調 査 研 究 報 告 書 の 要 約 19 事 業 環 境 1 署 名 平 成 19 年 度 安 全 保 障 環 境 の 変 化 が 我 が 国 の 防 衛 機 器 産 業 に 及 ぼす 影 響 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 発 行 機 関 名 社 団 法 人 日 本 機 械 工 業 連 合 会 日 本 戦 略 研 究 フォーラム 発 行 年 月 平 成 20 年 3 月 頁 数 190 判 型 A 4 目 次 序 ( 金 井 会 長 の 序 ) 序 ( 日 本 戦 略 研 究 フォーラム 会 長 の 序 ) 委 員 会 名 簿 1. 調 査 研 究 項 目 スケジュール 序 章 報 告 書 の 作 成 に 当 たって 第 1 章 安 全 保 障 環 境 の 変 化 と 主 要 国 の 国 防 計 画 の 動 向 1.グローバルな 安 全 保 障 環 境 の 変 化 2. 中 国 第 2 章 欧 米 における 防 衛 力 整 備 と 防 衛 機 器 産 業 へのインプリケーション 1. 安 全 保 障 環 境 の 変 化 と 防 衛 技 術 2. 欧 米 における 防 衛 装 備 に 関 する 政 策 の 変 化 と 防 衛 機 器 産 業 の 変 容 3. 欧 米 における 新 たな 脅 威 への 対 処 のための 防 衛 システムの 開 発 第 3 章 我 が 国 の 安 全 保 障 政 策 および 防 衛 力 整 備 の 変 化 1. 新 防 衛 計 画 の 大 綱 2. 安 全 保 障 政 策 の 動 向 と 重 要 課 題 等 3. 中 期 防 衛 力 整 備 計 画 ( 中 期 防 ) 4. 防 衛 省 への 移 行 と 本 来 任 務 化 5. 相 互 運 用 性 と 国 際 共 同 開 発 6. 我 が 国 の 財 政 事 情 と 防 衛 予 算 第 4 章 我 が 国 の 防 衛 機 器 産 業 の 現 状 と 課 題 1. 防 衛 機 器 産 業 政 策 の 現 状 と 課 題 2. 防 衛 機 器 産 業 の 現 状 と 課 題 1
第 5 章 新 しい 安 全 保 障 環 境 によるわが 国 の 防 衛 機 器 産 業 への 影 響 1. 政 府 レベル 防 衛 省 レベルの 政 策 への 影 響 と 対 応 2. 防 衛 機 器 産 業 への 影 響 と 対 応 3. 防 衛 機 器 産 業 基 盤 維 持 強 化 に 向 けた 課 題 と 対 応 結 言 要 約 序 章 報 告 書 の 作 成 に 当 たって 安 全 保 障 の 概 念 として 安 全 を 脅 かす 脅 威 に 対 して 主 として 軍 事 的 手 段 で 対 処 するとする 伝 統 的 な 安 全 保 障 概 念 を 中 心 に 論 述 した また 対 象 とする 時 期 については 冷 戦 終 焉 以 降 と した 第 1 章 安 全 保 障 環 境 の 変 化 と 主 要 国 の 国 防 計 画 の 動 向 1.グローバルな 安 全 保 障 環 境 の 変 化 グローバルな 安 全 保 障 環 境 は 1989 年 12 月 の 米 ソ 首 脳 による 冷 戦 終 結 宣 言 とその 後 の 湾 岸 戦 争 2001 年 9 月 11 日 の 米 国 同 時 多 発 テロによって 大 きく 様 変 わりした 米 国 はこの 新 たな 安 全 保 障 環 境 に 対 処 するために 軍 事 態 勢 の 抜 本 的 な 見 直 しに 着 手 している ブッ シュ 政 権 ではトランスフォーメイション 戦 略 の 名 の 下 単 なる 技 術 革 新 や 兵 器 の 近 代 化 に 止 まらず 新 たな 戦 争 のコンセプト 人 組 織 のコンビネーションによって 国 防 態 勢 全 体 の 変 革 を 推 進 している 2.アジアにおける 安 全 保 障 環 境 の 特 徴 アジアでは 欧 州 とは 異 なり 冷 戦 後 においても 朝 鮮 半 島 や 台 湾 海 峡 で 大 規 模 な 紛 争 が 生 起 する 可 能 性 を 排 除 できない 中 国 は 軍 事 力 を 拡 大 しており 東 アジアの 軍 事 バランスを 変 化 させつつある 特 に 台 湾 海 峡 両 岸 の 軍 事 バランスは 中 国 側 に 有 利 に 傾 きつつある また 中 国 の アクセス 拒 否 戦 略 の 射 程 の 延 伸 は 米 国 のアジアにおける 海 洋 において 交 差 しつつある さらに 注 目 すべきは アジアにおいて 中 国 インド 韓 国 等 殆 どの 国 が 海 軍 力 の 増 強 に 力 を 入 れている 事 である また 日 本 の 周 辺 に 先 行 き 不 透 明 な 異 質 の 核 保 有 国 が 出 現 したことであり わが 国 の 防 衛 力 整 備 における 新 たな 課 題 である 第 2 章 欧 米 における 防 衛 力 整 備 と 防 衛 機 器 産 業 へのインプリケーション 1. 安 全 保 障 環 境 の 変 化 と 防 衛 技 術 急 激 な 脅 威 の 変 化 に 迅 速 に 対 応 するには 幅 広 い 基 礎 技 術 と 応 用 技 術 での 革 新 と 進 歩 が 重 要 となる 防 衛 機 器 産 業 の 技 術 力 を 国 内 に 保 有 することによって 脅 威 の 変 化 に 迅 速 に 2
柔 軟 に 対 応 する 政 策 を 開 発 してそれを 確 実 に 実 行 できることになる 米 国 は 基 礎 技 術 と 防 衛 機 器 製 造 技 術 の 両 方 を 意 識 的 に 整 備 している 防 衛 機 器 システム として 開 発 されたものが インターネットやGPSなどに 見 られるように 民 需 機 器 として 世 界 的 に 活 用 されている 米 国 において 注 目 されることは1 開 発 した 機 器 の 実 用 結 果 を 開 発 産 業 とユーザーが 共 有 していること2 大 学 の 研 究 機 関 と 連 携 していること32 社 による 競 合 試 作 を 採 用 していること4 公 正 な 競 争 の 維 持 にGAOが 機 能 していること 等 である 英 国 では 高 級 士 官 が 退 役 後 その 経 験 知 識 をシステム 化 する 機 能 を 果 たす 産 業 文 化 を 保 持 していることである 1 官 民 協 力 して 粘 り 強 い 開 発 を 行 っていること2 共 同 プロジェ クトを 先 導 する 技 術 文 化 を 保 持 していること3 防 衛 機 器 産 業 の 発 展 に 向 けて 各 種 ISO 基 準 を 設 定 していること 等 に 特 色 が 見 られる 2. 欧 米 における 防 衛 装 備 に 関 する 政 策 の 変 化 と 防 衛 機 器 産 業 の 変 容 米 国 の 民 生 産 業 に 立 ち 遅 れた 防 衛 機 器 産 業 を 見 直 すために 防 衛 に 関 するブルーリボン 委 員 会 を 皮 切 りに セクション 800 パネル 委 員 会 国 家 業 務 処 理 手 法 の 検 討 委 員 会 な ど 各 種 の 委 員 会 が 設 置 され 各 種 勧 告 が 出 されるとともにその 多 くが 立 法 化 されて それ ぞれ 成 果 を 収 めていった また 防 衛 予 算 の 削 減 は 企 業 の 生 き 残 りを 賭 けた 大 規 模 なM& Aを 進 行 させていった その 結 果 5 大 企 業 に 集 約 された ミサイル 防 衛 プロジェクトは 防 衛 機 器 産 業 に1 防 衛 産 業 基 盤 の 活 性 化 2 技 術 革 新 の 進 展 3システム 統 合 概 念 の 進 展 4 研 究 開 発 及 び 取 得 方 式 の 進 化 5 官 民 共 同 の 進 展 等 大 きな 影 響 を 与 えた 欧 州 においては 装 備 の 標 準 化 と 共 用 化 の 促 進 並 びに 資 源 の 有 効 活 用 を 目 的 とする 独 立 欧 州 計 画 グループ(IEPG) が 冷 戦 時 代 から 設 立 されていたが 1992 年 WEAG( 西 欧 装 備 機 構 ) と 名 称 を 変 え 業 務 を 実 施 していくことを 謳 った しかしながら 技 術 研 究 の 協 力 促 進 以 外 実 質 的 な 進 展 を 見 ていない 欧 州 の 防 衛 産 業 の 競 争 力 は 低 下 し 衰 退 している 1996 年 仏 独 英 伊 4 カ 国 は 共 同 装 備 協 力 機 構 (OCCAR) を 設 立 1998 年 には 前 記 4 カ 国 の ほか 西 スウエーデンの 6 カ 国 は 枠 組 み 協 定 を 締 結 さらに 2004 年 EU 加 盟 国 26 カ 国 で 欧 州 防 衛 庁 (EDA) を 設 立 して 欧 州 国 内 防 衛 産 業 基 盤 の 強 化 を 期 している 3. 欧 米 における 新 たな 脅 威 への 対 処 のための 防 衛 システムの 開 発 米 国 は 湾 岸 戦 争 コソボ 紛 争 アフガニスタン 戦 争 そしてイラク 戦 争 等 戦 った 戦 争 か ら 多 くの 教 訓 を 学 びじ 後 の 装 備 品 等 取 得 開 発 に 反 映 させた また 防 衛 機 器 産 業 もこれら 安 全 保 障 環 境 の 変 化 に 適 切 に 対 処 してきた 3
第 3 章 わが 国 の 安 全 保 障 政 策 及 び 防 衛 力 整 備 の 変 化 1. 新 防 衛 計 画 の 大 綱 政 府 は 9.11 後 の 国 際 情 勢 の 変 化 及 び 軍 事 力 の 多 様 化 等 状 況 の 変 化 に 対 応 するため 2004 年 12 月 平 成 17 年 度 以 降 に 係 る 防 衛 計 画 の 大 綱 について を 策 定 した 新 大 綱 は 従 来 の 抑 止 効 果 重 視 から 国 内 外 のさまざまな 事 態 への 対 処 能 力 重 視 に 転 換 している 即 ち 防 衛 力 の 役 割 として 新 たな 脅 威 や 多 様 な 事 態 への 実 効 的 な 対 応 とし 弾 道 ミサイル 攻 撃 への 対 応 ゲリラや 特 殊 部 隊 による 攻 撃 などへの 対 応 を 重 視 している 2. 安 全 保 障 政 策 の 動 向 と 重 要 課 題 等 ミサイル 防 衛 においては BMD システムの 整 備 を 含 む 所 要 の 体 制 を 早 期 に 確 立 する こ のシステムは イージス 艦 による 上 層 での 迎 撃 とペトリオットシステムによる 下 層 での 迎 撃 による 多 層 防 衛 の 考 え 方 を 基 本 としている テロ 又 はゲリラや 特 殊 部 隊 による 攻 撃 に 対 しては 政 府 は 2004 年 テロの 未 然 防 止 に 関 する 行 動 計 画 を 策 定 した また 2004 年 6 月 国 民 保 護 法 を 制 定 し 武 力 攻 撃 事 態 や 緊 急 対 処 事 態 に 際 して 国 はその 組 織 機 能 の 全 てを 挙 げて 国 民 保 護 を 実 施 するとしている 3. 中 期 防 衛 力 整 備 計 画 ( 中 期 防 ) 中 期 防 では1 多 機 能 で 弾 力 的 な 実 効 性 のある 防 衛 力 の 整 備 2 防 衛 省 自 衛 隊 の 組 織 の 見 直 し3 統 合 運 用 情 報 機 能 の 強 化 などによる 防 衛 力 の 基 本 の 充 実 4 装 備 品 などの 取 得 の 合 理 化 効 率 化 など 防 衛 力 を 支 える 各 種 施 策 の 推 進 5 日 米 安 保 体 制 の 一 層 の 強 化 6 防 衛 力 の 効 率 化 合 理 化 の 努 力 の 6 点 を 計 画 の 基 本 としている 4. 防 衛 省 への 移 行 と 本 来 任 務 化 2007 年 1 月 防 衛 庁 は 防 衛 省 に 移 行 した これにより 防 衛 政 策 に 関 する 企 画 立 案 体 制 が 強 化 された 5. 相 互 運 用 性 と 国 際 共 同 開 発 日 米 安 全 保 障 体 制 の 強 化 のための 施 策 の 一 つとして 2007 年 度 防 衛 白 書 において 装 備 技 術 面 での 幅 広 い 相 互 交 流 の 充 実 に 努 める と 記 されている 現 代 の 防 衛 装 備 品 の 研 究 開 発 や 生 産 において 民 生 品 と 同 じく 国 際 分 業 が 急 速 に 進 んでいる このような 国 際 装 備 協 力 を 推 進 することは 同 盟 友 好 関 係 の 信 頼 性 の 強 化 等 多 くのメリッ トがある 6.わが 国 の 財 政 事 情 と 防 衛 予 算 一 般 会 計 税 収 は 平 成 2 年 度 の 60.1 兆 円 をピークに 減 少 しており わが 国 の 財 政 事 情 は 今 後 とも 厳 しいことが 予 想 される 従 って 防 衛 予 算 も 増 加 はあまり 望 めない さまざまな 経 費 削 減 努 力 を 行 っても 平 成 16 年 度 閣 議 決 定 の 新 防 衛 大 綱 別 表 に 定 められた 定 数 の 維 4
持 すら 不 可 能 となろう 第 4 章 わが 国 の 防 衛 機 器 産 業 の 現 状 と 課 題 1. 防 衛 機 器 産 業 政 策 の 現 状 と 課 題 ア. 政 府 レベル 政 府 レベルでは1 武 器 輸 出 三 原 則 2GSOMIA3 軍 民 共 用 科 学 技 術 の 利 用 3 輸 出 関 連 法 規 にについて 述 べる 昭 和 42 年 佐 藤 内 閣 の 時 に 定 められた 武 器 輸 出 三 原 則 は 三 木 内 閣 においてさらに 厳 密 と なりあらゆる 地 域 に 対 しても 実 質 的 に 武 器 輸 出 を 禁 止 してしまった 1983 年 対 米 武 器 技 術 供 与 取 極 めを 締 結 し 個 別 例 外 化 の 道 を 開 いた しかしながらこれは 今 日 常 態 となってい る 多 国 間 による 共 同 開 発 への 参 加 すら 閉 ざしており 技 術 の 習 得 維 持 を 困 難 にしている 米 国 政 府 は 80 年 代 から 軍 事 情 報 に 係 る 一 般 保 護 協 定 (GSOMIA)の 締 結 を 要 請 していたが 2007 年 ようやく 締 結 された これにより 日 米 間 の 防 衛 関 連 情 報 の 交 換 をより 円 滑 かつ 迅 速 に 行 うことが 可 能 となった インターネット GPS を 利 用 したカーナビ 等 防 衛 技 術 が 民 間 に 波 及 した 例 は 多 々ある がこれとは 逆 に 防 衛 に 応 用 すれば 大 きな 可 能 性 を 秘 めた 技 術 が 民 生 部 門 にたくさん 存 在 し ている 米 国 はこれらを 定 常 的 に 調 査 している わが 国 の 輸 出 管 理 は 外 国 為 替 及 び 外 国 貿 易 法 を 基 本 法 とし 輸 出 貿 易 管 理 令 外 国 為 替 令 で 貨 物 と 技 術 を 規 定 している 基 本 的 には 国 際 レジームと 対 応 する 形 で 規 定 されて いるが 運 用 通 達 レベルでは 国 際 的 な 基 準 より 厳 しい 規 制 がかかっているものがある イ. 防 衛 省 レベル 省 レベルとしては1 長 期 展 望 にたった 防 衛 計 画 調 達 計 画 2 防 衛 生 産 基 盤 技 術 基 盤 維 持 の 必 要 性 3 取 得 改 革 4 国 際 共 同 開 発 への 取 組 5 相 互 運 用 性 / 米 国 装 備 品 購 入 問 題 6 民 生 分 野 の 技 術 基 盤 の 育 成 と 活 用 等 について 考 察 する 2. 防 衛 機 器 産 業 の 現 状 と 課 題 わが 国 の 防 衛 関 係 の 生 産 総 額 が 工 業 生 産 額 に 占 める 割 合 は1% 未 満 の 大 変 小 さな 規 模 である これはわが 国 に 存 在 する 武 器 輸 出 三 原 則 等 の 制 約 による 特 徴 で 市 場 が 国 内 に 限 定 されていること 輸 出 が 出 来 ないため 防 衛 省 向 けの 調 達 だけに 生 産 が 限 定 されているこ とに 起 因 していると 考 えられる 結 果 として 生 産 ロットが 小 さくなり 購 入 製 品 自 体 が 割 高 にならざるをえない 状 況 になっている ただ 防 衛 機 器 産 業 は 裾 野 が 広 い 産 業 基 盤 を 形 成 しており 非 常 に 多 くの 企 業 が 参 画 している 5
各 国 の 防 衛 産 業 は 国 際 的 な 連 携 を 深 めている 技 術 革 新 で 防 衛 装 備 システムが 高 度 化 大 型 化 したことで 開 発 費 や 装 備 品 が 高 価 格 化 した しかし 各 国 とも 防 衛 予 算 は 厳 しいため 一 国 での 開 発 リスクを 負 うことに 二 の 足 を 踏 み 国 際 共 同 プログラムに 頼 ることになった と 思 われる わが 国 の 場 合 特 に 正 面 装 備 予 算 が 減 少 しており 防 衛 機 器 産 業 は 徐 々に 体 力 を 消 耗 弱 体 化 している 多 様 な 脅 威 に 対 する 継 続 的 な 対 応 能 力 を 維 持 するためには 適 切 な 継 続 的 な 予 算 確 保 が 望 まれるが 更 に 真 に 必 要 な 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 確 立 を 図 るべく 具 体 的 な 施 策 の 展 開 に 取 り 組 んでいく 必 要 がある また 取 得 調 達 の 改 善 への 対 応 防 衛 機 器 産 業 の 再 編 統 合 による 競 争 力 の 強 化 安 全 保 障 分 野 における 宇 宙 利 用 の 拡 大 等 検 討 してい くことも 必 要 である そのほか 民 製 品 活 用 のための 施 策 装 備 品 の3 自 衛 隊 における 共 通 化 標 準 化 による 生 産 規 模 の 拡 大 スパイラル 開 発 における 適 切 なリスク 補 償 の 施 策 が 必 要 である 5 章 新 しい 安 全 保 障 環 境 によるわが 国 の 防 衛 機 器 産 業 への 影 響 1. 政 府 レベル 防 衛 省 レベルの 政 策 への 影 響 と 対 応 1-1 武 器 輸 出 三 原 則 政 策 の 緩 和 と 武 器 輸 出 政 策 の 拡 大 わが 国 の 狭 小 な 防 衛 市 場 のみでは 高 度 化 し 高 コスト 化 している 装 備 品 の 基 盤 の 維 持 強 化 が 難 しくなっている 従 って 国 際 共 同 開 発 等 への 参 画 や 同 盟 国 等 との 対 外 的 な 装 備 品 や 技 術 の 交 流 を 円 滑 に かつ 効 果 的 に 進 めるための 政 策 が 必 要 になる 1-2 キャッチオール 規 制 の 徹 底 キャッチオール 規 制 では 輸 出 者 自 身 が 輸 出 品 が 大 量 破 壊 兵 器 等 の 開 発 に 用 いられる 恐 れがあるか 否 かを 判 断 し 必 要 に 応 じて 手 続 きをとる 必 要 がある 2001 年 4 月 外 国 為 替 令 及 び 輸 出 貿 易 管 理 令 その 他 の 関 連 法 規 の 改 正 が 行 われ 食 料 品 皮 革 品 木 材 紙 類 等 除 いた 全 ての 品 目 が 規 制 の 対 象 とされるようになり 国 際 協 調 体 制 のなかで わが 国 が 抜 け 道 となる 可 能 性 が 排 除 された 1-3 GSOMIA の 締 結 情 報 管 理 の 徹 底 GSOMIA は 米 国 が 同 盟 国 に 軍 事 秘 密 情 報 を 提 供 する 場 合 に 軍 事 秘 密 情 報 の 被 提 供 国 は 米 国 と 同 程 度 の 秘 密 保 全 措 置 を 講 ずることに 合 意 する 米 国 との 協 定 で 米 国 は60 数 カ 国 と 本 協 定 を 締 結 している この 協 定 の 締 結 により 日 米 間 の 秘 密 情 報 の 交 流 共 有 が 円 滑 に 推 進 できる 枠 組 みが 出 来 た ただし 今 後 わが 国 の 秘 密 保 護 法 制 の 在 り 方 につき 広 く 検 討 し 情 報 能 力 の 強 化 につなげていくことが 望 まれる 6
1-4 米 国 装 備 品 購 入 圧 力 への 対 応 日 米 安 保 条 約 体 制 の 元 日 米 協 力 と 独 自 開 発 の 両 方 を 成 立 させるような 方 策 を 考 えてい かねばならない 1-5 防 衛 生 産 基 盤 技 術 基 盤 の 維 持 と 国 産 保 護 政 策 基 本 方 針 質 の 高 い 装 備 品 を 短 期 間 で 安 く 取 得 するためには わが 国 において 装 備 品 を 設 計 製 造 維 持 する 能 力 を 持 つ 防 衛 生 産 技 術 基 盤 を 平 素 から 確 保 しておくことが 必 要 不 可 欠 で ある 更 に 国 防 上 重 要 なもの 秘 密 区 分 の 高 いものを 戦 略 的 装 備 品 として 指 定 し 国 産 優 先 の 政 策 を 実 施 することも 不 可 欠 である 厳 しい 財 政 状 況 のなかにおいても 多 様 な 脅 威 に 対 する 自 衛 隊 の 即 応 的 な 対 応 能 力 と 継 続 的 な 対 応 能 力 を 維 持 するためには 防 衛 生 産 技 術 基 盤 を 維 持 するに 適 切 な 継 続 的 予 算 確 保 が 必 要 になる 1-6 長 期 的 展 望 にたった 軍 事 技 術 戦 略 の 策 定 と 将 来 技 術 基 盤 の 育 成 防 衛 省 として 限 られた 予 算 の 中 でこれらの 研 究 開 発 の 政 策 決 定 にあたり 適 切 な 選 択 と 集 中 を 行 い 官 産 学 の 総 合 力 を 結 集 して 将 来 に 向 けた 新 たな 技 術 基 盤 の 創 製 に 取 組 んでい くことが 必 要 になっている そのため 中 長 期 の 技 術 戦 略 の 策 定 を 通 じて 官 産 学 での 研 究 開 発 目 標 の 共 有 研 究 開 発 の 選 択 と 集 中 による 重 点 分 野 への 戦 略 的 投 資 の 充 実 等 が 求 められ る 1-7 取 得 調 達 改 革 等 による 改 善 効 率 の 良 い 装 備 品 の 取 得 調 達 を 実 現 するために 総 合 的 取 得 改 革 による 具 体 的 改 善 活 動 が 進 んでいる これら 活 動 を 通 じて 費 用 対 効 果 比 の 高 い 装 備 品 の 取 得 ライフサイクルコ ストの 重 視 民 生 品 の 活 用 民 生 品 でのベストプラクティスの 採 用 技 術 革 新 を 有 するベ ンチャー 企 業 の 防 衛 分 野 への 参 画 の 奨 励 等 対 応 を 具 体 化 することが 求 められている 1-8 リソースを 集 中 させるべき 防 衛 生 産 技 術 分 野 の 特 定 に 向 けた 取 組 み 選 択 と 集 中 の 方 針 として 防 衛 構 想 に 合 致 した 装 備 品 の 中 核 技 術 であること 及 び 将 来 戦 闘 様 相 において 敵 に 優 越 する 装 備 品 の 技 術 であることを 掲 げたがこれに 該 当 す る 分 野 として 以 下 の 技 術 分 野 及 び 生 産 分 野 を 考 えて 検 討 が 進 められた 防 衛 計 画 の 大 綱 に 示 されている 次 の 防 衛 力 の 役 割 を 果 たすために 必 要 な 装 備 品 の 中 核 となる 技 術 分 野 は 弾 道 ミサイル 攻 撃 への 対 応 ゲリラや 特 殊 部 隊 による 攻 撃 等 への 対 応 島 嶼 部 に 対 する 侵 略 への 対 応 周 辺 海 空 域 の 警 戒 監 視 及 び 領 空 侵 犯 対 処 や 武 装 工 作 船 等 への 対 応 大 規 模 特 殊 災 害 等 への 対 応 等 である 同 大 綱 に 示 されている 以 下 の 事 項 を 果 たすために 必 要 な 装 備 品 の 中 核 となる 技 術 分 野 は 統 合 運 用 の 強 化 情 報 機 能 の 強 化 サイバー 攻 撃 にも 対 処 しう る 高 度 の 指 揮 通 信 システムや 情 報 通 信 ネットワークの 構 築 等 である 7
1-9 取 得 改 革 等 による 契 約 形 態 の 改 善 防 衛 産 業 基 盤 の 維 持 強 化 のため 企 業 の 参 画 意 欲 を 拡 大 し 競 争 促 進 に 導 くため 官 民 双 方 にメリットのある 効 率 的 で 柔 軟 な 契 約 形 態 の 導 入 が 望 ましい コスト 補 償 契 約 インセ ンティブ 契 約 リスクシェア 制 度 等 が 欧 米 の 装 備 品 調 達 精 度 のなかで 行 われており わが 国 の 防 衛 機 器 産 業 からも 実 現 に 向 けて 期 待 が 大 きい 1-10 軍 民 両 用 科 学 技 術 の 利 用 促 進 民 間 技 術 をいかにして 日 本 の 防 衛 力 強 化 防 衛 技 術 開 発 につなげていくか 防 衛 省 産 業 界 が 一 体 となって 取 組 んでいく 必 要 があるのではないかと 思 う 1-11 安 全 保 障 における 宇 宙 利 用 の 拡 大 安 全 保 障 分 野 における 宇 宙 利 用 については わが 国 だけが 特 殊 な 政 策 によって 制 限 され ている すなわち 平 和 利 用 原 則 と 一 般 化 原 則 により 防 衛 分 野 における 宇 宙 の 利 用 が 制 限 されているわけであるが 政 府 与 党 は 宇 宙 基 本 法 を 制 定 すべく 国 会 に 提 案 しているとこ ろである 宇 宙 基 本 法 が 制 定 された 場 合 防 衛 省 による 国 家 安 全 保 障 を 考 慮 した 宇 宙 開 発 利 用 の 国 家 戦 略 を 立 案 することが 期 待 され 宇 宙 機 器 産 業 に 新 しい 展 望 が 開 けると 思 われ る 1-12 アジア 欧 州 との 技 術 交 流 の 促 進 NATO 事 務 総 長 が 日 本 経 団 連 防 衛 生 産 委 員 会 を 訪 問 し NATO の 直 面 して 課 題 と 日 本 の 課 題 は 同 じである 協 調 関 係 を 作 っていきたい と 発 言 した 日 本 としては 米 国 との2 国 間 共 同 プログラムのみならず NATO 諸 国 との 共 同 も 視 野 に 入 れた 国 際 プログラムへの 参 加 検 討 も 今 後 の 課 題 である 2. 防 衛 機 器 産 業 への 影 響 と 対 応 2-1 業 界 再 編 統 合 欧 米 は 既 に 大 幅 な 業 界 再 編 を 実 施 し 企 業 力 を 強 化 している 反 面 わが 国 は 防 衛 用 途 のた めの 市 場 が 限 定 的 かつ 比 較 的 小 規 模 であるにも 係 らず 同 業 者 が 割 拠 している 各 社 得 意 分 野 を 中 心 に 独 自 事 業 を 行 っており 国 内 もしくは 世 界 的 な 企 業 間 アライアンスによる 連 携 の 動 きは 見 られない 現 状 のように 国 内 の 市 場 が 限 定 的 かつ 縮 減 傾 向 にあることを 考 慮 する とわが 国 も 業 界 における 再 編 統 合 が 課 題 といえよう 2-2 両 用 技 術 の 活 用 最 先 端 の 防 衛 技 術 が GPS として 活 用 されているように 一 般 産 業 に 大 きな 波 及 効 果 を 及 ぼしてきた 現 在 でも 米 軍 DARPA の 研 究 は 未 来 の 技 術 を 近 未 来 に 引 き 寄 せる 任 務 を 付 与 さ れており 最 先 端 の 軍 事 技 術 が 民 間 技 術 として 活 用 されていくケースが 多 々あろう 最 近 はデュアルユース 技 術 が 注 目 されており 今 後 拡 大 する 可 能 性 が 高 い 8
2-3 装 備 品 の 高 度 化 に 伴 う 多 品 種 少 量 生 産 傾 向 の 増 大 米 軍 の 研 究 によると 第 4 世 代 戦 闘 機 とステルスで 超 音 速 かつデータリンク 機 能 を 有 する 第 5 世 代 戦 闘 機 が 空 中 で 遭 遇 し 108 回 戦 って 第 5 世 代 戦 闘 機 が108 勝 0 敗 とい う 結 果 が 出 ている これは 品 質 の 劣 る 装 備 品 を 多 数 装 備 するよりも 少 数 でも 最 新 の 装 備 品 を 保 有 する 方 が 優 位 であることを 示 している 今 後 こうした 動 きは 装 備 品 の 多 品 種 少 数 生 産 傾 向 の 増 大 を 招 く 可 能 性 が 高 い 2-4 防 衛 専 門 技 術 者 の 離 散 わが 国 の 防 衛 関 連 企 業 における 防 衛 産 業 の 位 置 づけはごくわずかな 一 部 門 であり かつ 正 面 装 備 費 の 削 減 による 調 達 数 の 減 少 が 作 業 員 の 低 下 をもたらす 現 状 から 防 衛 専 門 技 術 者 が 合 理 化 やリストラ 民 生 部 門 への 人 員 配 置 転 換 等 離 散 を 余 儀 なくされている 3. 防 衛 機 器 産 業 基 盤 維 持 強 化 にむけた 課 題 と 対 応 3-1 業 界 再 編 統 合 欧 米 では 防 衛 産 業 においても M&A が 進 んでいる また 国 際 的 な 共 同 開 発 や 共 同 生 産 を 積 極 的 に 行 っている わが 国 でも 防 衛 産 業 における 再 編 統 合 等 による 整 理 が 望 まれる た だ 防 衛 分 野 は 各 企 業 のごく 一 部 であり 民 生 分 野 の 技 術 力 に 大 きく 依 存 していること 欧 米 と 異 なり 基 礎 研 究 部 門 が 軍 等 の 機 関 に 依 存 していないため 単 純 に 防 衛 部 門 だけを 切 り 離 すことは 困 難 であり 再 編 統 合 を 難 しくしている 3-2 わが 国 の 優 れた 民 生 技 術 の 活 用 従 来 より 民 生 技 術 から 防 衛 技 術 へのスピンオンは 積 極 的 に 実 施 されてきた 近 年 民 生 技 術 の 迅 速 な 発 展 や 短 期 間 での 技 術 の 陳 腐 化 といった 傾 向 を 考 慮 すると 技 術 動 向 をより 早 く 把 握 し より 積 極 的 に 装 備 品 等 に 適 用 していくことが 優 れた 防 衛 装 備 品 の 開 発 や 研 究 開 発 コストの 低 減 のため 必 要 である 民 生 市 場 において 存 続 可 能 な 潜 在 力 を 有 する 技 術 を 両 用 技 術 と 位 置 づけて その 技 術 基 盤 を 確 立 し 経 済 発 展 と 安 全 保 障 の 両 立 の 観 点 から 積 極 的 な 投 資 が 望 まれる 今 後 活 用 が 促 進 されるスピンオン 技 術 として デバイス 技 術 ナノテク 素 子 技 術 の 分 野 では 高 エネルギー 密 度 小 型 バッテリー 技 術 燃 料 技 術 等 がある 将 来 装 備 品 に 適 用 できる 可 能 性 を 秘 めた 技 術 を 一 表 に 纏 めて 示 した 3-3 装 備 品 の 高 度 化 複 雑 化 巨 大 化 への 対 応 弾 道 ミサイル 対 処 システムに 見 られるように 装 備 品 が 複 雑 化 高 度 化 している この ように 複 雑 高 度 巨 大 なセンサー トウ シューターのシステムを 実 現 するために サ ブシステム 間 の 相 互 連 接 の 標 準 化 やシステム 全 体 の 情 報 の 流 れの 制 御 が 出 来 る 優 れたシス テム インテグレーション 能 力 の 育 成 と 継 承 に 取 組 んでいくことが 大 切 である 9
3-4 装 備 品 の 高 度 化 に 伴 う 多 品 種 少 量 生 産 傾 向 の 増 大 への 対 応 装 備 品 の 高 度 化 は 開 発 経 費 の 増 大 をもたらす このため 一 社 開 発 からリスク 分 散 のため に 共 同 開 発 に 移 行 している 最 先 端 の 高 度 な 装 備 品 はただでさえ 少 量 生 産 となるため 国 際 共 同 開 発 や 共 同 生 産 による 生 産 量 を 確 保 することが 求 められる 3-5 防 衛 生 産 技 術 基 盤 を 維 持 育 成 するための 方 策 民 間 企 業 において 日 常 から 当 該 分 野 について 継 続 的 に 設 計 や 生 産 を 行 うことが 技 術 者 の 知 識 レベルを 高 め またノウハウの 習 得 等 製 造 技 術 者 のスキルを 高 める 最 良 の 方 策 であ る 3-6 防 衛 専 門 技 術 者 の 離 散 対 策 防 衛 機 器 産 業 にとって 防 衛 専 門 技 術 者 の 離 散 防 止 は 喫 緊 の 課 題 である 前 に 述 べたよう に 継 続 的 に 設 計 生 産 を 行 うことが 望 ましいが 産 官 学 の 協 調 関 係 を 拡 大 し 将 来 装 備 品 の 研 究 開 発 には 早 い 段 階 から 産 学 の 若 手 研 究 者 を 参 画 させて 優 れた 研 究 者 技 術 者 を 育 成 することも 有 効 である さらに 特 殊 な 軍 事 科 学 技 術 の 知 識 防 衛 システムの 理 解 と 装 備 品 の 研 究 開 発 に 関 する 知 識 を 得 て 経 験 する 機 会 を 拡 大 することが 必 要 である 結 言 米 国 EU 及 び 英 国 における 防 衛 産 業 政 策 並 びに 防 衛 機 器 産 業 の 対 応 を 見 ていると 防 衛 機 器 産 業 は 防 衛 力 発 展 の 基 礎 であり 国 家 の 安 全 保 障 にとって 不 可 欠 の 要 素 である とい う 認 識 を 政 府 から 企 業 の 末 端 に 至 るまでの 全 てが 共 有 している 子 がその 根 底 にあって 政 府 国 防 省 軍 がそれぞれ 所 掌 する 業 務 を 的 確 に 実 施 し 防 衛 機 器 産 業 がそれに 応 えて いる 構 図 が 読 み 取 れる わが 国 の 場 合 安 全 保 障 について 厳 しい 認 識 と 国 益 を 守 るというこ とについての 強 い 決 意 を 官 民 共 に 今 後 強 く 保 持 することが 望 まれる この 事 業 は 競 輪 の 補 助 金 を 受 けて 実 施 したものです http://ringring-keirin.jp/ 10