[2] のれんの発生原因 企業 ( または事業 ) を合併 買収する場合のは 買収される企業 ( または買収される事業 ) のおよびを 時価で評価することが前提となります またやに計上されていない特許権などの法律上の権利や顧客口座などの無形についても その金額が合理的に算定できる場合は 当該無形に配

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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

に相当する金額を反映して分割対価が低くなっているはずですが 分割法人において移転する資産及び負債の譲渡損益は計上されませんので 分割法人において この退職給付債務に相当する金額を損金の額とする余地はないこととなります (2) 分割承継法人適格分割によって退職給付債務を移転する場合には 分割法人の負債

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1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

2 引き続き居住の用に供している場合 とされる場合本人が 転勤などのやむを得ない事情により 配偶者 扶養親族その他一定の親族と日常の起居を共にしないこととなった場合において その家屋等をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており やむを得ない事情が解消した後は 本人が共にその家屋に居住することに

A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

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[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

精算表 精算表とは 決算日に 総勘定元帳から各勘定の残高を集計した上で それらに修正すべき処理 ( 決算整理仕訳 ) の内 容を記入し 確定した各勘定の金額を貸借対照表と損益計算書の欄に移していく一覧表です 期末商品棚卸高 20 円 現金 繰越商品 資本金 2

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CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

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128 Z E I K E I T S U S H I N 10. 3

貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 UP!Consulting Up Newsletter 無対価での会社分割 バックナンバーは 当事務所のホームページで参照できます 1

平成28年度 第143回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

参考 企業会計基準第 25 号 ( 平成 22 年 6 月 ) からの改正点 平成 24 年 6 月 29 日 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 の設例 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 平成 22 年 6 月 30 日 ) の設例を次のように改正

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[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

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2. 基準差調整表 当行は 日本基準に準拠した財務諸表に加えて IFRS 財務諸表を参考情報として開示しております 日本基準と IFRS では重要な会計方針が異なることから 以下のとおり当行の資産 負債及び資本に対する調整表並びに当期利益の調整表を記載しております (1) 資産 負債及び資本に対する

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自己株式の消却の会計 税務処理 1. 会社法上の取り扱い取得した自己株式を消却するには 取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要となります ( 会 178) 取締役会決議では 消却する自己株式数を 種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数を決定する必要があります 自己株式を消却しても 会

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第10期

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平成29年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)

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貸借対照表 平成 28 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資産の部 負債の部 流動資産 (63,628,517) 流動負債 (72,772,267) 現金及び預金 33,016,731 買掛金 379,893 売掛金 426,495 未払金 38,59

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2. 控除の適用時期 Q. 12 月に取得した自宅の所在地に 年末までに住民票を移しましたが 都合で引っ越しが翌年になってしまった場合 住宅ローン控除はいつから受けることになりますか A. 住宅ローン控除の適用を受けるためには 実際に居住を開始することが必要です したがって 住民票を移した年ではなく

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企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

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2 事業活動収支計算書 ( 旧消費収支計算書 ) 関係 (1) 従前の 消費収支計算書 の名称が 事業活動収支計算書 に変更され 収支を経常的収支及び臨時的収支に区分して それぞれの収支状況を把握できるようになりました 第 15 条関係 別添資料 p2 9 41~46 82 参照 消費収入 消費支出

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図表 1 将来減算一時差異とは 課税所得の計算上 差異が生じたときに加算され 将来解消するときに減算されるものです 税効果会計の適用において最も取り扱う機会が多いのが将来減算一時差異です 貸倒引当金の損金算入限度超過額 賞与引当金及び退職給付引当金の額 減価償却費の損金算入限度超過額 棚卸資産等に係

Transcription:

営 ViewPoint 相 談のれんの会計と税務 勝木幹雄部東京室花野稔部大阪室 大企業間だけではなく 中小企業間でも M&A が積極的に進められるようになりました M&A では 対象となる企業 ( または事業 ) の純価格と実際の売買価格とが異なるケースがあり その差額は その企業 ( または事業 ) の超過収益力 すなわち のれん を評価したものと説明されることがあります のれん は買収や合併の際に発生する特有の勘定科目です 今回は のれん の定義と会計 税務処理の概略を説明します 1. のれんとは [1] のれんとは 企業結合会計基準等では のれんとは 被取得企業又は取得した事業のが 取得した及び引受けたに配分された純額を超過する額をいい 不足する額は負ののれんという と定義しています と被取得企業 ( 事業 ) の純価額 (= 純額 ) との差額がのれんになります のれんのイメージ > 純価額 < 純価額 のれん 純価額 負ののれん 純価額 1

[2] のれんの発生原因 企業 ( または事業 ) を合併 買収する場合のは 買収される企業 ( または買収される事業 ) のおよびを 時価で評価することが前提となります またやに計上されていない特許権などの法律上の権利や顧客口座などの無形についても その金額が合理的に算定できる場合は 当該無形に配分することができるとされていますので がきちんと時価で評価されていれば基本的にはのれんは発生しないことになります しかし 合併 買収などの価格決定では ブランド や 社員能力 などに価値を見出す場合も多く これらはその金額が合理的に算定できないことから 一種のプレミアム ( 超過収益力 ) としてのれんに含まれることになります また 合併 買収した企業 ( または事業 ) が将来にわたり期待した収益が見込めない場合 将来的に損失が発生することが予測されるため その損失部分をに反映させている場合 何らかの理由でを時価未満もしくはを時価以上で取得した場合などには負ののれんが発生します なお のれんは上記の場合のほかに 連結財務諸表での親会社の投資勘定と子会社の純を相殺消去した場合にも発生します これは従前の 連結調整勘定 のことで 連結財務諸表規則の改正によりのれんと表示されることとなったものですが 本稿では内容に含めておりません 2. のれんの会計処理 [1] のれんの計上方法 のれんは無形固定に 負ののれんは固定に計上します ただし のれんと負ののれんの双方が生ずる場合には 相殺して表示 ( 計上 ) することができます [2] のれんの償却方法 のれんは計上後 20 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって定額法などの合理的な方法によって償却します その際 のれんの場合は販売費および一般管理費として 負ののれんの場合は営業外収益として処理します かつては会計上償却期間が明確でなかったため 企業によっては発生時に全額を費用としていた事例が見られましたが 現在は認められません ただし のれんの金額に重要性がないと判断される場合には 全額費用処理または利益処理が認められることがあります なお 企業会計基準委員会で 企業結合に関する会計基準等の改正 が行われ ( 平成 20 年 12 月 26 日公表 ) 改正後は平成 22 年 4 月 1 日以降に行われる企業結合において 負ののれん は その生じた事業年度に 負ののれん発生利益 として特別利益に計上することとなりました 発生したのれんについては その金額 発生原因 償却方法及び償却期間を財務諸表上の注記事項として開示することになります 注記例 発生したのれんの金額 発生原因 償却の方法 及び償却期間 (1) のれんの発生金額 百万円 (2) 発生原因 ( のれんの場合 ) 今後の事業展開によって期待される超過収益力から発生している ( 負ののれんの場合 ) 企業結合時の時価純がを上回ったため (3) 償却の方法及び償却期間 5 年間の定額法によって償却している 2

[3] のれんの減損処理 のれんについては 他の固定と同様に会計上 減損の対象となります M&Aブームによる取得価額の高騰により プレミアムとして多額ののれんを計上するケースがありますが M&Aの効果が期待通りでなかったような場合 特に償却期間を長期間に設定している企業においては のれんの減損が問題になる可能性があります 3. のれんの税務上の取り扱い 税務上 のれんの取り扱いが不明確でしたが 会計基準が明確になったことを受け 平成 18 年度税制改正において規定が整備されました 非適格合併等における合併等対価の額と 移転を受けたおよびの時価純価額との差額を 調整勘定 ( および差額調整勘定 ) という名称を用いて のれん ( および負ののれん ) を定義しています 税務上ののれんのイメージ > 純価額の場合 < 純価額の場合 調整勘定 ( のれん ) 調整勘定 ( のれん ) のれんの償却については会計と異なる取扱いとなっています 調整勘定 ( のれん ) については計上後 5 年間で均等償却 ( 損金算入 ) し また差額調整勘定についても5 年間で均等償却 ( 益金算入 ) することとされています この場合の 5 年間の均等償却 は調整勘定の当初計上額を60ヶ月で割った金額に当該事業年度の月数を掛けて計算した金額ですので 期の途中であったとしても1 年決算法人であれば1 年分の償却を行うこととなります 会計上 税務上 (5 年間 ) と異なる償却期間を設定している場合は申告調整が必要となります 3

4. のれんに関する Q&A [Q1] 営業権 と のれん とは同じ意味なのでしょうか [A1] のれんは企業結合会計基準等において と被取得企業 ( 事業 ) の純価額の差額 として定義されていますが 営業権については会計原則でも会計基準でも直接的には定義されていません 一方 企業結合会計基準注解 ( 注 19) では 営業権のうちのれんに含まれないものの具体的例としては営業権という権利それ自体を購入した場合があり その場合には貸借対照表上 営業権として表示されることとなる と規定しています この注解から 会計上の営業権は のれんを包含する広い概念として捉えられていると考えられます 営業権 法律的な権利関係を基礎とする営業権 ( 代理店契約 ライセンス契約など ) 超過収益力を背景とする営業権 のれん ( と純価額との差額 ) [Q2] 会計と税務で のれん の償却期間が異なる場合の申告調整はどのように行いますか [A2] 以下の処理が必要となります 前提 : 合併法人甲社 被合併法人乙社この合併は会計上 取得 とみなされ また税務上も 非適格合併 のため 会計上ののれんと税務上の調整勘定がそれぞれ 500 計上されるとします 償却期間は 会計上は 10 年 税務上は 5 年 会計上の償却処理 ( 借方 ) ( 貸方 ) のれん償却額 50 のれん 50 税務上の償却処理 ( 借方 ) ( 貸方 ) 調整勘定取崩額 100 調整勘定 100 申告調整 ( 別表四 ) 加算 : のれん 50 減算 : 調整勘定 100 ( 別表五 ( 一 )) 4

利益積立金 ( 記載の一例 ) 区分 期首現在 当期の増減 利益積立金額減増 差引翌期首現在 利益積立金額 のれん 50 500( ) 450 調整勘定 100 500( ) 400 は別表四での調整の対象でないため 他の調整項目との違いを明らかにするため [Q3] 負ののれん はなぜ発生するのですか [A3] 会計上ののれんはあくまで被取得企業 ( 事業 ) の時価純価額ととの差額であり 買い手売り手の事情により高くなったり 安くなったりすることは十分有り得ることです 一般的に 負ののれん が発生する原因としては1 被取得企業の及びの時価の評価が正確には行われていない ( を過大評価したり を過小評価している場合 )2 将来予想される費用 損失や偶発債務が存在している場合 3 売り手側の特別な要因により継承する を時価よりも低い価額で取得できた場合などが考えられます 内容は 2009 年 3 月 24 日時点の情報に基づいて作成されたものです 本情報は 法律 会計 税務等の一般的なご説明をしたものです 個別具体的な法律上 会計上税務上等の判断や対策などについては専門家 ( 弁護士 公認会計士 税理士等 ) にごください また 本情報の全部または一部を無断で複写 ( コピー ) することは著作権法上での例外を除き 禁じられています みずほ総合研究所部東京室 03-3591-7077 大阪室 06-6226-1701 http://www.mizuho-ri.co.jp/ 5