要約平成19年度安全保障環境の変化が我が国の防衛機器産業に及ぼす影響に関する調査研究報告書



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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

Microsoft Word 行革PF法案-0概要

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

●幼児教育振興法案

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セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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0439 研究開発推進事業(防衛省所管計上)250614

18 国立高等専門学校機構

m07 北見工業大学 様式①

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

文化政策情報システムの運用等

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スライド 1

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

3 独 占 禁 止 法 違 反 事 件 の 概 要 (1) 価 格 カルテル 山 形 県 の 庄 内 地 区 に 所 在 する5 農 協 が, 特 定 主 食 用 米 の 販 売 手 数 料 について, 平 成 23 年 1 月 13 日 に 山 形 県 酒 田 市 所 在 の 全 国 農 業 協

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岡山県警察用航空機の運用等に関する訓令

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

Microsoft Word - 【セット】GL和文(エンバーゴ無し)

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スライド 1

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1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

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共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

Microsoft Word 第1章 定款.doc

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

公表表紙

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Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

16 日本学生支援機構

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(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

Microsoft Word - 通達(参考).doc


1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

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(2) 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 保 育 の 必 要 な 子 どものいる 家 庭 だけでなく 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 のために 利 用 者 支 援 事 業 や 地 域 子 育 て 支 援 事 業 な


自衛官俸給表の1等陸佐、1等海佐及び1等空佐の(一)欄又は(二)欄に定める額の俸給の支給を受ける職員の占める官職を定める訓令

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営業秘密管理指針(案)の概要

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

する ( 評 定 の 時 期 ) 第 条 成 績 評 定 の 時 期 は 第 3 次 評 定 者 にあっては 完 成 検 査 及 び 部 分 引 渡 しに 伴 う 検 査 の 時 とし 第 次 評 定 者 及 び 第 次 評 定 者 にあっては 工 事 の 完 成 の 時 とする ( 成 績 評 定

Microsoft Word - 目次.doc

●労働基準法等の一部を改正する法律案

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂等について

定款

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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の 提 供 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 土 地 及 び 家 屋 に 係 る 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 減 額 せずに 平 成 24 年 度 分 の 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 課 税 することが 適 当 と 市 町 村 長 が 認 め

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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一般競争入札について

の 購 入 費 又 は 賃 借 料 (2) 専 用 ポール 等 機 器 の 設 置 工 事 費 (3) ケーブル 設 置 工 事 費 (4) 防 犯 カメラの 設 置 を 示 す 看 板 等 の 設 置 費 (5) その 他 設 置 に 必 要 な 経 費 ( 補 助 金 の 額 ) 第 6 条 補

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

(3) その 他 市 長 が 必 要 と 認 める 書 類 ( 補 助 金 の 交 付 決 定 ) 第 6 条 市 長 は 前 条 の 申 請 書 を 受 理 したときは 速 やかにその 内 容 を 審 査 し 補 助 金 を 交 付 すべきものと 認 めたときは 規 則 第 7 条 に 規 定 す

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学校安全の推進に関する計画の取組事例


03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

スライド 1

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< 目 次 > 1 軽 四 輪 車 等 に 係 る 税 率 引 上 げ Q1 1 軽 四 輪 車 等 についてなぜ 標 準 税 率 を 引 き 上 げることにしたのですか? 3 Q1 2 自 家 用 乗 用 車 については 税 率 を 1.5 倍 に 引 き 上 げ それ 以 外 ( 貨 物 用 営

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

Transcription:

調 査 研 究 報 告 書 の 要 約 19 事 業 環 境 1 署 名 平 成 19 年 度 安 全 保 障 環 境 の 変 化 が 我 が 国 の 防 衛 機 器 産 業 に 及 ぼす 影 響 に 関 する 調 査 研 究 報 告 書 発 行 機 関 名 社 団 法 人 日 本 機 械 工 業 連 合 会 日 本 戦 略 研 究 フォーラム 発 行 年 月 平 成 20 年 3 月 頁 数 190 判 型 A 4 目 次 序 ( 金 井 会 長 の 序 ) 序 ( 日 本 戦 略 研 究 フォーラム 会 長 の 序 ) 委 員 会 名 簿 1. 調 査 研 究 項 目 スケジュール 序 章 報 告 書 の 作 成 に 当 たって 第 1 章 安 全 保 障 環 境 の 変 化 と 主 要 国 の 国 防 計 画 の 動 向 1.グローバルな 安 全 保 障 環 境 の 変 化 2. 中 国 第 2 章 欧 米 における 防 衛 力 整 備 と 防 衛 機 器 産 業 へのインプリケーション 1. 安 全 保 障 環 境 の 変 化 と 防 衛 技 術 2. 欧 米 における 防 衛 装 備 に 関 する 政 策 の 変 化 と 防 衛 機 器 産 業 の 変 容 3. 欧 米 における 新 たな 脅 威 への 対 処 のための 防 衛 システムの 開 発 第 3 章 我 が 国 の 安 全 保 障 政 策 および 防 衛 力 整 備 の 変 化 1. 新 防 衛 計 画 の 大 綱 2. 安 全 保 障 政 策 の 動 向 と 重 要 課 題 等 3. 中 期 防 衛 力 整 備 計 画 ( 中 期 防 ) 4. 防 衛 省 への 移 行 と 本 来 任 務 化 5. 相 互 運 用 性 と 国 際 共 同 開 発 6. 我 が 国 の 財 政 事 情 と 防 衛 予 算 第 4 章 我 が 国 の 防 衛 機 器 産 業 の 現 状 と 課 題 1. 防 衛 機 器 産 業 政 策 の 現 状 と 課 題 2. 防 衛 機 器 産 業 の 現 状 と 課 題 1

第 5 章 新 しい 安 全 保 障 環 境 によるわが 国 の 防 衛 機 器 産 業 への 影 響 1. 政 府 レベル 防 衛 省 レベルの 政 策 への 影 響 と 対 応 2. 防 衛 機 器 産 業 への 影 響 と 対 応 3. 防 衛 機 器 産 業 基 盤 維 持 強 化 に 向 けた 課 題 と 対 応 結 言 要 約 序 章 報 告 書 の 作 成 に 当 たって 安 全 保 障 の 概 念 として 安 全 を 脅 かす 脅 威 に 対 して 主 として 軍 事 的 手 段 で 対 処 するとする 伝 統 的 な 安 全 保 障 概 念 を 中 心 に 論 述 した また 対 象 とする 時 期 については 冷 戦 終 焉 以 降 と した 第 1 章 安 全 保 障 環 境 の 変 化 と 主 要 国 の 国 防 計 画 の 動 向 1.グローバルな 安 全 保 障 環 境 の 変 化 グローバルな 安 全 保 障 環 境 は 1989 年 12 月 の 米 ソ 首 脳 による 冷 戦 終 結 宣 言 とその 後 の 湾 岸 戦 争 2001 年 9 月 11 日 の 米 国 同 時 多 発 テロによって 大 きく 様 変 わりした 米 国 はこの 新 たな 安 全 保 障 環 境 に 対 処 するために 軍 事 態 勢 の 抜 本 的 な 見 直 しに 着 手 している ブッ シュ 政 権 ではトランスフォーメイション 戦 略 の 名 の 下 単 なる 技 術 革 新 や 兵 器 の 近 代 化 に 止 まらず 新 たな 戦 争 のコンセプト 人 組 織 のコンビネーションによって 国 防 態 勢 全 体 の 変 革 を 推 進 している 2.アジアにおける 安 全 保 障 環 境 の 特 徴 アジアでは 欧 州 とは 異 なり 冷 戦 後 においても 朝 鮮 半 島 や 台 湾 海 峡 で 大 規 模 な 紛 争 が 生 起 する 可 能 性 を 排 除 できない 中 国 は 軍 事 力 を 拡 大 しており 東 アジアの 軍 事 バランスを 変 化 させつつある 特 に 台 湾 海 峡 両 岸 の 軍 事 バランスは 中 国 側 に 有 利 に 傾 きつつある また 中 国 の アクセス 拒 否 戦 略 の 射 程 の 延 伸 は 米 国 のアジアにおける 海 洋 において 交 差 しつつある さらに 注 目 すべきは アジアにおいて 中 国 インド 韓 国 等 殆 どの 国 が 海 軍 力 の 増 強 に 力 を 入 れている 事 である また 日 本 の 周 辺 に 先 行 き 不 透 明 な 異 質 の 核 保 有 国 が 出 現 したことであり わが 国 の 防 衛 力 整 備 における 新 たな 課 題 である 第 2 章 欧 米 における 防 衛 力 整 備 と 防 衛 機 器 産 業 へのインプリケーション 1. 安 全 保 障 環 境 の 変 化 と 防 衛 技 術 急 激 な 脅 威 の 変 化 に 迅 速 に 対 応 するには 幅 広 い 基 礎 技 術 と 応 用 技 術 での 革 新 と 進 歩 が 重 要 となる 防 衛 機 器 産 業 の 技 術 力 を 国 内 に 保 有 することによって 脅 威 の 変 化 に 迅 速 に 2

柔 軟 に 対 応 する 政 策 を 開 発 してそれを 確 実 に 実 行 できることになる 米 国 は 基 礎 技 術 と 防 衛 機 器 製 造 技 術 の 両 方 を 意 識 的 に 整 備 している 防 衛 機 器 システム として 開 発 されたものが インターネットやGPSなどに 見 られるように 民 需 機 器 として 世 界 的 に 活 用 されている 米 国 において 注 目 されることは1 開 発 した 機 器 の 実 用 結 果 を 開 発 産 業 とユーザーが 共 有 していること2 大 学 の 研 究 機 関 と 連 携 していること32 社 による 競 合 試 作 を 採 用 していること4 公 正 な 競 争 の 維 持 にGAOが 機 能 していること 等 である 英 国 では 高 級 士 官 が 退 役 後 その 経 験 知 識 をシステム 化 する 機 能 を 果 たす 産 業 文 化 を 保 持 していることである 1 官 民 協 力 して 粘 り 強 い 開 発 を 行 っていること2 共 同 プロジェ クトを 先 導 する 技 術 文 化 を 保 持 していること3 防 衛 機 器 産 業 の 発 展 に 向 けて 各 種 ISO 基 準 を 設 定 していること 等 に 特 色 が 見 られる 2. 欧 米 における 防 衛 装 備 に 関 する 政 策 の 変 化 と 防 衛 機 器 産 業 の 変 容 米 国 の 民 生 産 業 に 立 ち 遅 れた 防 衛 機 器 産 業 を 見 直 すために 防 衛 に 関 するブルーリボン 委 員 会 を 皮 切 りに セクション 800 パネル 委 員 会 国 家 業 務 処 理 手 法 の 検 討 委 員 会 な ど 各 種 の 委 員 会 が 設 置 され 各 種 勧 告 が 出 されるとともにその 多 くが 立 法 化 されて それ ぞれ 成 果 を 収 めていった また 防 衛 予 算 の 削 減 は 企 業 の 生 き 残 りを 賭 けた 大 規 模 なM& Aを 進 行 させていった その 結 果 5 大 企 業 に 集 約 された ミサイル 防 衛 プロジェクトは 防 衛 機 器 産 業 に1 防 衛 産 業 基 盤 の 活 性 化 2 技 術 革 新 の 進 展 3システム 統 合 概 念 の 進 展 4 研 究 開 発 及 び 取 得 方 式 の 進 化 5 官 民 共 同 の 進 展 等 大 きな 影 響 を 与 えた 欧 州 においては 装 備 の 標 準 化 と 共 用 化 の 促 進 並 びに 資 源 の 有 効 活 用 を 目 的 とする 独 立 欧 州 計 画 グループ(IEPG) が 冷 戦 時 代 から 設 立 されていたが 1992 年 WEAG( 西 欧 装 備 機 構 ) と 名 称 を 変 え 業 務 を 実 施 していくことを 謳 った しかしながら 技 術 研 究 の 協 力 促 進 以 外 実 質 的 な 進 展 を 見 ていない 欧 州 の 防 衛 産 業 の 競 争 力 は 低 下 し 衰 退 している 1996 年 仏 独 英 伊 4 カ 国 は 共 同 装 備 協 力 機 構 (OCCAR) を 設 立 1998 年 には 前 記 4 カ 国 の ほか 西 スウエーデンの 6 カ 国 は 枠 組 み 協 定 を 締 結 さらに 2004 年 EU 加 盟 国 26 カ 国 で 欧 州 防 衛 庁 (EDA) を 設 立 して 欧 州 国 内 防 衛 産 業 基 盤 の 強 化 を 期 している 3. 欧 米 における 新 たな 脅 威 への 対 処 のための 防 衛 システムの 開 発 米 国 は 湾 岸 戦 争 コソボ 紛 争 アフガニスタン 戦 争 そしてイラク 戦 争 等 戦 った 戦 争 か ら 多 くの 教 訓 を 学 びじ 後 の 装 備 品 等 取 得 開 発 に 反 映 させた また 防 衛 機 器 産 業 もこれら 安 全 保 障 環 境 の 変 化 に 適 切 に 対 処 してきた 3

第 3 章 わが 国 の 安 全 保 障 政 策 及 び 防 衛 力 整 備 の 変 化 1. 新 防 衛 計 画 の 大 綱 政 府 は 9.11 後 の 国 際 情 勢 の 変 化 及 び 軍 事 力 の 多 様 化 等 状 況 の 変 化 に 対 応 するため 2004 年 12 月 平 成 17 年 度 以 降 に 係 る 防 衛 計 画 の 大 綱 について を 策 定 した 新 大 綱 は 従 来 の 抑 止 効 果 重 視 から 国 内 外 のさまざまな 事 態 への 対 処 能 力 重 視 に 転 換 している 即 ち 防 衛 力 の 役 割 として 新 たな 脅 威 や 多 様 な 事 態 への 実 効 的 な 対 応 とし 弾 道 ミサイル 攻 撃 への 対 応 ゲリラや 特 殊 部 隊 による 攻 撃 などへの 対 応 を 重 視 している 2. 安 全 保 障 政 策 の 動 向 と 重 要 課 題 等 ミサイル 防 衛 においては BMD システムの 整 備 を 含 む 所 要 の 体 制 を 早 期 に 確 立 する こ のシステムは イージス 艦 による 上 層 での 迎 撃 とペトリオットシステムによる 下 層 での 迎 撃 による 多 層 防 衛 の 考 え 方 を 基 本 としている テロ 又 はゲリラや 特 殊 部 隊 による 攻 撃 に 対 しては 政 府 は 2004 年 テロの 未 然 防 止 に 関 する 行 動 計 画 を 策 定 した また 2004 年 6 月 国 民 保 護 法 を 制 定 し 武 力 攻 撃 事 態 や 緊 急 対 処 事 態 に 際 して 国 はその 組 織 機 能 の 全 てを 挙 げて 国 民 保 護 を 実 施 するとしている 3. 中 期 防 衛 力 整 備 計 画 ( 中 期 防 ) 中 期 防 では1 多 機 能 で 弾 力 的 な 実 効 性 のある 防 衛 力 の 整 備 2 防 衛 省 自 衛 隊 の 組 織 の 見 直 し3 統 合 運 用 情 報 機 能 の 強 化 などによる 防 衛 力 の 基 本 の 充 実 4 装 備 品 などの 取 得 の 合 理 化 効 率 化 など 防 衛 力 を 支 える 各 種 施 策 の 推 進 5 日 米 安 保 体 制 の 一 層 の 強 化 6 防 衛 力 の 効 率 化 合 理 化 の 努 力 の 6 点 を 計 画 の 基 本 としている 4. 防 衛 省 への 移 行 と 本 来 任 務 化 2007 年 1 月 防 衛 庁 は 防 衛 省 に 移 行 した これにより 防 衛 政 策 に 関 する 企 画 立 案 体 制 が 強 化 された 5. 相 互 運 用 性 と 国 際 共 同 開 発 日 米 安 全 保 障 体 制 の 強 化 のための 施 策 の 一 つとして 2007 年 度 防 衛 白 書 において 装 備 技 術 面 での 幅 広 い 相 互 交 流 の 充 実 に 努 める と 記 されている 現 代 の 防 衛 装 備 品 の 研 究 開 発 や 生 産 において 民 生 品 と 同 じく 国 際 分 業 が 急 速 に 進 んでいる このような 国 際 装 備 協 力 を 推 進 することは 同 盟 友 好 関 係 の 信 頼 性 の 強 化 等 多 くのメリッ トがある 6.わが 国 の 財 政 事 情 と 防 衛 予 算 一 般 会 計 税 収 は 平 成 2 年 度 の 60.1 兆 円 をピークに 減 少 しており わが 国 の 財 政 事 情 は 今 後 とも 厳 しいことが 予 想 される 従 って 防 衛 予 算 も 増 加 はあまり 望 めない さまざまな 経 費 削 減 努 力 を 行 っても 平 成 16 年 度 閣 議 決 定 の 新 防 衛 大 綱 別 表 に 定 められた 定 数 の 維 4

持 すら 不 可 能 となろう 第 4 章 わが 国 の 防 衛 機 器 産 業 の 現 状 と 課 題 1. 防 衛 機 器 産 業 政 策 の 現 状 と 課 題 ア. 政 府 レベル 政 府 レベルでは1 武 器 輸 出 三 原 則 2GSOMIA3 軍 民 共 用 科 学 技 術 の 利 用 3 輸 出 関 連 法 規 にについて 述 べる 昭 和 42 年 佐 藤 内 閣 の 時 に 定 められた 武 器 輸 出 三 原 則 は 三 木 内 閣 においてさらに 厳 密 と なりあらゆる 地 域 に 対 しても 実 質 的 に 武 器 輸 出 を 禁 止 してしまった 1983 年 対 米 武 器 技 術 供 与 取 極 めを 締 結 し 個 別 例 外 化 の 道 を 開 いた しかしながらこれは 今 日 常 態 となってい る 多 国 間 による 共 同 開 発 への 参 加 すら 閉 ざしており 技 術 の 習 得 維 持 を 困 難 にしている 米 国 政 府 は 80 年 代 から 軍 事 情 報 に 係 る 一 般 保 護 協 定 (GSOMIA)の 締 結 を 要 請 していたが 2007 年 ようやく 締 結 された これにより 日 米 間 の 防 衛 関 連 情 報 の 交 換 をより 円 滑 かつ 迅 速 に 行 うことが 可 能 となった インターネット GPS を 利 用 したカーナビ 等 防 衛 技 術 が 民 間 に 波 及 した 例 は 多 々ある がこれとは 逆 に 防 衛 に 応 用 すれば 大 きな 可 能 性 を 秘 めた 技 術 が 民 生 部 門 にたくさん 存 在 し ている 米 国 はこれらを 定 常 的 に 調 査 している わが 国 の 輸 出 管 理 は 外 国 為 替 及 び 外 国 貿 易 法 を 基 本 法 とし 輸 出 貿 易 管 理 令 外 国 為 替 令 で 貨 物 と 技 術 を 規 定 している 基 本 的 には 国 際 レジームと 対 応 する 形 で 規 定 されて いるが 運 用 通 達 レベルでは 国 際 的 な 基 準 より 厳 しい 規 制 がかかっているものがある イ. 防 衛 省 レベル 省 レベルとしては1 長 期 展 望 にたった 防 衛 計 画 調 達 計 画 2 防 衛 生 産 基 盤 技 術 基 盤 維 持 の 必 要 性 3 取 得 改 革 4 国 際 共 同 開 発 への 取 組 5 相 互 運 用 性 / 米 国 装 備 品 購 入 問 題 6 民 生 分 野 の 技 術 基 盤 の 育 成 と 活 用 等 について 考 察 する 2. 防 衛 機 器 産 業 の 現 状 と 課 題 わが 国 の 防 衛 関 係 の 生 産 総 額 が 工 業 生 産 額 に 占 める 割 合 は1% 未 満 の 大 変 小 さな 規 模 である これはわが 国 に 存 在 する 武 器 輸 出 三 原 則 等 の 制 約 による 特 徴 で 市 場 が 国 内 に 限 定 されていること 輸 出 が 出 来 ないため 防 衛 省 向 けの 調 達 だけに 生 産 が 限 定 されているこ とに 起 因 していると 考 えられる 結 果 として 生 産 ロットが 小 さくなり 購 入 製 品 自 体 が 割 高 にならざるをえない 状 況 になっている ただ 防 衛 機 器 産 業 は 裾 野 が 広 い 産 業 基 盤 を 形 成 しており 非 常 に 多 くの 企 業 が 参 画 している 5

各 国 の 防 衛 産 業 は 国 際 的 な 連 携 を 深 めている 技 術 革 新 で 防 衛 装 備 システムが 高 度 化 大 型 化 したことで 開 発 費 や 装 備 品 が 高 価 格 化 した しかし 各 国 とも 防 衛 予 算 は 厳 しいため 一 国 での 開 発 リスクを 負 うことに 二 の 足 を 踏 み 国 際 共 同 プログラムに 頼 ることになった と 思 われる わが 国 の 場 合 特 に 正 面 装 備 予 算 が 減 少 しており 防 衛 機 器 産 業 は 徐 々に 体 力 を 消 耗 弱 体 化 している 多 様 な 脅 威 に 対 する 継 続 的 な 対 応 能 力 を 維 持 するためには 適 切 な 継 続 的 な 予 算 確 保 が 望 まれるが 更 に 真 に 必 要 な 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 確 立 を 図 るべく 具 体 的 な 施 策 の 展 開 に 取 り 組 んでいく 必 要 がある また 取 得 調 達 の 改 善 への 対 応 防 衛 機 器 産 業 の 再 編 統 合 による 競 争 力 の 強 化 安 全 保 障 分 野 における 宇 宙 利 用 の 拡 大 等 検 討 してい くことも 必 要 である そのほか 民 製 品 活 用 のための 施 策 装 備 品 の3 自 衛 隊 における 共 通 化 標 準 化 による 生 産 規 模 の 拡 大 スパイラル 開 発 における 適 切 なリスク 補 償 の 施 策 が 必 要 である 5 章 新 しい 安 全 保 障 環 境 によるわが 国 の 防 衛 機 器 産 業 への 影 響 1. 政 府 レベル 防 衛 省 レベルの 政 策 への 影 響 と 対 応 1-1 武 器 輸 出 三 原 則 政 策 の 緩 和 と 武 器 輸 出 政 策 の 拡 大 わが 国 の 狭 小 な 防 衛 市 場 のみでは 高 度 化 し 高 コスト 化 している 装 備 品 の 基 盤 の 維 持 強 化 が 難 しくなっている 従 って 国 際 共 同 開 発 等 への 参 画 や 同 盟 国 等 との 対 外 的 な 装 備 品 や 技 術 の 交 流 を 円 滑 に かつ 効 果 的 に 進 めるための 政 策 が 必 要 になる 1-2 キャッチオール 規 制 の 徹 底 キャッチオール 規 制 では 輸 出 者 自 身 が 輸 出 品 が 大 量 破 壊 兵 器 等 の 開 発 に 用 いられる 恐 れがあるか 否 かを 判 断 し 必 要 に 応 じて 手 続 きをとる 必 要 がある 2001 年 4 月 外 国 為 替 令 及 び 輸 出 貿 易 管 理 令 その 他 の 関 連 法 規 の 改 正 が 行 われ 食 料 品 皮 革 品 木 材 紙 類 等 除 いた 全 ての 品 目 が 規 制 の 対 象 とされるようになり 国 際 協 調 体 制 のなかで わが 国 が 抜 け 道 となる 可 能 性 が 排 除 された 1-3 GSOMIA の 締 結 情 報 管 理 の 徹 底 GSOMIA は 米 国 が 同 盟 国 に 軍 事 秘 密 情 報 を 提 供 する 場 合 に 軍 事 秘 密 情 報 の 被 提 供 国 は 米 国 と 同 程 度 の 秘 密 保 全 措 置 を 講 ずることに 合 意 する 米 国 との 協 定 で 米 国 は60 数 カ 国 と 本 協 定 を 締 結 している この 協 定 の 締 結 により 日 米 間 の 秘 密 情 報 の 交 流 共 有 が 円 滑 に 推 進 できる 枠 組 みが 出 来 た ただし 今 後 わが 国 の 秘 密 保 護 法 制 の 在 り 方 につき 広 く 検 討 し 情 報 能 力 の 強 化 につなげていくことが 望 まれる 6

1-4 米 国 装 備 品 購 入 圧 力 への 対 応 日 米 安 保 条 約 体 制 の 元 日 米 協 力 と 独 自 開 発 の 両 方 を 成 立 させるような 方 策 を 考 えてい かねばならない 1-5 防 衛 生 産 基 盤 技 術 基 盤 の 維 持 と 国 産 保 護 政 策 基 本 方 針 質 の 高 い 装 備 品 を 短 期 間 で 安 く 取 得 するためには わが 国 において 装 備 品 を 設 計 製 造 維 持 する 能 力 を 持 つ 防 衛 生 産 技 術 基 盤 を 平 素 から 確 保 しておくことが 必 要 不 可 欠 で ある 更 に 国 防 上 重 要 なもの 秘 密 区 分 の 高 いものを 戦 略 的 装 備 品 として 指 定 し 国 産 優 先 の 政 策 を 実 施 することも 不 可 欠 である 厳 しい 財 政 状 況 のなかにおいても 多 様 な 脅 威 に 対 する 自 衛 隊 の 即 応 的 な 対 応 能 力 と 継 続 的 な 対 応 能 力 を 維 持 するためには 防 衛 生 産 技 術 基 盤 を 維 持 するに 適 切 な 継 続 的 予 算 確 保 が 必 要 になる 1-6 長 期 的 展 望 にたった 軍 事 技 術 戦 略 の 策 定 と 将 来 技 術 基 盤 の 育 成 防 衛 省 として 限 られた 予 算 の 中 でこれらの 研 究 開 発 の 政 策 決 定 にあたり 適 切 な 選 択 と 集 中 を 行 い 官 産 学 の 総 合 力 を 結 集 して 将 来 に 向 けた 新 たな 技 術 基 盤 の 創 製 に 取 組 んでい くことが 必 要 になっている そのため 中 長 期 の 技 術 戦 略 の 策 定 を 通 じて 官 産 学 での 研 究 開 発 目 標 の 共 有 研 究 開 発 の 選 択 と 集 中 による 重 点 分 野 への 戦 略 的 投 資 の 充 実 等 が 求 められ る 1-7 取 得 調 達 改 革 等 による 改 善 効 率 の 良 い 装 備 品 の 取 得 調 達 を 実 現 するために 総 合 的 取 得 改 革 による 具 体 的 改 善 活 動 が 進 んでいる これら 活 動 を 通 じて 費 用 対 効 果 比 の 高 い 装 備 品 の 取 得 ライフサイクルコ ストの 重 視 民 生 品 の 活 用 民 生 品 でのベストプラクティスの 採 用 技 術 革 新 を 有 するベ ンチャー 企 業 の 防 衛 分 野 への 参 画 の 奨 励 等 対 応 を 具 体 化 することが 求 められている 1-8 リソースを 集 中 させるべき 防 衛 生 産 技 術 分 野 の 特 定 に 向 けた 取 組 み 選 択 と 集 中 の 方 針 として 防 衛 構 想 に 合 致 した 装 備 品 の 中 核 技 術 であること 及 び 将 来 戦 闘 様 相 において 敵 に 優 越 する 装 備 品 の 技 術 であることを 掲 げたがこれに 該 当 す る 分 野 として 以 下 の 技 術 分 野 及 び 生 産 分 野 を 考 えて 検 討 が 進 められた 防 衛 計 画 の 大 綱 に 示 されている 次 の 防 衛 力 の 役 割 を 果 たすために 必 要 な 装 備 品 の 中 核 となる 技 術 分 野 は 弾 道 ミサイル 攻 撃 への 対 応 ゲリラや 特 殊 部 隊 による 攻 撃 等 への 対 応 島 嶼 部 に 対 する 侵 略 への 対 応 周 辺 海 空 域 の 警 戒 監 視 及 び 領 空 侵 犯 対 処 や 武 装 工 作 船 等 への 対 応 大 規 模 特 殊 災 害 等 への 対 応 等 である 同 大 綱 に 示 されている 以 下 の 事 項 を 果 たすために 必 要 な 装 備 品 の 中 核 となる 技 術 分 野 は 統 合 運 用 の 強 化 情 報 機 能 の 強 化 サイバー 攻 撃 にも 対 処 しう る 高 度 の 指 揮 通 信 システムや 情 報 通 信 ネットワークの 構 築 等 である 7

1-9 取 得 改 革 等 による 契 約 形 態 の 改 善 防 衛 産 業 基 盤 の 維 持 強 化 のため 企 業 の 参 画 意 欲 を 拡 大 し 競 争 促 進 に 導 くため 官 民 双 方 にメリットのある 効 率 的 で 柔 軟 な 契 約 形 態 の 導 入 が 望 ましい コスト 補 償 契 約 インセ ンティブ 契 約 リスクシェア 制 度 等 が 欧 米 の 装 備 品 調 達 精 度 のなかで 行 われており わが 国 の 防 衛 機 器 産 業 からも 実 現 に 向 けて 期 待 が 大 きい 1-10 軍 民 両 用 科 学 技 術 の 利 用 促 進 民 間 技 術 をいかにして 日 本 の 防 衛 力 強 化 防 衛 技 術 開 発 につなげていくか 防 衛 省 産 業 界 が 一 体 となって 取 組 んでいく 必 要 があるのではないかと 思 う 1-11 安 全 保 障 における 宇 宙 利 用 の 拡 大 安 全 保 障 分 野 における 宇 宙 利 用 については わが 国 だけが 特 殊 な 政 策 によって 制 限 され ている すなわち 平 和 利 用 原 則 と 一 般 化 原 則 により 防 衛 分 野 における 宇 宙 の 利 用 が 制 限 されているわけであるが 政 府 与 党 は 宇 宙 基 本 法 を 制 定 すべく 国 会 に 提 案 しているとこ ろである 宇 宙 基 本 法 が 制 定 された 場 合 防 衛 省 による 国 家 安 全 保 障 を 考 慮 した 宇 宙 開 発 利 用 の 国 家 戦 略 を 立 案 することが 期 待 され 宇 宙 機 器 産 業 に 新 しい 展 望 が 開 けると 思 われ る 1-12 アジア 欧 州 との 技 術 交 流 の 促 進 NATO 事 務 総 長 が 日 本 経 団 連 防 衛 生 産 委 員 会 を 訪 問 し NATO の 直 面 して 課 題 と 日 本 の 課 題 は 同 じである 協 調 関 係 を 作 っていきたい と 発 言 した 日 本 としては 米 国 との2 国 間 共 同 プログラムのみならず NATO 諸 国 との 共 同 も 視 野 に 入 れた 国 際 プログラムへの 参 加 検 討 も 今 後 の 課 題 である 2. 防 衛 機 器 産 業 への 影 響 と 対 応 2-1 業 界 再 編 統 合 欧 米 は 既 に 大 幅 な 業 界 再 編 を 実 施 し 企 業 力 を 強 化 している 反 面 わが 国 は 防 衛 用 途 のた めの 市 場 が 限 定 的 かつ 比 較 的 小 規 模 であるにも 係 らず 同 業 者 が 割 拠 している 各 社 得 意 分 野 を 中 心 に 独 自 事 業 を 行 っており 国 内 もしくは 世 界 的 な 企 業 間 アライアンスによる 連 携 の 動 きは 見 られない 現 状 のように 国 内 の 市 場 が 限 定 的 かつ 縮 減 傾 向 にあることを 考 慮 する とわが 国 も 業 界 における 再 編 統 合 が 課 題 といえよう 2-2 両 用 技 術 の 活 用 最 先 端 の 防 衛 技 術 が GPS として 活 用 されているように 一 般 産 業 に 大 きな 波 及 効 果 を 及 ぼしてきた 現 在 でも 米 軍 DARPA の 研 究 は 未 来 の 技 術 を 近 未 来 に 引 き 寄 せる 任 務 を 付 与 さ れており 最 先 端 の 軍 事 技 術 が 民 間 技 術 として 活 用 されていくケースが 多 々あろう 最 近 はデュアルユース 技 術 が 注 目 されており 今 後 拡 大 する 可 能 性 が 高 い 8

2-3 装 備 品 の 高 度 化 に 伴 う 多 品 種 少 量 生 産 傾 向 の 増 大 米 軍 の 研 究 によると 第 4 世 代 戦 闘 機 とステルスで 超 音 速 かつデータリンク 機 能 を 有 する 第 5 世 代 戦 闘 機 が 空 中 で 遭 遇 し 108 回 戦 って 第 5 世 代 戦 闘 機 が108 勝 0 敗 とい う 結 果 が 出 ている これは 品 質 の 劣 る 装 備 品 を 多 数 装 備 するよりも 少 数 でも 最 新 の 装 備 品 を 保 有 する 方 が 優 位 であることを 示 している 今 後 こうした 動 きは 装 備 品 の 多 品 種 少 数 生 産 傾 向 の 増 大 を 招 く 可 能 性 が 高 い 2-4 防 衛 専 門 技 術 者 の 離 散 わが 国 の 防 衛 関 連 企 業 における 防 衛 産 業 の 位 置 づけはごくわずかな 一 部 門 であり かつ 正 面 装 備 費 の 削 減 による 調 達 数 の 減 少 が 作 業 員 の 低 下 をもたらす 現 状 から 防 衛 専 門 技 術 者 が 合 理 化 やリストラ 民 生 部 門 への 人 員 配 置 転 換 等 離 散 を 余 儀 なくされている 3. 防 衛 機 器 産 業 基 盤 維 持 強 化 にむけた 課 題 と 対 応 3-1 業 界 再 編 統 合 欧 米 では 防 衛 産 業 においても M&A が 進 んでいる また 国 際 的 な 共 同 開 発 や 共 同 生 産 を 積 極 的 に 行 っている わが 国 でも 防 衛 産 業 における 再 編 統 合 等 による 整 理 が 望 まれる た だ 防 衛 分 野 は 各 企 業 のごく 一 部 であり 民 生 分 野 の 技 術 力 に 大 きく 依 存 していること 欧 米 と 異 なり 基 礎 研 究 部 門 が 軍 等 の 機 関 に 依 存 していないため 単 純 に 防 衛 部 門 だけを 切 り 離 すことは 困 難 であり 再 編 統 合 を 難 しくしている 3-2 わが 国 の 優 れた 民 生 技 術 の 活 用 従 来 より 民 生 技 術 から 防 衛 技 術 へのスピンオンは 積 極 的 に 実 施 されてきた 近 年 民 生 技 術 の 迅 速 な 発 展 や 短 期 間 での 技 術 の 陳 腐 化 といった 傾 向 を 考 慮 すると 技 術 動 向 をより 早 く 把 握 し より 積 極 的 に 装 備 品 等 に 適 用 していくことが 優 れた 防 衛 装 備 品 の 開 発 や 研 究 開 発 コストの 低 減 のため 必 要 である 民 生 市 場 において 存 続 可 能 な 潜 在 力 を 有 する 技 術 を 両 用 技 術 と 位 置 づけて その 技 術 基 盤 を 確 立 し 経 済 発 展 と 安 全 保 障 の 両 立 の 観 点 から 積 極 的 な 投 資 が 望 まれる 今 後 活 用 が 促 進 されるスピンオン 技 術 として デバイス 技 術 ナノテク 素 子 技 術 の 分 野 では 高 エネルギー 密 度 小 型 バッテリー 技 術 燃 料 技 術 等 がある 将 来 装 備 品 に 適 用 できる 可 能 性 を 秘 めた 技 術 を 一 表 に 纏 めて 示 した 3-3 装 備 品 の 高 度 化 複 雑 化 巨 大 化 への 対 応 弾 道 ミサイル 対 処 システムに 見 られるように 装 備 品 が 複 雑 化 高 度 化 している この ように 複 雑 高 度 巨 大 なセンサー トウ シューターのシステムを 実 現 するために サ ブシステム 間 の 相 互 連 接 の 標 準 化 やシステム 全 体 の 情 報 の 流 れの 制 御 が 出 来 る 優 れたシス テム インテグレーション 能 力 の 育 成 と 継 承 に 取 組 んでいくことが 大 切 である 9

3-4 装 備 品 の 高 度 化 に 伴 う 多 品 種 少 量 生 産 傾 向 の 増 大 への 対 応 装 備 品 の 高 度 化 は 開 発 経 費 の 増 大 をもたらす このため 一 社 開 発 からリスク 分 散 のため に 共 同 開 発 に 移 行 している 最 先 端 の 高 度 な 装 備 品 はただでさえ 少 量 生 産 となるため 国 際 共 同 開 発 や 共 同 生 産 による 生 産 量 を 確 保 することが 求 められる 3-5 防 衛 生 産 技 術 基 盤 を 維 持 育 成 するための 方 策 民 間 企 業 において 日 常 から 当 該 分 野 について 継 続 的 に 設 計 や 生 産 を 行 うことが 技 術 者 の 知 識 レベルを 高 め またノウハウの 習 得 等 製 造 技 術 者 のスキルを 高 める 最 良 の 方 策 であ る 3-6 防 衛 専 門 技 術 者 の 離 散 対 策 防 衛 機 器 産 業 にとって 防 衛 専 門 技 術 者 の 離 散 防 止 は 喫 緊 の 課 題 である 前 に 述 べたよう に 継 続 的 に 設 計 生 産 を 行 うことが 望 ましいが 産 官 学 の 協 調 関 係 を 拡 大 し 将 来 装 備 品 の 研 究 開 発 には 早 い 段 階 から 産 学 の 若 手 研 究 者 を 参 画 させて 優 れた 研 究 者 技 術 者 を 育 成 することも 有 効 である さらに 特 殊 な 軍 事 科 学 技 術 の 知 識 防 衛 システムの 理 解 と 装 備 品 の 研 究 開 発 に 関 する 知 識 を 得 て 経 験 する 機 会 を 拡 大 することが 必 要 である 結 言 米 国 EU 及 び 英 国 における 防 衛 産 業 政 策 並 びに 防 衛 機 器 産 業 の 対 応 を 見 ていると 防 衛 機 器 産 業 は 防 衛 力 発 展 の 基 礎 であり 国 家 の 安 全 保 障 にとって 不 可 欠 の 要 素 である とい う 認 識 を 政 府 から 企 業 の 末 端 に 至 るまでの 全 てが 共 有 している 子 がその 根 底 にあって 政 府 国 防 省 軍 がそれぞれ 所 掌 する 業 務 を 的 確 に 実 施 し 防 衛 機 器 産 業 がそれに 応 えて いる 構 図 が 読 み 取 れる わが 国 の 場 合 安 全 保 障 について 厳 しい 認 識 と 国 益 を 守 るというこ とについての 強 い 決 意 を 官 民 共 に 今 後 強 く 保 持 することが 望 まれる この 事 業 は 競 輪 の 補 助 金 を 受 けて 実 施 したものです http://ringring-keirin.jp/ 10