海外の精密測位 - 準天頂衛星への期待と大学間連携 - MADOCA 利用検討会 2016 年 3 月 29 日 久保信明 ( 東京海洋大学 ) 1
海外連携基準点の例 ( アジア ) フィリピン大学 ( マニラ ) インドネシア大学 ( ジャカルタ ) 東京海洋大学 ( 東京 ) 準天頂衛星 1 つをみても見え方は異なる 現段階で BEIDOU は高仰角に多数 2
これまでに設置してきた大学 チュラロンコン大学 ( タイ ) IGS? フィリピン大学 ( フィリピン ) リアルタイム インドネシア大学 ( インドネシア ) リアルタイム ラオス国立大学 ( ラオス ) 1 大学間及び各大学において GNSS の教育ひいては研究開発を促進する 精密暦 クロックや低コスト RTK の利用を前面に 2 その過程において 海外主要大学のキーパーソンをとりこんでいく 3 さらに発展させて 地元企業との共同実験を実施 4 いっしょに仕事をしている先生や学生さんのニーズに合致しているか? さらには将来的に味方になってくれそうな企業 機関に就職しているか? 3
Suvarnabhumi Airport to Sukhumvit Taxi RTK using Chulalongkorn s CORS 2015 年 2 月に実施 End Start :QZSS :GPS :GLONASS :BeiDou Antenna Antenna NovAtel from Airport to Tai-Pan Hotel 24 minuets - 10 Hz Trimble SPS-855 Multi-GNSS GPS/QZSS/GLONASS/BeiDou Receiver Trimble 4
RTK post-processed results in Highway based on Chulalongkorn s CORS 91.0% FIX 5
フィリピン大学基準点利用リアルタイム 2016 年 2 月 20 日午後 90 分ほどマニラ市のフィリピン大学周辺を車両で移動 RTK の FIX 率は 90.7%( 基準点は UOP の NetR9 で基線長は 10km 以内 ) 空港で購入した WiFi の利便性 遅延時間が 10 秒を越えたのは 1 回のみ 大学周辺は問題なかったが 大学構内は木が生い茂っており FIX 率は低下 (50% 弱 ) 6
移動中の楕円体高度の変化 (90 分 ) フィリピン大周辺 移動体アプリケーションのレファレンス位置として利用 7
ジャカルタ市内での精密位置決定作業 1.1 車両実験の概要 2014 年 12 月実施 基準局 移動局 アンテナ アンテナ 受信機 受信機 受信機 基準局 移動局共にアンテナ 複数周波数対応アンテナ ( マルチ GNSS 対応 )NovAtel 社受信機 測量用高精度受信機 ( マルチ GNSS 対応 ) Trimble 社 NetR9,SPS855 高感度受信機 ( マルチ GNSS 一部対応 ) U-Blox 社 M8
ジャカルタ市内での精密位置決定作業 1.2 簡易基準点の概要 cm 級の精密測位 (RTK-GNSS) のためには基準点の設置が必須 日本国内には国土地理院によりおよそ 1300 点設置されている 簡易基準点 遮蔽物のない天空が開けた場所 長時間安定した場所 ビルの屋上などが理想的 基線長の制約により実験場所付近 (20km 以内程度 ) への設置が必要 今回は公園の駐車場の中心付近 車両へアンテナと受信機を設置し簡易基準局として運用 アンテナ ホテルの駐車場の天空不可 公園の駐車場障害物少 簡易基準局
12/2 1 走行目約 1 時間 ジャカルタ市内での精密位置決定作業 1.3 走行経路 基準点 12/2 2 走行目約 4 時間 基準点 12/3 1 走行目約 1 時間 12/3 2 走行目約 3.5 時間 基準点 基準点
GNSS データ解析 2.1 解析結果 12/2 コース 1 2014 年 12 月 2 日 水平方向解析結果 ( 基準点からの距離 ) [m] 使用衛星 コース 1 3494 秒 -10Hz GPS/QZSS/BeiDou/ GLONASS 原点 : 基準点 [m] [m] 高度方向解析結果 ( 楕円体高度 ) 10 分 利便性 研究室 71.9% 市販 72.2% : 研究室エンジン : 市販エンジン ミス FIX あり : 研究室エンジン : 市販エンジン GPSTIME[s ec] 利便性 : データ取得時間の内 良好な結果が得られた割合
GNSS データ解析 2.2 解析結果 12/3 コース 2 2014 年 12 月 3 日 水平方向解析結果 ( 基準点からの距離 ) [m] 使用衛星 GPS/QZSS/BeiDou/ GLONASS 研究室エンジン 市販エンジン 高度方向解析結果 ( 楕円体高度 ) [m] 利便性 30 分 コース 2 3995 秒 - 5Hz コース 2 12590 秒 - 5Hz 85.6 % 83.1 % : 研究室エンジン : 市販エンジン 原点 : 基準点 [m] : 研究室エンジン : 市販エンジン 利便性 : データ取得時間の内 良好な結果が得られた割合 GPSTIME[s ec]
GNSS データ解析 2.3 RTK 測位 GPS vs. GPS/QZSS ( 市販エンジン ) 12/3 1 走行目約 1 時間 水平方向解析結果 ( 基準点からの距離 ) [m] 12/3 コース 1 約 1 時間 利便性 QZSS は現状 1 機のみ インドネシアでは高仰角ではない 精度は向上 効果あり GPS 65.3% GPS/QZSS 72.3% 今後の増加によりさらなる効果が期待できる 高度方向解析結果 ( 楕円体高度 ) [m] 10 分 :GPS :GPS/QZSS :GPS :GPS/QZSS 原点 : 基準点 [m] 利便性 : データ取得時間の内 良好な結果が得られた割合 GPSTIME[s ec]
Car navigation grade receiver comparison (GPS or GPS/QZS/BEI of same receiver) Bangkok Downtown 2014 年 1 月に実施 Under elevated train GPS GPS/QZS/BeiDou Smooth trajectory 14
アジアでの経験 現在 GESTISS での仕事において アジア主要大学で教育 研究開発用の基準点設置を行っている 欧米や中国 韓国と比較すると アジアはまだ発展途上 (GNSS の教育 研究開発 ) 日本のように基準点網が発展しているようにも見えない その際 準天頂衛星のアピールを同時に実施 セミナー等を開催すると 必ず準天頂衛星の補正データについて質問がある 国内でのサービス概要は概ね回答できるが 現地でのサービスについて回答できない 15
付加価値をつけていく 準天頂衛星の補正データを利用すれば 数cmまたはデシメートルで測位できますよ というのは簡単だが 実際にサービスを提供することは大変である 海外でのニーズ調査もさることながら 本当の意味で利用頂くサービスを提供することが極めて大事 自動車等のアプリケーションとして利用頂けるのは良い これまではカーナビ等の利便性に限られていた ( ただし アジアでは現状カーナビもこれから? 様々な付加価値をつけていく ) 16
研究者との雑談 実際にグローバルに精密暦やクロックを展開している企業の研究者 準天頂衛星からフリーのような形態で精密暦やクロックを放送することは問題ない ( 彼らも利用?) ただし 実際に農業等の分野で利用して頂いている経験から 所定の精度がでずに 現場に混乱を起こしてしまうと大変 我々は そのような保証のためにもお金を頂いている 補正データを放送して所定の精度を出すことと 実際にお客様にサービスを提供することはイコールではない 17
競争相手? 中国は BEIDOU の現在のステータスを見ても今後も伸びてくる?10 年後はわからない? 欧州はどうか? アジアでのサービスは協力できそうか? また米国との関係は? ロシアは? 基本的にはマルチ GNSS がキーであることは間違いないので フリーで利用できる国際関係を維持していくことがとても大事 シンガポールの ITS 関連での案件を日本の企業が受注 このような案件について 着実に信頼できるサービスを提供していくことがとても大事 18
海洋大での取り組み 高精度単独測位のアルゴリズム RTKLIB を利用した MADOCA-PPP の実証実験をオープンスカイをベースに実施 船舶等での長期データも収集し解析 LAND ではどうしても RTK に頼りがち しかし海では RTK は無理 海洋大として 海洋開発は大学に課せられた重要なテーマ なんとか精密測位等でお役にたてないか模索 LEX 信号用ソフト受信機での制作 擬似距離ベースの精密暦 クロックの利用 19
Use of Precise Orbit and Clock for Code-based Positioning Code-based positioning with precise orbit, clock and dual-frequency observation has a potential to provide decimeter level navigation. DGNSS is regional service but this is world-wide. Carrier-phased Code-based PPP PPP Positioning Accuracy 1-10 cm 50-100 cm Convergence 0.5-1 hour Instant Robustness 20
屋上での静止データ実験 Receiver Trimble NetR9 Antenna Trimble Zephyr Zeodetic 2 Satellites GPS Frequencies Dual-Frequency (L1,L2) Experimental Hour 12 hours Epoch 1 second Elevaion Mask 15 deg CN_Threshold 30dB Precise Orbit and Clock QZF (QZSS Final) Ionosphere Ionosphere Free(2 周波 )
実際の比較結果 ( 水平 ) Code-based PPP with Precise Orbit, Clock and Dual Frequency Observation Code-based PPP with carrier smoothing
水平方向での精度評価と比較 Standard Deviation(m) Maximum Error(m) Percentage within 1.5m Single Positioning 1.324 9.9 25.5% Single Positioning with Precise Orbit and Clock 1.09 8.2 42.3% Code-based PPP 0.495 5.4 88.3% Code-based PPP with Carrier Smoothing (100sec) 0.277 1.7 99.8% Code-based PPP with Carrier Smoothing (200sec) 0.259 1.5 100%
まとめ 産官学の中で 産官の方々のバックアップができるような活動を今後も継続したい 24