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インターネット環境についての実態調査とオンライン授業に関するアンケート調査 Survey on Students' internet connection and satisfaction with online learning 内山仁志 西村健一 高橋泰道 ( 保育教育学科 ) キーワード : オンライン授業 遠隔授業 ICT 機器 アンケート 1. はじめに新型コロナウイルス感染症の影響により 本学でも 2020 年度の授業を急遽 オンラインで実施することとなった そこで 学生のインターネット環境や ICT 機器の所有状況を把握するために ICT 特命チームが編成され 授業期間開始前の 2020 年 4 月 ( 以下 4 月 ) と授業期間終了後の 2021 年 2 月 ( 以下 2 月 ) にそれらに関する実態調査を行った 本稿では 調査結果に基づき 本学学生の 2020 年度におけるインターネット環境の変化とオンライン授業に関する現状の課題について検討を行った 2. 方法 1) 対象と期間対象は島根県立大学短期大学部 (171 人 ) と 4 大部 (355 人 ) の在籍学生 合計 526 人であり 4 月と 2 月に Web アンケート方式により回答を求めた なお 調査への回答は任意であり 個人が特定されることはなく 調査に協力をしなくても不利益がないこと 回答データは個人情報保護方針に則り 島根県立大学が適切に管理することを明記した上で実施した 回答期間に関しては 4 月は 4 月 10 日 ( 金 )~15 日 ( 水 ) までの 6 日間 2 月は 2 月 16 日 ( 火 )~ 3 月 7 日 ( 日 ) までの 15 日間とした 2) アンケート項目 4 月はインターネット環境に関する事項の 4 項目と 不安や要望 について 2 月は 4 月の 4 項目に加え 解決できなかった問題 について尋ねた また 授業後についてはオンライン授業に関する事項の 7 項目についても尋ねた 各質問項目の内容については 結果とともに記す 3) 分析方法集計した結果について 項目毎に件数と割合を算出した インターネット環 184

境に関する項目は授業前の 4 月と授業後の 2 月を併記した また自由記述欄に関しては UserLocal テキストマイニングツールで分析し 表出した単語の重要度をスコア化して図示する ワードクラウド を作成した (https://textmining.userlocal.jp/) これはスコアが高い単語を複数選び出し スコアに応じた大きさで図示したものである 単語の色は品詞ごとに分けられ 青色は名詞 赤色は動詞 緑色は形容詞 灰色は感動詞を表している 3. 結果と考察 本学の対応状況 1) アンケートの有効回答数と回収率 有効回答数は 4 月 409 件 2 月 231 件であり その回収率はそれぞれ 77.8% 43.9% であった 短大部 4 大 部の内訳は表 1 の通りである 授業 前の 4 月に比べ 授業後の 2 月の回 収率は大幅に低下した 2) インターネット環境に関するアンケート結果 以下に質問項目とその選択肢を列記し それぞれの質問事項に関する回答状 況を図示する (1) 利用機器に関して 質問は インターネットを利用し ている機器をすべて選んでくださ い ( いくつでも ) とし 選択肢の 項目は デスクトップ PC(Windows 以下 Win) デスクトップ PC(Mac) ノート PC(Win) ノート PC(Mac) Android タブレット ipad Android スマ - トフォン ( 以下 スマホ ) iphone その他であった 結果を図 1 に示す PC( デスクト ップ ノート ) の使用が増加してお り オンライン授業を行うために は PC あるいはタブレットが必要で あることを学生も意識していることが窺われる しかし iphone 等の携帯のみ での利用も多いことも窺われ オンライン授業を充実させていくためには課題 である 大学としては次年度に向けて 新入生にはノートパソコンの購入を原 則とし 在校生にも購入を促している デスクトップ PC(Win) デスクトップ PC(Mac) ノート PC(Win) ノート PC(Mac) Android タブレット 表 1. 回答件数と回収率 ipad Android スマホ iphone その他 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 5.4 10.0 0.0 0.9 2.7 1.7 3.2 3.0 0.5 0.9 7.1 10.8 14.9 18.2 53.1 図 1. 利用機器に関して 4 月 2 月 83.5 68.2 78.8 (%) 185

(2) 接続方法に関して 質問は インターネットに接続 する方法をすべて選んでくださ い ( いくつでも ) とし 選択肢 の項目は 固定回線 ( フレッツ光 など ) データ制限なしの WiFi 機 器 ( ホームルータ ) データ制限あ りの WiFi 機器 ( ポケット WiFi な ど ) 携帯によるテザリング 携帯 で接続 その他であった 結果を図 2 に示す インターネ ットに接続する方法に関して な い と答えたのは 4 月で 18 人 (4.4%) 2 月で 7 人 (3.0%) であったが この学生は全員 実家にてイン ターネット接続が可能であった 4 月から 2 月にかけてデータ制限無しの WiFi 機器が増えており 学生自身 のオンライン授業環境が揃いつつあることが窺われる また 携帯で接続 を 選択した 4 月の 95 人 (23.2%) 2 月の 33 人 (14.2%) の学生のうち純粋に 携帯 でのみ接続していたのは 4 月で 51 人 (12.5%) 2 月で 9 人 (3.9%) であり その割合は減少したものの 依然として携帯でのみ接続している学生が見られ ることは今後の課題である なお大学の対応として インターネット環境が整 わない学生に対してモバイルルーターの貸し出しが行われた 結果として春学 期 25 名 秋学期 23 名の学生が利用した (3) 月間データ容量 ( 契約プラン ) 質問は 使用できるインターネット回線の月間データ容量 ( 契約プラン ) に ついて教えてください とし 携帯のみで接続している学生がいることを踏 まえ 選択肢は 3GB 以下 5GB 以下 7GB 以下 30GB 以下 50GB 以下 50GB よ り多いプランとした 結果を図 3 に示す 50GB より多いプラン を契約している学生の割合が 4 月から 2 月にかけて大幅に増加した データ制限なしの WiFi 機器 を設置し た学生が増えたこと 携帯各社の 50GB 程度までの無償化サービスが 8 月で終 了したことが影響していると考えられる 実態として オンライン授業での使 用に加え SNS やゲーム等授業以外の日常使用も考慮すると 月間データ使用 量は最低でも数十 GB 必要であり 契約を変更したケースが多かったとことが 窺われる 固定回線 図 2. 接続方法に関して 大学では脆弱であったキャンパス内の施設 ( 学生寮を含む ) の WiFi 環境が ない ( フレッツ光など ) データ制限なしの WiFi 機器 ( ホームルータ ) データ制限ありの WiFi 機器 ( ポケット WiFi など ) 携帯によるテザリング 携帯で接続 その他 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 4.4 3.0 0.2 2.2 11.5 13.4 7.1 10.4 24.9 17.7 23.2 14.3 44.5 4 月 2 月 66.7 (%) 186

急ピッチで整備 強化され 教室やパソコンルームがオンライン授業用に開放 されるなどして学生がインターネット接続に不便を感じないよう環境改善が なされた (%) 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 (%) 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 3GB 以下 11.5 9.5 4 月 2 月 プリンター 32.8 42.9 4 月 2 月 5GB 以下 8.7 14.7 スキャナー 11.0 9.1 7GB 以下 10.0 18.1 Web カメラ 24.9 54.5 30GB 以下 23.5 18.6 マイク 14.9 44.6 50GB 以下 10.8 8.7 イヤフォン ヘッドホン 71.9 68.8 50GB より 多いプラン 21.5 40.3 その他 0.7 0.9 無回答 0.0 4.3 無回答 5.6 26.4 図 3. 月間データ容量 図 4. 周辺機器の保有状況 (4) 周辺機器の保有状況質問は デバイスの周辺機器について 所有しているものにすべてにチェックをつけてください わからない場合はその他の欄にわかる範囲でお書きください とし 選択肢はプリンター スキャナー Web カメラ ( ノート PC に内蔵されているものも含む ) マイク イヤフォン ヘッドホン その他 とした 結果を図 4 に示す Web カメラとマイクの保有率が 4 月から 2 月にかけて大幅に増加した 大学の対応として パソコンルームのすべての PC にヘッドセット ( マイクとヘッドホン ) web カメラが設置された (5) 不安や要望 (4 月のみに実施した質問項目 ) この質問は 大学がオンライン授業を行うにあたって不安に思うことや要望があればお書きください とし 自由に記述させた ワードクラウド化した結果を図 5 に示す この結果から 授業に関して WiFi 環境などのインターネット接続の安定性に関する心配や通信が途切れたり つながりにくかったりしたときの対応法 パソコン操作に関する不安等が読み取れる また通信制限の問題を多く挙げる学生がみられた (6) 解決できなかった問題 (2 月のみに実施した質問項目 ) 質問は あなたのインターネット環境について 解決できない問題があった場合はここに書いて下さい とし 自由に記述させた 表 2 に結果を示す 回答は 22 件であった 自宅でのインターネット接続 187

図 5. オンライン授業に対する不安や要望のワードクラウド (4 月 ) の不安定さに関するもの あるいは使用している PC のスペックの問題が影響していると考えられた 一方で 209 人 (90.5%) の学生は特に問題を挙げなかった このことから ほぼ一年間のオンライン授業を通して 大学側も通信環境等の支援を行っていったが 学生も円滑なオンライン授業を求めて 利用機器や通信環境等の環境を整えていったことが窺われる 表 2. 解決できなかった問題として挙がった記述内容 14 件 WiFi の接続が弱い 遅い つながりにくい 3 件会議 ( 授業 ) に参加出来ないことがあった 2 件家に WiFi がない 1 件パソコン内蔵のカメラが突然使えなくなった 1 件パソコンが固まる 1 件資料を郵送して欲しい 通信費に関する補助がほしい 3) オンライン授業に関するアンケート結果以下に質問項目とその選択肢を列記し それぞれの質問事項に関する回答状況を図示する (1) オンライン授業の満足度質問は 今年度 展開されたオンライン授業について満足度をお答え下さい とし 選択肢は 満足している ある程度満足している ふつう やや不満 不満である から選択させた 結果を図 6 に示す 満足している 32 人 (13.9%) ある程度満足している 94 人 (40.7%) を合わせて 126 人 (54.6%) が肯定的な評価 やや不満であ 188

る 22 人 (9.5%) 不満である 3 人 (1.3%) を合わせて 25 人 (10.8%) が否定的な評価であった 概ねオンライン授業形式は学生に受け入れられていることが窺われる なお 否定的な意見の原因が何かを検討する必要があるが それついては (4) オンライン授業の悪かった点 (5) オンライン授業における不具合において考察する 図 6. オンライン授業に関する満足度 (2) オンライン授業の実施割合について質問は コロナがおさまってもオンライン形式の授業は継続しても良いと思いますか? とし 学生がオンライン授業の継続を希望するかを尋ねた 結果を図 7 に示す 割合の程度はあるものの 211 人 (91.3%) の学生が対面とオンラインの併用でもよいと回答していることになる 一方で 20 人 (8.7%) の学生はすべて対面授業が良いと回答した コロナが収束しても 多くの学生はオンライン授業に一定の理解 評価をしていることが窺われた 図 7. オンライン授業をどの程度の割合で実施するべきか (3) オンライン授業の良かった点について質問は オンライン授業の良かった点を教えて下さい とし 220 件 (95.2%) の回答を得た その分析結果をワードクラウド化して 図 8 に示す この結果から 良い点として回答が多かったのは 授業の振り返りがしやすい 資料が見やすい 資料を管理しやすい 自分の好きな時間に学習できる 通学時間を別の時間として有効に使える 移動時間がない 感染リスクが低い 体調が 189

わるくても授業に参加できる 服装に気を遣わなくてよい チャットで気軽に質問ができる などの記述が多かった 録画した動画の見返しが出来ることや資料の見やすさ 資料の管理がしやすいといった特徴は オンライン授業ならではの強みであり その利便性が評価されたものである また 課題 ( 指導案等 ) を Teams 上で友達と一緒に作業して編集できた 皆の意見を共有できた 等 ICT の本質である コミュニケーション を通じたアクティブ ラーニングが一部の授業で実践されている様子も窺えた オンライン授業が肯定的に受け止められているのは対面授業では難しかった問題が解消された部分があるためではないかと考えられた 図 8. オンライン授業の良かった点 (4) オンライン授業の悪かった点について質問は オンライン授業の悪かった点を教えて下さい とし 218 件 (94.3%) の回答を得た 分析結果をワードクラウド化して 図 9 に示す この結果から 悪い点として多かったのは 課題が多い WiFi の調子 ( 接続 ) が悪く 授業が聞きにくいときがある 集中力が続かない 気持ちが緩んでしまう グループワークや話し合いが大変だった 対面とオンラインが混ざる不規則なスケジュールは困った 友達に会う機会が極端に減った 学生同士の交流の機会が少なかった などである こうした課題は他大学の調査においても同様のことが指摘されている ( 東京大学,2020; 早稲田大学,2020; 立教大学,2020) 一般的にオンライン授業は対面授業に比べて学生が疲れるといわれている これは普段の意思伝達には態度やジェスチャーといった視覚的な非言語コミュニケーションが多く用いられているのに対し オンライン授業ではそれらが使えないため 情報を把握するためにより強い注意を払う必要があること そして通信状況に依存してコミュニケーション上 しばしばタイムラ 190

グが生じて違和感を覚えるため無意識のうちに疲れが生じるためと考えられている (Wiederhold BK,2020) オンライン授業評価の高い科目では 説明時間を 20 分ごとに区切って休憩を適宜入れる チャットなどを活用する 講義を録画 あるいはオンデマンド方式として繰り返し見られるようにする といった対応が行われていた このことから オンライン授業を行うためには これまでの教員の授業スタイルを工夫していく必要があると考える また オンライン授業では 対面授業で可能な自然に生まれる友達関係の形成が難しい 何らかの形でコミュニケーションが生まれる工夫をオンライン授業でも行えるとよい 例えば グループワークにより学生同士の共同作業の実現に成功している例もあるため こうした成功例を参考にオンラインだからこそ出来る新しい実践が展開されることを期待したい いずれにしてもオンライン授業の問題点をより深く検討し 高橋 (2020) が指摘しているとおり 双方向性の授業 と 学生間の協働 能動的な学修 を意識した授業展開へと改善を図る必要がある 図 9. オンライン授業の悪かった点 (5) オンライン授業における不具合質問は オンライン授業において不具合は生じましたか? とし はい もしくは いいえ のどちらかを選択させた 結果を図 10 に示す 不具合があったのは 138 件 (59.7%) で その原因は 先生 自分の両方の問題による不具合 が 70 件 (50.7%) 自分の問題による不具合 が 44 件 (31.9%) 先生の問題による不具合 が 23 件 (16.7%) 図 10. オンライン授業における不具合 191

その他として 不明 1 件 (0.7%) であった 具体的な不具合 困ったこと 嫌だったことについて自由記述形式で尋ねたところ 106 件 (76.8%) の回答を得た ワードクラウド化した分析結果を図 11 に示す この結果から 具体的な不具合で多かったのは 会議 ( 講義 ) 中に途切れて 授業が聞けなかった 授業を受けにくい 音声が聞きにくかった グループワークがしにくい オンデマンドの場合 質問がしにくい などであった また トラブルの時の対応に時間がかかる 接続の不具合で授業が休講になった 提出に手間取って時間通りに提出できなかった 授業料に適している内容だとは思えなかった Teams のバグにより会議に入れなかった 不具合が生じてもテストなど待ってくれない教科があった 明らかに先生側の不手際における接続不良を生徒の問題とみなされ 授業が進められたこと などの意見があがった 図 11. 具体的な不具合に関するワードクラウド不具合の多くは接続環境の問題やアプリケーションの不具合である この問題は学生 教員ともに ICT 機器の操作に慣れていないために生じていることも少なくないと考えられる 大学によっては ICT 操作に精通した Teaching Assistant( 以下 TA) を設置して対応しているところもある 授業中に問題が生じた学生に即座に対応したり グループワークの補助を行ったりなど授業が円滑に行われるためにはこうした授業サポート体制を充実させることが今後必須になってくると考えられる 大学としては学生や教員に対してオンライン授業で使うソフトウェアのマニュアル作成を行うとともに 教員に対して活用方法に関する研修会の開催等を活発に行っていく必要がある (6) コロナの状況が続く中での対面授業の実施について質問は 来年度 このコロナの状況が続く中で 対面式とオンラインのど 192

ちらでも出席が可能なハイブリッド講義を行った場合 あなたは大学に登校 して対面講義を受けたいですか? とし はい もしくは いいえ のどち らかを選択させた 結果を図 12 に示す はい が 52.8% い いえ が 47.2% と かなり拮抗した結果とな った また はい と回答した場合は 登校し て対面授業を受けたい理由 いいえ と回答 した場合は 登校したくない理由 を複数回答 可能な形で尋ねた 結果を図 13-1 13-2 に示す 受けたい理由 のその他 6 件 (4.9%) の内訳は 友達に会い たい 友達を作りたいから 4 件 対面の方 が先生に質問がしやすいから 1 件 大学での授業を受けてみたいから 1 件であった 図 12. コロナ禍での対面授業の実施について 登校したくない理由のその他 7 件 (6.4%) の内訳は 対面と比較して オンラインの方が良かった授業があったから 3 件 オンラインでしか受け られない授業が連続であった時大学に通う時間がないから 1 件 対面かオ ンラインか どっちかにしてほしいから 1 件 対面と両方だった場合 1 人参加だと嫌 1 件 1 人が感染すると大事になるから 1 件であった 図 13-1. 対面授業を受けたい理由 図 13-2. 登校したくない理由 (7) オンライン授業についての意見や要望 質問は 意見や要望等があれば教えてください とし 自由記述にて 34 件 193

(14.7%) から回答を得た その結果 多かった意見は 曜日ごとに対面の日とオンラインの日で分けて欲しい 講義は必ず録画してほしい 新型コロナウイルスが終息しない間は 遠隔で行うことのできる授業は遠隔で行ってほしい 授業料や施設管理費の見直し 授業中に生徒が発言出来る時間や問題を解く時間があるとよい 課題を減らして欲しい などであった また フィールドワークなのに行けなかったから希望者だけでも来年度以降は連れて行ってあげてほしい いきなり顔を出してと言われると困るので事前告知してほしい プリント類を事前に印刷して配布して欲しい といった意見もあがった 4. おわりに一年間のオンライン授業を通じて 学生の学びの保障については学生にとっても教員にとっても大変な 1 年であった しかし これまで遅れが見られた本学の ICT 活用についての環境や授業形態については コロナの影響により ICT 環境が次第に整い 円滑なオンライン授業や ICT を活用した授業が実現しつつあることはせめてもの救いである 今後更に オンライン授業や ICT を活用した授業のための環境を充実させ 学生が主体的に学修に取り組む体制を構築していく必要がある 謝辞 資料の作成にあたり 教務学生課の飯島久美子課長 管理課の松井洋司主任主事に多大なるご協力を賜りました ここに深謝いたします 参考 引用文献 東京大学(2020).UTokyo オンライン授業の現在 コロナ禍と東大. https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00084.html(2021 年 3 月 22 日 ) 早稲田大学(2020). オンライン授業に関する調査結果. https://www.waseda.jp/top/news/70555(2021 年 3 月 22 日 ) 立教大学(2020). オンライン授業についてのアンケート実施結果概要 https://www.rikkyo.ac.jp/about/activities/fd/qo9edr0000005dbratt/study_online_200516_0521.pdf(2021 年 3 月 22 日 ) Wiederhold BK(2020). Connecting Through Technology During the Coronavirus Disease 2019 Pandemic: Avoiding "Zoom Fatigue". Cyberpsychol Behav Soc Netw. Jul;23(7):437-438. 高橋泰道(2020). 教員養成における ICT 活用に関する一考察 - 本学における ICT 活用の実態から- 人間と文化, 創刊号.10-21. 194