第 37 回 漢 方 教 室 ( 漢 方 ) 漢 方 で 見 える! 聞 こえる!- 目 や 耳 の 病 気 は 漢 方 で 治 せるか?- Ⅰ. 漢 方 治 療 の 適 応 1 西 洋 医 学 と 漢 方 の 病 気 に 対 するアプローチの 違 い 漢 方 : 患 者 側 からのアプローチ 不 快 な 自 覚 症 状 など ホスト 側 ( 生 体 側 )に 着 目 ホストの defense 力 ( 自 然 治 癒 力 )を 高 める 西 洋 医 学 : 医 師 側 からのアプローチ 病 変 部 検 査 異 常 など 非 ホスト 側 (ゲスト 側 )に 着 目 非 ホストの attack 力 ( 侵 襲 力 )を 低 める 2 目 や 耳 の 病 気 に 対 する 漢 方 治 療 の 適 応 と 限 界 感 染 症 や 明 らかな 器 質 病 変 があるなど この 領 域 は 西 洋 医 学 を 優 先 することが 多 い 漢 方 治 療 で 不 快 な 自 覚 症 状 を 取 り 除 くことで ホスト 側 の defense 力 が 高 まることが 期 待 される 漢 方 治 療 を 積 極 的 に 行 うとよい 場 合 ( 併 用 する) 西 洋 医 学 的 治 療 でもなかなか 治 らない 場 合 目 や 耳 の 病 とは 別 に 体 力 や 抵 抗 力 が 低 下 している 場 合 漢 方 治 療 を 試 みる 価 値 がある 場 合 症 状 を 繰 り 返 す 症 状 にアップダウンがある 場 合 増 悪 因 子 に 着 目 することで 症 状 を 軽 減 できる 可 能 性 がある 漢 方 治 療 でもほとんど 効 果 が 期 待 できない 場 合 器 質 病 変 が 明 らかな 場 合 症 状 が 加 齢 による 場 合 慢 性 長 期 化 した 場 合 ( 視 力 低 下 耳 鳴 難 聴 など) 1
Ⅱ. 目 の 病 気 1 目 が 見 える 仕 組 み 1) 目 の 構 造 と 機 能 (1) 角 膜 強 膜 目 のもっとも 外 側 にある 強 靱 な 膜 で 黒 目 の 部 分 が 角 膜 白 目 の 部 分 が 強 膜 角 膜 は 透 明 な 凸 レンズの 形 で 外 からの 光 を 集 めて 屈 曲 させて 瞳 の 中 に 送 り 込 む 強 膜 は 眼 内 の 圧 力 ( 眼 圧 )を 支 えて 眼 球 を 保 護 する (2) 結 膜 白 目 ( 強 膜 )の 表 面 とまぶたの 内 側 を 覆 っている 薄 い 膜 (3) 虹 彩 瞳 孔 虹 彩 は 日 本 人 の 場 合 茶 目 に 当 たる 部 分 で カメラでいう 絞 り の 役 割 をもつ 虹 彩 の 中 央 部 に 瞳 孔 (ひとみ) があり 大 きさを 変 えて 目 に 入 る 光 量 を 調 節 する (4) 水 晶 体 毛 様 体 水 晶 体 は 凸 レンズの 形 をした 透 明 な 組 織 カメラのレンズに 相 当 し 厚 みを 調 節 してピントを 合 わせる 毛 様 体 は 水 晶 体 の 周 囲 を 取 り 囲 んでいる 組 織 で 水 晶 体 の 厚 みを 調 節 する (5) 硝 子 体 眼 球 の 大 部 分 を 占 める 無 色 透 明 でゼリー 状 の 組 織 光 や 眼 内 代 謝 物 の 通 り 道 で ここが 変 性 して 歪 みを 生 じると 飛 蚊 症 になる (6) 網 膜 眼 球 の 内 壁 にある 厚 さ 0.3mm の 薄 い 透 明 な 膜 で カメラでいう フィルム の 役 割 視 神 経 が 集 まり 外 から 入 ってきた 光 が 角 膜 と 水 晶 体 で 屈 曲 し 網 膜 上 で 像 を 結 ぶ 網 膜 の 中 心 部 は 黄 斑 部 といい 物 を 見 る 中 心 になる 2
(7) 脈 絡 膜 毛 様 体 から 続 いている 組 織 で 血 管 や 色 素 を 多 く 含 み 網 膜 に 酸 素 や 栄 養 を 与 える (8) 視 神 経 視 神 経 は 網 膜 上 に 結 んだ 像 を 電 気 信 号 に 変 え 大 脳 に 伝 える (9) 前 房 ( 房 水 ) 隅 角 房 水 は 目 の 内 部 の 水 晶 体 より 前 方 を 満 たす 透 明 な 液 体 毛 様 体 で 分 泌 され 隅 角 という 部 分 から 目 の 外 へ 排 出 される 2) 視 神 経 の 走 行 と 障 害 2 漢 方 でみる 眼 疾 患 の 特 徴 1) 気 血 水 からみた 眼 疾 患 (1) 気 血 水 とは 気 : 生 命 活 動 を 支 える 根 源 的 エネルギーで 働 きだけがあって 形 がない 血 : 血 液 だけでなく その 機 能 および 感 情 までも 含 む 水 : 体 液 だけでなく その 機 能 および 感 情 までも 含 む (2) 気 血 水 の 失 調 と 病 気 3
(3) 眼 科 領 域 における 気 血 水 の 失 調 と 治 療 の 可 能 性 1 水 毒 房 水 角 膜 硝 子 体 などの 病 変 眼 球 や 眼 瞼 の 浮 腫 五 苓 散 [17] 苓 桂 朮 甘 湯 [39] 明 朗 飲 [-]など 2 瘀 血 網 膜 脈 絡 膜 の 疾 患 ( 網 膜 脈 絡 膜 系 は 血 流 が 豊 富 ) 眼 底 出 血 桂 枝 茯 苓 丸 [25]など 3 血 虚 貧 血 慢 性 的 な 眼 底 出 血 四 物 湯 を 含 む 処 方 ( 芎 帰 膠 艾 湯 [77] 十 全 大 補 湯 [48] 四 物 湯 [71]など) 4 気 虚 眼 精 疲 労 仮 性 近 視 複 視 ( 毛 様 体 や 外 眼 筋 などの 筋 力 低 下 などによるもの) 補 中 益 気 湯 [41]など 5 気 血 の 上 衝 眼 球 充 血 眼 底 出 血 (のぼせ 顔 面 紅 潮 など) 黄 連 を 含 む 処 方 ( 黄 連 解 毒 湯 [15]など) 2) 五 臓 からみた 眼 疾 患 (1) 五 臓 の 配 当 表 (2) 眼 科 領 域 における 五 臓 の 失 調 と 治 療 の 可 能 性 1 肝 肝 - 目 - 筋 - 青 - 怒 イライラして 目 がかすむ 怒 りで 目 が 血 走 って 充 血 しているなど 抑 肝 散 とその 類 縁 処 方 ( 抑 肝 散 [54] 抑 肝 散 加 陳 皮 半 夏 [83]など) 柴 胡 を 含 む 処 方 ( 大 柴 胡 湯 [8] 柴 胡 加 竜 骨 牡 蛎 湯 [12]など) 2 腎 腎 虚 ( 加 齢 に 伴 う 諸 症 状 ) 白 内 障 老 眼 変 性 疾 患 (?)など 八 味 地 黄 丸 とその 類 縁 処 方 ( 八 味 地 黄 丸 [7] 牛 車 腎 気 丸 [107]など) 4
3 脾 脾 虚 ( 胃 腸 虚 弱 ) 脾 虚 により 気 虚 ( 気 力 や 体 力 の 低 下 )を 生 じる 背 景 に 脾 虚 があれば 脾 を 補 うことで 心 身 全 体 のコンディションを 改 善 できる 眼 精 疲 労 ( 疲 れ 目 ) 仮 性 近 視 (?) 複 視 (?)など 気 虚 ( 疲 れやすい)に 対 して 人 参 黄 耆 剤 ( 補 中 益 気 湯 [41]など) 脾 虚 ( 食 欲 がない)に 対 して 人 参 剤 ( 六 君 子 湯 [43]など) 3) 慢 性 炎 症 という 観 点 からみた 眼 疾 患 (1) 慢 性 炎 症 に 用 いる 漢 方 薬 小 柴 胡 湯 [9]の 適 応 慢 性 的 に 炎 症 が 続 く 場 合 (ステロイド 治 療 の 適 応 となるような 場 合 ) 免 疫 異 常 が 疑 われる 場 合 症 状 がこじれて 再 燃 寛 解 を 繰 り 返 す 場 合 (2) 小 柴 胡 湯 を 含 む 処 方 柴 苓 湯 [114]: 小 柴 胡 湯 と 五 苓 散 との 合 方 ( 慢 性 結 膜 炎 など) 柴 朴 湯 [96]: 小 柴 胡 湯 と 半 夏 厚 朴 湯 との 合 方 その 他 : 病 態 に 応 じて 桂 枝 茯 苓 丸 [25] 黄 連 解 毒 湯 [15]などと 合 方 する 3 目 の 主 な 病 気 や 症 候 に 対 する 漢 方 治 療 1) 結 膜 炎 急 性 期 には 抗 生 物 質 などの 西 洋 医 学 的 治 療 を 優 先 する 初 期 には 葛 根 湯 [1]や 越 婢 加 朮 湯 [28]が 有 効 なことがある 慢 性 的 に 繰 り 返 す 結 膜 炎 に 柴 苓 湯 [114] 苓 桂 朮 甘 湯 [39] 五 苓 散 [17]などを 試 みる 2) 麦 粒 腫 (ものもらい) 急 性 期 は 西 洋 医 学 的 治 療 の 適 応 だが 葛 根 湯 [1]が 有 効 なことがある 繰 り 返 す 場 合 に 桂 枝 茯 苓 丸 [25] 大 黄 牡 丹 皮 湯 [33]などの 駆 瘀 血 剤 を 考 慮 する 3) 白 内 障 加 齢 や 糖 尿 病 などで 水 晶 体 が 濁 り 視 力 低 下 や 霧 視 が 起 こる 病 気 進 行 すれば 手 術 の 適 応 である 漢 方 治 療 の 効 果 はあまり 期 待 できないが 加 齢 や 糖 尿 病 に 伴 う 初 期 の 白 内 障 に 対 して 八 味 地 黄 丸 [7]で 進 行 が 止 まることがある 4) 緑 内 障 何 らかの 原 因 で 視 神 経 が 障 害 され 視 野 が 狭 くなる 病 気 眼 圧 上 昇 がその 原 因 の 一 つと 言 われ 初 期 にはほとんど 自 覚 症 状 がない 八 味 地 黄 丸 [7]や 釣 藤 散 [47]を 応 用 するが 効 果 はあまり 期 待 できない 5
5) 眼 底 出 血 失 明 の 危 険 性 があるため 西 洋 医 学 的 治 療 を 優 先 する 慢 性 的 に 続 くものに 止 血 作 用 のある 芎 帰 膠 艾 湯 [77]や 黄 連 解 毒 湯 [15]を 試 みる 体 力 低 下 した 高 血 圧 患 者 の 眼 底 出 血 に 七 物 降 下 湯 [46]がよいとされる 体 力 があれば 小 柴 胡 湯 [9]と 桂 枝 茯 苓 丸 [25]を 併 用 することもある 6) 仮 性 近 視 レーシック 手 術 (レーザーで 角 膜 の 曲 率 を 代 える 手 術 ) 毛 様 体 トレーニングなど 水 毒 体 質 のものに 五 苓 散 [17]や 苓 桂 朮 甘 湯 [39]が 有 効 なことがある 漢 方 治 療 よりも 鍼 灸 治 療 の 方 が 有 効 (?) 7) 加 齢 黄 斑 変 性 症 加 齢 により 網 膜 色 素 上 皮 の 下 に 老 廃 物 が 蓄 積 して 黄 斑 部 が 障 害 される 病 気 難 治 性 の 眼 疾 患 で 欧 米 では 成 人 の 失 明 原 因 の 第 1 位 日 本 では 第 4 位 加 齢 による 変 性 疾 患 であるため 八 味 地 黄 丸 [7]または 八 味 地 黄 丸 [7]と 柴 苓 湯 [114] を 併 用 して 長 期 間 服 用 してみる 8)その 他 角 膜 結 膜 硝 子 体 の 病 変 は 水 毒 網 膜 脈 絡 膜 の 病 変 は 瘀 血 が 原 則 である 加 齢 黄 斑 変 性 症 ( 腎 虚?)や 網 膜 色 素 変 性 症 ( 瘀 血? 血 虚?)などの 失 明 に 至 るよ うな 進 行 性 の 難 治 性 眼 疾 患 でも 試 みる 価 値 がある Ⅲ. 耳 の 病 気 1 耳 が 聞 こえる 仕 組 み 1) 耳 の 構 造 と 機 能 耳 小 骨 中 耳 内 耳 三 半 規 管 前 庭 前 庭 神 経 外 耳 道 鼓 膜 蝸 牛 神 経 蝸 牛 耳 管 6
(1) 外 耳 外 耳 は 耳 介 と 外 耳 道 に 分 けられる 耳 介 は 音 を 集 め 外 耳 道 は 集 めた 音 を 鼓 膜 へと 導 く (2) 中 耳 中 耳 には 外 耳 道 に 接 する 鼓 膜 と その 内 側 の 空 洞 の 中 耳 腔 がある 鼓 膜 は 楕 円 形 の 薄 い 膜 で 音 波 を 受 けると 振 動 する 中 耳 腔 の 奥 の 壁 は 内 耳 の 蝸 牛 につながる 鼓 膜 と 蝸 牛 の 間 は3つの 小 さな 骨 ( 耳 小 骨 )で 結 ばれ 鼓 膜 の 振 動 を 蝸 牛 に 伝 える (3) 内 耳 内 耳 は 頭 蓋 骨 の 中 に 埋 もれていて 蝸 牛 と 前 庭 と 三 半 規 管 がある それぞれが 水 の 入 った 袋 の 構 造 になっていて 中 にリンパ 液 が 入 っている 蝸 牛 は 鼓 膜 と 耳 小 骨 から 伝 えられた 音 波 の 振 動 を 電 気 信 号 に 変 える 三 半 規 管 は 体 の 回 転 運 動 を 感 じて 体 のバランスをとる 前 庭 は 体 の 直 線 運 動 を 感 じて 体 のバランスをとる 2 漢 方 でみる 耳 疾 患 の 特 徴 (1) 腎 虚 加 齢 に 伴 う 難 聴 や 耳 鳴 は 漢 方 的 には 腎 虚 と 考 えるが 治 療 は 難 しい 八 味 地 黄 丸 [7]や 牛 車 腎 気 丸 [107]を 試 みる 他 の 腎 虚 症 状 ( 腰 痛 夜 間 頻 尿 下 半 身 の 衰 えなど)に 注 目 する (2) 水 毒 内 耳 を 構 成 する 蝸 牛 前 庭 三 半 規 管 は 平 衡 感 覚 を 主 っている 内 部 はリンパ 液 で 満 たされているため 内 耳 由 来 のめまいなどは 水 毒 である 苓 桂 朮 甘 湯 [39]や 半 夏 白 朮 天 麻 湯 [37]を 用 いる (3) 慢 性 炎 症 慢 性 中 耳 炎 などでは 抗 炎 症 効 果 がある 柴 胡 剤 ( 小 柴 胡 湯 [9]など)を 考 慮 する 3. 耳 の 主 な 病 気 や 症 候 に 対 する 漢 方 治 療 1) 中 耳 炎 急 性 期 には 西 洋 医 学 的 治 療 を 優 先 するが 症 状 に 対 して 漢 方 薬 を 併 用 してもよい 慢 性 的 に 繰 り 返 すものは 漢 方 治 療 のよい 適 応 である 副 鼻 腔 炎 から 生 じるものには 辛 夷 清 肺 湯 [104]や 葛 根 湯 加 川 芎 辛 夷 [2]で 対 処 する 炎 症 の 状 態 によって 下 記 の 処 方 を 使 い 分 ける( 炎 症 の 強 い 順 ) 1 葛 根 湯 [1]: 初 期 で 耳 痛 悪 寒 後 頚 部 凝 り 発 熱 頭 痛 などを 伴 う 2 排 膿 散 及 湯 [122]: 炎 症 がまだ 盛 んで 膿 性 の 浸 出 液 がみられる 3 小 柴 胡 湯 [9]: 発 病 後 数 日 を 経 て 悪 寒 発 熱 に 加 え 口 が 苦 く 耳 痛 や 難 聴 がある 小 柴 胡 湯 には 根 本 治 療 として 抗 炎 症 作 用 を 期 待 する 4 柴 苓 湯 [114]: 炎 症 が 残 存 して 粘 稠 な 浸 出 液 が 出 ている 滲 出 性 中 耳 炎 に 用 いる 7
5 千 金 内 托 散 [-]: 慢 性 化 して 炎 症 がくすぶり 薄 い 浸 出 液 が 続 いている 人 に 用 いる この 病 態 は 臨 床 で 比 較 的 多 くみられるが エキス 剤 にはない 6 黄 耆 建 中 湯 [98]: 炎 症 が 沈 静 化 しても 薄 い 浸 出 液 が 続 く 場 合 に 考 慮 する 7 十 全 大 補 湯 [48]: 症 状 が 長 期 化 し 炎 症 も 沈 静 化 し 枯 れたような 状 態 に 用 いる 肉 芽 形 成 促 進 作 用 があり 鼓 膜 穿 孔 などにも 試 みる 価 値 がある 2) 耳 閉 感 (1) 耳 管 開 放 症 耳 管 の 機 能 失 調 が 原 因 で 繰 り 返 す 耳 閉 感 自 声 強 聴 が 主 な 症 状 である 有 病 率 は 約 20 人 に 1 人 だが メニエール 症 候 群 などと 診 断 されることもある 頭 部 を 下 に 下 げる 横 になるなど 耳 管 周 囲 の 血 流 改 善 により 症 状 が 緩 和 する 加 味 帰 脾 湯 [137]が 有 効 で 有 効 率 は 約 70%とされる (2) 感 冒 後 耳 閉 感 耳 管 周 囲 の 炎 症 により 耳 管 機 能 が 一 時 的 に 障 害 される 気 の 巡 りを 改 善 する 香 蘇 散 [70]に 抗 炎 症 作 用 のある 小 柴 胡 湯 [9]を 併 用 する 3) 難 聴 腎 虚 という 観 点 から 八 味 地 黄 丸 [7]を 試 みるが 症 状 の 改 善 はほとんど 見 込 めない 難 聴 を 治 療 のターゲットにするのではなく 他 の 症 状 の 改 善 を 図 った 方 がよい 突 発 性 難 聴 は 早 期 のステロイド 治 療 が 必 要 で 漢 方 治 療 の 適 応 ではない 4) 耳 鳴 難 聴 と 同 様 に 腎 虚 と 考 えるが 八 味 地 黄 丸 [7]を 用 いても 効 果 は 期 待 できない 原 則 的 には 耳 鳴 が 気 になるような 体 調 を 改 善 すべきである 症 状 が 改 善 と 増 悪 を 繰 り 返 す 場 合 増 悪 因 子 に 着 目 して 治 療 するとよいことがある ( 例 ) 感 冒 で 悪 化 する 場 合 は 葛 根 湯 [1]などで 感 冒 に 罹 らないようにする ストレスで 増 悪 する 場 合 は 可 能 な 限 りストレスを 避 ける 8