Vol. 教 育 の 未 来 と 子 ど もた ち の 未 来 の た め に 1
ままぱれ とは 宮城県内各地で無料配布されている 子育て世代をターゲットにした月刊情報誌です この ままぱれ の2011年2月号から 宮城教育大学情報コーナー を設けていただきました 東北唯一の教員養成大学である本学で教鞭を執る教員の研究成果が 育児や家庭教育に毎日奮闘する宮城の皆さまへの ヒントになればという思いからです 本冊子は この 宮城教育大学情報コーナー を抜粋してまとめたものです この特集号によって本学の研究活動への理解を 深めていただければ幸いです ごあいさつ 1 復興への歩み このパンフレットに掲載されている 所属 及び 役職 は掲載当時のものです 被災地の教育現場の力に 2 変わり始めた人と人とのつながり 4 先生の声から考える震災と 学校 6 幼児教育 幼児教育のコト 幼稚園選びのコト 幼 と 小 をなめらかにつなぐ 早期教育 その前に 8 10 12 子どもの障害 特別支援教育教員養成課程で知る子どもの障害① 14 特別支援教育教員養成課程で知る子どもの障害② 16 外国語活動 公立小学校で 外国語活動 スタート① 18 公立小学校で 外国語活動 スタート② 20
ごあいさつ 平成23年3月11日午後2時46分 私は研究室でアンケート調査の回収結果をパソコ ンに入力していました 突然の揺れに またいつものようにすぐに治まるだろうと思い 横にある書棚が倒れないように手で押さえていました しかし 揺れは治まるどころか ますますひどくなり そのうちに部屋は停電し 本や荷物が飛び出し 研究室の中はとん でもない状況になりました 長時間にわたった揺れが治まった時は放心状態でした マグニチュード9の巨大地震は これまでに経験したことのない大きな被害をもたらし 私たちから大切なものを根こそぎ奪っていきました あれから1年 津波の被害と福島第 宮城教育大学 連携担当理事 副学長 広報戦略室長 中井 滋 一原子力発電所の事故の被害は未だに多くの方々を苦しめています ある調査によれ ば 生活を何とかしたいとやる気が出ている人と その反対にやる気が低下している人の 間の差が拡大しているという結果が報告されています 今こそ 国が一刻も早く復興へ の方向性を明確に示し 国民がこの被害を風化させることなく 力を合わせて立ち向かっ ていくことが重要であると思います 宮城教育大学では平成23年6月に 教育復興支援センター を立ち上げ 被災地の子 どもたちの教育支援を行ってきました これからも長期間にわたり 被災地に寄り添い 教育に関わる支援を続けていきます さて 宮城教育大学は東北で唯一の教員養成の単科大学です 宮城教育大学が生み 出す教師は学校等で教育に携わる職業人です 教育とは何でしょうか 教育基本法の 第1条には 教育は 人格の完成を目指し と書かれています 人格とは何でしょうか 日本語大辞典には 人格とは パーソナリティーともいい 知的 感情的 意志的側面 をあわせた全体としての個体の特徴 と書かれています ということは 人間がいろいろな 知識を持ち 情緒も安定して 他人に対する思いやりを持ち いろいろなことを遂行する 強い意志を持ち 実際に行動に移すことができるように働きかけることが教育ということ になるのではないでしょうか そのためには上から下への一方的な指導だけに終わるの ではなく 人に寄り添い 人に共感し 人のやる気を引き出すような指導が必要となって きます 学校教育だけではなく 家庭教育でも 社会教育でも 職場教育でも 教育と名が つくものは 同じではないでしょうか 例えば 家庭で親が子どもにあることを納得させ たいと考えていることがあるとします その場合には 親は子どもに一方的に言うのでは なく まず 子どもの今の気持ちがどのような状態か 落ち着いているのかどうかを見極 め 落ち着いている時をとらえて どのような内容を どのような声の調子で どのような 表情を作りながら伝えるのが 子どもに伝わるか ということを考えながら行うのが 教育ということになるのではないでしょうか 宮城教育大学の教員は教育に関わるいろいろな領域の研究 教育を行っています 他 の大学と比較すると 例えば義務教育におけるすべての教科に関わる教員がいること また特別支援教育におけるすべての障害の領域に関わる教員がいることなどが特徴とし てあげられます 大学教員は研究活動や大学での授業や会議の合間を活用して 教育 現場に出かけて行って 先生方の相談に応じたり 各センターの仕事として学校等への 支援を行ったりしています 詳しくは宮城教育大学のホームページを覗いてみてください この度 宮城教育大学のセンターの活動や教員の研究活動に関する内容の中から そのいくつかを ままぱれ に掲載させていただく機会を得ました このままにするのは もったいないという思いから 特集号として印刷することにしました どうかご覧ください 1
1 3 2 VOL.31 2011 11 2 3
2012 VOL.33 1 4 5
VOL.34 2012 2 6 7
2011 VOL.30 10 さとうてつや 幼児教育 & 幼稚園選び に 反響続々! 8 9
VOL.32 2011 12 11 10
3 2012年 VOL.35 月号 掲載 聞く 専門家に 早期教育 その前に 点が持てる 生活が彩られる 家庭の風通しが になる よかれと思って取り組んだ早期教育 結局は親しだいなんですよ たとえば 音 よくなる また身体が弱い子どもにスイミング が 子どもの自立を阻害する大変危険な要因 楽好きな両親が子どもといっしょにコンサー を習わせて健康増進を図る そういった機会を となるのです トに行くとか アウトドアが好きならキャン さらにもう一つ 気をつけなければならない プに連れていくなど 親の趣味や志向性に こと 子どもを使った親の自己実現 です 専 よって子どもの興味が醸成されるのです 家 生活に充実感を与える早期教育であるならば 業主婦が陥りやすい落とし穴です 専業主婦は 庭の雰囲気や環境は重要です 子どもの興味 躊躇する必要はないでしょう 家事育児に一生懸命勤しんでも社会的評価を や憧れのきっかけはそこにあります それを 得られない 子どもの学歴や才能によって評価 ピエール ブルデュー Pierre Bourdieu と を得ようとすることがあります いうフランスの社会学者は 文化資本 と言い 作ることはよいことでしょう 子どもの生活にプラスになる 子どもが喜び お子さんに何か始めたい そん な 風 に 考えているお 母さん が ほとんどだと思 います 何 か を 身 に つ け る こ と そ れ は と て も よ い こ と で す で も そ れ が 本 当 に お 子 さ ん の た め に な る の か お 母 さ ん が 始 め た い こ と な の か も う 一 度 じ っくり 考 え て み ま せ ん か 早 期 教 育 あ る い は 習 い ご と を 決 め る 前 に 宮 城 教 育 大 学 の 佐 藤 哲 也 先 生 の お 話 を ぜ ひ 参 考 にし て み てくだ さ い 早期教育を始めるその前に 最近は少し状況が変わってきています 共働 ました 家庭における文化資本が豊かな子ど きの家庭が増えてきたからです 共働きで忙し もたちは何かに興味 関心を持ちやすく 触れ いから保育所に預ける お稽古ごとどころでは ることができるから身につく そして伸びて 私たち 親 は この子は何か才能があるか ない家庭が多くなりました ところが小学校に ゆく ということです ですから親が何もし もしれない 何か 可能性 が備わっているか あがると事情が変わる 親が仕事から帰宅する ないで子どもに何かさせようというのには無 もしれないと期待します 私自身も我が子には まで子どもを家に一人にするのが心配 鍵っ 理があるのです そうした期待を掛けていました 苦笑 ただ 子 にしたくないから習いごとをさせるという どんな方面に才能があるのかわかりません ものです ただし 早期教育を始める上で いくつか注 意しなければならないことがあります そこで経済的余裕がある親が陥りがちなの 生活に充実感を与えるものを 佐藤 哲也 先生 2011年3月 兵庫教育大学から宮城教育大学に移り教鞭を執る 兵教大在職時に は 大阪市 神戸市 宝塚市 三田市 豊岡市等の委員会や審議会のメンバーとし て 幼児教育 保育をめぐる今日的課題について取り組んできた 専門領域は幼 児教育学 アメリカ教育思想史 保育現場に寄与する実践理論の開発 幼稚園や 保育所の保護者への啓発活動に協力している 中学生と小学生の2児の父 12 が 子どもが小さいうちからいろいろやらせ 安全な居場所を子どもに提供することができ のかを極めていく 継続的に物事に取り組ん てみよう ということ それは危ない発想だ ます しかし 習い事が受験や将来の職業など でいく 力 が将来 勉強やスポーツ 芸術 人 と思います にかならずしも直結しないことを了解してお 間関係を持続させていく基盤になります 子どもの精神 身体に無理をかけてしまうか らです 保護者に甘えながらゆったりと過ごす くべきでしょう まずはその早期教育は 子どもがやりたいの 親として難しいのは 子どもがやりたいと 言って始めたことを辞めたいと言い出したと か 私がやりたいのか お母さんが自問自答し きでしょう 続けるかどうかの見極めです しかしその一方で 早期教育産業は年商 3 兆円とも言われ ところが今日はこちら 明日はあちらと 地下 てください かわいい子どもだからこそ親と同 辞めさせることによって忍耐力や持続力が育 るほど成長しています 子どもを少なく生んで大切に育てよ 鉄やバスに乗って移動して 子どもは緊張する じようなコンプレックスを抱いたり みじめさ たなくなるかもしれない しかも 子どもが う という志向性が高まり そうした風潮をとらえて 生み出 状況に投げ込まれます 結果的に 子どもは疲 を体験してほしくない だからやらせる 子ど 辞めたいと言い出した原因が分からない すために!? 企業がさまざまな働きかけを行っています 労を蓄積していきます おまけにお稽古ごとが ものため と思いつつ 実は保護者のエゴや自 己満足のため これが一番いけません 幼いから理屈を言えません なぜ辞めたが 1990 年代 汐見稔幸先生 白梅学園大学学長 東京大学名 うまくいかないと親が不安がる 叱る 子ども 誉教授 は 早期教育の背景には もっと早く もっと高く は並々ならぬストレス状況に置かれます その ですから私はこう思うんです 子どもが何か 先生に聞くなど多角的な視野を持ってくださ もっと正確に という親の考え方 フィロソフィー 哲学 が 結果 一生懸命お金と時間 エネルギーをかけ 始める時 お母さんも一緒に何か新しいことを い 子どもの内面理解が大切です その子の あるのだと指摘しました 人よりも早く始めて より高いレ ているのに まったく伸びない 親子共々不幸 始める それがいいのではないでしょうか た ためを思って意見してくれる先生こそ 本当 ベルに 正確に到達させたい という思いに駆られて取り組 な気持ちになります とえば 子どもと一緒にお母さんも英会話を習 によい先生なのです まれるのが 早期教育 とされました 教育学部幼児教育講座 准教授 す 好きなことだから持続する 持続していれ ばだんだんとおもしろくなり 熱中して 何も のが 幼い子どもに ふさわしい生活 です 今 子どもの数が減っています 世の中は 少子化 です さとう てつや たしかに親にとってメリットはありますし 大切にしたいのは 持続させる力 の育成で 大事なことは 子どもが自ら喜びを持って主 ひと昔前は 人並みの教育 で十分でした しかし経済状況 体的に取り組むこと このひと言に尽きます の悪化により 子どもを 勝ち組 にさせるため 人並みでは テレビドラマで 息子が母親に うるせーな いけない 人と同じことをやっていてはだめなんだ という ババア と言うシーンがありました 思春期を 考えに変わりました それが早期教育繁栄の理由のひとつだ 迎え 親に反発するためにはエネルギーが必要 と思います です 好きな異性ができた 人知れず劣等感に るのか 母親だけの判断ではなく ご主人や う そうすれば家庭でも英会話が楽しめます まずは子どもがやりたいことを十分にやら せてあげる それが一番です 家庭文化の充実と 持続させる力の育成 私は正直 早期教育の効果に期待していません しかしその 苛まれるなど 親には言えない秘密がたくさん 反面 お稽古ごとに連れて行くことによって 子どもが何か刺 できます 秘密の世界 自分の世界が創り出さ 何をいつから始めたらいいのか 困ってしま 激を受ける あるいは家庭とは違った教育的環境で充実した れていきます それは子どもが親離れするうえ うというお母さんも多いことでしょう 何かを 時間を過ごせるならば 早期教育も悪くはないと考えます でとても大切なことなのです やってみたいと思わせるためには そう思わせ 狭い空間の中にずっと閉じこもっていれば お母さんも子 しかし先ほどお話した通り いろいろな早 るチャンスを作ってやらなければいけません どももストレスがたまって息が詰まってしまいます わが子 期教育に連れまわされることで 生きる力を ね そこに 家庭の文化 が関わってくると思 の成長 発達にプラスになり そしてお母さんも社会との接 浪費すると いざ親離れをする時期にガス欠 います 13
2011 VOL.28 8 14 15
2011 VOL.29 9 16 17
VOL.24 25 2011 2 3 18 19
VOL.26 2011 6 外国語 活動 に 反響続々! 20 21
大学 附属学校までの交通機関 宮城教育大学まで 青葉山地区 仙台駅西口バスプール⑨番乗り場から市営バス 宮教大 宮教大 青葉台 宮教大 成田山 行き乗車 宮教大前 下車 所要時間約20分 附属学校まで 上杉地区 仙台駅前 仙台ロフト前⑰⑱⑲乗り場から 市営バス 旭ケ丘駅 鶴ケ谷七丁目 附属幼稚園 附属小学校 附属中学校 東仙台営業所 行き乗車 附属小学校前 下車(所要時間 約15分) 五橋駅 ① 管理棟 1階 教育復興支援センター ② 附属図書館 ③ 保健管理センター ⑳ ④ 情報処理センター ⑤ 1号館 ⑥ 2号館 ⑯ ③ ⑫ ⑫ 8号館 ⑮ 理科学生実験棟 ⑱ ④ ⑭ 音楽棟 ㉑ ⑬ ⑬ 9号館 4階 小学校英語教育研究センター ⑥ ⑪ 7号館 ⑮ ⑤ ⑭ ⑩ 6号館 4階 幼小連携推進研究室 ⑦ ⑪ ⑧ ⑩ ② ⑨ ⑧ 4号館 ⑨ 5号館 ① ⑰ ⑦ 3号館 ⑲ ⑯ 美術棟 ⑰ 体育館 武道場 ⑱ 講堂 ⑲ 萩朋会館 ⑳ 附属特別支援学校 ㉑ 環境教育実践研究センター 発行日 平成24年4月2日 このパンフレットは 水なし印刷 により印刷しております 環境にやさしい植物油インキ VEGETABLE OIL INK で 印刷しております