マンション市場の今後の展望

1 マンション 特 集 マンション 市 場 の 今 後 の 展 望 株 式 会 社 不 動 産 経 済 研 究 所 企 画 調 査 部 主 任 研 究 員 松 田 忠 司 (まつだ ただし) 2004 年 に 株 式 会 社 不 動 産 経 済 研 究 所 に 入 社 以 後 一 貫 して 新 築 マンションの 調 査 に 携 わる 昨 年 から 毎 月 首 都 圏 マンション 市 場 動 向 の 発 表 を 担 当 している 2014 年 のマンション 市 場 は 消 費 税 増 税 の 影 響 を 大 き く 受 け 全 国 的 に 落 ち 込 みの 目 立 つ 結 果 となった 2013 年 に5 万 6,478 戸 と 6 万 1,021 戸 だった2007 年 以 来 6 年 ぶ りに5 万 戸 を 上 回 った 首 都 圏 の 年 間 供 給 戸 数 も 2014 年 には 前 年 比 20.5% 減 の4 万 4,913 戸 にとどまった 首 都 圏 の 年 間 供 給 は2010 年 から2012 年 までの3 年 間 4.5 万 戸 前 後 で 推 移 しており 再 びその 水 準 に 戻 った 格 好 だが 12 月 に9,389 戸 の 大 量 供 給 があって 盛 り 返 した 結 果 であ り 2 月 から11 月 までは10カ 月 連 続 で 前 年 同 月 を 下 回 っ ていて その 時 点 では4.3 万 戸 程 度 に 収 まるのでは と いうほど 供 給 は 低 調 な 状 態 が 続 いた エリア 別 に 見 ると 都 区 部 2 万 774 戸 (2013 年 比 26.7% 減 ) 都 下 4, 4 2 5 戸 ( 同 0. 2 % 減 ) 神 奈 川 県 1 万 1 2 1 戸 ( 同 14.3% 減 ) 埼 玉 県 4,473 戸 ( 同 32.4% 減 ) 千 葉 県 5,120 戸 ( 同 3.0% 減 )と 全 エリアで 減 少 中 でも 埼 玉 県 神 奈 川 県 都 区 部 の 落 ち 込 み 幅 が 目 立 っている その 減 少 の 理 由 としては まず 消 費 税 増 税 の 反 動 減 が 挙 げら れるが それに 加 えて 郊 外 部 などを 中 心 に 人 件 費 の 上 昇 による 建 築 コストのアップを 物 件 価 格 に 転 嫁 しても 大 丈 夫 なのかどうか デベロッパーが 値 探 りのような 状 態 でモデルルームへの 来 場 者 数 が 伸 びるまで 販 売 を 先 延 ばしすることが 常 態 化 したことが 響 いた 2014 年 の 年 間 の 平 均 価 格 5,060 万 円 と バブル 直 後 の1992 年 以 来 22 年 ぶりに5,000 万 円 を 上 回 ったが 建 築 コストの 上 昇 によ るところが 大 きい その 価 格 上 昇 によってエンドユーザ ーの 動 きが 鈍 化 春 商 戦 の 目 玉 物 件 の 発 売 は 軒 並 み 後 ろにずれ その 動 きは 玉 突 き 的 に 夏 をまたいで 秋 になっ ても 続 いた その 一 方 都 心 部 は 消 費 税 5% 適 用 の 経 過 措 置 終 了 直 前 に 発 売 された 大 型 物 件 が2014 年 に 入 っ て 早 々に 完 売 となると 次 に 続 く 物 件 が 無 く 弾 切 れ のような 状 態 に 陥 った 結 果 として 供 給 戸 数 が 落 ち 込 ん だ 旺 盛 な 需 要 に 対 して 供 給 が 追 い 付 かなかったもの で 郊 外 の 落 ち 込 みとは 要 因 が 異 なっている 2015 年 に 入 ってからのマンション 市 況 も 特 に 大 きな 変 化 は 見 られない 建 築 コストのアップによる 物 件 価 格 の 上 昇 は 続 き 供 給 は5カ 月 連 続 で 減 少 1~5 月 の 供 給 戸 数 は1 万 4,515 戸 で 前 年 同 期 の1 万 5,891 戸 を1,376 戸 8.7% 下 回 っている 上 半 期 の2 万 戸 突 破 は 難 しい 状 況 で 1 万 8,000 戸 程 度 になる 1~5 月 のエリア 別 の 内 訳 は 都 区 部 6,679 戸 ( 前 年 同 期 比 7.4% 減 ) 都 下 2,063 戸 ( 同 49.1% 増 ) 神 奈 川 県 2,860 戸 ( 同 26.0% 減 ) 埼 玉 県 1,390 戸 ( 同 27.3% 減 ) 千 葉 県 1,523 戸 ( 同 0.3% 増 )と 都 区 部 神 奈 川 県 埼 玉 県 が 落 ち 込 んでいる また 価 格 を 見 ると 平 均 価 格 は5,121 万 円 で 前 年 同 期 の5,050 万 円 と 比 べると71 万 円 1.4%の 上 昇 m2 単 価 も72.8 万 円 で 前 年 同 期 の71.2 万 円 と 比 べると1.6 万 円 2.2% 上 昇 して 16

図 表 1 首 都 圏 マンションの 供 給 動 向 (2015 年 と2014 年 の1~5 月 2012 年 ~2014 年 年 間 ) 2015 年 1~5 月 供 給 戸 数 ( 戸 ) 平 均 価 格 ( 万 円 ) m2 単 価 ( 万 円 ) 増 減 2014 年 2014 年 (%) 1~5 月 増 減 (%) 2013 2015 年 年 2012 年 1~5 月 増 減 2014 年 2014 年 (%) 1~5 月 増 減 (%) 2013 2015 年 年 2012 年 1~5 月 増 減 2014 年 2014 年 (%) 1~5 月 増 減 (%) 2013 年 2012 年 首 都 圏 14,515-8.7% 15,891 44,913-20.5% 56,478 45,602 5,121 1.4% 5,050 5,060 2.7% 4,929 4,540 72.8 2.2% 71.2 71.1 2.0% 69.7 64.5 都 区 部 6,679-7.4% 7,211 20,774-26.7% 28,340 19,398 6,096 2.9% 5,924 5,994 2.4% 5,853 5,283 90.8 4.0% 87.3 87.3 0.9% 86.5 80.1 都 下 2,063 49.1% 1,384 4,425-0.2% 4,436 4,863 4,430-3.8% 4,603 4,726 11.5% 4,238 4,318 61.1-2.9% 62.9 64.8 11.7% 58.0 58.0 神 奈 川 県 2,860-26.0% 3,865 10,121-14.3% 11,805 11,262 4,406-2.5% 4,517 4,384 4.1% 4,212 4,167 60.9-2.1% 62.2 61.0 6.3% 57.4 57.6 埼 玉 県 1,390-27.3% 1,912 4,473-32.4% 6,617 5,828 4,141 0.9% 4,106 3,930 5.7% 3,718 3,687 57.1 2.1% 55.9 54.4 6.3% 51.2 50.3 千 葉 県 1,523 0.3% 1,519 5,120-3.0% 5,280 4,251 4,019 4.4% 3,849 3,879 5.6% 3,675 3,563 52.9 4.5% 50.6 50.0 5.3% 47.5 46.0 おり 緩 やかにはなりつつあるもののまだ 価 格 の 上 昇 は 続 いている 初 月 契 約 率 は75.5%で 前 年 同 期 (78.8%) 比 では3.3ポイントのダウンと 価 格 の 上 昇 に 伴 って 売 れ 行 きは 低 下 傾 向 にある しかしながら 好 調 ラインとされ る70%はクリアしており 売 れ 行 き 面 では 市 況 は 依 然 と して 堅 調 と 言 える 図 表 1 2015 年 年 間 の 首 都 圏 マンションの 供 給 戸 数 は 昨 年 比 微 増 (0.2% 増 )の4 万 5,000 戸 を 見 込 んでいる 下 半 期 を 展 望 するにあたって 考 慮 しなければならないのは 緩 やかになったとはいえ 価 格 が 引 き 続 き 上 昇 局 面 にある という 点 である 2014 年 もそうであったが 発 売 が 後 ろ にずれる 動 きというのは 価 格 が 上 昇 している 状 況 におい てはよく 見 られる 傾 向 である 2006 年 から2008 年 にか けて 全 国 の 平 均 価 格 は3,560 万 円 ( 前 年 比 2.0% 上 昇 ) 3,813 万 円 ( 同 7.1% 上 昇 ) 3,901 万 円 ( 同 2.3% 上 昇 )と 3 年 に 渡 って 上 昇 を 続 けた 同 様 にm2 単 価 も3 年 間 で 13.0% 上 昇 した その 際 集 客 に 苦 労 して 販 売 を 後 ろに ずらすことを 続 けた 結 果 年 間 の 供 給 戸 数 は15 万 5,866 戸 13 万 3,670 戸 9 万 8,037 戸 と 大 幅 に 減 少 し 続 けるこ ととなった 今 後 しばらくは 価 格 が 下 がる 要 素 は 見 つか らず 緩 やかに 上 昇 を 続 けることが 予 想 されることから 2015 年 下 半 期 に 発 売 を 予 定 している 物 件 の 一 部 の 売 り 出 しが2016 年 以 降 にずれ 込 む 可 能 性 がある また 消 費 税 再 増 税 の 延 期 によって2015 年 中 の 駆 け 込 み 需 要 はほぼ 見 込 めなくなった しかしながら その 分 デベロッパーは 腰 を 据 えて 販 売 に 注 力 できる 状 況 にあ る 決 して 売 り 急 ぐような 状 況 にはないことから 大 手 などはコストを 上 乗 せした 価 格 の 物 件 をじっくり 販 売 し ていくことになりそうだ その 一 方 東 京 の 都 心 部 や 湾 岸 部 では 昨 年 以 上 に 多 くの 大 型 案 件 の 発 売 が 予 定 されている このエリアは 2 014 年 の 春 以 降 旺 盛 な 需 要 に 対 して 供 給 が 不 足 して 弾 切 れ 状 態 にあったものの 2015 年 上 半 期 には 西 新 宿 八 丁 堀 豊 洲 などで 大 型 超 高 層 案 件 が 売 り 出 され その 動 きは 下 半 期 も 続 く 見 込 みである そしてそれら 目 玉 物 件 は 間 違 いなく 人 気 を 集 めるものと 思 われる 仮 に 17

1 マンション 特 集 図 表 2 都 心 6 区 の 供 給 戸 数 とm2 単 価 の 推 移 10000 160.0 9161 9000 8572 129.8 139.5 140.0 8000 供 給 戸 数 ( 戸 ) 7000 6000 5000 81.8 94.5 5245 101.0 114.2 103.4 104.7 4795 5391 111.1 7279 107.8 113.1 120.0 100.0 80.0 m2 単 価 ( 万 円 ) 4000 3000 2000 3001 1856 3296 3789 2393 60.0 40.0 1000 20.0 0 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 (1~5 月 ) 0.0 供 給 戸 数 m2 単 価 売 り 出 しが 多 少 後 ろにずれたとしても これら 目 玉 物 件 の 多 くは2015 年 中 に 発 売 されるだろう 2015 年 1~5 月 の 都 心 6 区 のm2 単 価 は 平 均 113.1 万 円 と ここ10 年 で 最 も 高 かった2008 年 の139.5 万 円 と 比 較 してもまだ2 割 近 く 低 い 水 準 となっている 都 心 部 に 関 しては 価 格 はま だバブル 直 後 どころか7 年 前 の 水 準 にもほど 遠 い 状 態 に あり さらに 価 格 が 上 がってもエンドユーザーは 離 れな いだろう 都 心 や 湾 岸 がけん 引 することで 首 都 圏 にお ける 都 区 部 のシェアは 再 び50%を 上 回 る 可 能 性 が 高 い 今 後 は 都 区 部 主 導 がより 鮮 明 となるはずだ 図 表 2 では 首 都 圏 マンション 市 場 をさらに 先 まで 見 渡 すとど うであろう それにはまず ここ 最 近 の 首 都 圏 マンションの 供 給 事 業 社 数 を 確 認 しておきたい 首 都 圏 の 新 築 マンション 供 給 事 業 社 数 は1994 年 の552 社 がピークであった その 1994 年 以 降 首 都 圏 の 年 間 供 給 戸 数 は8 万 戸 がベース となる 大 量 供 給 期 を 迎 えるものの 社 数 は 減 少 1996 年 には479 社 と500 社 を 下 回 る 1998 年 には 消 費 税 の5 %への 増 税 平 成 不 況 と 言 われた 経 済 状 況 などから 年 間 供 給 戸 数 は6 万 6,308 戸 と 落 ち 込 み 事 業 社 数 は385 社 と400 社 を 割 る しかしその 後 は 持 ち 直 し 2000 年 には 供 給 戸 数 は9 万 5,635 戸 と 過 去 最 多 を 記 録 社 数 も 410 社 と 再 び400 社 を 突 破 した その 後 は2002 年 に390 社 と 再 び400 社 を 下 回 ると 徐 々に 地 価 の 上 昇 の 影 響 を 受 け 始 めた20 0 6 年 には 大 量 供 給 期 は 終 わりを 迎 え 戸 数 は7 万 4,463 戸 と8 万 戸 を 下 回 り 社 数 も289 社 と300 18

図 表 3 首 都 圏 マンション 供 給 戸 数 と 供 給 事 業 社 数 の 推 移 供 給 戸 数 事 業 主 数 1993 年 44,270 327 1994 年 79,897 552 1995 年 84,885 543 1996 年 82,795 479 1997 年 70,543 435 1998 年 66,308 385 1999 年 86,297 388 2000 年 95,635 410 2001 年 89,256 429 2002 年 88,516 390 2003 年 83,183 357 2004 年 85,429 331 2005 年 84,148 328 2006 年 74,463 289 2007 年 61,021 278 2008 年 43,733 227 2009 年 36,376 166 2010 年 44,535 162 2011 年 44,499 148 2012 年 45,602 150 2013 年 56,478 186 2014 年 44,913 157 社 を 割 り 込 んだ その 後 も 社 数 は 伸 びず 供 給 戸 数 が 3 万 6,376 戸 と 底 となった2009 年 には166 社 と200 社 を 下 回 って 以 降 は100 社 台 で 推 移 しており 2014 年 は157 社 にとどまっている 消 費 税 増 税 前 の 駆 け 込 みで 盛 り 上 が った2013 年 でも186 社 と200 社 に 届 かなかったことから 当 面 事 業 社 数 は200 社 未 満 が 続 くことになりそうだ 図 表 3 では 供 給 社 数 が 伸 びない 中 今 後 の 市 場 はどのよう に 推 移 していくのか まず 2016 年 2017 年 に 関 して 言 えば 消 費 税 の 再 増 税 という 一 大 イベントが 控 えており その 影 響 は 避 けられないだろう 2016 年 は2013 年 と 同 様 に 駆 け 込 みが 起 こり また2017 年 は2014 年 と 同 様 に 反 動 に 苦 しむことになりそうだ 今 回 に 関 して 言 えば 消 費 税 率 が 10% という 大 台 に 乗 ってしまうことで エン ドユーザーの 心 理 を 考 えるとその 反 動 減 が 前 回 以 上 のも のになる 可 能 性 もある また ここにきて 建 築 コストの 上 昇 は 一 服 感 があるものの それが 下 落 に 転 じる 見 込 みはなく 当 面 は 高 止 まりすることになりそうだ さらに 人 気 エリアを 中 心 に 地 価 は 上 昇 しており それに 伴 って 当 然 ながら 用 地 取 得 費 も 高 騰 しつつある 増 税 建 築 コ スト 高 地 価 上 昇 の 価 格 上 昇 三 重 苦 はエンドユーザ ーに 重 くのしかかるはずで 首 都 圏 マンション 市 場 の 一 定 の 冷 え 込 みは 避 けられないだろう こうなると 現 状 でさえ 難 しくなっている 一 般 サラリー マン 世 帯 の 新 築 マンションの 購 入 は ほぼ 不 可 能 な 領 域 に 入 ってしまうかもしれない その 際 中 古 マンション や 戸 建 てもその 需 要 の 受 け 皿 となるのだろうが 中 でも 脚 光 を 浴 びるのはおそらくリノベーションマンションだろ う リノベーションの 市 場 が 現 時 点 でどのぐらいの 規 模 なのか 正 確 に 把 握 するのは 非 常 に 困 難 である しか 19

1 マンション 特 集 図 表 4 都 道 府 県 別 一 般 世 帯 総 数 の 推 移 世 帯 数 (1,000 世 帯 ) 増 加 率 (%) 都 道 府 県 2010 年 2010 年 2015 年 2020 年 2025 年 2030 年 2010 年 2015 年 2020 年 2025 年 2030 年 2035 年 2035 年 2015 年 2020 年 2025 年 2030 年 2035 年 埼 玉 県 2 837 2 938 2 983 2 977 2 926 2 843 0.2 3.6 1.5-0.2-1.7-2.8 千 葉 県 2 512 2 580 2 604 2 585 2 528 2 444-2.7 2.7 1.0-0.7-2.2-3.3 東 京 都 6 382 6 663 6 789 6 814 6 752 6 614 3.6 4.4 1.9 0.4-0.9-2.0 神 奈 川 県 3 830 3 997 4 086 4 106 4 060 3 966 3.5 4.4 2.2 0.5-1.1-2.3 首 都 圏 15 562 16 178 16 462 16 482 16 266 15 867 2.0 4.0 1.8 0.1-1.3-2.4 注 ) 四 捨 五 入 のため 合 計 は 必 ずしも 一 致 しない ( 資 料 ) 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 日 本 の 世 帯 数 の 将 来 推 計 ( 都 道 府 県 推 計 ) (2014 年 4 月 推 計 )より し 市 場 が 急 拡 大 しているのは 間 違 いなく また 新 築 を 諦 めたエンドユーザーを 取 り 込 むこととなれば 今 後 一 段 と 伸 びるものと 考 えられる 国 立 人 口 問 題 研 究 所 が 公 表 している 都 道 府 県 別 の 一 般 世 帯 数 の 推 移 を 見 ると 埼 玉 県 と 千 葉 県 は2020 年 ま で 東 京 都 と 神 奈 川 県 はさらに 先 の2025 年 まで 世 帯 数 は 増 加 する 見 込 みである 当 然 ながらそのタイミング まで 強 い 住 宅 のニーズがあることは 間 違 いない 首 都 圏 マンション 市 場 は 消 費 税 10% 後 に 一 旦 低 迷 期 を 迎 えるも のの いずれ4 万 戸 ~5 万 戸 の 市 場 を 取 り 戻 すだろう また 事 業 社 数 は 引 き 続 き20 0 社 に 届 かないだろうが 大 手 主 導 で 都 区 部 中 心 の 開 発 が 行 われるはずである 図 表 4 また 良 質 な 住 宅 は 常 に 求 められるわけで 2025 年 を 過 ぎても 新 築 住 宅 市 場 が 急 に 衰 退 するとは 考 えづらい 既 に 人 口 減 が 始 まっている 地 方 都 市 を 見 ても その 街 の 中 心 部 や 人 気 エリアではマンション 供 給 が 活 発 に 行 われ ていることからもそれは 明 らかである 加 えて 広 大 な 関 東 平 野 に 広 がってきていた 東 京 都 市 圏 もコンパクト 化 が 進 むはずで その 時 点 での 経 済 環 境 に 左 右 される 面 は あるものの 都 心 に 近 いエリアでのマンション 供 給 が 今 以 上 に 求 められる 可 能 性 もある また2020 年 から2030 年 にかけて 東 京 神 奈 川 千 葉 の 湾 岸 エリアでは 超 高 層 超 大 型 マンションプロジェ クトが 計 画 されている 東 京 は 中 央 区 晴 海 のオリンピッ ク 選 手 村 跡 地 で 大 会 後 に 建 設 される50 階 2 棟 をはじ め 実 際 にオリンピックで 使 用 される14 階 ~17 階 22 棟 な どで 整 備 される 総 戸 数 は6,000 戸 に 達 する 見 込 みであ る 神 奈 川 は 横 浜 の 東 高 島 駅 周 辺 で 49 階 185メート ルのトリプルタワーが2022 年 に 完 成 することになる ま た 千 葉 は 海 浜 幕 張 の 若 葉 地 区 で やはり46 階 150メー トルの3 棟 構 成 となる 同 地 区 は18 階 建 てなどの 低 層 マ ンションも 整 備 総 計 画 戸 数 は4,390 戸 2019 年 度 から 入 居 が 始 まり 2 0 2 9 年 度 まで 続 く 大 プロジェクトとなる 20

湾 岸 に 関 しては オリンピック 後 も 比 較 的 広 域 に 渡 って 話 題 に 事 欠 かず 注 目 が 一 層 集 まることになりそうだ 特 に 晴 海 有 明 といったエリアはオリンピックを 契 機 に 交 通 利 便 性 が 向 上 するようであれば 現 在 の 豊 洲 のよう な 賑 わいが 形 成 される 可 能 性 さえあるだろう その 一 方 郊 外 部 では 新 築 マンションの 供 給 がほぼ ゼロとなるエリアも 現 れるだろう 世 帯 数 が 減 少 を 始 め たとしても 郊 外 部 の 子 育 てマンションのニーズが 急 に ゼロになることは 考 えにくいが 建 築 コストが 今 の 水 準 から 下 がらないようであればそれを 満 たすのは 難 しい しかし 建 築 コストが 下 がり 新 たにそういったマンション を 企 画 する 新 興 デベロッパーが 現 れれば 持 ち 直 すことも 考 えられる また 郊 外 部 でもターミナル 駅 や 人 気 エリア の 駅 近 物 件 などであれば 建 替 えなどによって 新 規 に 住 戸 が 供 給 される 可 能 性 がある リノベーションマンショ ンが 一 大 市 場 を 形 成 していれば エンドユーザーの 選 択 肢 は 今 と 変 わらないか より 幅 広 くなっているかもしれな い 21