 田 (2006) でも 議 論 されているように 東 南 海 南 海 地 域 や 関 東 地 域 直 下 型 地 震 の 発 生 確 率 が 高 まっていることや 阪 神 大 震 災 やその 他 の 地 震 からすでにいくつかの 教 訓 を 得 ていることを 考 慮 したためである 3 ま た 日 本 銀 行 (2003) でも 1) 被 災 地 等 における 住 民 の 生 活 や 経 済 活 動 の 維 持 に 寄 与 す ること 2) 決 済 面 での 混 乱 拡 大 を 抑 制 すること 3) 金 融 機 関 経 営 におけるリスクの 軽 減 に 繋 がること といった 3 点 から 地 震 による 被 災 事 例 を 検 討 することの 重 要 性 を 唱 えている 第 2 節 で 見 たように BCP には 復 旧 目 標 時 間 が 設 定 される 特 に 金 融 機 関 の 業 務 は 多 くはコンピュータシステムに 依 存 しており 被 災 時 にシステムの 稼 動 の 可 否 が 復 旧 に 至 るまでの 重 要 なポイントになる そのために 様 々ある 対 応 事 項 のうち 何 をどのタイミングですればよいかについても 考 慮 していく 必 要 があり またそれを 計 画 として 盛 り 込 んでおく 必 要 がある 4 (1) 組 織 意 思 決 定 地 震 発 生 直 後 において 安 否 確 認 や 被 害 状 況 の 確 認 などが 必 要 となる BCP の 場 合 一 部 の 部 署 や 組 織 において 対 応 することはほぼ 困 難 である そのために 部 署 を 横 断 する( 一 時 的 な) 組 織 の 形 成 や 意 思 決 定 を 行 うことができる 組 織 ( 例 えば 災 害 対 策 本 部 など)が 必 要 である 2 竹 村 長 岡 (2007) で BCP とコンティンジェンシープランの 相 違 についてまとめているので 参 照 さ れたい 3 例 えば 阪 神 大 震 災 時 における 教 訓 についてまとめているものとして 遠 藤 (1996) や Nagaoka, Ukai and Takemura (2005) などがある 4 日 本 銀 行 (2007) によれば 最 優 先 の 重 要 業 務 の 復 旧 目 標 時 間 について 金 融 機 関 の 70% 弱 が 4 時 間 以 内 と 回 答 している しかしながら そのうち 一 部 の 金 融 機 関 は 1 週 間 以 上 かかると 回 答 しているところ も 存 在 している 4

(2) 優 先 事 項 の 選 定 地 震 発 生 直 後 の 緊 急 事 態 において 限 られた 利 用 可 能 な 経 営 資 源 を 用 いて 優 先 的 に 継 続 可 能 な 少 数 の 業 務 を 特 定 する 必 要 がある こうした 業 務 には 現 金 の 支 払 や 預 入 手 形 の 取 立 や 交 換 業 務 融 資 業 務 などがある (3) マニュアル 化 教 育 訓 練 地 震 が 発 生 すると 多 くの 場 合 情 報 システムが 停 止 する その 際 情 報 システムが 復 旧 するまでは 手 作 業 による 一 時 的 対 応 が 必 要 となる そのために これらに 関 す るマニュアル 化 および 日 々の 教 育 訓 練 が 必 要 となる これは 地 震 時 に 限 らず 一 般 的 なシステムトラブルやシステム 停 止 時 の 対 応 として 必 要 であり また 有 益 なものであ る 特 に 部 分 的 な 訓 練 だけでなく 営 業 店 本 部 およびシステム 部 門 と 一 体 となった 総 合 訓 練 は 重 要 である (4) 情 報 システムのバックアップなど バックアップシステムの 整 備 やバックアップセンターの 確 保 などにより BCP の 強 化 を 図 ることができる バックアップに 関 しては 採 用 する 方 式 により 投 資 コストや 運 営 費 に 大 きな 差 が 出 る 例 えば 大 手 銀 行 が 既 に 採 用 しているミラーサイト 方 式 は 主 センターと 同 等 のシステムを 代 替 センターとして 用 意 しており 主 センターとファ イルを 同 時 更 新 していることから 即 時 復 旧 が 可 能 と 考 えられる しかし コストの 負 担 は 大 きい 一 方 で ホットサイト 方 式 では 必 要 に 合 わせて 優 先 順 位 に 応 じたシ ステムを 代 替 センターに 用 意 するものであり その 費 用 負 担 も 少 ない しかしながら 復 旧 には 少 々 時 間 がかかるものとなる バックアップセンターについても 自 営 の 場 合 は 代 替 施 設 として 利 用 する 他 に 多 目 的 に 利 用 できるものの コスト 負 担 は 大 きい もちろん 複 数 金 融 機 関 で 設 立 した 共 同 利 用 センターや 代 行 処 理 センターに 委 託 することもできる ただし 過 去 の 事 故 発 生 時 において 利 用 先 が 殺 到 した 結 果 使 用 できない 事 例 が 生 じたこともあり 委 託 先 を 事 前 に 十 分 調 査 する 必 要 があるといえる (5) 最 新 の 情 報 通 信 技 術 の 利 用 情 報 通 信 技 術 の 進 歩 に 合 わせて 有 効 なものは 適 宜 採 用 することが 望 まれる 例 え ば 衛 星 通 信 携 帯 電 話 による 安 否 確 認 システムや 地 震 予 知 情 報 システムなどは 地 震 による 被 害 を 低 減 させる 効 果 が 見 込 め 一 部 の 金 融 機 関 ではすでに 導 入 されている ところもある (6) リスクコミュニケーション 地 震 発 生 から 復 旧 に 至 る 過 程 での 広 報 活 動 は 重 要 である 適 切 な 情 報 の 共 有 により 組 織 内 外 における 不 安 感 を 拭 う 必 要 がある また 社 会 経 済 への 影 響 を 考 えて 金 5

融 庁 をはじめとする 監 督 官 庁 やマスコミへ 適 切 な 情 報 を 伝 えることも 必 要 である (7) 第 三 者 認 証 の 導 入 と 活 用 第 三 者 認 証 を 取 得 することで 策 定 している BCP の 有 効 性 をチェックすることがで き またそれがマーケットにおける 信 用 評 価 にもつながる ただし ただ 単 に 認 証 を 取 得 するだけでなく 後 述 するように PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルで これらを 常 にチェックしていく 必 要 がある 3.2 BCP における 主 要 検 討 項 目 地 震 発 生 後 の BCP 発 動 から 全 面 回 復 までの 過 程 は 一 般 的 に1 BCP の 発 動 2 業 務 再 開 3 業 務 回 復 4 全 面 復 旧 の 4 つのフェーズに 分 けられる 各 フェーズの 主 要 検 討 項 目 として 表 1 のようなものが 考 えられる 各 フェーズでは 状 況 の 展 開 に 沿 った 組 織 的 な 対 応 が 図 られる 表 1: BCP の 主 要 検 討 事 項 フェーズ 実 施 項 目 BCP 発 動 地 震 発 生 と 被 害 の 確 認 災 害 対 策 本 部 設 置 安 否 確 認 業 務 の 影 響 バックアップの 切 替 要 否 判 断 通 信 手 段 の 確 保 基 本 方 針 決 定 優 先 順 位 と 復 旧 目 標 決 定 広 報 活 動 被 災 行 員 の 宿 泊 インフラの 被 害 状 況 確 認 金 の 確 保 二 次 災 害 の 防 止 業 務 再 開 要 員 確 保 資 源 の 確 保 代 替 店 舗 オフィス 確 保 業 務 再 開 範 囲 確 認 と 業 務 サポート 復 旧 作 業 開 始 物 流 ルート 確 保 顧 客 影 響 確 認 相 談 窓 口 業 務 回 復 業 務 継 続 状 況 確 認 復 旧 状 況 確 認 追 加 資 源 の 投 入 復 旧 の 目 処 継 続 業 務 の 拡 大 要 員 配 置 の 異 例 措 置 全 面 復 旧 復 旧 手 順 の 確 認 全 面 復 旧 と 代 替 運 用 の 縮 退 平 常 営 業 の 確 認 総 括 と BCP 見 直 し 3.3 マネジメントサイクル PDCA サイクルを 回 して より 実 効 性 のあるものに 仕 上 げるため 継 続 的 な 見 直 し と 改 善 が 必 要 である こうした 改 善 努 力 は BCP の 重 要 性 を 企 業 内 で 普 及 徹 底 させ ることになり リスク 管 理 能 力 を 向 上 させることに 繋 がる なお この 場 合 改 善 項 目 などの 評 価 について ( 外 部 ) 監 査 を 利 用 することも 重 要 である 図 1 は BCP 策 定 の 進 め 方 とマネジメントサイクルについてまとめたものである 6

図 1: BCP 策 定 とマネジメントサイクル 4 まとめ 本 稿 では まず 金 融 機 関 における BCP 策 定 および BCM の 重 要 性 について 議 論 した そして 次 に 地 震 を 1 つの 例 として BCP 策 定 で 考 慮 すべきアイデアをいくつかを 提 示 するとともにその 課 題 についても 見 てきた 日 本 銀 行 (2007) からもわかるように 全 体 的 に 見 て 金 融 機 関 の BCP 策 定 は 着 実 に 進 められているものの マニュアルの 未 作 成 や 教 育 訓 練 が 不 十 分 であるといったことからそれは 単 に 形 式 的 なものでしかないと いったことが 懸 念 される 本 稿 で 提 示 したいくつかのアイデアおよび 主 要 検 討 項 目 を 踏 まえた BCP 策 定 や BCM の 強 化 が 今 後 期 待 される BCP 策 定 や BCM におけるいくつかの 課 題 を 克 服 するために 今 後 様 々な 事 例 をも とにして 具 体 的 にそこから 得 られた 教 訓 をまとめていきたい また 本 稿 では 個 別 金 融 機 関 の BCP 策 定 について 議 論 を 行 ってきたが 金 融 業 が 重 要 インフラであることを 鑑 みると 業 界 全 体 での 取 組 み(CIIP; Critical Information Infrastructure Protection) についても 考 えていく 必 要 がある それについては 今 後 の 課 題 としたい 5 5 岩 下 (2005) において 個 別 金 融 機 関 で BCP 策 定 だけでなく 業 界 レベルの BCP(CIIP) 策 定 の 必 要 性 についても 議 論 されている なお CIIP については 内 閣 官 房 情 報 セキュリティセンター(NISC; National Information Security Center)(http://www.nisc.go.jp)にある 情 報 を 参 照 されたい 7

追 記 本 稿 は 竹 村 が 財 団 法 人 大 川 情 報 通 信 基 金 2007 年 度 研 究 助 成 の 研 究 課 題 日 本 にお ける 情 報 セキュリティ 対 策 の 現 状 と 経 済 分 析 ( 研 究 代 表 者 竹 村 敏 彦 ) 長 岡 が 文 部 科 学 省 の 科 学 研 究 費 補 助 金 交 付 課 題 金 融 パニックシミュレーション 実 験 - 妥 当 なミク ロ 金 融 政 策 の 構 築 - ( 課 題 番 号 19653027 萌 芽 研 究 研 究 代 表 者 鵜 飼 康 東 )の 助 成 を 受 けて 行 った 研 究 成 果 である また 本 稿 は 2008 年 5 月 28 日 の 横 浜 商 科 大 学 に 於 ける 第 56 回 日 本 情 報 経 営 学 会 全 国 大 会 で 発 表 した 金 融 機 関 における 事 業 継 続 計 画 策 定 の 在 り 方 について を 加 筆 修 正 したものである 討 論 者 である 松 井 明 太 氏 ( 株 式 会 社 ちもと)とセッションの 司 会 である 佐 々 木 宏 氏 ( 立 教 大 学 教 授 )から 有 益 な 助 言 をいただいた また 鵜 飼 康 東 氏 ( 関 西 大 学 ソシオネットワーク 戦 略 研 究 センター センター 長 )からも 貴 重 なコメント を 頂 いた ここに 記 して 謝 意 を 表 したい もちろん 残 る 誤 りは 全 て 筆 者 の 責 に 帰 す ものである 参 考 文 献 [1] 岩 下 直 行 (2005) 金 融 ビジネスにおける BCP の 現 状 と 課 題 - 個 社 レベルの BCP から 業 界 レベルの BCP(=CIIP)へ (http://www.imes.boj.or.jp/security/) [2] 遠 藤 勝 裕 (1996) 阪 神 大 震 災 - 日 銀 神 戸 支 店 長 の 行 動 日 記 - 日 本 信 用 調 査. [3] 金 融 情 報 システムセンター (2001) 金 融 機 関 におけるコンティンジェンシープラ ン 策 定 のための 手 引 書 財 経 詳 報 社. [4] 武 田 文 男 (2006) 日 本 の 災 害 危 機 管 理 ぎょうせい. [5] 竹 村 敏 彦 長 岡 壽 男 (2007) 企 業 価 値 を 高 める 事 業 継 続 計 画 の 提 案 -システムリス クを 中 心 とした 議 論 - RCSS Discussion Paper Series( 関 西 大 学 ), No57. [6] 富 永 新 (2006) 金 融 機 関 の 業 務 継 続 強 化 に 向 けた 課 題 と 対 応 日 本 銀 行 金 融 機 構 局. [7] 日 本 銀 行 (2003) 金 融 機 関 における 業 務 継 続 体 制 の 整 備 について 日 本 銀 行. [8] 日 本 銀 行 (2007) 業 務 継 続 体 制 の 整 備 状 況 に 関 するアンケート(2006 年 12 月 ) 調 査 結 果 日 本 銀 行 金 融 機 構 局. [9] Nagaoka H., Y. Ukai and T. Takemura (2005) Information System Strategy of Nationwide Banks Economic Analysis of Information System Investment in Banking Industry, Springer, 29-52. 8