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5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

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に相当する金額を反映して分割対価が低くなっているはずですが 分割法人において移転する資産及び負債の譲渡損益は計上されませんので 分割法人において この退職給付債務に相当する金額を損金の額とする余地はないこととなります (2) 分割承継法人適格分割によって退職給付債務を移転する場合には 分割法人の負債

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国外転出時課税制度(出国税)の導入

余金の額の減少に伴うものを除きます 以下同じです ) 若しくは利益の配当又はいわゆる中間配当 ( 資本剰余金 の額の減少に伴うものを除きます 以下同じです ) を した場合には その積立金の取崩額を 減 2 に記載するとともに 繰越損益金 26 の 増 3 の金額に含まれることになります なお この

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第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 5 章国税の還付及び還付加算金 第 1 節国税の還付 学習のポイント 1 国税の還付金等とはどのようなものか 2 充当とはどのようなものか 1 還付金等の種類国税の還付には 還付金の還付と過誤納金の還付の二種類があり 還付金と過誤納金を併せて還付金等という (

186C008地方法人税法案

⑵ 過誤納金還付金が各税法の定めに基づいて発生するのに対して 過誤納金は 法律上 国税として納付すべき原因がないのに納付された金額で 国の一種の不当利得に係る返還金である なお この過誤納金は 次の二つに分かれる イ過納金過納金は 納付時には納付すべき確定した国税があったが 減額更正や不服審査の裁決

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〇本事例集は 平成 31 年 3 月を期限とした個人の確定申告について 国税通則法関連 ( 所得税 の納税地を含む ) の 誤りやすい事例 について取りまとめています 〇本事例集は 誤りやすい事例 を載せた後に 正しい解釈 処理方法を提示しています なお 無用 な文字数 ページ数の増加を避けるため

⑶ 事実関係 損金算入の可否とその理由 商品 A の評価損 4,000,000 円は当期の損金の額に算入されない ❶ 過剰生産による時価の下落は 棚卸資産の評価損の計上が認められる 著しい陳腐化 に該当しない ❷ 1 商品 B の評価損 2,000,000 円は当期の損金の額に算入される ❶ 台風に

( 注 3) その他の少額上場株式等の非課税口座制度の詳細については 証券会社等の金融商品取引業者等にお問い合わせ下さ い b. 利益を超える金銭の分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 平成 27 年 4 月 1 日以後開始事業年度に係る利益を超える金銭の分配につ

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自力執行権 ( 徴 47など ) が特別に認められる点を除けば 私債権と同様に取り扱うことが妥当である ( 通 723) 国税の徴収権及び納税者の国に対する還付請求権は 私債権と同様に時効制度が採られている ( 通 ) 徴収権及び還付請求権と私債権との消滅時効における違いは 次表のとお

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

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(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

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欠損金の繰越控除と繰戻還付に係る留意点企業会計上 損失が発生すればそれはその事業年度かぎりのことで その金額が他の年度の損益計算に影響を与えることはありません 税務上の所得計算も 単年度ごとに益金から損金を控除して行いますが ある年度の欠損金を他の年度の所得金額と通算せず所得の発生した年度にだけ課税するのは 企業資本の維持の観点から問題が残ります そこで法人税法では ある事業年度に生じた欠損金について 次年度以降の所得で補填すること ( 欠損金の繰越し控除制度 ) を認め また 前年度の所得と相殺すること ( 欠損金の繰戻し還付制度 ) も認めています 1 青色欠損金の繰越控除 1. 欠損金発生事業年度において青色申告書である確定申告書を提出しているか青色欠損金の繰越控除制度は 欠損金の生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していることが要件である 青色申告を前提にすると複式簿記による正確な記帳に基づいた正確な期間損益の計算が行われることが期待できることから 制度の濫用を防止できるというのがその趣旨である 2. 青色申告が遡って取り消される要素はないか (1) 青色申告の取消しと青色欠損金の繰越控除青色申告の承認取消しは その取消事由が生じていたことが調査等で判明した場合は 遡ってその承認が取り消される その場合には 取消事業年度以後に提出していた青色申告書は 青色申告書以外の申告書とみなされる そうすると青色欠損金でなくなるため 青色欠損金の繰越控除 の要件を満たさなくなり 遡って青色欠損金の繰越控除もその適用が否認される (2) 青色申告の承認取消しの要件 次のような事実がある場合には 税務署長は青色申告の承認を取り消すことができるとされ ている 1 帳簿の備付け 記録 保存が所定のとおりに行われていないこと 2 帳簿に係る税務署長の指示に従わなかったこと 3 隠ぺい仮装等により全体に真実性を疑う相当の理由があること 4 申告期限まで提出しなかったこと 5 連結納税承認取消しを受けたこと 3. 欠損金発生事業年度から連続して確定申告書を提出しているか青色欠損金の繰越控除制度は 欠損金が生じた事業年度後の事業年度について連続して確定申告を提出していることが要件とされている この場合の 連続して 提出 の意味は次のような内容である 1

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のように変遷している 繰越期間に誤りがないように管理しておく必要がある 図表 1 欠損金の繰越可能期間 事業年度平成 13 年 3 月 31 日以前に開始した事業年度に生じた欠損金額平成 13 年 4 月 1 日以後に開始した事業年度に生じた欠損金額平成 20 年 4 月 1 日以後に終了した事業年度に生じた欠損金額 繰越可能期間 5 年 7 年 9 年 5. 欠損金の繰越控除限度額に誤りはないか平成 24 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度については 中小法人等を除き 欠損金の繰越控除限度額が欠損金の繰越控除適用前の所得金額の 80% に改正された したがって 中小法人等かそれ以外の法人かによって青色欠損金の繰越控除の繰越控除限度額が異なることに注意する必要がある 中小法人等とは 1 普通法人のうち 各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が 1 億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないものただし 相互会社等及び資本金の額等が 5 億円以上の法人 ( 以下 大法人 という ) との間に大法人による完全支配関係がある法人は除かれる なお 複数の大法人に支配されている場合で一の大法人がそれらのすべての株式を所有しているものとみなした場合に完全支配関係があることとなるその法人も中小法人等にはならない 2 公益法人等又は協同組合等 3 人格のない社団等 6. 粉飾決算等があった場合の欠損金の是正は 修正の経理 申告調整 更正の請求 等 を正しく行っているか 2

粉飾決算等が行われていた場合は 過去に遡って粉飾分を是正し欠損金を正しく認識する必要が生じてくる この場合に過去の粉飾決算の是正は 更正の請求を通じて行うことになる 平成 23 年 12 月改正前は 更正の請求の期間が 1 年であったことから嘆願書の提出などが行われていたが 平成 23 年 12 月改正により 更正の請求期間と更正処分の期間制限の期間とが同一になった 法人税の純損失の金額に係るものは 9 年 ( 平成 20 年 4 月 1 日以後終了事業年度分から適用 ) となった この更正の期間制限を過ぎた粉飾決算分については是正がでないことになり 損失は無視される 更正の請求期間の改正更正の請求期間については平成 23 年 12 月に改正されているので次に記載する 1 更正の請求期間の延長納税者がする更正の請求について 請求をすることができる期間を原則として 5 年 ( 改正前 1 年 ) に延長することとされた 法人税の純損失等の金額に係る更正の請求ができる期間は 9 年 ( 改正前 1 年 ) に延長された 2 増額更正の期間制限の延長更正の請求期間の延長の改正にあわせ 課税庁がする増額更正の期間制限について 原則として 5 年 ( 改正前 3 年 ) に延長することとされた 法人税の純損失に係るものは 9 年とされた 3 適用関係上記 1 及び2の改正は 平成 23 年 12 月 2 日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用される 3

2 欠損金の繰戻還付青色申告書を提出する法人で生じた欠損金は それが生じた事業年度 ( 欠損事業年度 ) の期首以前 1 年以内に開始したいずれかの事業年度 ( 還付事業年度 ) に繰り戻して その年度の法人税額の還付を受けることができます 還付金額は 次の算式で計算します 算式 還付事業年度の法人税額 欠損事業年度の欠損金額 還付事業年度の所得金額 = 還付金額 1. 繰戻還付の適用がある中小法人等に該当するかこの制度は現在 清算中に終了する事業年度及び中小法人等を除き適用停止中である 適用がある中小法人等とは 上記 1 の 5 で記載した中小法人等と同じである 図表 2 解散等の場合の繰戻還付 解散等の事実 1 年以内申告 1 2 3 前 1 年以内 2. 還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出しているか繰戻還付制度は 法人が還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していることが要件である この場合に申告書は連続していればよいのであって期限内申告の制限はないが 青色申告書でなければならない点は留意する必要がある 3. 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書を提出期限までに提出しているかこの制度は 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出した場合に限り 適用される 解散等の場合の繰戻還付の場合と異なり 税務署長がやむを得ない事情があると認める場合を除き 期限内申告書でなければならない点は注意する必要がある 4. 解散等の場合の繰戻還付を適用している場合に解散等の事実に該当するか解散等の事実が生じた日前 1 年以内に終了したいずれかの事業年度又は同日の属する事業年度において生じた欠損金額があるときは 法人は その事実が生じた日以後 1 年以内に税務署長に対して欠損金額の繰戻還付の請求をすることができる ( 図表 2) 4

解散等の事実 1 解散 ( 適格合併による解散を除く ) 2 事業の全部の譲渡 3 更正手続の開始の申立て 4 事業の全部の相当期間の休止又は重要部分の譲渡でこれらの事実が生じたことにより欠損金の繰越控除の適用を受けることが困難と認められるもの 5 再生手続開始の決定 5. 欠損金の繰戻還付制度のない地方税の処理は正しく行われているか地方税においては 地方財政を考慮して繰戻還付制度が存在しない したがって その処理を間違わないようにする必要がある (1) 事業税 ( 所得割 ) 繰戻還付のための繰戻控除が行われなかったものとして欠損金の繰越控除の計算を行う (2) 法人住民税法人税の繰戻還付が行われても直ちに還付金に対応する還付処理を行わず 法人税の還付法人税を 9 年 (7 年 ) にわたって法人税割の課税標準額から控除する 5

3 その他 1. 完全支配関係がある清算中等の法人に係る株式評価損を計上していないか平成 23 年度税制改正により 完全支配関係がある他の内国法人が 1 清算中である場合 2 解散が見込まれる場合 又は3そのグループ内で適格合併により解散することが見込まれる場合には その株式に係る評価損について損金の額に算入しないこととされた 親会社が清算による残余財産の確定前にその子法人の株式に係る評価損を計上した上に 残余財産が確定した時点で子会社の青色欠損金を引き継ぐことが可能であり 二重に損失を計上することになってしまう不都合を防止するためである 平成 23 年 6 月 30 日以後に行う評価換えについて適用がある 2. 会社更生手続開始決定があった場合の期限切れ欠損金の損金算入計算は正しく行われているか法人税法 59 条 1 項から 3 項で規定されている 会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入 措置については 平成 23 年 12 月改正の影響が生ずる 例えば 法人税法 59 条 1 項の会社更生手続開始の決定があった場合に債務免除等に係る期限切れ欠損金の損金算入制度がある この場合は 期限切れ欠損金が青色欠損金に先行して控除される その場合に残額所得金額について適用される青色欠損金の損金算入について 80% 限度額を超える 20% 部分が課税されてしまう不都合が生ずる そこでそのような影響が生じないように欠損金の損金算入ができるようにする等の措置が手当された 3. 解散の場合のマイナスの資本金等の額を期限切欠損金に含めているか平成 23 年度改正により 解散の場合の期限切れ欠損金の損金算入制度においてマイナスの資本金等の額を期限切れ欠損金と同様に取り扱うことになった マイナスの資本金等の額が生じている場合は実質的には残余財産がないにもかかわらず 控除できる金額がマイナスの利益積立金だけであると所得金額が生じ 課税が行われることになってします 残余財産の分配がない実態を考慮して所得金額が生じないように整備したものである この改正は平成 23 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用されている 4. 連結子法人の連結開始前欠損金を個別所得金額を限度として正しく繰越控除しているか平成 22 年度改正により 資産の時価評価の適用対象外となる連結子法人の加入前欠損金額について その連結子法人の個別所得金額を限度として連結納税制度の下での繰越控除が認められた 6 以上