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乳 房 における Differential tissue harmonic imaging の 有 用 性 (Diff-THIは 乳 房 領 域 の 診 療 に 多 角 的 な 戦 略 をもたらしたか) くりたクリニック 栗 田 武 彰 はじめに 最 近 のフルデジタル 超 音 波 装 置 は 高 周 波 化 お よび 広 帯 域 化 が 可 能 となり 超 音 波 画 像 の 分 解 能 は 著 明 に 向 上 し その 診 断 能 は 明 らかに 進 歩 してい る アプリケーションソフトウェアも 逐 次 改 善 さ れており 特 に 体 表 臓 器 ( 乳 房 甲 状 腺 など)の 超 音 波 検 査 の 診 断 精 度 の 改 善 には 目 を 見 張 るもの がある くりたクリニック( 青 森 県 弘 前 市 )では 2003 年 6 月 の 開 業 の 際 高 分 解 能 デジタル 超 音 波 診 断 装 置 Aplio( 東 芝 メディカルシステムズ( 株 ) 社 製 図 1a)を 導 入 し 乳 房 甲 状 腺 超 音 波 検 査 を 施 行 してきたが 病 変 の 描 出 能 力 分 解 能 操 作 性 が 優 れており 十 分 満 足 し 使 用 してきた PLT-805AT PLT-1204AT 図 1 使 用 機 種 Aplio(a)と 今 回 は2005 年 2 月 に 導 入 したDifferential tissue harmonic imaging( 以 下 Diff-THI)について 当 クリニックの 実 際 の 症 例 を 供 覧 しながらDiff-THI の 有 用 性 について 述 べる プローブは 全 症 例 に おいてPLT-805AT PLT-1204ATプローブ( 図 1b)を 用 いた それぞれ 中 心 周 波 数 が8MHz 帯 12 MHz 帯 の 電 子 走 査 型 リニアプローブで 浅 部 から 深 部 まで 均 一 なフォーカシングを 実 現 している くりたクリニック 紹 介 くりたクリニックは 青 森 県 で 初 めて 開 設 され た 乳 腺 甲 状 腺 を 専 門 とする 外 来 診 療 のみのクリ ニックである 乳 がん 検 診 はもちろん さまざま な 乳 腺 甲 状 腺 に 悩 みを 抱 える 方 が 訪 れる 設 備 は 超 音 波 検 査 とマンモグラフィのみであり 今 回 のテーマである 超 音 波 検 査 の 果 たす 役 割 は 極 めて 大 きい 乳 癌 は 確 実 に 増 加 しているとされている が マンモグラフィ 検 診 の 普 及 とともに 精 査 に 訪 れる 患 者 も 確 実 に 増 加 している 2003 年 6 月 の 開 業 より2 年 半 で 新 患 数 は5,200 人 年 間 の 乳 がん 検 診 数 は 約 1,000 人 である その 期 間 の 新 規 乳 癌 の 発 見 数 180 例 新 規 甲 状 腺 癌 の 発 見 数 72 例 とい う 実 績 は 良 好 であると 思 われ 人 口 17 万 人 程 度 の 地 方 の 小 都 市 という 対 象 規 模 を 考 えると 開 業 前 の 予 想 をはるかに 超 えている( 表 1) この 原 動 力 の 一 つとして 超 音 波 診 断 装 置 Aplioの 秀 逸 さに よるところが 大 きいことは 言 うまでもない 使 用 プローブ(b) 図 1a 図 1b 558 2006 年 5 月

表 1 くりたクリニックの 紹 介 所 在 地 : 青 森 県 弘 前 市 ( 人 口 約 17 万 人 ) 乳 腺 甲 状 腺 専 門 クリニック( 診 断 を 主 とし 外 科 的 治 療 は 他 院 に 紹 介 ) 主 な 設 備 :マンモグラフィ(CR) フ ルデジタル 超 音 波 検 査 機 ( 東 芝 メディ カルシステムズ 社 製 :Aplio) 主 なスタッフ: 超 音 波 専 門 医 指 導 医 Aランクマンモグラフィ 撮 影 放 射 線 技 師 診 療 実 績 ( 開 院 後 2 年 半 ): 新 規 発 見 乳 癌 180 例 新 規 発 見 甲 状 腺 癌 72 例 図 2 Diff-THI の 原 理 Differential tissue harmonic imaging(diff-thi) 進 化 したハーモニックイメージング 超 音 波 断 層 像 において 画 像 観 察 の 妨 げとなるア ーチファクトを 低 減 しコントラスト 分 解 能 を 向 上 させるために 最 近 ではティッシュ ハーモニッ ク イメージング(THI)が 多 用 されるようにな ってきている しかしこれまでのTHI(PS -THI: Pulse subtraction tissue harmonic imaging)では2 次 高 調 波 だけを 利 用 するため 分 解 能 やペネトレ ーション( 深 達 度 )が 少 々 犠 牲 になっていた 新 開 発 のDiff-THIはこのような 制 約 を 克 服 し さらに 画 質 を 向 上 させたTissue Harmonic Imagingを 実 現 した Diff-THIでは2つの 周 波 数 を 合 成 して 送 信 し 受 信 信 号 の 中 の 差 音 (Differential echo)と 高 調 波 (Harmonic echo)を 用 いて 抽 出 す る 広 帯 域 プローブの 帯 域 幅 を 最 大 限 に 利 用 する ことができるので 低 アーチファクトで 高 いコン トラスト 分 解 能 とペネトレーションの 良 い 高 画 質 画 像 が 実 現 できている( 図 2) 組 織 内 部 や 境 界 エ コーの 描 出 能 の 向 上 により 腫 瘍 嚢 胞 などの 病 変 と 正 常 組 織 の 識 別 が 素 早 く 行 える 超 音 波 検 査 は 積 極 的 能 動 的 プロセスである 超 音 波 検 査 は 対 象 物 を 意 思 をもって 背 景 から 切 り 離 す 作 業 である 脳 は 目 で 見 た 情 景 の 多 くの さまざまな 特 徴 に 対 して 並 列 的 に 反 応 し それら の 特 徴 を 結 び 合 わせ さらに 過 去 の 経 験 を 水 先 案 内 人 として 意 味 のある 全 体 像 を 作 り 上 げその 性 質 を 判 断 する 超 音 波 検 査 は 乳 房 甲 状 腺 領 域 にお ける 画 像 診 断 の 中 で 唯 一 リアルタイムに 動 画 の 中 で 判 断 を 迫 られる 診 断 技 術 といっても 過 言 では ない 今 回 は 動 画 を 中 心 に 検 討 し 最 新 技 術 を 評 価 した 本 来 であれば 動 画 にてプレゼンテーショ ンしたいが 誌 面 ゆえに 画 像 提 示 は 動 画 記 録 より 作 成 したものを 使 用 した このような 作 業 を 経 て 静 止 画 を 作 成 したが 画 像 の 劣 化 はほとんどない ことを 追 加 しておく 検 討 項 目 検 討 項 目 を 表 2に 示 す スクリーニングにおいては すばやい 観 察 病 変 の 描 出 に 関 しては 腫 瘤 形 成 性 病 変 では 腫 瘤 の 認 識 特 徴 の 把 握 診 断 基 準 の 担 保 腫 瘤 非 形 成 性 病 変 では 地 図 状 低 エコー 境 界 不 明 瞭 低 エコ Vol.38 No.5 559

表 2 検 討 項 目 対 象 および 方 法 スクリーニング: 早 い 動 きについていける 腫 瘤 : 腫 瘤 の 認 識 特 徴 の 把 握 診 断 基 準 の 担 保 腫 瘤 非 形 成 性 病 変 : 地 図 状 低 エコー 境 界 不 明 瞭 低 エコー 石 灰 化 : 微 細 石 灰 化 粗 大 石 灰 化 鑑 別 しがた い 石 灰 化 乳 管 病 変 : 乳 管 の 構 造 乳 管 内 のエコー 穿 刺 誘 導 : 対 象 と 穿 刺 針 の 認 識 のしやすさ 拡 大 評 価 : 微 小 病 変 に 対 して 拡 大 しても 画 質 が 劣 化 しない 3D 血 流 の 評 価 : 広 がり 診 断 乳 管 内 伸 展 血 管 構 築 ーなどの 描 出 石 灰 化 病 変 は 微 細 石 灰 化 粗 大 石 灰 化 の 鑑 別 微 小 な 微 細 石 灰 化 の 認 識 乳 管 病 変 は 乳 管 の 構 造 乳 管 内 のエコーの 把 握 穿 刺 誘 導 に 際 しては 対 象 と 穿 刺 針 の 認 識 のしやすさ 画 像 拡 大 による 評 価 では 微 小 病 変 の 拡 大 観 察 時 に 画 質 が 劣 化 しないこと 3Dや 血 管 構 築 をあわせて 表 示 することにより 全 体 構 造 乳 管 内 伸 展 などの 広 がり 診 断 に 寄 与 できるかについて 検 討 した 対 象 は 平 成 17 年 4 月 から 同 年 7 月 までに 当 ク リニックを 訪 れた 受 診 者 である 画 像 はFundamental PS -THI(これまでも 搭 載 されていた) Diff-THIの3 条 件 で それぞれの 最 適 画 像 描 出 条 件 を 設 定 し 画 像 を 動 画 にて 記 録 し 比 較 検 討 した 1)まずはスクリーニング( 図 3) 日 々の 診 療 や 今 後 盛 んになるであろう 乳 がん 検 診 を 含 め 短 時 間 で 精 密 なスクリーニングをする ことが 求 められている スクリーニングにおける 対 象 認 識 は 動 画 の 中 でリアルタイムに 行 われる プローブを 早 くスキャンしながら 検 査 を 行 えるこ とが 必 要 であり 言 いかえれば 時 間 分 解 能 が 良 く なければならない 図 3 のようにFundamentalで は 脂 肪 と 腫 瘤 のエコーレベルが 近 く 腫 瘤 の 認 識 が しずらい 時 でも Diff-THIでは 腫 瘤 が 明 瞭 に 認 識 できることにより 迷 うことなくスムーズにスクリ ーニングを 行 える 2) 腫 瘤 における 認 識 のしやすさ( 図 4) 次 に 腫 瘤 形 成 性 病 変 腫 瘤 非 形 成 性 病 変 問 わず 病 変 の 明 瞭 な 描 出 が 期 待 される 対 象 を 認 識 しや すく 特 徴 を 捉 えやすいことが 大 切 で 動 きの 中 で 対 象 を 認 識 するために 対 象 に 形 があること コ 図 3 スクリーニング Fundamentalでは 脂 肪 と 腫 瘤 のエコーレベルが 近 い 時 は 腫 瘤 を 認 識 しづらいが Diff-THI では 腫 瘤 が 明 瞭 に 認 識 できる 560 2006 年 5 月

図 4 境 界 不 明 瞭 な 腫 瘤 の 認 識 のしやすさ Fundamental では 腫 瘤 の 境 界 が 不 明 瞭 であるが Diff-THI では 境 界 が 明 瞭 になり 腫 瘤 の 全 体 像 の 把 握 がより 容 易 となる 図 5 画 像 の 認 識 が 極 端 に 違 わな いか( 画 像 の 担 保 ) a: 所 見 の 特 徴 を 捉 えているか( 超 音 波 画 像 ) b: 腫 瘤 の 特 徴 を 捉 えてい るか(キドクリック 解 析 画 像 ) 腫 瘤 の 形 状 境 界 の 明 瞭 度 粗 雑 性 内 部 のエコーレベル 内 部 エコーの 均 一 性 石 灰 化 の 有 無 と 性 状 を 定 量 的 に 評 価 し て Fundamental PS- THI Diff-THI の 3 条 件 で 描 出 状 態 を 検 証 した 解 析 により 基 本 的 要 素 に 変 化 はなく それぞれの 特 徴 量 がよ り 際 立 つ 形 で 表 現 されていることが わかった 特 に 境 界 の 明 瞭 性 粗 雑 性 形 状 の 指 標 であるかどとくびれは 視 覚 的 印 象 と 一 致 していた Fundamental PS-THI Diff-THI 図 5a 図 5b Vol.38 No.5 561

図 6 石 灰 化 が 良 く 見 える a: 石 灰 化 を 精 密 に 描 出 できているか( 超 音 波 画 像 ) b: 同 (キドクリック 解 析 画 像 ) 視 覚 的 には Diff-THI では 点 状 高 エコーがくっきりと 描 出 されており 描 出 個 数 も 多 い キドクリックにて 石 灰 化 を 示 唆 する 高 エコーの 個 数 大 きさ 分 布 状 態 を 定 量 的 に 評 価 したところ 描 出 個 数 も 多 く 視 覚 的 印 象 と 最 も 一 致 していた Fundamental PS-THI Diff-THI 図 6a 図 6b ントラストがあること 対 象 内 部 のテクスチャー に 違 いがあることが 必 要 である このためにも 皮 膚 脂 肪 組 織 乳 腺 組 織 乳 管 腫 瘤 のエコー 輝 度 に 違 いがあることが 基 本 となる 図 4 にFundamentalでは 腫 瘤 の 境 界 が 不 明 瞭 であるが Diff- THIでは 境 界 が 明 瞭 になり 全 体 像 の 把 握 がより 容 易 となった 症 例 を 示 す 3) 画 像 が 担 保 されているか( 図 5) 超 音 波 所 見 の 記 載 に 関 しては 乳 房 診 断 ガイド ラインに 記 載 されている 1) 新 しい 技 術 が 開 発 さ れても 対 象 が 明 らかに 違 うものとして 描 出 され ると 現 場 に 混 乱 を 生 む したがって 病 変 の 主 要 な 要 素 は 変 化 がなく 特 徴 が 強 調 されたり 細 部 が 詳 細 に 描 出 されていることが 求 められ Fundamentalの 画 像 が 担 保 されていることが 重 要 であ る キドクリックは 当 初 境 界 の 定 量 的 決 定 のアルゴ リズムとして 著 者 らが 開 発 したものであるが 現 在 は 結 節 の 定 量 的 評 価 や 超 音 波 支 援 診 断 (CAD) としても 応 用 している 2 4) 今 回 は 結 節 性 病 変 の 形 状 境 界 の 明 瞭 度 粗 雑 性 内 部 のエコーレベ ル 内 部 エコーの 均 一 性 石 灰 化 の 有 無 と 性 状 を 定 量 的 に 評 価 してFundamental PS -THI Diff- THI の3 条 件 で 描 出 状 態 を 検 証 した キドクリッ ク 解 析 の 詳 細 は 割 愛 するが 結 果 としては 基 本 的 要 素 に 変 化 はなく それぞれの 特 徴 量 がより 際 立 562 2006 年 5 月

図 7 微 小 腫 瘤 内 の 微 細 石 灰 化 と 拡 大 評 価 微 小 腫 瘤 内 に 微 細 石 灰 化 の 集 ぞくを 示 す 点 状 高 エコーが 描 出 されており 拡 大 にてより 明 瞭 に 描 出 されており 画 像 の 劣 化 もない(DCIS) 図 8 微 小 腫 瘤 と ADF 拡 大 評 価 4mmの 腫 瘤 が 描 出 されており 拡 大 にて 腫 瘤 の 詳 細 がより 明 らかになる さらに 血 流 も 明 瞭 に 描 出 されている(アドバ ンストダイナミックフロー) つ 形 で 表 現 されていることがわかった 特 に 境 界 の 明 瞭 性 粗 雑 性 形 状 の 指 標 であるかどとくび れは 視 覚 的 印 象 と 一 致 していた 4) 石 灰 化 病 変 は 見 えるか( 図 6) 腫 瘤 内 の 石 灰 化 が 捕 らえられているかを 検 討 し た 視 覚 的 にはDiff-THIでは 点 状 高 エコーがくっ きりと 描 出 されており 描 出 個 数 も 多 い キドク リックにて 石 灰 化 を 示 唆 する 高 エコーの 個 数 大 きさ 分 布 状 態 を 定 量 的 に 評 価 したところ 描 出 個 数 も 多 く 視 覚 的 印 象 と 最 も 一 致 していた 5) 微 小 病 変 の 描 出 はどうか( 図 7 図 8) まず 微 小 病 変 が 明 瞭 に 認 識 できることが 基 本 で あり さらに 拡 大 した 際 画 像 の 情 報 量 が 保 たれる ことが 重 要 である 優 れた 分 解 能 とペネトレーシ ョンに 加 え 拡 大 しても 画 質 の 劣 化 しないフルデ ジタルの 利 点 が 発 揮 された 成 果 が 見 て 取 れる 図 7 は 微 小 腫 瘤 内 の 微 細 石 灰 化 (DCIS) 図 8 は 微 小 腫 瘤 および 微 小 血 流 (アドバンストダイナミ ックフロー)を 示 す 6) 血 管 構 築 は 評 価 できるか( 図 9) 嚢 胞 内 腫 瘤 である ぺネトレーションの 向 上 に より 腫 瘤 の 形 態 は 詳 細 に 描 出 されており さらに アドバンストダイナミックフローにより 血 管 が 明 瞭 に 描 出 されている 7) 乳 管 病 変 は 描 出 できているか( 図 10) どの 程 度 の 細 さまでの 乳 管 が 観 察 できるか 興 味 があったが 乳 管 が 局 所 的 に 拡 張 していることが わかる 細 いところは0.2mm である 拡 大 して も 画 像 が 劣 化 しない 8) 穿 刺 ( 図 11) 乳 管 内 に2mm 隆 起 性 の 病 変 が 描 出 されている さらに 腫 瘤 内 部 に 血 流 を 認 めることで 精 査 の 必 要 性 が 示 唆 される また この 血 流 を 頼 りに 穿 刺 が 可 能 であった Vol.38 No.5 563

図 9 3D 画 像 と 血 流 ぺネトレーションの 向 上 により 腫 瘤 の 形 態 は 詳 細 に 描 出 されており さ らにアドバンストダイナミックフロ ーにより 血 管 が 明 瞭 に 描 出 されてい る 拡 大 すると 血 流 情 報 はより 詳 細 となる 図 10 乳 管 の 描 出 拡 大 でどの 程 度 の 細 さの 乳 管 まで 見 えるか 乳 管 が 局 所 的 に 拡 張 していることがわかる 細 いところは0.2mm である 拡 大 しても 画 像 が 劣 化 しない 図 11a 図 11b 図 11 乳 管 内 の 隆 起 性 病 変 と 内 部 の 血 流 穿 刺 a: 拡 大 ADF b: 穿 刺 細 胞 診 乳 管 内 に2mm 隆 起 性 の 病 変 が 描 出 されている 腫 瘤 内 部 に 血 流 を 認 めることで 精 査 の 必 要 性 が 示 唆 される( 図 11a) この 血 流 を 頼 りに 穿 刺 が 可 能 であった( 図 11b) 564 2006 年 5 月

図 12 穿 刺 針 の 見 え 方 3Dによる 腫 瘤 内 血 流 の 分 布 腫 瘤 内 の 血 流 分 布 が 明 瞭 に 描 出 されており 血 管 構 築 により 鑑 別 診 断 の 一 助 になる さらに 穿 刺 の 際 血 管 を 避 けることができる 9)3D( 図 12) 穿 刺 針 の 見 え 方 は 大 きな 差 は 見 られなかった 3Dでは 腫 瘤 内 の 血 流 分 布 が 明 瞭 に 描 出 されてお り 血 管 構 築 は 良 悪 性 の 鑑 別 診 断 の 一 助 になる さらに 穿 刺 の 際 血 管 への 刺 入 を 避 けることができ る 10) 穿 刺 細 胞 診 針 生 検 などの 誘 導 下 インタ ーベンションに 有 効 か( 図 13) インターベンションは 病 変 の 大 きさにかかわら ず 超 音 波 所 見 で 病 変 の 局 在 さえ 明 確 に 示 されれば 細 胞 診 針 生 検 にかかわらず 施 行 可 能 であり か つ 侵 襲 の 小 さい 検 査 のため 微 小 病 変 を 評 価 する うえで 最 良 の 技 術 と 考 える まず 超 音 波 で 石 灰 化 であれ 腫 瘤 であれ 微 小 病 変 の 存 在 が 明 瞭 に 描 出 されることが 必 要 条 件 である これまでの 超 音 波 診 断 装 置 では 微 小 な 石 灰 化 像 を 描 出 することは 困 難 であったが Aplioを 導 入 してからは 小 病 変 で あってもかなり 描 出 できるようになり 穿 刺 可 能 な 症 例 も 増 えてきた さらにDiff-THI 導 入 後 は 明 瞭 に 病 変 が 描 出 されるようになり 的 確 に 穿 刺 でき ることが 多 くなった 微 細 石 灰 化 同 定 のポイント はまず 低 エコー 像 をはっきりと 認 識 でき その 内 部 に 点 状 高 エコーが 存 在 することが 重 要 であるこ とを 強 調 したい 点 状 高 エコーのみではそれが 石 灰 化 病 変 であると 確 認 することは 不 可 能 である 最 近 経 験 的 にプローブを 細 かく 動 かすことによっ て 石 灰 化 を 確 認 できる 可 能 性 があることがわか った 言 い 換 えれば 細 かい 動 きで 点 状 高 エコー が 現 れたり 消 えたりするものが 石 灰 化 であり 多 少 動 かしてもあまり 変 化 しないものは 他 の 組 織 か アーチファクトであろうと 考 える 症 例 は マンモグラフィで 淡 い 微 細 石 灰 化 の 集 ぞくが 描 出 されている 超 音 波 検 査 では 微 小 な 低 エコー 腫 瘤 とその 内 部 に 点 状 高 エコーが 描 出 され ている 拡 大 にて 情 報 は 最 大 化 され 形 状 や 境 界 内 部 の 詳 細 な 情 報 が 得 ら れ る 細 胞 診 に て CLASSⅤ 針 生 検 にてDCISの 診 断 を 得 た 11) 腫 瘤 非 形 成 性 病 変 への 対 応 : 小 葉 癌 ( 図 14) 小 葉 癌 は 明 瞭 な 境 界 を 持 たない 不 明 瞭 低 エコー として 描 出 されることが 多 く 多 発 する 傾 向 があ るといわれている ボリュームデータで 記 録 する ことにより 関 心 領 域 の 細 密 な 観 察 が 可 能 になり 検 査 後 であっても 多 発 病 変 の 存 在 がより 客 観 的 に Vol.38 No.5 565

図 13a 図 13b 図 13c 図 13d 図 13e 図 13 穿 刺 細 胞 診 針 生 検 などの 誘 導 下 インターベンションに 有 効 か a: 微 小 病 変 の 拡 大 像 b: 穿 刺 細 胞 診 c: 針 生 検 d:マンモグラフィ e:マンモグラフィ( 拡 大 ) マンモグラフィで 淡 い 微 細 石 灰 化 の 集 ぞくが 描 出 されている(マンモ) 超 音 波 検 査 では 微 小 な 低 エコー 腫 瘤 とその 内 部 に 点 状 高 エコーが 描 出 されている 拡 大 にて 情 報 は 最 大 化 され 形 状 や 境 界 内 部 の 詳 細 な 情 報 が 得 られる 細 胞 診 に てCLASSⅤ( 細 胞 診 ) 針 生 検 にてDCISの 診 断 を 得 た( 針 生 検 ) 指 摘 できる 切 除 範 囲 など 治 療 方 針 の 決 定 に 寄 与 できる 可 能 性 が 示 唆 された 症 例 は 小 葉 癌 で 境 界 不 明 瞭 な 低 エコーが 描 出 されている 病 変 は 多 発 で3Dとして 記 録 しておくことにより 病 変 の 局 在 が 確 認 でき 切 除 範 囲 決 定 の 一 助 となった 12) 切 除 範 囲 の 決 定 ( 図 15) 乳 管 内 伸 展 を 伴 う 腫 瘤 に 対 してはMPR(Multi Planer Reconstruction) 表 示 が 多 くの 情 報 を 与 え てくれる 特 にCモード 水 平 面 表 示 は 通 常 では 可 視 できないイメージであるのに 加 え 広 がり 診 断 に 極 めて 有 用 である 乳 房 温 存 手 術 における 切 除 範 囲 の 決 定 に 応 用 されることが 期 待 される D-THIの 有 用 性 と 将 来 の 課 題 表 3 に 今 回 の 検 討 の 結 果 を 示 し さらに 現 在 を 含 め 今 後 乳 房 超 音 波 検 査 に 期 待 されていることを 表 4 にあげてみた まず 日 々の 診 療 や 今 後 盛 んに なるであろう 超 音 波 検 査 を 用 いた 乳 癌 検 診 では 短 時 間 で 精 密 なスクリーニングを 遂 行 することが 求 められている スクリーニングにおける 対 象 認 識 は 動 画 の 中 でリアルタイムに 行 われる プロー ブを 早 くスキャンしながら 検 査 を 行 えることが 必 要 であり 言 い 換 えれば 時 間 分 解 能 が 良 くなけれ ばならない これに 関 してD -THIはストレスなく 検 査 を 遂 行 可 能 で 十 分 満 足 できる 結 果 であった 次 に 腫 瘤 形 成 性 腫 瘤 非 形 成 性 を 問 わず 病 変 566 2006 年 5 月

図 14a 図 14b 図 14 腫 瘤 非 形 成 性 病 変 への 対 応 : 小 葉 癌 a: 画 像 の 比 較 b: 境 界 不 明 瞭 低 エコー 多 発 病 変 小 葉 癌 小 葉 癌 は 明 瞭 な 境 界 を 持 たないことが 多 く 多 発 する 傾 向 があるといわれているが ボリュームデータで 記 録 すること である 関 心 領 域 の 精 密 な 観 察 が 可 能 になったことにより 多 発 病 変 の 存 在 が 容 易 に 指 摘 できる の 明 瞭 な 描 出 が 期 待 される 対 象 を 認 識 しやすく 特 徴 を 捉 えやすいことが 大 切 で 動 きの 中 で 対 象 を 認 識 するために 対 象 に 形 があること コントラ ストがあること 対 象 内 部 のテクスチャーに 違 い があることが 必 要 である D -THIではこの3 点 に 強 みがあり Fundamentalで 見 落 としそうな 病 変 も 明 瞭 に 認 識 できた また 診 断 ガイドライン 1) に 示 されているような 腫 瘤 の 性 状 を 表 現 する 項 目 に 関 してもFundamentalの 所 見 を 強 調 する 形 で 判 断 でき 対 象 の 特 徴 の 把 握 に 際 し 極 めて 有 効 であった 乳 管 の 描 出 は 極 めて 良 好 で0.2mm の 乳 管 であ れば 認 識 可 能 で 拡 張 があれば 乳 管 内 隆 起 性 病 変 やその 内 部 の 血 流 情 報 乳 管 内 の 石 灰 化 などもよ く 観 察 できた 境 界 不 明 瞭 な 低 エコーの 描 出 も 良 好 で Fundamentalで 見 落 としかねない 低 エコー 領 域 の 存 在 も 気 付 かせてくれた 以 上 よりDiff-THIは 現 在 な くてはならない 機 能 として 当 クリニックでは 常 に Diff-THIをオンにしているのが 現 状 である 最 後 に このようなすばらしい 機 能 であること を 認 識 した 上 で あえてDiff-THIを 含 めた 最 新 技 術 を 搭 載 するAplioの 開 発 側 臨 床 側 に2 つの 課 題 を 与 えてみよう まずは 検 診 による 微 小 腫 瘤 微 小 石 灰 化 病 変 の 検 出 例 が 急 激 に 増 えているが それらの 明 瞭 な 存 Vol.38 No.5 567

図 15a 図 15b 図 15c 図 15 切 除 範 囲 の 決 定 a: 画 像 の 比 較 b:3dによる 腫 瘤 の 全 体 像 と 血 管 構 築 c:c モード 画 像 による 切 除 範 囲 の 決 定 (MPR) 乳 管 内 伸 展 を 伴 う 腫 瘤 3Dにて 血 管 構 築 も 把 握 できる 任 意 の 面 における 水 平 面 表 示 は 広 がり 診 断 に 有 用 である 乳 房 温 存 手 術 における 切 除 範 囲 の 決 定 に 応 用 されることが 期 待 される 表 3 最 新 技 術 の 価 値 に 対 する 評 価 スクリーニングに 適 しており 早 い 動 きにも ついていける 画 質 は 極 めて 良 く 腫 瘤 は 明 瞭 に 描 出 された 通 常 画 像 の 特 徴 は 担 保 されていた 腫 瘤 の 全 体 像 が 目 に 浮 かぶ 石 灰 化 病 変 の 描 出 が 明 らかに 向 上 小 さな 病 変 も 正 確 に 誘 導 下 穿 刺 可 能 病 変 の 広 がり 診 断 も 推 定 可 能 で 乳 房 温 存 の 切 除 範 囲 の 決 定 の 応 用 可 能 最 新 技 術 の 総 和 (Diff-THI トラペゾイダル スキャン ADF アプリピュアなど)によっ て 相 乗 効 果 がもたらされている 表 4 現 在 および 将 来 の 乳 腺 領 域 における 超 音 波 検 査 の 課 題 スクリーニング 検 査 ( 臨 床 乳 癌 検 診 ) 病 変 の 明 瞭 な 描 出 ( 特 に 腫 瘤 非 形 成 性 病 変 ) 良 悪 性 の 鑑 別 および 組 織 型 の 推 定 乳 管 病 変 の 検 索 微 小 腫 瘤 微 小 石 灰 化 病 変 の 描 出 微 小 不 明 瞭 病 変 に 対 する 穿 刺 誘 導 ( 細 胞 診 針 生 検 マンモトーム) 3D 血 流 表 示 による 病 変 全 体 像 の 把 握 乳 房 温 存 手 術 における 切 除 範 囲 の 決 定 568 2006 年 5 月

在 診 断 方 法 の 確 立 と 微 小 で 不 明 瞭 な 病 変 に 対 する 正 確 な 超 音 波 誘 導 下 インターベンション 技 術 の 確 立 ( 細 胞 診 針 生 検 マンモトーム)が 望 まれる 特 にこれまではマンモグラフィにて 微 細 石 灰 化 の み( 特 に 淡 い 石 灰 化 の 集 ぞく)が 検 出 されている 場 合 超 音 波 検 査 では 石 灰 化 の 周 囲 に 低 エコーが ない 症 例 では 石 灰 化 部 位 の 同 定 が 困 難 であった このような 症 例 での 描 出 能 がさらに 改 善 できれば ステレオマンモグラフィのバイオプシーを 回 避 で き 患 者 に 対 し 最 低 限 の 侵 襲 で 済 むやさしい 検 査 法 の 確 立 につながる 次 に3Dや 血 流 表 示 を 含 め 病 変 の 全 体 像 を 把 握 をするための 総 合 画 像 表 示 法 の 確 立 である こ れは 画 像 診 断 の 最 終 目 標 であるが 治 療 にも 直 結 する 技 術 である 乳 房 温 存 手 術 において 乳 管 内 伸 展 や 非 連 続 的 な 病 変 が 存 在 する 場 合 も 多 く 切 除 範 囲 を 正 確 に 設 定 することは 極 めて 重 要 である これまでは 熟 練 した 医 師 による 超 音 波 検 査 CT MRIなどを 馳 駆 して 職 人 的 技 能 により 切 除 線 を 決 定 していたが 3Dの 水 平 断 面 画 像 (Cモード) を 用 い 病 変 の 存 在 範 囲 を 定 量 的 に 決 定 し それを もとに 切 除 線 を 自 動 的 に 設 定 する 技 術 を 考 案 して みてはどうか これらの 多 角 的 な 戦 略 は 分 解 能 に 優 れコント ラストが 良 好 な 画 像 で 明 瞭 に 病 変 が 認 識 できる Diff-THIをさらに 発 展 させることで 解 決 可 能 であ ると 信 じる また 臨 床 面 では 著 者 自 身 に 対 する 宿 題 であると 認 識 しており 決 して 不 可 能 ではなく かつ 患 者 にとっても 利 益 の 高 い 目 標 であると 考 え 日 々 努 力 する 考 えである 参 考 文 献 1) 日 本 乳 腺 甲 状 腺 超 音 波 診 断 会 議 : 乳 房 診 断 ガイドライ ン. 南 江 堂, 東 京, 2004 2) 栗 田 武 彰 ほか: 甲 状 腺 結 節 の 超 音 波 画 像 によるコンピ ュータ 支 援 診 断. 臨 床 外 科 58: 1583-1590, 2003 3) 佐 々 木 賀 広 ほか: 輝 度 分 析 による 甲 状 腺 結 節 性 病 変 の 境 界 決 定 と 境 界 明 瞭 度 の 定 量 化. 超 音 波 医 学 21: 77-83, 1994 4) 栗 田 武 彰 ほか: 輝 度 分 析 による 甲 状 腺 パターンの 定 量 的 分 析 粗 大 性 均 一 性 の 数 値 化 超 音 波 医 学 22 ( Supplement Ⅱ) : 180, 1994 Vol.38 No.5 569