序



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17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

ウ 一 日 当 たりの 摂 取 目 安 量 粒 ~ 粒 お 召 し 上 がりください という 旨 の 幅 の 両 端 をもって 表 示 することも 可 能 です エ 栄 養 成 分 の 量 及 び 熱 量 ( 栄 養 成 分 表 示 ) 一 日 の 摂 取 目 安 量 当 たりの 栄 養 成 分 の

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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診療行為コード

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母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

●電力自由化推進法案

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

【資料1】栄養強調表示等について

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

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子 育 てをサポート サポートする 休 暇 等 制 度 1 出 産 前 後 の 休 暇 休 暇 等 名 称 妊 娠 出 産 後 通 院 休 暇 ( 特 別 休 暇 ) 妊 娠 中 の 職 員 及 び 出 産 後 1 年 以 内 の 職 員 が 保 健 指 導 又 は 健 康 審 査 を 受 ける 場

接 支 払 制 度 を 活 用 するか 意 思 を 確 認 する 確 認 に 当 たっては 次 の 各 号 に 掲 げる 事 項 について 書 面 により 世 帯 主 の 合 意 を 得 て 代 理 契 約 を 締 結 するものとする (1) 医 療 機 関 等 が 本 市 に 対 し 世 帯 主

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有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

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2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

公 営 企 業 職 員 の 状 況 1 水 道 事 業 1 職 員 給 与 費 の 状 況 ア 決 算 区 分 総 費 用 純 利 益 職 員 給 与 費 総 費 用 に 占 める ( 参 考 ) 職 員 給 与 費 比 率 22 年 度 の 総 費 用 に 占 A B B/A める 職 員 給 与

Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

( 医 療 機 器 の 性 能 及 び 機 能 ) 第 3 条 医 療 機 器 は 製 造 販 売 業 者 等 の 意 図 する 性 能 を 発 揮 できなければならず 医 療 機 器 としての 機 能 を 発 揮 できるよう 設 計 製 造 及 び 包 装 されなければならない 要 求 項 目 を

( 新 ) 医 療 提 供 の 機 能 分 化 に 向 けたICT 医 療 連 携 導 入 支 援 事 業 費 事 業 の 目 的 医 療 政 策 課 予 算 額 58,011 千 円 医 療 分 野 において あじさいネットを 活 用 したICT したICT 導 入 により により 医 療 機 能

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

003-00個人の健康増進・疾病予防の推進のための所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

大学病院治験受託手順書

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一 方 でも 自 分 から 医 師 に 症 状 の 変 化 について 伝 えている 割 合 は シーズン 前 では 満 足 な と 同 じ %でしたが シーズン 開 始 直 後 から 高 くなり シーズン 後 半 では の 31%を 上 回 り 42%となっています (グラフ 3) ギャップ 3:

3 薬 局 サービス 等 (1) 健 康 サポート 薬 局 である 旨 の 表 示 健 康 サポート 薬 局 である 旨 を 表 示 している 場 合 健 康 サポート 薬 局 とは かかりつけ 薬 剤 師 薬 局 としての 基 本 的 な 機 能 に 加 えて 積 極 的 な 健 康 サポート 機

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3 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 43.7 歳 32, , ,321

○医療用医薬品の使用上の注意記載要領について

( 減 免 の 根 拠 等 ) 第 1 条 こ の 要 綱 は, 地 方 税 法 第 条 の 規 定 に 基 づ く 市 税 条 例 第 6 9 条 の 2 の 規 定 を 根 拠 と す る 身 体 障 害 者 等 に 対 す る 軽 自 動 車 税 の 減 免 の 具 体 的 な 対

健 康 医 療 戦 略 に 係 る 農 林 産 省 の 主 な 取 組 みについて 1. 健 康 長 寿 社 会 の 形 成 のための 食 の 研 究 開 発 の 推 進 2. 医 福 食 農 連 携 の 取 組 の 推 進 3 5 2


セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

●幼児教育振興法案

平 成 34 年 4 月 1 日 から 平 成 37 年 3 月 31 日 まで 64 歳 第 2 章 労 働 契 約 ( 再 雇 用 希 望 の 申 出 ) 第 3 条 再 雇 用 職 員 として 継 続 して 雇 用 されることを 希 望 する 者 は 定 年 退 職 日 の3か 月 前 まで

全設健発第     号

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①表紙

2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

官 庁 営 繕 事 業 の 事 後 評 価 表 事 業 名 かいじょうほあんだいがっこう(そうごうじっしゅうとう) 海 上 保 安 大 学 校 ( 総 合 実 習 棟 ) 実 施 箇 所 呉 市 若 葉 町 5-1 該 当 基 準 事 業 完 了 後 3 年 間 が 経 過 した 事 業 事 業 諸

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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2. 研 究 内 容 本 研 究 は 高 齢 者 施 設 に 入 所 する 高 齢 者 ( 平 均 年 齢 85 歳 )72 名 および 職 員 ( 平 均 年 齢 37 歳 )20 名 をそれぞれ 無 作 為 に2 群 に 分 け L. casei シロタ 株 を 含 むプロバイオティクス 飲 料

育児・介護休業等に関する規則


別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

製 造 業 者 は 製 造 販 売 業 者 の 管 理 監 督 の 下 適 切 な 品 質 管 理 を 行 い 製 品 を 製 造 します なお 製 造 業 は 製 造 に 特 化 した 許 可 となっており 製 造 業 の 許 可 のみでは 製 品 を 市 場 に 出 荷 することはできま せん

独立行政法人国立病院機構呉医療センター医療機器安全管理規程

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用

答申第585号

2 積 極 的 な 接 種 勧 奨 の 差 し 控 え 国 は 平 成 25 年 4 月 から 定 期 接 種 化 したが ワクチン 接 種 との 関 連 を 否 定 できない 持 続 的 な 痛 みなどの 症 状 が 接 種 後 に 見 られたことから 平 成 25 年 6 月 定 期 接 種 と

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

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国立大学法人東京医科歯科大学職員の労働時間、休暇等に関する規則(案)

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定款

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目次

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一般用漢方製剤の添付文書等に記載する使用上の注意の一部改正について_3

(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

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1 資 料 編 我 が 国 の 人 口 の 推 移 厚 労 働 全 般 平 成 24 年 版 厚 労 働 白 書 5

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臨 床 研 究 事 案 に 関 する 主 な 報 道 概 要 ディオバン 事 案 白 血 病 治 療 薬 タシグナ 事 案 (SIGN 試 験 ) ノバルティス 社 の 高 血 圧 症 治 療 薬 ディオバンに 係 る 臨 床 研 究 において データ 操 作 等 があり 研 究 結 果 の 信 頼

(5 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業 所 の 新 規 に 採 用 し た 全 て の 居 宅 介 護 従 業 者 に 対 し 熟 練 し た 居 宅 介 護 従 業 者 の 同 行 に よ る 研 修 を 実 施 し て い る こ と (6 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業

別紙3

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 岐 阜 県 類 似 団 体 平 均 年 齢 平 均 給


代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

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(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

技 能 労 務 職 平 均 年 齢 歳,7 平 均 給 料 月 額 歳 7,,8, 歳,9,57, 7,7 7,9 9,5 - (8,85) (5,) 類 似 団 体 5. 歳 9,8 9, 85, ( 注 ) 平 均 給 料 月 額 とは 平 成 5 年 月 日 現 在 における

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経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

Transcription:

( 睡 眠 障 害 の 漢 方 治 療 とサプリメント 星 和 書 店, 東 京,2004 より 一 部 抜 粋 修 正 ) 不 眠 症 のためのサプリメントおよび 食 品 Anzai & Associates 安 西 英 雄 はじめに 睡 眠 は 単 なる 活 動 の 休 止 ではない 睡 眠 時 に 人 は 覚 醒 時 とは 大 きく 異 なった 生 命 活 動 を 行 う 睡 眠 に は 代 謝 の 促 進 傷 病 治 癒 の 促 進 記 憶 情 報 の 再 構 成 感 情 の 浄 化 認 識 の 深 化 など 多 くの 重 要 な 価 値 があるが 多 忙 な 現 代 生 活 ではこれらは 往 々にして 軽 視 されやすい ストレスや 生 活 の 不 規 則 さがあい まって 睡 眠 の 質 と 量 は 低 下 し 慢 性 的 な 睡 眠 不 足 の 状 態 にある 人 は 少 なくないと 思 われる 眠 りたくとも 思 うように 眠 れず それが 苦 痛 になると 不 眠 症 の 段 階 に 入 る 不 眠 は 生 活 の 質 を 低 下 さ せ 心 身 の 健 康 が 脅 かされる 不 眠 が 重 度 になるとついには 社 会 生 活 に 支 障 をきたすことにもなりかね ない 睡 眠 の 不 足 や 不 眠 症 は 軽 度 のうちに 対 応 したいものである 安 眠 のためのサプリメントとして 日 本 で 知 名 度 が 高 いのは メラトニンやカモミールなどのハーブテ ィーであろう だが 欧 米 諸 国 はもっと 多 様 なサプリメントやハーブを 安 眠 のために 活 用 している 近 年 海 外 のサプリメントが 海 外 旅 行 の 土 産 として あるいは 個 人 輸 入 などの 手 段 により 容 易 に 入 手 できるよ うになった しかしそれらを 安 全 かつ 有 効 に 使 用 するための 基 本 的 な 情 報 も 適 切 に 提 供 されているとは 言 いがたい 本 稿 では 欧 米 で 不 眠 症 に 用 いられている 主 なサプリメントを 取 り 上 げ その 背 景 科 学 的 な 根 拠 の 程 度 使 用 上 の 注 意 などについて 説 明 する 大 部 分 のハーブはサプリメントとしてばかりでなくハーブテ ィーとしても 用 いられているが ここではサプリメントに 含 める さらに 不 眠 症 に 影 響 を 与 える 可 能 性 のある 食 品 についても 解 説 する 不 眠 症 とサプリメント メラトニン バレリアン カバ セントジョンズワート ジンセン カモミール パッションフラワー ホップ レモンバーム ビタミンB 群 カルシウムとマグネシウム 5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン) 不 眠 症 と 食 品 不 眠 症 に 良 い 食 品 トリプトファン 含 有 食 品 ビタミン B 群 含 有 食 品 レタス 避 けたほうが 良 い 食 品 カフェイン タバコ アルコール チラミン 含 有 食 品 就 寝 前 の 食 事

1. 不 眠 症 とサプリメント メラトニン(Melatonin) メラトニンは 脳 の 松 果 腺 で 作 られるホルモンで 概 日 周 期 を 調 節 し 光 周 性 ( 日 照 時 間 の 長 さ に 関 連 した 生 物 の 季 節 行 動 )を 調 節 する 両 生 類 も 植 物 も 同 じホルモンを 作 る 不 眠 症 海 外 旅 行 時 の 時 差 症 候 群 (ジェットラグ) 夜 勤 による 睡 眠 リズム 障 害 などに 広 く 用 い られる 通 常 3mg までを 就 寝 前 に 服 用 する 米 国 ではサプリメントだが 日 本 では 未 承 認 の 医 薬 品 という 扱 い 欧 州 の 多 くの 国 で 医 薬 品 とし て 扱 われている 不 眠 症 患 者 の 睡 眠 導 入 時 間 を 短 縮 し 睡 眠 の 質 を 向 上 させるという 二 重 盲 検 データがいくつかあ るが 否 定 的 な 結 果 も 同 様 に 得 られている ベンゾジアゼピンを 長 期 間 常 用 している 不 眠 症 患 者 の 薬 剤 からの 離 脱 を 有 意 に 促 進 したという 二 重 盲 検 の 報 告 があるが プラセボと 差 がなかったと する 報 告 もある 時 差 症 候 群 については EBM(Evidence-Based Medicine)の 総 本 山 であるコクラン 共 同 計 画 が 体 系 的 に 臨 床 論 文 のレビューを 行 い メラトニンは 時 差 症 候 群 の 予 防 と 治 療 に 著 しく 有 効 である と 報 告 している がんや 免 疫 疾 患 に 対 する 効 果 を 支 持 するデータもあるがまだ 不 十 分 である 抗 老 化 循 環 器 疾 患 の 改 善 や 予 防 うつ 病 や 季 節 性 の 感 情 障 害 への 効 果 性 機 能 障 害 への 効 果 などがうたわれてい るが いずれも 十 分 な 根 拠 がない 副 作 用 としては 胃 部 不 快 感 朝 の 疲 労 感 日 中 の 二 日 酔 い 気 分 頭 痛 頭 重 うつ 無 気 力 見 当 識 障 害 記 憶 喪 失 不 妊 発 作 失 調 の 増 加 男 性 の 性 欲 減 退 低 体 温 網 膜 障 害 女 性 化 乳 房 精 子 数 減 少 などが 報 告 されている 次 の 人 には 使 用 が 勧 められない 小 児 妊 娠 中 授 乳 中 の 女 性 うつ 病 の 人 機 械 を 扱 う 人 妊 娠 希 望 の 人 発 作 失 調 のある 人 65 歳 以 上 で 鎮 静 剤 やアルコールを 服 用 している 人 は 使 用 にあ たり 注 意 すべきである バレリアン(Valerian) Valeriana officinalis L.(オミナエシ 科 セイヨウカノコソウ)の 根 不 眠 症 に 用 いる 代 表 的 な 西 洋 生 薬 で ギリシャ ローマ 時 代 からその 薬 効 は 知 られ ヒポクラテスやガレヌスもバレリアンを 治 療 に 用 いていた 不 眠 症 全 般 に 広 く 用 いられる 日 本 や 米 国 ではサプリメント( 食 品 )だが ドイツなど 欧 州 のいくつかの 国 では 医 薬 品 として 承 認 されている ドイツの 医 薬 品 再 評 価 委 員 会 であるコミッション E が 承 認 した 適 応 症 は 不 穏 状 態 精 神 的 な 状 態 による 睡 眠 障 害

不 眠 症 に 対 するバレリアンの 効 果 を 検 討 したプラセボ 対 照 の 二 重 盲 検 試 験 がこれまで 20 近 く 行 われている おおむね 睡 眠 導 入 時 間 が 短 縮 し 睡 眠 の 質 が 改 善 するなどの 結 果 が 得 られている 効 果 発 現 は 比 較 的 遅 く 2 3 週 から 数 週 間 かかることもあるが 依 存 性 がなく 安 全 である バレリアンには 特 記 すべき 重 篤 な 副 作 用 はない まれに 胃 部 不 快 感 や 接 触 性 皮 膚 炎 がある 長 期 連 用 により 頭 痛 不 眠 散 瞳 などが 起 きることがある バレリアンは 他 の 中 枢 性 鎮 静 剤 (バルビツール 剤 ベンゾジアゼピン)の 作 用 を 増 強 する ア ルコールとの 併 用 も 勧 められない バレリアン 服 用 後 数 時 間 は 機 械 の 操 作 や 車 の 運 転 は 避 けるべ きである カバ(Kava) Piper methysticum G. Foster(コショウ 科 カバ)の 根 茎 古 くから 南 太 平 洋 の 島 々で 儀 礼 の 際 に 精 神 を 安 定 させ 意 識 を 澄 明 にする 飲 料 として 用 いられてきた 精 神 の 興 奮 緊 張 不 安 などによる 不 眠 に 用 いられる 米 国 ではサプリメントだが 日 本 では 未 承 認 の 医 薬 品 という 扱 い ドイツは 医 薬 品 として 認 めて いる コミッション E モノグラフの 適 応 症 は 精 神 的 な 不 安 ストレス 不 穏 状 態 不 安 障 害 に 対 し 10 ほどの 二 重 盲 検 試 験 が 行 われ カバの 効 果 がプラセボに 対 し 有 意 に 優 れてい ること あるいは 通 常 の 抗 不 安 剤 の 効 果 と 差 がないことが 報 告 されている コクラン 共 同 計 画 も カバは 不 安 障 害 に 対 しプラセボよりも 有 効 のようである と 報 告 している 妊 娠 中 授 乳 中 内 因 性 うつ 病 の 患 者 には 禁 忌 長 期 連 用 すると 皮 膚 髪 爪 などが 一 時 的 に 黄 色 くなることがある そのような 場 合 は 使 用 を 中 止 する 中 枢 性 の 薬 剤 (アルコール バルビツール 剤 その 他 の 向 精 神 薬 など)の 作 用 を 増 強 する 可 能 性 がある 医 師 の 指 示 無 く 3 ヶ 月 以 上 連 用 しないこと 機 械 操 作 や 運 転 における 運 動 反 射 や 判 断 に 影 響 を 与 えることがある 備 考 カバを 継 続 服 用 して 重 度 の 肝 障 害 を 起 こしたとされる 例 が 世 界 で 数 十 例 報 告 され 2001 年 末 か ら 世 界 のいくつかの 国 は 販 売 禁 止 などの 措 置 をとった 米 国 は 消 費 者 と 医 療 専 門 家 に 向 けて 警 報 を 発 し 日 本 は 行 政 内 部 で 注 意 を 喚 起 する 通 知 を 出 した( 日 本 では 市 販 されていないため) 詳 細 に 検 討 すると 大 部 分 の 副 作 用 症 例 において 情 報 が 不 十 分 で カバとの 因 果 関 係 が 必 ずしも 明 らかではないらしいし この 10 年 間 に 欧 州 で 販 売 された 量 (2 億 5000 万 回 の 服 用 分 )と 比 較 す ると 頻 度 は 極 めて 低 い とはいえ 服 用 に 際 しては 上 記 のことを 意 識 におくべきである セントジョンズワート(St. John s Wort) Hypericum perforatum L.(オトギリソウ 科 セイヨウオトギリソウ)の 地 上 部 ローマ 時 代 から 病 気 や 邪 悪 なものを 遠 ざける 力 があると 信 じられ 感 染 症 やうつ 不 安 不 眠 などに 用 いられてき

た 聖 ヨハネの 祭 日 (6 月 24 日 ) 頃 に 花 が 満 開 になるので 聖 ヨハネの 植 物 という 名 がついたとさ れる 気 持 ちの 落 ち 込 みによる 不 眠 に 用 いられる 日 本 と 米 国 ではサプリメント( 食 品 )だがドイツは 医 薬 品 として 承 認 し うつ 病 に 対 しては 現 代 薬 よりセントジョンズワートのほうを 繁 用 している コミッション E モノグラフの 適 応 症 は 内 用 剤 として: 精 神 自 律 神 経 系 の 障 害 うつ 状 態 不 安 精 神 不 穏 に 油 性 製 剤 は 消 化 不 良 に 外 用 剤 として: 油 性 製 剤 は 打 撲 傷 筋 肉 痛 第 1 度 火 傷 に 30 ほどの 二 重 盲 検 試 験 が 行 われており 軽 度 から 中 等 度 のうつ 病 への 効 果 が 確 認 されている しかもプロザックやイミプラミンなどの 抗 うつ 剤 と 有 効 性 に 統 計 的 に 差 が 無 く 副 作 用 が 少 ない という 結 果 も 得 られている だが 最 近 行 われた 重 度 のうつ 病 に 対 する 二 重 盲 検 試 験 では 有 効 性 が 示 せなかった コクラン 共 同 計 画 は セントジョンズワートは 軽 症 からやや 重 度 のうつ 病 に 対 し プラセボより 有 効 だという 根 拠 がある 他 の 抗 うつ 薬 と 同 程 度 に 有 効 であるというには 根 拠 が 足 りない としている 通 常 の 使 用 をする 限 り 認 めるべき 副 作 用 は 報 告 されていない タンニン 分 が 含 まれるので 胃 部 不 快 感 を 引 き 起 こすことがある 野 生 のセントジョンズワートを 大 量 に 食 べた 家 畜 が 光 過 敏 症 に なることがあり したがって 皮 膚 の 敏 感 な 人 は 直 射 日 光 に 注 意 すべきである セントジョンズワートは 薬 物 代 謝 酵 素 であるチトクロームP450( 特 にサブタイプの CYP3A4 と CYP1A2)を 誘 導 し 多 くの 薬 剤 の 代 謝 に 影 響 を 及 ぼす したがって 他 の 薬 剤 との 併 用 は 基 本 的 に 避 けるべきである ジンセン(Ginseng) Panax ginseng C.A.Meyer(ウコギ 科 オタネニンジン)の 根 わが 国 では 薬 用 人 参 朝 鮮 人 参 高 麗 人 参 などと 呼 ばれ 古 くから 滋 養 強 壮 抗 ストレスに 用 いられてきた 調 製 法 の 違 いによって 紅 参 あるいは 白 参 と 呼 ばれることもある アジアの 国 々ばかりでなく 欧 米 でもその 薬 効 は 良 く 知 られており 最 も 古 い 最 もよく 研 究 された 薬 用 植 物 のひとつである 心 身 の 疲 労 やストレスによる 不 眠 に 用 いられる ジンセンは 日 本 では 医 薬 品 にもサプリメントにも 使 われている 米 国 ではサプリメント ドイ ツは 医 薬 品 として 承 認 コミッション E モノグラフの 適 応 症 は 疲 労 衰 弱 仕 事 の 能 率 や 集 中 力 の 衰 え 病 後 回 復 期 の 強 壮 剤 20 ほどのプラセボ 対 照 二 重 盲 検 試 験 が 様 々な 適 応 症 について 行 われているが 有 効 とする 報 告 と 無 効 とするものが 相 半 ばしており 一 定 の 結 果 は 得 られていない 睡 眠 障 害 への 薬 効 評 価 を 主 目 的 とした 試 験 は 行 われていない 関 連 のあるものとしては QOL ( 生 活 の 質 )の 改 善 を 検 討 した 二 重 盲 検 試 験 が 10 ほどあり おおむね 有 意 な 改 善 を 報 告 している しかし 若 い 健 常 人 への 心 理 的 な 作 用 を 検 討 した 二 重 盲 検 試 験 では 影 響 は 全 く 見 られなかった

中 枢 興 奮 作 用 が 現 れ 不 眠 になることがあるので 午 前 中 に 服 用 するのが 良 い 長 期 連 用 高 用 量 の 使 用 やカフェインとの 併 用 によって 血 圧 上 昇 がみられることがある 東 洋 医 学 においても 体 力 の 充 実 した 人 へのジンセンの 投 与 は 注 意 することとされている アメリカニンジン 田 七 人 参 竹 節 人 参 は 上 に 述 べたジンセンと 同 じウコギ 科 Panax 属 の 植 物 で 種 が 異 なる シベリアニンジンはウコギ 科 Eleutherococcus(Acanthopanax) 属 の 植 物 それぞれ 少 しずつ 薬 効 は 異 なる 不 眠 に 用 いることがあるがジンセン 同 様 に 午 前 中 の 服 用 が 奨 められる カモミール(Chamomile) Matricaria recutita L.(キク 科 カミツレ)の 頭 花 ジャーマンカモミールとも 呼 ばれる 神 経 障 害 消 化 器 疾 患 鼻 のどの 炎 症 月 経 障 害 などに 古 くからお 茶 として あるいは 浴 槽 に 入 れるなど して 用 いられてきた 不 眠 多 くはハーブティーとして 用 いる 日 本 と 米 国 ではサプリメント( 食 品 )だがドイツは 医 薬 品 として 承 認 コミッション E モノグ ラフの 適 応 症 は 外 用 剤 として: 皮 膚 粘 膜 口 腔 肛 門 性 器 部 の 炎 症 や 感 染 内 用 剤 として: 消 化 管 のれん 縮 炎 症 不 眠 や 鎮 静 などの 用 途 では 承 認 されていないことは 着 目 すべきであろう 消 化 器 系 疾 患 抗 炎 症 創 傷 治 癒 などの 二 重 盲 検 試 験 はあるが 不 眠 を 対 象 とした 二 重 盲 検 試 験 は 報 告 されていない キク 科 の 植 物 にアレルギー 反 応 を 示 す 人 花 粉 症 の 人 には 過 敏 反 応 を 引 き 起 こすことがあり 注 意 すべきである 水 酸 化 クマリンを 含 有 するためワーファリンとの 併 用 には 注 意 すべきである ベンゾジアゼピ ンやアルコールとの 併 用 も 避 けるべきである 名 前 の 似 たローマンカモミール(Chamaemelum nobile)はコミッション E の 再 承 認 が 得 られな かった パッションフラワー(Passion Flower) Passiflora incarnate L.(トケイソウ 科 チャボトケイソウ)の 地 上 部 アメリカ 大 陸 が 原 産 でアス テカ 文 明 の 頃 から 鎮 静 不 眠 などに 用 いられてきた スペイン 人 によって 花 の 美 しさと 薬 効 が 欧 州 に 伝 えられ 広 まった 花 の 形 状 がキリストの 受 難 (パッション)を 連 想 させるのでその 名 がつ いたという 不 眠 日 本 と 米 国 ではサプリメント( 食 品 )だがドイツは 医 薬 品 として 承 認 コミッション E モノグ ラフの 適 応 症 は 精 神 的 な 不 穏 状 態

パッションフラワーは 他 の 生 薬 と 配 合 して 用 いられるため 単 味 生 薬 での 臨 床 試 験 データは 少 ない 単 味 生 薬 としては 全 般 性 不 安 障 害 に 対 しオキサゼパムと 差 のない 有 効 性 を 示 したという 二 重 盲 検 試 験 がある またクロニジンによる 麻 薬 からの 離 脱 療 法 においてパッションフラワーの 併 用 が 有 用 であるという 二 重 盲 検 データもあり 中 枢 性 の 作 用 があることは 確 かなようである バレリアンなど 他 の 生 薬 との 配 合 で 不 安 を 伴 う 適 応 障 害 に 対 する 二 重 盲 検 試 験 を 行 い プラセボ より 優 れていたとするデータもある 通 常 の 用 法 用 量 において 特 に 注 意 すべきことは 認 められていない ホップ(Hops) Humulus lupulus L.(クワ 科 ホップ)の 球 果 歴 史 的 に 欧 州 で 健 胃 剤 として また 不 眠 症 にはお 茶 として 飲 んだり 乾 燥 ホップを 枕 に 詰 めるなどして 用 いられてきた 不 眠 日 本 や 米 国 ではサプリメント( 食 品 )だがドイツは 医 薬 品 として 承 認 コミッション E モノグ ラフの 適 応 症 は 不 穏 状 態 不 安 睡 眠 障 害 などの 気 分 障 害 ホップ 単 独 での 二 重 盲 検 試 験 データはなく バレリアンとの 併 用 で 効 果 があったという 報 告 が ある ビール 醸 造 でホップ 粉 に 接 する 機 会 の 多 い 労 働 者 には 過 敏 症 が 見 られることがある ビールを 飲 めばホップが 摂 取 できるが 同 時 にアルコールが 安 眠 を 妨 げるので 勧 められない レモンバーム(Lemon Balm) Melissa officinalis L.(シソ 科 メリッサ)の 葉 コウスイハッカ セイヨウヤマハッカとも 呼 ばれ る 不 眠 日 本 と 米 国 ではサプリメント( 食 品 )だがドイツは 医 薬 品 として 承 認 コミッション E モノグ ラフの 適 応 症 は 精 神 的 な 睡 眠 障 害 機 能 性 の 消 化 器 疾 患 古 くから 鼻 やのどの 炎 症 頭 痛 発 熱 インフルエンザ 歯 痛 鼓 腸 発 汗 促 進 鎮 静 不 眠 などに 用 いられた レモンに 似 た 香 味 を 好 んで 食 用 のスパイスとしても 用 いられる 不 眠 症 に 対 する 二 重 盲 検 試 験 は 行 われていない アルツハイマー 病 や 重 度 の 痴 呆 症 患 者 に 対 し 認 知 機 能 や 動 揺 を 改 善 したという 二 重 盲 検 試 験 がいくつかある 若 い 健 常 人 の 気 分 記 憶 集 中 力 をプラセボより 有 意 に 改 善 したとする 報 告 もある

通 常 の 使 用 をする 限 り 特 に 注 意 点 は 見 当 たらない ビタミンB 群 (Vitamin B) 近 頃 では 一 昔 前 のようにはっきりしたビタミン 欠 乏 症 が 現 れることは 少 ないが 必 要 とされる ビタミンを 毎 日 の 食 事 でまんべんなく 摂 取 することはけして 容 易 なことではない 食 材 自 体 のビ タミン ミネラル 含 量 が 2 30 年 前 に 比 較 するとかなり 低 下 しており 食 生 活 の 偏 りがそれに 輪 を かけている その 結 果 潜 在 的 なビタミン 不 足 を 生 じ 心 身 に 不 調 を 来 たしている 人 は 少 なくないと 思 われる ビタミンB 群 は 生 体 の 様 々な 働 きに 深 く 関 与 しているので その 不 足 の 影 響 は 多 方 面 に 現 れる 精 神 神 経 系 に 対 しては 自 律 神 経 系 や 脳 機 能 の 失 調 を 引 き 起 こし その 結 果 睡 眠 に 悪 影 響 を 与 えて いることがある ビタミンBB1 B 6B BB12 ナイアシン パントテン 酸 などの 服 用 は ビタミン 不 足 によるそれらの 症 状 を 改 善 し 安 眠 を 促 進 する ビタミン B 群 は 人 によっては 気 分 を 高 揚 させるので 朝 のうちに 服 用 すべきである カルシウムとマグネシウム(Calcium, Magnesium) カルシウムもマグネシウムも 神 経 の 興 奮 を 鎮 め 精 神 を 安 定 させる 作 用 がある 不 足 すると 神 経 過 敏 情 緒 不 安 定 不 眠 とともに 筋 肉 のけいれんや 硬 直 などをもたらすことがある 日 本 人 の 平 均 カルシウム 摂 取 量 は 一 日 所 要 量 を 大 きく 下 回 っている カルシウムとマグネシウ ムを 補 うことで 神 経 が 休 まり 安 眠 を 促 進 する 効 果 がある 5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン) 5-HTP は 日 本 では 未 承 認 医 薬 品 という 扱 いを 受 ける 5-HTP は 体 内 で 代 謝 されてセロトニンに 変 わる セロトニンは 松 果 腺 で 2 段 階 を 経 てメラトニンになる このため 5-HTP はうつ 状 態 を 改 善 し 睡 眠 効 果 もあるとされている 高 用 量 の 5-HTP は 末 梢 でセロトニンに 変 わり セロトニン 過 剰 による 副 作 用 ( 悪 心 嘔 吐 食 欲 不 振 下 痢 呼 吸 困 難 瞳 孔 拡 大 過 敏 反 射 筋 運 動 の 失 調 かすみ 目 など)を 招 く 欧 州 で は 5-HTP を 投 与 するときは 末 梢 でのセロトニンへの 転 換 を 阻 害 するカルビドパと 必 ず 併 用 する こととされている 以 上 から 安 易 に 5-HTP をサプリメントとして 服 用 することは 勧 められない 2. 不 眠 症 と 食 品 不 眠 症 には 温 かいミルクを 就 寝 前 に 飲 むのが 良 いと 言 われる また 寝 酒 やナイトキャップと 称 してア ルコールを 摂 ることも 一 般 に 広 く 行 われているが これらは 本 当 に 不 眠 症 に 良 いのだろうか 本 節 では 睡 眠 と 食 品 の 関 係 について 述 べる 1) 不 眠 症 に 良 い 食 品 トリプトファン 含 有 食 品 必 須 アミノ 酸 の 一 つであるトリプトファンは 体 内 に 吸 収 されると 脳 に 運 ばれ 代 謝 されてセロ トニンに 変 わる セロトニンは 鎮 痛 鎮 静 作 用 があり 松 果 腺 でさらに 代 謝 されてメラトニンに なるので 催 眠 効 果 がある したがってトリプトファンを 多 く 含 む 食 品 を 摂 るのは 安 眠 のために 良 い トリプトファンはミルク チーズ 卵 黄 バナナ ナッツ 類 などのタンパク 質 の 豊 富 な 食 品 に

含 まれる ミルクはトリプトファンだけでなくカルシウムも 豊 富 に 含 むので 就 寝 前 のカップ 1 杯 の 温 かいミルクは 良 い 鎮 静 効 果 が 期 待 できる 熟 成 したチーズには 安 眠 を 妨 げるチラミンが 含 まれるので 熟 成 させないカッテージチーズが 良 い 精 製 されていない 全 粒 粉 のパンや 全 粒 穀 物 などの 炭 水 化 物 とともに 摂 取 するとトリプトファン の 吸 収 が 良 くなる ビタミンB 群 含 有 食 品 ビタミン B 群 は 炭 水 化 物 のエネルギー 代 謝 に 重 要 なだけでなく 神 経 系 の 働 きを 助 け 精 神 を 安 定 化 させる 作 用 がある ビタミン B 群 を 多 く 含 む 食 品 は 下 記 の 通 り ビタミンBB1: 小 麦 胚 芽 ヒマワリの 種 ゴマ マイタケ 豚 肉 など ビタミンBB6:ニンニク パセリ 小 麦 胚 芽 ヒマワリの 種 など ビタミンBB12:アマノリ カタクチイワシ アサリ シジミ 赤 貝 など ナイアシン:マイタケ タラコ カツオ ピーナツなど レタス レタスの 睡 眠 作 用 は 欧 米 では 古 くから 知 られている 茎 を 切 った 時 に 出 る 乳 のような 白 い 液 体 はラクチュカリウムと 呼 ばれ 1900 年 前 後 の 英 米 の 薬 局 方 には 鎮 静 鎮 痛 剤 として 掲 載 され ア ヘンの 代 用 品 として 用 いられていた 活 性 成 分 はセスキテルペンのラクトンであるラクチュシン 酸 やラクチュコピクリンなど 葉 よりも 茎 に 多 く 含 まれるのでジュースにすれば 摂 りやすい 2) 避 けたほうが 良 い 食 品 眠 気 を 追 い 払 うためにコーヒーを 飲 むことは 世 界 中 で 広 く 行 われており カフェインに 覚 醒 作 用 があ ることは 良 く 知 られているが その 他 にも 安 眠 のためには 避 けたほうが 良 い 食 品 群 がある 次 に 記 すよ うなものは 神 経 を 刺 激 し 安 眠 を 妨 げるので できるだけ 避 けるべきであろう カフェイン カフェインは 中 枢 神 経 系 を 刺 激 して 活 動 性 を 高 め 精 神 に 高 揚 感 を 与 え 意 識 を 覚 醒 させる ま た 利 尿 効 果 があり 就 寝 前 に 摂 取 すると 夜 間 に 尿 意 を 催 すことにもなるので 安 眠 のためには 原 則 として 避 けるべきである カフェインに 対 する 感 受 性 には 個 人 差 が 大 きく 夜 だけ 避 ければよい 人 もあれば 完 全 にカフェインを 絶 ったほうが 良 い 人 もある カフェインを 含 むものはコーヒーや 紅 茶 緑 茶 だけではない チョコレート コーラなどのソ フトドリンク 疲 労 回 復 のドリンク 剤 にはかなりのカフェインが 含 まれる 風 邪 薬 ダイエット 食 品 鎮 痛 剤 にもカフェインが 含 有 されていることがある タバコ タバコに 含 まれるニコチンは 体 内 に 吸 収 されると 速 やかに 神 経 系 のニコチン 性 アセチルコリ ン 受 容 体 に 結 合 し 中 枢 および 末 梢 神 経 に 複 雑 な 作 用 を 現 す 神 経 を 興 奮 させ 適 度 な 覚 醒 感 や 集 中 感 をもたらしたり 逆 に 過 度 の 緊 張 を 抑 制 しリラックスさせるので それが 快 感 となり 喫 煙 が 習 慣 化 し 依 存 性 を 形 成 しやすい ニコチンへの 依 存 性 は 安 眠 を 妨 げる 就 寝 前 の 最 後 の 喫 煙 の 後 血 中 のニコチンレベルは 急 速 に 低 下 し 禁 断 症 状 が 現 れる 神 経 が 不 穏 になり 睡 眠 は 浅 くなり 早 朝 に 目 覚 めてしまう ヘビー スモーカーの 場 合 には 睡 眠 の 初 期 ステージで 覚 醒 してしまうこともある

アルコール 一 般 にアルコールは 眠 りを 誘 うと 信 じられており 寝 酒 が 習 慣 になっている 人 も 少 なくない 確 かにアルコールは 吸 収 されると 脳 に 達 し 脳 幹 網 様 体 を 抑 制 するので 神 経 の 緊 張 は 解 かれ 入 眠 しやすくなる しかしアルコールの 代 謝 産 物 であるアセトアルデヒドの 血 中 濃 度 が 高 まるとア ドレナリンの 放 出 を 促 して 神 経 が 不 穏 になり REM の 深 い 睡 眠 の 時 間 は 短 くなる また 寝 汗 をか いたり 利 尿 作 用 により 尿 意 を 催 すなど 安 眠 が 妨 げられ 早 朝 覚 醒 を 促 す さらに 飲 酒 が 習 慣 になると 耐 性 が 生 じ より 多 量 に 飲 まないと 入 眠 しにくくなる 進 行 してア ルコール 依 存 症 になると 不 眠 の 程 度 がさらにひどくなり 深 い 睡 眠 にはほとんど 入 れず 夜 中 に 何 度 も 目 を 覚 ます 中 途 覚 醒 が 多 くなる したがってアルコールは 不 眠 症 の 対 策 には 不 適 である 少 なくとも 就 寝 の 2 3 時 間 前 はアルコールを 飲 むべきでない チラミン 含 有 食 品 チラミンはアミノ 酸 のチロシンが 代 謝 されてできるモノアミンで ノルアドレナリンの 遊 離 を 促 進 し 交 感 神 経 を 刺 激 する チラミンは 熟 成 したチーズ(チェダー カマンベール ブルー パ ルメザン モッツァレラ ゴーダチーズなど) 赤 ワイン ビール 鶏 のレバー チョコレート ニシンの 酢 漬 け ナス ホウレンソウ トマトなどに 含 まれるので 不 眠 の 人 はこれらの 食 品 を 夕 食 に 摂 るのは 控 えたほうが 良 いかもしれない 3) 就 寝 前 の 食 事 就 寝 前 に 過 食 すると 消 化 器 系 に 負 担 がかかり 安 眠 が 妨 げられる しかし 空 腹 のまま 就 寝 すると 血 糖 値 を 維 持 するため 副 腎 からアドレナリンが 分 泌 され 神 経 を 興 奮 させるので それも 好 ましくない 空 腹 を 抑 えるためクッキーやケーキのような 精 製 された 糖 分 を 就 寝 前 に 摂 ると 血 糖 値 は 急 上 昇 した 後 低 下 する この 血 糖 低 下 がアドレナリン 分 泌 の 引 き 金 となるので 逆 効 果 となる 全 粒 粉 のパンなどの ような 精 製 されていない 炭 水 化 物 は 睡 眠 中 も 血 糖 値 を 適 度 な 水 準 に 保 つことができ 同 時 にトリプトフ ァンの 吸 収 を 良 くして 脳 内 セロトニンの 濃 度 を 高 めるので 安 眠 のために 良 い おわりに 不 眠 症 の 対 策 としては 早 寝 早 起 きを 習 慣 化 すること 朝 の 外 光 を 浴 び 適 度 な 運 動 をすること 就 寝 前 にリラックスすることなどが 基 本 であるが サプリメントや 食 品 はそれを 助 けることができる これ らを 上 手 に 活 用 すれば 医 薬 品 や 医 師 の 助 けが 必 要 になる 前 に 自 らの 手 で 自 らの 体 調 を 整 えることが できるかも 知 れない 本 稿 が 安 眠 を 求 める 人 への 参 考 になれば 幸 いである 参 考 文 献 1) PDR for Nutritional Supplements, First Edition. Montvale, NJ: Medical Economics Company, Inc., 2001 2) Blumenthal M, et al.: The Complete German Commission E Monographs, Therapeutic Guide to Herbal Medicines. Austin, TX: American Botanical Council, 1998 3) PDR for Herbal Medicines, Second Edition. Montvale, NJ: Medical Economics Company, Inc., 2000