溜池通信 vol. 580 December 4, 2015 Biweekly Newsletter



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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

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Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

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参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

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住み慣れたこの町で最期まで 安心して暮らすために

公表表紙

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

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(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

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平成22年度

4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

(2) 広 島 国 際 学 院 大 学 ( 以 下 大 学 という ) (3) 広 島 国 際 学 院 大 学 自 動 車 短 期 大 学 部 ( 以 下 短 大 という ) (4) 広 島 国 際 学 院 高 等 学 校 ( 以 下 高 校 という ) ( 学 納 金 の 種 類 ) 第 3 条

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

鳥 取 国 民 年 金 事 案 177 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 昭 和 37 年 6 月 から 38 年 3 月 までの 国 民 年 金 保 険 料 については 納 付 していたものと 認 められることから 納 付 記 録 を 訂 正 することが 必 要 である 第 2 申

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

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している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

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Transcription:

溜 池 通 信 vol.580 Biweekly Newsletter December 4, 2015 双 日 総 合 研 究 所 吉 崎 達 彦 Contents ************************************************************************ 特 集 :2016 年 国 際 情 勢 のイメージ 1p < 今 週 の The Economist 誌 から> With Cruz, they d lose テッド クルーズだと 負 ける 7p <From the Editor> 軽 減 税 率 に 異 議 あり 8p ********************************************************************************** 特 集 :2016 年 国 際 情 勢 のイメージ そろそろ 来 年 の 予 測 を 始 めなければなりません まずは 国 際 情 勢 から と 思 って 考 え 始 めたらこれがまことに 難 しい とりあえず いちばん 波 乱 がなさそうなのが 日 本 次 に 2016 年 大 統 領 選 挙 の 日 程 が 詰 まっている 米 国 それ 以 外 は 一 気 に 不 透 明 になって 中 国 はどうなるやら 見 当 がつかず 南 シナ 海 をめぐる 各 国 の 思 惑 も 複 雑 です さらに 中 東 欧 州 ロシアをめぐる 葛 藤 は あ まりにもややこしくて 頭 が 痛 くなりそうです 以 下 は 断 片 的 な 予 想 を 並 べて せめて 来 年 のイメージを 作 ってみようという 試 みです 今 年 の 漢 字 で 振 り 返 る 2015 年 本 誌 の 前 号 では 2015 年 の 新 語 流 行 語 大 賞 を 取 り 上 げたので 今 回 は 今 年 の 漢 字 を 予 想 しておこう 日 本 漢 字 能 力 検 定 協 会 が 毎 年 漢 字 の 日 である 12 月 12 日 に 清 水 寺 で 発 表 するものだが 今 年 は 週 末 に 当 たるので 12 月 15 日 に 発 表 予 定 である 1 安 安 保 法 制 安 倍 首 相 円 安 安 心 してください (とにかく 明 るい 安 村 ) 爆 節 憲 改 結 爆 買 い 自 爆 テロ 天 津 の 爆 発 事 故 ロシア 機 爆 墜 事 件 戦 後 70 年 節 目 の 年 物 価 上 昇 で 節 約 原 節 子 さん 逝 去 憲 法 9 条 立 憲 主 義 一 票 の 格 差 違 憲 状 態 データ 改 ざん 解 釈 改 憲 新 国 立 とエンブレムの 改 訂 有 名 人 の 結 婚 ラッシュ 羽 生 結 弦 ラグビーの 結 束 力 1 http://www.kanken.or.jp/kanji2015/ 1

当 たるかどうかはさておいて 並 べてみると 好 印 象 な 漢 字 が 多 くなった ちなみに 過 去 には 税 (14 年 = 増 税 ) 偽 (07 年 = 食 品 偽 装 ) 災 (04 年 = 中 越 地 震 ) 戦 (01 年 =9/11 テロ)などとネガティブなものが 選 ばれた 年 もある その 点 2015 年 は 爆 という 漢 字 が 爆 買 い というポジティブな 言 葉 に 転 じて 流 行 語 大 賞 となっている 点 が この 1 年 を 象 徴 しているように 思 う なにしろ 爆 にま つわる 危 ない 話 は 全 部 海 外 で 起 きている パリを 舞 台 とするテロ 事 件 が 2 度 もあり ISIL の 脅 威 はますますリアルなものとなり 天 津 の 爆 発 事 故 は 未 だに 全 容 が 分 からず ロシア 機 の 爆 墜 事 件 によって 露 土 戦 争 などという 声 さえある 2 来 年 伊 勢 志 摩 サミットを 予 定 しているわが 国 としては テロ 対 策 はもちろん 重 要 課 題 ということになるが 草 の 根 レベルが テロの 脅 威 を 意 識 しているかといえば そ こは 疑 わしい 安 保 法 制 をめぐる 議 論 が 国 の 防 衛 や 危 機 管 理 ではなく もっぱら 法 律 論 に 終 始 したこともあわせて 皮 肉 抜 きに 平 和 な 1 年 だったと 言 えるだろう その 日 本 は 2016 年 も 波 乱 の 尐 ない 1 年 となりそうである 思 うに 世 界 中 を 見 渡 しても これほど 不 確 実 性 の 低 い 国 は 尐 ないのではないだろうか 今 後 の 主 要 政 治 外 交 日 程 1 月 通 常 国 会 召 集 (1/4) 6/1 まで 台 湾 総 統 立 法 院 選 挙 (1/16) 2 月 オバマ 大 統 領 が TPP 協 定 に 署 名 アイオワ 州 党 員 集 会 (2/1) NH 州 予 備 選 (2/9) 3 月 スーパーチューズデー(3/1) クルーシャルチューズデー(3/15) 北 海 道 新 幹 線 が 新 函 館 北 斗 駅 まで 開 通 (3/26) 5 月 台 湾 新 総 統 の 就 任 式 (5/20) G7 伊 勢 志 摩 サミット(5/26-27) その 前 後 にプーチン 来 日? 7 月 参 議 院 選 挙 (ダブル 選 挙 も?) 共 和 党 大 会 (クリーブランド 7/18-21) 民 主 党 大 会 (フィラデルフィア 7/25-28) 8 月 リオ 五 輪 (8/5-21) 9 月 G20 首 脳 会 議 ( 中 国 杭 州 9/4-5) 秋 APEC 首 脳 会 議 (ペルー) 東 アジアサミット(ラオス) 11 月 米 大 統 領 選 挙 (11/8) 第 45 代 大 統 領 が 決 定 12 月 米 議 会 が TPP を 批 准? 年 内 日 中 韓 首 脳 会 談 ( 日 本 ) 2017 年 1 月 米 新 大 統 領 が 就 任 式 (1/20) 4 月 消 費 税 が 10%に(4/1~) 秋 中 国 の 習 近 平 体 制 が 第 2 期 へ 2 後 藤 健 二 さんたちが ISIL に 殺 害 されたのも 海 外 でのことであった 2

日 本 : 衆 参 ダブル 選 挙 説 の 真 贋 来 年 の 国 内 政 治 は 5 月 の G7 サミットと 7 月 の 参 院 選 が 焦 点 ということになるだろう 以 前 の 日 本 政 治 には 日 本 が G7 を 主 催 する 年 には 総 選 挙 が 行 われる というジンクス が 存 在 した 1979 年 ( 増 税 解 散 / 大 平 内 閣 ) 1986 年 ( 死 んだふり 解 散 / 中 曽 根 内 閣 ) 1993 年 ( 政 治 改 革 解 散 / 宮 沢 内 閣 ) 2000 年 ( 神 の 国 解 散 / 森 内 閣 )まで 続 き 2008 年 になってようやく 途 切 れた 2016 年 も 衆 参 同 時 選 挙 の 噂 があるが 果 たしてどうか 秋 の 臨 時 国 会 が 開 かれなかったこともあり 来 年 の 通 常 国 会 は 1 月 4 日 に 召 集 される その 後 の 国 会 日 程 はタイトである まずは 補 正 予 算 (3 兆 円 程 度 )を 通 す 次 に 軽 減 税 率 などを 含 めた 税 制 改 正 法 案 を 通 し 滞 留 している 国 会 同 意 人 事 を 済 ませ 2016 年 度 本 予 算 を 3 月 末 までに 可 決 する それから 積 み 残 し 法 案 を 審 議 するわけだが できれば TPP の 批 准 も 早 く 済 ませておきたい しかるに 5 月 26-27 日 には 伊 勢 志 摩 サミットがあり その 前 後 にはプーチン 訪 日 もありそうだ 参 院 選 が 控 えているために 会 期 延 長 は 難 しい そこで 閉 会 日 となる 6 月 1 日 に 解 散 すると 公 職 選 挙 法 ギリギリの 40 日 後 が 7 月 10 日 ( 日 )となり それなら 参 院 選 を 同 時 に 実 施 できる 日 取 りとなる ちなみに 18 歳 以 上 の 有 権 者 が 投 票 できるのは 6 月 19 日 以 降 なので この 条 件 も 満 たすことができる 安 倍 政 権 にとってのダブル 選 挙 のメリットとしては 1 野 党 は 分 裂 状 態 が 続 く 見 込 みで あり(11 月 22 日 の 大 阪 ダブル 選 挙 勝 利 により おおさか 維 新 の 会 が 生 き 残 ったため) 2 次 の 総 選 挙 が 2018 年 となると 消 費 増 税 後 となるのでやりにくい 3 衆 院 選 3 連 勝 と なれば 安 倍 首 相 の 任 期 延 長 (2020 年 まで?)が 現 実 味 を 帯 びてくる などがある 逆 にデメリットとしては 投 票 率 が 上 がると 野 党 に 風 が 吹 く 可 能 性 がある 与 党 が 3 連 勝 した 直 近 3 回 の 国 政 選 挙 は 2012 年 衆 院 選 (59.32%) 2013 年 参 院 選 (52.61%) 2014 年 衆 院 選 (52.66%)といずれも 低 投 票 率 であった ダブル 選 挙 となれば さすがに 65%は 超 えるだろう それは 自 公 連 立 政 権 が 歓 迎 する 事 態 ではないかもしれない ちなみに 解 散 する 場 合 の 大 義 名 分 としては 憲 法 改 正 と 2 度 目 の 消 費 増 税 延 期 の 2 点 が 噂 されている 前 者 はあり 得 ない 筋 書 きであって 安 保 法 制 をこれから 実 行 に 移 して 行 く 段 階 で 安 保 政 策 で 新 たな 挑 戦 をするのでは 2 度 手 間 になってしまう 後 者 につ いて 言 えば 前 回 の 予 定 (2015 年 10 月 から)は 民 主 党 時 代 に 決 まった 増 税 日 程 であった から 安 倍 首 相 としては 延 期 することに 心 理 的 抵 抗 がなかった ところが 今 回 の 予 定 (2017 年 4 月 から)は 自 分 が 決 めた 日 程 だけに 変 えにくいのではないだろうか 以 下 は 筆 者 の 邪 推 だが 現 時 点 で ダブル 選 挙 説 が 流 れているのは 軽 減 税 率 をめぐ る 自 公 間 の 条 件 闘 争 の 一 環 なのではないか すなわち 自 民 党 側 が あんまり 無 茶 を 言 っ ていると あなたたちが 嫌 いなダブル 選 挙 をやるよ と 脅 しをかけているように 見 える 本 来 ダブル 選 挙 というものはサプライズが 命 であって 谷 垣 幹 事 長 が いろいろな 可 能 性 がある などと 思 わせぶりな 発 言 をするのはかえって 怪 しい と 思 うのである 3

米 国 : 大 統 領 選 挙 とオバマ 最 後 の 1 年 次 に 米 国 政 治 について 2016 年 は 選 挙 の 年 であるから 過 去 2 世 紀 以 上 にわたって 続 け られてきた 選 挙 日 程 が いつも 通 りに 展 開 することになる 誰 が 勝 つか はもちろん 分 からないが いつ 何 が 行 われるか はかなり 正 確 に 予 測 できる 3 米 国 もまた 2016 年 の 予 測 可 能 性 (Predictability)が 高 い 国 と 言 える 選 挙 戦 について 尐 し 大 胆 に 予 測 しておこう 例 年 緒 戦 の 2 州 となるアイオワ 州 党 員 集 会 とニューハンプシャー 州 予 備 選 挙 が 重 要 な 役 割 を 果 たす おそらくその 直 前 になって フロントランナーであるドナルド トランプ 候 補 が 失 速 するだろう その 後 は 共 和 党 エスタブリッシュメント 票 をマルコ ルビオ 上 院 議 員 (フロリダ 州 ) が 固 め ジェブ ブッシュ 元 フロリダ 州 知 事 はそれをエンドースする 側 に 回 る 他 方 テ ィーパーティや 宗 教 的 右 派 旧 トランプ 支 持 者 などの 票 はテッド クルーズ 上 院 議 員 (テ キサス 州 )に 流 れる 最 終 的 には キューバ 移 民 の 子 で 44 歳 の 任 期 1 回 目 上 院 議 員 同 士 の 決 戦 になるものと 見 る 民 主 党 側 は ヒラリー クリントン 前 国 務 長 官 で 決 まりであろう ここへきて 彼 女 は 総 額 5000 億 ドルにのぼる 道 路 橋 空 港 などのインフラ 再 建 投 資 を 提 案 している おそ らくはラリー サマーズ 元 財 務 長 官 による 献 策 であろう サマーズは 以 前 から 需 要 不 足 に よる 世 界 経 済 の 長 期 停 滞 論 を 警 戒 し 対 策 として 政 府 による 大 規 模 な 公 共 投 資 を 提 唱 している 経 済 政 策 論 争 としては この 点 が 真 っ 先 に 興 味 深 いところである 2016 年 選 挙 は 中 東 政 策 や 対 中 関 係 あるいは 難 民 受 け 入 れの 是 非 など 外 交 政 策 に 関 する 論 戦 も 比 重 を 高 めるだろう 8 年 間 にわたるオバマ 外 交 をどう 評 価 すべきか 特 に ISIL の 台 頭 という 難 問 の 責 任 は オバマの 対 シリア 政 策 にあるのか それともブッシュのイラ ク 戦 争 にあるのか 2017 年 以 降 のポスト オバマ 外 交 をめぐる 論 戦 が 必 要 になる 選 挙 の 年 の 米 国 政 治 は 4 年 に 1 度 のお 休 み 状 態 を 余 儀 なくされる ベイナー 元 下 院 議 長 の 退 任 間 際 の 尽 力 により 債 務 上 限 問 題 が 先 送 りされたので 財 政 問 題 は 久 々に 霧 が 晴 れている ありがたいことに 2017 年 3 月 までデフォルトも 政 府 閉 鎖 も 心 配 する 必 要 が ないのである 心 置 きなく 選 挙 に 専 念 できる 1 年 ということになるだろう オバマ 大 統 領 にとっては 最 後 の 1 年 となる 幸 いなことに レガシー にしたいと 念 願 していた 多 くの 事 柄 を 2015 年 中 に 間 に 合 わせることができた TPP の 妥 結 イランと の 核 開 発 合 意 キューバとの 国 交 正 常 化 などである さらに 現 在 進 行 中 の COP21 では 気 候 変 動 問 題 に 関 するイニシアティブを 発 揮 したいと 張 り 切 っているだろう 2016 年 に 最 低 限 これだけは 果 たしたいのは TPP の 批 准 であろう ただし 自 由 貿 易 があ まりに 民 主 党 内 で 評 判 の 悪 い 現 状 では 選 挙 期 間 中 にゴリ 押 しすることはためらわれる 批 准 のタイミングは おそらく 選 挙 終 了 後 のレイムダック 議 会 となるのではないか 3 日 程 に 関 する 詳 細 は 本 誌 9 月 11 日 号 2016 年 選 挙 とドナルド トランプ 現 象 を 参 照 4

もうひとつ オバマ 大 統 領 が 秘 かに 検 討 しているのが 米 大 統 領 として 初 の 広 島 ないし は 長 崎 への 訪 問 ではないかと 想 像 する 伊 勢 志 摩 サミットでの 訪 日 時 がチャンスとなるが 大 統 領 選 挙 への 影 響 を 考 えるとなかなか 難 しい 面 もある これも 選 挙 終 了 後 の 年 末 に 任 期 切 れ 間 際 の 駆 け 込 み 訪 問 として 実 施 されるのではないだろうか アジア: 注 目 は 米 中 関 係 と 台 湾 の 選 択 アジアにおいては 今 年 に 引 き 続 き 米 中 関 係 が 最 大 のテーマとなるだろう 経 済 面 においては AIIB 対 TPP の 競 争 が 続 く 中 国 側 としては AIIB を 早 期 に 立 ち 上 げ 夏 頃 には 第 1 号 融 資 案 件 を 決 めたいところ 米 国 側 としては TPP の 批 准 を 急 ぐと ともに アジアで 新 たな 参 加 国 を 増 やしたい こういう 競 争 は 世 界 経 済 全 体 にとってプラ スに 働 くので 米 中 対 立 も 一 概 に 悪 いことばかりではない 例 えば 中 国 が TPP への 対 抗 策 として RCEP や 日 中 韓 の FTA 交 渉 を 急 ぐのであれば 大 いに 結 構 なことと 言 える ちなみに 2016 年 の G20 は 中 国 が 議 長 国 であり 首 脳 会 議 は 9 月 4-5 日 に 杭 州 で 開 催 さ れる 予 定 オバマ 大 統 領 にとっては 最 後 の 訪 中 となるだろう 安 全 保 障 面 では 南 シナ 海 をめぐる 対 立 は 米 国 側 優 位 に 推 移 している 中 国 側 としては 航 行 の 自 由 を 楯 に 入 ってくる 米 イージス 艦 を 止 めることができず ベトナム フィリ ピンなどの 周 辺 国 も 米 国 側 についている 2009 年 夏 から 始 まった 中 国 の 強 気 な 外 交 方 針 は 経 済 の 減 速 とともに 修 正 を 余 儀 なくされると 見 る 現 下 の 中 国 外 交 の 大 方 針 は 東 穏 西 進 北 和 南 下 である つまり 米 国 や 東 南 アジアとは 事 を 構 えず ロシアとの 関 係 を 強 化 するとともに 中 央 アジアと 南 アジアへの 進 出 を 目 指 す そのための 具 体 策 が 一 帯 一 路 計 画 ということになる 2016 年 のアジアにおいて もうひとつの 注 目 点 は 台 湾 政 治 である 1 月 16 日 に 行 われ る 総 統 選 挙 では 野 党 民 進 党 の 蔡 英 文 候 補 の 勝 利 が 確 実 視 されている 民 主 化 後 の 台 湾 においては 2 期 8 年 ごとの 政 権 交 代 が 規 則 正 しく 続 いており 李 登 輝 総 統 ( 国 民 党 1996 年 ~) 陳 水 扁 総 統 ( 民 進 党 2000 年 ~) 馬 英 九 総 統 ( 国 民 党 2008 年 ~)と 続 き 再 び 政 権 は 民 進 党 に 渡 りそうである ただし 前 回 の 陳 水 扁 政 権 時 代 は 議 会 である 立 法 院 を 国 民 党 に 抑 えられていた それが 今 回 は 同 日 に 行 われる 立 法 院 選 挙 でも 民 進 党 が 多 数 を 握 る 勢 いである 2016 年 は 台 湾 政 治 に 地 殻 変 動 が 起 きるかもしれない 台 湾 政 治 における 二 大 政 党 は 国 民 党 が 経 済 的 繁 栄 を 目 指 して 中 国 との 接 近 を 図 り 民 進 党 は 政 治 的 自 立 を 重 視 して 距 離 を 置 こうとする 先 月 シンガポールで 行 われた 歴 史 的 な 中 台 首 脳 会 談 は 国 民 党 政 権 下 における 対 中 接 近 のピークと 位 置 付 けることができよう ただしここがトリッキーなところで 新 政 権 が 発 足 するのは 5 月 20 日 である つまり 選 挙 後 は 約 4 か 月 間 の 政 権 引 き 継 ぎ 時 期 があり この 間 に 馬 英 九 総 統 があと 一 段 の 対 中 接 近 を 狙 ってくるかもしれない 他 方 蔡 英 文 次 期 政 権 も 水 面 下 で 中 国 とのチャネルを 模 索 するはずだ 中 台 関 係 がまことに 微 妙 な 4 か 月 間 となるだろう 5

気 になるのは 馬 英 九 総 統 が 来 週 12 月 12 日 に 南 沙 諸 島 で 台 湾 が 実 効 支 配 している 太 平 島 への 上 陸 を 目 指 していることだ このことは 南 シナ 海 をめぐる 緊 張 に 一 石 を 投 じるだ ろう これは 中 国 と 気 脈 を 通 じてのことなのか アジアにおける 立 ち 位 置 を 模 索 している のか それとも 純 粋 に 内 政 上 の 問 題 あるいは 個 人 的 な 思 い 出 作 り なのか ちなみに 台 湾 外 交 の 大 方 針 は 親 米 和 中 友 日 だそうである 中 東 :2016 年 最 大 の 不 透 明 性 最 後 にもっとも 予 想 しづらいのが 中 東 欧 州 ロシアなどである ひとつだけ 確 実 なのは 年 内 に ISIL を 壊 滅 させることはできないということであろう 空 爆 だけで 倒 せる 相 手 ではなく かといって 地 上 軍 派 遣 はハードルが 高 過 ぎる 尐 なくと も 残 り 任 期 1 年 のオバマ 大 統 領 が 米 軍 の 出 動 を 認 めることは 考 えにくい ISIL の 活 動 が 続 く 一 方 で シリアとイラクを 取 り 囲 む 中 東 の 主 要 5 か 国 は それぞれに 変 化 を 抱 え 相 互 の 対 立 関 係 も 複 雑 になっている * トルコ:ロシアとの 対 立 と 制 裁 エルドアン 独 裁 への 批 判 シリア 難 民 の 流 入 ( ) * イラン: 対 米 核 開 発 合 意 制 裁 解 除 による 石 油 輸 出 隣 国 イラクのシーア 派 化 ( ) * エジプト: アラブの 春 後 の 政 情 不 安 アラブ 世 界 における 地 位 低 下 ( ) * イスラエル: 宿 敵 イランの 対 米 接 近 ( ) * サウジアラビア: 財 政 状 況 の 悪 化 イエメン 介 入 の 難 航 王 家 の 世 代 交 代 ( ) こうしてみると ロシアと 組 んでいるイランだけがパワーを 強 め 米 国 と 同 盟 している 4 か 国 が 悩 みを 抱 えている これらの 利 害 を 調 整 し シリア 問 題 で 意 思 統 一 し 西 側 との 協 調 行 動 を 求 めるのは ほとんど 絶 望 的 に 困 難 としか 言 いようがない そんな 中 で 2016 年 最 大 のリスク 要 因 となりそうなのがロシアである シリアでの 軍 事 行 動 に 踏 み 切 ったのは 西 側 諸 国 との 関 係 修 復 を 図 る アサド 政 権 をテコ 入 れする ロシ ア 軍 の 近 代 化 を 誇 示 する といった 下 心 があったからであろう しかるにロシア 機 が 2 度 も ISIL に 爆 墜 された とあってはプーチン 大 統 領 も 引 くに 引 けなくなった シリアで の 軍 事 行 動 を 勝 つまで 止 めない 必 要 が 出 てきたが ロシアの 財 政 は 急 速 に 悪 化 してい るし これでイスラム テロが 入 って 来 ようものなら 大 変 なことになる さらにこの 地 域 のプレイヤー 全 員 に 影 響 を 与 えるのが 石 油 価 格 がさらに 下 落 に 向 かい そうなことである 昨 年 12 月 プーチン 大 統 領 は 記 者 団 に 対 し かならずやエネルギ ー 価 格 が 上 昇 に 向 かうときはやってくる 最 悪 でも 2 年 で 経 済 は 回 復 に 向 かう と 力 強 く 語 った それから 既 に 1 年 が 経 過 したが 今 週 末 の OPEC 総 会 も 減 産 を 決 められそうに ない 2016 年 の 石 油 価 格 は 1 バレル 30 ドル 台 へと 下 落 が 続 くのではないか 中 東 地 域 の 脆 弱 性 はさらに 高 まることになるだろう 6

< 今 週 の The Economist 誌 から> With Cruz, they d lose Lexington テッド クルーズだと 負 ける November 28 th 2015 * 共 和 党 の 候 補 者 選 びは トランプがいずれ 失 速 すると 仮 定 して 実 態 はルビオ 対 クルー ズに 絞 り 込 まれつつある 様 子 後 者 はダメ と The Economist 誌 が 言 っています < 抄 訳 > 今 年 もっとも 米 国 政 治 に 害 を 為 した 候 補 者 はドナルド トランプだが 共 和 党 にとって 最 も 危 険 なのはテッド クルーズ 上 院 議 員 だ 間 違 った 魅 力 的 な 言 辞 を 吐 いている 44 歳 のテキサス 人 は 単 純 な 選 挙 戦 を 展 開 してきた 福 音 派 教 徒 からティーパーティま で 1/3 の 保 守 派 を 糾 合 すれば 総 選 挙 の 行 方 を 左 右 できる 共 和 党 エスタブリッシュメン トはそれを 恐 れて 軽 めの 民 主 党 候 補 を 目 指 している だが 2012 年 選 挙 ではロムニ ー 候 補 に 対 し 福 音 派 とブルーカラー 保 守 派 の 約 半 分 は 投 票 しなかったではないかと 最 初 の 決 戦 (2/1)となるアイオワ 州 では トランプに 次 ぐ 2 位 につけている ベン カ ーソンの 人 気 を 奪 った 形 だ 元 神 経 外 科 医 は パリテロ 事 件 への 素 人 答 弁 で 傷 ついている 宗 教 的 な 共 和 党 候 補 はアイオワで 勝 てても すぐに 失 速 するのが 常 だった しかしクル ーズは 序 盤 戦 の 南 部 票 田 に 期 待 を 置 いている 超 保 守 層 を 総 取 りにして エスタブリッ シュメント 候 補 を 同 士 討 ちさせる それでトランプ 陣 営 が 汚 い 攻 勢 に 出 れば 敢 えて 距 離 を 置 く トランプ 支 持 者 の 批 判 は 避 けて いずれ 自 分 が 引 き 継 ぐ 怒 れる 者 代 表 として 自 らを 売 り 込 む 構 えだ オバマを 批 判 し シリア 難 民 受 け 入 れは 気 違 い 沙 汰 だと 呼 ぶ デモインで 11/2 社 会 的 保 守 派 が 主 催 する 大 統 領 候 補 者 の 集 まりが 催 された 嵐 にもか かわらず 1200 人 が 集 まった 自 らの 宗 教 体 験 の 重 要 性 を 語 るクルーズは 暖 かく 迎 えら れた ワシントンを 拒 絶 するために 保 守 派 は 1 人 の 候 補 者 に 団 結 すべし と 説 いた ただし 反 エリート 主 義 は 彼 には 似 合 わない 政 界 入 り 以 前 は プリンストン 大 学 の 討 論 王 で ハーバードロースクールでは 優 等 生 だった 後 に 最 高 裁 書 記 官 の 地 位 を 射 止 めてい る 妻 はブッシュ 政 権 の NSC 勤 務 後 ゴールドマンサックスに 入 社 した 支 持 者 はそれが 分 からない クルーズは 戦 士 であり 2013 年 秋 の 政 府 閉 鎖 の 立 役 者 だった 他 の 上 院 議 員 たちの 評 判 は 散 々だったが 草 の 根 支 持 者 にとっては 憎 まれっ 子 世 にはばかる である 2012 年 のロムニー 2008 年 のマッケインには 共 感 できなかったが クルーズはカリス マだ とある 共 和 党 支 持 者 は 語 る ヒラリーとの 大 統 領 候 補 討 論 会 に 期 待 する 声 もある 基 盤 を 鼓 舞 できる 候 補 が 立 てばクリントンは 倒 せる 中 途 半 端 な 候 補 者 では 負 ける クルーズファンには 恐 縮 だが 2012 年 の 投 票 率 は 低 く オバマ 支 持 者 たちも 投 票 してい なかった 逆 に 白 人 の 福 音 派 プロテスタントの 投 票 率 は 出 口 調 査 では 1/4 を 占 めていた 全 人 口 に 占 める 比 率 は 19%に 過 ぎないのに クルーズが 言 っていることは 御 伽 話 で 穏 健 派 の 支 持 なしに 勝 った 共 和 党 大 統 領 はいない 賢 明 で 雄 弁 な 人 物 だけに 目 が 離 せない 7

<From the Editor> 軽 減 税 率 に 異 議 あり どう 考 えても 間 違 っている と 思 われる 政 策 が 導 入 されそうです 今 さら 手 遅 れなのか もしれませんが 黙 っているのも 腹 立 たしいので 声 を 挙 げてみようと 思 います 以 下 は 12 月 1 日 の 毎 日 新 聞 夕 刊 ナビゲート 欄 に 寄 稿 した 小 文 です 題 して 経 済 学 と 庶 民 感 覚 軽 減 税 率 に 正 面 から 喧 嘩 を 売 ってみました 世 論 と 専 門 家 の 意 見 がくい 違 っているときは どちらを 採 用 すべきなのだろうか 専 門 家 というものは 何 らかの 利 害 関 係 者 になっていることがあるものだし みんなの 意 見 は 意 外 と 正 しい との 説 もある しかるに 自 分 が 専 門 家 の 立 場 にあるときに 世 論 を 説 得 できないのは 何 とも 歯 がゆいも のだ 何 が 言 いたいかといえば 今 話 題 の 軽 減 税 率 についてである 筆 者 が 知 る 限 り エコノミストでこの 制 度 の 導 入 に 賛 成 している 人 は 誰 もいない ところが 世 論 調 査 を 見 る と いつも 賛 成 が 反 対 を 上 回 っている 経 済 学 は 庶 民 感 覚 に 勝 てないのである 例 えば 毎 日 食 べるものだから お 米 だけは 軽 減 税 率 の 対 象 にするとしよう その 場 合 お 米 が 売 れて 食 パンが 売 れなくなる だったら 食 パンも 税 率 8%にすべきだろうか する とクロワッサンはどうなるのか 結 局 線 引 き ができなくなる あれもこれもと 対 象 を 広 げていくと それだけ 税 収 に 穴 が 開 くことになる しかもこの 制 度 を 入 れると 高 所 得 者 ほど 得 をするので 経 済 格 差 が 広 がってしまう 2%の 差 がつくことで 納 税 する 商 店 業 者 の 手 間 も 増 えてしまう どう 考 えても この 制 度 を 導 入 することは 間 違 っている ただし 今 後 消 費 税 率 が 20%くらいに 上 昇 することが 事 前 に 分 かっているのであれば 話 は 違 ってくる 今 のうちに 日 用 品 は 低 く そうでないものは 高 く 税 率 を 2 段 階 に 分 けて おくのは 合 理 的 な 考 え 方 である だが それを 言 い 出 したらほとんどの 人 は 聞 いてないよ! と 言 って 怒 り 出 すので はないだろうか 税 のあるべき 姿 は 公 平 中 立 簡 素 であると 言 われます その 点 で 今 の 消 費 税 はか なりよく 出 来 ている 1989 年 の 導 入 時 に それまでバラバラだった 物 品 税 の 税 率 を 一 つに まとめたからです 欧 州 では 複 数 税 率 が 当 たり 前 という 声 もありますが それは 既 得 権 益 が 強 過 ぎて 一 本 化 できないでいる と 見 る 方 が 実 態 に 近 いと 思 います そこへ 軽 減 税 率 を 導 入 すると 1 金 持 ち 優 遇 になるから 公 平 性 を 損 ない 2 特 定 品 目 を 低 い 税 率 にとどめようとする 政 治 の 介 入 を 招 いて 中 立 性 を 歪 め 3 線 引 きが 難 し いので 簡 素 でもなくなり しかも 事 業 主 の 納 税 コスト 増 (インボイス 制 の 導 入 など) は 最 終 的 には 消 費 者 に 転 嫁 されることになる なんという 愚 策 でありましょうや 8

増 税 に 伴 う 低 所 得 者 対 策 は マイナンバー 制 を 使 った 定 額 給 付 のような 形 で 行 うのがも っとも 効 率 的 であると 思 います たぶん 軽 減 税 率 導 入 による 税 収 減 よりはずっと 尐 額 で 済 むでしょうし 最 後 に 蛇 足 ながら 本 件 について 新 聞 社 が 利 害 関 係 者 になっているから 議 論 が 深 ま らない ( 新 聞 への 軽 減 税 率 を 望 んでいる)との 指 摘 があります その 点 毎 日 新 聞 社 は 拙 稿 をそのまま 載 せてくれました まことに 公 平 にして 中 立 で 簡 素 な 態 度 であったと 思 います 感 謝 の 念 とともに ここに 記 しておきます * 次 号 は 2015 年 12 月 18 日 ( 金 )にお 送 りします 編 集 者 敬 白 本 レポートの 内 容 は 担 当 者 個 人 の 見 解 に 基 づいており 双 日 株 式 会 社 および 株 式 会 社 双 日 総 合 研 究 所 の 見 解 を 示 すものではありません ご 要 望 問 合 わせ 等 は 下 記 あてにお 願 します 100-8691 東 京 都 千 代 田 区 内 幸 町 2-1-1 飯 野 ビル http://www.sojitz-soken.com/ 双 日 総 合 研 究 所 吉 崎 達 彦 TEL:(03)6871-2195 FAX:(03)6871-4945 E-MAIL: yoshizaki.tatsuhiko@sojitz.com 9